(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。
図1は、本実施形態のエネルギー処置システム1の構成を示す図である。図1に示すように、エネルギー処置システム1は、エネルギー処置具(ハンドピース)2を備える。エネルギー処置具2は、長手軸Cを有する。ここで、長手軸Cに平行な方向を長手方向とする。長手方向の一方側が先端方向(図1の矢印C1の方向)であり、先端方向とは反対側が基端方向(図1の矢印C2の方向)である。本実施形態では、エネルギー処置具2は、エネルギーとして超音波振動を用いて生体組織等の処置対象の処置を行う超音波処置具であるとともに、エネルギーとして高周波電力(高周波電流)を用いて処置対象の処置を行う高周波処置具である。
エネルギー処置具2は、保持ユニット(ハンドルユニット)3を備える。保持ユニット3は、長手軸Cに沿って延設される筒状ケース部5と、長手軸Cに対して交差するある1つの方向に向かって筒状ケース部5から延設される固定ハンドル6と、を備える。筒状ケース部5及び固定ハンドル6は、一体に形成されている。筒状ケース部5には、可動ハンドル7が回動可能に取付けられている。筒状ケース部5への取付け位置を中心として可動ハンドル7が回動することにより、可動ハンドル7が固定ハンドル6に対して開動作又は閉動作を行う。本実施形態では、可動ハンドル7は、固定ハンドル6より先端方向側に位置している。また、保持ユニット3は、筒状ケース部5の先端方向側に取付けられる回転操作入力部である回転操作ノブ8を備える。回転操作ノブ8は、筒状ケース部5に対して長手軸Cを中心として回転可能である。
また、保持ユニット3の筒状ケース部5には、エネルギー操作入力部であるエネルギー操作入力ボタン9A〜9Cが取付けられている。エネルギー操作入力ボタン9A,9Bは、長手軸Cを中心として、固定ハンドル6が位置する側に位置している。また、本実施形態では、エネルギー操作入力ボタン9A,9Bは、固定ハンドル6より先端方向側に位置している。エネルギー操作入力ボタン9Cは、長手軸Cを中心として、固定ハンドル6が位置する側とは反対側に位置している。エネルギー操作入力ボタン9A〜9Cは、筒状ケース部5に対して着脱可能である。
エネルギー処置具2は、振動子ユニット11を備える。振動子ユニット11は、振動子ケース12を備える。振動子ケース12は、回転操作ノブ8と一体に、長手軸Cを中心として筒状ケース部5に対して回転可能である。振動子ケース12が基端方向側から筒状ケース部5の内部に挿入されることにより、振動子ケース12が保持ユニット3に取付けられる。振動子ケース12には、ケーブル13の一端が接続されている。エネルギー処置システム1は、例えばエネルギー制御装置であるエネルギー源ユニット15を備える。ケーブル13の他端は、エネルギー源ユニット15に接続されている。本実施形態では、エネルギー源ユニット15は、超音波エネルギー源16と、高周波エネルギー源17と、制御部18と、を備える。超音波エネルギー源16及び高周波エネルギー源17は、例えば電源及び変換回路から形成されている。制御部18は、例えばCPU(Central Processing
Unit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えるプロセッサから形成されている。また、エネルギー源ユニット15は、エネルギー操作入力部であるフットスイッチ等のエネルギー操作入力スイッチ10に電気的に接続されている。エネルギー操作入力スイッチ10は、エネルギー処置具2とは別体で設けられている。
図2は、振動子ユニット11の構成を示す図である。図2に示すように、振動子ユニット11は、振動子ケース12の内部に設けられる振動発生部である超音波振動子21を備える。超音波振動子21は、電流(交流電流)を超音波振動に変換する複数(本実施形態では6つ)の圧電素子22を備える。超音波振動子21には、それぞれの電気経路部23A,23Bの一端が接続されている。それぞれの電気経路部23A,23Bは、ケーブル13の内部を通って延設され、それぞれの電気経路部23A,23Bの他端は、エネルギー源ユニット15の超音波エネルギー源16に接続されている。電気経路部23A,23Bは、振動子ケース12の内部に延設される電気配線、ケーブル13の内部に延設される電気配線等から形成されている。超音波エネルギー源16から電気経路部23A,23Bを介して超音波振動子21に超音波電力(超音波エネルギー)が供給されることにより、超音波振動子21で超音波振動が発生する。すなわち、超音波エネルギー源16は、超音波振動子21に供給されるエネルギーである超音波電力を出力する。そして、超音波電力(交流電流)が供給されることにより、超音波振動子21で処置に用いられるエネルギーとして超音波振動が発生する。
超音波振動子21は、筒状の素子装着部材25に取付けられている。圧電素子22を含む超音波振動子21は、素子装着部材25の外周面に固定されている。素子装着部材25の先端方向側には、筒状のホーン部材26が接続されている。ホーン部材26は、超音波振動子21の先端方向側に連続している。ホーン部材26は、長手軸Cに垂直な断面積が先端方向へ向かって減少する断面積変化部27を備える。超音波振動子21で発生した超音波振動は、ホーン部材26に伝達され、ホーン部材26において基端方向から先端方向へ伝達される。ホーン部材26に伝達された超音波振動の振幅は、断面積変化部27で拡大される。また、ホーン部材26及び素子装着部材25が筒状に形成されるため、ホーン部材26の内部及び素子装着部材25の内部には、空洞部28が形成されている。空洞部28は、素子装着部材25の基端からホーン部材26の先端まで長手軸Cに沿って延設されている。
図2に示すように、振動子ケース12には、振動子ケース12の基端を形成するケース基端壁31が設けられ、ケース基端壁31には、筒状の接続部材32が固定されている。接続部材32は、振動子ケース12の内部においてケース基端壁31から先端方向へ突出している。接続部材32は、筒状の振動減衰部材33を介して、素子装着部材25に基端方向側から連結されている。また、長手軸Cに平行な長手方向について振動減衰部材33は、接続部材32と抜止め部材35との間に挟まれ、振動減衰部材33の接続部材32及び素子装着部材25に対する長手方向についての移動が規制されている。
接続部材32及び振動減衰部材33が筒状に形成されるため、接続部材32の内部及び振動減衰部材33の内部には、空間部36が形成されている。空間部36は、接続部材32の基端から振動減衰部材33の先端まで長手軸Cに沿って延設されている。空間部36の先端は、素子装着部材25の内部に延設される空洞部28の基端に連通している。また、空間部36の基端は、振動子ユニット11の外部(振動子ケース12の外部)に対して開口している。
図1に示すように、エネルギー処置具2は、長手軸Cに沿って延設されるシース40を備える。シース40が先端方向側から回転操作ノブ8の内部及び筒状ケース部5の内部に挿入されることにより、シース40が保持ユニット3に取付けられる。すなわち、シース40の基端方向側に保持ユニット3が、連結される。筒状ケース部5の内部では、振動子ケース12の先端方向側にシース40が取付けられている。また、エネルギー処置具2は、シース40に挿通されるプローブ(超音波プローブ)41を備える。プローブ41は、保持ユニット3の内部(筒状ケース部5の内部)からシース40の内部を通って、長手軸Cに沿って先端方向へ向かって延設されている。本実施形態では、長手軸Cは、プローブ41の中心軸と一致する。プローブ41は、プローブ先端部とプローブ基端部を有し、プローブ基端部からプローブ先端部に向かって長手軸Cに沿って延設されている。プローブ41のプローブ先端部には、処置部42が設けられている。ここで、プローブ41においてプローブ先端部に向かう方向をプローブ先端部方向とし、プローブ41においてプローブ基端部に向かう方向をプローブ基端部方向とする。本実施形態では、プローブ先端部方向は前述の先端方向と一致し、プローブ基端部方向は前述の基端方向と一致する。処置部42は、シース40の先端からプローブ先端部方向へ向かって突出している。
また、シース40の先端部には、ジョー43が回動可能に取付けられている。固定ハンドル6に対して可動ハンドル7を開動作又は閉動作させることにより、シース40に設けられる可動部(図示しない)が長手軸Cに沿って移動する。これにより、ジョー43が回動し、ジョー43がプローブ41の処置部42に対して開動作又は閉動作する。シース40、プローブ41及びジョー43は、回転操作ノブ8と一体に、筒状ケース部5に対して長手軸Cを中心として回転可能である。
図3は、プローブ41及びホーン部材26の先端部の構成を示す図である。図3に示すように、プローブ41は、長手軸Cに沿って延設されている。ホーン部材26の先端部には、雌ネジ部45Aが形成され、プローブ41の基端部には、雄ネジ部45Bが形成されている。雌ネジ部45Aに雄ネジ部45Bが螺合することにより、ホーン部材26の先端方向側にプローブ41が接続される。プローブ41は、保持ユニット3の筒状ケース部5の内部で、ホーン部材26に接続されている。
プローブ41の内部には、長手軸Cに沿って中空部46が形成されている。中空部46は、プローブ41のプローブ基端部からプローブ41のプローブ先端部(処置部42)まで延設されている。中空部46は、処置部42の外表面に位置する開口部47で、プローブ41の外部に対して開口している。開口部47は、プローブ41の内部の中空部46とプローブ41の外部とを連通させている。プローブ41がホーン部材26に接続された状態では、中空部46の基端は、ホーン部材26の内部に延設される空洞部28の先端に連通している。したがって、プローブ41がホーン部材26に接続された状態では、中空部46の開口部47と空間部36の基端との間は、中空部46、空洞部28及び空間部36を介して連通している。
超音波振動子21からホーン部材26に伝達された振動は、超音波プローブ41に伝達される。そして、超音波プローブであるプローブ41は、エネルギーである超音波振動をプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ伝達する。そして、処置部42が、伝達された超音波振動を用いて処置を行う。この際、素子装着部材25、ホーン部材26及びプローブ41によって、超音波振動子21で発生した超音波振動を伝達し、超音波振動によって振動する振動体ユニット20が形成されている。なお、ホーン部材26の断面積変化部27より基端側に位置する素子装着部材25では、超音波振動による振動の振幅は大きくならない。また、素子装着部材25からプローブ基端部方向へ伝達される超音波振動は、振動減衰部材33によって減衰される。このため、素子装着部材25(振動体ユニット20)から接続部材32及び振動子ケース12には超音波振動は伝達されず、接続部材32及び振動子ケース12は超音波振動によって振動しない。
