JP6022859B2 - 空間光変調器、光集積回路 - Google Patents

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Description

この発明は、入射側の端部から入射した光を導波路で導いて射出側の端部から射出する光学素子を備え、電極を介して印加した電気信号により導波路に回折格子を形成して光を変調する空間光変調器および当該空間光変調器を用いた光集積回路に関する。
特許文献1では、強誘電体結晶のように電気信号の印加によって内部に回折格子を形成する光学素子を用いて光変調を行う空間光変調器が記載されている。この空間光変調器では、光学素子の入射端に入射した光は、光学素子内の導波路によって案内されて、光学素子の射出端から射出される。そのため、電気信号の印加により導波路に回折格子を形成することで、導波路を通過する光を変調して射出端から射出することができる。
また、特許文献1の空間光変調器では、電極の形成された基板が光学素子(強誘電体結晶)に取り付けられており、基板の電極から光学素子に電圧が印加されるように構成されている。具体的には電極は、光学素子に対向して導波路に電気信号を印加する対向部分と、光学素子の端部から引き出された引出部分とで構成され、引出部分が対向部分に電気信号を送る配線として機能している。
特開2012−078443号公報
ところで、こうして光学素子の端部から配線を引き出す構成では、配線を設けるための配線領域を光学素子の端部に隣接して基板上に確保する必要がある。例えば、特許文献1の空間光変調器では、光学素子の入射側の端部に隣接して配線領域が基板上に設けられている。そのため、配線領域で配線を支持する基板によって光学素子への入射光が散乱されてしまい、被変調光の量が減少するおそれがあった。あるいは、特許文献1とは逆に、光学素子の射出側の端部に隣接して配線領域が設けられた場合には、光学素子からの射出光について、類似の問題が発生するおそれがあった。要するに、光学素子の端部に隣接して配線領域が基板に設けられることで、光学素子の端部に入射あるいは射出する光が基板により散乱され、被変調光の量が減少するおそれがあった。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光学素子の端部に隣接する配線領域で配線を支持する基板によって、当該端部に入射あるいは射出する光が散乱されるのを抑えて、被変調光の量を確保することを可能とする技術の提供を目的とする。
本発明にかかる空間光変調器は、上記目的を達成するため、光の入射側および射出側のそれぞれに設けられた端部および端部の間に設けられた導波路を有し、外部を伝播する外部伝播光と導波路とを端部で結合することで、入射側の端部に外部伝播光として入射した光を導波路で導いて射出側の端部から外部伝播光として射出する光学素子と、その表面に光学素子が取り付けられた基板と、導波路に対向して設けられた電極と、入射側および射出側の端部のうちの少なくとも一の配線隣接端部に光学素子の外側から隣接する配線領域で基板の表面に設けられて電極に電気的に接続された配線とを備え、導波路は、配線を介して電極に与えられた電気信号が印加された部分に回折格子を形成し、光学素子は、配線隣接端部から離れるにつれて配線領域から離れるように基板の表面に対して傾く傾斜方向へ伝播する外部伝播光を、配線隣接端部で導波路に結合する。
本発明にかかる光集積回路は、上記目的を達成するため、空間光変調器を備えた光集積回路において、空間光変調器は、光の入射側および射出側のそれぞれに設けられた端部および端部の間に設けられた導波路を有し、外部を伝播する外部伝播光と導波路とを端部で結合することで、入射側の端部に外部伝播光として入射した光を導波路で導いて射出側の端部から外部伝播光として射出する光学素子と、その表面に光学素子が取り付けられた基板と、導波路に対向して設けられた電極と、入射側および射出側の端部のうちの少なくとも一の配線隣接端部に光学素子の外側から隣接する配線領域で基板の表面に設けられて電極に電気的に接続された配線とを備え、導波路は、配線を介して電極に与えられた電気信号が印加された部分に回折格子を形成し、光学素子は、配線隣接端部から離れるにつれて配線領域から離れるように基板の表面に対して傾く傾斜方向へ伝播する外部伝播光を、配線隣接端部で導波路に結合する。
このように構成された発明(空間光変調器、光集積回路)では、光の入射側および射出側のそれぞれの端部の間に導波路を設けた光学素子が具備されている。この光学素子は、外部を伝播する外部伝播光と導波路とを端部で結合することで、入射側の端部に外部伝播光として入射した光を導波路で導いて射出側の端部から外部伝播光として射出する。また、導波路に対向して電極が設けられるとともに、当該電極に電気的に接続された配線を有する基板に光学素子が取り付けられている。そして、配線を介して電極に付与した電気信号を導波路へ印加して、導波路に回折格子を形成することができる。そのため、入射側の端部から入射して導波路を通過する光を変調して射出側の端部から射出することで、被変調光を得ることが可能となっている。
ところで、上記の配線は、入射側および射出側の端部のうちの少なくとも一の配線隣接端部に隣接する配線領域で基板に設けられている。かかる構成では、配線隣接端部に入射あるいは射出する外部伝播光が、配線領域で配線を支持する基板により散乱されるおそれがあった。これに対して本発明では、配線隣接端部から離れるにつれて配線領域から離れるように基板の表面に対して傾く傾斜方向へ伝播する外部伝播光が、配線隣接端部で導波路に結合される。つまり、配線隣接端部に入射あるいは射出する外部伝播光の伝播方向は、基板の表面に対して傾いている。したがって、配線領域で配線を支持する基板と外部伝播光とを離して、基板による外部伝播光の散乱を抑制することができ、被変調光の量を確保することが可能となっている。
また、光学素子は、外側を向く法線ベクトルが配線領域の側に傾く平面を、配線隣接端部として有するように、空間光変調器を構成しても良い。このような構成では、基板に対して傾きつつ配線隣接端部に入射あるいは射出する外部伝播光と導波路との結合効率を向上させて、被変調光の量をより確実に確保することができる。
