JP6021787B2 - 充填砂の評価及び選定方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、取鍋の自然開孔率を100%にすることができる充填砂を選定することが可能な充填砂の評価及び選定方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、取鍋内の溶湯を排出するノズルに充填される充填砂を評価及び選定する方法であって、前記充填砂の試料収縮率を測定した際に、温度が1250℃以上1350℃以下の低温域では熱間試料収縮率が1.2%以上2.5%以下となり、且つ、温度が1450℃以上1550℃以下の高温域では冷間試料収縮率が3.0%以上10%以下である充填砂を選定することを特徴とする充填砂の評価及び選定方法。なお、前記充填砂の組成は、Cr 2 O 3 :33.8〜39.6(質量%)、 Fe 2 O 3 :17.8〜26.3(質量%)、SiO 2 :14.2〜24.8(質量%)、C:0.16〜0.63(質量%)、MgO:7.9〜8.6(質量%)、Al 2 O 3 :11.2〜13.2(質量%)、残部:0.19〜2.53(質量%)であり、前記熱間試料収縮率は、ホットプレス機を用い、充填砂からなるサンプルに溶鋼静圧に対応した圧力を加えると共に、サンプルを加熱部で加熱した後の熱間状態でのサンプルの収縮率(試験後のサンプル高さ÷試験前のサンプル高さ×100)であり、冷間試料収縮率は、電気炉を用いて、充填砂からなるサンプルを加熱し、その後サンプルを冷却し、冷間状態となったサンプルの収縮率(試験後のサンプル高さ÷試験前のサンプル高さ×100)のことである。
製鋼工程においては、転炉や電気炉等にて溶銑(溶湯)の一次精錬を行い、一次精錬終了後の溶鋼を取鍋に装入した後、取鍋を二次精錬設備に搬送し、二次精錬設備にて介在物の除去や成分調整等の二次精錬を行う。そして、二次精錬処理後、溶鋼は取鍋によって連続鋳造装置に搬送され、取鍋内の溶鋼は連続鋳造装置のタンディッシュに注入され、連続鋳造装置によって、スラブ等の鋳片へと鋳造される。
図1に示すように、ノズル1は取鍋2の底部3に設置され、当該ノズル1の外側(溶鋼排出側)には、スライドプレート4が設けられている。スライドプレート4は、ノズル1の溶鋼排出側に固定された第1プレート4aと、第1プレート4aの溶鋼排出側に移動自在に設けられた第2プレート4bとを備えており、第2プレート4bは図示省略の油圧シリンダ等の移動機構によって水平方向に移動する。なお、取鍋2の底部3には耐火物5が設けられている。
ここで、ノズル1内に充填した充填砂が著しく焼結しないものである場合、即ち、充填砂の焼結特性が極端に悪い場合、溶鋼を取鍋2に装入した段階で、例えば、一部の充填砂が溶鋼によって洗い流され、図1(b)の矢印Aに示すように充填層の内部に溶鋼が差し込まれてしまう。そうすると、ノズル1の外側を開放した際に、充填砂Sの焼結層が破壊されず、溶鋼が排出できないという不具合が生じる。つまり、充填砂の焼結特性が極端に悪い場合は、図1(c)の状態にはならず、酸素等によって焼結層等を溶解して溶鋼を排出しなければならない「開孔不良」が発生したり、酸素等によって焼結層等が溶解することが実質的に不可能な「開孔不能」が発生する。
このように、充填砂によっては、開孔不良や開孔不能等が発生するため、適切な充填砂を選定することは重要なことである。発明者は、充填砂の選定について様々な角度から検証を行った。その結果、充填砂がほぼ同様な組成、粒度であっても自然開孔性の優劣が異なることを知見した。その原因として、ほぼ同様な組成、粒度であっても、充填砂に含まれる測定不可能なレベルの微量元素濃度の存在有無により充填砂の焼結特性が変化するためと考えられる。
