JP6021155B2 - 水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、及び、その製造方法、並びに、継手接合部閉塞方法 - Google Patents

水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、及び、その製造方法、並びに、継手接合部閉塞方法 Download PDF

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Description

本発明は、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、及び、その製造方法、並びに、継手接合部閉塞方法に関する。
基礎杭と仮締切り用の壁体を兼ねる鋼管矢板は、極めて経済的、合理的な設計や施工が可能であるため、締切り工事、護岸工事、橋梁工事等において特に多用されている。鋼管矢板は一般的に鋼管部と鋼管部に沿った継手接合部とからなる。鋼管矢板による土留めや締切り工事の際は、まず、鋼管矢板の継手接合部同士を噛み合わせて連結する。次に、連結した継手接合部にモルタルやアスファルト等の硬化性止水材を充填して止水することにより、連続壁を構築して土留めの構築や締切ることが行われている。
鋼管矢板からなる連続壁の止水のため鋼管矢板の継手接合部に硬化性止水材を充填する止水方法は、充填の際に硬化性止水材が連結した継手接合部から漏洩しやすいため改善が望まれていた。又、この硬化性止水材の充填による止水方法は硬化性止水材が柔軟性を有しないため、鋼管矢板に何らかの理由で大きな力が加わることにより、地盤の不等沈下により、硬化性止水材を充填した継手接合部にズレや隙間が生じやすく漏水が発生しやすいため、改善が望まれていた。
そこで、地盤の不等沈下等により継手接合部に生じたズレや隙間に対応可能な止水材として、特許文献1には、水又は海水の浮力により浮き上がることがない比重を有し、且つ継手接合部と止水材との間に生じたズレや隙間を充填可能な流動性を有する止水材が提案されている。
特許第4115288号公報
しかし、特許文献1に記載の発明は、充填時において止水材が充填可能な流動性を有して自己修復性を備える点で改善が見られるものの、止水材を充填する際には継手接合部の隙間からの漏洩に注意する必要があることに変わりはないため、鋼管矢板の継手接合部の止水時の作業効率に関して改善の余地がある。又、止水材の加熱を伴うため施工時に止水材の取り扱いに注意を要し改善の余地がある。更に、施工後長期間経過すると止水材(アスファルト)が硬化して流動性を失うため変形追従性に乏しい。このため、施工後新たに生じた継手接合部の隙間への対応が難しく、長期間安定して止水性能を発揮するとは言い難いものである。
本発明は、これら問題点に鑑みてなされたものであり、自己修復性及び変形追従性を有して継手接合部と止水材において生じたズレや隙間を閉塞して長期間止水する性能が高く、取り扱いが容易であり、継手接合部からの漏洩のおそれが極めて低い水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、及び、その製造方法を提供することを課題とする。
又、簡便で作業効率を改善した止水性能に優れる鋼管矢板の継手接合部の空隙の閉塞方法を提供することを課題とする。
すなわち本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材は、骨材をその5/100以上の質量の被覆層で被覆してなる水膨潤性樹脂組成物被覆骨材であって、前記被覆層は、熱可塑性エラストマー100質量部と、イオン性吸水性樹脂130質量部以上400質量部以下と、多価金属化合物1質量部以上40質量部以下と、を含む樹脂組成物からなることを特徴とする。
この様な構成によれば、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材が水と接触することにより、被覆層に含まれるイオン性吸水性樹脂及び多価金属化合物が水に溶解する。多価金属化合物が水に溶解して生じた多価金属イオンがイオン化したイオン性吸水性樹脂を架橋することによりイオン性吸水性樹脂は自由な移動が制限されて、水がイオン性吸水性樹脂に取り込まれ、イオン性吸水性樹脂が膨潤する。一方、熱可塑性エラストマーの弾性効果により膨潤したイオン性吸水性樹脂を骨材の表面に保持する力が働き、膨張力と釣り合って膨潤平行になって水の移動ができなくなる。その結果、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材は長期間安定して膨潤状態を保持して、周囲の空隙を閉塞し続けて、高い止水性能を長期間継続して発現する。
被覆層に含まれるイオン性吸水性樹脂及び熱可塑性エラストマーは弾性を有するため、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材は施工後の変形追従性が高く、継手接合部の隙間への対応が容易である。又、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材は自己修復性が高く、施工後に継手接合部に空隙が生じても修復が容易である。よって、高い止水性能を長期間発現する。
又、本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材において、前記多価金属化合物が硫酸アルミニウム、硫酸クロム、酸化カルシウム、クロムミョウバン、及び、水酸化カルシウムの中から選択される1種以上であることを特徴とする。
この様な構成によれば、イオン性吸水性樹脂が電荷密度の大きい金属イオンにより架橋されることで樹脂組成物の膨潤倍率が高まり、同時に膨潤状態がより維持される。よって、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の止水性能がより向上する。
更に、本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材において、前記骨材は砂利、砕石、及び、砂の中から選択される1種以上であると共に、平均粒径が1〜50mmであることを特徴とする。
この様な構成によれば、骨材が所定の粒径を有するため、水膨潤性樹脂組成物被覆骨材をより均一に充填することが可能となる。これにより、空隙の体積や形状が均一化しやすくなるため、いっそう空隙を均一かつ確実に閉塞しやすくなる。よって、耐水圧性能及び止水性能がより向上する。
そして、本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法は、前記いずれかに記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法であって、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、イオン性吸水性樹脂130質量部以上400質量部以下と、多価金属化合物1質量部以上40質量部以下と、有機溶媒300質量部以上700質量部以下と、を混合して樹脂組成物を調製する調製工程と、前記樹脂組成物を骨材の表面に被覆する被覆工程と、前記骨材の表面に被覆した樹脂組成物から前記有機溶媒を除去して骨材の表面に被覆層を形成する溶媒除去工程と、を行うことを特徴とする。
この様な方法によれば、均一な樹脂組成物を調製することにより骨材を均一に被覆することが可能となるため、反応性及び膨潤量に偏りがなく止水性能に優れた水膨潤性樹脂組成物被覆骨材が得られる。
