JP6020978B2 - 無機繊維廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機繊維材からなる無機繊維廃棄物を処理する無機繊維廃棄物の処理方法に関する。
従来から、無機繊維材(例えば、ロックウールやグラスウール等)が種々の用途で使用されている。例えば、無機繊維材は、建築物(具体的には、住宅、オフィスビル、プラント等)の断熱材や吸音材や保温材等として使用されたり、植物の栽培に用いられる培地として使用されたりしている。
斯かる無機繊維材は、上記のような建築物の補修や解体に伴って廃棄されたり、培地として不要になった際に廃棄されたり、製品検査による不合格品や流通段階で製品にならなかったものが廃棄されたりすることで、無機繊維廃棄物として処理される。また、上記のような用途で無機繊維材を使用する上で無機繊維材が加工される場合には、加工過程において残渣が生じるため、斯かる残渣も無機繊維廃棄物として処理される。斯かる無機繊維廃棄物は、大部分が無機物から構成されたものであるため、焼却設備での焼却処分に適するものではない。また、廃棄物であるため規格が定かではなく、再利用したり他の製品へのリサイクルを行ったりすることが困難である。仮に、無機繊維材へリサイクルする場合には、無機繊維材を包む樹脂製の包装材や異物を除去する必要があるため、効率的なリサイクルを行うことが困難である。このため、大半が最終処分場に運ばれて埋め立て処分されるのが一般的である。
ところで、近年では、産業廃棄物の増加に伴い、最終処分場の不足や処理費用の増加が社会的な問題となっている。また、産業廃棄物を何らかの方法で資源としてリサイクルすることも要求されている。
ここで、上述のような無機繊維廃棄物は、比較的嵩密度が低いものであるため、単位質量を埋め立て処分する際に必要なスペースが多大なものとなる。このため、無機繊維廃棄物の増加が最終処分場の延命を阻害する要因になる。また、無機繊維廃棄物を輸送する際には、単位質量あたりの体積が嵩むため、輸送コストが高くなって処理費用を増加させる要因となる。そこで、無機繊維廃棄物を押圧して圧縮することで減容処理し、埋め立て処分に必要なスペースや輸送コストを低減する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、上述のような埋め立て処分ではなく、無機繊維廃棄物をリサイクルする方法としては、セメント原料としてリサイクルする方法が提案されている。例えば、無機繊維廃棄物を乾式ミルや湿式ミル等を用いて破砕した後、セメントクリンカーを焼成するキルンに供給することで、無機繊維廃棄物をセメント原料としてリサイクルする方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平5−269598号公報 特開2003−137619号公報
ところで、上述のように、無機繊維廃棄物を埋め立て処分したりセメント原料としてリサイクルしたりする過程では、無機繊維廃棄物を重機等を用いて積み込み、運搬、投入等の作業を行う場合がある。このような作業を行った際には、無機繊維廃棄物(無機繊維材)を構成する無機繊維が空気中に飛散することになる。また、ベルトコンベア等の開放型輸送機を用いて搬送する場合等には、搬送前に無機繊維廃棄物を比較的細かく裁断することが必要となり、裁断及び搬送にともなって無機繊維が空気中に飛散することになる。このような無機繊維の飛散が生じると、作業者が無機繊維を吸引して健康に障害をきたす要因となったり、無機繊維が皮膚に付着して作業者に不快感を与えたりする場合がある。
また、無機繊維廃棄物を重機等を用いて搬送したり、無機繊維廃棄物をセメント原料としてプレヒーターや仮焼炉等を介してキルンへ供給したりする場合には、無機繊維廃棄物を嵩密度が比較的高い状態に処理した方が効率的な搬送やキルンへの供給を行うことができる。しかしながら、上述のように無機繊維廃棄物を押圧して圧縮した場合には、無機繊維廃棄物は、嵩密度が一時的に高い状態になるものの、その状態を保持することができないため、嵩密度が低い状態に復元し易い。このため、無機繊維廃棄物の効率的な搬送やキルンへの供給を行い難い。また、圧縮した無機繊維廃棄物に番線、PPバンド、ロープ等を巻き付けたり、テープを巻き付けてラッピングしたりすることで圧縮した無機繊維廃棄物を締め付けて形状を保持しようとしても、無機繊維廃棄物が脆弱なものであるため締め付けによって無機繊維が破断して飛散し、上述のような健康障害や不快感を生じさせることになる。
