JP2014052199A - 時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計 - Google Patents

時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の幅の板材を高精度に、かつ簡便に製造することが可能な、時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計を提供すること。
【解決手段】時計用バネの製造方法は、溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロール114Aの外周面に向かって噴出し、前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロール114Aの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造方法であって、冷却ロール114Aは溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部115を有し、冷却ロール114Aの回転軸に沿った方向における冷却部115の幅寸法Wは、板材の幅寸法に設定されていることを特徴とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計に関する。
時計用バネは、時計等の駆動機構の動力源を構成するゼンマイや、調速機を構成するテンプを付勢するヒゲゼンマイ、水晶発振式時計の水晶振動子を付勢状態で固定するバネ等に使用されている。従来、上記用途のバネ材料としては、炭素鋼、ステンレス、コバルト合金、銅合金等が採用されていた。
一方、時計等の精密機械の高精度化、安定動作化を図るため、バネ材料として、アモルファス金属が検討されている(特許文献1,2参照)。
上記アモルファス金属製の時計用バネは、単ロール液体急冷法等の鋳造法により、容易に製造することができる。
特許第3498315号公報 特許第3982290号公報
上記製造法では、溶融原料の供給量を高精度に制御することが難しく、製造される板材の幅が拡がってしまうことがある。所望の寸法よりも大きくなった幅寸法の板材が形成される場合には、所望の幅寸法になるように板材をスリッター等で機械加工する必要がある。
しかし、アモルファス金属は、高強度であり、また、ビッカース硬度がHV800程度と、常温では機械加工が困難な硬さを有している。そのため、アモルファス金属製の板材を機械加工することが難しい問題があった。
また、アモルファス金属の中でもガラス転移点が明確に観察される金属ガラスが開発され、金属ガラスをバネ材料に使用することが検討されているが、金属ガラスについても上記アモルファス金属と同様の課題を有していた。
本発明の目的は、所望の幅寸法の板材を高精度に、かつ簡便に製造することが可能な、時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計を提供することにある。
本発明の時計用バネの製造方法は、溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロールの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造方法であって、前記冷却ロールは前記溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部を有し、前記冷却ロールの回転軸に沿った方向における前記冷却部の幅寸法は、前記板材の幅寸法に設定されていることを特徴とする。
金属ガラスとは、金属元素を主成分とする非結晶性の合金で、ガラス転移点が明確に観察されるアモルファス金属である。なお、金属ガラスに分類されないアモルファス金属は、加熱時にガラス転移点に至る前に結晶化が進行する。
本発明によれば、冷却ロールは溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部を有し、冷却ロールの回転軸に沿った方向における冷却部の幅寸法が、板材の幅寸法に設定されているので、噴出した溶融金属ガラス原料が冷却部の外周面で幅方向に拡がっても、溶融金属ガラス原料は、板材の幅寸法に対応する冷却部で急速凝固される。
したがって、所望の幅寸法の金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造することができる。また、金属ガラスの板材を所望の幅寸法で高精度に製造するため、金属ガラスの板材を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要、或いは軽減することができる。
本発明の時計用バネの製造方法では、前記冷却部の両側には前記冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、前記冷却部の外径が、前記ガイド部の外径よりも小さいことが好ましい。
本発明によれば、冷却部の両側にはこの冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、冷却部の外径が、ガイド部の外径よりも小さいので、噴出した溶融金属ガラス原料が冷却部の外周面で幅方向に拡がっても、ガイド部の内側面が壁面となってその拡がりが規制される。このため、形成される金属ガラスの板材の幅寸法は、冷却部の幅寸法よりも拡がることはない。したがって、上記冷却ロールを使用することにより、冷却部の幅寸法に対応する幅寸法で、金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造することができる。
