JP6025495B2 - 水性防錆塗料及び水性防錆塗装金属製品 - Google Patents
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Description
例えば、車両や構造物の構成材となる鋼板等には、表面の酸化等を防止するために塗装が行われている。又、プレス金型等の金属部品、及び、コンクリートに埋設される鉄筋や金具等の金属製品においても、製造から実際に使用するまでの間なんら措置をせずにそのまま放置すると、その表面に錆が生じてしまう。このため、錆の発生を未然に防止し金属製品等の品質を保持するために、製造後直ぐに塗装するのが一般的である。
又、保護を目的として塗装された金属製品としては、例えば、特許文献2に記載されるエポキシ粉体塗料による防食皮膜を有するコンクリート埋設鉄筋材が知られている。
特許文献2に記載の塗料は防錆性能を有し、塗装した金属製品のコンクリートに対する付着性能も有するが、成分の異なる塗料で複数回塗装する必要がある。
又、本発明は塗膜が薄膜であって防錆性能に優れるだけでなく、コンクリートとの付着性能に優れる防錆塗装金属製品を提供することを課題とする。
又、本発明の水性防錆塗装金属製品は、塗膜が薄膜であって防錆性能に優れるだけでなく、コンクリートとの付着性能に優れる水性防錆塗装金属製品を提供することができる。
以下説明する様に、本発明に係る水性防錆塗料は、水溶性アクリル樹脂、水性防錆剤、水性湿潤剤等からなる。
以下、各成分について説明する。
水溶性アクリル樹脂は、鉄筋等の金属製品の腐食の原因となる水分を遮断し、金属製品の表面に塗膜を形成するものである。
本発明に用いられる水溶性アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、及び、(メタ)アリルスルホン酸の中から任意に選択される単量体の1種、又は、2種以上と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、及び、スチレンの中から任意に選択される単量体の1種、又は、2種以上との重合体からなる。
なお、後記する実施例では一例として、(メタ)アクリル酸と、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、及び、スチレンを単量体として用いている。
水性防錆塗料の水溶性アクリル樹脂の含有量は、塗膜の造膜性能及び塗料の取り扱い易さに影響を与える。
水性防錆塗料全体を100質量%とした場合、水溶性アクリル樹脂の割合は、10質量%以上30質量%以下とする。水溶性アクリル樹脂の割合が10質量%未満では、塗料中の塗膜形成成分が少ないため塗装した際に塗装膜厚が薄くなって塗膜の強度が低下することにより、又、塗装膜厚が不均一になって塗膜の強度に差が生じることにより、塗膜の割れや剥離等が発生し易くなる。このため、この塗膜の割れや剥離を通して水分等が被塗装物である金属製品表面に達し易くなり、必要とされる防錆性能が得られない。又、水溶性アクリル樹脂の割合が30質量%を超えると、水性防錆塗料の粘度が高くなる。このため、均一な塗膜の形成が難しくなる、水性防錆塗料の取り扱いが不便になる等のため好ましくない。
本発明に用いられる水溶性アクリル樹脂は、水性防錆塗料を塗装した後の被塗装物の熱膨張や熱収縮等による変形に追従することで塗膜の割れや剥離等を防止して防錆性能を維持発揮する。
より好ましいガラス転移点は、10℃以上115℃以下である。
又、後記する水溶性アクリル樹脂合成後の水溶性アクリル樹脂を含む反応溶液をJIS K5601‐1‐2に従い、105℃で1時間加熱乾燥することで得た測定試料をJIS K7121の規定に従い、示差走査熱量測定装置にて測定することによっても、水溶性アクリル樹脂のガラス転移点は測定可能である。
このようにして測定されるガラス転移点(Tg)が本発明の範囲内となるように水溶性アクリル樹脂の組成や重合度等を調節することができる。
本発明に用いられる水溶性アクリル樹脂の酸価は、水性防錆塗料を溶媒である水等に溶解し易くすると共に、水性防錆塗料の被塗装物である金属製品の表面に防錆性能を有する塗膜を薄膜で均一に形成し易くするために規定する。
より好ましい水溶性アクリル樹脂の酸価は100mg/KOH以上220mg/KOH以下である。
