JP6024307B2 - 時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計 - Google Patents
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一方、時計等の精密機械の高精度化、安定動作化を図るため、バネ材料として、アモルファス金属が検討されている(特許文献1,2参照)。
しかし、アモルファス金属は、高強度であり、また、ビッカース硬度がHV800程度と、常温では機械加工が困難な硬さを有している。そのため、アモルファス金属製の板材を機械加工することが難しい問題があった。
また、アモルファス金属の中でもガラス転移点が明確に観察される金属ガラスが開発され、金属ガラスをバネ材料に使用することが検討されているが、金属ガラスについても上記アモルファス金属と同様の課題を有していた。
したがって、所望の幅寸法の金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造することができる。また、金属ガラスの板材を所望の幅寸法で高精度に製造するため、金属ガラスの板材を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要、或いは軽減することができる。
また、溶融金属ガラス原料は、ガイド部の内側面による壁面に接触して冷却されるため、側面が平坦できれいな金属ガラスの板材を製造できる。
また、冷却部が両側のガイド部よりも突出した構成となっているので、金属ガラスの板材の製造過程で、冷却部の外周面に付着した金属ガラス原料残渣を除去するためのメンテナンスがし易い。
したがって、所望の幅寸法の金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造することができる。また、金属ガラスの板材を所望の幅寸法で高精度に製造するため、金属ガラスの板材を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要、或いは軽減することができる。
本発明によれば、所望の幅寸法に対応する幅寸法に設定された冷却部を有する冷却ロールを用い、所望の幅寸法の金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造しているので、金属ガラスの板材を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要、或いは軽減することができる。したがって、所望の幅寸法で高精度の金属ガラスの板材からなり、かつ、製造コストに優れた時計用バネを提供できる。時計用バネとしては、ゼンマイやヒゲゼンマイ、固定用バネ等が例示される。
本発明によれば、所望の幅寸法で高精度の金属ガラスの板材からなり、かつ、製造コストに優れた時計用バネを用いるため、高精度化、安定動作化を図ることができ、また、製造コストに優れた時計を提供できる。
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態は、本発明に係る時計用バネをゼンマイとして利用した駆動機構に係るものである。図1は、本発明の第一実施形態に係る金属ガラス板材から構成されるゼンマイを利用した電子制御式機械時計1の駆動機構1Aを示す平面図である。図2は、図1の駆動機構1Aの断面図である。図3は、図1の駆動機構1Aの他の断面図である。
金属ガラスゼンマイ31は、外端が香箱歯車32、内端が香箱真33に固定される。香箱真33は、地板2と輪列受3に支持され、角穴車4と一体で回転するように角穴ネジ5により固定されている。角穴車4は、時計方向には回転するが反時計方向には回転しないように、コハゼ6と噛み合っている。
なお、角穴車4を時計方向に回転し金属ガラスゼンマイ31を巻く方法は、機械時計の自動巻又は手巻機構と同様であるため、説明を省略する。
二番車7には筒かな7aが、かかる筒かな7aには分針13が、四番車9には秒針14がそれぞれ固定されている。したがって、二番車7を1rphで、四番車9を1rpmで回転させるためには、ローター12は5rpsで回転するように制御すればよい。また、この場合における香箱歯車32は、1/7rphとなる。
コイルブロック16は、磁心16aに11万ターンのコイル16bを巻線したものである。ここで、ステーター体15aと磁心16aはPCパーマロイ等で構成されている。また、ステーターコイル15bとコイル16bは、各々の発電電圧を加えた出力電圧がでるように直列に接続されている。
このような発電機20によって発電された交流出力は、図1〜図3では図示を略したが、駆動機構1Aの調速、脱進等の制御用に組み込まれる制御回路に供給される。
図4は、香箱内に収納されたゼンマイを示す平面図であり、(A)は、ゼンマイが香箱内で巻締められた状態であり、(B)は、ゼンマイが香箱内で巻戻った後の状態である。
なお、この金属ガラスゼンマイ31の形状寸法は、例えば、幅b=1mm、厚さt=0.1mm、全長L=300mmとすることができる。なお、金属ガラスゼンマイ31を形成する時計用バネは、ワイヤー状の金属ガラスを線引き加工することにより、矩形断面が形成されているようにしてもよい。
