以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、中間転写方式を採用したタンデム型のフルカラーレーザービームプリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4の画像形成部(ステーション)PY、PM、PC、PKを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する。
尚、本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKの構成及び動作は、使用するトナーの色を除いて共通する部分が多い。従って、特に区別を要しない場合は、第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKのいずれかの要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って次の各手段が配置されている。先ず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2である。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3である。次に、現像手段としての現像器4である。次に、記録材Pにトナー像を転写するための中間転写ユニット5である。次に、感光体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置6である。
中間転写ユニット5は、各画像形成部Pの各感光ドラム1と対向するように、中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、複数の支持ローラ(張架部材)として駆動ローラ11、テンションローラ12、2次転写対向ローラ13に所定の張力をもって架け渡されている。中間転写ベルト10は、駆動ローラ11によって図中矢印R2方向に回転駆動される。中間転写ベルト10は、感光ドラム1との対向部において、その表面の移動方向が感光ドラム1の表面の移動方向と同方向となるように、感光ドラム1と略同一の周速度で回転駆動される。中間転写ベルト10の内周面側において、各感光ドラム1に対向する位置に、1次転写手段としてのシート状の転写部材である1次転写シート14が配置されている。1次転写シート14は、中間転写ベルト10を介して感光ドラム1に押圧されており、中間転写ベルト10と感光ドラム1とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)N1が形成されている。又、中間転写ベルト10の外周面側において、2次転写対向ローラ13に対向する位置には、2次転写手段としてのローラ型の転写部材である2次転写ローラ20が配置されている。2次転写ローラ20は、中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ13に押圧されており、2次転写ローラ20と中間転写ベルト10とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)N2が形成されている。
画像形成時には、感光ドラム1は、その回転過程で、帯電ローラ2により所定の極性、所定の電位に一様に帯電処理される。帯電した感光ドラム1の表面は、露光装置3により画像情報に応じて露光される。これにより、目的のカラー画像における各画像形成部に対応する色成分に対応した静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1の表面に形成された静電潜像は、現像位置において現像器4によりトナーを用いて現像され、トナー像として可視化される。本実施例では、静電潜像を現像するトナーの意図された帯電極性(正規の帯電極性)は負極性である。又、本実施例では、イメージ露光と反転現像の組み合わせによりトナー像が形成される。即ち、一様に帯電処理された後に画像情報に応じて露光されることにより電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(画像部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで、トナー像を形成する。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部N1を通過する過程で、1次転写電圧印加手段としての1次転写電源15から1次転写シート14に印加される1次転写電圧(1次転写バイアス)によって、中間転写ベルト10上に1次転写される。
1次転写工程において中間転写ベルト10に転写されずに感光ドラム1の表面に残留したトナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング装置6により感光ドラム1の表面から除去されて回収される。その後、感光ドラム1は再び帯電工程以下の画像形成プロセスに供せられる。
例えばフルカラー画像の形成時には、以上のような画像形成プロセスが第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKにおいて行われ、各感光ドラム1Y、1M、1C、1K上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される。そして、これらの各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に順次重ねて1次転写されて、目的のカラー画像に対応した合成カラー画像が得られる。