振動体ユニット20は、超音波振動子21で発生した超音波振動を伝達することにより、処置時に用いられる既定の振動モード(振動状態)で振動する。既定の振動モードでは、振動体ユニット20は、振動方向が長手軸C(長手方向)に対して平行な縦振動を行う。そして、既定の振動モードでは、振動体ユニット20の先端(プローブ41の先端)及び振動体ユニット20の基端(素子装着部材25の基端)は、縦振動の腹位置となる。ここで、振動体ユニット20の先端に位置する腹位置A1は、縦振動の腹位置の中で最もプローブ先端部方向側に位置し、振動体ユニット20の基端に位置する腹位置A2は、縦振動の腹位置の中で最もプローブ基端部方向側に位置する。また、既定の振動モードでは、振動体ユニット20の先端と振動体ユニット20の基端との間の縦振動の腹位置の数及び縦振動の節位置の数は、定まっており、振動体ユニット20の先端と振動体ユニット20の基端との間に少なくとも1つの縦振動の節位置が存在する。制御部18は、超音波エネルギー源16から超音波振動子21に供給される電流(交流電流)の周波数を調整することにより、振動体ユニット20の共振周波数を調整し、既定の振動モードで振動体ユニット20を縦振動させている。なお、既定の振動モード(すなわち、縦振動の節位置及び腹位置の数)は、用いられる振動体ユニット20の長手方向についての寸法、処置の種類等に対応して、決定される。
また、素子装着部材25は、電気経路部(図示しない)を介して、エネルギー源ユニット15の高周波エネルギー源17に電気的に接続されている。電気経路部は、振動子ケース12の内部に延設される電気配線、ケーブル13の内部に延設される電気配線等から形成されている。高周波エネルギー源17は、処置に用いられるエネルギーとして高周波電力(高周波エネルギー)を出力する。高周波エネルギー源17から出力された高周波電力は、電気経路部(図示しない)、素子装着部材25、ホーン部材26及びプローブ41を通して、処置部42に供給される。すなわち、電気経路部(図示しない)、素子装着部材25、ホーン部材26及びプローブ41によって、高周波エネルギー源17から出力された高周波電力のプローブ側電気供給路P1が形成される。プローブ側電気供給路P1を介して高周波電力が処置部42に供給(伝達)されることにより、処置部42は電極として機能する。
また、振動子ケース12には導電部(図示しない)が設けられ、振動子ケース12の導電部は、シース40の導電部(図示しない)を介して、ジョー43の導電部(図示しない)に電気的に接続されている。また、振動子ケース12の導電部は、電気経路部(図示しない)を介して、エネルギー源ユニット15の高周波エネルギー源17に電気的に接続されている。電気経路部は、プローブ側電気経路P1を形成する部位とは異なる部位から形成され、振動子ケース12の内部に延設される電気配線、ケーブル13の内部に延設される電気配線等から形成されている。高周波エネルギー源17から出力された高周波電力は、電気経路部(図示しない)、振動子ケース12の導電部及びシース40の導電部を通して、ジョー43の導電部に供給される。すなわち、電気経路部(図示しない)、振動子ケース12の導電部及びシース40の導電部によって、高周波エネルギー源17から出力された高周波電力のジョー側電気供給路P2が形成される。ジョー側電気供給路P2を介して高周波電力がジョー43の導電部に供給(伝達)されることにより、ジョー43の導電部は、処置部42とは電位の異なる電極として機能する。
なお、プローブ41は、絶縁材料から形成される支持部材(図示しない)を介してシース40によって支持され、ホーン部材26は、絶縁材料から形成される支持部材(図示しない)を介して振動子ケース12によって支持されている。このため、プローブ41のシース40への接触は防止されるとともに、ホーン部材26の振動子ケース12への接触は防止される。したがって、プローブ側電気供給路P1とジョー側電気供給路P2との間の短絡が防止される。また、前述の支持部材は、振動体ユニット20が既定の振動モードで振動する状態において縦振動の節位置に位置し、支持部材は、振動伝達性が低く、振動を減衰させる材料から形成されている。このため、プローブ41及びホーン部材26(振動体ユニット20)からシース40及び振動子ケース12には超音波振動は伝達されず、シース40及び振動子ケース12は超音波振動によって振動しない。
図4は、処置部42及びジョー43を含むエネルギー処置具2の先端部の構成を示す図である。図4に示すように、プローブ41の内部の中空部46には、送液チューブ51及び吸引チューブ52がプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ延設されている。送液チューブ51及び吸引チューブ52を含む管路ユニット50は、プローブ41、保持ユニット3及び振動子ユニット11に取外し可能に連結される。また、プローブ41及び管路ユニット50によって、処置部42でエネルギーを用いて処置が行われるエネルギー処置ユニット30が形成されている。
図5は、管路ユニット50の構成を示す図である。図4及び図5に示すように、本実施形態の管路ユニット50では、送液チューブ51の内部に吸引チューブ52が挿通されている。吸引チューブ52の内部には、吸引管路55がプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ延設されている。本実施形態では、吸引管路55の中心軸である管路軸(吸引管路軸)S2は、長手軸Cと同軸である。また、管路ユニット50では、送液チューブ51の内周面と吸引チューブ52の外周面との間に、送液管路53がプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ延設されている。本実施形態では、送液管路53の中心軸である管路軸(送液管路軸)S1は、長手軸Cと同軸である。前述のように、管路ユニット50が保持ユニット3及び振動子ユニット11に連結されることにより、プローブ41の中空部46においてプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ送液管路53及び吸引管路55が延設される。また、本実施形態では、吸引管路55は、長手軸C(管路軸S2)を中心とする円状に長手軸Cに垂直な断面が形成され、送液管路53は、吸引管路55の外周側を囲む筒状(円筒状)に長手軸Cに垂直な断面が形成されている。
送液管路53の先端には、噴出口56が形成されている。また、吸引管路55の先端には、吸引口57が形成されている。噴出口56及び吸引口57は、プローブ41の内部に形成される中空部46の先端部に位置している。すなわち、送液管路53及び吸引管路55は、処置部42の内部までプローブ先端部方向へ向かって延設されている。本実施形態では、吸引管路55の吸引口57は、送液管路53の噴出口56よりプローブ先端部方向側に位置している。
図6は、管路ユニット50をプローブ41、保持ユニット3及び振動子ユニット11に連結した状態での管路ユニット50の基端部及び振動子ユニット11の構成を示す図である。図7は、管路ユニット50をプローブ41、保持ユニット3及び振動子ユニット11に取外し可能に連結する構成を示す図である。図6に示すように、管路ユニット50をプローブ41、保持ユニット3及び振動子ユニット11に連結した状態では、送液管路53(送液チューブ51)及び吸引管路55(吸引チューブ52)は、接続部材32の内部及び振動減衰部材33の内部に形成される空間部36、及び、ホーン部材26の内部及び素子装着部材25の内部に形成される空洞部28を通って、基端方向から先端方向へ延設されている。そして、プローブ41の中空部46の先端部まで、プローブ先端部方向へ向かって延設されている。
図5乃至図7に示すように、管路ユニット50は、送液チューブ51の基端が接着等によって固定される筒状のチューブ固定部材(送液チューブ固定部材)61を備える。チューブ固定部材61には、筒状の中継部材62が取付けられ、中継部材62には、チューブ固定部材(吸引チューブ固定部材)63が固定されている。吸引チューブ52は、チューブ固定部材61の内部を通ってプローブ基端部方向へ向かって延設され、吸引チューブ52の基端は、チューブ固定部材63に、接着等によって固定されている。
また、管路ユニット50では、チューブ固定部材61、中継部材62及びチューブ固定部材63によって、送液中継路65が形成され、チューブ固定部材63によって吸引中継路66が形成されている。送液中継路65の先端は、送液管路53の基端に連通し、吸引中継路66の先端は、吸引管路55の基端に連通している。また、チューブ固定部材63には、接続口金(送液口金)67及び接続口金(吸引口金)68が固定されている。
中継部材62には、雌ネジ部71Aが形成されている。また、振動子ユニット11の接続部材32には、雄ネジ部71Bが形成されている。管路ユニット50を保持ユニット3及び振動子ユニット11に対して連結する際には、送液チューブ51(送液管路53)及び吸引チューブ52(吸引管路55)を、空間部36及び空洞部28にプローブ基端部方向側から挿通する。そして、保持ユニット3の筒状ケース部5の内部において、送液チューブ51(送液管路53)及び吸引チューブ52(吸引管路55)をプローブ41の中空部46にプローブ基端部方向側から挿入し、中継部材62の雌ネジ部71Aを接続部材32の雄ネジ部71Bに螺合させる。これにより、管路ユニット50が、プローブ41、保持ユニット3及び振動子ユニット11に取外し可能に連結される。すなわち、中継部材62の雌ネジ部71A及び接続部材32の雄ネジ部71Bが、送液管路53及び吸引管路55をプローブ41及び保持ユニット3に対して取外し可能に連結する管路着脱部となる。なお、雌ネジ部71Aと雄ネジ部71Bとの間の締り具合(緩み具合)を変化させることにより、長手方向について管路ユニット50全体(送液管路53及び吸引管路55を含む)がプローブ41に対して移動する。したがって、雌ネジ部71Aと雄ネジ部71Bとの間の締り具合を調整することにより、処置部42の内部(プローブ41の内部)の中空部46において、送液管路53の噴出口56及び吸引管路55の吸引口57のプローブ41に対する長手方向についての位置が、調整される。
また、中継部材62には、雌ネジ部72Aが形成され、チューブ固定部材61には、雄ネジ部72Bが形成されている。雌ネジ部72Aを雄ネジ部72Bに螺合することにより、中継部材62がチューブ固定部材61に取付けられる。また、雌ネジ部72Aと雄ネジ部72Bとの間の締り具合(緩み具合)を変化させることにより、長手方向について送液管路53が吸引管路55に対して移動する。したがって、雌ネジ部72Aと雄ネジ部72Bとの間の締り具合を調整することにより、処置部42の内部(プローブ41の内部)の中空部46において、送液管路53の噴出口56の吸引管路55の吸引口57に対する長手方向についての位置が、調整される。
図1に示すように、管路ユニット50の接続口金(送液口金)67には、外付け送液チューブ73の一端が接続可能である。接続口金67に外付け送液チューブ73が接続されることにより、外付け送液チューブ73の内部が送液中継路65の基端に連通する。また、管路ユニット50の接続口金(吸引口金)68には、外付け吸引チューブ75の一端が接続可能である。接続口金68に外付け吸引チューブ75が接続されることにより、外付け吸引チューブ75の内部が吸引中継路66の基端に連通する。
外付け送液チューブ73の他端は、送液源76に接続されている。送液源76は、送液ポンプ等の送液作動部77と、貯液タンク78と、を備える。送液作動部77は、エネルギー源ユニット15の制御部18に電気的に接続され、制御部18によって、送液作動部77の作動状態が制御されている。送液作動部77が作動されることにより、貯液タンク78に貯められた生理食塩水等の液体が、外付け送液チューブ73の内部及び送液中継路65を通して、送液管路53に供給(送液)される。そして、送液管路53において、プローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ液体が供給される。