又、後記する水溶性アクリル樹脂合成後の水溶性アクリル樹脂を含む反応溶液を体積比でトルエン:エタノール=2:1の混合溶媒で希釈して、JIS K5601‐2‐1の規定に従い測定することによっても、水溶性アクリル樹脂の酸価は測定可能である。
このようにして測定される酸価が本発明の範囲内となるように水溶性アクリル樹脂の組成や重合度等を調節することができる。
本発明に使用される水性防錆剤は、塗膜中で水溶性アクリル樹脂と共存して防錆性能を向上させるための成分である。又、水性防錆剤は被塗装物である鉄筋等の金属製品とコンクリートとの付着性能を維持向上させるものが好ましい。このため、水溶性アクリル樹脂と混合し易く、コンクリートとの親和性が高い水性防錆剤を用いる。
有機酸の例としては、オクタン酸、オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸等のカルボン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類、及び、アルキルリン酸類等が挙げられる。アルキルナフタレンスルホン酸の例としては、ジノリルナフタレンスルホン酸が挙げられる。
塩基の例としては、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の水溶性アミン類が挙げられる。
水性防錆塗料全体を100質量%とした場合、水性防錆剤の割合は、0.1質量%以上5質量%以下とする。水性防錆剤の添加割合が0.1質量%未満では防錆剤の性能が十分に発揮されないため水性防錆塗料の防錆性能が低下する。又、水性防錆剤の添加割合が5質量%を超えると、乾燥後の塗膜表面の潤滑性が増加して乾燥後の塗膜とコンクリートとの接触抵抗が減少するため、塗膜とコンクリートとの付着性能が低下する。
本発明に使用される水性湿潤剤は、金属製品表面上に防錆性能を有する塗膜を薄膜で均一に形成させるための成分である。
水性湿潤剤は、塗膜を形成する水溶性アクリル樹脂と混合させるために、水溶性アクリル樹脂との親和性を有するものとする。又、水性湿潤剤は、本発明たる水性防錆塗料の防錆性能をより効果的に発揮させるために、水性防錆塗料の表面張力を低下させて被塗装物である鉄筋等の金属製品への湿潤性(濡れ性、ヌレ性)を向上させるものが好ましい。更に、水性湿潤剤は水性防錆塗料のコンクリートとの付着性能を維持向上させるものが好ましい。
このため、湿潤剤は親水性である水性湿潤剤とする。
水性防錆塗料全体を100質量%とした場合、水性湿潤剤の割合は、0.1質量%以上5質量%以下とする。水性湿潤剤の添加割合が0.1質量%未満では湿潤性が低下して不均一な塗膜となるため、塗膜の強度に差が生じて塗膜強度が低下した部分を起点として塗膜の割れや剥離が発生して水分等が浸入することにより、水性防錆塗料の防錆性能が低下する。又、水性湿潤剤の添加割合が5質量%を超えると、乾燥後の塗膜表面の潤滑性が増加して乾燥後の塗膜とコンクリートとの接触抵抗が減少するため、コンクリートとの付着性能が低下する。
重合溶媒は、水溶性アクリル樹脂単量体(モノマー)を重合して水溶性アクリル樹脂(重合体、ポリマー)を合成する際に使用する溶媒である。重合溶媒は、水溶性アクリル樹脂単量体(モノマー)、水溶性アクリル樹脂(重合体、ポリマー)、及び、重合開始剤が溶解するものを使用する。又、重合溶媒は、水溶性アクリル樹脂合成後水溶性アクリル樹脂を単離せずに水溶性アクリル樹脂を含む溶液(反応溶液)の状態で水性防錆塗料の製造が可能となるように、水と任意の割合で均一に混合する溶媒が好ましい。例えば、重合溶媒としてエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
重合開始剤は、水溶性アクリル樹脂単量体(モノマー)を重合して水溶性アクリル樹脂(重合体、ポリマー)を重合するために使用する。重合開始剤の種類に特に制限はなく、使用する水溶性アクリル樹脂単量体、重合溶媒、目標とする水溶性アクリル樹脂の分子量や重合度等から適宜選択することが可能である。例えば、重合開始剤としてt‐ブチルパーオキシベンゾエートが挙げられる。
希釈溶媒は、重合した水溶性アクリル樹脂の反応溶液に添加して水溶性アクリル樹脂溶液とする溶媒である。水溶性アクリル樹脂の固化を防止するために、水を主成分として水溶性のアミン、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、アンモニア水等を所定量添加して塩基性にしたものが好ましい。