そこで、本発明は、無機繊維廃棄物を処理する方法であって、無機繊維廃棄物が処理されてなる処理物から無機繊維材を構成する無機繊維が飛散するのを防止することができると共に、嵩密度が比較的高い状態を保持可能な処理物を形成することができる無機繊維廃棄物の処理方法を提供することを課題とする。
本発明に係る無機繊維廃棄物の処理方法は、無機繊維材から構成される無機繊維廃棄物を処理する無機繊維廃棄物の処理方法であって、前記無機繊維廃棄物と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む熱可塑性樹脂とから構成されると共に熱可塑性樹脂の含有量が10質量%以上30.5質量%以下となるように構成された樹脂含有物を圧縮成形して処理物を形成する圧縮成形工程を備えており、該圧縮成形工程では、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂を圧縮による発熱によって熱溶融させつつ樹脂含有物を圧縮成形することを特徴とする。
斯かる構成によれば、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂の含有量が上記のような割合であると共に、圧縮成形工程で該樹脂含有物が圧縮成形されることで、得られる処理物から無機繊維材を構成する無機繊維が飛散するのを防止することができると共に、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態を保持可能な処理物を形成することができる。
具体的には、圧縮成形工程では、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が熱溶融されつつ樹脂含有物が圧縮成形されるため、溶融した熱可塑性樹脂がバインダーとなって無機繊維廃棄物(無機繊維材)を構成する無機繊維同士を結合したり、無機繊維の塊を覆ったりするため、得られる処理物から無機繊維が飛散するのを防止することができる。また、樹脂含有物が圧縮された状態で、無機繊維同士が熱可塑性樹脂によって結合されたり、無機繊維の塊が熱可塑性樹脂によって覆われたりするため、無機繊維同士の間隔が広がることがなく、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態(即ち、圧縮された状態)を保持可能な処理物を得ることができる。
前記樹脂含有物は、150mm以下のサイズに破砕された無機繊維廃棄物と、熱可塑性樹脂とが混合されて形成されることが好ましい。
斯かる構成によれば、所定のサイズに破砕された無機繊維廃棄物と、熱可塑性樹脂とを混合して樹脂含有物を形成することで、表面だけでなく内部にも熱可塑性樹脂が存在した樹脂含有物となる。このため、圧縮成形工程において熱可塑性樹脂が溶融した際に、熱可塑性樹脂による無機繊維同士の結合や熱可塑性樹脂による無機繊維の塊の被覆をより効果的に行うことができる。これにより、処理物からの無機繊維の飛散をより効果的に防止することができると共に、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態をより保持し易い処理物を得ることができる。
前記圧縮成形工程で形成される処理物は、嵩密度が0.6t/m以上であることが好ましい。
斯かる構成によれば、嵩密度が上記の範囲となるように処理物が形成されることで、処理物の移動を効率的に行うことができる。例えば、処理物を気流に反した方向へ移動させる際には、圧縮されていない無機繊維廃棄物よりも嵩密度が高い方が気流の影響を受け難いため、処理物を気流に反した方向へ効率的に移動させることができる。また、圧縮によって単位質量あたりの体積が小さくなるため、圧縮されていない無機繊維廃棄物を移動させる場合よりも効率的な移動を行うことができる。
前記無機繊維材としては、ロックウール及びグラスウールの少なくとも一方が用いられ
ることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、無機繊維廃棄物が処理されてなる処理物から無機繊維材を構成する無機繊維が飛散するのを防止することができると共に、嵩密度が比較的高い状態を保持可能な処理物を形成することができる。