中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、2次転写部N2を通過する過程で、2次転写電圧印加手段としての2次転写電源21から2次転写ローラ20に印加される2次転写電圧(2次転写バイアス)によって、記録材Sの表面に一括して2次転写される。記録材Sは、記録材収容部としての記録材カセット51から記録材供給手段としての給紙ローラ50により送り出されて、中間転写ベルト10上のトナー像と同期がとられて2次転写部N2に搬送されてくる。
4色のトナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着器30に導入され、そこで加熱及び加圧されることにより4色のトナーが溶融混色して記録材Sに固定される。以上の動作により、フルカラーのプリント画像が形成される。
又、2次転写工程において記録材Sに転写されずに中間転写ベルト10の表面に残留したトナー(2次転写残トナー)は、トナー帯電手段としてのブラシ状の帯電部材であるクリーニングブラシ16により略均一に散らされ、且つ、帯電される。その後、2次転写残トナーは、トナー帯電手段としてのローラ状の帯電部材であるクリーニングローラ17により電荷が付与され、次回の1次転写工程時に、本実施例では第1の画像形成部PYの感光ドラム1Yに転移(逆転写)させられる。そして、感光ドラム1Yに転移させられた2次転写残トナーは、1次転写残トナーと共に、第1の画像形成部PYの感光体クリーニング装置5Yによって感光ドラム1Yの表面から除去されて回収される。中間転写ベルト10のクリーニング方法については後述して更に説明する。
2.転写構成
本実施例では、中間転写ベルト10は、樹脂材料に導電剤を添加して導電性を付与した無端状ベルトであり、駆動ローラ11、テンションローラ12、2次転写対向ローラ13の3軸で張架され、テンションローラ12により総圧60Nの張力が付与されている。中間転写ベルト10は、図中矢印R2方向に回転(周回移動)する。
本実施例では、中間転写ベルト10は、導電剤としてカーボンを混合することにより体積抵抗率を1×109Ω・cmに調整したポリイミド樹脂を材料として形成された、厚さが100μmの無端状のベルト部材である。この中間転写ベルト10は、電気的特性としては、電子導電性の特性を示し、雰囲気中の温湿度に対する抵抗値変動は比較的小さい。中間転写ベルト10の体積抵抗率の範囲としては、転写性の観点から1×108〜1010Ω・cmの範囲が好ましい。
ここで、体積抵抗率は、三菱化学株式会社のHiresta−UP(MCP−HT450)を用い、測定プローブはURを用い、測定時の室内温度は23℃、室内湿度は50%に設定し、印加電圧500V、測定時間10secの条件で測定できる。
尚、本実施例では、中間転写ベルト10の材料としてポリイミド樹脂を使用したが、熱可塑性樹脂として、次のような他の材料を使用してもよい。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)な
どの材料及びこれらの混合樹脂である。
本実施例では、1次転写シート14は、厚さが200μmのシート状部材である。又、本実施例では、1次転写シート14は、PE(ポリエチレン)を材料として形成された、表面抵抗率が1×104[Ω/□]のシート状部材である。又、本実施例では、1次転写シート14は、中間転写ベルト10を介して感光ドラム1に対して、5Nの加圧力で押圧される。そして、1次転写シート14は、中間転写ベルト10に対して固定して配置されており、中間転写ベルト10の回転に伴い中間転写ベルト10の内周面を摺擦する。
尚、表面抵抗率についても、上記同様、三菱化学株式会社のHiresta−UP(MCP−HT450)を用い、測定プローブはURを用いて測定できる。
1次転写シート14を構成する導電性を持たせたシートの樹脂としては、例えば、ナイロン、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、PMMA(アクリル)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などを用いることができる。
図3をも参照して、本実施例では、1次転写シート14は、その長手方向が中間転写ベルト10の移動方向と略直交する方向を向くように配置される。又、1次転写シート14は、その短手方向の一方の端部(固定端部)が、中間転写ベルト10の移動方向の上流側において中間転写ベルト10の内周面から離れた位置に配置され、支持部材14aに固定される。又、1次転写シート14は、その短手方向の他方の端部(自由端部)が、中間転写ベルト10の移動方向の下流側において中間転写ベルト10の内周面に接触する位置に配置される。そして、1次転写シート14は、上記固定端部から自由端部側へと湾曲又は屈曲されると共に、自由端部から固定端部側に所定範囲の裏面(中間転写ベルト側とは反対側の面)に、押圧部材14bが接触させられている。押圧部材14bは、発泡弾性体などの弾性部材で構成されており、支持部材14aに固定されている。そして、押圧部材14bは、付勢手段としての圧縮コイルバネ14cによって支持部材14aが中間転写ベルト10に向けて付勢されることで、1次転写シート14を中間転写ベルト10に押圧する。
押圧部材14bの弾性部材としては、ウレタンゴム、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、エピクロロヒドリンゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、クロロプレンゴム、シリコーンゴムなどを用いることができる。
