JP6021155B2 - 水膨潤性樹脂組成物被覆骨材、及び、その製造方法、並びに、継手接合部閉塞方法 - Google Patents
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Description
又、簡便で作業効率を改善した止水性能に優れる鋼管矢板の継手接合部の空隙の閉塞方法を提供することを課題とする。
又、簡便で作業効率を改善した止水性能に優れる継手接合部閉塞方法を提供することができる。
図1に示すように、本発明に係る水膨潤性樹脂組成物被覆骨材1(以下、被覆骨材とも称する)は、その核となる骨材3を被覆層2で被覆(コーティング)したものである。
骨材3は被覆骨材1の物理的な核となる物質である。
この要件を満たす骨材3の種類の例としては、天然骨材、再生骨材、及び、天然礫砂等が挙げられる。これらの中でも、砂、砂利、及び、砕石の少なくとも一種が骨材3として好ましい。
骨材3は、ある程度の体積を有し空間を占めて物理的強度を有して機能を発揮するものであれば、種類や組成に制限はない。
なお、骨材3の大きさ(平均粒径)は上記範囲に制限されるものではない。
被覆層2は、被覆骨材1の物理的な核となる骨材3を被覆するものであり、水分に接触した場合に膨潤するものである。
被覆層2は、熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物を含む樹脂組成物から形成される。
被覆骨材1は、被覆率が5%以上とするから被覆層2の質量が骨材3の5%以上であると、被覆層2を構成する樹脂組成物が膨潤して骨材3の間隙を十分に充填できるため止水性能が向上する。被覆率は、30%以下であると骨材3に対する膨潤した樹脂組成物の割合が適度であるため、樹脂組成物が十分に膨潤して耐水圧性能が安定して維持されやすい。被覆骨材1は、被覆率が5%未満であると、耐水圧及び止水性能が低下しやすい。
被覆骨材1は、被覆率が8%以上であることが好ましく、被覆率が10%以上であることがより好ましい。
以下、樹脂組成物における各成分について説明する。
本発明に使用される樹脂組成物の構成成分である熱可塑性エラストマー4は、同じく樹脂組成物の構成成分であるイオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に保持するものである。
熱可塑性エラストマー4は、膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に保持可能な程度の弾性を有する必要がある。更に、熱可塑性エラストマー4は、イオン性吸水性樹脂5を骨材3表面に均一に保持可能とするため、イオン性吸水性樹脂5が均一に分散可能である有機溶媒に溶解して溶液となるものが好ましい。
又、熱可塑性エラストマー4は、その組成により、被覆骨材1の耐水圧性能を調整するものである。
これらの中でも、本発明に使用する熱可塑性エラストマー4は、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、クロロプレン樹脂、及び、エチレン‐酢酸ビニル共重合体とクロロプレン樹脂との混合物のいずれかであることが好ましい。
なお、熱可塑性エラストマー4の一種であるエチレン‐酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有量に特に制限はない。
熱可塑性エラストマー4は、メルトフローレートが40g/10分以上100g/10分以下であれば、重合度が適度であり高分子鎖どうしの絡み合い効果も適度であるため、強度とイオン性吸水性樹脂5の膨潤度合いの調和を図ることができる。即ち、被覆層2の強度を維持しつつ膨潤したイオン性吸水性樹脂5を骨材3に保持しやすくなる。又、本発明に使用される樹脂組成物の流動性が適度に保たれる結果、骨材3を均一に被覆することが可能となる。
よって、被覆骨材1は密着性に優れ、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
よって、被覆骨材1は密着性に優れ、耐水圧性能、及び、止水性能を発揮することが可能となる。
本発明に使用されるイオン性吸水性樹脂5は、3次元網目構造を有し、水分を樹脂中に取り込む性質を有する高分子(ポリマー)であり、水分と接触するとイオン化して、多価金属イオンにより架橋されるものである。この時、イオン性吸水性樹脂5は、その3次元網目構造内に水を取り込むことにより、不溶性のゲル状に変化する。
エーテル化度とは、イオン性吸水性樹脂5の一種であるカルボキシメチルセルロースナトリウムの原料であるセルロースの無水グルコース単位中の水酸基がどれだけカルボキシメチル基で置換されているかを示す指標である。
