JP6025216B2 - Fe−Ni基合金およびFe−Ni基合金の製造法 - Google Patents

Fe−Ni基合金およびFe−Ni基合金の製造法 Download PDF

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Description

この発明は、室温から700℃程度の高温までの高圧環境や高圧水素環境またはその両方が重畳した環境において使用可能な高強度Fe−Ni基合金とその製造方法に関するものである。
600℃以上の高温で使用可能な構造材料として、優れた高温強度を有するNi基合金やFe−Ni基合金が挙げられる。これらの合金は、鋳塊製造時にマクロ的な成分偏析が生じやすいため、無偏析の大型鋳塊を製造するのが難しく、大型部材への適用が困難とされている。比較的大型部材への適用が容易な合金としてはインコネル(商標 以下同じ)Alloy 718、インコネルAlloy 706、A286などが挙げられる。
一般的に高圧水素環境下で使用する場合には、水素脆化感受性の低い材料を使用する必要がある。水素脆化すると強度および延性が著しく低下するため安全性低下が大きな問題となる。一般的に強度が高い材料ほど水素脆化感受性も高くなるが、特に有害な析出相が存在すると水素脆化感受性が大きく増加することが知られている。例えばFe−Ni基合金では、δ相やη相などの析出相や炭化物相が水素脆化感受性を大きく増加する原因となる。これらの析出相や炭化物相を低減することで水素脆化感受性は低減される。
特許文献1では、水素のトラップサイトとなるNb,Tiからなる複合炭化物を微細分散させることで、強度向上と水素脆化感受性低減を行っている。特許文献2では、Mo量、Nb量の低減および過剰なW量の添加を抑制することにより水素のトラップサイトとなる粒界η相の析出を抑制している。更にMoの代替としてWを添加することによりLaves相やΧ相の析出を抑制して長時間組織安定性を高めつつ、Pを添加して粒界の整合性を増大させて水素脆化感受性を低下させ、さらにγ’相を析出させて強度向上を行っている。特許文献3では、冷間加工により転位を導入して、水素脆化感受性低減と室温での高強度化を行っている。
特開2011−127204号公報 特願2012−288610号公報 特開2011−068919号公報
上記の通りNi基合金は鋳塊製造時にマクロ的な成分偏析が生じやすいため、無偏析の大型鋳塊を製造するのが難しく大型部材への適用が困難とされている。Fe−Ni基合金は短時間の高温特性はNi基合金に劣るものの大型鋳塊の製造性が比較的優れているため高温で使用する大型部材に適用できる可能性がある。なかでもA286は水素脆化感受性に有害な析出相を含まないため水素脆化感受性が低い材料であるが、インコネルAlloy 718やインコネルAlloy 706など他の代表的なNi基合金と比較して高温強度が低いため構造部材に使用した場合は重量とコストの増加につながる課題がある。
また圧力容器材料として使用する場合、運転温度すなわち高温で運転圧力を受ける他に、供用前の水圧試験で室温においても運転圧力を受けることになるため室温における耐力が高いことが要求される。
特許文献1にて提案されている方法は、室温における水素脆化感受性を低減するが高温での効果が明らかでない。特許文献2にて提案されている方法は、高温強度となるが室温での0.2%耐力が水圧試験において受ける運転圧力に対しては十分でない。特許文献3に提案されている方法は、室温においては効果を発揮するが高温環境で使用する場合にはその効果は消失すると考えられる。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、水素環境下で使用する大型の圧力容器などの構造部材として使用可能な材料強度および耐水素脆化特性に優れたFe−Ni基合金とその製造方法を提供することを目的の一つとしている。
すなわち、本発明のFe−Ni基合金のうち、第1の本発明は、質量%で、C:0.040%〜0.10%、Si:0.01%〜0.10%、P:0.010%〜0.030%、Ni:23.0%〜27.0%、Cr:12.0%〜16.0%、W:2.5%〜6.0%、Al:1.5%〜2.5%、Ti:1.5%〜2.5%を含有し、残部がFe及びその他の不可避的な不純物からなる組成を有する、時効処理されたFe−Ni基合金であり、金属組織中にη相を含まず結晶粒内にPを包含するとともに、等価円直径で0.20μm以上の大きさを有し、W、Tiの一方または両方による炭化物を面積率で0.05%以上含むことを特徴とする。