尚、シート状の転写部材は、押圧部材によってベルト体の面に押圧される構成に限定されるものではなく、それ自体の弾性力によりベルト体の面に押圧されてもよい。
又、本実施例では、1次転写シート14には、感光ドラム1上のトナーを中間転写ベルト10に1次転写している時には、1次転写電源15から+500Vの電圧が印加される。
図2、図4をも参照して、本実施例では、2次転写ローラ20は、芯金20aを弾性層20bで覆った、外径が18mmの弾性ローラである。芯金20aとしては、外径8mmのニッケルメッキ鋼棒を用いた。又、弾性層20bとしては、体積抵抗率を108Ω・cmに調整したNBRとエピクロルヒドリンゴムを主成分とする厚さが5mmの発泡スポンジ体を用いた。又、本実施例では、2次転写ローラ20は、中間転写ベルト10に対して、50Nの加圧力で押圧される。そして、2次転写ローラ20は、中間転写ベルト10に対して従動して回転する。
又、本実施例では、2次転写ローラ20は、中間転写ベルト10上のトナーを紙などの記録材Sに2次転写している時には、2次転写電源21から+2000Vの電圧が印加される。
3.2次転写残トナーの帯電手段
図2、図4をも参照して、本実施例の画像形成装置100は、2次転写残トナーの帯電手段として、クリーニングブラシ16とクリーニングローラ17とを有する。
本実施例では、クリーニングブラシ16は、基部16aに植設された導電性繊維16bを有する導電性ブラシである。本実施例では、導電性繊維16bは、ナイロンを主成分とし、導電剤としてカーボンを使用し、導電性繊維16bの1本の単位長さあたり電気抵抗値は1×1012Ω/cmであり、単糸繊度300T/60F(5dtex)である。この場合の単糸繊度は、1本の糸が60フィラメントの繊維で構成され、その重さが300T(デシテックス:10000m分の長さの重さが300g)であることを示している。
クリーニングブラシ16には、トナー帯電電圧印加手段としてのクリーニングブラシ電源60から所定の直流電圧(トナー帯電バイアス)が印加される。そして、クリーニングブラシ16によって、中間転写ベルト10上の2次転写残トナーは、帯電されると共に、略均一に散らされる。
本実施例では、クリーニングブラシ16は、所定の侵入量で中間転写ベルト10に接触して配置されている。
本実施例では、クリーニングローラ17は、金属製の芯金17aの外周に、導電層(電気抵抗層)である弾性層17bと、離型層17cとがこの順番で積層された弾性ローラである。離型層17cには、厚さが200μmのフッ素系コート材を用い、離型層17cの体積抵抗率は109Ω・cmである。又、弾性層17bには、厚さが3mmの導電ゴムを用い、弾性層17bの体積抵抗率は104Ω・cmである。
又、クリーニングローラ17は、中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ13に対して、9.8Nの加圧力で押圧される。クリーニングローラ17は、付勢手段としての圧縮コイルバネ(図示せず)によって、中間転写ベルト10に押圧される。そして、クリーニングローラ17は、中間転写ベルト10の回転に伴い従動して回転する。
クリーニングローラ17には、トナー帯電電圧印加手段としてのクリーニングローラ電源70から所定の直流電圧(トナー帯電バイアス)が印加される。そして、クリーニングローラ17によって、中間転写ベルト10上の2次転写残トナーは、略均一に帯電される。
尚、本実施例ではクリーニングローラ17として複層のローラを用いたが、これに限定されるものではなく、例えばウレタンゴム、NBR、EPDM、エピクロルヒドリンなどの単層のローラであっても良い。
4.中間転写ベルトのクリーニング方法
次に、図2を参照して、中間転写ベルト10のクリーニング方法について説明する。
上述のように、トナーは、現像器4で負極性に帯電された後、感光ドラム1上の静電潜像の現像に供される。その後、トナーは、正極性の電圧を印加された1次転写シート14により中間転写ベルト10に1次転写され、そして正極性の電圧を印加された2次転写ローラ20により記録材Sに2次転写される。
図2に示すように、2次転写工程後に中間転写ベルト10上に残留した2次転写残トナーには、2次転写ローラ20に印加した正極性の電圧の影響により、正、負両方の極性のトナーが混在する。又、記録材Sの表面の凹凸の影響を受け、2次転写残トナーは局所的に複数層に重なって中間転写ベルト10上に残留する(図2中A)。
中間転写ベルト10の移動方向の上流側に位置するクリーニングブラシ16は、移動する中間転写ベルト10に対して固定配置され、且つ、中間転写ベルト10に対して所定の侵入量をもって配置されている。そのため、クリーニングブラシ16を通過する時には、中間転写ベルト10上に複数層に堆積していた2次転写残トナーは、クリーニングブラシ16との周速差により機械的に略一層の高さに散らされる(図2中B)。
又、本実施例では、クリーニングブラシ16には、クリーニングブラシ電源60から正極性の電圧が印加され、定電流制御が行われる。本実施例では、10μAの電流が流れるように、クリーニングブラシ16に印加する電圧が定電流制御される。そのため、クリーニングブラシ16を通過する時に、2次転写残トナーの少なくとも一部は現像時のトナーの極性とは逆極性である正極性に帯電される。又、クリーニングブラシ16によって正極性に帯電しきれなかった負極性のトナーは、クリーニングブラシ16に1次回収される。
その後、クリーニングブラシ16を通過した2次転写残トナーは、中間転写ベルト10の移動方向に移動し、クリーニングローラ17に到達する。クリーニングローラ17には、クリーニングローラ電源70から正極性の電圧が印加されている。このクリーニングローラ電源70からクリーニングローラ17への印加電圧の制御方法については、後述して詳しく説明する。