また、導波路は、シングルモードで光を伝播させるように、空間光変調器を構成しても良い。このように導波路をシングルモードで伝播する光は、同様にシングルモードで伝播する外部伝播光と効率的に結合する。その結果、導波路と外部伝播光との結合効率を向上させて、被変調光の量をより確実に確保することができる。
また、光学素子は、配線隣接端部に対してブリュースター角を成す傾斜方向へ伝播する外部伝播光を、配線隣接端部で導波路に結合するように、空間光変調器を構成しても良い。このような構成は、配線隣接端部におけるTM偏光の反射を防止することができ、被変調光の量をより確実に確保するにあたって有利となる。
ところで、導波路は、電気信号が印加された部分に生じる屈折率分布によって回折格子を形成するように、空間光変調器を構成することができる。ただし、このような構成では、配線隣接端部の直近で屈折率分布が生じることで、配線隣接端部での導波路と外部伝播光との結合効率が影響を受ける場合がある。そこで、電極は、導波路の光の導波方向において、配線隣接端部に対して導波路の内側へ隙間を空けて設けられるように、空間光変調器を構成しても良い。このように配線隣接端部と電極との間に隙間を設けることで、配線隣接端部の直近へは電気信号がほぼ印加されないため、配線隣接端部の直近での屈折率分布の発生を抑止できる。その結果、配線隣接端部での導波路と外部伝播光との結合効率を良好に保つことができる。
また、光学素子は強誘電体結晶で構成されるように、空間光変調器を構成しても良い。さらに、強誘電体結晶は周期分極反転構造を有するように、空間光変調器を構成しても良い。この際、強誘電体結晶はZ板であり、導波路は強誘電体結晶のZ面に平行であるように、空間光変調器を構成しても良い。
また、電極は、基板と光学素子との間で基板の表面に設けられ、配線は、電極から配線領域まで引き出されているように、空間光変調器を構成しても良い。このような構成では、電極から配線領域まで配線を引き出すだけで電極に電気的に接続された配線を基板の表面に設けることができ、配線の引き回しが簡単になるという利点がある。
ところで、空間光変調器を備えた光集積回路においては、当該空間光変調器とは別に回路素子をさらに備えるように構成しても良い。この際、入射側および射出側の端部のうち、1個が配線隣接端部であるとともに1個が回路素子に隣接し、配線領域が光学素子に対して回路素子の反対側に位置する配線隣接端部に対して設けられているように、光集積回路を構成しても良い。つまり、空間光変調器に加えて別の回路素子を備えた場合、光変調器の光学素子が有する入射側および射出側の端部のうち回路素子が隣接する側には、配線領域を設けられない。そこで、光学素子に対して回路素子の反対側に位置する端部(配線隣接端部)に対して配線領域を設けることが考えられる。ただし、この場合には、配線隣接端部に入射あるいは射出する外部伝播光が、配線領域で配線を支持する基板により散乱されるおそれがある。これに対して、上述のように構成して、配線隣接端部に入射あるいは射出する外部伝播光の伝播方向を基板に対して傾けることで、基板による外部伝播光の散乱を抑制することができ、被変調光の量を確保することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、配線領域が隣接する光学素子の端部に入射あるいは射出する光が散乱されるのを抑えて、被変調光の量を確保することが可能となる。
本発明にかかる空間光変調器を装備したパターン描画装置を模式的に示す斜視図である。 図1のパターン描画装置を模式的に示す側面図である。 光学ヘッドの内部の概略構成を部分的に示す図である。 光学ヘッドの内部の概略構成を部分的に示す図である。 空間光変調器の部分構成を簡略化して側面から示した模式図である。 図5に示した空間光変調器の部分拡大図である。 空間光変調器の部分構成を簡略化してZX断面で示した模式図である。 本発明にかかる空間光変調器を装備した光集積回路を模式的に示す側面図である。
図1は本発明にかかる空間光変調器を装備したパターン描画装置を模式的に示す斜視図であり、図2は図1のパターン描画装置を模式的に示す側面図である。このパターン描画装置100は、感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの表面に光を照射してパターンを描画する装置である。
このパターン描画装置100では、本体フレーム101に対してカバー102が取り付けられて形成される本体内部に装置各部が配置されて本体部が構成されるとともに、本体部の外側(図2において本体部の右手側)に基板収納カセット110が配置されている。この基板収納カセット110には露光処理を受けるべき未処理基板Wが収納されている。そして、未処理基板Wは、本体内部に配置される搬送ロボット120によって基板収納カセット110から本体部へローディングされて、パターン描画処理(露光処理)を受ける。このパターン描画処理が完了すると、処理済み基板Wは、搬送ロボット120によって本体部から基板収納カセット110へアンローディングされて戻される。
この本体部では、図1および図2に示すように、カバー102に囲まれた本体内部の右手端部に搬送ロボット120が配置されている。また、本体内部において、搬送ロボット120の左手側には基台130が配置されている。そして、この基台130の一方端側領域(図1および図2の右手側領域)が、搬送ロボット120との間で基板Wの受け渡しを行う基板受渡領域となっているのに対し、他方端側領域(図1および図2の左手側領域)が基板Wへのパターン描画を行うパターン描画領域となっている。
基台130上では、基板受渡領域とパターン描画領域との境界に臨んで、ヘッド支持部140が設けられている。このヘッド支持部140では、基板受渡領域とパターン描画領域の境界付近で2本の脚部材141、142が基台130から上方に立設され、これら2本の脚部材141、142の頂部を橋渡しするように梁部材143が設けられている。さらに、ヘッド支持部140では、脚部材141、142に対して基板受渡領域の逆側で2本の脚部材144が基台130から上方に立設されている。そして、光学ヘッド3が固定的に取り付けられたボックス150が、梁部材143および2本の脚部材144の頂部に橋渡しされている。ちなみに、ボックス150には、光学ヘッド3の照明光学系が収納されている。