第2の本発明のFe−Ni基合金は、前記第1の本発明において、前記不可避不純物中で、S:0.003%以下、Mo:0.01%以下、Nb:0.01%以下に規制することを特徴とする。
第3の本発明のFe−Ni基合金は、前記第1または第2の本発明において、質量%で、C:0.040%〜0.055%、P:0.015%超〜0.025%を含有することを特徴とする。
第4の本発明のFe−Ni基合金は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、室温における0.2%耐力が660MPa以上かつ、625℃における引張強度が900MPa以上であることを特徴とする。
第5の本発明のFe−Ni基合金は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、625℃における引張試験において耐水素脆化指数(引張試験における絞り比:水素雰囲気下で水素をチャージした水素チャージ材/水素チャージを行っていないAs材)が0.5以上であることを特徴とする。
第6の本発明のFe−Ni基合金の製造方法は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成を有する合金に対し、溶体化処理を950℃〜1040℃で実施した後、700℃〜800℃の範囲で1段目の時効熱処理を施し、その後に700℃〜800℃の範囲の1段目より低い温度で2段目の時効処理を施して請求項1〜5のいずれか1項に記載のFe−Ni基合金を得ることを特徴とする。
次に、本発明における組成等の限定理由について説明する。なお、各成分量は、質量%で示されている。
合金組成
C:0.040%〜0.10%
Cは炭化物を形成して合金の結晶粒粗大化を抑制し、粒界に析出して高温強度を向上させる添加元素であり、本合金においては粒内に析出して室温強度を向上させる働きも持っているが、含有量が少ないと強度の向上に十分な効果がないため少なくとも0.040%以上の含有が必要である。しかし、含有量が多すぎると過剰の炭化物形成によりγ’相等の他の有効な析出相の析出量が低下し、水素脆化感受性に悪影響を及ぼすため上限を0.10%とする。なお、同様の理由により上限を0.055%とするのが望ましい。
Si:0.01%〜0.10%
Siは脱酸に有効な成分であり、その効果を得るためには少なくとも0.01%以上の含有が必要である。しかし、Siの含有はマクロ偏析性を助長し延靱性や水素脆化感受性に対して有害な析出相の構成元素となるため含有量の上限を0.10%とする。なお、同様の理由により上限を0.08%とするのが望ましい。
P:0.010%〜0.030%
Pは不可避的に含有する場合の他、適量を含有していれば粒界の整合性を増大させることにより粒界における水素の過剰集積を抑え水素脆化感受性を低下させ、また粒界を強化して強度を向上させる効果があると考えられる。ただし、過剰に含有するとPの粒界偏析が過多となり粒界の整合性を低下させ、水素脆化感受性低減効果を喪失する。ここで粒内に炭化物が存在する場合、粒界の他に粒内炭化物にもPが含有する。粒内炭化物にPが含有する場合、P量が少なければ、粒界に偏析するP量が減少するため水素脆化感受性低減効果と強度が低下する。すなわち、粒内炭化物に含有するP量と粒界に偏析するP量のバランスを考慮して水素脆化感受性低減効果と強度向上効果を得られる範囲の下限を0.010%、上限を0.030%とする。なお、同様の理由により下限を0.015%超、上限を0.025%とするのが望ましい。
Ni:23.0%〜27.0%
Niはオーステナイト安定化元素であると共にγ’相を析出させるために必要となる元素であり、その効果を十分に得るため、下限含有量を23.0%とする。ただし、過剰に含有するとNi水素化物が生成するおそれがあるので、上限を27.0%とする。
Cr:12.0%〜16.0%