検証の結果、発明者は、低温域での充填砂の焼結特性と、高温域での充填砂の焼結特性を評価し、その結果から適正な充填砂を選定できることを見いだした。即ち、低温域では溶鋼の洗い流しや溶鋼の差し込みが無い程度に焼結し、且つ、高温域では溶鋼静圧によって破壊される程度に焼結する充填砂を用いれば、上述した開孔不良や開孔不能等が発生しないことを見いだした。
低温域における熱間試料収縮率の測定では、図2に示すようなホットプレス機を採用した。このホットプレス機は、黒鉛等により形成された筒状の筒体(黒鉛型)10と、黒鉛型10の一方側を閉鎖する固定体11と、黒鉛型10の他方側を閉鎖する移動体(可動体)12と、黒鉛型10を加熱する加熱部(図示省略)を備えたものである。
なお、低温域の試験では加圧を行っているが、加圧なしと比べて極めて精度良く サンプルの収縮率を測定することが可能である。加圧をしない場合は、試験後の収縮変化量が少なくて測定精度が悪化してしまう。
詳しくは、高温の試験では、サンプル量は50gとし、黒鉛坩堝はφ25mmとした。電気炉内は、Ar雰囲気下で約1500℃(10℃/min)まで加熱し、約1500℃のまま2時間保持した後、サンプルSの冷却後の収縮率(冷間試料収縮率)を求めた。
この試験結果と実際の現象とを対比・検証した場合、高温域(温度が1450℃〜1550℃)において、収縮率が3.0%未満の場合、溶鋼の差し込み等による開孔不良が多発した。高温域において、収縮率が10%を超える場合、過焼結による開孔不良が発生した。
自然開孔率は、強制処置を講じなくても溶鋼がタンディッシュに注入できた割合、即ち、「自然開孔率=自然開孔の数/ノズルの外側を開放した数」で求めた。実施例及び比較例では、転炉から連続鋳造までの処理を300チャージ以上行って、自然開孔率の優劣を評価した。なお、操業条件が開孔に与える影響をなくすため、実鍋時間(転炉の溶鋼を取鍋で受鋼してから取鍋内の溶鋼をタンディッシュに排出するまでの時間)が80分以上160分未満で、且つ、溶鋼の最高温度は160℃以上〜1700℃未満の操業についての自然開孔率を求めることとした。
比較例14〜20(比較例−1)では、低温域における収縮率は1.2%以上2.5%以下であるものの、高温域における収縮率が3.0%未満であったり10%を超えているため、開孔率を100%にすることはできなかった。
図4は実施例及び比較例における収縮率と自然開孔率の結果を示したものである。
2 取鍋
3 底部
4 スライドプレート
4a 第1プレート
4b 第2プレート
5 耐火物
8 ホットプレス機
10 筒体(黒鉛型)
11 固定体
12 移動体(可動体)
13 スペーサ
Claims (1)
- 取鍋内の溶湯を排出するノズルに充填される充填砂を評価及び選定する方法であって、
前記充填砂の試料収縮率を測定した際に、温度が1250℃以上1350℃以下の低温域では熱間試料収縮率が1.2%以上2.5%以下となり、且つ、温度が1450℃以上1550℃以下の高温域では冷間試料収縮率が3.0%以上10%以下である充填砂を選定することを特徴とする充填砂の評価及び選定方法。
なお、前記充填砂の組成は、Cr 2 O 3 :33.8〜39.6(質量%)、 Fe 2 O 3 :17.8〜26.3(質量%)、SiO 2 :14.2〜24.8(質量%)、C:0.16〜0.63(質量%)、MgO:7.9〜8.6(質量%)、Al 2 O 3 :11.2〜13.2(質量%)、残部:0.19〜2.53(質量%)であり、前記熱間試料収縮率は、ホットプレス機を用い、充填砂からなるサンプルに溶鋼静圧に対応した圧力を加えると共に、サンプルを加熱部で加熱した後の熱間状態でのサンプルの収縮率(試験後のサンプル高さ÷試験前のサンプル高さ×100)であり、冷間試料収縮率は、電気炉を用いて、充填砂からなるサンプルを加熱し、その後サンプルを冷却し、冷間状態となったサンプルの収縮率(試験後のサンプル高さ÷試験前のサンプル高さ×100)のことである。
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