本発明に係る継手接合部閉塞方法は、前記水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を用いて継手接合部の空隙を閉塞する継手接合部閉塞方法であって、前記継手接合部の空隙に前記水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を充填する充填工程と、前記充填した水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を水分と接触させることにより前記被覆層を膨潤させる膨潤工程と、を行うことを特徴とする。
この様な方法によれば、固形物である水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を充填し、水と接触させるだけという簡便な方法で、鋼管矢板の継手接合部の空隙を長期間継続して安定して閉塞することが可能となる。
本発明によれば、変形追従性及び自己修復性を有して、継手接合部と止水材の間に生じたズレや隙間を閉塞して長期間止水する性能が高く、取り扱いが容易であり、継手接合部からの漏洩のおそれが極めて低い水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、並びに、その製造方法を提供することができる。
又、簡便で作業効率を改善した止水性能に優れる継手接合部閉塞方法を提供することができる。
本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の模式図である。 本発明に使用される水膨潤性樹脂組成物の膨潤機構を表した模式図であり、(a)は膨潤前、(b)は膨潤後である。 本発明に使用される水膨潤性樹脂組成物の製造方法のフローチャートである。 本発明に係る水膨潤性樹脂組成物を使用した鋼管矢板の継手接合部閉塞方法のフローチャートである。 本発明の実施例で使用した骨材のふるい目開き通過質量分布グラフである。 (a)は本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の透水特性試験を説明する模式図、(b)は(a)のA−A線における断面模式図である。
次に、本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、その製造方法、及び、これを使用した継手接合部閉塞方法の構成について詳細に説明する。
<水膨潤性樹脂組成物被覆骨材>
図1に示すように、本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材1(以下、被覆骨材とも称する)は、その核となる骨材3を被覆層2で被覆(コーティング)したものである。
本発明に係る被覆骨材1は、後記するように主に被覆層2における熱可塑性エラストマーの組成を変化させることにより、鋼管矢板の使用される水深に合わせて耐水圧性能を調整することが可能である。ここで、耐水圧とは、地中、河川、湖沼、海岸等において鋼管矢板を使用した場合に地下水、河川水、湖沼水、海水等にから受ける水圧に耐え得る圧力を指す。
一般的に、鋼管矢板の使用される場所での水深は、5〜20m程度と想定されるため、被覆骨材1の耐水圧は0.05MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましい。海洋における連続壁の場合は、水深が50m程度に及ぶ場合もあり、この場合の耐水圧は水深に対応して0.5MPa以上が好ましい。更に、風、うねり、潮の干満などの外力による変形も加わることから、耐水圧はより高いことが更に好ましい。
本発明に係る被覆骨材1を使用して継手接合部を止水した連続壁の透水係数は、廃棄物処分場の設計基準を参照して、1.0×10−6cm/s以下が好ましい。
[骨材]
骨材3は被覆骨材1の物理的な核となる物質である。
この要件を満たす骨材3の種類の例としては、天然骨材、再生骨材、及び、天然礫砂等が挙げられる。これらの中でも、砂、砂利、及び、砕石の少なくとも一種が骨材3として好ましい。
骨材3は、ある程度の体積を有し空間を占めて物理的強度を有して機能を発揮するものであれば、種類や組成に制限はない。
骨材3の大きさは、取り扱いやすく止水性能を発揮しやすいように、平均粒径で1mm以上50mm以下が好ましい。骨材3の平均粒径が1mm以上50mm以下であると、骨材3は被覆骨材1の物理的な核となる骨材としての役割を果たし、被覆骨材1の物理的強度も確保される。又、被覆骨材1を鋼管矢板の継手接合部の空隙に充填した際に被覆骨材1間に空隙が生じ難くなるため、被覆骨材1の水膨潤性樹脂組成物が膨潤して空隙を塞ぎやすい。
よって、被覆骨材1は密着性に優れ、被覆骨材1の使用時に充填した被覆骨材1間及び被覆骨材1と鋼管矢板との間の空隙を閉塞しやすくなり、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
なお、骨材3の大きさ(平均粒径)は上記範囲に制限されるものではない。
骨材3の平均粒径は、JIS A 1102の規定に従い、JIS Z 8801に規定される網ふるいを使用して測定したふるい目開き通過質量分布グラフから、ふるい目開き通過質量の50%を平均粒径としてグラフから読み取ることができる。
[被覆層]
被覆層2は、被覆骨材1の物理的な核となる骨材3を被覆するものであり、水分に接触した場合に膨潤するものである。
被覆層2は、熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物を含む樹脂組成物から形成される。
被覆骨材1の被覆層2の被覆率とは、骨材3に対する被覆層2の質量比(%)を指す。骨材3及び被覆層2のそれぞれの質量は、被覆骨材1の製造時に、被覆層2を構成する樹脂組成物で被覆する前の骨材3と、完成した被覆骨材1とを測定して得られる。
被覆骨材1における被覆層2の被覆率は、5%以上とし30%以下が好ましい。
被覆骨材1は、被覆率が5%以上とするから被覆層2の質量が骨材3の5%以上であると、被覆層2を構成する樹脂組成物が膨潤して骨材3の間隙を十分に充填できるため止水性能が向上する。被覆率は、30%以下であると骨材3に対する膨潤した樹脂組成物の割合が適度であるため、樹脂組成物が十分に膨潤して耐水圧性能が安定して維持されやすい。被覆骨材1は、被覆率が5%未満であると、耐水圧及び止水性能が低下しやすい。
被覆骨材1は、被覆率が8%以上であることが好ましく、被覆率が10%以上であることがより好ましい。
以下、樹脂組成物における各成分について説明する。
(熱可塑性エラストマー)
本発明に使用される樹脂組成物の構成成分である熱可塑性エラストマー4は、同じく樹脂組成物の構成成分であるイオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に保持するものである。
熱可塑性エラストマー4は、膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に保持可能な程度の弾性を有する必要がある。更に、熱可塑性エラストマー4は、イオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に均一に保持可能とするため、イオン性吸水性樹脂5が均一に分散可能である有機溶媒に溶解して溶液となるものが好ましい。
又、熱可塑性エラストマー4は、その組成により、被覆骨材1の耐水圧性能を調整するものである。