多価金属化合物は、2価以上の水溶性の金属塩であって、水に溶解することにより2価以上の金属イオンを生じるものである。多価金属化合物が水に溶解することにより生じた多価金属イオンは、イオン性吸水性樹脂5に含まれるイオンと置換してイオン性吸水性樹脂5を架橋する。
又、多価金属化合物が樹脂組成物中に含まれることで、樹脂組成物が効率よく確実に膨潤状態となる。
本発明に使用される樹脂組成物には、樹脂組成物の膨潤効果を阻害しない範囲で他の成分を含有してもよい。他の成分としては、充填材、着色顔料、防かび剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
被覆層表面の硬度向上には、粘土鉱物類が好ましい。膨潤後の樹脂組成物の乾燥による体積収縮を抑えるには、セメント類が好ましい。樹脂組成物の粘性を向上させるには、マグネシウムシリケート系化合物が好ましい。骨材3を被覆した後に溶媒を除去して乾燥しやすくするには、カオリン系化合物が好ましい。
図2(a)に示すように、乾燥状態において被覆骨材1はイオン性吸水性樹脂5が熱可塑性エラストマー4により骨材3(図示省略)の表面に保持された状態となっている。
本発明に係る被覆骨材1は水と接触すると、表面の被覆層2を構成する樹脂組成物に含まれるイオン性吸水性樹脂5及び多価金属化合物(図示省略)が水に溶解する。多価金属化合物が水に溶解して生じた多価金属イオンが、水に溶解することでイオン化したイオン性吸水性樹脂5を架橋する。これにより、イオン性吸水性樹脂5は自由な移動が制限され、又、図2(b)に示すように、水を取り込むことで膨潤する。一方、熱可塑性エラストマー4の弾性効果により樹脂組成物が収縮しようとする力が働き、吸水膨潤による膨張しようとするイオン性吸水樹脂5の膨張力と釣り合って膨潤平行になって取り込まれた水が移動できなくなる。
本発明に係る被覆骨材1は、その物理的な核となる骨材3を、被覆層2を構成する樹脂組成物で被覆することにより得られる。その製造方法は、図3に示すように、樹脂組成物を調製する調製工程S101、樹脂組成物で骨材3を被覆する被覆工程S103、及び、樹脂組成物から有機溶媒を除去して被覆層2を形成する溶媒除去工程S104と、を行う。
調製工程S101は、樹脂組成物の各構成要素を混合して樹脂組成物を調製する工程である。ここで、樹脂組成物を調製するために使用される有機溶媒について説明する。
本発明に係る被覆骨材の製造方法に使用される有機溶媒は、熱可塑性エラストマー4を溶解すると同時に、前記した樹脂組成物の他の構成成分であるイオン性吸水性樹脂5、多価金属化合物、及び、充填材等を分散するものである。又、混合した際にイオン性吸水性樹脂5の溶解、及び、架橋が起こらないものであるのが好ましい。
有機溶媒を使用することにより、熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、多価金属化合物、及び、充填材等で構成される樹脂組成物により骨材3を均一に被覆した被覆骨材1を製造しやすくなる。
なお、有機溶媒はこれらに制限されるものではない。
有機溶媒の組成比率が300質量部以上700質量部以下であると、樹脂組成物の粘度が適度であり、骨材3を樹脂組成物からなる被覆層2で均一に被覆することが容易となる。
有機溶媒の組成比率が300質量部未満であると、樹脂組成物の粘度が高くなってゲル化するため、骨材3を被覆することが困難となる。有機溶媒の組成比率が700質量部を超えると、樹脂組成物の粘度が低くなるため、骨材3に塗布し難くなり被覆層2が薄く被覆率が不足し均一になり易い。
まず、所定量の有機溶媒を入れた容器に、熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物等の各樹脂組成物構成成分を所定量投入する。
次に、容器内の各構成成分を撹拌して混合することにより、熱可塑性エラストマー4を溶解させると共に、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物等を分散させる。
以上により、液状の樹脂組成物が得られる。
熱可塑性エラストマー4、イオン性吸水性樹脂5、及び、多価金属化合物等の各樹脂組成物構成成分を所定量計量して、これらを固体状態で混合する。
次に、この固体混合物を所定量の有機溶媒を入れた容器に投入して、撹拌し、混合することによっても、液状の樹脂組成物が得られる。
被覆工程S103は、調製工程S101で調製した樹脂組成物で(予備乾燥工程S102で乾燥させた)骨材3を被覆する工程である。
骨材3を液状の樹脂組成物で被覆する方法としては、例えば、撹拌、浸漬、及び、吹付け等が挙げられる。
