JP6021547B2 - アイドルストップ車両の制御装置 - Google Patents

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本発明は、アイドルストップ車両を制御する制御装置に関する。
信号待ち等、車両の一時停車時に内燃機関のアイドル回転を停止させて燃費の向上を図るアイドリングストップシステムが周知である。アイドリングストップシステムでは、車速が所定値以下で、ブレーキペダルが踏み込まれており、冷却水温及びバッテリ電圧が十分高い、といった諸条件すなわちアイドルストップ条件が成立したときに、内燃機関を自動的に停止させる(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、従来のアイドリングストップシステムでは、車両が減速し車速が前記所定値となった時点でアイドルストップ条件が満たされていない場合には、次回のアイドルストップ条件が成立しているか否かの判定は車両が停止するまで行われない。しかし、更なる燃費の向上を図るべく、アイドルストップを行う期間をより長くする要望が存在する。
特開2012−117413号公報
本発明は以上の点に着目し、アイドルストップを行う期間をより長くして燃費の向上を図ることを目的とする。
以上の課題を解決すべく、本発明に係るアイドルストップ車両の制御装置は、以下に述べるような制御を行う。すなわち本発明に係るアイドルストップ車両の制御装置は、内燃機関のアイドリングを停止するアイドルストップを行う制御装置であって、車両が減速し車速が所定値となった際にアイドルストップを行うためのアイドルストップ条件を満たしているか否かを判定し、前記アイドルストップ条件を満たしていないと判定された場合において車速が前記所定値を下回っている場合は繰り返し前記アイドルストップ条件を満たしているか否かの判定を行う制御を行うものであって車速をパラメータとして前記アイドルストップ条件のうち所定傾斜、所定踏み込み量及び所定ブレーキブースタ負圧を決定し、車速が低下するにつれ前記所定傾斜が大きく、前記所定踏み込み量が小さく、前記所定ブレーキブースタ負圧が小さくなるように設定されている。
このような制御を行えば、車両が停止する以前であっても、アイドルストップ条件が満たされた時点でアイドルストップを行うことができるとともに、車速が低くなるほど車両が停止する可能性が高くなることに着目して車速が低下するにつれアイドルストップが実行される可能性が高くなるようにしているので、アイドルストップを行うことに伴う不具合の発生を抑制することができる。
本発明によれば、アイドルストップを行う期間をより長くして燃費の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態における内燃機関の概略構成図 同実施形態の制御装置が実施する処理の手順例を示すフローチャート。 同実施形態の車速とアイドルストップ条件との関係を示す図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式ガソリンエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
本実施形態の車両には、ブレーキブースタ5が付帯している。ブレーキブースタ5は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側の部位、より具体的にはサージタンク33から吸気負圧を導き入れ、その負圧を用いてブレーキペダル6の踏力を倍力する、この分野では広く知られているものである。ブレーキブースタ5は、負圧を蓄える定圧室と、大気圧が加わる変圧室とを有し、定圧室が負圧管路51を介してサージタンク33に接続している。負圧管路51は、スロットルバルブ32の下流側の吸気負圧を定圧室へと導く。負圧管路51上には、負圧を定圧室内に留め、定圧室に正圧が加わることを防止するためのチェックバルブ52を設けてある。
運転者によりブレーキペダル6が操作されていないとき、定圧室と変圧室とが連通し、かつ変圧室が大気圧から隔絶される。ブレーキペダル6が操作されると、定圧室と変圧室との間が遮断され、かつ変圧室に大気が導入される。結果、定圧室と変圧室との圧力差が、ブレーキペダル6の踏力を倍力する制御圧力となる。ブレーキブースタ5により増幅されたブレーキ踏力は、マスタシリンダ(図示せず)において液圧力に変換され、液圧回路(図示せず)を介してブレーキキャリパやホイールシリンダといったブレーキ装置(図示せず)に伝達される。
また、内燃機関のクランクシャフトには、巻掛伝動装置(ベルト及びプーリ、またはチェーン及びスプロケット)や歯車伝動装置等(図示せず)を介してオルタネータ(図示せず)を接続している。オルタネータは、クランクシャフトから駆動力の伝達を受けて回転し、発電した電力を車載のバッテリ(図示せず)に充電する。
本実施形態の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号(N信号)b、アクセルペダルの踏込量(いわば、要求負荷)を検出するセンサから出力されるアクセル踏量信号c、ブレーキペダル6の踏込量またはマスタシリンダ圧を検出するセンサから出力されるブレーキ踏量信号d、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気負圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気負圧信号e、ブレーキブースタ5の定圧室内の負圧を検出する圧力センサから出力される定圧室内負圧信号f、シフトレバーのレンジを知得するためのセンサ(シフトポジションスイッチ)から出力されるシフトレンジ信号g、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号(G信号)h、加速度センサから出力される加速度信号i等が入力される。