外付け吸引チューブ75の他端は、吸引源81に接続されている。吸引源81は、吸引ポンプ等の吸引作動部82と、回収タンク83と、を備える。吸引作動部82は、エネルギー源ユニット15の制御部18に電気的に接続され、制御部18によって、吸引作動部82の作動状態が制御されている。吸引作動部82が作動されることにより、外付け吸引チューブ75の内部、吸引中継路66及び吸引管路55において、吸引源81に向かう流れ(吸引力)が発生する。すなわち、吸引作動部82が作動されることにより、吸引管路55において、プローブ基端部方向へ向かう流れが発生する。
筒状ケース部5の内部(保持ユニット3の内部)には、それぞれのエネルギー操作入力ボタン9A〜9Cに対応させてスイッチ部(図示しない)が設けられ、それぞれのスイッチ部は、対応する信号経路部(図示しない)を介して、エネルギー源ユニット15の制御部18に電気的に接続されている。それぞれの信号経路部は、振動子ケース12の導電部(図示しない)、ケーブル13の内部に延設される電気信号線(図示しない)等から形成されている。また、エネルギー操作入力スイッチ10は、エネルギー源ユニット15の制御部18に電気的に接続されている。それぞれのエネルギー操作入力ボタン9A〜9Cでエネルギー操作が入力されることにより(すなわち、それぞれのエネルギー操作入力ボタン9A〜9Cが押圧されることにより)、対応するスイッチ部が閉じられ、対応する信号経路部を通して制御部18に電気信号が伝達される。また、エネルギー操作入力スイッチ10でエネルギー操作が入力されることにより(すなわち、エネルギー操作入力スイッチ10が押圧されることにより)、エネルギー操作入力スイッチ10から電気信号が制御部18に伝達される。
制御部18は、エネルギー操作の入力(伝達された電気信号)に基づいて、エネルギー源ユニット15からのエネルギー(超音波電力及び高周波電力)の出力状態を制御している。また、制御部18は、エネルギー操作の入力(伝達された電気信号)に基づいて、送液作動部77の作動状態及び吸引作動部82の作動状態を制御している。例えば、エネルギー操作入力ボタン9Aでエネルギー操作が入力されると、エネルギー源ユニット15からは、第1の出力モードでエネルギーが出力され、エネルギー操作入力ボタン9Bでエネルギー操作が入力されると、エネルギー源ユニット15からは、第2の出力モードでエネルギーが出力される。また、エネルギー操作入力ボタン9Cでエネルギー操作が入力されると、エネルギー源ユニット15からは、第3の出力モードでエネルギーが出力され、エネルギー操作入力スイッチ10でエネルギー操作が入力されると、エネルギー源ユニット15からは、第4の出力モードでエネルギーが出力される。第1の出力モード乃至第4の出力モードでのエネルギー源ユニット15からのエネルギーの出力状態、及び、それぞれの出力モードでの送液作動部77の作動状態及び吸引作動部82の作動状態は、後述する。
また、図1に示すように、エネルギー処置システム1は、状態設定ユニット85を備え、状態設定ユニット85は、エネルギー源ユニット15の制御部18に電気的に接続されている。状態設定ユニット85は、例えばタッチパネル、ボタンユニット等である。
図8は、状態設定ユニット85の構成を示す図である。図8に示すように、状態設定ユニット85は、送液切替え部86A〜86Dと、吸引切替え部87A〜87Dと、供給量設定部88A〜88Dと、供給量表示部89A〜89Dと、を備える。それぞれの送液切替え部86A〜86Dでは、対応する出力モード(第1の出力モード乃至第4の出力モードの中の対応する1つ)において、送液作動部77を作動するか否かが設定される。例えば、送液切替え部86Aでは、第1の出力モードにおいて、送液作動部77を作動するか否かが設定される。また、それぞれの吸引切替え部87A〜87Dでは、対応する出力モード(第1の出力モード乃至第4の出力モードの中の対応する1つ)において、吸引作動部82を作動するか否かが設定される。例えば、吸引切替え部87Aでは、第1の出力モードにおいて、吸引作動部82を作動するか否かが設定される。また、それぞれの供給量設定部88A〜88Dでは、対応する出力モード(第1の出力モード乃至第4の出力モードの中の対応する1つ)において送液作動部77が作動される場合に、対応する出力モードにおいて送液作動部77からの液体の供給量(送液量)が設定される。そして、それぞれの供給量設定部88A〜88Dで設定された液体の供給量が、対応する供給量表示部(89A〜89Dの中の対応する1つ)に表示される。例えば、供給量設定部88Aでは、第1の出力モードにおいて送液作動部77が作動される場合での、第1の出力モードにおける送液作動部77からの液体の供給量が設定され、設定された供給量が供給量表示部89Aに表示される。制御部18は、状態設定ユニット85での設定に基づいて、第1の出力モード乃至第4の出力モードのそれぞれにおいて、送液作動部77の作動状態及び吸引作動部82の作動状態を制御している。
図4に示すように、処置部42は、プローブ41の先端を形成するプローブ先端壁91を備える。また、処置部42の外表面は、プローブ先端壁91によって形成される処置部先端面92と、処置部先端面92からプローブ基端部方向へ向かって延設される処置部側面93と、を備える。処置部先端面92は、プローブ41の先端を形成し、プローブ41の先端面となる。また、処置部側面93は、処置部42の外周面となる。本実施形態では、中空部46の開口部47は、プローブ41の処置部先端面92に位置している。また、送液管路53の噴出口56及び吸引管路55の吸引口57は、プローブ41の内部の中空部46に位置している。したがって、噴出口56及び吸引口57は、中空部46の開口部47よりプローブ基端部方向側に位置している。また、処置部側面93は、ジョー43に対向するプローブ側対向面95を備える。プローブ側対向面95は、ジョー43の開方向(図4の矢印Y1の方向)を向いている。なお、図4では、矢印Y2の方向が、ジョー43の閉方向となる。
吸引作動部82が作動され、吸引管路55においてプローブ基端部方向へ向かう流れ(吸引力)が発生することにより、プローブ41の外部から中空部46の開口部47及び吸引口57を通して吸引管路55に向かう吸引力F1が発生する。また、送液作動部77が作動され、送液管路53においてプローブ先端部方向へ向かって液体が供給されることにより、中空部46において供給された液体が噴出口56からプローブ先端部方向側に向かって噴出される。
処置部42のプローブ先端壁91には、衝突面(回流発生部)96が設けられている。衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。すなわち、噴出口56の少なくとも一部は、中空部46の開口部47と対向せず、プローブ先端壁91の衝突面96に対して対向する。本実施形態では、衝突面96は、噴出口56及び吸引口57よりプローブ先端部方向側に位置している。
噴出口56の少なくとも一部に対して衝突面96が対向しているため、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は衝突面96に衝突する。衝突面96に衝突することにより、プローブ基端部方向側に向かう状態に液体の流れ方向が変更される。すなわち、衝突面96により、液体の一部を中空部46内に留まらせる。吸引作動部82が作動されて吸引力が発生しているとき、噴出口56から噴出された液体の一部は、衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう。すなわち、衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう液体の流れ(図4の矢印X1)が、中空部46において形成される。また、本実施形態では、噴出口56から噴出された液体の一部は、衝突面96に衝突せず、中空部46の開口部47を通してプローブ41の外部に噴出される(図4の矢印X2)。すなわち、噴出口56から噴出された液体の一部が開口部47からプローブ41の外部に噴出される状態に、送液作動部77の作動状態及び吸引作動部82の作動状態が制御されるとともに、衝突面96及び開口部47の形状、位置、寸法等が設計されている。
次に、本実施形態のエネルギー処置ユニット30、エネルギー処置具2及びエネルギー処置システム1の作用及び効果について、説明する。エネルギー処置システム1によって生体組織等の処置対象の処置を行う際には、管路着脱部(中継部材62の雌ネジ部71Aを接続部材32の雄ネジ部71)によって、管路ユニット50を保持ユニット3及び振動子ユニット11に連結する。そして、ケーブル13をエネルギー源ユニット15に接続する。また、外付け送液チューブ73によって、管路ユニット50が送液源76に接続され、外付け吸引チューブ75によって、管路ユニット50が吸引源81に接続される。この状態で、処置部42及びジョー43を体内に挿入する。
例えばある処置においては、処置部42とジョー43との間に処置対象を配置し、可動ハンドル7を固定ハンドル6に対して閉動作させることにより、ジョー43を処置部42に対して閉じ、処置部42とジョー43との間で処置対象が把持される。この状態で、エネルギー操作入力ボタン9Aでエネルギー操作を入力し、エネルギー源ユニット15からは、第1の出力モードでエネルギーが出力される。第1の出力モードでは、超音波エネルギー源16から超音波電力が超音波振動子21に供給され、超音波振動子21で超音波振動が発生する。そして、発生した振動が超音波プローブ41(振動体ユニット20)を介して処置部42に伝達される。また、第1の出力モードでは、高周波エネルギー源17から高周波電力が出力される。そして、プローブ側電気供給路P1を通して処置部42に高周波電力が供給され、ジョー側電気供給路P2を通してジョー43の導電部(図示しない)に高周波電力が供給される。これにより、処置部42及びジョー43の導電部が、互いに対して電位の異なる電極として機能する。ジョー43と処置部42との間で処置対象が把持された状態で、処置部42が縦振動することにより、処置部42と処置対象との間に摩擦熱が発生する。摩擦熱によって、処置対象が凝固されると同時に切開される。また、ジョー43と処置部42との間で処置対象が把持された状態で処置部42及びジョー43の導電部が電極として機能することにより、処置部42とジョー43の導電部との間で処置対象を通して高周波電流が流れる。これにより、処置対象が変性され、凝固が促進される。
また、別のある処置においては、エネルギー操作入力ボタン9Bでエネルギー操作を入力し、エネルギー源ユニット15からは、第2の出力モードでエネルギーが出力される。第2の出力モードでは、プローブ側電気供給路P1を通して処置部42に高周波電力が供給され、ジョー側電気供給路P2を通してジョー43の導電部(図示しない)に高周波電力が供給される。これにより、処置部42及びジョー43の導電部が、互いに対して電位の異なる電極として機能し、処置部42とジョー43の導電部との間で処置対象を通して高周波電流を流すバイポーラ処置が行われる。なお、第2の出力モードでは、超音波エネルギー源16から超音波電力は出力されず、超音波振動は発生しない。
