JP6019495B2 - 車両用ドアの開閉駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のドアをモータの動力をもって開閉移動させるための車両用ドアの開閉駆動装置に関する。
従来、車両用ドアの開閉駆動装置は、駆動ユニットとして、車体に取り付けられる樹脂製のケース(本実施形態における「ハウジング」に相当)を備え、このケースには、駆動源としての電動モータが取り付けられると共に、電動モータの回転を減速するための減速機構を収容する減速機構収容部と、一端がドアに連結されることにより電動モータの動力をドアに伝達するためのケーブルが巻回される駆動用ドラムを回転軸により回転自在に収容する円筒状のドラム収容部と、ケーブルに所定の張力を付与するテンショナー機構を収容するテンショナー収容部とが一体形成されている。さらに、ケースには、テンショナー収容部を閉塞するカバーが取り付けられ、このカバーには、駆動ユニットを車体に取り付けるための固定部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−184879号公報
しかし、特許文献1に記載された車両用ドアの開閉駆動装置においては、駆動ユニットのケースを、減速機構収容部とドラム収容部とテンショナー収容部とを一体形成したものとし、かつ電動モータをケースに取り付けた構造であるため、例えば、駆動ユニットを、ケーブルのレイアウトが異なる他の車種に採用する場合には、ケーブルのレイアウトに見合ったケースを用意しなければならず、ケース全体を変更しなければならない。よって、異なる車種間でのケースの共用化が困難となり、コスト上昇を招くこととなる。
本発明は、上記課題に鑑み、異なる車種間でのハウジングの一部を共用可能にした車両用ドアの開閉駆動装置を提供することを目的とする。
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
ドアをモータの動力により開閉移動させるための車両用ドアの開閉駆動装置において、第1ハウジングに、前記モータと、枢軸により枢支され、前記モータの回転を減速する減速歯車とを組み付けた主動側サブアッセンブリーと、前記第1ハウジングと分離形成される第2ハウジングに、前記枢軸により枢支され、前記減速歯車と共に回転可能な回転ドラムと、前記回転ドラムに巻回されて連結されると共に、前記第2ハウジングから導出した一端が前記ドアに連結されるケーブルとを組み付けた従動側サブアッセンブリーとを備え、前記主動側サブアッセンブリー及び前記従動側サブアッセンブリーは互いに分離構成され、前記従動側サブアッセンブリーを、前記主動側サブアッセンブリーに対して、前記枢軸の軸方向から組付可能とし、前記回転ドラムは、前記第2ハウジングに設けられた円形孔を挿通したボルトが、前記回転ドラムの中心に設けられた中心孔を通って前記枢軸の端面に設けられた雌ねじ孔に螺合して前記枢軸に連結固定されていることを特徴とする。
好ましくは、前記第2ハウジングは、前記従動側サブアッセンブリーを前記主動側サブアッセンブリーに組み付ける際、前記第2ハウジングに組み付けられた前記回転ドラムの前記第2ハウジングからの脱落を阻止可能な保持片を有する。
さらに、好ましくは、前記従動側サブアッセンブリーは、前記第2ハウジングに、さらに前記ケーブルに張力を付与可能なテンショナーを組み付けた状態のものであって、前記第2ハウジングは、前記従動側サブアッセンブリーを前記主動側サブアッセンブリーに組み付ける際、前記第2ハウジングに組み付けられた前記テンショナーの前記第2ハウジングからの脱落を阻止可能な保持片を有する。
本発明によると、従動側サブアッセンブリーと主動側サブアッセンブリーとを分離構成したことによって、例えば、駆動ユニットを、ケーブルのレイアウトが異なる他の車種に適用する場合であっても、ケーブルのレイアウトに対応する構成の従動側サブアッセンブリーを主動側アッセンブリーに選択的に載せ替えるだけで、異なる車種間での第1ハウジング、ひいては主動側サブアッセンブリーの共用化が可能となり、コスト低減を図ることができる。