クリーニングブラシ16を通過し、正極性に帯電された2次転写残トナーは、クリーニングローラ17を通過する時に更に帯電され、転写同時クリーニングを実現させるために最適な正電荷を付与することができる(図2中C)。
クリーニングローラ17により最適な電荷が付与された2次転写残トナーは、本実施例では第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yにおいて、1次転写シート14Yに印加された正極性の電圧により感光ドラム1Yに転移(逆転写)させられる。そして、この感光ドラム1Yに転移させられた2次転写残トナーは、感光ドラム1Y上に接触して配置された感光体クリーニング装置6Yによって感光ドラム1Y上から除去されて回収される。
尚、2次転写残トナーは、第1の画像形成部PYに回収することに限定されるものではない。例えば、中間転写ベルト10を感光ドラム1から離間させたり、トナーを中間転写ベルト10側に引き寄せる電圧を1次転写部N1に印加したりして、上流側の1次転写部N1を通過させて、より下流側の画像形成部に回収してもよい。又、複数の画像形成部に回収するようにしてもよい。例えば、第1の画像形成部PYで回収しきれなかったトナーを、第2〜第4の画像形成部PM、PC、PKの少なくとも一つで回収することができる。
又、クリーニングブラシ16に1次回収されたトナー及びクリーニングローラ17に付着したトナーは、印刷動作終了時の後回転動作により、定期的に吐き出される。
5.クリーニングローラへの印加電圧の制御
5−1.概要
本実施例では、画像形成装置100は、第1の電流検知手段として、第4の画像形成部PKの1次転写部材14Kに電圧を印加する1次転写電源15Kの出力する電流値を検知する第1の電流計18を有する。又、本実施例では、画像形成装置100は、第2の電流検知手段として、クリーニングローラ17に電圧を印加するクリーニングローラ電源70の出力する電流値を検知する第2の電流計71を有する。そして、決定手段としてのCPU111(図5)が、これら第1、第2の電流計18、71の検知結果を用いて、クリーニングローラ17に印加する電圧値を決定する。特に、本実施例では、CPU111は、第1の電流計18の検知結果から算出される電気抵抗と、第2の電流計71の検知結果から算出される電気抵抗との比に基づいて、クリーニングローラ17に印加する電圧値を決定する。
5−2.制御態様
図5は、本実施例の画像形成装置100の要部の概略制御態様を示す。画像形成装置100の動作は、画像形成装置100に設けられた制御部110が備える制御手段としてのCPU111が統括的に制御する。CPU111は、記憶手段としてのROM112に格納され、必要に応じてRAM113に読み出されたプログラムやデータに従って、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
例えば、本実施例との関係で、CPU111には、1次転写電源15、クリーニングローラ電源70などが接続されている。CPU111は、これらの電源のON/OFF制御、出力値の制御などを行う。又、CPU111には、第1の電流計18、第2の電流計71などが接続されている。これら第1、第2の電流計18、71は、検知した電流値に係る情報をCPU111に入力する。CPU111は、入力された検知結果に基づいて、以下詳しく説明するようにして、クリーニングローラ電源70からクリーニングローラ17に印加する電圧値を決定する。
5−3.制御原理
図3は、第4の画像形成部PKの1次転写部N1Kの近傍の構成(図3(a))と等価モデル(図3(b))を示し、図4は、クリーニングローラ17の近傍の構成(図4(a))と等価モデル(図4(b))を示す。
尚、本実施例では、第4の画像形成部PKの1次転写部N1Kに関する電圧印加手段及び電流検知手段を利用して電気抵抗に係る情報を得るが、いずれの画像形成部Pのものを利用してもよい。
本実施例では、1次転写電源15Kから1次転写シート14Kに所定の電圧を印加し、その際に1次転写電源15Kの出力する電流(即ち、1次転写シート14Kに流れる電流)を検知する。そして、CPU111は、この際の印加電圧と検知電流とから電気抵抗R1を算出する。電気抵抗R1には、1次転写シート14Kの電気抵抗R1tと、中間転写ベルト10の電気抵抗R1bが含まれる。
又、本実施例では、クリーニングローラ電源71からクリーニングローラ17に所定の電圧を印加し、その際にクリーニングローラ電源71が出力する電流(即ち、クリーニングローラ17に流れる電流)を検知する。そして、CPU111は、この際の印加電圧と検知電流とから電気抵抗R2を算出する。電気抵抗R2には、クリーニングローラ17の電気抵抗R2rと、中間転写ベルト10の電気抵抗R2bが含まれる。
1次転写シート14Kの電気抵抗R1tは、中間転写ベルト10の電気抵抗R1bよりはるかに小さいため、電気抵抗R1のうち1次転写シート14Kの電気抵抗R1tは無視できる(即ち、R1b≫R1t)。つまり、電気抵抗R1は、中間転写ベルト10の電気抵抗R1bを示しており、
R1=R1b
と見なせる。
電気抵抗R2は、中間転写ベルト10の電気抵抗R2bと、クリーニングローラ17の電気抵抗R2rとを合算した電気抵抗として算出される。
このR1、R2、R1b、R2b、R2rから、電気抵抗比率Rcを、
Rc=R2/R1=(R2r+R2b)/R1b ・・・(1)
と定義する。
ここで、R1b=R2bとすれば、上記式(1)は、
Rc−1=R2r/R2b ・・・(2)
となる。
つまり、Rcが増大すれば、電気抵抗R2におけるクリーニングローラ17の電気抵抗R2rの割合が増大していることを示す。又、Rcが低減すれば、電気抵抗R2におけるクリーニングローラ17の電気抵抗R2rの割合が減少していることを示す。