また、別のある処置においては、エネルギー操作入力ボタン9Cでエネルギー操作を入力し、エネルギー源ユニット15からは、第3の出力モードでエネルギーが出力される。第3の出力モードでは、プローブ側電気供給路P1を通して処置部42に高周波電力が供給されるとともに、体外に配置される対極板(図示しない)に高周波電力が供給される。この際、ジョー側電気供給路P2を通してジョー43の導電部(図示しない)に高周波電力は供給されない。これにより、処置部42と体外の対極板との間で処置対象を通して高周波電流を流すモノポーラ処置が行われる。なお、第3の出力モードでは、超音波エネルギー源16から超音波電力は出力されず、超音波振動は発生しない。
状態設定ユニット85が標準設定(初期設定)に設定されている場合は、第1の出力モード乃至第3の出力モードのそれぞれにおいて、送液作動部77は作動されず、吸引作動部82は作動されない。ただし、状態設定ユニット85で設定を標準状態から変更することにより、第1の出力モード乃至第3の出力モードのそれぞれにおいて、送液作動部77を作動させることが可能であり、吸引作動部82を作動させることが可能である。また、第1の出力モード乃至第3の出力モードのそれぞれにおいて、送液作動部77が作動される場合は、送液作動部77からの液体の供給量を調整可能である。
また、エネルギー操作入力部(9A〜9C及び10)とは別に、送液操作入力部及び吸引操作入力部を設けてもよい。送液操作入力部及び吸引操作入力部は、例えば、エネルギー処置具2に設けられる操作入力ボタン、又は、エネルギー処置具2とは別体のフットスイッチである。この場合、送液操作入力部で送液操作が入力されることにより、送液作動部77が作動され、送液管路53に液体が供給される。この際、エネルギー源ユニット15からエネルギーは出力されず、吸引作動部82は作動されない。すなわち、噴出口56からの液体の噴出のみが行われる。また、吸引操作入力部で吸引操作が入力されることにより、吸引作動部82が作動され、吸引管路55にプローブ基端部方向へ向かう流れが発生する。この際、エネルギー源ユニット15からエネルギーは出力されず、送液作動部77は作動されない。すなわち、吸引口57を通しての吸引のみが行われる。
また、別のある処置においては、エネルギー操作入力スイッチ10でエネルギー操作を入力し、エネルギー源ユニット15からは、第4の出力モードでエネルギーが出力される。第4の出力モードでは、超音波エネルギー源16から超音波電力が超音波振動子21に供給され、超音波振動子21で超音波振動が発生する。そして、発生した振動が超音波プローブ41(振動体ユニット20)を介して処置部42に伝達される。状態設定ユニット85が標準設定(初期設定)に設定されている場合は、第4の出力モードにおいて、送液作動部77は作動され、吸引作動部82は作動される。このため、送液管路53において液体がプローブ先端部方向へ向かって供給され、中空部46において噴出口56からプローブ先端部方向側へ向かって供給された液体が噴出される。そして、噴出口56から噴出された液体の一部が、中空部46の開口部47からプローブ41の外部に噴出される(図4の矢印X2)。
処置部42(プローブ41)が高速で縦振動する状態で、処置部先端面92の近傍に液体が供給されることにより、処置部先端面92の近傍でキャビテーションが発生する。処置部先端面92を処置対象に対向させた状態でキャビテーションが発生することにより、処置対象が破砕及び乳化される。なお、キャビテーションでは、肝細胞等の弾力性の低い生体組織のみが選択的に破砕され、血管等の弾力性がある生体組織は破砕されない。
本実施形態では、中空部46の内部に延設される送液管路53を通して液体が供給され、中空部46において噴出口56から供給された液体が噴出される。そして、噴出口56から噴出された液体の一部が、処置部先端面92に位置する開口部47を通して中空部46からプローブ41の外部に噴出される。このため、送液源76から供給された液体が、例えば処置部42の基端部から処置対象以外の部位に滴下することはなく、プローブ41の外部の処置部先端面92の近傍まで適切に供給される。これにより、キャビテーションが適切に発生し、処置対象を適切に破砕及び乳化することができる。
また、送液管路53の噴出口56は、開口部47よりプローブ基端部方向側に位置している。したがって、中空部46において噴出口56からプローブ先端部方向側に噴出された液体の一部は、開口部47からプローブ41の外部に適切に噴出される。したがって、プローブ41の外部の処置部先端面92の近傍までの液体が確実に供給され、処置対象を破砕及び乳化する処置の処置性を向上させることができる。
図9は、エネルギー源ユニット15から第4の出力モードでエネルギーが出力されている状態での、処置部42のある位置(縦振動の節位置とは異なる位置)での縦振動の経時的な変化を示している。図9に示すように、エネルギー源ユニット15から第4の出力モードでエネルギーが出力されている状態では、処置部42の振幅は経時的に一定ではない。すなわち、第4の出力モードでは、制御部18によって、超音波エネルギー源16から出力される超音波電力が変調されている。例えば、超音波振動子21に供給される電流(交流電流)の振幅、周期等を経時的に変化させることにより、変調が行われる。超音波電力が変調されることにより、例えば、処置部42のある位置において、第1の振幅V1で振動する状態、又は、第1の振幅V1より小さい第2の振幅V2で振動する状態に、縦振動の振幅が経時的に変化する。また、超音波電力が変調されることにより、例えば、縦振動の周期が経時的に変化する。また、縦振動の振幅が第1の振幅V1で振動する状態又は第2の振幅V2で振動する状態に経過時的に変化する場合において、一定時間ΔTの間で第1の振幅V1で振動する時間T1が占める割合、又は、一定時間ΔTの間で第2の振幅V2で振動する時間T2が占める割合をデューティ(Duty)比とする。超音波電力が変調されることにより、例えば、デューティ比が経時的に変化する。
キャビテーションによって破砕される肝細胞の内部には血管等が延設されている。超音波電力を変調し、処置部42の振動状態を経時的に変化させることにより、肝細胞をキャビテーションによって破砕及び乳化させる場合でも、肝細胞の内部に延設される血管の損傷を有効に防止することができる。
また、第4の出力モードでは吸引作動部82が作動されるため、吸引管路55においてプローブ基端部方向へ向かう流れが発生する。これにより、プローブ41の外部から中空部46の開口部47及び吸引口57を通して吸引管路55に向かう吸引力(図4の矢印F1)が、作用する。これにより、キャビテーションによって破砕及び乳化された処置対象が開口部47及び吸引口57を通して吸引管路55に向かって吸引される。そして、吸引管路55においてプローブ基端部方向へ向かって吸引物(破砕及び乳化された処置対象)が吸引され、吸引物は吸引源81の回収タンク83に回収される。
本実施形態では、ジョー43に対向するプローブ側対向面95と異なる処置部先端面92に、中空部46の開口部47が設けられている。このため、ジョー43によって開口部47が塞がれることはない。したがって、破砕及び乳化された処置対象(吸引物)を、開口部47を通して吸引管路55へ適切に吸引することができる。
また、吸引管路55の吸引口57は、開口部47よりプローブ基端部方向側に位置している。したがって、開口部47から中空部46に吸引された吸引物は、適切に吸引口57から吸引管路55に吸引され、破砕及び乳化された処置対象(吸引物)の吸引性を向上させることができる。
また、処置においてエネルギー(超音波振動、高周波電力)を用いることにより、プローブ41では前述した超音波振動による摩擦熱等の熱が発生する。このため、プローブ41(特に処置部42)は、発生する熱によって高温になり、プローブ41の内部の中空部46に延設される吸引管路55も高温になる。吸引管路55が高温になることにより、吸引管路55を通して吸引される吸引物が焼けて、吸引管路55の内周面(吸引チューブ52の内周面)に貼付き易くなる。吸引管路55の内周面に吸引物(破砕された生体組織等)が貼付くことにより、吸引管路55において詰まりが発生する。
そこで、本実施形態では、プローブ先端壁91に衝突面96を設け、噴出口56の少なくとも一部に対して衝突面96を対向させている。このため、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の一部は、衝突面96に衝突し、プローブ基端部方向側に向かう状態に液体の流れ方向が変更される。これにより、衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう液体の流れ(図4の矢印X1)が、中空部46において形成される。そして、吸引口57から流入した液体が、吸引管路55においてプローブ先端部方向からプローブ基端部方向へ移動する。なお、噴出口56から噴出された液体の一部は、衝突面96に衝突されることなく、そのまま吸引口57を通して吸引管路55に流入し、吸引管路55おいてプローブ先端部方向からプローブ基端部方向へ移動する。したがって、噴出口56から液体が噴出される状態では、衝突面96に衝突した液体が吸引口57から流入し、及び/又は、衝突面96に衝突されることなく液体がそのまま吸引口57から流入し、吸引管路55の全長に渡って(すなわち、吸引口57から吸引管路55の基端まで)、プローブ基端部方向へ向かう液体の流れが形成される。吸引管路55において吸引口57(先端)から基端までプローブ基端部方向に向かって液体が流れるため、吸引管路55において吸引物が焼け難くなる。これにより、吸引物の吸引管路55の内周面への貼付きが防止され、吸引管路55において詰まりの発生を有効に防止することができる。
また、本実施形態では、衝突面96は、送液管路53の噴出口56及び吸引管路55の吸引口57よりプローブ先端部方向側に位置している。そして、送液管路53は、吸引管路55の外周側を囲む筒状に長手軸Cに垂直な断面が形成され、吸引管路55の吸引口57は、送液管路53の噴出口56よりプローブ先端部方向側に位置している。このような構成にすることにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部を、衝突面96に確実に衝突させることができる。また、衝突面96に衝突した液体を、吸引口57を通して吸引管路55に確実に流入させることができる。
また、本実施形態では、管路ユニット50をプローブ41及び保持ユニット3から取外し可能である。このため、吸引管路55において詰まりが発生した場合でも、管路ユニット50をプローブ41から取外して、吸引管路55に詰まった吸引物を除去することが可能である。また、吸引管路55に詰まりが発生した管路ユニット50を、新しい管路ユニット50に交換することも可能である。すなわち、本実施形態のエネルギー処置具2では、吸引管路55において詰まりが発生した場合でも、容易に対処することができる。
(変形例)
第1の実施形態では、送液管路53は、吸引管路55の外周側を囲む筒状に長手軸Cに垂直な断面が形成されているが、これに限るものではない。また、第1の実施形態では、中空部46の開口部47は、1つのみ設けられるが、これに限るものではない。例えば、第1の変形例を、図10及び図11を参照して説明する。図10は、本変形例の処置部42及び管路ユニット50の先端部の構成を示し、図11は、処置部42の処置部先端面92の構成を示している。