なお、被覆方法はこれらに制限されることなく一般的な方法により被覆が可能である。
溶媒除去工程S104は、骨材3を被覆する液状の樹脂組成物から有機溶媒を除去することで、骨材3の表面に被覆層2を形成させる工程である。
樹脂組成物から有機溶媒を除去することにより、被覆骨材1表面が乾燥して施工面、保管面において取り扱いやすくなると共に、揮発性有機化合物(VOC)による環境汚染の可能性も極めて低くなる。
溶媒除去が不十分であると、膨潤後の被覆骨材1の被覆層2の強度が極めて悪くなる等、被覆層2の形成に影響が出るため溶媒を完全に除去する必要がある。溶媒を除去した被覆骨材1は、使用時まで水等に接触しないように密封するなどして保管する。
予備乾燥工程S102は、骨材3を樹脂組成物で被覆する前に骨材3を乾燥させる工程であり、任意の工程であるが、行うことが好ましい。
被覆層2を構成する樹脂組成物は水分と接触すると膨潤するため、骨材3を樹脂組成物で被覆する前に、骨材3を予め乾燥させることが好ましい。骨材3を予め乾燥させることにより、被覆工程S103や被覆骨材1の保管中において被覆骨材1の膨潤を防止して被覆骨材1の性能及び品質を維持することが可能となる。
図4に示すように、本発明に係る被覆骨材1を用いた継手接合部閉塞方法は、充填工程S201と、膨潤工程S202と、を行う。
対象となる継手接合部は、主に鋼管矢板の継手接合部を想定しているが、被覆骨材1が充填できて水分と接触可能である限り、継手接合部の形状は問わず、鋼管矢板の継手接合部に限られるものでもない。
充填工程S201は、鋼管矢板の継手接合部の空隙に被覆骨材1を充填する工程である。
鋼管矢板の継手接合部の空隙に被覆骨材1を充填するに際して、被覆骨材1が均一に充填される方法が好ましい。被覆骨材1が均一に充填されることにより、被覆骨材1が充填された継手接合部の強度が被覆骨材1の膨潤後において均一となり、空隙を閉塞して止水する性能も均一となるため好ましい。また、充填密度(充填率)を向上させるために、異なる粒径の被覆骨材1を、混合して充填するとより効果的である。
なお、被覆骨材1を充填する方法は、被覆骨材1が均一に充填される限り制限はない。鋼管矢板の継手接合部の形状についても、被覆骨材1が均一に充填される限り制限はない。
膨潤工程S202は、鋼管矢板の継手接合部の空隙に充填した被覆骨材1を水分と接触させることにより被覆層2を膨潤させる工程である。
被覆層2を膨潤させる水分は、淡水でも海水でもよく、制限はない。被覆骨材1を水分と接触させる方法としては、例えば、河川、湖沼、海岸等で鋼管矢板の継手接合部に淡水や海水が存在する状態で被覆骨材1を充填することにより、被覆層2を膨潤させる方法が挙げられる。又、山間部、丘陵地域等の工事現場近傍の湧水を充填した被覆骨材1に接触させて、被覆層2を膨潤させる方法が挙げられる。水分を接触させる方法はこれらに限られず、任意の方法を採ることが可能である。
又、本発明に係る被覆骨材1の製造方法によれば、変形追従性および自己修復性に優れる被覆層2で骨材3を被覆して、被覆骨材1を得ることができる。
更に、本発明に係る継手接合部閉塞方法は、鋼管矢板の継手接合部の空隙を長期間安定かつ確実に閉塞して、止水することが可能となる。
[骨材]
骨材は、JIS A 5005に規定するコンクリート用砕石を、粒径の異なる6つのグループで使用した。各グループの骨材の粒径は、JIS Z 8801に規定される網ふるいを使用して測定したふるい目開き通過質量分布グラフから、ふるい目開き通過質量の50%を平均粒径として読み取った。ふるい目開き通過質量分布の結果を表1に示す。表2には、グループでの骨材の平均粒径を示す。
液状の樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー、イオン性吸水性樹脂、多価金属化合物、及び、有機溶媒を室温にて容器中で混合することで得た。
熱可塑性エラストマー;エチレン‐酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製ウルトラセン760)
イオン性吸水性樹脂;カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルファインケム株式会社製CMCダイセル2200)
多価金属化合物;硫酸アルミニウム(大明化学株式会社製)
有機溶媒;トルエン
熱可塑性エラストマー;エチレン‐酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製ウルトラセン760)
熱可塑性エラストマー;クロロプレン樹脂(電気化学工業株式会社製デンカクロロプレンDCR‐42A)