本発明を適用した車両の側面図である。 本発明に係わる駆動ユニットの外観斜視図である。 同じく駆動ユニットの分解斜視図である。 同じく駆動ユニットの車内側から見た状態の正面図である。 同じく駆動ユニットにおける主動側サブアッセンブリーの車内側から見た状態の正面図である。 同じく駆動ユニットにおける従動側サブアッセンブリーの車外側から見た状態の裏面図である。 同じく主動側サブアッセンブリー及び従動側サブアッセンブリーの斜視図である。 同じく主動側サブアッセンブリー及び従動側サブアッセンブリーの図7と異なる方向から見た斜視図である。 図4におけるIX−IX線断面図である。 主動側サブアッセンブリー及び従動側サブアッセンブリーが互いに分離状態にある図9と同一部位の断面図である。 取付ブラケットを駆動ユニットに取り付けた状態の駆動ユニットの斜視図である。 取付ブラケットを駆動ユニットに取り付ける前の要部の斜視図である。 他の取付ブラケットを駆動ユニットに取り付けた状態の駆動ユニットの斜視図である。 他の取付ブラケットを駆動ユニットに取り付ける前の要部の斜視図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、図1における右方、図4、5における左方を「前方」とし、図1における左方、図4、5における右方を「後方」とし、図1、4、5における上方を「上方」とし、同じく下方を「下方」とし、図1における図面奥側、図4、5における図面手前側を「車内側」とし、図1における図面手前側側、図4、5における図面奥側を「車外側」とする。
図1に示すように、ミニバンまたはワゴンタイプ等の車両のスライドドア1(以下、「ドア」と記す)は、車体2の側面に設けられた前後方向の上、中、下のガイドレール2A、2B、2Cにより前後方向へ開閉可能に支持され、手動操作及び車体2の後部内に搭載される電動式の開閉駆動装置PSDにより、車体2の側面に設けられた乗降口を閉鎖した全閉位置から車体2の外側面より若干外方に移動しつつ車体2の側面に沿って後方へ移動した全開位置及びその逆へ移動可能である。なお、図1以外に示す駆動ユニット3は、左ドア用であって、車体2における左側面のパネル内に配置される。
ドア開閉駆動装置PSDは、車体2に取り付けられる駆動ユニット3と、駆動ユニット3が出力する動力をドア1に伝達するためのボーデンケーブル等により形成される開用ケーブル10及び閉用ケーブル11とを含む。
図2、3に示すように、駆動ユニット3は、車体2に固定される合成樹脂製の第1ハウジング5及び第1ハウジング5と別体で形成される合成樹脂製の第2ハウジング6を含むハウジング4と、正逆回転可能なモータ7と、ハウジング4内に車内外方向を向く枢軸8により回転自在に枢支されモータ7の回転を減速して回転可能な減速ギヤを形成するウォームホイール9と、枢軸8により回転自在に枢支され、開用ケーブル10及び閉用ケーブル11が巻回されて連結される回転ドラム12と、ウォームホイール9と回転ドラム12間の動力伝達経路を断続可能な電磁クラッチ13と、開用ケーブル10及び閉用ケーブル11に対して所定の張力を付与する開、閉用テンショナー14、15を備える。なお、第2ハウジング6は、自体の車外側(図2、3において下側)を閉塞するための合成樹脂製のカバー16を含む。
ハウジング4は、第2ハウジング6を第1ハウジング5に固定した状態において、主に図4に明示されるように、枢軸8の軸線方向から見た正面視において、頂点Aにおける内角θがほぼ270度、すなわち外角がほぼ直角の角度で、頂点Aを端点に持つ二つの辺B、Cのうち辺Bに連続してほぼ直角な辺Dと、辺Bに対向して平行で、かつ辺Dに連続して直角な辺Eと、頂点Aを端点に持つ二つの辺B、Cのうち辺Cに連続して直角な辺Fと、辺Cに対向して平行で、かつ辺Fに連続して直角な辺Gと、辺Eの端点と辺Gの端点との間にあって、辺E及び辺Gに対して内角がほぼ135度となる辺Hとを有し、全体の外観外形がほぼL字型(多角形形状)に形成される。