図10及び図11に示すように、本変形例では、吸引チューブ52の内部に送液チューブ51が挿通されている。このため、吸引チューブ52の内周面と送液チューブ51の外周面との間に、吸引管路55が延設されている。本変形例でも、送液管路53の管路軸(送液管路軸)S1及び吸引管路55の管路軸(吸引管路軸)S2は、長手軸Cと同軸である。前述のような構成にすることにより、送液管路53は、長手軸C(管路軸S1)を中心とする円状に長手軸Cに垂直な断面が形成され、吸引管路55は、送液管路53の外周側を囲む筒状(円筒状)に長手軸Cに垂直な断面が形成されている。また、本変形例では、送液管路53の噴出口56は、吸引管路55の吸引口57よりプローブ先端部方向側に位置している。
本変形例でも、処置部42のプローブ先端壁91には、衝突面96が設けられ、衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。そして、衝突面96は、噴出口56及び吸引口57よりプローブ先端部方向側に位置している。このため、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図10の矢印X1)が、中空部46において形成される。
また、本変形例では、送液管路53の管路軸S1と同軸の長手軸Cが、衝突面96を通過する。このため、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部を、衝突面96に衝突させ易くなる。
図11に示すように、本変形例では、処置部先端面92に2つ(複数)の開口部47A,47Bが設けられている。中空部46は、開口部47A,47Bで、プローブ41の外部に対して開口している。開口部47A,47Bは、処置部先端面92において、長手軸C(送液管路53の管路軸S1)が通過しない位置に位置している。また、本変形例では、長手軸C回りについて、開口部47A,47Bは、互いに対して略180°離れて配置されている。
第1の実施形態と同様に、キャビテーションによって破砕及び乳化された処置対象(生体組織)は、開口部47A,47Bを通して中空部46に吸引される。本変形例では、処置部先端面92において送液管路53の管路軸S1が通過しない位置に、開口部47A,47Bが位置しているため、中空部46に流入した吸引物(生体組織等)が噴出口56から送液管路53に流入することが、有効に防止される。
また、超音波振動によって処置対象を凝固と同時に切開する際には、処置部42及びジョー43を生体組織(肝細胞)に穿刺した後に、ジョー43を処置部42に対して閉じ、把持した処置対象を処置することがある。この処置では、生体組織に処置部42が穿刺された状態で、処置部42とジョー43との間で処置対象を把持し、把持された生体組織を超音波振動によって凝固と同時に切開する。本変形例では、処置部先端面92において送液管路53の管路軸S1が通過しない位置に、開口部47A,47Bが位置しているため、前述の処置において処置部42を生体組織(肝細胞)に穿刺した際に、生体組織が噴出口56から送液管路53に侵入することが、有効に防止される 。
また、第2の変形例として図12に示すように、処置部先端面92に4つの開口部47A〜47Dが設けられていてもよい。本変形例では、第1の変形例と同様に、中空部46において、送液チューブ51が吸引チューブ52に挿通され、送液管路53の管路軸S1は、長手軸Cと同軸である。それぞれの開口部47A〜47Dは、長手軸C回りについて隣設する開口部(47A〜47Dの中の対応する2つ)から、略90°離れて位置している。本変形例においても第1の変形例と同様に、送液管路53の管路軸S1と同軸の長手軸Cは、衝突面96を通過する。このため、衝突面96は、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。また、第1の変形例と同様に、処置部先端面92では、長手軸C(管路軸S1)が通過しない位置に、開口部47A〜47Dが位置している。
また、第3の変形例として図13に示すように、処置部先端面92に、長手軸C回り方向に沿って長穴状に形成される2つの開口部47A,47Bが設けられていてもよい。本変形例では、第1の変形例と同様に、中空部46において、送液チューブ51が吸引チューブ52に挿通され、送液管路53の管路軸S1は長手軸Cと同軸である。それぞれの開口部47A,47Bは、長手軸C回りについて略120°の角度範囲に渡って延設されている。開口部47A,47Bは、互いに対して略180°離れて位置している。本変形例においても第1の変形例と同様に、送液管路53の管路軸S1と同軸の長手軸Cは、衝突面96を通過する。このため、衝突面96は、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。また、第1の変形例と同様に、処置部先端面92では、長手軸C(管路軸S1)が通過しない位置に、開口部47A,47Bが位置している。
また、前述の実施形態等では、送液チューブ51及び吸引チューブ52の一方が送液チューブ51及び吸引チューブ52他方に挿通されているが、これに限るものではない。例えば、第4の変形例として図14に示すように、中空部46において、送液チューブ51の外部に吸引チューブ52が延設され、吸引チューブ52の外部に送液チューブ51が延設される。したがって、送液管路53の管路軸S1は、吸引管路55の管路軸S2に対して同軸ではない。また、本変形例では、送液管路53の管路軸S1及び吸引管路55の管路軸S2は、長手軸Cに対して同軸ではない。
本変形例でも、処置部先端面92に、中空部46の開口部47が形成されている。吸引管路55の管路軸S2は、開口部47を通過する。このため、プローブ41の外部から開口部47及び吸引口57を通して吸引管路55へ向かう吸引力(図14の矢印F1)によって、キャビテーションによって破砕及び乳化された処置対象が吸引管路55に流入し易くなる。
また、本変形例でも、処置部42のプローブ先端壁91には、衝突面96が設けられ、衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。そして、衝突面96は、噴出口56及び吸引口57よりプローブ先端部方向側に位置している。このため、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図14の矢印X1)が、中空部46において形成される。
また、送液管路53の管路軸S1は、衝突面96を通過し、処置部先端面92において送液管路53の管路軸S1が通過しない位置に、開口部47が位置している。このため、中空部46に流入した吸引物(破砕及び乳化された生体組織等)が噴出口56から送液管路53に流入することが、有効に防止される。
また、前述の実施形態等では、中空部46の開口部(47;47A,47B;47A〜47D)が処置部先端面92に設けられているが、これに限るものではない。例えば、第5の変形例として図15に示すように、処置部側面93に中空部46が外部に対して開口する開口部97が設けられてもよい。本変形例では、処置部先端面92には、開口部は設けられていない。開口部97は、処置部42の先端部に位置し、本変形例では、ジョー43の閉方向(図15の矢印Y2の方向)を向く部位に位置している。したがって、開口部97は、処置部側面93においてプローブ側対向面95以外の位置に、位置している。このため、ジョー43によって開口部47が塞がれることはない。したがって、破砕及び乳化された処置対象(吸引物)を、開口部47を通して吸引管路55へ適切に吸引することができる。
本変形例でも、第4の変形例と同様に、中空部46において、送液チューブ51の外部に吸引チューブ52が延設され、吸引チューブ52の外部に送液チューブ51が延設される。また、本変形例では、送液管路53の先端の噴出口56は、長手軸Cに平行な長手方向について開口部97の基端と位置が一致している。そして、吸引管路55の先端の吸引口57は、長手方向について開口部97の基端と位置が一致している。なお、噴出口56及び吸引口57は、開口部97の基端よりプローブ基端部方向側に位置してもよい。
本変形例でも、処置部42のプローブ先端壁91には、衝突面96が設けられ、衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の全体(少なくとも一部)に対して対向している。そして、衝突面96は、噴出口56及び吸引口57よりプローブ先端部方向側に位置している。このため、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は、開口部97からプローブ41の外部に噴出されず、衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図15の矢印X1)が、中空部46において形成される。
また、本変形例でも、中空部46の内部に延設される送液管路53を通して液体が供給され、中空部46において噴出口56から供給された液体が噴出される。そして、噴出口56から噴出された液体の一部が、処置部側面93に位置する開口部97を通して中空部46からプローブ41の外部に噴出される(図15の矢印X2)。開口部97は、処置部42のプローブ先端部方向側の部位(処置部側面93の先端部)に位置する。このため、送液源76から供給された液体が、例えば処置部42の基端部から処置対象以外の部位に滴下することはなく、プローブ41の外部の処置部先端面92の近傍まで適切に供給される。
また、第6の変形例として図16及び図17に示すように、処置部側面93に2つ(複数)の開口部97A,97Bが設けられてもよい。本変形例でも第5の変形例と同様に、処置部先端面92に開口部は設けられていない。また、本変形例でも、第4の変形例及び第5の変形例と同様に、中空部46において、送液チューブ51の外部に吸引チューブ52が延設され、吸引チューブ52の外部に送液チューブ51が延設される。開口部97A,97Bは、長手軸C回り方向について互いに対して略180°離れた角度位置に位置し、開口部97A,97Bの長手方向についての位置は、一致している。そして、送液管路53の先端の噴出口56は、長手軸Cに平行な長手方向について開口部97Aの基端(開口部97Bの基端)と位置が一致している。そして、吸引管路55の先端の吸引口57は、長手方向について開口部97Aの基端と位置が一致している。なお、噴出口56及び吸引口57は、開口部97Aの基端(開口部97Bの基端)よりプローブ基端部方向側に位置してもよい。
本変形例では、開口部97A,97Bは、処置部側面93においてプローブ側対向面95とは異なる位置に、位置している。なお、開口部97A,97Bの少なくとも一方が、処置部側面93においてプローブ側対向面95とは異なる位置に、位置していればよい。これにより、開口部97A,97Bの少なくとも一方は、ジョー43によって塞がれない。図16では、紙面に対して鉛直上方向がジョー43の開方向となる。また、図17は、開口部97A,97Bを通り、かつ、長手軸Cに垂直な断面を示し、矢印Y1の方向がジョー43の開方向であり、矢印Y2の方向がジョー43の閉方向である。