イオン性吸水性樹脂;日本製紙株式会社製サンローズF150LC(エーテル化度0.6)
多価金属化合物;硫酸アルミニウム
表3に示すように、トルエンの量を変化させ、又、キシレンを用いた以外は、樹脂組成物1と同様の条件により樹脂組成物15〜17を得た。
又、表3に示すように、ムーニー粘度の異なるクロロプレン樹脂である電気化学工業株式会社製デンカクロロプレンDCR‐34(ムーニー粘度65(ML(1+4)100℃))100質量部を用いた以外は樹脂組成物4と同様の条件により、樹脂組成物22、23を得た。
エチレン‐酢酸ビニル共重合体のメルトマスフローレートは、JIS K7210の規定に従い、JIS K6760準拠の株式会社東洋精機製作所製メルトインデックサF‐F01により測定した。
ムーニー粘度は、JIS K6300‐1の規定に従い、エムアンドケー株式会社製MVM11により測定した。
CMC工業会分析法(灰化法)に従い、約1g(絶乾重量)の粉末試料を精秤し、ろ紙に包んで磁性ルツボ中に入れ、600℃で充分に灰化させた。次に、生成した水酸化ナトリウムを、0.1N硫酸により、フェノールフタレインを指示薬として中和滴定し、下記式1により算出した。
エーテル化度=162×A/(1000?80×A)・・・(式1)
ここで、Aは、滴定に要した0.1N硫酸の量(mL数)をその力価により補正したものである。
樹脂組成物の粘度は、ブルックフィルード製の粘度測定機DV1を使用し、スピンドルにLV‐4を用いて、25℃にて6rpmで3分間回転後の粘度を測定した。又、樹脂組成物を目視にて、未溶融のゲルがないことを確認し、流動性を観察した。
膨潤体膜強度は、株式会社島津製作所製小型卓上試験機EZ testを用い、速度5mm/分で直径3mmのロッドによる突き刺し試験により求めた。
樹脂組成物の膨潤倍率を以下の試験により求めた。
樹脂組成物を乾燥させて20mm×20mm×2mmの試験片を作製した。
この試験片を秤量した後、2日間水に浸漬して、再び秤量した。浸漬後の乾燥時に対する質量比を膨潤倍率として、表2〜4に示す。
調製した液状の樹脂組成物に、表1に示す所定量の骨材を1時間浸漬した後引き上げることにより被覆した。これにより、試験体1〜31を得た。
樹脂組成物で被覆した試験体1〜31を常温(25℃)で12時間以上自然乾燥させた。
得られた試験体(被覆骨材)の質量を測定し、樹脂組成物を被覆する前の骨材の質量から被覆率を算出し、表2〜4に示す。
(耐水圧)
被覆骨材の止水性能の指標の1つである耐水圧を求めるために、以下の方法により試験を行った。
まず、被覆骨材を、図6に示すアクリル製セル11内を満たすまで投入した。アクリル製セル11の形状は、内径50mm、長さ120mmであって、底板の中央に幅6mm、長さ35mmのスリット14を有する。
そして、水圧加圧装置21により0Paから徐々に加圧した淡水をセル11に送り、漏水が発生した時の水圧を圧力計22で測定した。
被覆骨材の止水性能の指標の1つである透水係数を求めるために、以下の方法により試験を行った。
まず、被覆骨材を、図4に示すアクリル製セル11内を満たすまで投入した。
次に、淡水を満たした容器にセル11を浸漬させることにより、セル11内に淡水を満たして、被覆骨材を24時間浸漬させて膨潤させる。24時間浸漬させて膨潤させた後、セル11にパッキン12を介して上蓋13を被せてボルトで固定した。
そして、水圧加圧装置21により0.05MPa(水深5m相当)の淡水をセル11に送り、水圧を圧力計22により測定した。同時に、漏水を漏水受け23で受けると共に、秤24で所定時間経過後の漏水量を測定した。
v=ki・・・(式2)
Q=vA=kiA・・・(式3)
k=Q/iA・・・(式4)
結果を表2〜4に示す。
試験体1〜25(実施例)の結果を表2及び表3に記載する。
試験体1〜25は、透水係数が0.2×10−6cm/s以下であり、最近の廃棄物処理場の基準に照らして、一桁以上小さく十分満足するものとなっている。
又、透水特性試験直後より顕著な漏水は確認されず、30日間浸漬後においても同様に十分な止水性能を保持していた。膨潤倍率も15倍以上であり、空隙を閉塞するのに十分に膨潤した。
試験体4〜6は、多価金属化合物の量を変えたものであり、膨潤膜強度及び耐水圧に変化が生じたが、いずれも多価金属化合物の量を変えたことによる透水係数への影響は見られなかった。
試験体11〜14は、骨材の粒径を大きく変化させたものであり、粒径が小さいものは樹脂組成物の被覆量が多く耐水圧が低くなるためか、透水係数に若干の変化が見られた。粒径が大きいものは耐水圧が若干低くなり、透水係数も若干大きくなった。しかし、いずれも十分な止水性能を保持していた。