こうして光学ヘッド3(露光装置)は下方へ向けて配置され、下方を通過する基板Wの表面(被照射面、被露光面)に対して変調された光を照射することができる。この光学ヘッド3は本発明にかかる空間光変調器を装備して基板Wに対して光を照射して露光するものであり、露光装置として機能する。その構成および動作については、後に詳述する。
また、ヘッド支持部140には、光学ヘッド3の他にカメラ160(撮像部)が設けられている。このカメラ160は、下方へ向けて梁部材143に固定されており、下方を通過する基板Wの表面を撮像可能となっている。
基台130上には、光学ヘッド3やカメラ160の下方で基板Wを支持するステージ170が設けられている。このステージ170は、図示を省略するステージ駆動機構からの駆動力を受けて移動自在に構成されている。具体的には、ステージ駆動機構は、互いに直交するDx方向およびDy方向へ駆動して、ステージ170を水平面内(Dx−Dy面内)で二次元的に移動させることができる。さらに、ステージ駆動機構は、鉛直軸Dzを中心とする回転方向に駆動して、ステージ170を回転させることもできる。
上記の構成を具備するパターン描画装置100では、制御部200が光学ヘッド3およびステージ170の動作を統括的に制御して、基板W表面へのパターン描画処理を実行する。特にこの実施形態では、光学ヘッド3は主走査方向Dxに並ぶ複数のチャンネルで光を同時に照射可能な構成を具備している。そして、ステージ170を副走査方向Dyに移動させながら、ステージ170上の基板Wへ光学ヘッド3から光を照射することで、二次元的なパターンを基板Wに描画することができる。続いては、光学ヘッド3について詳述する。
図3および図4は光学ヘッドの内部の概略構成を部分的に示す図である。より詳しくは、図3は光学ヘッド3の内部の概略構成の側面を部分的に示し、図4は光学ヘッド3の内部の概略構成を光軸OAに沿って展開して部分的に示す。この光学ヘッド3は、光源部31からの光ビームを照明光学系32で集光して空間光変調器33へ入射させ、空間光変調器33から射出された光ビームをレンズ34およびシュリーレン光学系35により基板Wの表面に照射するものである。
なお、図3、図4および以下で示す図では、光学ヘッド3の光軸OAを一点鎖線で適宜示すとともに、XYZ直交座標系を適宜示すこととする。このXYZ直交座標系において、X方向は主走査方向Dxに相当し、Y方向は空間光変調器33で用いられる電気光学結晶基板41の導波路が光ビームを案内する方向に相当し、Z方向は電気光学結晶基板41(強誘電体結晶基板)のZ軸に相当する。また、必要に応じて、座標軸の矢印側を正側と称するとともに、座標軸の矢印と逆側を負側と称することとする。
光学ヘッド3が備える光源部31は、所定の波長(例えば、830、808、635、405、あるいは355ナノメートル(nm))の光ビームを射出する半導体レーザにより構成されている。ちなみに、355nmのレーザ光(紫外線)を用いる場合には、光源部31はYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザの3倍高調波を用いる固体レーザ光源となる。この光源部31はコリメータレンズ(図示省略)を有しており、半導体レーザから射出される光ビームはコリメータレンズを介して平行光とされて図示を省略するミラーを介して照明光学系32に入射する。
照明光学系32は3枚のシリンドリカルレンズ321〜323により構成されており、光源部31から射出してきた光ビームはシリンドリカルレンズ321〜323の順で通過して空間光変調器33に入射する。これらのうちシリンドリカルレンズ321はX方向にのみ負のパワーを有しており、シリンドリカルレンズ321を通過した光は光軸OAに垂直な光束断面において円形から次第にX方向に長い楕円形へと変化する。一方、光軸OAおよびX方向に垂直な方向に関して、シリンドリカルレンズ321を通過した光の光束断面の幅は(ほぼ)一定とされる。また、シリンドリカルレンズ322はX方向にのみ正のパワーを有しており、シリンドリカルレンズ321を通過した光ビームはシリンドリカルレンズ322によりビーム整形される。つまり、シリンドリカルレンズ322を通過した光は、光束断面においてX方向に長い一定の大きさの楕円形とされてシリンドリカルレンズ323へと入射する。このシリンドリカルレンズ323は、光軸OAおよびX方向に垂直な方向にのみ正のパワーを有し、シリンドリカルレンズ323を通過した光LIは当該垂直方向に集光しつつ空間光変調器33の電気光学結晶基板41に入射する。
図5は、空間光変調器の部分構成を簡略化して側面から示した模式図である。図6は、図5に示した空間光変調器の部分拡大図である。図7は、空間光変調器の部分構成を簡略化してZX断面で示した模式図である。ここで、図5〜図7を併用しつつ空間光変調器33の構成について詳述しておく。この空間光変調器33は、入射してきた光ビームを伝送して射出する電気光学結晶基板41を有し、電圧(電気信号)の印加に応じて電気光学結晶基板41の内部に生じる回折格子によって光ビームを変調するものである。
空間光変調器33では、電圧印加部材42の有する電極基板421の表面421fに対して電気光学結晶基板41の裏面41r(主面)が取り付けられている。この電極基板421の表面421fはXY平面に平行に仕上げられており、X方向に等ピッチ(例えば、5μm)で配列された複数(例えば、5400本)の電極422を支持する。これら電極422のそれぞれはY方向に伸びるスラブ状を有しており、電気光学結晶基板41の内部に電圧を印加することで回折格子を形成するものである。