なお、第1ハウジング5は、図5に示すように、頂点A、内角θ及び辺B〜Hを有する形状、すなわち正面視においてハウジング4の外形とほぼ同一形状であるのに対し、第2ハウジング6は、図6に示すように、前下部(図4において左下部、図6において右下部)が上方へ湾曲した形状であるため、頂点A、内角θ及び辺B〜Fを有するが、辺G、Hを有しない形状である。よって、第1、2ハウジング5、6の頂点A、内角θ及び各辺B〜Fを、ハウジング4の頂点A、内角θ及び辺B〜Fと同意語とし、第1ハウジング5の辺G、Hを、ハウジング4の辺G、Hと同意語とする。
第1ハウジング5は、駆動ユニット3を車体2の被取付部に取り付けた状態で垂直方向の面を有する基部51と、基部51のほぼ中央部にあって枢軸8が貫通する円形孔52と、基部51における円形孔52の周辺にあって電磁クラッチ13の端部が若干埋設可能な円形凹部53と、自体の外形部分にあって外方へ突出した複数(3個)のハウジング用取付部54とを一体形成する。
各ハウジング取付部54は、車体2の被取付部に車外方向を向く取付用ボルト27により直接固定可能である。また、駆動ユニット3を他の車種に取り付ける場合には、各ハウジング取付部54には、他の車種の車体の被取付部に対応する固定部283を形成した図11、12に示すような取付ブラケット28または図13、14に示すような固定部293を形成した他の取付ブラケット29が取付用ボルト27により選択的に固定される。これにより、駆動ユニット3を取り付ける車種の被取付部に応じて、ハウジング4の各ハウジング取付部54を車体2の被取付部に直接固定するか、取付ブラケット28または29のいずれかを第1ハウジング5の各ハウジング取付部54に選択的に固定することによって、異なる車種間においてハウジング4の特に第1ハウジング5、ひいては駆動ユニット3の共用化が可能となる。なお、各取付ブラケット28を各ハウジング取付部54に固定した場合には、取付ブラケット28の固定部283をボルト(図示略)により被取付部に固定し、また、他の取付ブラケット29をハウジング取付部54に固定した場合には、他の取付ブラケット29の固定部293をボルト(図示略)により被取付部に固定する。
好ましくは、各ハウジング取付部54には、取付用ボルト27及び取付ブラケット28、29の固定部283、293を被取付部に固定するためのボルト(図示略)が、螺合可能な雌ねじ孔241を有するナット24がインサート成形される。
さらに、第1ハウジング5における各ハウジング取付部54の近傍には、雌ねじ孔241の開口方向と同一方向へ向けて陥没し、取付ブラケット28、29に折曲形成された図12、14に示す折曲片281、291が差し込み可能なスリット形状の嵌合溝55がそれぞれ設けられる。さらに、嵌合溝55の奥側には、各折曲片281、291に形成した開口部282、292が各折曲片281、291の抜け方向に係合可能な爪部58が形成される。これにより、各ブラケット28、29を必要に応じて、各ハウジング取付部54に取付用ボルト27と共に強固に固定することができる。
図4、5に示すように、モータ7は、そのアーマチュアの軸線方向Oが辺B及び開用ケーブル10の軸線方向、すなわち導出方向X1に対して直角で、かつ辺C及び閉用ケーブル11の軸線方向、すなわち導出方向X2に対して平行になるように、第1ハウジング5の辺Bを形成する取付面に固定される。これにより、モータ7をハウジング4に取り付けた形態において、モータ7の一部、具体的には50パーセント以上の範囲は、正面視において、辺B及びCと、辺Dを延長した延長線D1と、辺Fを延長した延長線F1とで囲まれる矩形範囲内に収まる。この結果、モータ7がハウジング4の辺D、Fから外方へ大きく突出しない形状、すなわち正面視において全体的にほぼ矩形となるため、駆動ユニット3の車体2に対する取付占有面積を最小限として、車体2に取り付けられる他の部品のレイアウトに対して悪影響を与えることを抑止し、また駆動ユニット3の輸送時には、駆動ユニット3が嵩張らない形態で効率的に搬送することができる。好ましくは、モータ7は、少なくともアーマチュアの軸方向Oの端部が、ハウジング取付部54の外端に接する線で、かつ延長線F1に平行な線F2よりも外方へ突出しないようにする。さらに、好ましくは、モータ7の軸方向の寸法を短縮するか、または辺B、Cを若干延長することで、モータ7の全体を前記矩形範囲内に収まるようにする。