図4(B)の状態において、外力によって香箱30を香箱真33に対して回転させると、金属ガラスゼンマイ31が巻締まる。一方、かかる巻締め後、香箱30の拘束状態を解放すると、金属ガラスゼンマイ31の巻戻りとともに、香箱30が回転する。
そして、香箱30の外周に形成される香箱歯車32によって上記二番車7等の輪列を回転させて、分針13、秒針14等が動作することとなる。
この金属ガラスゼンマイ31は、例えば、厚さtが0.1mmの単板からなる金属ガラス板材313からなるようにしてもよく、また、図5に示すように、厚さ50μmの金属ガラス板材313を複数枚積層一体化して形成されるようにしてもよく、この場合にあっては、各々の金属ガラス板材313同士は、エポキシ系接着剤314によって貼り付けられて構成されることになる。
また、上記香箱30から取り外した金属ガラスゼンマイ31は、図6に示すように、香箱真33に対する巻取り方向とは反対側にクセ付けされ、形状としては、平面略S字状の自由展開形状を有している。
そして、湾曲方向が変化する変曲点315は、内端311の近傍に形成され、変曲点315から内端311までは、金属ガラスゼンマイ31を香箱真33に固定するために利用される。
〔金属ガラス板材の構成〕
金属ガラス板材は、金属ガラスで構成されている。
金属ガラスは、金属元素を主成分とし、所定の条件を満たす元素を含む合金であり、元素配列に規則性がなく、無秩序に元素が配列される非結晶性の合金である。このような金属ガラスは、溶融状態の原材料を、急速な冷却速度で冷却した際に形成される。そして、金属ガラスに分類されないアモルファス金属は、加熱時にガラス転移点に至る前に結晶化が進行するが、金属ガラスは、ガラス転移点が観察される。
このような物性を有する金属ガラスは、高耐摩耗性、高強度、低ヤング率、高耐食性の特性を有する。
金属ガラス板材は、溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、この噴出した溶融金属ガラス原料を冷却ロールの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する、いわゆる、単ロール液体急冷法(単ロール急冷法)を用いた方法により製造される。以下、単ロール液体急冷法について説明する。
図7は、金属ガラスの板材100の製造に用いられる単ロール液体急冷装置(時計用バネの製造装置)110の構成を示す概略図である。
図7に示す単ロール液体急冷装置110は、チャンバー111と、チャンバー111内に設けられ、下端にノズル112aを有し、内部に金属ガラス原料112bを収容可能な石英管112と、石英管112の外周に配置された高周波加熱コイル113と、石英管112の下方に、石英管112の軸の延長線上に設けられ、高速で回転可能な冷却ロール114Aと、を備えている。
図8は、溝部118を備えた冷却ロール114Aを示す概略図である。図9は、従来の外周面が平坦な冷却ロール114を示す概略図である。
従来の冷却ロール114は、図9に示すように、その外周面が平坦に形成されている。
一方、本実施形態では、図8に示すように、冷却ロール114Aは溶融金属ガラス原料112bを急速凝固させるための冷却部115を有している。そして、冷却部115の幅寸法Wは、板材の幅寸法に設定されている。冷却部115の幅寸法Wは、冷却ロール114Aの回転軸に沿った方向における幅寸法である。
したがって、溝部118の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法に対応するように設定されている。
溝部118の深さとなる壁面117,117の高さは、形成される金属ガラスの板材100の厚みよりも大きいことが好ましい。
冷却ロール114は、図示しない冷却手段を有しており、これにより、冷却ロールを所望の温度範囲に維持することができる。冷却ロール114Aは、図7の矢印の方向に回転する。この回転速度としては、4000rpm以上が好ましい。また、冷却ロール114Aの構成材料は、耐熱性及び熱伝導性に優れた材料であるのが好ましく、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム等が挙げられる。
図7に示す単ロール液体急冷装置110を用いて、金属ガラスの板材100を製造する方法について説明する。
先ず、本発明の金属ガラスを得るための構成元素材料を、前述の各構成元素の含有率にしたがって秤量し、これを金属ガラス原料112bとする。金属ガラス原料112bは、石英管112内に収容される。そして、減圧手段により、チャンバー111内を減圧する。
次いで、高周波加熱コイル113に通電して、石英管112内の金属ガラス原料112bを所定の温度に加熱する。これにより、金属ガラス原料112bは溶融される。
次に、溶融金属ガラス原料112bは、ガス供給手段から石英管112内に供給されるガス圧により、石英管112のノズル112aから冷却ロール114Aの外周面に噴出される。