ここで、2次転写残トナーのクリーニング時にクリーニングローラ17に印加する標準の電圧を+2500Vとし、これを標準電圧値と定義する。
図6は、電気抵抗比率Rcとクリーニングローラ17の表面電位とクリーニング性能との関係を示す。
尚、クリーニングローラ17の表面電位とは、クリーニングローラ17に印加される電圧値と同義と考えることができる。
図6に示すように、電気抵抗比率Rcの増大に従い、クリーニングローラ17の表面電位が大きくなっている。この場合、クリーニングローラ17の電気抵抗層の電界強度の増大によって、クリーニングローラ17の表層の劣化を引き起こすおそれがある。
一方、電気抵抗比率Rcの減少に従い、クリーニングローラ17の表面電位が小さくなっている。この場合、クリーニングローラ17の電気抵抗層の電界強度の低減によって、クリーニングローラ17の帯電性能(クリーニング性能)の低下を引き起こし、中間転写ベルト10のクリーニング不良の発生のおそれがある。
又、図6から、電気抵抗比率Rcの値が4を上回ると、クリーニングローラ17の表面電位は1875Vを超え、クリーニングローラ17の表層の劣化を招く領域に入ることがわかる。一方、電気抵抗比率Rcの値が1.5を下回ると、クリーニングローラ17の表面電位は834Vを下回り、クリーニングローラ17の帯電性能の低下を招く領域に入ることがわかる。
このように、本実施例では、クリーニングローラの表面電位が834V〜1875Vの領域になるように、電気抵抗比率Rcが、次の関係、
1.5<Rc<4.0
を満たすことが望ましい。
尚、クリーニングローラの表面電位や電気抵抗比率Rcの好ましい範囲は、画像形成装置の構成などに応じて適宜設定できるものである。
5−4.制御フロー
次に、図7を参照して、本実施例におけるクリーニングローラ17への印加電圧制御のフローを説明する。
本実施例では、CPU111は、非画像形成時に、2次転写残トナーのクリーニング時にクリーニングローラ17に印加する電圧値の演算・決定プログラムを実行する。非画像形成時としては、次のものが挙げられる。画像形成装置の電源投入時やスリープモードからの復帰時などの定着温度の立ち上げなどのための所定の準備動作が実行される初期回転動作(前多回転工程)がある。又、画像形成信号が入力されてから実際に画像情報に応じた画像を書き出すまでに所定の準備動作が実行される印字準備回転動作(前回転工程)がある。又、連続画像形成時の記録材と記録材との間に対応する紙間工程時がある。又、画像形成が終了した後に所定の整理動作(準備動作)が実行される後回転工程時がある。本実施例では、前回転工程において上記演算・決定プログラムを実行するものとする。
先ず、CPU111は、画像形成前段階において、前回転工程がスタートした後、1次転写電源15Kから1次転写シート14Kに、所定の電圧V1(本実施例では+500V)を印加させる(S101)。そして、CPU111は、第1の電流計18により1次転写電源15Kの出力する電流値I1を検知した結果を読み込む(S102)。CPU111は、上記電圧値V1と電流値I1とから1次転写シート14Kの電気抵抗と中間転写ベルト10の電気抵抗とを合算した電気抵抗R1を算出する(但し、上述のように、本実施例では、R1は中間転写ベルト10の電気抵抗と見なせる。)(S103)。
CPU111は、S101〜S103と並行して、クリーニングローラ電源70からクリーニングローラ17に、所定の電圧V2(本実施例では+500V)を印加させる(S104)。そして、CPU111は、第2の電流計71によりクリーニングローラ電源70の出力する電流値I2を検知した結果を読み込む(S105)。CPU111は、上記電圧値V2と電流値I2とからクリーニングローラ17の電気抵抗と中間転写ベルト10の電気抵抗とを合算した電気抵抗R2を算出する(S106)。
CPU111は、算出した電気抵抗R1、R2から、電気抵抗比率Rc=R2/R1を算出する(S107)。
CPU111は、上記電気抵抗比率Rcが、「1.5<Rc<4.0」の関係を満たすか否かを判断する(S108)。
CPU111は、S108において上記関係を満たしていると判断した場合は、クリーニングローラ17に印加する電圧を+2500Vの標準電圧値に決定する(S109)。
一方、CPU111は、S108において上記関係を満たしていないと判断した場合は、上記電気抵抗比率Rcが「Rc≧4.0」の関係を満たすか否かを判断する(S110)。そして、満たすと判断した場合は、標準電圧値から500V減算し、クリーニングローラ17に印加する電圧を+2000Vに決定する(S111)。又、満たしていないと判断した場合(即ち、「Rc≦1.5」の関係を満たす場合)は、標準電圧値に2500V加算し、クリーニングローラ17に印加する電圧を+5000Vに決定する(S112)。
CPU111は、クリーニングローラ17に印加する電圧値が決定した後、画像形成動作をスタートする。画像形成時には、クリーニングローラ17に印加する電圧は、上述のように決定した電圧値で定電圧制御される。
尚、本実施例では、2次転写残トナーのクリーニング時にクリーニングローラ17に印加する電圧は定電圧制御するが、これを定電流制御するようにしてもよい。この場合、電気抵抗比率と、クリーニングローラ17の表面電位を所定値とするための印加電流値と、クリーニング性能との関係を予め求めておく。これにより、印加電圧制御において良好なクリーニング性能が得られる範囲又は値の印加電流値を決定し、画像形成時にはクリーニングローラ17に印加する電圧をその決定した値で定電流制御すればよい。