第1ハウジング5の基部51とカバー16間の収容空間には、枢軸8により回転可能に枢支されるウォームホイール9と、枢軸8と一体的に回転可能に枢支される回転板18と、第1ハウジング5に固定されるウォームホイールカバー19と、第1ハウジング5に固定されて各種プリント配線が施された電装基板17とが設けられる。
ウォームホイール9は、モータ7の回転軸に止着されたウォーム(図示略)に噛合し、モータ7の動力により回転する。回転ドラム12の回転は、電装基板17の実装面に実装された回転検出センサ171が枢軸8を介して回転ドラム12と一体的に回転可能な回転板18の回転を検出することで検出される。回転板18の回転を検出した回転検出センサ171の検出信号は、電装基板17に実装されるコネクタ172に各種信号を送信可能な各種電線を接続することで、車体2の適所に設けられる制御回路装置(図示略)に送信される。制御回路装置は、検出信号に基づいて、ドア1の移動方向及び位置を演算する。なお、コネクタ172には、モータ7及び電磁クラッチ13に電力を供給するための電源線も接続される。
第1ハウジング5における基部51の第2ハウジング6に対向する側の面には、電磁クラッチ13が配置される。電磁クラッチ13は、回転ドラム12の内側に収容されると共に、電磁コイルが組み込まれて基部51に固定される磁性体からなるほぼ円筒状のフィールドコア20と、フィールドコア20の中央部を貫通する枢軸8により回転可能に枢支されフィールドコア20の外周に遊嵌されるロータ21と、ロータ21の摩擦面に対向して枢軸8に軸方向へ僅かに摺動し得るように遊嵌されるアーマチュア22とを備える。
フィールドコア20は、第1ハウジング5の円形凹部53に固定される。ロータ21は、磁性体から形成され、フィールドコア20の外周を覆うと共に、摩擦面(図9、10において上面)に対して反対側へ向けて突出し、枢軸8に回転自在に外嵌される軸受筒部211を有している。軸受筒部211は、枢軸8と共にフィールドコア20の中心及び第1ハウジング5の円形孔52を貫通し、その端部がウォームホイール9の中心に形成された中心孔91に嵌合する。これにより、ウォームホイール9及びロータ21は、枢軸8を中心に互いに一体的に回転する。
アーマチュア22は、回転ドラム12の内側に枢軸8の軸方向へ僅かに移動可能に遊嵌されると共に、回転ドラム12と一体的に回転し得るように、外周に形成された複数の係合凸部221が回転ドラム12の内周面に形成された複数の係合凹部121に対してそれぞれ回転方向に係合する。
枢軸8の軸方向におけるロータ21とアーマチュア22間には、ウェーブワッシャ25が介在されている。このウェーブワッシャ25は、ロータ21の回転面に凹設された環状溝222に設置され、アーマチュア22の摩擦面がロータ21の摩擦面から離れる方向へ付勢する。
枢軸8は、第1ハウジング5に設けられるボールベアリング31、及び第2ハウジング6に設けられるボールベアリング32によりハウジング4内に回転可能に枢支されると共に、車内側を向く端面には、雌ねじ孔81が設けられ、同じく端部には、鍔部82が設けられ、また、車外側寄りの端部には、Eワッシャー33が嵌合される環状溝83が設けられる。これにより、主に図9、10に示されるように、ウォームホイール9及び電磁クラッチ13は、枢軸8における鍔部82と環状溝83に嵌合されたEワッシャー33との間に挟み込まれて支持される。