なお、図5に示すように、複数枚積層一体化する場合、各々の金属ガラス板材313を、エポキシ系接着剤314を用いて互いに貼り合わせ、金属ガラスゼンマイ31に必要な厚さt(0.1mm)を確保するようにする。最後に、エポキシ系接着剤314が硬化する前に、丸棒等に金属ガラスゼンマイ31を巻き付けて癖付けを行い、エポキシ系接着剤314を硬化させる。
(1)従来の図9に示す、外周面が平坦な冷却ロール114を使用した場合には、所望の寸法よりも大きくなった幅寸法の板材が形成される場合がある。
一方、本実施形態によれば、冷却部115の外周面115aと、ガイド部116,116の冷却部115側の側面である壁面117,117とで区画されることにより、溝部118が形成されているので、噴出した溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Aの外周面で幅方向に拡がっても、溝部118の壁面117,117によってその拡がりが規制されるため、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法は、溝部118の幅寸法Wよりも拡がることはない。
したがって、上記溝部118を備えた冷却ロール114Aを使用することにより、所望の幅寸法の金属ガラスの板材100を高精度に、かつ簡便に製造することができる。
また、溶融金属ガラス原料112bは、溝部118を構成する壁面117,117に接触して冷却されるため、側面が平坦できれいな金属ガラスの板材100を製造できる。
また、金属ガラスの板材100を所望の幅寸法で高精度に製造するため、金属ガラスの板材100を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要とすることができる、或いは後工程を軽減することができる。
(3)変曲点315の位置を内端311の近傍に設定することができるので、癖付けを金属ガラスゼンマイ31のほぼ全長に亘って行うことができ、金属ガラスゼンマイ31が蓄積する機械エネルギを増大させて駆動機構1Aの動作の長時間化を一層図ることができる。
また、金属ガラスゼンマイ31であればトルク変動が小さいので、機械式時計の動力源として採用した場合、駆動精度が向上する。
図10は、突出部119を備えた冷却ロール114Bを示す概略図である。
上記第一実施形態では、溝部118を備えた冷却ロール114Aを用いたが、本実施形態では、図10に示すように、突出部119を備えた冷却ロール114Bを用いる。
冷却部115の外径R3は、ガイド部116,116の外径R4よりも大きく形成されている。これにより、冷却部115の側面が壁面117,117を構成し、冷却部115の外周面115aと、外周面115aとそれぞれ直交する壁面117,117とで区画されることにより、突出部119が形成されている。
したがって、突出部119の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法に対応するように設定されている。
この点以外は、上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
本実施形態によれば、冷却部115の外周面115aと、冷却部115の側面である壁面117,117とで区画されることにより、突出部119が形成されているので、噴出した溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Bの外周面で幅方向に拡がっても、突出部119からはみ出した部分については、ガイド部116,116側へと流れ落ちるので、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法は、突出部119の幅寸法Wよりも拡がることはない。
したがって、上記突出部119を備えた冷却ロール114Bを使用することにより、所望の幅寸法の金属ガラスの板材100を高精度に、かつ簡便に製造することができる。
また、冷却部115が両側のガイド部116,116よりも突出した構成となっているので、金属ガラスの板材100の製造過程で、冷却部115の外周面115aに付着した金属ガラス原料残渣を除去するためのメンテナンスがし易い。
図11は、別の態様の突出部119を備えた冷却ロール114Cを示す概略図である。
上記第二実施形態では、突出部119を備えた冷却ロール114Bを用いたが、本実施形態では、図11に示すように、冷却部115の外周面115aと壁面117とが交差する角度θが鋭角に設定された突出部119を備えた冷却ロール114Cを用いる。
冷却部115は、冷却ロール114Cの回転軸中心に向かうに従って幅寸法が小さくなるように構成されている。即ち、冷却部115の外周面115aと壁面117とが交差する角度θが鋭角になるように設定されている。
突出部119の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法に対応するように設定されている。