電極基板421の表面421fでは、電気光学結晶基板41のY方向の両外側に配線領域Awが設けられており、電極422に電気的に接続された配線423が配線領域Awまで引き出されている(図4、図5)。この際、X方向に隣接する電極422の間で、配線423を引き出す向きが互いに反対となっている。したがって、電極基板421の表面421fでは、Y方向の正側の配線領域Awへ引き出された配線423に接続される電極422と、Y方向の負側の配線領域Awへ引き出された配線423に接続される電極422とが、X方向に交互に配列されている。このように、配線423を引き出す向きを交互にすることで、X方向に隣接する配線423の間のピッチを電極422の配列ピッチの2倍程度にまで広げることができる。また、図4に示すように配線領域Awのそれぞれにおいて、複数の配線423の配列ピッチは、配線423が外側へ引き出されるに連れて段階的に拡大されている。
このように、電気光学結晶基板41に電圧を印加する電極422は、電極基板421と電気光学結晶基板41との間で電極基板表面421fに設けられており、配線423は電極422から配線領域Awにまで引き出されている。このような構成では、電極422から配線領域Awまで配線423を引き出すだけで、電極422に電気的に接続された配線423を電極基板表面421fに設けることができ、配線423の引き回しが簡単になるという利点がある。
こうして、各配線領域Awでは複数の配線423がX方向に配列されている。また、複数の配線423のそれぞれは、電極基板421を裏面から支持する矩形状の電気回路基板331を介して、FPC(Flexible printed circuits)332に電気的に接続される(図3)。したがって、制御部200(図2)は、FPC332および配線423を介して、電極422に電圧を付与することができる。さらに、空間光変調器33では、電気光学結晶基板41の表面41f(主面)に、絶縁層43、接合部44および支持基板45がこの順番で積層されている。これらのうち接合部44は金属で構成されて接地されており、絶縁層43を介して電気光学結晶基板41の表面41fの全体に一様な接地電位を与える接地電極として機能する(図5、図7)。したがって、配線423を介して付与された電極422の電位と接地電位との電位差に応じた電圧を、電気光学結晶基板41に印加することが可能となっている。
電気光学結晶基板41は、光ビームLI(外部伝播光)が入射する入射端41aをY方向負側の端に有するとともに、光ビームLO(外部伝播光)が射出する射出端41bをY方向正側の端に有している。電気光学結晶基板41内部では、Y方向に伸びる導波路41cが入射端41aから射出端41bへかけて形成されている。この導波路41cはXY平面に平行なスラブ状を有しており、光ビームをシングルモードで導波方向Yへ伝播させる。したがって、入射端41aから入射した光ビームは、導波路41cによってY方向に案内されて射出端41bから射出される。なお、光ビームLIは、入射端41aで収束する光線束であって、ゼロより大きい集光角で入射端41aに集光し、光ビームLOは、射出端41bから発散する光線束であって、ゼロより大きい発散角で射出端41bより発散する。
電気光学結晶基板41の入射端41aおよび射出端41bはいずれも、導波方向Yにおいて電気光学結晶基板41の外側へ向かうに連れて電極基板表面421fから離れるように電極基板表面421fに対して傾いた平面形状に仕上げられており、換言すれば、導波方向Yにおいて電気光学結晶基板41の外側へ向けて傾斜角φで倒れた平面形状に仕上げられている。ここで、傾斜角φは、電気光学結晶基板41の主面41rの法線41n(Z方向に平行)に対して、導波方向Yにおいて電気光学結晶基板41の外側へ向けて傾く角度として与えられる。具体的には、結晶基板端41a、41bの傾斜角φは、次に示す
・各端41a、41bに対する外部伝播光LI、LOの角度がブリュースター角となる
・導波方向Yに対して傾く外部伝播光LI、LOに導波路41cが各端41a、41bで結合する
といった条件を満たすように設定されている。
このような結晶基板端41a、41bと外部伝播光LI、LOとの関係を、図6を用いて詳述しておく。なお、外部伝播光LI、LOとの関係において入射端41aと射出端41bは互いに類似する。したがって、ここでは入射端41aを代表例として取り上げて説明を行い、射出端41bについての説明は、入射端41aについての説明で代用する。上述のとおり、電気光学結晶基板41の入射端41aは傾いている。そのため、電気光学結晶基板41の外側を向く入射端41aの法線ベクトルVnは、電極基板表面421fの配線領域Awの側に傾く。そして、このような入射端41aに対する外部伝播光LIの入射角θ1(すなわち、外部伝播光LIが法線ベクトルVnと成す角)がブリュースター角を満たすように設定されている。具体的には、電気光学結晶基板41の屈折率をnとすると、次式
tanθ1=n …式1
が成立するように、角度θ1が設定されている。また、入射端41aの法線ベクトルVnと導波方向Yとの角度をθ2とすると、スネルの法則より、次式
sinθ1/sinθ2=n …式2
が成立する。また、入射端41aの傾斜角φは角度θ2に一致するため、次式
φ=θ2 …式3
が成立する。そして、これら式1〜式3を満足するように傾斜角φが設定されて、上記条件が満たされる。
上述した入射端41aと外部伝播光LIとの関係は、射出端41bと外部伝播光LOとの関係と同様である。つまり、上述の説明において、入射端41aを射出端41bに、外部伝播光LIを外部伝播光LOに、入射角θ1を射出角θ1に置き換えることで、射出端41bと外部伝播光LOとの関係を同様に導き出して、射出端41bの傾斜角φの設定に用いることができる。
ちなみに、後述するように、電気光学結晶基板41の屈折率nは、厳密には印加される電圧によって若干異なる。ただし、実使用上において屈折率nの変化は僅少であり、外部伝播光と導波路との結合効率が受ける影響は無視できる。したがって、入射端41aや射出端41bの傾斜角φを設定するにあたって用いる屈折率としては、例えば、接地電位が印加されている電気光学結晶基板41の屈折率nの測定値等を用いることができる。