電磁クラッチ13への非通電時、すなわち切断状態においては、モータ7の動力によりウォームホイール9が回転しても、ロータ21とアーマチュア22とが互いに切断されているため、モータ7の動力は、回転ドラム12に伝達されない。また、電磁クラッチ13の通電時、すなわち接続状態においては、アーマチュア22がロータ21の摩擦面に磁力により吸着されて、ロータ21とアーマチュア22とが互いに接続されるため、モータ7の動力は、ウォームホイール9、ロータ21、アーマチュア22を介して、回転ドラム12に伝達される。
なお、以下に使用する「主動側サブアッセンブリ−」とは、モータ7、枢軸8、ウォームホイール9、電磁クラッチ13及び電装基板17を第1ハウジング5に組み付けた状態と定義し、「従動側サブアッセンブリー」とは、回転ドラム12、各テンショナー14、15及び各ケーブル10、11を第2ハウジング6に組み付けた状態と定義する。なお、電磁クラッチ13、電装基板17及び各テンショナー14、15は、車種に対応させるため必要に応じて省略される場合もある。
第2ハウジング6は、第1ハウジング5の各嵌合溝55の近傍及び他の1カ所にボルト23により固定されると共に、回転ドラム12を回転可能に収容するための有底円筒状のドラム収容部61と、開、閉テンショナー14、15を収容するためのテンショナー収容部62、63とを一体形成する。
回転ドラム12は、ドラム収容部61内に枢軸8により回転自在に枢支されると共に、枢軸8における鍔部82と端面に設けられた雌ねじ孔81に螺合するボルト26との間に締結固定される。なお、ボルト26は、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付けた後、第2ハウジング6のほぼ中央部に設けられた円形孔69から回転ドラム12の中心に設けられた中心孔123を通して枢軸8の雌ねじ孔81に螺合される。また、回転ドラム12の外周面には、各ケーブル10、11のインナーケーブル102、112が巻回される螺旋溝122が形成される。
上述のように、回転ドラム12がハウジング4内に回転可能に枢支されることによって、電磁クラッチ13が接続状態の場合、モータ7の動力は、ウォームホイール9、ロータ21及びアーマチュア22を介して回転ドラム12に伝達され、回転ドラム12は、枢軸8と共に回転する。
第2ハウジング6には、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付ける際の最終組立て行程において、ドラム収容部61内に組み付けられた回転ドラム12がドラム収容部61から脱落しないように、回転ドラム12をドラム収容部61内に仮保持するための2個の外側に弾性変形可能な保持片64と、各テンショナー収容部62、63内に組み付けられた各テンショナー14、15が各テンショナー収容部62、63から脱落しないように、各テンショナー14、15を各テンショナー収容部62、63内に仮保持するための保持片65、66と、回転ドラム12に巻回された各ケーブル10、11を第2ハウジング6外へ導出させるためのケーブル導出部67、68とが形成される。なお、各保持片64は、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付けた状態においては、回転ドラム12に対して接触しない。
各ケーブル導出部67、68は、第2ハウジング6の辺C、Bを形成する面にそれぞれ設けられる。よって、開用ケーブル10は、ハウジング4の辺C及びモータ7の軸線方向Oに対して直角で、辺Bに対して平行である導出方向X1へ向けて導出し、かつモータ7に対して交差する。閉用ケーブル11は、ハウジング4の辺Bに対して直角で、辺C及びモータ7の軸線方向Oに対して平行である導出方向X2へ向けて導出する。また、開用ケーブル10及び閉用ケーブル11は、モータ7の真横、換言するとハウジングの辺Dの延長線D1及びF1よりも内側で互い交差する。