本発明に係る水性防錆塗料の濃度や物性を調整するために、水と任意の割合で均一に混合する有機溶媒を加えることも可能である。
本発明に係る水性防錆塗料は、水性防錆塗料全体を100質量%とした場合に防錆性能及び付着性能を阻害しない0質量%を超えて30質量%以下の範囲で、他の塗料成分を含有することも可能である。
その他の塗料成分の例としては、抑泡剤(消泡剤)、体質顔料、無機着色顔料、有機着色顔料等が挙げられる。体質顔料の具体例としては炭酸カルシウム、タルク等が、無機着色顔料の具体例としては酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等が挙げられる。
本発明に係る水性防錆塗料に含まれる水溶性アクリル樹脂、水性防錆剤、及び、水性湿潤剤等の含有量は、水性防錆塗料を製造する際に用いられる各成分含有の組成物を、例えば、JIS K5601‐1‐2に規定する105℃で1時間加熱することにより得られる不揮発性成分量から算出することも可能である。
水性防錆塗料の製造において、水溶性アクリル樹脂等の各塗料成分を合成した後、その反応溶液から各塗料成分を単離せずに、溶液状態のまま各塗料成分を取り扱う方が製造工程上都合のよい場合であっても、この不揮発性成分量の算出結果を使用することにより、各塗料成分の含有量を算出して本発明に係る水性防錆塗料を製造することが可能である。
合成した水溶性アクリル樹脂の反応溶液を希釈溶媒で希釈した水溶性アクリル樹脂溶液の粘度は、JIS K5600‐2‐2の規定に従ってガードナー形泡粘度計を用いて25℃の恒温水槽に30分静置した後にガードナー粘度を測定することで得ることが可能である。
水性防錆塗料は、例えば、以下に示す方法で得られる。
重合溶媒として水と任意の割合で均一に混合するエチレングリコールモノブチルエーテル等を加熱撹拌しながらこの溶媒中に、アクリル樹脂単量体(モノマー)及び重合開始剤を滴下する。次に、滴下が終了した反応溶液を一定時間加熱撹拌することで、このアクリル樹脂単量体(モノマー)の重合反応を進行させて本発明に使用する水溶性アクリル樹脂(重合体、ポリマー)を得る。そして、この得られた水溶性アクリル樹脂を反応溶液ごと水等の希釈溶媒に撹拌しながら加える。以上の手順により、水溶性アクリル樹脂溶液を得ることが可能である。
本発明に係る水性防錆塗料の製造においては、この重合反応により得られる水溶性アクリル樹脂を単離せず、そのまま反応溶液ごと希釈溶媒により希釈して得られる水溶性アクリル樹脂溶液を用いることができる。
水性防錆塗料は、水溶性アクリル樹脂溶液、水性防錆剤、水性湿潤剤、そして、希釈溶媒を室温で容器内において撹拌して混合することで得られる。
本発明に係る水性防錆塗装金属製品は、本発明に係る水性防錆塗料で金属製品を塗装したものである。本発明に係る水性防錆塗料は、被塗装物である金属製品の種類、材質や大きさを問わない。塗装対象としては、例えば、H型鋼、金属製非常階段、プレス金型、コンクリート埋設鉄筋、及び、コンクリート埋設金具等が挙げられる。
本発明に係る水性防錆塗装金属製品における水性防錆塗料による塗膜の膜厚は、塗装した後の乾燥後の膜厚で3μm以上20μm以下とする。乾燥後の塗膜の膜厚が3μm未満であると、塗膜の厚さが不均一となり塗膜の強度に差が生じて塗膜強度が低下した部分を起点として塗膜の割れや剥離等が発生し易くなる。そして、この割れや剥離等から水分等が浸入することにより、水性防錆塗料の防錆性能が低下する。乾燥後の塗膜の膜厚が20μmを超えると、曲げ加工時等に曲率半径が大きくなることで割れや剥離等が発生し易くなり防錆効果が低下する。
本発明に係る水性防錆塗料の金属製品への塗装方法に制限はなく、被塗装物である金属製品の形状や大きさに合わせて各種の塗装方法を適宜選択可能である。例えば、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗装が挙げられる。
水性防錆塗料の乾燥後の膜厚を3μm以上20μm以下とする方法についても制限はなく、1回の塗装で乾燥後の膜厚が3μm以上20μm以下となる様に塗装をしてもよいし、複数回繰り返して重ねて塗装することにより乾燥後の膜厚が3μm以上20μm以下となる様に塗装をしてもよい。
水性防錆塗料の乾燥方法についても制限はなく、送風による強制乾燥、加熱乾燥や自然乾燥等任意の方法を採ることができる。