このように入射端41aおよび射出端41bが傾斜角φで傾いているため、導波路41cは、導波方向Yに対して傾いた光ビームLI、LOと各端41a、41bで結合する。具体的には、光ビームが入射端41aに入射する入射方向Diは、入射端41aからY方向の負側へ離れるにつれて電極基板表面421fから離れるように導波方向Yに対して傾いており、導波路41cは入射方向Diから入射する光ビームLIと入射端41aで結合する。また、光ビームが射出端41bから射出する射出方向Doは、射出端41bからY方向の正側へ離れるにつれて電極基板表面421fから離れるように導波方向Yに対して傾いており、導波路41cは射出方向Doへ射出する光ビームLOと射出端41bで結合する。
なお、上述したとおり、電極基板表面421fでは、電気光学結晶基板41のY方向の両外側に、配線領域Awが隣接して設けられている。したがって、電気光学結晶基板41の入射端41aおよび射出端41bに対しては、Y方向において電気光学結晶基板41の外側から配線領域Awが隣接している。つまり、入射端41aおよび射出端41bがいずれも本発明の「配線隣接端部」に相当している。
ところで、結晶基板端41aが傾斜している構成では、外部伝播光LIの幅W1よりも導波路41cの幅W2が広くなる。ここで、この点について説明しておく。なお、この説明は、以下の定義
θi:外部伝播光LIが導波方向Yと成す角度
A:光線束である外部伝播光LIの幅W1の一端にある光線と入射端41aとの交点
B:光線束である外部伝播光LIの幅W1の他端にある光線と入射端41aとの交点
C:光線束である外部伝播光LIの幅W1の一端にある光線へ点Bからおろした垂線の足
D:導波路41cの幅W2の一端へ点Aからおろした垂線の足
を用いて行う。
この際、次式
sin{(π/2)−θi−φ}=BC/AB=W1/AB …式4
BC:点Bと点Cの間の距離
AB:点Aと点Bの間の距離
が成立する。さらに、三角形ABDにおいて、次式
cosφ=AD/AB=W2/AB …式5
AD:点Aと点Dとの距離
が成立する。したがって、次式
W2=W1×cosφ/cos(θi+φ)>W1 …式6
が成立する。つまり、外部伝播光LIの幅W1よりも導波路41cの幅W2が広くなっている。
このように構成した場合、外部伝播光LIのエネルギー密度に比較して、導波路41cにおける光ビームのエネルギー密度を低下させることができる。その結果、比較的高いエネルギーの外部伝播光LIを電気光学結晶基板41に入射させたとしても、電気光学結晶基板41内の導波路41cにおける光ビームのエネルギー密度を低下させて、電気光学結晶基板41にかかる負担を減少させることができる。その結果、紫外線などの高いエネルギーの光ビームを用いつつも、電気光学結晶基板41へのダメージを抑制することが可能となる。
電気光学結晶基板41は、リチウムナイオベート(LiNbO)(すなわち、ニオブ酸リチウムであり、LNと略称される)の単結晶で形成されており、例えば厚み(Z方向の寸法)が数十μm、好ましくは30μm以下で、長さ(Y方向の寸法)が8mmで、幅(X方向の寸法)が35mmの平板形状を有する。図7に示すように、電気光学結晶基板41では、Z方向において分極の向きが互いに反対である第1分極部411および第2分極部412がX方向に交互に配列されている。このように電気光学結晶基板41は、周期分極反転構造を有する強誘電体結晶基板である。なお、電気光学結晶基板41としては、LNの他にリチウムタンタレート(LiTaO:LT)なども利用可能であり、結晶軸は共に分極反転方向がポッケルス定数(電気光学定数)の値の大きなr33のZ軸方向となる。また、電気光学結晶基板41を構成する強誘電体結晶はZ板であり、電気光学結晶基板41の内部に形成されるスラブ導波路41cはZ板のZ面(XY平面)に平行である。
上述のとおり、電極基板421の表面421fには、複数の電極422がX方向に配列されている。これら電極422は、例えば第1および第2分極部411、412の配列周期の整数倍のピッチでX方向に配列されており、外部から付与された電圧を電気光学結晶基板41の内部に印加することができる。また、電圧印加部材42では、SiO(二酸化ケイ素)などの絶縁材料で構成される保護膜424が電極基板421の表面421fに積層されている。この保護膜424は、複数の電極422を覆うとともに、電圧印加部材42の表面を平坦化するために設けられる。そして、この保護膜424を介して、電極基板421の表面421fが電気光学結晶基板41の裏面41rに取り付けられている。
このように構成された空間光変調器33では、接地電位と異なる駆動電位が電極422に与えられると、駆動電位と接地電位との電位差に応じた電圧が電極422から電気光学結晶基板41の内部に印加される。一方、電気光学結晶基板41の内部では、第1分極部411と第2分極部412との間で屈折率の差が生じて、X方向に周期的な屈折率変化が発生し、回折格子が形成される。その結果、電気光学結晶基板41の内部をY方向に進行する光ビームはこの回折格子に回折されて、回折光Ldとして光軸OAに対して傾いた方向に回折される(図4)。ちなみに、この際の回折態様は、ブラック回折およびラマンナス回折のいずれでも構わない。一方、電極422に駆動電位が与えられていない部分(例えば接地電位が与えられている部分)を通過する光は、0次回折光L0として光軸OAに平行に進行する。
このように複数の電極422は、電気光学結晶基板41の内部のそれぞれが対向する部分に回折格子を適宜形成して、互いに独立して光ビームを変調することができる。換言すれば、複数の電極422は、互いに異なるチャンネルを電気光学結晶基板41の内部に形成する。こうして、空間光変調器33は、X方向(主走査方向Dx)に並ぶ複数のチャンネルで光ビームを変調することが可能となっている。
図3、図4に戻って、光学ヘッド3の構成説明を続ける。上記のように構成された空間光変調器33の射出側(図3、図4の右手側)に、光軸OAおよびX方向に垂直な方向にのみ正の集光機能を有するシリンドリカルレンズ34、レンズ351、アパーチャ3521を有するアパーチャ板352、レンズ353がこの順序で配置されている。シリンドリカルレンズ34は光軸OAおよびX方向に垂直な方向にのみ正の集光機能を有しており、空間光変調器33からの射出光LOは、シリンドリカルレンズ34にて当該垂直方向に関してほぼ平行な光とされ、正の集光機能を有するレンズ351に入射する。