この条件を満たす熱可塑性エラストマー4として、例えば、クロロプレン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ポリスチレンポリブタジエンブロックコポリマー、エチレン・プロピレン樹脂、エチレン・プロピレン・ジエン樹脂、ポリオレフィン・エラストマー等が挙げられる。
これらの中でも、本発明に使用する熱可塑性エラストマー4は、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、クロロプレン樹脂、及び、エチレン‐酢酸ビニル共重合体とクロロプレン樹脂との混合物のいずれかであることが好ましい。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー4として、エチレン‐酢酸ビニル共重合体が適用されると、被覆層2の柔軟性が向上する。これにより、イオン性吸水性樹脂5の膨潤が抑制されないため樹脂組成物の膨潤倍率が向上すると同時に、イオン性吸水性樹脂5の吸水面積も増加するため、被覆骨材1の膨潤応答性を向上させることが可能となる。更に、後記する樹脂組成物の膨潤体膜強度も大きくなることで、被覆骨材1の耐水圧も高くなる。これにより、被覆骨材1の透水係数も小さくなり、被覆骨材1の止水性能を向上させることが可能となる。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー4として、クロロプレン樹脂が適用されると、被覆層2の弾性が向上して強靭となり、イオン性吸水性樹脂5の吸水面積が減少して水への溶解性が低下する。このため、被覆層2は長期間の使用に耐えるだけの耐久性を備えることが可能となる。又、被覆層2の接着性が弱くなるため、被覆骨材1を鋼管矢板の継手接合部に使用して止水した際における鋼管矢板の引き抜き性を向上させることが可能となる。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー4として、エチレン‐酢酸ビニル共重合体とクロロプレン樹脂との混合物を適用されることにより、被覆層2の強度、耐久性、変形追従性、応答性、及び、膨潤倍率の調和を図ることが可能となる。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー4の一種であるエチレン‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量は、被覆骨材1の耐久性、耐水圧性に影響を与える。エチレン‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量は30質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
酢酸ビニル単位の含有量が30質量%以上50質量%以下であると、被覆層2の強度を維持しつつ、被覆・乾燥後の収縮が抑制されるため、被覆骨材1は耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。酢酸ビニル単位の含有量が30質量%未満であると、被覆層2は強度が増大するものの、塗布・乾燥後の収縮が大きくなるため、骨材3から剥れやすくなる。酢酸ビニル単位の含有量が50質量%を超えると、被覆層2の強度が低下して被覆骨材1は耐水圧が低下するため、止水性能が低下しやすくなる。
なお、熱可塑性エラストマー4の一種であるエチレン‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量に特に制限はない。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー4は、当該熱可塑性エラストマー4の重合度の指標としてメルトフローレートが40g/10分以上100g/10分以下であることが好ましい。
熱可塑性エラストマー4は、メルトフローレートが40g/10分以上100g/10分以下であれば、重合度が適度であり高分子鎖どうしの絡み合い効果も適度であるため、強度とイオン性吸水性樹脂5の膨潤度合いの調和を図ることができる。即ち、被覆層2の強度を維持しつつ膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3に保持しやすくなる。又、本発明に使用される樹脂組成物の流動性が適度に保たれる結果、骨材3を均一に被覆することが可能となる。
よって、被覆骨材1は密着性に優れ、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
一方、熱可塑性エラストマー4は、メルトフローレートが40g/10分未満であるとエチレン‐酢酸ビニル共重合体の重合度が高いため、高分子鎖どうしの絡み合い効果により被覆層2の強度が向上する。このため、被覆骨材1の使用時にイオン性吸水性樹脂5の膨潤が過剰に抑制されて、樹脂組成物の膨潤倍率が低下しやすくなる。又、樹脂組成物の流動性が低下しやすくなり、骨材3を均一に被覆することが難しくなる。
又、熱可塑性エラストマー4は、メルトフローレートが100g/10分を超えるとエチレン‐酢酸ビニル共重合体の重合度が低いため、被覆層2の強度が不足しやすくなる。このため、被覆骨材1の使用時に膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3に保持することが難しくなる。又、被覆層2の流動性が高くなりやすく、骨材3を均一に被覆することが難しくなる。よって、被覆骨材1の耐水圧が低下しやすく、透水係数も大きくなりやすい。
本発明に使用される熱可塑性エラストマー4は、当該熱可塑性エラストマー4の重合度の指標としてムーニー粘度が30(ML(1+4)100℃)以上70(ML(1+4)100℃)以下であることが好ましい。
熱可塑性エラストマー4は、ムーニー粘度が30(ML(1+4)100℃)以上70(ML(1+4)100℃)以下であると、重合度が適度であり高分子鎖どうしの絡み合い効果も適度であるため、強度とイオン性吸水性樹脂5の膨潤度合いの調和を図ることができる。即ち、被覆層2の強度を維持しつつ膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3に保持しやすくなる。又、樹脂組成物の粘度が適度で付着しやすくなるため、骨材3を樹脂組成物で被覆しやすくなる。更に、熱可塑性エラストマー4の弾性が増加するため、被覆骨材1の使用時に充填した被覆骨材1間及び被覆骨材1と鋼管矢板間の密着度が向上して、被覆骨材1の耐水圧が向上する。被覆骨材1の透水係数も小さくなり、被覆骨材1の止水性能が向上する。
よって、被覆骨材1は密着性に優れ、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
これに対して、熱可塑性エラストマー4は、ムーニー粘度が30(ML(1+4)100℃)未満であると、樹脂組成物の粘度が低下し付着し難くなるため、塗布量が低下する。又、クロロプレン樹脂の強度が弱いため、被覆骨材1の使用時に膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に保持することが難しくなり、膨潤倍率が低下しやすい。更に、クロロプレン樹脂の弾性が弱いため、被覆骨材1の使用時に充填した被覆骨材1間及び被覆骨材1鋼管矢板間の密着度が低下して、被覆骨材1の耐水圧が低下する。被覆骨材1の透水係数も大きくなり、被覆骨材1の止水性能が低下する。