Crは耐食性や耐酸化性の向上に有効であり、炭化物を形成して高温強度向上にも寄与する。その効果を十分に得るため、下限含有量を12.0%とする。ただし、過剰に含有した場合はα−Crの析出による延靱性低下を引き起こすため、上限を16.0%とする。なお、同様の理由により、下限を13.0%、上限を15.0%とするのが望ましい。
W:2.5%〜6.0%
WはMoと同様な効果を持つ元素であり、固溶強化と共に組織安定性を向上させ、マクロ偏析性の悪化への影響はMoより小さくη相の析出には影響しない。組織安定性に効果的な含有量として下限を2.5%とする。一方で過剰に含有するとα−W相やLaves相の析出による組織安定性の低下や熱間加工性の悪化を引き起こす可能性があるため上限を6.0%とする。なお、同様の理由により下限を3.0%、上限を5.5%とするのが望ましい。
Al:1.5%〜2.5%
Alは本合金系においてNi,Tiと結合してγ’相を析出し高温強度を向上させる。γ’相により高強度化するためにはγ’相体積率を高める必要があるため、Alは1.5%以上の含有が必要である。しかし、過剰に含有するとγ’相の粒界への粗大凝集化や熱間加工性の悪化が懸念されるため含有量の上限を2.5%とする。
Ti:1.5%〜2.5%
TiはAlと同様にγ’相を構成する元素であり強度向上に有効である。高温強度を向上させるためにはγ’相体積率を高める必要があり、そのためにAlとのバランスを考慮してTi含有量は1.5%以上とする。しかし、Tiの過剰な含有は炭化物の凝集粗大化を引き起こし、延靱性を低下させることや、水素脆化感受性を高めるη相の構成元素であることから上限を2.5%とする。なお、同様の理由により下限を1.7%、上限を2.3%とするのが望ましい。
S:0.003%以下
Sは、不可避不純物として含有し得るが、Sの含有量は工業的に実現可能な0.003%以下とするのが望ましい。
Mo:0.01%以下
Moは固溶強化元素として強度の向上に有効であるとともに、合金元素の拡散を抑制して組織安定性を向上させる元素であるが、水素脆化感受性を高めるδ相の構成元素であり、マクロ偏析性を悪化させて大型鋳塊の製造性を大きく低下させるものであり、不可避不純部として含有し得るが、0.01%以下とするのが望ましい。
Nb:0.01%以下
Nbは析出強化による強度向上に効果のある元素であるが、水素脆化感受性を高めるδ相の構成元素であり、マクロ偏析性を悪化させて大型鋳塊の製造性を大きく低下させるものであり、不可避不純物として含有し得るが、0.01%以下とするのが望ましい。
金属組織
η相:含まず
Fe−Ni基合金においてη相が析出した場合、延靱性及び高温特性の低下や水素脆化感受性が高くなる。Fe−Ni基合金におけるη相は準安定相の粒内γ’相が高温保持により拡散して析出するものであり拡散抑制効果のあるMo添加が有効である。しかし、MoはLaves相などの有害析出相の構成元素であるため、高温での長時間組織安定性のためには含まない方が望ましい。本合金ではMoを低減して有害な析出相の析出を抑制し、Moと同様の効果を有するWを添加することによりη相の析出を抑制している。これにより組織中にη相を含まないものとし高温長時間使用においてのη相析出を回避するか析出開始を長時間側に移行させることが出来る。
等価円直径で0.20μm以上の大きさを有し、W、Tiの一方または両方による炭化物を面積率で0.05%以上含む
結晶粒内に析出した析出相は転位の移動を妨げて強度を向上させる。水素脆化感受性や延靱性を低下させずに室温強度を向上させる量の、主にW、Tiからなる炭化物が結晶粒内に存在する範囲を結晶粒内に等価円直径で0.20μm以上の炭化物を面積率で0.05%以上含むと定めた。W、Tiは、少なくともそれぞれの炭化物や複合炭化物が粒内に存在するものであればよい。なお、同様の理由により、面積率で0.07%以上の粒内炭化物が存在するのが望ましい。
溶体化温度:950〜1040℃
溶体化処理によって再結晶組織を得つつ粒内の炭化物による析出強化を図るには、溶体化処理で炭化物を全て固溶させないことが重要である。これより溶体化処理温度は950℃〜1040℃とする。なお同様の理由により望ましくは1020℃〜1040℃とする。
時効温度:1段目700℃〜800℃ 2段目700℃〜800℃(1段目より低温)