本実施形態に係る無機繊維廃棄物の処理方法を実施するための処理装置の概略を示した断面図。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る無機繊維廃棄物の処理方法は、無機繊維廃棄物を減容して処理する方法である。具体的には、斯かる処理方法は、無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂とを含有する樹脂含有物を圧縮成形して処理物を形成する圧縮成形工程を備える。
無機繊維廃棄物としては、無機繊維材(具体的には、ロックウール又はグラスウールの少なくとも一方)から構成されるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、住宅やオフィスビルなどで断熱材や吸音材等として使用されていた無機繊維材が廃棄されたものが挙げられる。なお、無機繊維廃棄物及び無機繊維材のそれぞれは、樹脂成分を含有するものであってもよい。例えば、無機繊維同士を結合するバインダー樹脂や、樹脂繊維材を包装する樹脂製の包装材等を含むものであってもよい。
ロックウールとしては、例えば、高炉スラグや天然岩石(玄武岩など)等の主原料を1,500℃〜1,600℃で溶融した状態で遠心力で吹き飛ばす等することで繊維状に形成し、形成される無機繊維同士をバインダーで一体としたものが挙げられる。一方、グラスウールとしては、例えば、主原料がガラスであること以外は、ロックウールと同様の方法で形成されるものが挙げられる。
また、無機繊維廃棄物の嵩密度としては、特に限定されるものではなく、例えば、10kg/m以上100kg/m以下であることが好ましい。具体的には、無機繊維材がロックウールである場合には、無機繊維廃棄物の嵩密度は、30kg/m以上100kg/m以下であることが好ましく、30kg/m以上50kg/m以下であることがより好ましい。また、無機繊維材がグラスウールである場合には、無機繊維廃棄物の嵩密度は、10kg/m以上35kg/m以下であることが好ましく、15kg/m以上25kg/m以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、熱可塑性ポリウレタン、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらから一つ以上を選択して使用することができる。また、熱可塑性樹脂としては、溶融温度が300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることが更に好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂を含有する樹脂廃棄物中に含有されるものを用いることができる。つまり、樹脂含有物は、熱可塑性樹脂以外の樹脂が含有されるように構成されてもよい。具体的には、樹脂含有物は、廃棄された熱可塑性樹脂からなる廃プラスチックや、混合廃棄物から金属等の異物を除去することで得られる廃プラスチックから構成されてもよい。
樹脂含有物を形成する方法(樹脂含有物を形成する工程)としては、特に限定されるものではなく、例えば、無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂(例えば、熱可塑性樹脂を含む樹脂廃棄物)とを所定のサイズに破砕した状態で(又は、破砕しつつ)混合する(具体的には、樹脂含有物中に熱可塑性樹脂を略均一に分散させる、又は、無機繊維廃棄物を熱可塑性樹脂で包む)ことで樹脂含有物を形成することができる。熱可塑性樹脂と混合される際の無機繊維廃棄物のサイズとしては、特に限定されるものではなく。例えば、50mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることがより好ましい。また、他の方法としては、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムを用いて無機繊維廃棄物を包み込んだり無機繊維廃棄物と樹脂フィルムとを積層したりすることで樹脂含有物を形成することができる。
樹脂含有物中の熱可塑性樹脂の含有量は、10質量%以上であれば、特に限定されるものではなく、例えば、15質量%以上30質量%以下であることが好ましく、20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。なお、熱可塑性樹脂の含有量は、無機繊維廃棄物が熱可塑性樹脂を含有する場合には、その熱可塑性樹脂を含む含有量となる。