また、本変形例では、開口部97A,97Bが複数設けられている。このため、破砕された組織等によって開口部97A,97Bの一方で詰まりが発生した場合でも、開口部97A,97Bの他方(開口部97A,97Bにおいて詰まりの発生していない一方)を通して、吸引管路55への吸引が行われ、送液管路53を通して供給された液体がプローブ41の外部に噴出される。
さらに、本変形例では、開口部(第1の開口部)97Aでは、吸引管路55の吸引口57からの距離が、送液管路53の噴出口56からの距離に比べて小さくなる。すなわち、吸引口57は、噴出口56に比べ、開口部97Aに近い。このため、プローブ41の外部から開口部97A及び吸引口57を通して吸引管路55へ向かう吸引力(図16の矢印F1)は、プローブ41の外部から開口部97Bを通して吸引管路55へ向かう吸引力に比べて、大きくなる。したがって、開口部97Aは、破砕された処置対象等の吸引物を中空部46に流入させる開口として、主に用いられる。
一方、開口部(第2の開口部)97Bでは、送液管路53の噴出口56からの距離が、吸引管路55の吸引口57からの距離に比べて小さくなる。すなわち、噴出口56は、吸引口57に比べ、開口部97Bに近い。このため、中空部45において、噴出口56から噴出された液体の一部は、主に開口部97Bを通して、プローブ41の外部に噴出される(図16の矢印X2)。したがって、開口部97Bは、液体をプローブ41の外部に噴出し、処置部先端面92の近傍に液体を供給する開口として、主に用いられる。
前述のように、本変形例では、プローブ41の外部から吸引物を中空部46に流入させる開口部(第1の開口部)97Aとは別に、プローブ41の外部に液体を噴出する開口部(第2の開口部)97Bが設けられている。そして、開口部97A、97Bは、互いに対して離れ位置している。このため、処置部先端面92の近傍への液体の供給性が向上するとともに、吸引管路55を通しての吸引性も向上する。
また、第7の変形例として図18に示すように、処置部側面93に4つ(複数)の開口部97A〜97Dが設けられてもよい。本変形例でも第5の変形例と同様に、処置部先端面92に開口部は設けられていない。また、本変形例でも、第4の変形例及び第5の変形例と同様に、中空部46において、送液チューブ51の外部に吸引チューブ52が延設され、吸引チューブ52の外部に送液チューブ51が延設される。開口部97A〜97Dの長手方向についての位置は、一致している。また、それぞれの開口部97A〜97Dは、隣設する開口部(97A〜97Dの中の対応する2つ)から、長手軸C回りに略90°離れて位置している。本変形例では、開口部97Dのみがジョー43と対向するプローブ側対向面95に位置し、開口部97A〜97Cは、処置部側面93においてプローブ側対向面95とは異なる位置に、位置している。
また、第8の変形例として図19に示すように、処置部側面93に2つ(複数)の開口部97A,97Bが設けられ、開口部97A,97Bは長手方向について互いに対して離れて位置してもよい。開口部(第1の開口部)97Aは、開口部(第2の開口部)97Bよりプローブ先端部方向側に位置している。吸引口57は、噴出口56に比べて、開口部97Aの近くに位置し、噴出口56は、吸引口57に比べて、開口部97Bの近くに位置している。したがって、主に開口部97Aを通して吸引物が中空部46へ流入し、主に開口部97Bを通して液体がプローブ41の外部に噴出される。本変形例では、開口部97A,97Bは、長手軸C回りについて互いに対して略180°離れて配置されているが、開口部97A,97Bは、長手軸C回りについて互いに対して離れた角度位置に位置すればよく、例えば、開口部97A,97Bが、長手軸C回りについて互いに対して略90°離れて配置されてもよい。また、開口部97A,97Bの少なくとも一方は、処置部側面93においてプローブ側対向面95以外の位置に、位置している。
本変形例では、送液管路53の噴出口56及び吸引管路55の吸引口57は、開口部97Bの基端と、長手方向についての位置が一致している。ただし、吸引口57は、開口部(第1の開口部)97Aの基端と長手方向についての位置が一致するか、又は、開口部97Aよりプローブ基端部方向側に位置すればよい。また、噴出口56は、開口部(第2の開口部)97Bの基端と長手方向についての位置が一致するか、又は、開口部97Bよりプローブ基端部方向側に位置すればよい。
また、第9の変形例として図20に示すように、処置部先端面92に2つの開口部47A,47Bが設けられるとともに、処置部側面93に2つの開口部97A,97Bが設けられてもよい。開口部47A,47Bは、第1の変形例と同様の位置及び形状で(図10及び図11参照)、処置部先端面92に設けられている。また、開口部97A,97Bは、第6の変形例と同様の位置及び形状で(図16及び図17参照)、処置部側面93に設けられている。また、本変形例では、第1の変形例と同様に、吸引チューブ52の内部に送液チューブ51が挿通され、送液管路53の管路軸S1は、長手軸Cと同軸である。また、第1の変形例と同様に、処置部先端面92において管路軸S1(長手軸C)が通過しない位置に、開口部47A,47Bが位置し、管路軸S1は、衝突面96を通過する。
本変形例では、吸引管路55の先端の吸引口57は、長手方向について開口部97Aの基端(開口部97Bの基端)と位置が一致するか、又は、開口部97Aの基端よりプローブ基端部方向側に位置している。また、送液管路53の先端の噴出口56は、開口部97Aよりプローブ先端部方向側に位置し、開口部47A,47Bよりプローブ基端部方向側に位置している。したがって、本変形例では、主に開口部97A,97Bから吸引物が中空部46へ流入し(図20の矢印F1)、主に開口部47A,47Bからプローブ41の外部へ液体が噴出される(図20の矢印X2)。
また、図21に示す第10の変形例においては、処置部先端面92に開口部47が設けられるとともに、処置部側面93に2つの開口部97A,97Bが設けられている。開口部47は、第4の変形例と同様の位置及び形状で(図14参照)、処置部先端面92に設けられている。また、開口部97A,97Bは、第6の変形例と同様の位置及び形状で(図16及び図17参照)、処置部側面93に設けられている。また、本変形例では、第4の変形例と同様に、吸引チューブ52の外部に送液チューブ51が延設され、送液チューブ51の外部に吸引チューブ52が延設されている。また、第4の変形例と同様に、処置部先端面92において送液管路53の管路軸S1が通過しない位置に、開口部47が位置し、管路軸S1は、衝突面96を通過する。
また、前述の実施形態等では送液チューブ51及び吸引チューブ52の両方が中空部46に延設されているが、これに限るものではない。例えば、図22に示す第11の変形例では、中空部46において、吸引チューブ52のみが延設され、送液チューブが設けられていない。本変形例では、吸引チューブ52の外周面とプローブ41の内周面との間に、送液管路53が形成される。したがって、吸引チューブ52の先端の外周側に、送液管路53の噴出口56が形成される。本変形例でも、処置部42のプローブ先端壁91には、衝突面96が設けられ、衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。
また、例えば、図23に示す第12の変形例では、中空部46において、送液チューブ51のみが延設され、吸引チューブが設けられていない。本変形例では、送液チューブ51の外周面とプローブ41の内周面との間に、吸引管路55が形成される。したがって、送液チューブ51の先端の外周側に、吸引管路55の吸引口57が形成される。本変形例でも、処置部42のプローブ先端壁91には、衝突面96が設けられ、衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。
また、例えば、図24に示す第13の変形例では、噴出口56及び吸引口57よりプローブ基端部方向側で送液管路53と吸引管路55との間を連通させる連通部101A,101Bが設けられている。本変形例では、第1の実施形態と同様に、送液チューブ51の内部に吸引チューブ52が挿通されている。そして、開口部47は、第1の実施形態と同様の位置及び形状で(図4参照)、処置部先端面92に設けられている。
本変形例では、送液作動部77(送液源76)から供給される液体の一部は、連通部101A,101Bを通して、送液管路53から吸引管路55に流入する(図24の矢印X3)。ただし、送液作動部77から送液管路53に供給される液体の少なくとも一部は、連通部101A,101Bから吸引管路55に流入せず、噴出口56まで供給される。そして、中空部46において、噴出口56まで供給された液体が、噴出口56からプローブ先端部方向側に噴出される。すなわち、送液作動部77から供給された液体の少なくとも一部が、連通部101A,101Bから吸引管路55に流入せず、中空部46において噴出口56から噴出される状態に、送液作動部77及び吸引作動部82の作動状態が、制御部18によって制御されている。
噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は、第1の実施形態と同様に衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図24の矢印X1)が、中空部46において形成される。また、噴出口56から噴出された液体の一部は、衝突面96に衝突せず、開口部47からプローブ41の外部に噴出される(図24の矢印X2)。
本変形例では、連通部101A,101Bを通して送液管路53から吸引管路55へ液体が流入する。このため、吸引管路55においてプローブ基端部方向へ向かって流れる液体の液体量が多くなる。これにより、吸引物(破砕された生体組織等)の粘度が低くなり、吸引管路55において詰まりがさらに発生し難くなる。また、送液管路53を通して供給される液体の少なくとも一部は、噴出口56まで供給され、中空部46において噴出口56から噴出される。そして、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は、衝突面96に衝突し、吸引口57を通して吸引管路55に流入する。このため、吸引管路55では、吸引口57と連通部101A,101Bとの間の領域において、液体がプローブ基端部方向へ向かって流れる。したがって、連通部101A,101Bを設けた本変形例でも、吸引管路55の吸引口57と連通部101A,101Bとの間の領域において、詰まりの発生が有効に防止される。
また、例えば、図25に示す第14の変形例においても、噴出口56及び吸引口57よりプローブ基端部方向側で送液管路53と吸引管路55との間を連通させる連通部101A,101Bが設けられている。本変形例では、第1の変形例と同様に、吸引チューブ52の内部に送液チューブ51が挿通されている。そして、開口部47A,47Bは、第1の変形例と同様の位置及び形状で(図10及び図11参照)、処置部先端面92に設けられている。
本変形例でも第13の変形例と同様に、送液作動部77(送液源76)から供給される液体の一部は、連通部101A,101Bを通して、送液管路53から吸引管路55に流入する(図25の矢印X3)。ただし、送液作動部77から送液管路53に供給される液体の少なくとも一部は、連通部101A,101Bから吸引管路55に流入せず、噴出口56まで供給される。そして、中空部46において、噴出口56まで供給された液体が、噴出口56からプローブ先端部方向側に噴出される。噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は、第13の変形例と同様に衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図25の矢印X1)が、中空部46において形成される。また、噴出口56から噴出された液体の一部は、衝突面96に衝突せず、開口部47A,47Bからプローブ41の外部に噴出される(図25の矢印X2)。