開用テンショナー14は、第2ハウジング6のテンショナー収容部62内に辺Cに対して直角方向、換言すると開用ケーブル10の導出方向X1と平行方向へ摺動自在に保持されるコ字状のスライド部材141と、スライド部材141に車内外方向、すなわち枢軸8と平行な軸部142aにより枢支されるテンションプーリー142と、スライド部材141を介してテンションプーリー142に対して辺Cから離れる方向への付勢力を付与するコイルスプリング143とを有する。
第2ハウジング6におけるテンショナー収容部62に形成された各保持片65は、テンションプーリ142に当接することで、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付ける際、開用テンショナー14がテンショナー収容部62から脱落しないように仮保持する。スライド部材141は、自体の車内側を向く面に突設された突部141aが第2ハウジング6に形成された長孔621に摺動自在に係合すると共に、車外側を向く面に突設された突部141bが第1ハウジング5に形成された長溝56に摺動自在に係合することによって、第1ハウジング5と第2ハウジング6間に摺動自在に支持される。なお、各保持片65は、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付けた状態においては、テンションプーリー142に対して接触しない。
閉用テンショナー15は、第2ハウジング6のテンショナー収容部63内に辺Bに対して直角方向、換言すると閉用ケーブル11の導出方向X2と平行方向へ摺動自在に保持されるコ字状のスライド部材151と、スライド部材151に車内外方向、すなわち枢軸8と平行な軸部152aにより枢支されるテンションプーリー152と、スライド部材151を介してテンションプーリー152に対して辺Bから離れる方向への付勢力を付与するコイルスプリング153とを有する。
第2ハウジング6におけるテンショナー収容部63に形成された各保持片66は、テンションプーリ152に当接することで、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付ける際、閉用テンショナー15がテンショナー収容部63から脱落しないように仮保持する。スライド部材151は、自体の車内側を向く面に突設された突部151aが第2ハウジング6に形成された長孔622に摺動自在に係合すると共に、車外側を向く面に突設された突部151bが第1ハウジング5に形成された長溝57に摺動自在に係合することによって、第1ハウジング5と第2ハウジング6間に摺動自在に支持される。なお、各保持片66は、従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み付けた状態においては、テンションプーリー152に対して接触しない。
開用ケーブル10は、アウターチューブ101の端部が第2ハウジング6のケーブル導出部67に固定されると共に、アウターチューブ101内に軸線方向X1へ摺動自在に挿通されたインナーケーブル102がテンションプーリー142に掛け回した状態で回転ドラム12の螺旋溝122に巻回されて連結される。開用ケーブル11は、アウターチューブ111の端部が第2ハウジング6のケーブル導出部68に固定されると共に、アウターチューブ111内に軸線方向X2へ摺動自在に挿通されたインナーケーブル112がテンションプーリー152に掛け回した状態で回転ドラム12の螺旋溝122に巻回されて連結される。
第2ハウジング6から導出される各ケーブル10、11の各インナーケーブル102、112は、ガイドレール2Bの前端及び後端に設けられたガイド部材(図示略)にそれぞれ掛け回されて、ガイドレール2Bの長手方向に沿って配索されて端部がスライドドア1に連結される。
電磁クラッチ13の接続状態において、モータ7の動力により回転ドラム12が回転した場合には、開用ケーブル10または閉用ケーブル11のインナーケーブル101または112のいずれか一方が回転ドラム12の螺旋溝122に巻き込まれ、他方が送り出されることで、ドア1を開方向または閉方向へ移動させることができる。また、電磁クラッチ13の非通電時、すなわち電磁クラッチ13の切断状態においては、ロータ21とアーマチュア22との間が切断されるため、ウォームホイール9及びモータ7を逆転させることなく、ドア1を手動操作で開閉することができる。