本発明者らの調査の結果、本合金の最適な時効温度は700℃〜800℃の間であり、1段目、2段目共に700℃〜800℃の範囲で時効することにより最も高強度が得られる。1段目の時効処理の後、2段目の時効処理を1段目より低温で行うことによりγ’相を粗大化させることなくγ’相の析出量を増加させることができる。
なお、時効処理は溶体化熱処理後に合金を冷却し、その後加熱することにより行ってもよく、また溶体化処理後の冷却途中で温度保持して時効熱処理を行ってもよい。
室温0.2%耐力:660MPa以上
625℃引張強度:900MPa以上
室温0.2%耐力660MPa以上、625℃引張強度900MPa以上は圧力容器として実用上問題がない、望ましい範囲として設定することができる。
耐水素脆化指数(625℃引張試験における絞り比:水素チャージ材/As材):0.5以上
高温高圧水素環境で使用する材料には水素が固溶すると考えられる。そのような状況における耐水素脆化特性を示すため上記の耐水素脆化指数を規定することができる。該当指数が0.5以上であれば水素脆化に対して良好な耐性を有すると判断される。指数が0.5未満であれば水素チャージによる絞りの低下量が大きく耐水素脆化特性が十分でないと判断される。
なお、本指数の測定にあたっては高温高圧オートクレーブを用いて高温高圧水素雰囲気中に保持することにより材料に水素を強制的に固溶させる(以後、水素チャージと呼称)。水素チャージ材及び受入まま材に625℃における引張試験を実施することにより高温での耐水素脆化指数を求めることが出来る。
以上のように、この発明によれば、室温強度ならびに高温強度および耐水素脆化特性に優れたFe−Ni基合金が得られる。大型鋳塊の製造性が比較的良好なFe−Ni基合金がベースであり室温強度に優れているため圧力容器への適用が可能となる。
本発明の実施例におけるミクロ組織を示す図面代用写真である。 同じく、室温での引張試験結果を示す図である。 同じく、625℃での引張試験結果を示す図である。 同じく、水素チャージ材の引張試験結果を示す図である。 同じく、偏析位置調査結果を示す金属組織の図面代用写真である。 同じく、偏析位置調査結果を示す金属組織の図面代用写真である。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
本発明のFe−Ni基合金は、質量%で、C:0.040%〜0.10%、Si:0.01%〜0.10%、P:0.010%〜0.030%、Ni:23.0%〜27.0%、Cr:12.0%〜16.0%、W:2.5%〜6.0%、Al:1.5%〜2.5%、Ti:1.5%〜2.5%を含有し、残部がFe及びその他の不可避的な不純物からなる組成に調整される。該組成は、好適には、C:0.040%〜0.055%、P:0.015%超〜0.025%の一方または両方とすることができる。また、不可避不純物中で、S:0.003%以下、Mo:0.01%以下、Nb:0.01%以下に規制するのが望ましい。
本発明のFe−Ni基合金は、常法により溶製することができ、本発明としては特に溶製の方法が限定されるものではない。
該Fe−Ni基合金は、溶製後、拡散熱処理を行うことができる。また、Fe−Ni基合金は所望により鍛造等の加工を行うことができ、また、溶体化処理および時効による熱処理を施すことができる。
溶体化処理は、950℃〜1040℃で行うことができる。
時効処理は、少なくとも2段で行う処理が望ましく、それぞれ700〜800℃の温度内で、2段目の温度が1段目の温度よりも低くする。当該条件を採用することで、γ’相を粗大化させることなくγ’相の析出量を増加させることができ、625℃における引張強度において900MPa以上の引張強度と、25%以上の絞りを確保することができる。
なお、時効温度を上記範囲外とすると、γ’相が十分成長できず上記の引張強度を確保することができない。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1に示す組成(残部はFeおよびその他の不可避不純物)で実施例と比較例のFe−Ni基合金を溶製した。
表1の組成の供試材を真空溶解炉にて溶製し、1200℃で拡散熱処理後に熱間鍛造して厚さ35mmの鍛造板を製作した。熱処理条件は比較材が溶体化処理1060℃×3時間、発明材が溶体化処理1020℃×3時間または1040℃×3時間とし、時効はすべて780℃×10時間+750℃×24時間とした。