即ち、この特徴を生かして、コンクリート埋設用鉄筋や金具等の大きさや質量も様々な金属製品に対して、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗装等各種任意の塗装方法により均一かつ薄膜での塗装が可能である。
更に、本発明に係る水性防錆塗料は、所定の酸価を有する水溶性アクリル樹脂を含有することにより、水に溶解し易く塗膜が薄膜で均一になるため、塗料の塗膜形成性能を向上させることが可能になり、かつ、塗膜の防錆性能が向上する。
そして、本発明に係る水性防錆塗料は、塗膜が親水性を有すると共に塗膜中の低分子成分量が少ないため、コンクリートとの付着性能にも優れる。このため、本発明に係る水性防錆塗料を塗装した鉄筋等の建設資材は塗膜を除去することなくそのまま使用可能であり、省力化を図ることができる。
滴下ロート、冷却用コンデンサー、及び、撹拌機を備えたフラスコに重合溶媒としてエチレングリコールモノブチルエーテル(三協化学株式会社製ブチルセロソルブ)39.2質量部を入れて撹拌しながら165〜175℃に加温した。このフラスコ中のエチレングリコールモノブチルエーテルにメタクリル酸(三菱ガス化学株式会社製)13質量部、メタクリル酸メチル(三菱ガス化学株式会社製)10質量部、スチレン(旭化成ケミカルズ株式会社製)10質量部、アクリル酸ブチル(三菱化学株式会社製)7質量部、及び、t‐ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社製パーブチルZ)0.8質量部を混合したものを1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に165〜175℃で1時間加熱撹拌をした。これにより水溶性アクリル樹脂Aを含む反応溶液を得た。
水溶性アクリル樹脂溶液Asと同様に水溶性アクリル樹脂溶液BsないしKsを得た。得られた水溶性アクリル樹脂溶液BsないしKsの組成を表1に記す。
得られた水溶性アクリル樹脂AないしKを含む反応溶液をJIS K5601‐1‐2の規定に従い、105℃で1時間加熱乾燥することで得た測定試料について、JIS K7121の規定に従い示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC‐7型)でガラス転移点を測定した。結果を表1に示す。
得られた水溶性アクリル樹脂AないしKを含む反応溶液を体積比でトルエン:エタノール=2:1の混合溶媒で希釈して、JIS K5601‐2‐1の規定に従い測定した。結果を表1に示す。
得られた水溶性アクリル樹脂溶液AsないしKsの樹脂不揮発性成分含有量は加熱残分測定法(JIS K5601−1−2に規定する105℃、1時間加熱)で測定した。結果を表1に示す。得られた各不揮発性成分含有量の値は、後述する水性防錆塗料の製造における各水溶性アクリル樹脂含有量の算出に用いた。
又、水溶性アクリル樹脂溶液AsないしKsの粘度はJIS K5600−2−2の規定に従ってガードナー泡粘度計で測定した。結果を表1に示す。
水性防錆剤は有機酸としてジノリルナフタレンスルホン酸(CARBONE SCIENTIFIC CO.,LTD製)37質量部、オクタン酸(東京化成工業株式会社製)23質量部、及び、塩基としてトリエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)40質量部を室温にて容器中で直接混合することにより得た。この水性防錆剤を水性防錆剤Aとする。なお、質量部の値は水性防錆剤全体を基準(100質量部)として記載した。
水性アクリル樹脂溶液の場合と同様の手法により、水性防錆剤AないしDに含まれる不揮発性成分の含有量を測定した。結果を表2に示す。得られた不揮発性成分含有量の各値は、後述する水性防錆塗料の製造における各水性防錆剤含有量の算出に用いた。
水性湿潤剤は、表3に示すものを、後述する水性防錆塗料の製造において使用した。
水性アクリル樹脂溶液の場合と同様の手法により、水性湿潤剤AないしCに含まれる不揮発性成分の含有量を測定した。結果を表3に示す。得られた不揮発性成分含有量の各値は、後述する水性防錆塗料の製造における、各水性湿潤剤含有量の算出に用いた。
水52質量部が入った容器に、水性防錆塗料の成分である水溶性アクリル樹脂溶液Asを45質量部、水性防錆剤Aを2質量部、及び、水性湿潤剤Bを1質量部投入し、容器中でこれら内容物を撹拌して混合することにより得られた水性防錆塗料を塗料1(実施例)とする。
