JP6025583B2 - 位置測定方法及び位置測定装置 - Google Patents
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ところで、超音波は、空気中の温度、湿度、気圧、流れ(風)等の影響を受け、空気中を伝搬する速度が変化する。そのため、これら空気中のパラメータが一定でない環境では、超音波を用いた位置情報の測定は、精度が低下する。
これにより、測定対象に設置された第1超音波センサ、及び3箇所の固定位置に設置された第2超音波センサ以外の超音波センサを必要とすることなく、風の影響を反映することができ、超音波を用いた測定精度を向上させることができる。
これにより、位置情報を測定する度に(即ち、サンプリング周期毎に)送受信第2超音波センサを切り替えるため、直接算出することのできない受信第2超音波センサに対する風の影響の誤差を抑えることができ、超音波を用いた測定精度を向上させることができる。
初めに、図1及び図2を参照して、本発明に係る位置測定装置14を利用した搬送システム3の概略について説明する。図1は、搬送システム3の機能構成を示す機能ブロック図であり、図2は、搬送システム3を模式的に示す模式図である。
なお、以下に説明するように、本実施形態では、ワークWとして塗装工程が終了した自動車の車体を用い、ワーク搬送装置2としてワークWを上方から吊るして搬送するオーバーヘッドコンベアを用いることとしている。このとき、作業装置1は、ワーク搬送装置2が搬送するワークWから塗装のために仮付けしておいたドアを取り外す作業を行う。勿論、ワークW、ワーク搬送装置2及び/又はワークに対する作業の内容は、一例に過ぎずこれに限られるものではない。
図2を参照して、移動部11は、例えば、ワークWの搬送方向に平行して設けられたレール112a,112b(図7等参照、以下、夫々を区別しない場合「レール112」と呼ぶ)を移動する台車111a,111bである。なお、本実施形態では、ワークW(車体)からドアを取り外す作業を行うため、ワークWの両側に2つの台車111a,111b(以下、夫々を区別しない場合「台車111」と呼ぶ)を用いることとしている。
ここで、図2に示すように本実施形態ではワークWの底面の任意の位置P1,P2,P3(例えば、底面に設けられた溶接用穴部近傍の3箇所)の位置情報から底面中央部である位置Pの位置情報及び振動を検出する。そこで、本実施形態では、台車111の上面にセンサ装置121a,121b,121c(以下、夫々を区別しない場合「センサ装置121」と呼ぶ)を設置し、台車111と同期して移動するワークWの下方から位置P1,P2,P3(以下、夫々を区別しない場合「位置Pn」と呼ぶ)の位置情報を検出することとしている。一例として、台車111aには、搬送方向下流側の任意の位置に位置P1の位置情報を検出するセンサ装置121aを設置し、台車111bには、搬送方向下流側の任意の位置に位置P2の位置情報を検出するセンサ装置121b、搬送方向上流側の任意の位置に位置P3の位置情報を検出するセンサ装置121cを設置することとしている。
なお、ワークWに生じた振動を除外し作業を行うためには、3軸(X,Y,Z軸)の位置情報を検出することが好ましい。そのため、本実施形態では、センサ装置121として、位置PnのZ軸(垂直方向)の位置情報を検知するレーザー変位計、及び位置PnのX,Y軸(水平面)の位置情報を検知する2Dリアルタイムカメラを用いることとしている。
ここで、図2に示すように本実施形態では、作業部13はワークWからドアを取り外す作業を行うため、ワークWの片側に2つずつ計4つのロボット131a,131b,131c,131dを設置することとしている。即ち、台車111aには、ロボット131a,131bが設置され、台車111bには、ロボット131c,131dが設置される。なお、以下では、夫々を区別しない場合には単に「ロボット131」と呼ぶ。
ここで、本実施形態では、作業部13の位置情報を超音波方式で検出することとしている。なお、超音波方式とは、送信装置から送信された超音波を複数(3個以上)の受信装置で受信し、夫々の受信装置までの超音波の到達時間の違いを利用して三点測量により位置情報を検出する方式である。そこで、図2に示すように、本実施形態の位置測定装置14は、ロボット131夫々に設置される第1センサ装置141a,141b,141c,141dと、搬送経路に沿った任意の位置に固定的に設置される第2センサ装置142a,142b,142c,142dと、を含んで構成されることとしている。なお、以下、夫々を区別しない場合「第1センサ装置141」「第2センサ装置142」と呼ぶ。このとき、第2センサ装置142の夫々は3個の受信装置を備え、対応する第1センサ装置141から送信された超音波を3個の受信装置で受信することで、第1センサ装置141の位置情報を検出する。即ち、第2センサ装置142aは第1センサ装置141aの位置情報を検出し、第2センサ装置142bは第1センサ装置141bの位置情報を検出し、第2センサ装置142cは第1センサ装置141cの位置情報を検出し、第2センサ装置142dは第1センサ装置141dの位置情報を検出する。なお、本発明ではワークWに生じた振動をロボット131に再現させることで、ワークWに生じた振動を除外し、搬送中のワークWに対するロボット131による作業を可能にしている。そのため、第1センサ装置141は、ロボット131のうち、ワークWに対して作業を行う部分、例えばワークWを把持する把持部やワークWのボルトを緩め/締めするボルト操作部等(以下「作業部分」と呼ぶ)の近傍、好適にはロボット131の先端に設置することが好ましい。また、ロボット131が複数の作業部分を備える場合には、当該複数の作業部分の夫々の近傍に第1センサ装置141を備えることが好ましい。