ここで、レンズ351の前側焦点は電気光学結晶基板41の射出端41bの位置に設定されている。また、レンズ351の後側焦点にアパーチャ3521が位置するようにアパーチャ板352が配置される。したがって、電気光学結晶基板41中で回折を受けずにレンズ34を通過した0次光L0は、図4中に実線にて示すように、レンズ351を介してアパーチャ3521に集光し、当該アパーチャ3521を通過してレンズ353に入射する。このレンズ353は、前側焦点がアパーチャ3521の近傍に位置し、後側焦点がステージ170に保持された基板Wの表面上となるように配置されており、0次光L0はレンズ353を介して基板Wの表面上に照射されて露光される。一方、回折光Ldは、図4中に破線にて示すように、光軸OAに対して所定角度だけ傾いて電気光学結晶基板41から射出されるため、アパーチャ3521から離れた位置、つまりアパーチャ板352の表面で遮蔽される。
このように、本実施形態では、レンズ351、アパーチャ板352およびレンズ353により、いわゆるシュリーレン光学系35が構成されている。このシュリーレン光学系35は両側テレセントリック光学系と同等の配置であり、図3、図4に示すように、複数のチャンネルを有する光学ヘッド3で基板Wに露光する場合にも、その露光面(基板Wの表面)に対して各チャンネルの0次光L0の主光線(図4中の2点鎖線)は垂直であり、露光面のピント方向OAの変動に対して倍率の変化を受けない。その結果、高精度な露光が可能となる。
以上に説明したように、この空間光変調器33では、光ビームの入射側および射出側のそれぞれの端部41a、41bの間に導波路41cを設けた電気光学結晶基板41が具備されている。この電気光学結晶基板41は、外部を伝播する外部伝播光LI、LOと導波路41cとを端部41a、41bで結合することで、入射側の端部41aに外部伝播光LIとして入射した光ビームを導波路41cで導いて射出側の端部41bから外部伝播光LOとして射出する。また、導波路41cに対向して電極422が設けられるとともに、当該電極422に電気的に接続された配線423を有する電極基板421に電気光学結晶基板41が取り付けられている。そして、配線423を介して電極422に付与した電気信号を導波路41cへ印加して、導波路41cに回折格子を形成することができる。そのため、入射側の端部41aから入射して導波路41cを通過する光ビームを変調して射出側の端部41bから射出することで、被変調光ビームを得ることが可能となっている。
ところで、上記の配線423は、入射側および射出側の端部41a、41b(配線隣接端部)に隣接する配線領域Awで電極基板421に設けられている。かかる構成では、配線隣接端部41a、41bに入射あるいは射出する外部伝播光LI、LOが、配線領域Awで配線423を支持する電極基板421により散乱されるおそれがあった。特に、この実施形態では、外部伝播光LI、LOが広がりを持った光線束であるため、外部伝播光LI、LOが電極基板421により散乱されやすく、かかる問題が顕著になる傾向にある。
これに対して本実施形態では、配線隣接端部41a、41bから離れるにつれて配線領域Awから離れるように電極基板421の表面421fに対して傾く入射・射出方向Di、Do(傾斜方向)へ伝播する外部伝播光LI、LOが、配線隣接端部41a、41bで導波路41cに結合される。つまり、配線隣接端部41a、41bに入射あるいは射出する外部伝播光LI、LOの伝播方向Di、Doは、電極基板421の表面421fに対して傾いている。したがって、配線領域Awで配線423を支持する電極基板421と外部伝播光LI、LOとを離して、電極基板421による外部伝播光LI、LOの散乱を抑制することができ、被変調光ビームの量を確保することが可能となっている。
また、本実施形態では、配線隣接端部41a、41bは平面形状を有しており、外側を向く法線ベクトルVnが配線領域Awの側に傾くように仕上げられている。このような構成では、電極基板421に対して傾きつつ配線隣接端部41a、41bに入射あるいは射出する外部伝播光LI、LOと導波路41cとの結合効率を向上させて、被変調光ビームの量をより確実に確保することができる。
また、電気光学結晶基板41内の導波路41cは、シングルモードで光ビームを伝播させるように構成されていた。このように導波路41cをシングルモードで伝播する光ビームは、同様にシングルモードで伝播する外部伝播光LI、LOと効率的に結合する。その結果、導波路41cと外部伝播光LI、LOとの結合効率を向上させて、被変調光ビームの量をより確実に確保することができる。
また、配線隣接端部41a、41bに対してブリュースター角を成す傾斜方向Di、Doへ入射・射出(伝播)する外部伝播光LI、LOを、配線隣接端部41a、41bで導波路41cに結合するように、空間光変調器33を構成していた(すなわち、角度θ1=ブリュースター角)。このような構成は、配線隣接端部41a、41bにおけるTM(Transverse Magnetic)偏光の反射を防止することができ、被変調光ビームの量をより確実に確保するにあたって有利となる。
この際、光源部31に直線偏光光を発生する光源を用いてTM偏光となる向きで結晶に入射させても良いし、偏光板、偏光ビームスプリッタ、ローションプリズム等の偏光素子(図示省略)を設けておき、光源部31からTM偏光を光ビームとして射出するように構成しても良い。これによって、配線隣接端部41a、41bでの光ビームの反射を防止することができる。
