JP6022181B2 - 抵抗分布表示装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、大規模回路に関して、電源電圧の変動が一定値以下に収まることを検証することを目的とする回路検証装置が記載されている。前記目的を達成するために、電源からの電力を消費する回路素子の平均消費電流を用いた静的な回路解析を行なって、LSIレイアウト上の電源電圧降下の分布を求めて、大規模回路の電源電圧降下の検証を行うようにしている。
また、非特許文献2に記載された発明では、LSIレイアウト上の任意の2点間の抵抗値を得ることを目的として、試作品(実機)を作成し、測定器を用いて2点間の抵抗値測定を行うようにしている。
非特許文献1記載の発明では動的な解析を行うため、前記特許文献1記載の発明の問題点を解決できるが、最悪のケースを想定した様々な動作パターンの回路シミュレーションを実行する必要があるため、解析に時間がかかるという問題がある。
また、非特許文献2記載の発明では、LSIレイアウトの抵抗分布を得るために、試作品を作成し実測するようにしているため、コストや時間がかかりすぎるという問題がある。
また、コンピュータが本発明の抵抗分布表示処理プログラムを実行することにより、回路要素の抵抗分布を短時間で得ることができると共に抵抗分布の認識が容易な抵抗分布表示装置を構築することが可能になる。
また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録した抵抗分布表示処理プログラムをコンピュータに実行させることにより、回路要素の抵抗分布を短時間で得ることができると共に前記抵抗分布の認識が容易な抵抗分布表示装置を構築することが可能になる。
図1は、本発明の実施の形態に係る抵抗分布表示装置100のブロック図である。図1において、抵抗分布表示装置100は、操作部101、抵抗分布算出部102、表示部103及び記憶部104を備えている。
記憶部104は、回路要素のレイアウトデータ105及び単位抵抗値データ106を予め記憶している。レイアウトデータ105には、回路要素の形状や大きさのデータ、厚みのデータ、配置座標のデータ、抵抗値計算の基準点を表すデータが含まれている。抵抗値計算の基準点を表すデータは使用者が操作部101によって入力するように構成することも可能であり、この場合には、抵抗値計算の基準点を表すデータはレイアウトデータ105に含まれないように構成することができる。
回路要素には、単一の回路要素のみならず、複数の回路要素によって構成される電子回路も含まれる。また、複数の回路要素の中のいずれかを選択して抵抗分布を表示させるように構成する場合には、記憶部104には、複数の回路要素のレイアウトデータ105及び単位抵抗値データ106を予め記憶するように構成する。
表示部103は、抵抗分布算出部102が算出した抵抗分布をグラデーション表示する。抵抗分布のグラデーション表示は、色の濃淡の変化や色彩の変化によって、分布する抵抗値の変化を連続的な変化として表示するものである。例えば、抵抗分布のグラデーション表示として、抵抗分布における抵抗値の大小関係を、グレースケール表示、カラー表示、ドット表示、等高線表示又は立体表示によって表す表示とすることができる。
単色表示の場合には、表示する値に応じて当該色の濃さ又は明るさ(明度)を連続的(アナログ的)に変化させるグレースケール表示とすることができる。
ドット表示の場合、抵抗値の大きさに応じた密度(例えば抵抗値が小さい領域は小さい密度、抵抗値が大きい領域は大きい密度)の点の集合による表示とすることができる。
等高線表示の場合、抵抗値の大きさに応じた密度(例えば抵抗値が小さい領域は小さい密度、抵抗値が大きい領域は大きい密度)の等高線による表示とすることができる。
立体表示の場合、水平面方向を回路要素の存在領域とすると共に前記水平面に直交する方向を回路要素の各点の抵抗値として抵抗分布をアナログ的に立体表示するように構成することができる。
抵抗分布表示装置100は、図1のようにハードウェアによって構成することができるが、コンピュータ(図示せず)に所定のプログラム(抵抗分布表示処理プログラム)を実行させることによって抵抗分布表示装置100を構成することができる。この場合、前記抵抗分布表示処理プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体107に記録しておき、コンピュータにインストールして実行させるように構成することができる。また、抵抗分布算出部102を中央処理装置(CPU)によって構成することができる。
図4〜図8は、本発明の実施の形態に係る抵抗分布表示装置100の動作説明図である。
本実施の形態では、抵抗分布を表示する回路要素の例として、図4に示すように、大規模集積回路(LSI)に用いる配線パターン303の例を挙げている。
図7は、本発明の実施の形態において抵抗分布を求める際の説明図である。
図8は、図6に示した配線パターン303の抵抗分布を、単一色の階調(グレースケール)表示によってグラデーション表示した例である。