本実施例のフローに従った制御を実施することにより、電気抵抗比率Rcが大きく変動したとしても、図8に示すように、クリーニングローラ17の表面電位を適切に制御することができる。
ここで、帯電部材やベルト体の電気抵抗の変動とは、画像形成装置内において使用などに伴って変動することの他、帯電部材やベルト体の個体差(製造バラツキなど)なども含む。
このように、本実施例の画像形成装置100は、トナー像を担持する回転可能な像担持体1と、像担持体1から転写されるトナー像を直接担持して搬送する回転可能なベルト体10と、を有する。又、画像形成装置100は、ベルト体10に接触する接触部材(1次転写部材)14と、接触部材14に電圧を印加する第1の電源15と、第1の電源が出力する電流を検知する第1の検知手段18と、を有する。又、画像形成装置100は、ベルト体10に接触しベルト体上のトナーを帯電させる帯電部材17と、帯電部材17に電圧を印加する第2の電源70と、第2の電源70が出力する電流を検知する第2の検知手段71と、を有する。そして、画像形成装置100は、第1の検知手段18の検知結果と、第2の検知手段71の検知結果とを用いて、帯電部材17の電位が目標範囲の値になるように帯電部材17に印加する電圧値又は電流値を決定する決定手段(CPU)111を有する。
本実施例では、決定手段111は、第1の検知手段18の検知結果から得られる電気抵抗に対応する量と第2の検知手段71の検知結果から得られる電気抵抗に対応する量との比に基づいて、帯電部材17に印加する電圧値又は電流値を決定する。特に、本実施例では、決定手段111は、次のようにして帯電部材17に印加する電圧値又は電流値を決定する。即ち、第1の検知手段18の検知結果から算出される電気抵抗をR1、第2の検知手段71の検知結果から算出される電気抵抗をR2、電気抵抗比率RcをRc=R2/R1とする。このとき、電気抵抗比率Rcが所定範囲の値以下の場合は帯電部材17に印加する電圧値又は電流値の絶対値を大きくする方向に変更し、上記所定範囲の値以上の場合は帯電部材17に印加する電圧値又は電流値の絶対値を小さくする方向に変更する。
5−5.作用効果
本実施例と比較例について、通紙耐久試験後のクリーニングローラ17の表層の状態、帯電性能(クリーニング性能)の変動の有無を確認し、本実施例の作用効果を確認した。
比較例は、クリーニングローラ17に印加する電圧値を+2500Vの標準電圧値で一定とすることを除いて、その他の構成、制御などは本実施例と実質的に同一である。
表1に、通紙枚数とクリーニングローラ17の表層の劣化の有無の関係を示す。クリーニングローラ17の表層の劣化の有無は、次のようにして確認し、評価した。クリーニングローラ17の外表面全域に軽微な異物若しくは凹凸が形成されているか否かを確認する。そして、クリーニングローラ17の外表面全域に軽微な異物若しくは凹凸が形成されている場合を劣化発生と評価し、クリーニングローラ17外表面全域に異物若しくは凹凸が形勢されていない場合を劣化発生無し(良好:○)と評価した。
又、表1に、通紙枚数とクリーニングローラ17の帯電性能(クリーニング性能)の低下の有無の関係を示す。クリーニングローラ17の帯電性能が低下すれば、中間転写ベルト10上の残トナー像のクリーニング不良を招く。このクリーニングできなかった残トナーが印字面に形成され画像不良となる。そこで、画像形成装置にて連続50枚印字し、印字面に画像不良が発生したか否かによって、クリーニングローラ17の帯電性能の低下を判断する。印字面に画像不良が発生した場合を帯電性能の低下(×)と評価し、印字面に画像不良が未発生の場合を帯電性能の低下無し(良好:○)と評価した。
比較例では、90,000[枚]の通紙を経て、クリーニングローラ17の表層の劣化が確認された。又、このとき、クリーニングローラ17の帯電性能も低下していることが確認された。これは、クリーニングローラ17の電気抵抗が通紙により大きく増大し、クリーニングローラ17の表面電位が増大したことが要因であると考えられる。
一方、本実施例では、90,000[枚]の通紙を経ても、クリーニングローラ17の表層の劣化は確認されず、又クリーニングローラ17の帯電性能の低下も確認されなかった。これは、電気抵抗比率Rcを把握し、クリーニングローラ17に印加する電圧値を決定しているので、クリーニングローラ17の表面電位の過剰な増大を抑止できたためと考えられる。
以上、本実施例によれば、画像形成装置100が有する第1、第2の電流計18、71の検知結果を用いて、クリーニングローラ17と中間転写ベルト10の電気抵抗比率Rcを把握する。そして、電気抵抗比率Rcに基づいてクリーニングローラ17に印加する電圧値を決定し、クリーニングローラ17の表面電位を制御する。これにより、クリーニングローラ17の表層の劣化及び帯電性能の低下を抑止し、クリーニングローラ17の性能を維持することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
1.概要
実施例1では、電気抵抗比率Rcに上下限閾値を設け、その閾値を超えたときにクリーニングローラ17に印加する電圧を変化させる。これにより、クリーニングローラ17の表面電位が、クリーニングローラ17の表層の劣化又は帯電性能の低下領域に入らないように制御している。
これに対して、本実施例では、クリーニングローラ17の表面電位に狙い値を設定し、クリーニングローラ17の表面電位を、印加電圧制御のタイミングで常に狙い値となるよう制御する。
2.制御原理
本実施例では、CPU111は、図9に示すように、実施例1と同様にして算出した電気抵抗比率Rcがどのように変動しても、印加電圧制御の間隔で、クリーニングローラ17の表面電位が狙い値で一定となるように制御する。本実施例では、図9に示すように、クリーニングローラ17の表面電位の狙い値は+1500Vとする。