このように、上記実施形態では、空間光変調器33が本発明の「空間光変調器」に相当し、電気光学結晶基板41が本発明の「光学素子」に相当し、入射端41aおよび射出端41bがそれぞれ本発明の「端部」「配線隣接端部」に相当し、導波路41cが本発明の「導波路」に相当し、光ビームLI、LOが本発明の「外部伝播光」に相当し、電極基板421が本発明の「基板」に相当し、電極422が本発明の「電極」に相当し、配線423が本発明の「配線」に相当し、配線領域Awが本発明の「配線領域」に相当し、入射方向Diおよび射出方向Doが本発明の「傾斜方向」に相当している。また、法線ベクトルVnが本発明の「法線ベクトル」に相当し、Y方向が本発明の「導波方向」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、導波路41cはシングルモードで光ビームを導波方向Yへ導波するものであった。しかしながら、導波路41cの構成はこれに限られず、マルチモードで光ビームを導波方向Yへ導波するように導波路41cを構成しても構わない。
また、上記実施形態では、入射端41aおよび射出端41bに対する外部伝播光LI、LOの角度θ1がブリュースター角を満たすように、入射端41aおよび射出端41bの傾斜角φが設定されていた。しかしながら、角度θ1の設定値はこれに限られず、必要に応じて変更しても構わない。
また、上記実施形態では、接地電位が与えられる接合部44と電極422とで電気光学結晶基板41を挟み込んで、電極422に駆動電位を与えることで、X方向に周期的な屈折率変化を電気光学結晶基板41内に形成していた。しかしながら、このような屈折率変化を電気光学結晶基板41内に形成するための具体的な構成はこれに限られない。そこで、例えば、電気光学結晶基板41の裏面41r側において、接地電位が与えられる電極422と駆動電位が与えられる電極422をX方向に交互に並べて、X方向に周期的な屈折率変化を電気光学結晶基板41内に形成できるように構成しても良い。
ところで、上述の式1〜式3に基づいて入射端41aおよび射出端41bの傾斜角φを設定した場合、結晶基板端41a、41bの近傍で屈折率に変化があると、結晶基板端41a、41bと外部伝播光LI、LOとの結合効率に若干の影響が生じるとも考えられる。ほとんどの場合では、当該影響は無視できる。ただし、次のように構成して、当該影響を排除するように構成しても良い。具体的には、導波方向Yにおいて結晶基板端41a、41bに対して導波路41cの内側へ隙間を空けて、電極422を設けても良い。このように結晶基板端41a、41bと電極422との間に隙間を設けることで、結晶基板端41a、41bの直近へは電気信号がほぼ印加されないため、結晶基板端41a、41bの直近での屈折率分布の発生を抑止できる。その結果、結晶基板端41a、41bでの導波路41cと外部伝播光LI、LOとの結合効率を良好に保つことができる。
また、上記実施形態では、電気光学結晶基板41のY方向の両側に配線領域Awが設けられていた。しかしながら、電気光学結晶基板41のY方向の一方側にのみ配線領域Awを設けるように構成しても良い。この際、配線領域Awによる光ビームの散乱は、当然のことながら配線領域Awが設けられた一方側でのみ発生しうる。したがって、導波路41cの導波方向Yに対して傾いた外部伝播光LI、LOと導波路41cとを結合するといった構成は、電気光学結晶基板41のY方向の一方側に対してのみ適用すれば足りる。
また、上記実施形態では、本発明にかかる空間光変調器33をパターン描画装置に適用した場合について説明した。しかしながら、本発明の適用対象はパターン描画装置に限られず、例えば空間光変調器33を備えた光集積回路に本発明を適用しても構わない。
図8は、本発明にかかる空間光変調器を装備した光集積回路を模式的に示す側面図である。この光集積回路5は、空間光変調器33以外に、例えば半導体レーザ、光導波路、光フィルター、光スイッチ等で構成される回路素子50を、同一の電極基板421上に具備する。これら回路素子50および空間光変調器33はY方向に互いに隣接して、電極基板421の表面421fに集積されている。そして、回路素子50から射出された光ビームが、空間光変調器33が備える電気光学結晶基板41に入射する。上述と同様に、電気光学結晶基板41は、入射端41aから入射した光ビームを導波路41cで案内して射出端41bから射出する。
また、電気光学結晶基板41と電極基板421の間には、電極422が設けられている。したがって、電極422から電圧を印加して導波路41cに回折格子を適宜形成することで、回路素子50から射出されて導波路41cを通過する光ビームを変調して、被変調光ビームを射出端41bから射出することができる。
ところで、電極基板421の表面421fでは、空間光変調器33のY方向負側に隣接して回路素子50が配置されている。したがって、電極422に接続された配線423を、空間光変調器33のY方向負側に引き出すことはできない。そこで、電極基板421の表面421fでは、空間光変調器33のY方向正側に配線領域Awが設けられており、配線423はこの配線領域Awに引き出されている。
かかる構成では、空間光変調器33に対して回路素子50の反対側に位置する射出端41bに隣接して配線領域Awが設けられており、すなわち射出端41bが配線領域Awと隣接する配線隣接端部となる。そのため、配線隣接端部41bから射出する外部伝播光LOが、配線領域Awで配線423を支持する電極基板421により散乱されるおそれがあった。これに対応するため、上記実施形態と同様に、配線隣接端部41bが導波方向Yに対して傾いて形成されている。その結果、配線隣接端部41bから離れるにつれて配線領域Awから離れるように電極基板421の表面421fに対して傾く射出方向Do(傾斜方向)へ伝播する外部伝播光LOが、配線隣接端部41bで導波路41cに結合される。したがって、配線領域Awで配線423を支持する電極基板421と外部伝播光LOとを離して、電極基板421による外部伝播光LOの散乱を抑制することができ、被変調光ビームの量を確保することが可能となっている。
なお、図8では、空間光変調器33の入射側に回路素子50を配置した例を示して説明を行った。しかしながら、空間光変調器33の射出側に回路素子50を配置しても構わない。ただし、この場合、電極基板421の表面421fでは、空間光変調器33のY方向正側に隣接して回路素子50が配置される。したがって、電極422に接続された配線423を、空間光変調器33のY方向正側に引き出すことはできない。そこで、電極基板421の表面421fでは、空間光変調器33のY方向負側に配線領域Awが設けられており、配線423はこの配線領域Awに引き出せば良い。