前記圧縮成形工程では、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂を熱溶融しつつ樹脂含有物を圧縮成形する。斯かる圧縮成形工程を実施する装置としては、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂を熱溶融しつつ樹脂含有物を圧縮成形する圧縮成形部を備えた処理装置であれば、特に限定されるものではない。例えば、無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂(具体的には、熱可塑性樹脂を含有する樹脂廃棄物)とが混合されて樹脂含有物が形成される場合には、RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)の製造装置を無機繊維廃棄物の処理装置として用いることができる。
斯かる処理装置としては、例えば、図1に示す処理装置1のように、樹脂含有物が一方向に沿って搬送される内部空間を形成する本体部2を備えるものが挙げられる。本体部2は、樹脂含有物を圧縮成形して処理物を形成する圧縮成形部3と、本体部2の内部空間へ樹脂含有物を供給可能に構成された供給部4とから構成される。
また、本体部2は、一方向に沿って樹脂含有物を搬送する搬送手段2aを備える。該搬送手段2aは、一方向に沿って伸びるスクリュー部材2aから構成される。該スクリュー部材2aは、一方向に沿った軸線を中心に回転可能に構成される。具体的には、スクリュー部材2aは、一方向に沿って伸びる軸部2bと該軸部2bの周囲に螺旋状に形成される羽部2cとから構成され、軸部2bを軸として回転可能に構成される。また、スクリュー部材2aは、本体部2の内部空間に配置される。具体的には、スクリュー部材2aは、一方向の一端部が圧縮成形部3内に配置され、圧縮成形部3内に配置された部分よりも一方向の他端側の部分が供給部4内に配置され、一方向の他端部(図示せず)がスクリュー部材2aを回転させる動力を発生させる動力発生部(図示せず)に連結される。また、スクリュー部材2aは、軸部2bの太さが供給部4側よりも圧縮成形部3側の方が太くなるように形成される。
本体部2における内部空間を形成する内周面とスクリュー部材2aとの間(即ち、スクリュー部材2aの周囲)には、樹脂含有物が一方向に沿って搬送される搬送空間Rが形成される。該搬送空間Rは、供給部4内から圧縮成形部3内に亘って連続的に形成される。また、搬送空間Rは、供給部4内の容積よりも圧縮成形部3内の容積の方が小さくなるように形成される。本実施形態では、スクリュー部材2aの軸部2bの太さが供給部4側よりも圧縮成形部3側の方が太くなるように形成されることで、圧縮成形部3の内周面と軸部2bの太い部分との間隔が供給部4の内周面と軸部2bの細い部分との間隔よりも狭くなる。これによって、搬送空間Rの容積は、供給部4内よりも圧縮成形部3内の方が小さくなるように構成される。
圧縮成形部3は、樹脂含有物が圧縮成形されてなる処理物を排出する排出部2dを備える。該排出部2dは、管状の形状を有し、内側に形成される空間(以下、成形空間とも記す)を圧縮された樹脂含有物が通過することで、成形空間に対応した形状の処理部を形成可能に構成される。また、排出部2dから単位時間に排出される処理物の排出量(本実施形態のように複数の排出部2dを備える場合にはその合計量)は、供給部4から圧縮成形部3へ単位時間あたりに搬送される樹脂含有物の搬送量よりも少なくなるように構成される。なお、供給部4は、スクリュー部材2aを収容する内部空間へ樹脂含有物を投入可能な開口部4aを備える。
上記のように構成された処理装置1を用いて無機繊維廃棄物を処理する際には、まず始めに、スクリュー部材2aを回転させつつ開口部4aから本体部2(供給部4)内に樹脂含有物を供給する。供給される樹脂含有物としては、無機繊維廃棄物と樹脂廃棄物とが破砕されて混合されたものを用いることができる。
本体部2(供給部4)内に供給された樹脂含有物は、スクリュー部材2aの回転によってスクリュー部材2aの一方向の他端側から一端側へ向かって(即ち、供給部4から圧縮成形部3へ向かって)搬送空間R内を搬送される。この際、樹脂含有物は、スクリュー部材2aの作用によって搬送空間Rで更に混合される。
そして、樹脂含有物は、供給部4から圧縮成形部3に搬送されることで圧縮成形される(圧縮成形工程)。具体的には、供給部4よりも圧縮成形部3の方が搬送空間Rの容積が小さくなると共に、排出部2d(本実施形態では、2つの排出部2d,2d)から排出される処理物の排出量が供給部4から圧縮成形部3へ搬送される樹脂含有物の搬送量よりも少ないため、樹脂含有物は、圧縮成形部3における搬送空間R内で圧縮される。