また、溶融金属ガラス原料は、ガイド部の内側面による壁面に接触して冷却されるため、側面が平坦できれいな金属ガラスの板材を製造できる。
本発明の時計用バネの製造方法では、前記冷却部の両側には前記冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、前記冷却部の外径が、前記ガイド部の外径よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、冷却部の両側にはこの冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、冷却部の外径が、ガイド部の外径よりも大きいので、噴出した溶融金属ガラス原料が冷却部の外周面で幅方向に拡がっても、冷却部からはみ出した部分については、ガイド部側へとそれぞれ流れ落ちるので、形成される金属ガラスの板材の幅寸法は、冷却部の幅寸法よりも拡がることはない。したがって、上記冷却ロールを使用することにより、冷却部の幅寸法に対応する幅寸法で、金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造することができる。
また、冷却部が両側のガイド部よりも突出した構成となっているので、金属ガラスの板材の製造過程で、冷却部の外周面に付着した金属ガラス原料残渣を除去するためのメンテナンスがし易い。
本発明の時計用バネの製造方法では、前記冷却部は、前記冷却ロールの回転軸中心方向に向かうに従って幅寸法が小さくなるように形成されていることが好ましい。
本発明によれば、冷却部が、冷却ロールの回転軸中心方向に向かうに従って幅寸法が小さくなるように形成されているので、冷却部の外周面と冷却部の側面との交差角度は鋭角をなす。このため、溶融金属ガラス原料が冷却部の外周面からガイド部側にそれぞれ流れ落ちる際の湯切れが良くなり、噴出した溶融金属ガラス原料の、冷却部からはみ出した部分についての液だれを防止できるため、金属ガラスの板材の幅寸法の精度をより一層向上させることができる。
本発明の時計用バネの製造方法では、前記冷却ロールは、前記冷却部を構成する第一ロールと、前記第一ロールの両側にそれぞれ隣接し、前記ガイド部を構成する2つの第二ロールとを備え、前記第一ロールと前記2つの第二ロールとは、それぞれ相反する方向に回転することが好ましい。
本発明によれば、噴出した溶融金属ガラス原料が冷却ロールの外周面で幅方向に拡がって、冷却部を構成する第一ロールからはみ出した部分については、ガイド部を構成する第二ロール側にそれぞれ流れ落ちる。第二ロールは第一ロールとは相反する方向に回転するため、第二ロール側に流れ落ちた溶融金属ガラス原料は、第二ロールの遠心力によって第一ロール外周面で形成される金属ガラスの板材の方向とは反対側の方向に向かって放出される。そのため、流れ落ちた原料が回収し易い。
本発明の時計用バネの製造装置は、溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロールの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造装置であって、前記冷却ロールは前記溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部を有し、前記冷却ロールの回転軸に沿った方向における前記冷却部の幅寸法は、前記板材の幅寸法に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、冷却ロールは溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部を有し、冷却ロールの回転軸に沿った方向における冷却部の幅寸法が、板材の幅寸法に設定されているので、噴出した溶融金属ガラス原料が冷却部の外周面で幅方向に拡がっても、溶融金属ガラス原料は、板材の幅寸法に対応する冷却部で急速凝固される。
したがって、所望の幅寸法の金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造することができる。また、金属ガラスの板材を所望の幅寸法で高精度に製造するため、金属ガラスの板材を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要、或いは軽減することができる。
本発明の時計用バネは、上記時計用バネの製造方法により得られたことを特徴とする。
本発明によれば、所望の幅寸法に対応する幅寸法に設定された冷却部を有する冷却ロールを用い、所望の幅寸法の金属ガラスの板材を高精度に、かつ簡便に製造しているので、金属ガラスの板材を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要、或いは軽減することができる。したがって、所望の幅寸法で高精度の金属ガラスの板材からなり、かつ、製造コストに優れた時計用バネを提供できる。時計用バネとしては、ゼンマイやヒゲゼンマイ、固定用バネ等が例示される。
本発明の時計は、上記時計用バネを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、所望の幅寸法で高精度の金属ガラスの板材からなり、かつ、製造コストに優れた時計用バネを用いるため、高精度化、安定動作化を図ることができ、また、製造コストに優れた時計を提供できる。