なお、図22に示す第11の変形例のように吸引チューブ52のみが設けられる構成においても、噴出口56及び吸引口57よりプローブ基端部方向側で送液管路53と吸引管路55との間を連通させる連通部(101A,101B)が、吸引チューブ52に設けられてもよい。また、図23に示す第12の変形例のように送液チューブ51のみが設けられる構成においても、噴出口56及び吸引口57よりプローブ基端部方向側で送液管路53と吸引管路55との間を連通させる連通部(101A,101B)が、送液チューブ51に設けられてもよい。
また、前述の実施形態等では、プローブ41(処置部42)のプローブ先端壁91に衝突面96が設けられているが、これに限るものではない。例えば、第15の変形例として図26に示すように、プローブ先端壁91よりプローブ基端部方向側にプローブ41の内周側に向かって突起部102が設けられ、突起部102に衝突面96が形成されてもよい。本変形例でも、衝突面96は、プローブ基端部方向を向き、送液管路53の噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。
また、図27に示す第16の変形例では、プローブ41の外部にプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ向かって外部送液チューブ103が延設されてもよい。外部送液チューブ103の内部には、外部送液管路105が形成されている。したがって、外部送液管路105は、プローブ41の外部を通ってプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ延設されている。外部送液管路105の先端は、プローブ41の外部に位置する外部噴出口107によって形成されている。本変形例では、外部噴出口107は、処置部42の処置部側面93のプローブ側対向面95上に位置している。したがって、外部噴出口107は、シース40の先端よりプローブ先端部方向側に位置している。
外部送液管路105(外部送液チューブ103)は、プローブ41の外周面とシース40の内周面との間を通って、保持ユニット3の内部までプローブ基端部方向へ向かって延設されている。本変形例では、保持ユニット3に外付け送液チューブ73とは別の外付け送液チューブ(図示しない)の一端が接続可能である。保持ユニット3に外付け送液チューブが接続されることにより、外部送液管路105の基端(一端)は、外付け送液チューブの内部と連通する。
また、本変形例では、送液源76とは別に送液源(図示しない)が、エネルギー処置システム1に設けられている。外付け送液チューブの他端は、送液源に接続されている。送液源には、送液源76と同様に、送液ポンプ等の送液作動部(図示しない)と、貯液タンク(図示しない)と、が設けられ、制御部18によって、送液作動部の作動状態が制御されている。送液作動部が作動されることにより、貯液タンクに貯められた生理食塩水等の液体が、外付け送液チューブの内部を通して、外部送液管路105に供給(送液)される。そして、外部送液管路105において、プローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ液体が供給される。これにより、外部噴出口107からプローブ先端部方向側に向かって供給された液体が噴出され、処置部先端面92の近傍に液体が供給される。
本変形例では、プローブ側対向面95に外部噴出口107が位置している。このため、ジョー43を処置部42に対して閉じることにより、外部噴出口107から噴出される液体の噴出速度が増加する。このため、送液源から供給された液体が、例えば処置部42の基端部から処置対象以外の部位に滴下することはなく、プローブ41の外部の処置部先端面92の近傍まで適切に供給される。
本変形例では、第1の実施形態と同様に、送液チューブ51の内部に吸引チューブ52が挿通されている。そして、開口部47は、第1の実施形態と同様に、処置部先端面92に設けられている。したがって、第1の実施形態と同様に、プローブ先端壁91に設けられる衝突面96は、噴出口56の少なくとも一部に対して対向している。前述のような構成にすることにより、本変形例においても、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の一部が衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図27の矢印X1)が、中空部46において形成される。また、噴出口56から噴出された液体の一部は、中空部46から開口部47を通して、プローブ41の外部に噴出される(図27の矢印X2)。
また、前述の実施形態等では、送液管路53の噴出口56から噴出された液体の一部が開口部(47;47A,47B;47A〜47D;97;97A,97B;97A〜97D;47,97A,97B;47A,47B,97A,97B)からプローブ41の外部に噴出され、処置部先端面92の近傍に供給されるが、これに限るものではない。例えば、図28に示す第17の変形例では、噴出口56から噴出された液体は、開口部47を通してプローブ41の外部に噴出されない。本変形例でも、第16の変形例と同様に、吸引口57から吸引管路55に流入させる液体を供給する送液管路53とは別に、処置に用いられる液体をプローブ41の外部の処置部先端面92の近傍に供給する外部送液管路105が設けられている。本変形例では、噴出口56から噴出された液体の全てが衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の全てが衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れ(図28の矢印X1)が、中空部46において形成される。送液作動部77の作動状態の制御によって送液管路53の噴出口56への液体の供給量を調整することにより、噴出口56から噴出された液体の全てを、吸引口57を通して吸引管路55に流入させることが可能となる。
本変形例では、送液管路53は、吸引口57から吸引管路55に流入させる液体のみを供給し、送液管路53とは別に、処置に用いられる液体をプローブ41の外部の処置部先端面92の近傍に供給する外部送液管路105が、設けられている。したがって、送液管路53に液体を供給する送液作動部77の作動状態、及び、外部送液管路105に液体を供給する送液作動部(図示しない)の作動状態を制御することにより、液体(生理食塩水)が用いられない処置においても、吸引管路55において吸引口57から液体を流入させることが可能となる。例えば、第1の実施形態で前述した第1の出力モードでエネルギー源ユニット15からエネルギーが出力される場合(すなわち、プローブ41が超音波振動を伝達し、かつ、処置部42及びジョー43の導電部が高周波電力の電極として機能する場合)において、送液管路53に液体を供給する送液作動部77の作動し、外部送液管路105に液体を供給する送液作動部の作動を停止する。これにより、外部噴出口107からは液体が噴出されず、噴出口56から噴出された液体の全ては、衝突面96に衝突し、吸引口57を通して吸引管路55に流入する。したがって、処置対象を凝固しながら切開する処置の処置性能がプローブ41の外部の液体に起因して低下することなく、吸引管路55での詰まりの発生が防止される。
また、第18の変形例では、エネルギー源ユニット15からのエネルギーの出力状態、送液作動部77の作動状態、及び、吸引作動部82の作動状態が、図29に示すように、制御部18によって制御される。図29は、エネルギー操作入力部(9A〜9C,10)でのエネルギー操作の入力の有無、送液作動部77の作動状態、及び、吸引作動部82の作動状態の経時的な変化の一例を示す図である。図29では、エネルギー操作の入力の変化を実線で、送液作動部77の作動状態の変化を破線で、吸引作動部82の作動状態の変化を一点鎖線で示している。
図29に示す一例では、時間t1と時間t2との間で、エネルギー操作部(9A〜9C,10の中の1つ)でのエネルギー操作が入力されている(エネルギー操作の入力ON状態)。それぞれのエネルギー操作入力部(9A〜9C,10)でエネルギー操作が入力された際には、第1の実施形態で前述した出力モード(第1の出力モード乃至第4の出力モードの中の1つ)でエネルギー源ユニット15から処置に用いられるエネルギーが出力され、第1の実施形態で前述したように送液作動部77の作動状態及び吸引作動部82の作動状態が制御される。そして、時間t2でエネルギー操作の入力が停止されると(エネルギー操作が入力OFF状態になると)、同時に、送液作動部77が自動的に作動され、送液管路53を通して液体が供給される(送液作動部77がON状態になる)。そして、送液作動部77の作動が開始された(すなわち、送液源76からの液体の供給が開始された)時間t2から所定の時間ΔW1経過した時間t3において、吸引作動部82が自動的に作動される(吸引作動部82のON状態になる)。
送液作動部77及び吸引作動部82が作動されることにより、前述したように、中空部46において、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部は衝突面96に衝突する。これにより、噴出口56から噴出された液体の少なくとも一部が衝突面96から吸引口57を通して吸引管路55へ向かう流れが、中空部46において形成される。そして、送液作動部77は、時間t2から(すなわち、送液作動部77の作動が開始されてから)一定時間ΔW2経過した後に、停止される(送液作動部77がOFF状態になる)。また、吸引作動部82は、時間t3から(すなわち、吸引作動部82の作動が開始されてから)一定時間ΔW2経過した後に、停止される(吸引作動部82がOFF状態になる)。このため、送液作動部77の作動が停止されてから所定の時間ΔW1経過した後に、吸引作動部82の作動が停止される。
前述のように、送液作動部77及び吸引作動部82が制御されることにより、エネルギーを用いた処置において、より有効に吸引管路55での詰まりの発生が防止される。なお、エネルギー操作の代わりに第1の実施形態で前述した送液操作又は吸引操作が時間t1と時間t2との間で入力されている場合でも、時間t2より後(すなわち、送液操作又は吸引操作の入力が停止された後)において、本変形例において前述のように送液作動部77の作動状態及び吸引作動部82の作動状態が経時的に制御されてもよい。
また、前述の実施形態等では、エネルギー処置具2によって、ジョー43と処置部42との間で処置対象を把持することが可能であるが、これに限るものではない。例えば、ある変形例では、ジョー43が設けられなくてもよい。この場合、保持ユニット3に固定ハンドル6、可動ハンドル7及び回転操作ノブ8は、設けられない。また、ジョー43と処置部42との間で把持した処置対象を超音波振動によって凝固しながら切開する処置は行われない。ただし、この場合も、プローブ41は、処置に用いられるエネルギーとして超音波振動を伝達する。そして、処置部42(処置部先端面92の近傍)において、前述のようにキャビテーションによって処置対象を破砕及び乳化し、破砕及び乳化した処置対象が吸引管路55を通して吸引される。