一方、熱可塑性エラストマー4は、ムーニー粘度が70(ML(1+4)100℃)を超えると、クロロプレン樹脂の重合度が大きいため、被覆層2の強度が向上する。このため、被覆骨材1の使用時にイオン性吸水性樹脂5の膨潤が抑制されやすくなり、粘度が高くなり、樹脂組成物の膨潤倍率が低下する。更に、被覆骨材1の使用時に充填した被覆骨材1間及び被覆骨材1と鋼管矢板間の空隙を閉塞しにくくなり、被覆骨材1の止水性能が低下する。
(イオン性吸水性樹脂)
本発明に使用されるイオン性吸水性樹脂5は、3次元網目構造を有し、水分を樹脂中に取り込む性質を有する高分子(ポリマー)であり、水分と接触するとイオン化して、多価金属イオンにより架橋されるものである。この時、イオン性吸水性樹脂5は、その3次元網目構造内に水を取り込むことにより、不溶性のゲル状に変化する。
イオン性吸水性樹脂5は、組成比率を、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、130質量部以上400質量部以下とする。イオン性吸水性樹脂5の組成比率が130質量部以上400質量部以下であると、空隙を閉塞するために必要な被覆層2の膨潤量及び膨潤体膜強度が得られ、又、イオン性吸水性樹脂5の溶出が抑制される。よって、被覆骨材1は密着性に優れ、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
イオン性吸水性樹脂5は、組成比率が130質量部未満であると被覆層2の十分な膨潤量が得られないため、被覆骨材1の耐水圧が低下し、透水係数が大きくなり、必要な止水性能が得られない。一方、イオン性吸水性樹脂5の組成比率が400質量部を超えると、被覆層2の膨潤量は増加するが、膨潤体膜強度が低下して、逆にイオン性吸水性樹脂5の溶出が多くなる。又、乾燥後の樹脂組成物(被覆層2)の体積収縮率が大きくなる。よって、必要な止水性能が得られない。
本発明において使用するイオン性吸水性樹脂5は、例えば、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸ビニルアルコール共重合体、及び、ポリアクリル酸などのナトリウム塩が挙げられる。これらの中でも、カルボキシメチルセルロースナトリウムが吸水性能、安全性、及び、入手の容易性とのバランスに優れるため好ましい。しかし、本発明において使用するイオン性吸水性樹脂5は、これらに限定されない。
イオン性吸水性樹脂5としてのカルボキシメチルセルロースナトリウムは、エーテル化度が0.5以上であることが好ましい。
エーテル化度とは、イオン性吸水性樹脂5の一種であるカルボキシメチルセルロースナトリウムの原料であるセルロースの無水グルコース単位中の水酸基がどれだけカルボキシメチル基で置換されているかを示す指標である。
セルロースの無水グルコース単位中には水酸基が3個あり、これにモノクロロ酢酸を反応させて、セルロースの水酸基をカルボキシメチル基で置換することにより、カルボキシメチルセルロースが製造される。このとき、水酸基がカルボキシメチル基で1個置換された場合には、エーテル化度が1となる。すべて置換されればエーテル化度は3になる。
イオン性吸水性樹脂5の一種であるカルボキシメチルセルロースナトリウムは、カルボキシメチルセルロースのカルボキシメチル基をナトリウム塩としたものである。このため、エーテル化度はカルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋度と相関があり、樹脂組成物の物性に影響を与える。
カルボキシメチルセルロースナトリウムは、エーテル化度が0.5以上であると、水分と接触した際に、水分子がカルボキシメチルセルロース塩の3次元網目構造内に取り込まれやすくなるため、樹脂組成物の膨潤倍率が向上する。これにより、被覆骨材1が周囲の空隙を閉塞しやすくなり、止水性能が向上する。又、被覆骨材1の耐水圧性能が向上する。
カルボキシメチルセルロースナトリウムは、エーテル化度が0.5未満では、無水グルコース単位中のカルボキシメチル基の数が少ないため、架橋性能が低下する。これにより、カルボキシメチルセルロースナトリウムが水分と接触した際に、水分子がカルボキシメチルセルロース塩の3次元網目構造内に取り込まれ難くなり膨潤倍率が低下する。
一方、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、エーテル化度が1.6を超えると、無水グルコース単位中のカルボキシメチル基の数が多くなることで架橋度は増加するが、無水グルコース単位中の水酸基をカルボキシメチル基で置換する際にコストがかかるため、好ましくない。
(多価金属化合物)
多価金属化合物は、2価以上の水溶性の金属塩であって、水に溶解することにより2価以上の金属イオンを生じるものである。多価金属化合物が水に溶解することにより生じた多価金属イオンは、イオン性吸水性樹脂5に含まれるイオンと置換してイオン性吸水性樹脂5を架橋する。
又、多価金属化合物が樹脂組成物中に含まれることで、樹脂組成物が効率よく確実に膨潤状態となる。
多価金属化合物は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して1質量部以上40質量部以下とする。多価金属化合物の組成比率が1質量部以上40質量部以下であると、イオン性吸水性樹脂5の架橋度が適度に高くなるので水に溶解し難くなって、必要な膨潤体膜強度が得られ、又、イオン性吸水性樹脂5の膨潤を抑制することなく必要な膨潤量が得られる。よって、被覆骨材1は密着性に優れ、被覆骨材1の使用時に充填した被覆骨材1間及び被覆骨材1と鋼管矢板との間の空隙を閉塞しやすくなり、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
多価金属化合物の組成比率が1質量部未満であると、イオン性吸水性樹脂5の架橋度が低下してイオン性吸水樹脂5が水に溶解しやすくなる。多価金属化合物の含有量が40質量部を超えると、イオン性吸水性樹脂5の架橋度が過剰となってイオン性吸水性樹脂5の膨潤を抑制する。どちらの場合も、被覆骨材1の使用時に充填した被覆骨材1間及び被覆骨材1と鋼管矢板との間の空隙を閉塞しにくくなり、被覆骨材1が止水性能を発揮するために必要な被覆層2の膨潤量が得られず、又、被覆骨材1の透水係数も大きくなる。
多価金属化合物は、2価以上の水溶性の金属塩であって、溶解することにより2価以上の金属イオンを生じるものであれば、種類に制限はなく、カルシウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物、鉄化合物、及び、亜鉛化合物等が適用可能である。例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸クロム、硫酸カリウムクロム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛などが使用可能である。この中でも、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸クロム、硫酸カリウムクロム、及び、硫酸アルミニウムが好ましい。これら多価金属化合物は、分散性や入手の容易性の点で好ましい。
(その他)
本発明に使用される樹脂組成物には、樹脂組成物の膨潤効果を阻害しない範囲で他の成分を含有してもよい。他の成分としては、充填材、着色顔料、防かび剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