金属ガラスゼンマイを利用した電子制御式機械時計の駆動機構を示す平面図である。 図1の駆動機構の断面図である。 図1の駆動機構の他の断面図である。 図1の香箱内に収納されたゼンマイを示す平面図であり、(A)は、ゼンマイが巻締められた状態であり、(B)は、ゼンマイが巻戻った後の状態である。 金属ガラス板材を複数枚積層一体化して形成された金属ガラスゼンマイの厚さ方向断面図である。 ゼンマイの自由展開形状を示す平面図である。 金属ガラスの板材の製造に用いられる単ロール液体急冷装置の構成を示す概略図である。 溝部を備えた冷却ロールを示す概略図である。 従来の外周面が平坦な冷却ロールを示す概略図である。 突出部を備えた冷却ロールを示す概略図である。 別の態様の突出部を備えた冷却ロールを示す概略図である。 第一ロールと第二ロールとで構成された冷却ロールを示す概略図である。 香箱を2つ備えた駆動機構を示す部分平面図である。 香箱と輪列との噛合状態を示す部分平面図である。 ヒゲゼンマイを備えたテンプヒゲ系の構造を示す平面図である。 図15のテンプヒゲ系の構造を示す断面図である。 固定バネを備えた水晶振動子の固定構造を示す側面図である。
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態は、本発明に係る時計用バネをゼンマイとして利用した駆動機構に係るものである。図1は、本発明の第一実施形態に係る金属ガラス板材から構成されるゼンマイを利用した電子制御式機械時計1の駆動機構1Aを示す平面図である。図2は、図1の駆動機構1Aの断面図である。図3は、図1の駆動機構1Aの他の断面図である。
電子制御式機械時計1の駆動機構1Aは、金属ガラスゼンマイ31、香箱歯車32、香箱真33及び香箱蓋34からなる香箱30を備えている。
金属ガラスゼンマイ31は、外端が香箱歯車32、内端が香箱真33に固定される。香箱真33は、地板2と輪列受3に支持され、角穴車4と一体で回転するように角穴ネジ5により固定されている。角穴車4は、時計方向には回転するが反時計方向には回転しないように、コハゼ6と噛み合っている。
なお、角穴車4を時計方向に回転し金属ガラスゼンマイ31を巻く方法は、機械時計の自動巻又は手巻機構と同様であるため、説明を省略する。
香箱歯車32の回転は、7倍に増速されて二番車7へ、順次6.4倍増速されて三番車8へ、9.375倍増速されて四番車9へ、3倍増速されて五番車10へ、10倍増速されて六番車11へ、10倍増速されてローター12へと、合計126,000倍の増速をし、これらの歯車が輪列を構成している。
二番車7には筒かな7aが、かかる筒かな7aには分針13が、四番車9には秒針14がそれぞれ固定されている。したがって、二番車7を1rphで、四番車9を1rpmで回転させるためには、ローター12は5rpsで回転するように制御すればよい。また、この場合における香箱歯車32は、1/7rphとなる。
この電子制御式機械時計1は、ローター12、ステーター15、コイルブロック16から構成される発電機20を備えている。ローター12は、ローター磁石12a、ローターかな12b、ローター慣性円板12cから構成される。ローター慣性円板12cは、香箱30からの駆動トルク変動に対してローター12の回転数変動を少なくするためのものである。一方、ステーター15は、ステーター体15aに対して4万ターンのステーターコイル15bを巻線したものである。
コイルブロック16は、磁心16aに11万ターンのコイル16bを巻線したものである。ここで、ステーター体15aと磁心16aはPCパーマロイ等で構成されている。また、ステーターコイル15bとコイル16bは、各々の発電電圧を加えた出力電圧がでるように直列に接続されている。
このような発電機20によって発電された交流出力は、図1〜図3では図示を略したが、駆動機構1Aの調速、脱進等の制御用に組み込まれる制御回路に供給される。
次に、上記香箱30の内部構造について、図4に基づいて説明する。
図4は、香箱内に収納されたゼンマイを示す平面図であり、(A)は、ゼンマイが香箱内で巻締められた状態であり、(B)は、ゼンマイが香箱内で巻戻った後の状態である。
なお、この金属ガラスゼンマイ31の形状寸法は、例えば、幅b=1mm、厚さt=0.1mm、全長L=300mmとすることができる。なお、金属ガラスゼンマイ31を形成する時計用バネは、ワイヤー状の金属ガラスを線引き加工することにより、矩形断面が形成されているようにしてもよい。
金属ガラスゼンマイ31は、その内端311が香箱真33に対してスパイラル状(螺旋状)に巻き付けられているとともに、外端312が香箱30の内側面に接合固定されている。
図4(B)の状態において、外力によって香箱30を香箱真33に対して回転させると、金属ガラスゼンマイ31が巻締まる。一方、かかる巻締め後、香箱30の拘束状態を解放すると、金属ガラスゼンマイ31の巻戻りとともに、香箱30が回転する。
そして、香箱30の外周に形成される香箱歯車32によって上記二番車7等の輪列を回転させて、分針13、秒針14等が動作することとなる。
図5は、金属ガラス板材313を複数枚積層一体化して形成された金属ガラスゼンマイ31の厚さ方向断面図である。
この金属ガラスゼンマイ31は、例えば、厚さtが0.1mmの単板からなる金属ガラス板材313からなるようにしてもよく、また、図5に示すように、厚さ50μmの金属ガラス板材313を複数枚積層一体化して形成されるようにしてもよく、この場合にあっては、各々の金属ガラス板材313同士は、エポキシ系接着剤314によって貼り付けられて構成されることになる。
図6は、ゼンマイの自由展開形状を示す平面図である。
また、上記香箱30から取り外した金属ガラスゼンマイ31は、図6に示すように、香箱真33に対する巻取り方向とは反対側にクセ付けされ、形状としては、平面略S字状の自由展開形状を有している。
そして、湾曲方向が変化する変曲点315は、内端311の近傍に形成され、変曲点315から内端311までは、金属ガラスゼンマイ31を香箱真33に固定するために利用される。