また、圧縮成形部3では、樹脂含有物は、圧縮による発熱によって、又は、圧縮成形部3自体が加熱装置を備える場合には該加熱装置による加熱によって、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が溶融しつつ樹脂含有物が圧縮される。つまり、圧縮成形工程では、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が溶融する程度の温度で樹脂含有物が圧縮される。そして、圧縮された樹脂含有物が排出部2dから排出されることで、排出部2d内の成形空間に対応した形状の処理物が形成される。圧縮時の樹脂含有物の温度としては、例えば、熱可塑性樹脂がポリエチレンである場合には、120℃以上であることが好ましく、150℃程度であることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合には、170℃以上であることが好ましく、200℃程度であることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂がポリスチレン(例えば、発泡スチロール)である場合には、160℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましい。
形成された処理物の嵩密度としては、0.6t/m以上であることが好ましく、0.6t/m以上2t/m以下であることがより好ましく、0.75t/m以上2t/m以下であることがさらに好ましい。また、形成された処理物は、セメント原料として用いることができる。具体的には、斯かる処理物は、プレヒーターや仮焼炉に供給されて予備加熱された後キルン内に供給されることでセメント原料として使用することができる。又は、斯かる処理物を最終処分場へ搬送して埋め立て処分することもできる。
以上のように、本発明に係る無機繊維廃棄物の処理方法によれば、無機繊維廃棄物が処理されてなる処理物から無機繊維材を構成する無機繊維が飛散するのを防止することができると共に、嵩密度が比較的高い状態を保持可能な処理物を形成することができる。
即ち、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂の含有量が上記のような割合であると共に、圧縮成形工程で該樹脂含有物が圧縮成形されることで、得られる処理物から無機繊維材を構成する無機繊維が飛散するのを防止することができると共に、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態を保持可能な処理物を形成することができる。これにより、単位質量当たりの体積が小さくなるため、輸送コストの低減を図ることができる。
具体的には、圧縮成形工程では、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が熱溶融されつつ樹脂含有物が圧縮成形されるため、溶融した熱可塑性樹脂がバインダーとなって無機繊維廃棄物(無機繊維材)を構成する無機繊維同士を結合したり、無機繊維の塊を覆ったりするため、得られる処理物から無機繊維が飛散するのを防止することができる。また、樹脂含有物が圧縮された状態で、無機繊維同士が熱可塑性樹脂によって結合されたり、無機繊維の塊が熱可塑性樹脂によって覆われたりするため、無機繊維同士の間隔が広がることがなく、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態(即ち、圧縮された状態)を保持可能な処理物を得ることができる。
また、所定のサイズに破砕された無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂とを混合して樹脂含有物を形成することで、表面だけでなく内部にも熱可塑性樹脂が存在した樹脂含有物となる。このため、圧縮成形工程において熱可塑性樹脂が溶融した際に、熱可塑性樹脂により無機繊維同士の結合や熱可塑性樹脂による無機繊維の塊の被覆をより効果的に行うことができる。これにより、処理物からの無機繊維の飛散をより効果的に防止することができると共に、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態をより保持し易い処理物を得ることができる。