充填材(体質顔料)は、樹脂組成物の硬度を向上させて、被覆骨材1同士の接触によって被覆層2が削れることを抑える。又、充填材(体質顔料)は、膨潤後の樹脂組成物の乾燥による体積収縮を抑える効果を有する。このため、充填材を樹脂組成物の膨潤効果を阻害しない範囲である、熱可塑性エラストマー100質量部に対して100質量部以下の範囲において構成成分として加えてもよい。
体質顔料の例としては、炭酸カルシウム、タルク、石膏、シリカ粉、珪藻土、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム、ポルトランドセメント、マグネシウムシリケート系化合物、カオリン系化合物、トノコ、アルミナセメントなどのセメント類、若しくは、ベントナイト等の粘土鉱物類等が挙げられる。
被覆層表面の硬度向上には、粘土鉱物類が好ましい。膨潤後の樹脂組成物の乾燥による体積収縮を抑えるには、セメント類が好ましい。樹脂組成物の粘性を向上させるには、マグネシウムシリケート系化合物が好ましい。骨材3を被覆した後に溶媒を除去して乾燥しやすくするには、カオリン系化合物が好ましい。
着色顔料、防かび剤、紫外線吸収剤については、樹脂組成物の膨潤効果を阻害しない範囲である樹脂組成物全体の10質量%以下の範囲でそれぞれ含有することが可能である。
着色顔料は、樹脂組成物の認識、被覆面の識別等に必要に応じて利用されるもので、弁柄、チタン白、カーボンブラック、黄色酸化鉄、シアニンブルー、シアニングリーンなどが挙げられる。
防かび剤は、被覆骨材1充填後の防かび耐久性を向上させるもので、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、N−ジメチル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン、ドデシルグアニジン塩酸塩、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−アゾニアアダマンタンクロリド、及び、p−クロロ−m−クレゾールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤は、長期の屋外暴露環境下における光または紫外線による劣化を抑制するものであり、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明に係る被覆骨材1が継手接合部を閉塞する機構について、図2を参照して説明する。
図2(a)に示すように、乾燥状態において被覆骨材1はイオン性吸水性樹脂5が熱可塑性エラストマー4により骨材3(図示省略)の表面に保持された状態となっている。
本発明に係る被覆骨材1は水と接触すると、表面の被覆層2を構成する樹脂組成物に含まれるイオン性吸水性樹脂5及び多価金属化合物(図示省略)が水に溶解する。多価金属化合物が水に溶解して生じた多価金属イオンが、水に溶解することでイオン化したイオン性吸水性樹脂5を架橋する。これにより、イオン性吸水性樹脂5は自由な移動が制限され、又、図2(b)に示すように、水を取り込むことで膨潤する。一方、熱可塑性エラストマー4の弾性効果により樹脂組成物が収縮しようとする力が働き、吸水膨潤による膨張しようとするイオン性吸水樹脂5の膨張力と釣り合って膨潤平行になって取り込まれた水が移動できなくなる。
その結果、被覆骨材1は吸水前の被覆骨材1の周囲に空隙の多い状態から膨潤平行に達して被覆骨材1の周囲の空隙を閉塞した状態となり、長期間安定して膨潤状態を維持する。
樹脂組成物に含まれるイオン性吸水性樹脂5及び熱可塑性エラストマー4は弾性を有するため、被覆骨材1は施工後の変形追従性が高く、継手接合部の隙間への対応が容易である。又、被覆骨材1は自己修復性が高く、施工後に継手接合部に空隙が生じても修復が容易である。よって、高い止水性能を長期間発現する。
被覆骨材1は定形性を有する固形物であるので継手接合部から漏洩し難く、更に、表面の被覆層2が乾燥しているため、取り扱いが容易である。又、乾燥状態において被覆骨材1は粘性を有しない固形物であるため、継手接合部の下部から上部までの全体に確実に充填することができる。
<水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法>
本発明に係る被覆骨材1は、その物理的な核となる骨材3を、被覆層2を構成する樹脂組成物で被覆することにより得られる。その製造方法は、図3に示すように、樹脂組成物を調製する調製工程S101、樹脂組成物で骨材3を被覆する被覆工程S103、及び、樹脂組成物から有機溶媒を除去して被覆層2を形成する溶媒除去工程S104と、を行う。
[調製工程]
調製工程S101は、樹脂組成物の各構成要素を混合して樹脂組成物を調製する工程である。ここで、樹脂組成物を調製するために使用される有機溶媒について説明する。
(有機溶媒)
本発明に係る被覆骨材の製造方法に使用される有機溶媒は、熱可塑性エラストマー4を溶解すると同時に、前記した樹脂組成物の他の構成成分であるイオン性吸水性樹脂5、多価金属化合物、及び、充填材等を分散するものである。又、混合した際にイオン性吸水性樹脂5の溶解、及び、架橋が起こらないものであるのが好ましい。
有機溶媒を使用することにより、熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、多価金属化合物、及び、充填材等で構成される樹脂組成物により骨材3を均一に被覆した被覆骨材1を製造しやすくなる。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が使用可能である。その他、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類が挙げられる。
なお、有機溶媒はこれらに制限されるものではない。
有機溶媒の組成比率は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、300質量部以上700質量部以下とする。
有機溶媒の組成比率が300質量部以上700質量部以下であると、樹脂組成物の粘度が適度であり、骨材3を樹脂組成物からなる被覆層2で均一に被覆することが容易となる。
有機溶媒の組成比率が300質量部未満であると、樹脂組成物の粘度が高くなってゲル化するため、骨材3を被覆することが困難となる。有機溶媒の組成比率が700質量部を超えると、樹脂組成物の粘度が低くなるため、骨材3に塗布し難くなり被覆層2が薄く被覆率が不足し均一になり易い。
以下の手順により、樹脂組成物を得ることができる。
まず、所定量の有機溶媒を入れた容器に、熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物等の各樹脂組成物構成成分を所定量投入する。
次に、容器内の各構成成分を撹拌して混合することにより、熱可塑性エラストマー4を溶解させると共に、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物等を分散させる。
以上により、液状の樹脂組成物が得られる。
以下の手順によっても、樹脂組成物を得ることができる。
熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物等の各樹脂組成物構成成分を所定量計量して、これらを固体状態で混合する。
次に、この固体混合物を所定量の有機溶媒を入れた容器に投入して、撹拌し、混合することによっても、液状の樹脂組成物が得られる。
[被覆工程]
被覆工程S103は、調製工程S101で調製した樹脂組成物で(予備乾燥工程S102で乾燥させた)骨材3を被覆する工程である。