以上のような金属ガラスゼンマイ31を形成するに際しては、先ず、鋳造により金属ガラス板材を製造する。
〔金属ガラス板材の構成〕
金属ガラス板材は、金属ガラスで構成されている。
金属ガラスは、金属元素を主成分とし、所定の条件を満たす元素を含む合金であり、元素配列に規則性がなく、無秩序に元素が配列される非結晶性の合金である。このような金属ガラスは、溶融状態の原材料を、急速な冷却速度で冷却した際に形成される。そして、金属ガラスに分類されないアモルファス金属は、加熱時にガラス転移点に至る前に結晶化が進行するが、金属ガラスは、ガラス転移点が観察される。
このような物性を有する金属ガラスは、高耐摩耗性、高強度、低ヤング率、高耐食性の特性を有する。
上述した金属ガラス板材の金属ガラスとしては、例えば、La基合金、Mg基合金、Pd基合金、Zr基合金、Fe基合金、Co基合金、Cu−Zr基合金、Cu−Hf基合金、Cu−Zr−Be基合金、Ni基合金等の金属ガラスを採用することができるが、バネの要求性能に応じて、種々の金属ガラスを採用することができる。
金属ガラス板材は、溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、この噴出した溶融金属ガラス原料を冷却ロールの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する、いわゆる、単ロール液体急冷法(単ロール急冷法)を用いた方法により製造される。以下、単ロール液体急冷法について説明する。
〔単ロール液体急冷法〕
図7は、金属ガラスの板材100の製造に用いられる単ロール液体急冷装置(時計用バネの製造装置)110の構成を示す概略図である。
図7に示す単ロール液体急冷装置110は、チャンバー111と、チャンバー111内に設けられ、下端にノズル112aを有し、内部に金属ガラス原料112bを収容可能な石英管112と、石英管112の外周に配置された高周波加熱コイル113と、石英管112の下方に、石英管112の軸の延長線上に設けられ、高速で回転可能な冷却ロール114Aと、を備えている。
また、チャンバー111は、図示しない減圧手段を有しており、これにより、チャンバー111内を減圧することができる。また、チャンバー111の側面には、形成される金属ガラスの板材100を空冷するための飛行管111aが設けられている。冷却ロール111Aから放出された金属ガラスの板材100は、飛行管111aの内部を通過する際に、高速で飛行することによって空冷される。飛行管111aは、数mの長さで設けられる。石英管112は、その上方から、不活性ガスを石英管112内部に供給するガス供給手段112cを有している。
〔冷却ロールの構成〕
図8は、溝部118を備えた冷却ロール114Aを示す概略図である。図9は、従来の外周面が平坦な冷却ロール114を示す概略図である。
従来の冷却ロール114は、図9に示すように、その外周面が平坦に形成されている。
一方、本実施形態では、図8に示すように、冷却ロール114Aは溶融金属ガラス原料112bを急速凝固させるための冷却部115を有している。そして、冷却部115の幅寸法Wは、板材の幅寸法に設定されている。冷却部115の幅寸法Wは、冷却ロール114Aの回転軸に沿った方向における幅寸法である。
本実施形態では、冷却部115の両側にはガイド部116,116がそれぞれ設けられている。このガイド部116,116は冷却部115と同軸に形成されている。そして、冷却部115の外径R1が、ガイド部116,116の外径R2よりも小さく形成されている。これにより、ガイド部116,116の冷却部115側の側面が壁面117,117を構成し、冷却部115の外周面115aと、壁面117,117とで区画されることにより、溝部118が形成されている。
したがって、溝部118の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法に対応するように設定されている。
溝部118の深さとなる壁面117,117の高さは、形成される金属ガラスの板材100の厚みよりも大きいことが好ましい。
冷却ロール114は、図示しない冷却手段を有しており、これにより、冷却ロールを所望の温度範囲に維持することができる。冷却ロール114Aは、図7の矢印の方向に回転する。この回転速度としては、4000rpm以上が好ましい。また、冷却ロール114Aの構成材料は、耐熱性及び熱伝導性に優れた材料であるのが好ましく、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム等が挙げられる。
〔単ロール液体急冷法による金属ガラスの板材の製造方法〕
図7に示す単ロール液体急冷装置110を用いて、金属ガラスの板材100を製造する方法について説明する。
先ず、本発明の金属ガラスを得るための構成元素材料を、前述の各構成元素の含有率にしたがって秤量し、これを金属ガラス原料112bとする。金属ガラス原料112bは、石英管112内に収容される。そして、減圧手段により、チャンバー111内を減圧する。
次いで、高周波加熱コイル113に通電して、石英管112内の金属ガラス原料112bを所定の温度に加熱する。これにより、金属ガラス原料112bは溶融される。
次に、溶融金属ガラス原料112bは、ガス供給手段から石英管112内に供給されるガス圧により、石英管112のノズル112aから冷却ロール114Aの外周面に噴出される。