この点以外は、上記第二実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
本実施形態によれば、上記第二実施形態で述べた効果に加え、次のような効果が得られる。
冷却部115が冷却ロール114Cの回転軸中心に向うに従って幅寸法Wが小さくなるように構成しているので、溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Cのガイド部116,116側にそれぞれ流れ落ちる際の湯切れが良くなり、噴出した溶融金属ガラス原料112bの、突出部119を構成する冷却部115の外周面115aからはみ出した部分についての液だれを防止できるため、金属ガラスの板材100の幅寸法の精度をより一層向上させることができる。
図12は、第一ロール125と第二ロール126とで構成された冷却ロール114Dを示す概略図である。
本実施形態では、図12に示すように、冷却ロール114Dは、冷却部115を構成する第一ロール125と、この第一ロール125の両側にそれぞれ隣接し、ガイド部116,116を構成する2つの第二ロール126,126とを備えている。
また、第一ロール125の外径R5は、第二ロール126の外径R6よりも大きく構成されている。これにより、第一ロール125の外周面125aと両側面125bとにより突出部119が形成されている。
また、第一ロール125は、第一ロール125の回転軸中心に向かうに従って幅寸法Wが小さくなるように構成されている。即ち、第一ロール125の外周面125aと第一ロール125の側面125bとが交差する角度θが鋭角になるように設定されている。
突出部119の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の所望の幅寸法に対応するように設定されている。
そして、第一ロール125と2つの第二ロール126,126とは、それぞれ相反する方向に回転する。
この点以外は、上記第二実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
本実施形態によれば、上記第二、第三実施形態で述べた効果に加え、次のような効果が得られる。
石英管112のノズル112aから噴出した溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Dの外周面で幅方向に拡がって、第一ロール125からはみ出した部分については、第二ロール126,126側にそれぞれ流れ落ちる。第二ロール126,126は第一ロール125とは相反する方向に回転するため、第二ロール126,126側に流れ落ちた溶融金属ガラス原料112bは、第二ロール126,126の遠心力によって第一ロール125の外周面125aで形成される金属ガラスの板材100の方向とは反対側の方向に向かって放出される。そのため、流れ落ちた原料を回収し易い。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記第一実施形態において、外周面が平坦な冷却ロールの両端側に、その外周を覆うように、被覆層を設けることで、被覆層の冷却部側の側面により壁面が構成され、冷却部の外周面と壁面とにより、溝部118を構成してもよい。
同様に、上記第二〜第三実施形態において、外周面が平坦な冷却ロールの中央に、その外周を覆うように、被覆層を設けることで、被覆部の側面により壁面117,117が構成され、被覆部の外周面と壁面とにより、突出部119を構成してもよい。
図13は、香箱30を2つ備えた駆動機構1Bを示す部分平面図である。図14は、香箱30と輪列との噛合状態を示す部分平面図である。
前述した第一実施形態に係る駆動機構1Aでは、駆動機構1Aを動作させる動力源は、香箱30に収納された1つの金属ガラスゼンマイ31のみとしたが、図13及び図14に示すように、金属ガラスゼンマイ31が収納された香箱30を2つ備えた駆動機構1Bとしてもよい。
図13に示すように、駆動機構1Bにおける二番車7の基部歯車71には、2つの香箱30の外周に形成された香箱歯車32(図13では図示略)が同時に噛合している。2つの香箱30は、それぞれの香箱真33を中心として同一方向に回動し、二番車7には、各々の金属ガラスゼンマイ31の出力トルクTを加えた出力トルク2Tが作用している。
なお、このような位相の相違は、香箱真33の相対位置によって決定され、図13からわかるように、二番車7の回転中心と香箱真33とがなす角βに応じて噛合する位相を調整することができる。
即ち、金属ガラスゼンマイ31が収納された2つの香箱30を、同時に輪列を構成する二番車7に同時に噛合させているので、香箱30各々の出力トルクTを重ね合わせて二番車7を回転させることができ、駆動機構1Bを高い出力トルク2Tで動作させることができる。
また、二番車7に噛合する香箱歯車32の位相が互いにずれているので、例えば、図14において、左側の香箱30と二番車7との噛合状態によって発生するトルク変動を、他の右側の香箱30との噛合状態によりトルクを和することで、伝達トルクの変動を抑制して駆動機構1Bをスムースに動作させることができる。