なお、本発明に係る位置測定装置14の特徴的な構成の詳細については、図3〜5で後述する。
なお、振動実行制御とは、作業部13を予測振動パターンに応じて振動させる制御をいう。具体的には、制御部15は、作業部13に対して予測振動パターンと適合する制御信号を供給し、作業部13としてのロボット131の作業部分が予測した振動で振動するように制御する。
また、振動調整制御とは、振動実行制御により作業部13に生じた振動と、振動予測制御により予測した振動との間の相違を調整する制御である。具体的には、制御部15は、位置測定装置14と協働して振動実行制御中に作業部13に生じた振動を検出し、検出した振動と予測振動パターンとを比較し、両者が一致しない場合に予測振動パターンと一致するように作業部13の振動を調整する。
以上、本発明に係る位置測定装置14を含む搬送システム3の概略について説明した。続いて、図3〜5を参照して本発明に係る位置測定装置14について詳細に説明する。図3は、位置測定装置14を模式的に示す模式図であり、図4は、位置測定装置14の機能構成を示す機能ブロック図であり、図5は、位置測定装置14の動作の流れを示す図である。
そして、位置測定装置14は、第1超音波センサ30の第1送信機31から送信した超音波が第2超音波センサ40,50,60の第2受信機42,52,62に到達するまでの時間(Ta)と、第2超音波センサ40,50,60の第2送信機41,51,61から送信した超音波が第1超音波センサ30の第1受信機32に到達するまでの時間(Tb)と、から風の影響(α)を算出する。
このとき、速度Va,Vbが互いに異なるため時間Ta,Tbも異なることになるが、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40,50,60の距離(D)は一定であるため、以下の式(2)が成立し、式(1)(2)より風の影響(α)を求める式(3)が導かれる。
そこで、位置測定装置14は、送信切替部71と、風影響算出部72と、位置測定部73と、を更に含んで構成される。
また、送信切替部71は、送受信第2超音波センサとする第2超音波センサ40,50,60を所定の順序に従い切り替える。なお、切り替えるタイミングは、適宜任意のタイミングであってよいが、本実施形態では、位置測定装置14のサンプリング周期(例えば、20ms)に従い送受信第2超音波センサとする第2超音波センサ40,50,60を切り替える。即ち、位置測定装置14が作業部13の位置情報を測定すると、送受信第2超音波センサとなる第2超音波センサ40,50,60が切り替わる。
このとき、位置測定部73は、風影響算出部72が算出した風の影響(α)を加味して作業部13の位置情報を測定する。具体的には、位置測定部73は、送受信第2超音波センサである第2超音波センサについては、風影響算出部72が算出した風の影響(α)を直接反映させる。一方、位置測定部73は、受信第2超音波センサである第2超音波センサについては、当該受信第2超音波センサが送受信第2超音波センサとして切り替えられていた直近の時点で、風影響算出部72が算出した風の影響(α)を利用し反映させる。
続いて、図5を参照して位置測定装置14の動作について説明する。
0ms〜20ms時において、作業部13に設けられた第1超音波センサ30は、第1送信機31から第2超音波センサ40,50,60に超音波を送信するとともに、第1受信機32で超音波を受信している。このとき、第2超音波センサ40,50,60は、第2超音波センサ40が送受信第2超音波センサとして設定されており、他の第2超音波センサ50,60からは超音波が送信されない。そのため、0ms〜20ms時では、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間で超音波の送受信が行われることになり、両センサ間の風の影響が算出される。
このとき、20ms〜40ms時において第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間では風の影響が算出されないものの、両センサ間の風の影響は、0ms〜20ms時に既に算出している。そこで、位置測定装置14は、0ms〜20ms時に算出していた風の影響を、20ms〜40ms時における第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間の風の影響として利用し、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間の距離を算出する。
このとき、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間の風の影響は、0ms〜20ms時に既に算出し、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間の風の影響は、20ms〜40ms時に既に算出している。そこで、位置測定装置14は、0ms〜20ms時に算出していた風の影響を、40ms〜60ms時における第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間の風の影響として利用し、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ40の間の距離を算出する。また、位置測定装置14は、20ms〜40ms時に算出していた風の影響を、40ms〜60ms時における第1超音波センサ30及び第2超音波センサ50の間の風の影響として利用し、第1超音波センサ30及び第2超音波センサ50の間の距離を算出する。