そして、石英管112のノズル112aから噴出した溶融金属ガラス原料112bは、冷却ロール114Aの外周面に接触し、冷却ロール114Aの外周面との熱交換によって急速に冷却される。これにより、溶融液中にランダムに存在していた各原子は、そのランダムな配置を保存した状態で固化に至る。固化された金属ガラスは、回転している冷却ロール114Aの遠心力によって、接線方向に連続して放出される。これにより、帯状の金属ガラスの板材100が得られる。冷却ロール114Aから連続して放出される帯状の金属ガラスの板材100は、チャンバー111側面の飛行管111aの内部を通過し、高速で飛行することにより空冷される。帯状の金属ガラスの板材100は、図示しない巻取ロールなどを用いて、巻き取られることが好ましい。
なお、溶融金属ガラス原料112bの噴出量制御、溶融金属ガラス原料112bの粘度制御などにより、板材を所望の厚さに制御することができる。溶融金属ガラス原料112bの噴出量制御は、ガス供給手段112cで供給するガス流量を調整して、石英管112内へのガス圧を変動させることにより行われる。また、溶融金属ガラス原料112bの粘度制御は、高周波加熱コイル113の電圧を調整して、加熱温度を変動させることで、石英管112内の溶融金属ガラス原料112bの温度を変動させることにより行われる。
そして、上記製造方法により得られる金属ガラスの板材100を駆動機構1Aの動力源として必要な幅、長さ寸法に加工する。金属ガラスゼンマイ31に必要な厚さt(0.1mm)の単板からなる金属ガラスの板材100の場合には、丸棒等に金属ガラスゼンマイ31を巻き付けて癖付けを行う。金属ガラスゼンマイ31の癖付けを行う場合にあっては、150℃以上の温度により熱処理を行って癖付けを施すようにすればよい。
なお、図5に示すように、複数枚積層一体化する場合、各々の金属ガラス板材313を、エポキシ系接着剤314を用いて互いに貼り合わせ、金属ガラスゼンマイ31に必要な厚さt(0.1mm)を確保するようにする。最後に、エポキシ系接着剤314が硬化する前に、丸棒等に金属ガラスゼンマイ31を巻き付けて癖付けを行い、エポキシ系接着剤314を硬化させる。
〔第一実施形態の作用効果〕
(1)従来の図9に示す、外周面が平坦な冷却ロール114を使用した場合には、所望の寸法よりも大きくなった幅寸法の板材が形成される場合がある。
一方、本実施形態によれば、冷却部115の外周面115aと、ガイド部116,116の冷却部115側の側面である壁面117,117とで区画されることにより、溝部118が形成されているので、噴出した溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Aの外周面で幅方向に拡がっても、溝部118の壁面117,117によってその拡がりが規制されるため、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法は、溝部118の幅寸法Wよりも拡がることはない。
したがって、上記溝部118を備えた冷却ロール114Aを使用することにより、所望の幅寸法の金属ガラスの板材100を高精度に、かつ簡便に製造することができる。
また、溶融金属ガラス原料112bは、溝部118を構成する壁面117,117に接触して冷却されるため、側面が平坦できれいな金属ガラスの板材100を製造できる。
また、金属ガラスの板材100を所望の幅寸法で高精度に製造するため、金属ガラスの板材100を所望の幅寸法にするために施す機械加工等の後工程を不要とすることができる、或いは後工程を軽減することができる。
(2)駆動機構1Aの動力源として金属ガラスゼンマイ31が採用されているので、駆動機構1Aを小型化できるとともに、駆動機構1Aを長時間動作させることができる。
(3)変曲点315の位置を内端311の近傍に設定することができるので、癖付けを金属ガラスゼンマイ31のほぼ全長に亘って行うことができ、金属ガラスゼンマイ31が蓄積する機械エネルギを増大させて駆動機構1Aの動作の長時間化を一層図ることができる。
また、金属ガラスゼンマイ31であればトルク変動が小さいので、機械式時計の動力源として採用した場合、駆動精度が向上する。
なお、この実施形態では、金属ガラスゼンマイ31は、電子制御式機械時計1の駆動機構1Aの動力源として用いられていたが、これに限らず、制御系が調速機、脱進機によって構成される通常の機械式時計の駆動機構に金属ガラスゼンマイ31を用いてもよい。
〔第二実施形態〕
図10は、突出部119を備えた冷却ロール114Bを示す概略図である。
上記第一実施形態では、溝部118を備えた冷却ロール114Aを用いたが、本実施形態では、図10に示すように、突出部119を備えた冷却ロール114Bを用いる。
冷却部115の外径R3は、ガイド部116,116の外径R4よりも大きく形成されている。これにより、冷却部115の側面が壁面117,117を構成し、冷却部115の外周面115aと、外周面115aとそれぞれ直交する壁面117,117とで区画されることにより、突出部119が形成されている。
したがって、突出部119の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法に対応するように設定されている。
この点以外は、上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
〔第二実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、冷却部115の外周面115aと、冷却部115の側面である壁面117,117とで区画されることにより、突出部119が形成されているので、噴出した溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Bの外周面で幅方向に拡がっても、突出部119からはみ出した部分については、ガイド部116,116側へと流れ落ちるので、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法は、突出部119の幅寸法Wよりも拡がることはない。