試験体20〜23は、クロロプレン樹脂の含有量、又は、ムーニー粘度を変化させたものであるが、膨潤体膜強度、膨潤倍率、及び、透水係数への影響はほとんど見られなかった。
試験体24、25は、イオン性吸水性樹脂のエーテル化度を変化させたものであるが、エーテル化度が高いほど膨潤倍率が高く、耐水圧性能に優れて透水係数も小さくなった。
試験体26〜31(比較例)の結果を表4に記載する。
試験体26は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量が下限未満であり、膨潤倍率が低下したことで骨材間隙を埋める能力が劣った結果、耐水圧が低下して透水係数も大きくなった。試験体27は、カルボキシメチルセルロースナトリウム混合量が上限を超えたものであり、膨潤倍率が上昇するが、膨潤体膜強度は低下したことで、骨材間隙を埋める能力が劣った結果、耐水圧が低下して透水係数も大きくなった。
試験体28は、多価金属化合物の量が下限未満であり、架橋度が低下することで膨潤倍率は大きくなるが、膨潤体の強度が低下した結果、耐水圧が低下して透水係数も大きくなった。試験体29は、多価金属化合物の配合量が上限を超えたものであり、架橋度が過大となるため、膨潤が進行しない。これにより、耐水圧が極めて低くなって漏水が発生して透水係数も大きくなった。
試験体30は、有機溶媒の量が下限未満であり、樹脂組成物の粘度が急激に上昇してゲル化したため、被覆できなかった。このため、被覆率、耐水圧、及び、透水係数は測定できなかった。試験体31は有機溶媒の量が上限を超えると共に、エーテル化度が下限未満であり、樹脂組成物の粘度が急激に低下して被覆量が少なくなったため、漏水が発生して透水係数も大きくなった。
本発明に係る被覆骨材として、前記実施例1における試験体1を水深10mの湖沼における鋼管矢板に使用して、本発明に係る継手接合部閉塞方法による締め切り工事に適用した。
加えて、被覆骨材を用いた継手接合部閉塞方法は使用が容易であり、被覆骨材が途中で詰まることなく継手接合部の下部から上部まで確実に充填することができて、鋼管矢板の継手接合部の空隙を長期間安定かつ確実に閉塞して、止水性能に優れることも確認できた。
2 樹脂組成物
3 骨材
4 熱可塑性エラストマー
5 イオン性吸水性樹脂
11 セル
12 パッキン
13 上蓋
14 スリット
21 水圧加圧装置
22 圧力計
23 漏水受け
24 秤
Claims (5)
- 骨材を、その5/100以上の質量の被覆層で被覆してなる水膨潤性樹脂組成物被覆骨材であって、
前記被覆層は、熱可塑性エラストマー100質量部と、イオン性吸水性樹脂130質量部以上400質量部以下と、多価金属化合物1質量部以上40質量部以下と、を含む樹脂組成物からなることを特徴とする水膨潤性樹脂組成物被覆骨材。 - 前記多価金属化合物が、硫酸アルミニウム、硫酸クロム、酸化カルシウム、クロムミョウバン、及び、水酸化カルシウムの中から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材。
- 前記骨材は、砂利、砕石、及び、砂の中から選択される1種以上であり、平均粒径が1mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法であって、
熱可塑性エラストマー100質量部に対して、イオン性吸水性樹脂130質量部以上400質量部以下と、多価金属化合物1質量部以上40質量部以下と、有機溶媒300質量部以上700質量部以下と、を混合して樹脂組成物を調製する調製工程と、
前記樹脂組成物を骨材の表面に被覆する被覆工程と、
前記骨材の表面に被覆した樹脂組成物から前記有機溶媒を除去して骨材の表面に被覆層を形成する溶媒除去工程と、を行うことを特徴とする水膨潤性樹脂組成物被覆骨材の製造方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を用いて継手接合部の空隙を閉塞する継手接合部閉塞方法であって、
前記継手接合部の空隙に前記水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を充填する充填工程と、
前記充填した水膨潤性樹脂組成物被覆骨材を水分と接触させることにより前記被覆層を膨潤させる膨潤工程と、を行うことを特徴とする継手接合部閉塞方法。
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JP2014198760A (ja) | 2014-10-23 |
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