出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号j、インジェクタ11に対して燃料噴射信号k、スロットルバルブ32に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、iを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミングといった各種運転パラメータを決定する。これら運転パラメータの決定手法自体は、既知のものを採用することが可能である。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
また、ECU0は、メモリに内蔵したアイドルストップ制御プログラムをCPUが実行することにより、アイドルストップ条件が成立したか否か、具体的にはシフトレンジ信号gが示すシフトポジションが走行レンジであり(AT車の場合)、ブレーキ踏量信号dが示すブレーキペダル6の踏み込み量が所定踏み込み量以上であり、定圧室内負圧信号fが示すブレーキブースタの定圧室内の負圧が所定ブレーキブースタ負圧(所定圧よりもより真空側)以上であり、加速度信号iが示す上り勾配が上り勾配判定閾値以下である(加えて、車載バッテリの電圧が所定電圧以上であり、内燃機関の冷却水温が所定水温以上であり、潤滑油の油温が所定油温以上であり、吸気温・吸気負圧信号eが示す吸気温が所定吸気温以上である)、等の諸条件がおしなべて成立したか否かの判定を行い、前記アイドルストップ条件が成立した場合に内燃機関の運転を停止する制御を行う。
さらに、ECU0は、内燃機関の始動(冷間始動であることもあれば、アイドリングストップからの復帰であることもある)時において、スタータモータ(セルモータ、図示せず)に制御信号pを入力し、スタータモータのピニオンギアをドライブプレート外周のリングギアに噛合させて機関を回転させるクランキングを行う。クランキングは、初爆から連爆へと至り、エンジン回転数が冷却水温等に応じて定まる判定値を超えたときに(完爆したものと見なして)終了する。
図2に、本実施形態のアイドルストップ制御プログラムによりECU0が実行する処理の手順を示す。ECU0は、車両が減速し車速が所定値(例えば、7km/h)以下となったことを検知した際に(ステップS1)、車速をパラメータとして所定傾斜、所定踏み込み量及び所定ブレーキブースタ負圧を決定し(ステップS2)、前記アイドルストップ条件が成立したか否かの判定を行う(ステップS3)。アイドルストップ条件が成立した場合には、アイドルストップ要求があったものとしてアイドルストップ制御を引き続き行う(ステップS4)。一方、アイドルストップ条件が成立していない場合には、ステップS1以下の制御を繰り返し行う。
ここで、前記所定傾斜は、図3に示すように、車速が低くなるにつれ大きくなっている。これは、車速が低い場合加速度センサによる勾配の検出誤差が小さく、検出値が低い場合であっても実際の勾配が急でありブレーキブースタによるブレーキ踏力の増幅作用を得るべく内燃機関の運転を維持しておく必要があるという可能性が低いためである。さらには、実際の勾配が急であるために車両停止後にずり下がりなどの不具合が発生する可能性も低いためである。一方、所定踏み込み量は、車速が低くなるにつれ小さくなっている。これは、車速が低い場合には踏み込み量が少なくてもそのまま車両停車に至る可能性が高く、逆に再加速に備えて内燃機関の運転を維持しておく必要性は低いためである。また、所定ブレーキブースタ負圧も、車速が低くなるにつれ小さくなっている。これは、車速が低い場合大きな制動力が必要となる可能性が低く、ブレーキブースタを利用すべく内燃機関の運転を維持しておく必要性も低いためである。つまり、内燃機関が停止するとブレーキブースタに蓄えられている負圧のみでブレーキペダルの踏力が増幅されることとなるが、車速が低い場合には大きな制動力が必要となる可能性が低いため、ブレーキブースタに蓄えられている負圧が少ない状態でエンジンを停止しても十分な性動力を確保することが可能となるためである。すなわち、前記アイドルストップ条件が、車速が低下するにつれアイドルストップが実行される可能性が高くなるように設定されている。
すなわち、本実施形態の制御によれば、車両が停止する以前であっても、アイドルストップ条件が満たされた時点でアイドルストップを行うことができる。従って、アイドルストップを行う期間をより長くして燃費の向上を図ることができる。その上、車速が低くなるほど車両が停止する可能性が高くなることに着目し、車速が低下するにつれアイドルストップが実行される可能性が高くなるようにしているので、この点からもアイドルストップを行う期間をより長くして燃費の向上を図ることができる。
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
例えば、車速の低下に伴い、上述した勾配、ブレーキペダルの踏み込み量及びブレーキブースタ負圧以外の閾値も、アイドルストップがより実行される可能性が高くなるように車速に応じて設定するようにしてもよい。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
0…ECU(制御装置)
a…車速信号

Claims (1)

  1. 内燃機関のアイドリングを停止するアイドルストップを行う制御装置であって、
    車両が減速し車速が所定値となった際にアイドルストップを行うためのアイドルストップ条件を満たしているか否かを判定し、
    前記アイドルストップ条件を満たしていないと判定された場合において車速が前記所定値を下回っている場合は繰り返し前記アイドルストップ条件を満たしているか否かの判定を行う制御を行うものであって
    車速をパラメータとして前記アイドルストップ条件のうち所定傾斜、所定踏み込み量及び所定ブレーキブースタ負圧を決定し、
    車速が低下するにつれ前記所定傾斜が大きく、前記所定踏み込み量が小さく、前記所定ブレーキブースタ負圧が小さくなるように設定されているアイドルストップ車両の制御装置。
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