次に溶体化熱処理および時効熱処理後の組織観察を実施した。図1に発明材3、4と比較材2、6について、SEM観察によるミクロ組織を示す。発明材、比較材ともにW添加によりη相析出が抑制されていることが認められる。比較材の組織は鋼種にかかわらずほぼ同一のため代表として2種を示している。
表2に、一部供試材について、30μm四方に存在する粒内炭化物個数の平均を示す。この個数は光学顕微鏡写真より炭化物をカウントして算出した。画像解析により粒内炭化物の円相当径を測定したところ0.25〜0.40μm程度であった。
図2に発明材と比較材の室温での引張試験結果を、図3に発明材と比較材の625℃での引張試験結果を示す。比較材1以外の供試材全てで625℃での引張強度900MPa以上を満足したが、室温での0.2%耐力660MPa以上の要求を満足したのは発明材のみであった。発明材1〜4は、室温での引張試験、及び、625℃引張試験において、比較材よりも高強度が得られており、伸び絞りも実用上問題の無い値が得られている。また、発明材3、4は、発明材1、2よりも室温での強度が優れていた。
図4に水素チャージ引張試験結果を示す。625℃での引張試験における水素チャージ材および受け入れまま材の耐水素脆化指数を求め、水素チャージ材/受け入れまま材の絞り比で発明材1は0.5以上を満足した。発明材1は比較材と比べて耐水素脆化指数が大きいことが確認された。発明材1はη相の析出を抑制していることに加えて、粒内に微細分散しているγ’相が水素のトラップサイトとして作用するために、水素による脆化の程度を軽減させることができる。
図5、図6に電子線マイクロアナライザ(EPMA)による比較材6、発明材3の結果を示す。比較材6では粒界付近にのみPが偏析しているのに対し、発明材3では粒界の他に粒内の炭化物にもPの偏析が認められた。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.040%〜0.10%、Si:0.01%〜0.10%、P:0.010%〜0.030%、Ni:23.0%〜27.0%、Cr:12.0%〜16.0%、W:2.5%〜6.0%、Al:1.5%〜2.5%、Ti:1.5%〜2.5%を含有し、残部がFe及びその他の不可避的な不純物からなる組成を有する、時効処理されたFe−Ni基合金であり、金属組織中にη相を含まず結晶粒内にPを包含するとともに、等価円直径で0.20μm以上の大きさを有し、W、Tiの一方または両方による炭化物を面積率で0.05%以上含むことを特徴とするFe−Ni基合金。
  2. 前記不可避不純物中で、S:0.003%以下、Mo:0.01%以下、Nb:0.01%以下に規制することを特徴とする請求項1記載のFe−Ni基合金。
  3. 質量%で、C:0.040%〜0.055%、P:0.015%超〜0.025%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のFe−Ni基合金。
  4. 室温における0.2%耐力が660MPa以上かつ、625℃における引張強度が900MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のFe−Ni基合金。
  5. 625℃における引張試験において耐水素脆化指数(引張試験における絞り比:水素雰囲気下で水素をチャージした水素チャージ材/水素チャージを行っていないAs材)が0.5以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のFe−Ni基合金。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成を有する合金に対し、溶体化処理を950℃〜1040℃で実施した後、700℃〜800℃の範囲で1段目の時効熱処理を施し、その後に700℃〜800℃の範囲の1段目より低い温度で2段目の時効処理を施して請求項1〜5のいずれか1項に記載のFe−Ni基合金を得ることを特徴とするFe−Ni基合金の製造方法。
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