次に、駆動ユニット3の組付要領について説明する。
先ず、図7、8、10に示すように、回転ドラム12、開用テンショナー14及び閉用テンショナー15を第2ハウジング6に組み付け、さらに、開用ケーブル10、閉用ケーブル11の各アウターチューブ101、111を第2ハウジング6の各ケーブル導出部67、68に固定すると共に、各インナーケーブル102、112を回転ドラム12の螺旋溝122に巻き付けて連結することによって、従動側サブアッセンブリーを完成させ、また、モータ7、枢軸8、ウォームホイール9、電磁クラッチ13、電装基板17及び回転板18を第1ハウジング5に組み付けることによって、主動側サブアッセンブリーを完成させる。
次に、最終組立て行程において、従動側サブアッセンブリーを、枢軸8の軸線方向から回転ドラム12が電磁クラッチ13に被さるようにして主動側サブアッセンブリーに載せて、第2ハウジング6を複数のボルト23により第1ハウジング5に固定すると共に、第2ハウジング6の円形孔69から覗いた枢軸8の雌ねじ孔81にボルト26を螺合して、回転ドラム12を枢軸8に連結することで、主動側サブアッセンブリーと従動側サブアッセンブリーとを互いに結合して、駆動ユニット3の組立ては完成する。
最終組立て行程を行う際、第2ハウジング6に組み付けられた回転ドラム12及び各テンショナー14、15は、保持片64及び65、66により仮保持されて第2ハウジング6から脱落したり外れたりする虞がないため、従動側サブアッセンブリーを摺動側サブアッセンブリーに効率的に結合することができる。
以上により、本実施形態においては、回転ドラム12、各テンショナー14、15及び各ケーブル10、11を第2ハウジング6に組み付けた従動側サブアッセンブリーと、モータ7、枢軸8、ウォームホイール9及び電磁クラッチ13を第1ハウジング5に組み付けた主動側サブアッセンブリーとを分離構成したことによって、例えば、異なる車種間で各ケーブル10、11のレイアウトがそれぞれ異なるタイプの摺動側サブアッセンブリーを選択的に主動側アッセンブリーに組み替え可能となるため、車種に対応する形態の従動側サブアッセンブリーを主動側サブアッセンブリーに組み替えるだけで、異なる車種間で、主動側サブアッセンブリーの共用化が可能となり、コスト低減を図ることができる。
さらには、ハウジング4を、枢軸8の軸線方向から見た正面視において、少なくとも1つの頂点Aにおける外角がほぼ直角であるほぼL字型の多角形状とし、さらにモータ7を、そのアーマチュアの軸方向がハウジング4の頂点Aを端点に持つ二つの辺B、Cのうち辺Bに対して直角となるように、ハウジング4に取り付けたことによって、主に図4に明示されるように、正面視において、駆動ユニット3の外観形状は、矩形状にすることが可能となる。このように、駆動ユニット3の外観形状をほぼ矩形状とすることで、駆動ユニット3の取付占有面積の省スペース化、及び駆動ユニット3の効率的な輸送を可能にする。
さらには、各ハウジング取付部54を、車体2の被取付部に取付用ボルト27により直接固定可能であり、また駆動ユニット3を他の車種に搭載する場合には、各ハウジング取付部54に取付ブラケット28または29を選択的に固定可能であるため、駆動ユニット3が搭載される車種の被取付部に応じて、ハウジング4を被取付部に直接固定するか、取付ブラケット29または30を選択的に固定することによって、異なる車種間においてハウジング4における第1ハウジング5の共用化を可能にする。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(1)駆動ユニット3をドア1の被取付部に取り付ける。
(2)モータ7をハウジング4の辺Cに対向するように取り付ける。