骨材3を液状の樹脂組成物で被覆する方法としては、例えば、撹拌、浸漬、及び、吹付け等が挙げられる。
撹拌による被覆としては、例えば、コンクリートミキサー等の撹拌装置に骨材3と液状の樹脂組成物を投入して、撹拌して混合する事により骨材3を被覆する方法が挙げられる。この方法は、複雑な表面形状の骨材3では被覆層2の厚さに差が生じやすいため、樹脂組成物を数回に分けて撹拌装置に投入することが好ましい。
更に、液状の樹脂組成物中に骨材3を一定時間浸漬した後、引き上げる浸漬被覆でもよい。この被覆方法は、表面に凹凸を有するなど骨材3が複雑な表面形状であっても、被覆層2の厚さに差が生じにくい。
又、吹付けによる被覆としては、圧縮空気や高圧ガスで液状の樹脂組成物を噴霧して骨材3を被覆する方法が挙げられる。或いは、圧縮空気や高圧ガスを使用しない方法で、液状の樹脂組成物を高圧にしてその圧力で噴霧して骨材3を被覆する方法もある。これらの吹付けによる方法は、骨材3が複雑な表面形状であっても、被覆層2の厚さに差が生じにくい。
なお、被覆方法はこれらに制限されることなく一般的な方法により被覆が可能である。
[溶媒除去工程]
溶媒除去工程S104は、骨材3を被覆する液状の樹脂組成物から有機溶媒を除去することで、骨材3の表面に被覆層2を形成させる工程である。
樹脂組成物から有機溶媒を除去することにより、被覆骨材1表面が乾燥して施工面、保管面において取り扱いやすくなると共に、揮発性有機化合物(VOC)による環境汚染の可能性も極めて低くなる。
溶媒除去の方法としては、例えば、乾燥が挙げられる。自然乾燥の場合は、常温(25℃)で12時間以上乾燥する等、乾燥を十分行うことが好ましい。又、50〜100℃の熱風により短時間(1〜3時間程度)で乾燥してもよい。或いは、減圧乾燥を行ってもよい。
溶媒除去が不十分であると、膨潤後の被覆骨材1の被覆層2の強度が極めて悪くなる等、被覆層2の形成に影響が出るため溶媒を完全に除去する必要がある。溶媒を除去した被覆骨材1は、使用時まで水等に接触しないように密封するなどして保管する。
[予備乾燥工程]
予備乾燥工程S102は、骨材3を樹脂組成物で被覆する前に骨材3を乾燥させる工程であり、任意の工程であるが、行うことが好ましい。
被覆層2を構成する樹脂組成物は水分と接触すると膨潤するため、骨材3を樹脂組成物で被覆する前に、骨材3を予め乾燥させることが好ましい。骨材3を予め乾燥させることにより、被覆工程S103や被覆骨材1の保管中において被覆骨材1の膨潤を防止して被覆骨材1の性能及び品質を維持することが可能となる。
乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。しかし、これらに制限されることはなく、任意の方法を採用可能である。
以上、調製工程S101を除き、予備乾燥工程S102、被覆工程S103、溶媒除去工程S104は、骨材3(骨材原料)を金網コンベア等で移動させつつ連続して行ってもよい。
<継手接合部閉塞方法>
図4に示すように、本発明に係る被覆骨材1を用いた継手接合部閉塞方法は、充填工程S201と、膨潤工程S202と、を行う。
対象となる継手接合部は、主に鋼管矢板の継手接合部を想定しているが、被覆骨材1が充填できて水分と接触可能である限り、継手接合部の形状は問わず、鋼管矢板の継手接合部に限られるものでもない。
[充填工程]
充填工程S201は、鋼管矢板の継手接合部の空隙に被覆骨材1を充填する工程である。
鋼管矢板の継手接合部の空隙に被覆骨材1を充填するに際して、被覆骨材1が均一に充填される方法が好ましい。被覆骨材1が均一に充填されることにより、被覆骨材1が充填された継手接合部の強度が被覆骨材1の膨潤後において均一となり、空隙を閉塞して止水する性能も均一となるため好ましい。また、充填密度(充填率)を向上させるために、異なる粒径の被覆骨材1を、混合して充填するとより効果的である。
なお、被覆骨材1を充填する方法は、被覆骨材1が均一に充填される限り制限はない。鋼管矢板の継手接合部の形状についても、被覆骨材1が均一に充填される限り制限はない。
[膨潤工程]
膨潤工程S202は、鋼管矢板の継手接合部の空隙に充填した被覆骨材1を水分と接触させることにより被覆層2を膨潤させる工程である。
被覆層2を膨潤させる水分は、淡水でも海水でもよく、制限はない。被覆骨材1を水分と接触させる方法としては、例えば、河川、湖沼、海岸等で鋼管矢板の継手接合部に淡水や海水が存在する状態で被覆骨材1を充填することにより、被覆層2を膨潤させる方法が挙げられる。又、山間部、丘陵地域等の工事現場近傍の湧水を充填した被覆骨材1に接触させて、被覆層2を膨潤させる方法が挙げられる。水分を接触させる方法はこれらに限られず、任意の方法を採ることが可能である。
本発明に係る被覆骨材1は、変形追従性及び自己修復性に優れるため、長期間安定して空隙を閉塞して止水することが可能となる。
又、本発明に係る被覆骨材1の製造方法によれば、変形追従性および自己修復性に優れる被覆層2で骨材3を被覆して、被覆骨材1を得ることができる。
更に、本発明に係る継手接合部閉塞方法は、鋼管矢板の継手接合部の空隙を長期間安定かつ確実に閉塞して、止水することが可能となる。
そして、被覆骨材1は定形性を有する固形物であって、表面の被覆層2が乾燥しているため、取り扱いが容易であると共に、継手接合部からの漏洩の可能性は低い。又、被覆骨材1は粘性を有しない乾燥した固形物であるため、途中で詰まることなく継手接合部の下部から上部まで確実に充填することができる。
以下に、これら本発明の効果を確認した実施例について説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<水膨潤性樹脂組成物被覆骨材>
[骨材]
骨材は、JIS A 5005に規定するコンクリート用砕石を、粒径の異なる6つのグループで使用した。各グループの骨材の粒径は、JIS Z 8801に規定される網ふるいを使用して測定したふるい目開き通過質量分布グラフから、ふるい目開き通過質量の50%を平均粒径として読み取った。ふるい目開き通過質量分布の結果を表1に示す。表2には、グループでの骨材の平均粒径を示す。
Figure 0006021155
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[樹脂組成物]
液状の樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー、イオン性吸水性樹脂、多価金属化合物、及び、有機溶媒を室温にて容器中で混合することで得た。
具体的には、表2に示す組成で樹脂組成物の材料を有機溶媒に投入して、液状の樹脂組成物1〜3を得た。材料には、以下の試薬を適用した。
熱可塑性エラストマー;エチレン‐酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製ウルトラセン760)
イオン性吸水性樹脂;カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム株式会社製CMCダイセル2200)
多価金属化合物;硫酸アルミニウム(大明化学株式会社製)
有機溶媒;トルエン
同様に、表2に示す組成で樹脂組成物の材料を有機溶媒に投入して、液状の樹脂組成物4〜6を得た。材料には、以下の試薬を適用した。
熱可塑性エラストマー;エチレン‐酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製ウルトラセン760)
熱可塑性エラストマー;クロロプレン樹脂(電気化学工業株式会社製デンカクロロプレンDCR‐42A)