図1において、使用者が操作部101を操作して、配線パターン303の抵抗分布の算出を指示すると、抵抗分布算出部102は、記憶部104から配線パターン303のレイアウトデータ105と単位抵抗値データ106を読み込む(ステップS201)。レイアウトデータ105は例えばGDSII形式のデータである。
本実施の形態では、配線パターン303の厚みは既知の一定値としており、単位面積当たりの抵抗値を単位量当たりの抵抗値として用いている。配線パターン303のレイアウトデータのうち、形状、幅及び長さのデータに基づいて配線パターン303の抵抗分布が算出される。配線パターンの種類によって厚みが異なる場合には単位面積当たりの抵抗値が異なることになるが、この場合は単位体積当たりの抵抗値を単位抵抗値として用い、配線パターンの形状や体積に基づいて抵抗分布を算出することができる。
図5のようにメッシュ分割された配線パターン303は、図6に示すように、各隣り合う頂点A1〜An、B1、B2を抵抗素子によって接続した構成(換言すれば、各隣り合う頂点A1〜An、B1、B2を接続する線分を抵抗素子に置き換えた構成)と等価な回路として表される。
各頂点A1〜Anの抵抗値は、接地電位であり基準点でもあるソース301(換言すれば、接地電位であるB1、B2)を基準とする値であり、以後、抵抗値R1〜Rnと表す。
図7は、コントロールボリューム法を用いてコンダクタンス行列Gを求める際の説明図である。
頂点Aiの支配領域が隣接する支配領域と接する面をSで表し、この面Sにおける電流密度をJで表すと、静電場の連続の式は次式(1)で表される。
尚、Vi、Vjは頂点Ai、頂点Ajの電位、Eは電界、Ejiは頂点Aiと頂点Ajの中間点における電界強度、ρは導体の抵抗率、ljiは頂点Ajと頂点Aiの距離、Sjiは頂点Aiの支配領域の断面のうち頂点Aiと頂点Ajを結ぶ辺<i,j>と交わる断面の長さ、hjiは断面の厚さ、である。
前記式(2)は頂点Aiに流れ込む電流の総和がゼロというキルヒホッフの電流則を表している。したがって、頂点Aiと頂点Aj間のコンダクタンスgjiを次式(3)のように定義すると、
次に抵抗分布算出部102は、抵抗値R1〜Rnを用いてグラデーション表示用データを生成する(ステップS205)。
図3は、処理ステップ205の処理内容を詳細に示すフローチャートである。本実施の形態では、配線パターン303の抵抗分布をグレースケール表示するためのグラデーション表示用データを生成する。
0〜(N−1)までの整数を階調番号iと呼び、階調番号iに対して明度Miを対応付ける関数を、明度関数f(i)として決定する(ステップS302)。明度Miと明度関数f(i)の関係は次式(7)で表される。明度関数f(i)は予め定めた関数であり、一つの明度関数を用意するように構成してもよく、あるいは、複数の明度関数を用意しておいてその中から選択するように構成してもよい。
Mi=f(i) (7)
次に抵抗分布算出部102は、各メッシュ領域401の頂点Ajについて、次式(8)を用いて、当該頂点Ajの抵抗値Rjから当該頂点Ajの階調番号Kjを算出する(ステップS304)。
Kj=N・(Rj−Rmin)/(Rmax−Rmin) (8)
次に抵抗分布算出部102は、各メッシュ領域401の内部を、当該メッシュに属する頂点の明度が滑らかに連続するように補完しながら塗りつぶす(ステップS306)。
これにより、グレースケール表示用のグラデーション表示用データが生成される。
抵抗分布算出部102は、抵抗分布をグラデーション表示させるために、生成したグラデーション表示用データを表示部103に出力する(ステップS206)。
表示部103は前記グラデーション表示用データを表示する。これにより、表示部103には、図8に示すように、グレースケール表示によって、配線パターン303の抵抗分布がグラデーション表示される。
このようにして、本発明の第1の実施の形態によれば、回路要素の抵抗分布を短時間で得るようにすると共に前記抵抗分布の認識を容易に行い得るようにすることが可能になる。
本他の実施の形態では、前記実施の形態の図3の処理に代えて、グラデーション表示用データとしてカラー表示用のデータを生成し表示する点で相違しているが、その他の点は前記実施の形態と同じである。以下、図9に沿って、グラデーション表示をカラーで行う際の動作を説明する。
0〜(N−1)までの整数を色番号iと呼び、色番号iに対してR(赤)、G(緑)、B(青)各色の強度<R,G,B>を対応づける関数を、色関数<fR(i),fG(i),fB(i)>として次式(9)のように決定する(ステップS402)。
赤関数fR(i)、緑関数fG(i)、青関数fB(i)は、各々、R、G、Bの強度を決める関数であり、これらを組み合わせることによって色関数<fR(i),fG(i),fB(i)>が構成されている。
<R,G,B>=<fR(i),fG(i),fB(i)> (9)
次に抵抗分布算出部102は、各メッシュ領域401の頂点Ajについて、次式(10)を用いて、当該頂点Ajの抵抗値Rjから当該頂点Ajの色番号Cjを算出する(ステップS404)。
Cj=N・(Rj−Rmin)/(Rmax−Rmin) (10)