図10は、一例として、電気抵抗比率Rc=2(図10(a))、電気抵抗比率Rc=3(図10(b))のそれぞれの場合におけるクリーニングローラ17に配分される電圧と中間転写ベルト10に配分される電圧とを示す。
図10に示すように、電気抵抗比率Rc=2の場合、クリーニングローラ17に印加する電圧を+3000Vに設定すれば、クリーニングローラ17に配分される電圧を1500Vに設定できる。一方、電気抵抗比率Rc=3の場合、クリーニングローラ17に印加する電圧を+2250Vに設定すれば、クリーニングローラ17に配分される電圧を1500Vに設定できる。つまり、上記のようにクリーニングローラ17に配分される電圧を設定することによって、クリーニングローラ17の表面電位を狙い値の+1500Vに制御することができる。
ここで、クリーニングローラ17の表面電位の狙い値をVc’(本実施例では+1500V)、クリーニングローラ17に印加する電圧をVcとする。このとき、次式、
Vc=Rc/(Rc−1)×Vc’ ・・・(3)
により、クリーニングローラ17に印加すべき電圧値を求めることができる。
本実施例における電気抵抗比率Rcとクリーニングローラ17への印加電圧値との関係は図11に示す通りである。
3.制御フロー
次に、図12を参照して、本実施例におけるクリーニングローラ17への印加電圧制御のフローを説明する。
本実施例では、実施例1と同様に、前回転工程において2次転写残トナーのクリーニング時にクリーニングローラ17に印加する電圧値の演算・決定プログラムを実行する。又、図12のフローにおいて、実施例1における図7のフローと同じ処理には同じステップ番号を付して、詳しい説明は省略する。
先ず、CPU111は、実施例1と同様に、画像形成前段階において、前回転工程がスタートした後、S101、S104以下の処理を開始する。S101〜S103、S104〜S106、及び、S107の処理は、実施例1における図7のフローと同じである。
CPU111は、クリーニングローラ17の表面電位の狙い値をVc’(本実施例では+1500V)、クリーニングローラ17に印加する電圧をVcとして、上記式(3)とS107で算出された電気抵抗比率Rcとから、
Vc=Rc/(Rc−1)×1500
を算出し、クリーニングローラ17に印加する電圧Vcを決定する(S201)。
そして、実施例1と同様に、CPU111は、クリーニングローラ17に印加する電圧値が決定した後、画像形成動作をスタートする。画像形成時には、クリーニングローラ17に印加する電圧は、上述のように決定した電圧値で定電圧制御される。尚、実施例1で説明したように、画像形成時にクリーニングローラ17に印加する電圧を定電流制御してもよい。
本実施例のフローに従った制御を実施することにより、電気抵抗比率Rcが大きく変動したとしても、図9に示すように、クリーニングローラ17の表面電位を一定に制御することができる。
特に、本実施例では、上記式(3)によって、クリーニングローラ17に印加する電圧値を設定し、クリーニングローラ17の表面電位を+1500Vに一定とするよう制御する。これにより、クリーニングローラ17の表層の劣化及び帯電性能の低下をより高いレベルで抑制することができる。尚、算出式自体は本実施例のものに限定されるものではない。
このように、本実施例の画像形成装置100は、第1の検知手段18の検知結果と、第2の検知手段71の検知結果とを用いて、帯電部材17の電位が目標値になるように帯電部材17に印加する電圧値又は電流値を決定する決定手段(CPU)111を有する。特に本実施例では、決定手段111は、電気抵抗比率Rcが所定値以下の場合は帯電部材17に印加する電圧値又は電流値の絶対値を大きくする方向に変更し、上記所定値以上の場合は帯電部材17に印加する電圧値又は電流値の絶対値を小さくする方向に変更する。
4.効果
実施例1の場合と同様に、本実施例と比較例について、通紙耐久試験後のクリーニングローラ17の表層の状態、帯電性能(クリーニング性能)の変動の有無を確認し、本実施例の作用効果を確認した。
比較例は、クリーニングローラ17に印加する電圧値を+2500Vの標準電圧値で一定とすることを除いて、その他の構成、制御などは本実施例と実質的に同一である。
表2に、通紙枚数とクリーニングローラ17の表層の劣化の有無の関係を示す。表層の劣化の判断方法、評価方法は、実施例1の場合と同じである。
又、表2に、通紙枚数とクリーニングローラ17の帯電性能(クリーニング性能)の低下の有無の関係を示す。帯電性能の低下の判断方法、評価方法は、実施例1の場合と同じである。
表2に示すように、本実施例では実施例1と同様に良好な結果が得られた。
本実施例で好結果が得られたのは、電気抵抗比率Rcに応じて、クリーニングローラ17に印加する電圧値を決定しているので、クリーニングローラ17の表面電位を常に適切な値に制御できたためと考えられる。
以上、本実施例によれば、画像形成装置100が有する第1、第2の電流計18、71の検知結果を用いて、クリーニングローラ17と中間転写ベルト10の電気抵抗比率Rcを把握する。そして、電気抵抗比率Rcに基づいてクリーニングローラ17に印加する電圧値を決定し、クリーニングローラ17の表面電位を目標値に可及的に近づくように制御する。これにより、より高いレベルで、クリーニングローラ17の表層の劣化及び帯電性能の低下を抑止し、クリーニングローラ17の性能を維持することができる。
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、1次転写シートに所定の電圧を印加し、電源の出力する電流値を検出し、電気抵抗を算出した。しかし、これに限定されるものではなく、電源と検知手段の構成を変更し、1次転写シートに所定の電流を印加し、電源の出力する電圧値を検出し、電気抵抗を算出してもよく、上述の実施例と同様の効果を発揮することができる。