また、これら各成分の現実の使用量(質量部)に、前記各成分の不揮発性成分含有量の値を乗じて、前記各成分の前記水性防錆塗料における含有量を算出した。結果を表4に示す。
以下の手法により、塗料1〜13及び塗料21〜29の防錆性及びコンクリート付着性の評価実験を実施した。
塗料1ないし塗料13(実施例)及び塗料21ないし塗料29(比較例)を標準径25mmの異形棒鋼(JIS G3112.SD345.D25)(鉄筋)の表面に浸漬塗装した後、常温(25℃)で24時間静置して乾燥して、試験体1ないし試験体13(実施例)及び試験体21ないし試験体29(比較例)を得た。
試験体1ないし試験体13(実施例)及び試験体21ないし試験体29(比較例)の塗装膜厚は、電磁誘導式膜厚計(株式会社ケツト化学研究所、LZ−200J)により10点測定し、その平均値を算出して塗装膜厚とした。
本発明に係る水性防錆塗料の防錆性能評価は、試験体1ないし試験体13(実施例)及び試験体21ないし試験体29(比較例)を屋外(神奈川県綾瀬市上土棚北、日本化学塗料株式会社敷地内)の地盤面であるコンクリート舗装面上の高さ1cmの位置で各試験体を水平に静置して6ヶ月間暴露した後、外観を目視にて観察した。
目視にて錆が観察されなかった試験体は防錆性能に優れる(○)とし、錆が観察された試験体は防錆性能に劣る(×)とした。なお、試験体の切断面は評価の対象外とした。
本発明に係る水性防錆塗料の付着性能評価は、土木学会が定めるエポキシ樹脂塗装鉄筋の付着強度試験方法(JSCE−E 516−2003)に準拠して無塗装試験体に対する塗装試験体の付着応力度比を測定した。
測定の結果、付着応力度比が85%以上のものを付着性能に優れるとした。
試験体1ないし試験体13(実施例)の評価試験結果を表4に記載する。
試験体21ないし試験体29(比較例)の評価試験結果を表5に記載する。
試験体21に塗布した塗料21の水溶性アクリル樹脂Hのガラス転移点は0℃未満である。このため、塗膜が軟化して塗膜の強度が不足することにより、塗膜強度が低下した部分を起点として塗膜の割れや剥離等が発生して水分等が浸入することにより、試験体21に錆が発生した。よって、塗料21は防錆性能に劣った。
試験体22に塗布した塗料22の水溶性アクリル樹脂Iのガラス転移点は125℃を超える。このため、塗膜が硬化して塗膜の柔軟性が低下することにより、柔軟性が低下した部分を基点として塗膜の割れや剥離等が発生して水分等が浸入することにより、試験体22に錆が発生した。よって、塗料22は防錆性能に劣った。
試験体24に塗布した塗料24の水溶性アクリル樹脂Kの酸価は240mg/KOHを超える。このため、乾燥後の塗膜の水和性が高くなりすぎて塗膜に水分等を含んだ結果、試験体24に錆が発生した。よって、塗料24は防錆性能に劣った。
試験体27に塗布した塗料27の水性防錆剤Aの含有量は5質量%を超えるため、防錆性能に優れる。しかし、乾燥後の塗膜表面の潤滑性が増加して乾燥後の塗膜とコンクリートとの接触抵抗が減少した。よって、塗料27は金属製品とコンクリートとの付着性能に劣った。
試験体29に塗布した塗料29の水性湿潤剤Bの含有量は5質量%を超えるため、防錆性能に優れる。しかし、乾燥後の塗膜表面の潤滑性が増加して乾燥後の塗膜とコンクリートとの接触抵抗が減少した。よって、塗料29は金属製品とコンクリートとの付着性能に劣った。
Claims (2)
- 水溶性アクリル樹脂と、
水性防錆剤と、
水性湿潤剤と、を含有する水性防錆塗料であって、
前記水性防錆剤は、有機酸及び塩基からなるものであり、
前記水性湿潤剤は、ポリエーテル変性シリコーン系水性湿潤剤であり、
前記水溶性アクリル樹脂の前記水性防錆塗料に対する割合は10質量%以上30質量%以下であり、
前記水性防錆剤の前記水性防錆塗料に対する割合は0.1質量%以上5質量%以下であると共に、
前記水性湿潤剤の前記水性防錆塗料に対する割合は0.1質量%以上5質量%以下であって、
前記水溶性アクリル樹脂のガラス転移点は0℃以上125℃以下であり、かつ、
前記水溶性アクリル樹脂の酸価は80mg/KOH以上240mg/KOH以下であることを特徴とする水性防錆塗料。 - 請求項1に記載の水性防錆塗料を施した水性防錆塗装金属製品であって、
前記水性防錆塗装金属製品表面の前記水性防錆塗料の乾燥後の膜厚が3μm以上20μm以下であることを特徴とする水性防錆塗装金属製品。
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