図15は、ヒゲゼンマイ470を備えたテンプヒゲ系400の構造を示す平面図である。図16は、図15のテンプヒゲ系400の構造を示す断面図である。
本発明に係る金属ガラスで構成される時計用バネを、図15及び図16に示すように、機械式時計の調速機を構成するテンプを付勢するヒゲゼンマイとして利用することができる。
調速機を構成するテンプヒゲ系400は、テン真410、テン輪420、振り座430、ヒゲ玉440、ヒゲ持450、緩急針460を含んで構成される。
S=2π×(12JL/Ebt3)1/2 ……(1)
また、ヒゲゼンマイ470が非磁性体の金属ガラスで構成されているので、耐磁性が向上し、ヒゲゼンマイ470が外部磁界等に引っ張られても、ゼンマイの特性が低下することもない。
図17は、固定バネ540を備えた水晶振動子500の固定構造を示す側面図である。
本発明に係る金属ガラスで構成されるバネを、水晶発振式時計の水晶振動子500を付勢状態で固定するバネとして利用することができる。
図17に示すように、水晶振動子500は、真空カプセル501と、この真空カプセル501の内部に収納される音叉型の振動子本体502を含んで構成され、真空カプセル501の端部に設けられる端子503が回路基板510と電気的に接続されて発振回路が構成される。そして、水晶振動子500は、地板520上に配置され、ネジ530と、金属ガラスで構成される固定バネ540によって、地板520に押さえつけられる方向に付勢された状態で固定されている。
このような繰り返し荷重がかかる場合、コハゼバネの許容応力は、最大応力の1/2以下に設定する必要がある。したがって、このようなコハゼバネに金属ガラスで構成されるバネを使用すれば、許容応力が高く設定でき、また付勢力のばらつきも少ないので、コハゼバネの材料としても有利に使用できる。
そして、本発明の時計用バネ自体も、時計のほか、オルゴール等の他の精密機械も適用することができる。また、低トルクの時計に対して、本発明の時計用バネや金属ガラスゼンマイ31を適用するようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、他の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
Claims (5)
- 溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、
前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロールの外周面上で凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造方法であって、
前記冷却ロールは前記溶融金属ガラス原料を凝固させるための冷却部を有し、前記冷却ロールの回転軸に沿った方向における前記冷却部の幅寸法は、前記板材の幅寸法に設定されている時計用バネの製造方法おいて、
前記冷却部の両側には前記冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、
前記冷却部の外径が、前記ガイド部の外径よりも大きくされ、
前記冷却部は、前記冷却ロールの回転軸中心方向に向かうに従って幅寸法が小さくなるように形成されていることを特徴とする時計用バネの製造方法。 - 請求項1記載の時計用バネの製造方法であって、
前記冷却ロールは、前記冷却部を構成する第一ロールと、前記第一ロールの両側にそれぞれ隣接し、前記ガイド部を構成する2つの第二ロールとを備え、
前記第一ロールと前記2つの第二ロールとは、それぞれ相反する方向に回転する
ことを特徴とする時計用バネの製造方法。 - 溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、
前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロールの外周面上で凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造装置であって、
前記冷却ロールは前記溶融金属ガラス原料を凝固させるための冷却部を有し、前記冷却ロールの回転軸に沿った方向における前記冷却部の幅寸法は、前記板材の幅寸法に設定されている時計用バネの製造方法おいて、
前記冷却部の両側には前記冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、
前記冷却部の外径が、前記ガイド部の外径よりも大きくされ、
前記冷却部は、前記冷却ロールの回転軸中心方向に向かうに従って幅寸法が小さくなるように形成されていることを特徴とする時計用バネの製造装置。 - 請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の時計用バネの製造方法により得られたことを特徴とする時計用バネ。
- 請求項4に記載の時計用バネを用いたことを特徴とする時計。
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