また、ある変形例では、プローブ41が超音波振動を伝達せず、エネルギーとして高周波電力のみがプローブ41を通して処置部42に供給されてもよい。この場合、処置部42に高周波電力が供給されることにより、処置対象に高周波電流を流し、高周波電流によって処置対象を切除する。そして、プローブ41の中空部46に延設される吸引管路55を通して、切除された処置対象が吸引される。
また、ある変形例では、処置部42に熱電対等の熱発生体(図示しない)が設けられ、プローブ41を通して電力が熱発生体に供給されてもよい。エネルギーとして電力が供給されるにより、熱発生体では処置に用いられる熱が発生する。そして、発生した熱を用いて処置対象を切除し、プローブ41の中空部46に延設される吸引管路55を通して、切除された処置対象が吸引される。
また、ある変形例では、プローブ41の処置部42(プローブ先端部)に、真直ぐな長手軸Cに対して交差するある方向へ向かって湾曲するプローブ湾曲部が、設けられてもよい。この場合も、前述の実施形態等と同様にして、プローブ41の内部に中空部46に送液管路53及び吸引管路55が延設され、プローブ41には衝突面96が形成されている。
前述の実施形態等では、プローブ(41)は、長手軸(C)に沿って延設され、エネルギーを伝達可能である。また、プローブ(41)は、伝達されたエネルギーを用いて処置を行う処置部(42)を先端部に備え、プローブ(41)の内部には、長手軸(C)に沿って中空部(46)が形成されている。中空部(46)は、処置部(42)の外表面の開口部(47;47A,47B;47A〜47D;97;97A,97B;97A〜97D;47,97A,97B;47A,47B,97A,97B)でプローブ(41)の外部に対して開口している。そして、中空部(46)には、送液管路(53)及び吸引管路(55)がプローブ基端部方向からプローブ先端部方向へ延設されている。中空部(46)に位置する吸引口(57)によって、吸引管路(55)の先端が形成され、中空部(46)に位置する噴出口(56)によって、送液管路(53)の先端が形成されている。吸引管路(55)においてプローブ基端部方向へ向かう流れが発生することにより、プローブ(41)の外部から中空部(46)の開口部(47;47A,47B;47A〜47D;97;97A,97B;97A〜97D;47,97A,97B;47A,47B,97A,97B)及び前記吸引口(57)を通して吸引管路(55)に向かう吸引力が、作用する。また、送液管路(53)においてプローブ先端部方向へ向かって液体が供給されることにより、中空部(46)において供給された液体が、噴出口(56)からプローブ先端部方向側に向かって噴出される。プローブ(41)には、噴出口(56)の少なくとも一部に対して対向する状態で、衝突面(96)が設けられている。衝突面(96)は、吸引口(57)及び噴出口(56)よりプローブ先端部方向側に位置している。中空部(46)において噴出口(56)から噴出された液体の少なくとも一部は、衝突面(96)に衝突し、衝突面(96)に衝突した液体の流れ方向が、変更される。これにより、中空部(46)において衝突面(96)から吸引口(57)を通して吸引管路(55)へ向かう液体の流れが、形成される。
前述の構成を満たすものであれば、開口部(47;47A,47B;47A〜47D;97;97A,97B;97A〜97D;47,97A,97B;47A,47B,97A,97B)の数、形状、及び、中空部(46)での送液管路(53)及び吸引管路(55)の延設状態等を適宜変更可能である。
(参照例)
以下、参照例について図30乃至図32を参照にして説明する。図30は、プローブ41及びプローブ41が固定されるプローブホルダ117の構成を示す図である。図30に示すように、本参照例では、プローブ41は、先端側プローブ112と、先端側プローブ112のプローブ基端部方向側に接続される基端側プローブ113と、を備える。細長い柱状の部材に長手方向に沿って貫通する孔を形成する加工は手間及び労力を要する。このため、2つの部材(例えば、先端側プローブ112及び基端側プローブ113)を螺合等によって接続することにより、長手軸Cに沿ってプローブ41を貫通する中空部46が内部に形成される場合でも、プローブ41を製造する手間及び労力が削減される。
本参照例では、先端側プローブ112に処置部42が設けられている。図31は、処置部42の長手軸Cに垂直な断面を示している。図31に示すように、処置部42の長手軸Cに垂直な断面では、外表面(処置部側面93)によって囲まれる形状が、略五角形状になり、長手軸Cを中心として点対称ではない(非点対称である)。
また、基端側プローブ113には、フランジ部115が設けられている。フランジ部115には、プローブ止め部材116が固定される。また、シース40には、プローブホルダ117が設けられている。プローブ止め部材116がプローブホルダ117に固定されることにより、プローブ41がシース40に取付けられる。
図32は、プローブ41のフランジ部115及びプローブホルダ117を通る長手軸Cに垂直な断面を示している。図32に示すように、プローブ41(基端側プローブ113)では、フランジ部115の外周面によって係合外周面118が形成されている。長手軸Cに垂直な断面では、フランジ部115の係合外周面118によって囲まれる形状が、長手軸Cを中心として点対称ではない(非点対称である)。すなわち、フランジ部115の係合外周面118は、長手軸Cを中心として非点対称に、形成される。
先端側プローブ112に基端側プローブ113が接続されるプローブ41では、設計上の誤差等により、長手軸C回りについての処置部42に対する係合外周面118(フランジ部115)の角度位置が製品ごとに異なる。例えば、あるプローブ41では、長手軸C回りについて図31に示す角度位置の処置部42に対して、係合外周面118は、長手軸C回りについて図32の実線で示す角度位置に位置するが、別のあるプローブ41では、長手軸C回りについて図31に示す角度位置の処置部42に対して、フランジ部115は、長手軸C回りについて図32の破線で示す角度位置に位置する。
また、プローブ止め部材116の内周面によって、係合外周面118と係合する係合内周面119が形成されている。係合内周面119が係合外周面118に係合することにより、プローブ41(基端側プローブ113)にプローブ止め部材116が固定される。長手軸Cに垂直な断面において、係合内周面119は、係合外周面118に対応する形状(係合外周面118と係合可能な形状)に形成さる。このため、長手軸Cに垂直な断面では、プローブ止め部材116の係合内周面119によって囲まれる形状が、長手軸Cを中心として点対称ではない(非点対称である)。すなわち、プローブ止め部材116の係合内周面119は、長手軸Cを中心として非点対称に、形成される。
プローブ41のフランジ部115にプローブ止め部材116を固定する際には、長手軸C回りついての係合外周面118の角度位置に対応させて、係合外周面118と係合可能な状態に、係合内周面119の長手軸C回りについての角度位置を調整する。また、前述のように、長手軸C回りについての処置部42に対する係合外周面118(フランジ部115)の角度位置は、製品ごとに異なる。したがって、長手軸C回りについての処置部42に対する係合内周面119の角度位置は、製品ごとに異なる。
また、プローブ止め部材116の外周面には、長手軸C回りについて全周に渡って凸凹外周面121が形成されている。長手軸Cに垂直な断面では、プローブ止め部材116の凸凹外周面121によって囲まれる形状が、長手軸Cを中心として点対称である。すなわち、プローブ止め部材116の凸凹外周面121は、長手軸Cを中心として点対称に、形成される。このため、長手軸C回りについて係合内周面119(プローブ止め部材116)の角度位置が変化しても、凸凹外周面121の長手軸Cに垂直な断面形状は変化しない。
プローブホルダ117は、ホルダ形成部材122A,122Bを備える。また、プローブホルダ117の内周面には、長手軸C回りについて全周に渡って凸凹内周面123が形成されている。長手軸Cに垂直な断面において、凸凹内周面123は、凸凹外周面121に対応する形状(凸凹外周面121と係合可能な形状)に形成さる。このため、長手軸Cに垂直な断面では、プローブホルダ117の凸凹内周面123によって囲まれる形状が、長手軸Cを中心として点対称になる。すなわち、プローブホルダ117の凸凹内周面123は、長手軸Cを中心として点対称に、形成される。
本参照例では、凸凹外周面121及び凸凹内周面123が長手軸Cを中心として点対称である。このため、ホルダ形成部材122A,122Bをプローブ止め部材116に取付けることにより、長手軸C回りについて係合内周面119(プローブ止め部材116)の角度位置に関係なく、凸凹外周面121に凸凹内周面123が係合する。すなわち、長手軸C回りについて凸凹外周面121に対する凸凹内周面123の角度位置を調整することなく、プローブ止め部材116にプローブホルダ117が固定される。
前述のような構成であるため、プローブ41をプローブホルダ117(シース40)に取付ける際には、長手軸C回りについて所定の角度位置に処置部42を位置させた状態で、フランジ部115の係合外周面118にプローブ止め部材116の係合内周面119を係合させる。この際、長手軸C回りについての係合外周面118及び係合内周面119の角度位置は製品ごとに異なるが、長手軸C回りについて係合内周面119(プローブ止め部材116)の角度位置に関係なく、凸凹外周面121に凸凹内周面123が係合する。このため、長手軸C回りについての係合外周面118及び係合内周面119の角度位置が製品ごとに異なる場合でも、プローブホルダ117がプローブ止め部材116に容易に固定される。
また、本参照例では、プローブ41にプローブ止め部材116を固定して状態において、長手軸C回りについてのプローブ止め部材116(フランジ部115)の角度位置に対応させて、プローブ止め部材116を加工する必要はない。例えば、プローブホルダ(117)を固定ネジによってプローブ止め部材(116)に固定する構成では、プローブ(41)にプローブ止め部材(116)を固定した状態において、長手軸C回りについてのプローブ止め部材(116)の角度位置に対応させて、プローブ止め部材(116)にネジ穴を形成する必要がある。しかし、本参照例では、前述のようなネジ穴を形成する必要はない。したがって、長手軸C回りについて所定の角度位置に処置部42が位置する状態で、プローブ41をプローブホルダ117(シース40)に容易に取付ける(固定する)ことができる。
また、プローブ止め部材116の凸凹外周面121とプローブホルダ117の凸凹内周面123は、長手軸C回りについて全周に渡って係合している。このため、プローブ41がプローブホルダ117に強固に固定される。したがって、プローブ41及びプローブホルダ117の強度が確保される。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明は前述の実施形態等に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形ができることは、もちろんである。