又、上述の実施例では、電気抵抗を算出するものとして説明したが、電気抵抗に対応する量であれば同様に用いることができる。検知電流値又は検知電圧値自体も、電気抵抗に対応する量に相当する。例えば、上述の実施例に即して言えば、1次転写部とクリーニングローラ部とで電気抵抗検知時の印加電圧値が同じ場合、検知電流値の比率は、電気抵抗の比率に対応する。印加電流値が同じ場合の検知電圧値の比率であっても同様である。このように、決定手段は、第1の検知手段の検知結果から得られる電気抵抗に対応する量と、第2の検知手段の検知結果から得られる電気抵抗に対応する量とを用いて、帯電部材に印加する電圧値又は電流値を決定することができる。
又、上述の実施例では、第1、第2の電流計の検知結果から算出される電気抵抗比率に基づいて、クリーニングローラに印加する電圧値又は電流値を決定した。しかし、これに限定されるものではなく、第1、第2の電流計の検知結果から算出される電気抵抗差分に基づいて、クリーニングローラに印加する電圧値又は電流値を決定してもよく、上述の実施例と同様の効果を発揮することができる。例えば、上述の実施例に即して言えば、R1=R1bと見なせるので、電気抵抗差分Rs=R2−R1は、
Rs=(R2r+R2b)−R1b
となり、R1b=R2bとすれば、
Rs=R2r
となる。つまり、Rsが増大すれば、電気抵抗R2における電気抵抗R2rの割合が増大していることを示し、Rsが低減すれば、電気抵抗R2における電気抵抗R2rの割合が減少していることを示す。従って、上述の実施例におけるRcと同様に、Rsを所定値又は所定範囲の値と比較することによって、印加電圧が過大又は過小にならないよう制御することができる。つまり、決定手段は、次のようにして帯電部材に印加する電圧値又は電流値を決定することができる。即ち、第1の検知手段の検知結果から算出される電気抵抗をR1、第2の検知手段の検知結果から算出される電気抵抗をR2、電気抵抗差分RsをRs=R2−R1とする。このとき、電気抵抗差分Rsが所定値又は所定範囲の値以下の場合は帯電部材に印加する電圧値又は電流値の絶対値を大きくする方向に変更し、上記所定値又は所定範囲の値以上の場合は帯電部材に印加する電圧値又は電流値の絶対値を小さくする方向に変更する。
又、トナー帯電手段としての帯電部材を用いて中間転写ベルトから除去すべきトナーは、2次転写残トナーに限らない。例えば、かぶりトナー(像担持体上の本来トナーが付着すべきではない非画像部に付着したトナー)や画像濃度制御や色合わせ(レジストレーション)制御などの制御用画像(パッチ)のトナーなども除去すべきトナーであることがある。
又、上述の実施例では、画像形成装置はベルト体として中間転写ベルトを有する中間転写方式の画像形成装置であるとして説明した。中間転写方式の画像形成装置では、上述のように2次転写残トナーや制御用画像のトナーのクリーニングのために、トナー帯電手段としての帯電部材の利用が有効である。一方、当業者には周知のように、像担持体から転写されるトナー像を記録材を介して担持して搬送する回転可能なベルト体として、無端状の記録材担持体である記録材担持ベルト(転写ベルト)を有する直接転写方式の画像形成装置がある。図13は、直接転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置の一例の全体構成を示す模式的な断面図である。図13の画像形成装置200において、図1の画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図13の画像形成装置200は、図1に示す画像形成装置100の中間転写ベルト10に替えて、記録材担持ベルト201を有する。そして、各画像形成部Pの感光ドラム1に形成されたトナー像は、各転写部Nにおいて、各転写シート14の作用により記録材担持ベルト201に担持されて搬送される記録材Sに転写される。このような直接転写方式の画像形成装置においても、記録材担持ベルト201上の記録材Sからはみ出したトナーやかぶりトナー、或いは制御用画像のトナーなどのクリーニングのために、トナー帯電手段としての帯電部材の利用が有効である。従って、このような直接転写方式の画像形成装置においても本発明を適用することによって、中間転写方式の画像形成装置について上述したものと同様の効果を得ることができる。
又、電気抵抗に係る情報を得るために電流又は電圧が印加されるベルト体に接触する接触部材としては、上述のように転写部材を好適に用いることができる。これにより、別個の部材を設ける場合よりも構成の簡易化が図れる。転写部材としては、上述のように、ベルト体を挟んで像担持体の反対側からベルト体に接触し、電圧が印加されることで像担持体上からベルト体上又はベルト体上に担持された記録材上にトナー像を転写する転写部材がある。しかし、接触部材は、転写部材に限定されるものではなく、転写部材とは別個の部材を用いてもよい。この場合、制御がより簡易になることなどから、接触部材の電気抵抗をRt、ベルト体の電気抵抗をRbとしたとき、Rb≫Rtを満たし、接触部材の電気抵抗を実質的に無視できることが好ましい。例えば、接触部材として、ベルト体に接触する金属製のローラなどの導電部材を接触部材として用いることができる。このような金属製のローラは、ベルト体の張架ローラのうちの1つであってもよいし、張架ローラとは別個に設けられた、ベルト体の表面及び/又は裏面に接触するように設けられたローラであってもよい。又、上述の実施例における1次転写シートと同様の部材を、1次転写手段とは別個に設けてもよい。