また、この場合には、上記実施形態と同様に、配線隣接端部41aを導波方向Yに対して傾けて形成すれば良い。これによって、配線隣接端部41aから離れるにつれて配線領域Awから離れるように電極基板421の表面421fに対して傾く入射方向Di(傾斜方向)へ伝播する外部伝播光LIが、配線隣接端部41aで導波路41cに結合される。したがって、配線領域Awで配線423を支持する電極基板421と外部伝播光LIとを離して、電極基板421による外部伝播光LIの散乱を抑制することができ、被変調光ビームの量を確保することが可能となる。
ここでは、上記した式1〜式6を満たす具体的な数値例を示す。下の表は、電気光学結晶基板41を構成する強誘電体結晶として、SLT(Stoichiometric Lithium Tantalate)結晶を用いた場合の数値例と、MgLN結晶を用いた場合の数値例とを併記して示したものである。なお、SLT結晶を用いた設計例では、波長355nmの光ビームが用いられ、強誘電体結晶の屈折率nは2.34であり、MgLN結晶を用いた数値例では、波長633nmの光ビームが用いられ、強誘電体結晶の屈折率は2.20で計算を行った。
Figure 0006022859
この発明は、光を変調する空間光変調器、および空間光変調器を具備する装置全般において好適に利用することが可能である。
3:光学ヘッド
33:空間光変調器
331:電気回路基板
41:電気光学結晶基板
41a:入射端
41b:射出端
41c:導波路
41f:電気光学結晶基板の表面
42:電圧印加部材
421:電極基板
421f:電極基板表面
422:電極
423:配線
5:光集積回路
50:回路素子
100:パターン描画装置
Aw:配線領域
Di:入射方向(傾斜方向)
Do:射出方向(傾斜方向)
LI:光ビーム(外部伝播光)
LO:光ビーム(外部伝播光)
Vn:法線ベクトル
Y:導波方向

Claims (10)

  1. 光の入射側および射出側のそれぞれに設けられた端部および前記端部の間に設けられた導波路を有し、外部を伝播する外部伝播光と前記導波路とを前記端部で結合することで、前記入射側の前記端部に前記外部伝播光として入射した光を前記導波路で導いて前記射出側の前記端部から前記外部伝播光として射出する光学素子と、
    その表面に前記光学素子が取り付けられた基板と、
    前記導波路に対向して設けられた電極と、
    前記入射側および前記射出側の前記端部のうちの少なくとも一の配線隣接端部に前記光学素子の外側から隣接する配線領域で前記基板の前記表面に設けられて前記電極に電気的に接続された配線と
    を備え、
    前記導波路は、前記配線を介して前記電極に与えられた電気信号が印加された部分に回折格子を形成し、
    前記光学素子は、外側を向く法線ベクトルが前記配線領域の側に傾く平面を、前記配線隣接端部として有し、前記配線隣接端部から離れるにつれて前記配線領域から離れるように前記基板の前記表面に対して傾いて前記配線隣接端部に対してブリュースター角を成す傾斜方向へ伝播する前記外部伝播光を、前記配線隣接端部で前記導波路に結合する空間光変調器。
  2. 前記導波路は、シングルモードで光を伝播させる請求項1に記載の空間光変調器。
  3. 前記導波路は、前記電気信号が印加された部分に生じる屈折率分布によって前記回折格子を形成する請求項1または2に記載の空間光変調器。
  4. 前記電極は、前記導波路の光の導波方向において、前記配線隣接端部に対して前記導波路の内側へ隙間を空けて設けられた請求項3に記載の空間光変調器。
  5. 前記光学素子は強誘電体結晶で構成される請求項1ないし4のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  6. 前記強誘電体結晶は周期分極反転構造を有する請求項5に記載の空間光変調器。
  7. 前記強誘電体結晶はZ板であり、前記導波路は前記強誘電体結晶のZ面に平行である請求項5または6に記載の空間光変調器。
  8. 前記電極は、前記基板と前記光学素子との間で前記基板の前記表面に設けられ、前記配線は、前記電極から前記配線領域まで引き出された請求項1ないし7のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  9. 空間光変調器を備えた光集積回路において、
    前記空間光変調器は、
    光の入射側および射出側のそれぞれに設けられた端部および前記端部の間に設けられた導波路を有し、外部を伝播する外部伝播光と前記導波路とを前記端部で結合することで、前記入射側の前記端部に前記外部伝播光として入射した光を前記導波路で導いて前記射出側の前記端部から前記外部伝播光として射出する光学素子と、
    その表面に前記光学素子が取り付けられた基板と、
    前記導波路に対向して設けられた電極と、
    前記入射側および前記射出側の前記端部のうちの少なくとも一の配線隣接端部に前記光学素子の外側から隣接する配線領域で前記基板の前記表面に設けられて前記電極に電気的に接続された配線と
    を備え、
    前記導波路は、前記配線を介して前記電極に与えられた電気信号が印加された部分に回折格子を形成し、
    前記光学素子は、外側を向く法線ベクトルが前記配線領域の側に傾く平面を、前記配線隣接端部として有し、前記配線隣接端部から離れるにつれて前記配線領域から離れるように前記基板の前記表面に対して傾いて前記配線隣接端部に対してブリュースター角を成す傾斜方向へ伝播する前記外部伝播光を、前記配線隣接端部で前記導波路に結合する光集積回路。
  10. 前記空間光変調器とは別に回路素子をさらに備えた請求項9に記載の光集積回路において、
    前記入射側および前記射出側の前記端部のうち、1個が前記配線隣接端部であるとともに1個が前記回路素子に隣接し、前記配線領域が前記光学素子に対して前記回路素子の反対側に位置する前記配線隣接端部に対して設けられている光集積回路。
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