したがって、上記突出部119を備えた冷却ロール114Bを使用することにより、所望の幅寸法の金属ガラスの板材100を高精度に、かつ簡便に製造することができる。
また、冷却部115が両側のガイド部116,116よりも突出した構成となっているので、金属ガラスの板材100の製造過程で、冷却部115の外周面115aに付着した金属ガラス原料残渣を除去するためのメンテナンスがし易い。
〔第三実施形態〕
図11は、別の態様の突出部119を備えた冷却ロール114Cを示す概略図である。
上記第二実施形態では、突出部119を備えた冷却ロール114Bを用いたが、本実施形態では、図11に示すように、冷却部115の外周面115aと壁面117とが交差する角度θが鋭角に設定された突出部119を備えた冷却ロール114Cを用いる。
冷却部115は、冷却ロール114Cの回転軸中心に向かうに従って幅寸法が小さくなるように構成されている。即ち、冷却部115の外周面115aと壁面117とが交差する角度θが鋭角になるように設定されている。
突出部119の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の幅寸法に対応するように設定されている。
この点以外は、上記第二実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
〔第三実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、上記第二実施形態で述べた効果に加え、次のような効果が得られる。
冷却部115が冷却ロール114Cの回転軸中心に向うに従って幅寸法Wが小さくなるように構成しているので、溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Cのガイド部116,116側にそれぞれ流れ落ちる際の湯切れが良くなり、噴出した溶融金属ガラス原料112bの、突出部119を構成する冷却部115の外周面115aからはみ出した部分についての液だれを防止できるため、金属ガラスの板材100の幅寸法の精度をより一層向上させることができる。
〔第四実施形態〕
図12は、第一ロール125と第二ロール126とで構成された冷却ロール114Dを示す概略図である。
本実施形態では、図12に示すように、冷却ロール114Dは、冷却部115を構成する第一ロール125と、この第一ロール125の両側にそれぞれ隣接し、ガイド部116,116を構成する2つの第二ロール126,126とを備えている。
また、第一ロール125の外径R5は、第二ロール126の外径R6よりも大きく構成されている。これにより、第一ロール125の外周面125aと両側面125bとにより突出部119が形成されている。
また、第一ロール125は、第一ロール125の回転軸中心に向かうに従って幅寸法Wが小さくなるように構成されている。即ち、第一ロール125の外周面125aと第一ロール125の側面125bとが交差する角度θが鋭角になるように設定されている。
突出部119の幅寸法Wは、形成される金属ガラスの板材100の所望の幅寸法に対応するように設定されている。
そして、第一ロール125と2つの第二ロール126,126とは、それぞれ相反する方向に回転する。
この点以外は、上記第二実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
〔第四実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、上記第二、第三実施形態で述べた効果に加え、次のような効果が得られる。
石英管112のノズル112aから噴出した溶融金属ガラス原料112bが冷却ロール114Dの外周面で幅方向に拡がって、第一ロール125からはみ出した部分については、第二ロール126,126側にそれぞれ流れ落ちる。第二ロール126,126は第一ロール125とは相反する方向に回転するため、第二ロール126,126側に流れ落ちた溶融金属ガラス原料112bは、第二ロール126,126の遠心力によって第一ロール125の外周面125aで形成される金属ガラスの板材100の方向とは反対側の方向に向かって放出される。そのため、流れ落ちた原料を回収し易い。
〔その他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記第一実施形態において、外周面が平坦な冷却ロールの両端側に、その外周を覆うように、被覆層を設けることで、被覆層の冷却部側の側面により壁面が構成され、冷却部の外周面と壁面とにより、溝部118を構成してもよい。
同様に、上記第二〜第三実施形態において、外周面が平坦な冷却ロールの中央に、その外周を覆うように、被覆層を設けることで、被覆部の側面により壁面117,117が構成され、被覆部の外周面と壁面とにより、突出部119を構成してもよい。
〔第一変形例〕
図13は、香箱30を2つ備えた駆動機構1Bを示す部分平面図である。図14は、香箱30と輪列との噛合状態を示す部分平面図である。
前述した第一実施形態に係る駆動機構1Aでは、駆動機構1Aを動作させる動力源は、香箱30に収納された1つの金属ガラスゼンマイ31のみとしたが、図13及び図14に示すように、金属ガラスゼンマイ31が収納された香箱30を2つ備えた駆動機構1Bとしてもよい。
図13に示すように、駆動機構1Bにおける二番車7の基部歯車71には、2つの香箱30の外周に形成された香箱歯車32(図13では図示略)が同時に噛合している。2つの香箱30は、それぞれの香箱真33を中心として同一方向に回動し、二番車7には、各々の金属ガラスゼンマイ31の出力トルクTを加えた出力トルク2Tが作用している。