続いて、本発明に係る位置測定装置14を利用した搬送システム3の一実施形態を、図6〜図9を参照して説明する。図6は搬送システム3の側面図であり、図7は搬送システム3の平面図である。また、図8は搬送システム3を構成する作業装置1の側面図であり、図9は作業装置1の背面図である。
この第1センサ装置141は、第2センサ装置142とともに前述の位置測定装置14を構成するものであり、対応する第2センサ装置142に対して超音波を発信することで、第1センサ装置141が設置された部分の位置情報及び位置情報の変化(即ち、振動)を検出可能に構成される。
また、コントロールユニット151は、ワーク搬送装置2に設けられた図示せぬエンコーダからの信号に基づいてワークWを吊るしたハンガ22の位置情報を特定し、この位置情報に基づいて前述の同期制御、即ちワークWと同期して移動するように台車111の移動を制御する。また、コントロールユニット151は、センサ装置121が所定期間にわたりワークWの振動を検出すると、検出した所定期間の振動に基づいて前述の振動予測制御、即ち以後ワークWに生じる予測振動パターンを予測する。また、コントロールユニット151は、振動予測制御で予測した予測振動パターンに基づいて振動再現制御、即ちワークWの予測振動パターンと一致するようにロボット131を振動させる。このとき、コントロールユニット151は、第1センサ装置141及び第2センサ装置142と協働してロボット131の振動を測定しておき、ロボット131の振動が予測振動パターンと異なる場合には、一致するようにロボット131の振動を調整する。
なお、送受信する第2センサ装置142と送信せず受信のみする第2センサ装置142との切り替えは、サンプリング周期(20ms)毎に行うため、送信せず受信のみする第2センサ装置142に対する風の影響の誤差を抑えることができ、測定精度を向上させることができる。
30…第1超音波センサ
31…第1送信機
32…第2送信機
40,50,60…第2超音波センサ
41,51,61…第2送信機
42,52,62…第2受信機
71…送信切替部
72…風影響算出部
73…位置測定部
13…作業部13
Claims (4)
- 測定対象に第1送信機及び第1受信機を備える第1超音波センサを設けるとともに、少なくとも3箇所の異なる固定位置に夫々が第2送信機及び第2受信機を備える複数の第2超音波センサを設け、前記第1超音波センサと複数の前記第2超音波センサとの間で超音波の送受信を行うことで、前記測定対象の位置情報を測定する位置測定方法において、
複数の前記第2超音波センサに対して、前記第2送信機から超音波を送信するとともに前記第2受信機により超音波を受信する1の送受信第2超音波センサ、及び前記第2送信機から超音波を送信することなく前記第2受信機により超音波を受信する他の受信第2超音波センサを切り替えて設定する送信切替工程と、
前記第1超音波センサ及び前記送受信第2超音波センサの間で送受信される超音波に基づき、両センサ間の風の影響を算出する風影響算出工程と、
前記第1超音波センサの前記第1送信機から送信された超音波が、複数の前記第2超音波センサの第2受信機に受信されるまでの時間から前記測定対象の位置情報を測定する位置測定工程と、を含み、
前記位置測定工程は、前記送受信第2超音波センサに対して前記風影響算出工程で算出した風の影響を反映するとともに、前記受信第2超音波センサに対して当該受信第2超音波センサが前記送受信第2超音波センサとして切り替えられていた直近の時点で前記風影響算出工程で算出した風の影響を反映して、前記測定対象の位置情報を測定する、
ことを特徴とする位置測定方法。 - 前記送信切替工程は、前記位置測定工程で前記測定対象の位置情報を測定する度に、複数の前記第2超音波センサを順に1の送受信第2超音波センサと他の受信第2超音波センサとに切り替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置測定方法。 - 測定対象に第1送信機及び第1受信機を備える第1超音波センサを設けるとともに、少なくとも3箇所の異なる固定位置に夫々が第2送信機及び第2受信機を備える複数の第2超音波センサを設け、前記第1超音波センサと複数の前記第2超音波センサとの間で超音波の送受信を行うことで、前記測定対象の位置情報を測定する位置測定装置において、
複数の前記第2超音波センサに対して、前記第2送信機から超音波を送信するとともに前記第2受信機により超音波を受信する1の送受信第2超音波センサ、及び前記第2送信機から超音波を送信することなく前記第2受信機により超音波を受信する他の受信第2超音波センサを切り替えて設定する送信切替部と、
前記第1超音波センサ及び前記送受信第2超音波センサの間で送受信される超音波に基づき、両センサ間の風の影響を算出する風影響算出部と、
前記第1超音波センサの前記第1送信機から送信された超音波が、複数の前記第2超音波センサの第2受信機に受信されるまでの時間から前記測定対象の位置情報を測定する位置測定部と、を含み、
前記位置測定部は、前記送受信第2超音波センサに対して前記風影響算出部が算出した風の影響を反映するとともに、前記受信第2超音波センサに対して当該受信第2超音波センサが前記送受信第2超音波センサとして切り替えられていた直近の時点で前記風影響算出部が算出した風の影響を反映して、前記測定対象の位置情報を測定する、
ことを特徴とする位置測定装置。 - 前記送信切替部は、前記位置測定部が前記測定対象の位置情報を測定する度に、複数の前記第2超音波センサを順に1の送受信第2超音波センサと他の受信第2超音波センサとに切り替える、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置測定装置。
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