イオン性吸水性樹脂;日本製紙株式会社製サンローズF150LC(エーテル化度0.6)
多価金属化合物;硫酸アルミニウム
表2に示すように、多価金属化合物の種類を変えた以外は樹脂組成物4と同様の条件により、樹脂組成物7〜10を得た。
表2に示すように、異なるエーテル化度のイオン性吸水性樹脂として、日本製紙株式会社製サンローズA100SH(エーテル化度1.5)を用いた以外は樹脂組成物1と同様の条件により、樹脂組成物11〜14を得た。
表3に示すように、トルエンの量を変化させ、又、キシレンを用いた以外は、樹脂組成物1と同様の条件により樹脂組成物15〜17を得た。
表3に示すように、熱可塑性エラストマーとしてメルトフローレート、及び、酢酸ビニル含有量の異なるエチレン‐酢酸ビニル共重合体である三井・デュポン ポリケミカル株式会社製エバフレックスV5773W(メルトフローレート90g/10分、酢酸ビニル含有量33質量%)、又は、三井・デュポン ポリケミカル株式会社製エバフレックスV45X(メルトフローレート100g/10分、酢酸ビニル含有量46質量%)を用いた以外は樹脂組成物12と同様の条件により、樹脂組成物18、19を得た。
表3に示すように、熱可塑性エラストマーとしてエチレン‐酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製ウルトラセン760)、及び、クロロプレン樹脂(電気化学工業株式会社製デンカクロロプレンDCR‐42A)の配合比率を変化させた以外は樹脂組成物4と同様の条件により、樹脂組成物20、21を得た。
又、表3に示すように、ムーニー粘度の異なるクロロプレン樹脂である電気化学工業株式会社製デンカクロロプレンDCR‐34(ムーニー粘度65(ML(1+4)100℃))100質量部を用いた以外は樹脂組成物4と同様の条件により、樹脂組成物22、23を得た。
表3に示すように、エーテル化度の異なるイオン性吸水性樹脂を用いた以外は樹脂組成物1と同様の条件により、樹脂組成物24、25を得た。
同様に、表4に示す成分で、樹脂組成物1と同様の条件により、樹脂組成物26〜31を得た。
(メルトフローレート)
エチレン‐酢酸ビニル共重合体のメルトマスフローレートは、JIS K7210の規定に従い、JIS K6760準拠の株式会社東洋精機製作所製メルトインデックサF‐F01により測定した。
(ムーニー粘度)
ムーニー粘度は、JIS K6300‐1の規定に従い、エムアンドケー株式会社製MVM11により測定した。
(エーテル化度)
CMC工業会分析法(灰化法)に従い、約1g(絶乾重量)の粉末試料を精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボ中に入れ、600℃で充分に灰化させた。次に、生成した水酸化ナトリウムを、0.1N硫酸により、フェノールフタレインを指示薬として中和滴定し、下記式1により算出した。
エーテル化度=162×A/(1000?80×A)・・・(式1)
ここで、Aは、滴定に要した0.1N硫酸の量(mL数)をその力価により補正したものである。
(粘度)
樹脂組成物の粘度は、ブルックフィルード製の粘度測定機DV1を使用し、スピンドルにLV‐4を用いて、25℃にて6rpmで3分間回転後の粘度を測定した。又、樹脂組成物を目視にて、未溶融のゲルがないことを確認し、流動性を観察した。
(膨潤体膜強度)
膨潤体膜強度は、株式会社島津製作所製小型卓上試験機EZ testを用い、速度5mm/分で直径3mmのロッドによる突き刺し試験により求めた。
(膨潤倍率測定)
樹脂組成物の膨潤倍率を以下の試験により求めた。
樹脂組成物を乾燥させて20mm×20mm×2mmの試験片を作製した。
この試験片を秤量した後、2日間水に浸漬して、再び秤量した。浸漬後の乾燥時に対する質量比を膨潤倍率として、表2〜4に示す。
(被覆方法)
調製した液状の樹脂組成物に、表1に示す所定量の骨材を1時間浸漬した後引き上げることにより被覆した。これにより、試験体1〜31を得た。
(溶媒除去方法)
樹脂組成物で被覆した試験体1〜31を常温(25℃)で12時間以上自然乾燥させた。
(被覆率)
得られた試験体(被覆骨材)の質量を測定し、樹脂組成物を被覆する前の骨材の質量から被覆率を算出し、表2〜4に示す。
[透水特性試験]
(耐水圧)
被覆骨材の止水性能の指標の1つである耐水圧を求めるために、以下の方法により試験を行った。
まず、被覆骨材を、図6に示すアクリル製セル11内を満たすまで投入した。アクリル製セル11の形状は、内径50mm、長さ120mmであって、底板の中央に幅6mm、長さ35mmのスリット14を有する。
次に、淡水を満たした容器にセル11を浸漬させることにより、セル11内に淡水を満たして、被覆骨材を24時間浸漬させて膨潤させる。24時間浸漬させて膨潤させた後、セル11にパッキン12を介して上蓋13を被せてボルトで固定した。
そして、水圧加圧装置21により0Paから徐々に加圧した淡水をセル11に送り、漏水が発生した時の水圧を圧力計22で測定した。
一般的に、鋼管矢板の使用される水深は、少なくとも5〜20m程度と想定されることから、被覆骨材の耐水圧は、0.05MPa以上を合格とする。
(透水係数)
被覆骨材の止水性能の指標の1つである透水係数を求めるために、以下の方法により試験を行った。
まず、被覆骨材を、図4に示すアクリル製セル11内を満たすまで投入した。
次に、淡水を満たした容器にセル11を浸漬させることにより、セル11内に淡水を満たして、被覆骨材を24時間浸漬させて膨潤させる。24時間浸漬させて膨潤させた後、セル11にパッキン12を介して上蓋13を被せてボルトで固定した。
そして、水圧加圧装置21により0.05MPa(水深5m相当)の淡水をセル11に送り、水圧を圧力計22により測定した。同時に、漏水を漏水受け23で受けると共に、秤24で所定時間経過後の漏水量を測定した。
ダルシーの法則により、透水係数k(cm/sec)は、土中を流れる水の流速v(cm/sec)、及び、動水勾配i(水頭差/試料長)と規定すると、以下の式2のように表される。
v=ki・・・(式2)
ここで、単位時間あたりの流量Q(cm/sec)を用いて式2を表すと、式3となる。ここで、Aは断面積(cm)を表す。
Q=vA=kiA・・・(式3)
この式より、透水係数k(cm/sec)を求めると、式4となる。
k=Q/iA・・・(式4)
ここで、水圧0.05MPa(水深5m相当)であるから水頭差は500cmとなり、試料長は12cmであるから、i=500/12=41.7となる。又、断面積A=0.21cm(=0.6cm×0.35cm)となる。これらを用いて式4により、透水係数k(cm/sec)を算出した。
結果を表2〜4に示す。
最近の廃棄物処分場の設計基準を参照して、本発明に係る被覆骨材を使用して継手接合部の止水をした連続壁の透水係数の合格基準は、1.0×10−6cm/s以下とする。
<実施例1>
試験体1〜25(実施例)の結果を表2及び表3に記載する。
試験体1〜25を被覆した樹脂組成物1〜25の粘度は13000mPa・s以上であり、骨材を被覆するのに十分な粘度を有していた。又、これら樹脂組成物の性状も良好であった。膨潤体膜強度も1.0N以上であり、止水に必要な強度を有している。
試験体1〜25は、耐水圧が0.25MPa以上であり、少なくとも水深20mまで耐えうる。
試験体1〜25は、透水係数が0.2×10−6cm/s以下であり、最近の廃棄物処理場の基準に照らして、一桁以上小さく十分満足するものとなっている。