(3)開用ケーブル10を、正面視において、ハウジング4の辺Bからモータ7の軸線方向Oに対して平行方向へ導出させ、閉用ケーブル11を、正面において、ハウジング4の辺Cからモータ7の軸線方向に対して直角方向へ導出させる。
(4)ドア1を、スライドドアに代えて、スイング式のドア、または車体の後部に設けられるバックドアとする。
PSD ドア開閉駆動装置
1 スライドドア
2 車体
2A、2B、2C ガイドレール
3 駆動ユニット
4 ハウジング
5 第1ハウジング
6 第2ハウジング
7 モータ
8 枢軸
9 ウォームホイール(減速ギヤ)
10 開用ケーブル
11 閉用ケーブル
12 回転ドラム
13 電磁クラッチ
14 開用テンショナー
15 閉用テンショナー
16 カバー
17 電装基板
18 回転板
19 ウォームホイールカバー
20 フィールドコア
21 ロータ
22 アーマチュア
23 ボルト
24 ナット
25 ウェーブワッシャ
26 ボルト
27 取付用ボルト
28、29 取付ブラケット
31、32 ボールベアリング
33 Eワッシャー
51 基部
52 円形孔
53 円形凹部
54 ハウジング取付部
55 嵌合溝
56、57 長溝
58 爪部
61 ドラム収容部
62、63 テンショナー収容部
64 保持片
65、66 保持片
67、68 ケーブル導出部
69 円形孔
81 雌ねじ孔
82 鍔部
83 環状溝
91 中心孔
101 アウターチューブ
102 インナーケーブル
111 アウターチューブ
112 インナーケーブル
121 係合凹部
122 螺旋溝
123 中心孔
141 スライド部材
141a、141b 突部
142 テンションプーリー
142a 軸部
143 コイルスプリング
151 スライド部材
151a、151b 突部
152 テンションプーリー
152a 軸部
153 コイルスプリング
171 回転検出センサ
172 コネクタ
211 軸受筒部
222 環状溝
221 係合凸部
241 雌ねじ孔
281、291 折曲片
282、292 開口部
621、622 長孔

Claims (3)

  1. ドアをモータの動力により開閉移動させるための車両用ドアの開閉駆動装置において、
    第1ハウジングに、前記モータと、枢軸により枢支され、前記モータの回転を減速する減速歯車とを組み付けた主動側サブアッセンブリーと、
    前記第1ハウジングと分離形成される第2ハウジングに、前記枢軸により枢支され、前記減速歯車と共に回転可能な回転ドラムと、前記回転ドラムに巻回されて連結されると共に、前記第2ハウジングから導出した一端が前記ドアに連結されるケーブルとを組み付けた従動側サブアッセンブリーとを備え、
    前記主動側サブアッセンブリー及び前記従動側サブアッセンブリーは互いに分離構成され、前記従動側サブアッセンブリーを、前記主動側サブアッセンブリーに対して、前記枢軸の軸方向から組付可能とし
    前記回転ドラムは、前記第2ハウジングに設けられた円形孔を挿通したボルトが、前記回転ドラムの中心に設けられた中心孔を通って前記枢軸の端面に設けられた雌ねじ孔に螺合して前記枢軸に連結固定されていることを特徴とする車両用ドアの開閉駆動装置。
  2. 前記第2ハウジングは、前記従動側サブアッセンブリーを前記主動側サブアッセンブリーに組み付ける際、前記第2ハウジングに組み付けられた前記回転ドラムの前記第2ハウジングからの脱落を阻止可能な保持片を有することを特徴とする請求項1記載の車両用ドアの開閉駆動装置。
  3. 前記従動側サブアッセンブリーは、前記第2ハウジングに、さらに前記ケーブルに張力を付与可能なテンショナーを組み付けた状態のものであって、
    前記第2ハウジングは、前記従動側サブアッセンブリーを前記主動側サブアッセンブリーに組み付ける際、前記第2ハウジングに組み付けられた前記テンショナーの前記第2ハウジングからの脱落を阻止可能な保持片を有することを特徴とする請求項1または2記載の車両用ドアの開閉駆動装置。
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