次に抵抗分布算出部102は、各メッシュ領域401の内部を、当該メッシュに属する各頂点の色が滑らかに連続するように補完しながら塗りつぶす(ステップS406)。これによって、カラー表示用のグラデーション表示用データが生成される。
このようにして本他の実施の形態においても、回路要素の抵抗分布を短時間で得るようにすると共に前記抵抗分布の認識を容易に行い得るようにすることが可能になる。
図10において、回路要素は、ソース端子701とドレイン端子702間に、配線パターン703、抵抗素子705及び配線パターン704が直列接続された構成である。
これにより、回路要素の抵抗分布を短時間で得るようにすると共に前記抵抗分布の認識を容易に行い得るようにすることが可能になる。
本他の実施の形態によっても、回路要素の抵抗分布を短時間で得るようにすると共に前記抵抗分布の認識を容易に行い得るようにすることが可能になる。
また、前記抵抗分布のグラデーション表示は、前記抵抗分布における抵抗値の大小関係を表すグレースケール表示、カラー表示、ドット表示、等高線表示又は立体表示であるように構成することができる。
また、前述した特許文献1や非特許文献1記載の発明では回路要素の動作に依存したため正確な電源配線網の検証が困難であったが、本発明の実施の形態では回路要素の動作に依存せずに電源配線網の検証を行うことが可能である。
また、LSIレイアウトやFPDレイアウトにおける回路要素の抵抗分布を認識しやすい態様で表示することができる。抵抗値の大きさに応じてグラデーション表示できるので、抵抗が大きい箇所を視覚的に容易に把握することができる。
また、本実施の形態によれば、並列処理により高速に抵抗分布の計算を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録した抵抗分布表示処理プログラムをコンピュータに実行させることにより、回路要素の抵抗分布を短時間で得ることができると共に前記抵抗分布の認識が容易な抵抗分布表示装置を構築することが可能になる。
抵抗分布算出手段が、回路要素の抵抗分布の算出を指示する指示手段による前記回路要素の抵抗分布の算出指示に応答して、記憶手段に記憶された前記回路要素のレイアウトを表すレイアウトデータと前記回路要素の単位量当たりの抵抗値を表す単位抵抗値データと用いて前記回路要素の抵抗分布を算出する抵抗分布算出ステップと、
表示手段が、前記抵抗分布算出手段が算出した抵抗分布をグラデーション表示する抵抗分布表示ステップとを備えて成ることを特徴としている。
また、本発明の実施の形態に係るプログラムをコンピュータが実行することにより、回路要素の抵抗分布を短時間で得ることができると共に抵抗分布の認識が容易な抵抗分布表示方法を実行することが可能になる。
また、静電破壊(ESD)の検査にも利用可能である。また、LSIの電源端子間の抵抗値や、電源端子とESD保護素子の間の抵抗値を求め、規定値以下であることを検査する場合にも利用可能である。また、有機EL(OLED)照明の透明電極上の抵抗分布表示にも利用可能である。
101・・・操作部
102・・・抵抗分布算出部
103・・・表示部
104・・・記憶部
105・・・レイアウトデータ
106・・・単位抵抗値データ
107・・・記録媒体
301、701・・・ソース端子
302、702・・・ドレイン端子
303、703、704・・・配線パターン
401・・・メッシュ領域
501・・・領域
705・・・抵抗素子
A1〜Ak〜An、B1、B2・・・頂点
Claims (4)
- 回路要素のレイアウトを表すレイアウトデータと前記回路要素の単位量当たりの抵抗値を表す単位抵抗値データとを記憶する記憶手段と、
回路内に設定された基準点から回路要素内の複数の点までの抵抗値の分布である抵抗分布の算出を指示する指示手段と、
前記指示手段による抵抗分布の算出指示に応答して、前記記憶手段に記憶された回路要素のレイアウトデータと単位抵抗値データとを用いて前記回路要素の抵抗分布を算出する抵抗分布算出手段と、
前記抵抗分布算出手段が算出した抵抗分布をグラデーション表示する表示手段とを備えて成り、
前記抵抗分布算出手段は、前記回路要素のレイアウトを複数の多角形のメッシュ領域に分割し、前記基準点から前記各メッシュ領域の各頂点までの抵抗値の分布を前記回路要素の抵抗分布として算出することを特徴とする抵抗分布表示装置。 - 前記抵抗分布算出手段は、前記各メッシュ領域の各辺のコンダクタンスに関するコンダクタンス行列を求め、前記コンダクタンス行列の逆行列の対角要素を、前記基準点から前記各メッシュの各頂点までの抵抗値として求めることにより、前記回路要素の抵抗分布を算出することを特徴とする請求項1記載の抵抗分布表示装置。
- 前記抵抗分布のグラデーション表示は、前記抵抗分布における抵抗値の大小関係を表すグレースケール表示、カラー表示、ドット表示、等高線表示又は立体表示であることを特徴とする請求項1又は2記載の抵抗分布表示装置。
- コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか一に記載の抵抗分布表示装置として機能させるための抵抗分布表示処理プログラム。
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