また、嵩密度が上記の範囲となるように処理物が形成されることで、処理物の移動を効率的に行うことができる。例えば、処理物を気流に反した方向へ移動させる際には、圧縮されていない無機繊維廃棄物よりも嵩密度が高い方が気流の影響を受け難いため、処理物を気流に反した方向へ効率的に移動させることができる。また、圧縮によって単位質量あたりの体積が小さくなるため、圧縮されていない無機繊維廃棄物を移動させる場合よりも効率的な移動を行うことができる。
また、上記の無機繊維廃棄物の処理方法で得られる処理物から構成されるセメント原料は、圧縮されていない無機繊維廃棄物よりも嵩密度が高いものであるため、キルンへ直接的又は間接的に供給する際(例えば、キルンの窯尻へ直接供給する場合、又は、プレヒーターや仮焼炉やライジングダクト等を介してキルンへ間接的に供給する場合)にも気流(例えば、キルンの窯尻や、プレヒーターや仮焼炉やライジングダクト等の内部の気流)の影響を受け難い。このため、処理物から構成されるセメント原料をプレヒーターや仮焼炉を介して効率的にキルンへ供給することができる。また、圧縮によって単位質量あたりの体積が小さくなるため、圧縮されていない無機繊維廃棄物を貯蔵場所に貯蔵する場合よりも専有面積が小さくなり、効率的な貯蔵を行うことができると共に、貯蔵場所からキルンへの供給部分へ搬送する場合にも効率的な搬送を行うことができる。
なお、本発明に係る無機繊維廃棄物の処理方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
上記実施形態では、処理装置1は、スクリュー部材2aを一つ備えているが、これに限定されるものではなく、例えば、二つのスクリュー部材2a,2aが平行するように配置されて二つのスクリュー部材2a,2aによって樹脂含有物が圧縮成形部3へ搬送されるように構成されてもよい。
また、上記実施形態の処理装置1において、本体部2が備える排出部2dの数を任意に増減可能に構成してもよい。これにより、圧縮成形部3における樹脂含有物の圧縮率を任意に調整することが可能となる。具体的には、排出部2dの数を増加させることで、処理物の排出量が増加するため、圧縮成形部3における樹脂含有物の圧縮率を低く調整することが可能となり、逆に、排出部2dの数を減少させることで、処理物の排出量が減少するため、圧縮成形部3における樹脂含有物の圧縮率を高く調整することが可能となる。
以下、実施例および参考例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下
の実施例に限定されるものではない。
=試験1=
<使用材料>
1.無機繊維廃棄物1:ロックウール(断熱用マットとして使用されたものの廃棄物)
2.無機繊維廃棄物2:グラスウール(断熱用マットとして使用されたものの廃棄物)
3.熱可塑性樹脂1:ポリエチレンフィルム(包装用フィルム)
<処理方法>
1. 上記の無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂とをそれぞれ50mm程度の大きさに粉砕し、下記表1の割合で混合することで樹脂含有物を形成した。
2. 得られた樹脂含有物を上記実施形態で説明した処理装置1と同様の装置を用いて圧縮成形する圧縮成形工程を実施して処理物を得た。斯かる処理装置における排出部2d内の成形空間は、φ16mm×長さ61mmとした。なお、圧縮成形工程における樹脂含有物の温度(処理温度)及び処理物の嵩密度等については、下記表1に示す。また、処理物の状態を目視にて確認し、圧縮成形が良好であり且つ無機繊維の飛散が良好に防止されたものを「◎」、「◎」よりも劣るが圧縮成形が十分あり無機繊維の飛散が十分に防止されたものを「○」、圧縮成形が不十分で無機繊維の飛散が生じたものを「×」として評価した。
Figure 0006020978
<まとめ>
各実施例及び参考例を見ると、得られる処理物は、十分に圧縮成形されて無機繊維が飛散しないものであることが認められる。つまり、無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂とから構成される樹脂含有物中の熱可塑性樹脂の含有量が10質量%以上となるように構成し、該樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が溶融する程度の処理温度で樹脂含有物を圧縮成形することで、無機繊維の飛散が防止された処理物を得ることができると共に、圧縮成形前よりも嵩密度が高い状態を十分に保持可能な処理物を得ることができる。特に、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が20質量%以上となることで圧縮成形がより良好であり且つ無機繊維の飛散が良好に防止された処理物を得ることができる。