又、透水特性試験直後より顕著な漏水は確認されず、30日間浸漬後においても同様に十分な止水性能を保持していた。膨潤倍率も15倍以上であり、空隙を閉塞するのに十分に膨潤した。
試験体1〜3は、イオン性吸水性樹脂量を変えたものであり、膨潤倍率に差が生じたが、いずれもイオン性吸水性樹脂量による耐水圧及び透水係数への影響は見られなかった。
試験体4〜6は、多価金属化合物の量を変えたものであり、膨潤膜強度及び耐水圧に変化が生じたが、いずれも多価金属化合物の量を変えたことによる透水係数への影響は見られなかった。
試験体7〜10は、多価金属化合物の種類を変えたものであるが、いずれも多価金属化合物の種類を変えたことによる透水係数への影響は見られなかった。
試験体11〜14は、骨材の粒径を大きく変化させたものであり、粒径が小さいものは樹脂組成物の被覆量が多く耐水圧が低くなるためか、透水係数に若干の変化が見られた。粒径が大きいものは耐水圧が若干低くなり、透水係数も若干大きくなった。しかし、いずれも十分な止水性能を保持していた。
試験体15〜17は、有機溶媒の量、又は、種類を変えたものであるが、膨潤体膜強度、膨潤倍率、耐水圧、及び、透水係数への影響は見られなかった。
試験体18、19は、酢酸ビニル樹脂の含有量を変えたものであるが、膨潤体膜強度、膨潤倍率、耐水圧、及び、透水係数への影響は見られなかった。
試験体20〜23は、クロロプレン樹脂の含有量、又は、ムーニー粘度を変化させたものであるが、膨潤体膜強度、膨潤倍率、及び、透水係数への影響はほとんど見られなかった。
試験体24、25は、イオン性吸水性樹脂のエーテル化度を変化させたものであるが、エーテル化度が高いほど膨潤倍率が高く、耐水圧性能に優れて透水係数も小さくなった。
<比較例>
試験体26〜31(比較例)の結果を表4に記載する。
試験体26、27は、イオン性吸水性樹脂の量を変えたものである。
試験体26は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量が下限未満であり、膨潤倍率が低下したことで骨材間隙を埋める能力が劣った結果、耐水圧が低下して透水係数も大きくなった。試験体27は、カルボキシメチルセルロースナトリウム混合量が上限を超えたものであり、膨潤倍率が上昇するが、膨潤体膜強度は低下したことで、骨材間隙を埋める能力が劣った結果、耐水圧が低下して透水係数も大きくなった。
試験体28、29は、多価金属化合物の量を変えたものである。
試験体28は、多価金属化合物の量が下限未満であり、架橋度が低下することで膨潤倍率は大きくなるが、膨潤体の強度が低下した結果、耐水圧が低下して透水係数も大きくなった。試験体29は、多価金属化合物の配合量が上限を超えたものであり、架橋度が過大となるため、膨潤が進行しない。これにより、耐水圧が極めて低くなって漏水が発生して透水係数も大きくなった。
試験体30、31は、有機溶媒の量を変えたものである。
試験体30は、有機溶媒の量が下限未満であり、樹脂組成物の粘度が急激に上昇してゲル化したため、被覆できなかった。このため、被覆率、耐水圧、及び、透水係数は測定できなかった。試験体31は有機溶媒の量が上限を超えると共に、エーテル化度が下限未満であり、樹脂組成物の粘度が急激に低下して被覆量が少なくなったため、漏水が発生して透水係数も大きくなった。
<実施例2>
本発明に係る被覆骨材として、前記実施例1における試験体1を水深10mの湖沼における鋼管矢板に使用して、本発明に係る継手接合部閉塞方法による締め切り工事に適用した。
まず、JIS A5530に規定するP‐P継手型鋼管矢板(長さ23m、外径600mmφ、厚さ14mm)をバイブロハンマーにより打設して鋼管矢板の根入れ長10m、水深10m、締め切り面積100m(10m×10m)とした。次に、P‐P継手接合部分(長さ23m、断面積0.025m)に被覆骨材(試験体1)を一箇所当たり60kg、合計169箇所10140kg投入した。その後、この状態で2日間養生して十分膨潤させた後、締め切り部分の水をポンプにより排水した。
排水後、止水状況を目視にて確認したところ、十分膨潤しており漏水もなく止水性能も良好であった。また、300日間の工事終了まで十分膨潤しており漏水もなく止水性能も良好であった。これにより、被覆骨材は施工後の変形追従性が高く、継手接合部の隙間への対応が容易であり、工事中の振動等により発生した継手接合部のズレや隙間に対応可能であることが確認できた。併せて、被覆骨材は自己修復性が高く、施工後に継手接合部に空隙が生じても修復が容易であり、高い止水性能を長期間発現することも確認できた。
そして、バイブロハンマーを用いて鋼管矢板を引き抜いたが、継手接合部の引き抜きの際に負荷もかからず、潤滑性に優れることも確認できた。更に、継手接合部に被覆骨材や水膨潤性樹脂組成物(被覆樹脂)が付着することもなく清掃も容易であり、抗付着性に優れることも確認できた。
加えて、被覆骨材を用いた継手接合部閉塞方法は使用が容易であり、被覆骨材が途中で詰まることなく継手接合部の下部から上部まで確実に充填することができて、鋼管矢板の継手接合部の空隙を長期間安定かつ確実に閉塞して、止水性能に優れることも確認できた。
1 水膨潤性樹脂組成物被覆骨材(被覆骨材)
2 樹脂組成物
3 骨材
4 熱可塑性エラストマー
5 イオン性吸水性樹脂
11 セル
12 パッキン
13 上蓋
14 スリット
21 水圧加圧装置
22 圧力計
23 漏水受け
24 秤

Claims (5)

  1. 骨材を、その5/100以上の質量の被覆層で被覆してなる水膨潤性樹脂組成物被覆骨材であって、
    前記被覆層は、熱可塑性エラストマー100質量部と、イオン性吸水性樹脂130質量部以上400質量部以下と、多価金属化合物1質量部以上40質量部以下と、を含む樹脂組成物からなることを特徴とする水膨潤性樹脂組成物被覆骨材。
  2. 前記多価金属化合物が、硫酸アルミニウム、硫酸クロム、酸化カルシウム、クロムミョウバン、及び、水酸化カルシウムの中から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材。
  3. 前記骨材は、砂利、砕石、及び、砂の中から選択される1種以上であり、平均粒径が1mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法であって、
    熱可塑性エラストマー100質量部に対して、イオン性吸水性樹脂130質量部以上400質量部以下と、多価金属化合物1質量部以上40質量部以下と、有機溶媒300質量部以上700質量部以下と、を混合して樹脂組成物を調製する調製工程と、
    前記樹脂組成物を骨材の表面に被覆する被覆工程と、
    前記骨材の表面に被覆した樹脂組成物から前記有機溶媒を除去して骨材の表面に被覆層を形成する溶媒除去工程と、を行うことを特徴とする水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を用いて継手接合部の空隙を閉塞する継手接合部閉塞方法であって、
    前記継手接合部の空隙に前記水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を充填する充填工程と、
    前記充填した水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を水分と接触させることにより前記被覆層を膨潤させる膨潤工程と、を行うことを特徴とする継手接合部閉塞方法。
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