ここで、二番車7に噛合する香箱歯車32は、図14に示すように、左側の香箱歯車32と右側の香箱歯車32とが噛合する位相が異なっていて、左側の香箱歯車32が二番車7とB1点で当接する時、右側の香箱歯車32はB2点で二番車7から離間しようとしている。
なお、このような位相の相違は、香箱真33の相対位置によって決定され、図13からわかるように、二番車7の回転中心と香箱真33とがなす角βに応じて噛合する位相を調整することができる。
このような金属ガラスゼンマイ31が収納された2つの香箱30を備えた駆動機構1Bによれば、1つの香箱30を備えた駆動機構1Aの効果に加えて、次のような効果がある。
即ち、金属ガラスゼンマイ31が収納された2つの香箱30を、同時に輪列を構成する二番車7に同時に噛合させているので、香箱30各々の出力トルクTを重ね合わせて二番車7を回転させることができ、駆動機構1Bを高い出力トルク2Tで動作させることができる。
また、二番車7に噛合する香箱歯車32の位相が互いにずれているので、例えば、図14において、左側の香箱30と二番車7との噛合状態によって発生するトルク変動を、他の右側の香箱30との噛合状態によりトルクを和することで、伝達トルクの変動を抑制して駆動機構1Bをスムースに動作させることができる。
なお、この第一変形例では、輪列を構成する二番車7には、2つの香箱30が噛合していたが、2以上の香箱30が噛合していてもよい。要するに、金属ガラスゼンマイの蓄積エネルギと、駆動機構の動力源として要求されるエネルギとに応じて適宜決定すればよい。
〔第二変形例〕
図15は、ヒゲゼンマイ470を備えたテンプヒゲ系400の構造を示す平面図である。図16は、図15のテンプヒゲ系400の構造を示す断面図である。
本発明に係る金属ガラスで構成される時計用バネを、図15及び図16に示すように、機械式時計の調速機を構成するテンプを付勢するヒゲゼンマイとして利用することができる。
調速機を構成するテンプヒゲ系400は、テン真410、テン輪420、振り座430、ヒゲ玉440、ヒゲ持450、緩急針460を含んで構成される。
図15及び図16に示されるテン真410には、テン輪420、振り座430、ヒゲ玉440が固定され、これらが一体で回転するように構成されている。ヒゲゼンマイ470は、金属ガラスで構成される非磁性体であり、その内周端がヒゲ玉440に固定され、外周端は、ヒゲ持450に固定されている。緩急針460は、ヒゲ棒461及びヒゲ受462を含んで構成され、ヒゲゼンマイ470の最外周部分は、ヒゲ棒461及びヒゲ受462の間を通過している。
そして、このようなテンプヒゲ系400では、テン輪420がテン真410を軸として回転すると、これに伴いヒゲ玉440も回転するので、テン輪420には、ヒゲゼンマイ470の付勢力が作用し、この付勢力とテン輪420の慣性力とがつり合うと、テン輪420の回転が停止し、ヒゲゼンマイ470の付勢力により、テン輪420は逆方向に回転する。即ち、テン輪420は、テン真410を軸として揺動を繰り返す。このテン輪420の揺動周期は、緩急針460のヒゲ棒461、ヒゲ受462の位置を微調整することにより、変化させることができる。また、この揺動周期Sは、テン輪420等の回転部分の慣性モーメントJのほか、ヒゲゼンマイ470の材料特性によっても変化し、ヒゲゼンマイ470の幅をb、厚さをt、ゼンマイ長さをL、ヒゲゼンマイの平均ヤング率をEとすると、以下の(1)式によって表される。
S=2π×(12JL/Ebt1/2 ……(1)
このようなテンプヒゲ系400では、ヒゲゼンマイ470が金属ガラスにより構成されているので、温度変化に伴う平均ヤング率Eの変化が少なく、上記(1)式で表されるテンプヒゲ系400の揺動周期の変化も少なくなり、テンプヒゲ系400を含む調速機を有する機械式時計の高精度化を図ることができる。
また、ヒゲゼンマイ470が非磁性体の金属ガラスで構成されているので、耐磁性が向上し、ヒゲゼンマイ470が外部磁界等に引っ張られても、ゼンマイの特性が低下することもない。
〔第三変形例〕
図17は、固定バネ540を備えた水晶振動子500の固定構造を示す側面図である。
本発明に係る金属ガラスで構成されるバネを、水晶発振式時計の水晶振動子500を付勢状態で固定するバネとして利用することができる。
図17に示すように、水晶振動子500は、真空カプセル501と、この真空カプセル501の内部に収納される音叉型の振動子本体502を含んで構成され、真空カプセル501の端部に設けられる端子503が回路基板510と電気的に接続されて発振回路が構成される。そして、水晶振動子500は、地板520上に配置され、ネジ530と、金属ガラスで構成される固定バネ540によって、地板520に押さえつけられる方向に付勢された状態で固定されている。
このような水晶振動子500では、金属ガラスで構成される固定バネ540は、平均ヤング率が小さいので、固定バネ540のたわみ量が変化しても、その際の付勢力の変動が少なくなるので、水晶振動子500の周期のずれを少なくすることができ、水晶発振式時計の高精度化を図ることができる。
また、上記実施形態の駆動機構1Aの角穴車4と噛合するコハゼ6を構成するコハゼバネを金属ガラスで構成するようにしてもよい。コハゼ6は、香箱内のゼンマイを巻く際の巻戻り防止のための部品であり、そのとき機能するバネがコハゼバネである。そして、コハゼバネは、ゼンマイを巻いている最中、コハゼと係合している角穴車のかみ合い歯数分だけ繰り返し荷重を受けることになり、その回数は数万〜数十万回/年となる。