また、実施例5,6のように無機繊維廃棄物としてグラスウールを用いた場合であっても、十分に圧縮成形されて無機繊維が飛散しない処理物を得ることができると認められる。つまり、本発明の処理方法で処理可能な無機繊維廃棄物としては、ロックウールからなる無機繊維廃棄物だけでなく他の無機繊維材からなる無機繊維廃棄物であってよいことが認められる。
=試験2=
<使用材料>
1.無機繊維廃棄物3:グラスウール(断熱用マットとして使用されたものの廃棄物)
2.熱可塑性樹脂2:ポリエチレンとポリプロピレンの積層フィルム(包装用フィルム)
<処理方法>
1. 上記の無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂とをそれぞれ50mm程度の大きさに粉砕し、下記表1の割合で混合することで樹脂含有物を形成した。
2. 得られた樹脂含有物を上記実施形態で説明した処理装置1と同様の装置を用いて圧縮成形する圧縮成形工程を実施して処理物を得た。斯かる処理装置における排出部2d内の成形空間は、φ25mm×長さ130mmとした。なお、圧縮成形工程における樹脂含有物の温度(処理温度)及び処理物の嵩密度等については、下記表2〜4に示す。また、処理物の状態を目視にて確認し、圧縮成形が良好であり且つ無機繊維の飛散が良好に防止されたものを「◎」、「◎」よりも劣るが圧縮成形が十分あり無機繊維の飛散が十分に防止されたものを「○」、圧縮成形が不十分で無機繊維の飛散が生じたものを「×」として評価した。なお、表2〜4の処理物の質量、体積は、各実施例の樹脂含有物から形成された各処理物の質量や体積を合計したものである。また、斯かる合計の質量、体積を用いて表2〜4の処理物の嵩密度、減容比を算出した。
Figure 0006020978
Figure 0006020978
Figure 0006020978
<まとめ>
上記の表2〜4を見ると、試験1よりも多量(70kg〜110kg程度)の無機繊維廃棄物を処理対象とした場合であっても、得られる処理物は、十分に圧縮成形されて無機繊維が飛散しないものであることが認められる。つまり、無機繊維廃棄物と熱可塑性樹脂とから構成される樹脂含有物中の熱可塑性樹脂の含有量が10質量%以上となるように構成し、該樹脂含有物中の熱可塑性樹脂が溶融する程度の処理温度で樹脂含有物を圧縮成形することで、比較的多量の無機繊維廃棄物を効率的に処理することが可能となる。
1…処理装置、2…本体部、2a…スクリュー部材、2b…軸部、2c…羽部、2d…排出部、3…圧縮成形部、4…供給部、4a…開口部、R…搬送空間

Claims (4)

  1. 無機繊維材から構成される無機繊維廃棄物を処理する無機繊維廃棄物の処理方法であって、
    前記無機繊維廃棄物と、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方を含む熱可塑性樹脂とから構成されると共に熱可塑性樹脂の含有量が10質量%以上30.5質量%以下となるように構成された樹脂含有物を圧縮成形して処理物を形成する圧縮成形工程を備えており、該圧縮成形工程では、樹脂含有物中の熱可塑性樹脂を圧縮による発熱によって熱溶融させつつ樹脂含有物を圧縮成形することを特徴とする無機繊維廃棄物の処理方法。
  2. 前記樹脂含有物は、150mm以下のサイズに破砕された無機繊維廃棄物と、熱可塑性樹脂とが混合されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の無機繊維廃棄物の処理方法。
  3. 前記圧縮成形工程で形成される処理物は、嵩密度が0.6t/m3以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機繊維廃棄物の処理方法。
  4. 前記無機繊維材としては、ロックウール及びグラスウールの少なくとも一方が用いられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の無機繊維廃棄物の処理方法。
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