このような繰り返し荷重がかかる場合、コハゼバネの許容応力は、最大応力の1/2以下に設定する必要がある。したがって、このようなコハゼバネに金属ガラスで構成されるバネを使用すれば、許容応力が高く設定でき、また付勢力のばらつきも少ないので、コハゼバネの材料としても有利に使用できる。
また、上記実施形態では、時計用の駆動機構1Aの動力源として金属ガラスゼンマイ31を用いていたが、これに限らず、オルゴール等他の駆動機構の動力源として金属ガラスゼンマイ31を用いてもよい。
そして、本発明の時計用バネ自体も、時計のほか、オルゴール等の他の精密機械も適用することができる。また、低トルクの時計に対して、本発明の時計用バネや金属ガラスゼンマイ31を適用するようにしてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、他の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以上のように、本発明に係る時計用バネの製造方法、時計用バネの製造装置、時計用バネ、及び時計は、例えば、時計をはじめとする駆動機構の動力源、水晶発振式時計等の水晶振動子を固定するバネ、機械式時計のテンプを付勢するヒゲゼンマイ、香箱内のゼンマイの巻締めの際の巻戻り防止のためのコハゼバネ等に利用することができる。
1…電子制御式機械時計、1A,1B…駆動機構、2…地板、3…輪列受、4…角穴車、5…角穴ネジ、6…コハゼ、7…二番車、8…三番車、9…四番車、10…五番車、11…六番車、12…ローター、12a…ローター磁石、12b…ローターかな、12c…ローター慣性円板、13…分針、14…秒針、15…ステーター、15a…ステーター体、15b…ステーターコイル、16…コイルブロック、16a…磁心、16b…コイル、20…発電機、30…香箱、31…金属ガラスゼンマイ、32…香箱歯車、33…香箱真、34…香箱蓋、71…基部歯車、100…金属ガラスの板材、110…単ロール液体急冷装置(時計用バネの製造装置)、111…チャンバー、111a…飛行管、112…石英管、112a…ノズル、112b…金属ガラス原料、112c…ガス供給手段、113…高周波加熱コイル、114,114A,114B,114C,114D…冷却ロール、115…冷却部、115a…外周面、116…ガイド部、117…壁面、118…溝部、119…突出部、125…第一ロール、125a…外周面、125b…側面、126…第二ロール、311…内端、312…外端、313…金属ガラス板材、314…エポキシ系接着剤、315…変曲点、400…テンプヒゲ系、410…テン真、420…テン輪、430…振り座、440…ヒゲ玉、450…ヒゲ持、460…緩急針、461…ヒゲ棒、462…ヒゲ受、470…ヒゲゼンマイ、500…水晶振動子、501…真空カプセル、502…振動子本体、503…端子、510…回路基板、520…地板、530…ネジ、540…固定バネ。

Claims (8)

  1. 溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロールの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造方法であって、
    前記冷却ロールは前記溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部を有し、前記冷却ロールの回転軸に沿った方向における前記冷却部の幅寸法は、前記板材の幅寸法に設定されている
    ことを特徴とする時計用バネの製造方法。
  2. 請求項1に記載の時計用バネの製造方法であって、
    前記冷却部の両側には前記冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、
    前記冷却部の外径が、前記ガイド部の外径よりも小さい
    ことを特徴とする時計用バネの製造方法。
  3. 請求項1に記載の時計用バネの製造方法であって、
    前記冷却部の両側には前記冷却部と同軸に形成されたガイド部がそれぞれ設けられ、
    前記冷却部の外径が、前記ガイド部の外径よりも大きい
    ことを特徴とする時計用バネの製造方法。
  4. 請求項3に記載の時計用バネの製造方法であって、
    前記冷却部は、前記冷却ロールの回転軸中心方向に向かうに従って幅寸法が小さくなるように形成されている
    ことを特徴とする時計用バネの製造方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の時計用バネの製造方法であって、
    前記冷却ロールは、前記冷却部を構成する第一ロールと、前記第一ロールの両側にそれぞれ隣接し、前記ガイド部を構成する2つの第二ロールとを備え、
    前記第一ロールと前記2つの第二ロールとは、それぞれ相反する方向に回転する
    ことを特徴とする時計用バネの製造方法。
  6. 溶融金属ガラス原料を回転している冷却ロールの外周面に向かって噴出し、前記噴出した溶融金属ガラス原料を前記冷却ロールの外周面上で急速凝固させることにより金属ガラスの板材を形成する時計用バネの製造装置であって、
    前記冷却ロールは前記溶融金属ガラス原料を急速凝固させるための冷却部を有し、前記冷却ロールの回転軸に沿った方向における前記冷却部の幅寸法は、前記板材の幅寸法に設定されている
    ことを特徴とする時計用バネの製造装置。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の時計用バネの製造方法により得られたことを特徴とする時計用バネ。
  8. 請求項7に記載の時計用バネを用いたことを特徴とする時計。
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