JP6018951B2 - ゴム組成物、インナーライナー素材、及び、空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物、インナーライナー素材、及び、空気入りタイヤに関する。
層状化合物を含むゴム組成物は、該層状化合物を構成する各層(アスペクト比の高いナノシート)を剥離させ、ゴム組成物中に分散させることで、材料物性が向上することが知られている。しかしながら、一般的に層状化合物において、層間の電荷による引力で各層が剥離し難く、該層のゴム組成物中での分散性が悪いという問題があった。このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、正電荷を有する基を備える液状ゴムと層状ケイ酸塩との複合体(層状ケイ酸塩が液状ゴム中に分散している)と固体状ゴムを含むゴム組成物が記載されており、該ゴム組成物は機械的特性、耐油性、耐疲労性および加工性に優れている旨報告されている。しかしながら、特許文献1に記載された、正電荷を有する基としてオニウムイオンを導入した液状ゴムの調製は必ずしも容易なものではなかった。また、該技術を使用しても、層状化合物の各層間の膨潤、ひいては層状化合物の各層間の剥離が不十分な場合があり、期待される材料物性を得ることは容易ではなかった。
特開平1−198645号公報
本発明は、このような状況下でなされたものであり、ゴム組成物中の層状化合物を構成する各層の剥離性を改良することで、優れたガスバリア性を有するゴム組成物、優れたガスバリア性を有するインナーライナーの材料となるインナーライナー素材、及び、優れた充填気体保持性を有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、以下の通りである。
即ち、本発明のゴム組成物は、層状化合物と、前記層状化合物と相互作用する官能基を有する変性ブチル系ゴムとを含み、
前記変性ブチル系ゴムは、イソブチレン単位とp−メチルスチレン単位とを含み、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が、窒素含有官能基を含む基に置換された構造を有し、
前記窒素含有官能基を含む基が、下記式(1)で表される基、
Figure 0006018951
(式(1)中、R はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキレン基、R はそれぞれ独立してニトリル基又は置換もしくは非置換のアミノ基を示す)
下記式(2)で表される基、
Figure 0006018951
(式(2)中、R は炭素数1〜8のアルキレン基、R はそれぞれ独立して水素原子又は保護基を示す)、
下記式(3)で表される基、
Figure 0006018951
(式(3)中、R は炭素数1〜8のアルキレン基、R は水素原子又はトリアルコキシシリル基を示す)
及び、非置換のアミノ基、からなる群から選択される少なくとも1種である。この構成により、優れたガスバリア性を有するゴム組成物を得ることができる。
前記相互作用は、水素結合であることが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
前記層状化合物は、カオリン鉱物、サーペンティン、パイロフィライト‐タルク、雲母、クロライト、スメクタイト、バーミキュライトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
前記層状化合物は、モンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
前記層状化合物は、雲母及び/又はモンモリロナイトであることが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
前記層状化合物は、有機化処理剤により有機化されていることが好ましい。この構成により、層状化合物と変性ブチル系ゴムの相溶性を高めることができ、また、層状化合物の層間距離を広げることができ、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
前記有機化処理剤は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1種のオニウムカチオンを含むことが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
前記有機化処理剤は、下記式(4)で示される構造を有する4級アンモニウムカチオン、
Figure 0006018951
又は、下記式(5)で示される構造を有する4級ホスホニウムカチオン、
Figure 0006018951
(式(4)及び(5)中、R〜R10はそれぞれ独立してベンジル基、炭素数1〜30のアルキル基、(CHCH(CH)O)H基、または、(CHCHO)H基を示し、nは1〜50の整数を示す)の少なくとも一方を含むことが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
本発明のゴム組成物は、前記変性ブチル系ゴム100質量部に対し前記層状化合物を1〜200質量部含むことが好ましい。この構成により、ゴム組成物のガスバリア性をさらに優れたものとすることができる。
本発明のインナーライナー素材は、前記ゴム組成物からなることを特徴とする。該インナーライナー素材は、優れたガスバリア性を有するインナーライナーの材料となる。
本発明の空気入りタイヤは、前記インナーライナー素材を用いたインナーライナーを具えることを特徴とする。該空気入りタイヤは、優れた充填気体保持性を有する。
本発明によれは、優れたガスバリア性を有するゴム組成物、優れたガスバリア性を有するインナーライナーの材料となるインナーライナー素材、及び、優れた充填気体保持性を備える空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明についてその実施形態を例示して具体的に説明する。
本発明のゴム組成物は、層状化合物と、前記層状化合物と相互作用する官能基を有する変性ブチル系ゴムとを含む。
<層状化合物>
本発明において層状化合物としては、層状粘土鉱物、層状ポリケイ酸塩、リン酸ジルコニウムが挙げられる。
層状粘土鉱物としては、例えば、カオリン鉱物、サーペンティン、パイロフィライト‐タルク、雲母、クロライト、スメクタイト、バーミキュライト等を挙げることができる。
カオリン鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等を挙げることができる。
サーペンティンとしては、例えば、クリソタイル、リザーダイト、アンチゴライト等を挙げることができる。
パイロフィライト‐タルクとしては、例えば、パイロフィライト、タルク、ケロライト、ウィレムスアイト、ビメライト、ミネソタアイト等を挙げることができる。
雲母は、完全な基底劈開により特徴付けられる斜晶系層状ケイ酸塩であり、その一般化学組成は、以下の式、
XY2〜310(OH、F)
(上記式中、XはBa、Ca、(HO)、K、Na、(NH)のいずれかを、YはAl、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Li、Mg、Mn2+、V3+のいずれかを、ZはAl、Be、Fe、Siのいずれかを表す)で表される。雲母は天然のものでも合成されたものでもよい。雲母には白雲母、金雲母、黒雲母、フッ素金雲母等がある。
クロライトとしては、例えば、クリノクロア(Mgクロライト)、FeMgクロライト、シャモサイト(Feクロライト)、ニマイト、ベナンタイト、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト等を挙げることができる。
スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サボナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等を挙げることができる。スメクタイトとは、以下の式、
〔Si(MgLi)O20OH4−c−xNa+x
(上記式中、0<a≦6,0<b≦6,4<a+b<8,0≦c<4,X=12−2a−bを表す)で表される物質を含む粘土鉱物である。この粘土鉱物は、天然品でも合成品でもよく、親油化処理されたものでもよい。
層状ポリケイ酸塩としては、例えば、マガディアイト、カネマイト、ケニアイト等を挙げることができる。
これら層状化合物の中でも、2対1型構造をとるモンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイトが好ましい。2対1型構造を有するこれらの層状化合物は、層間に交換可能な陽イオンを持っているため、層状化合物の各層の剥離性をより向上させることができ、その結果、本発明のゴム組成物のガスバリア性をさらに向上させることができる。また、これらの中でも、層状化合物の各層の剥離性の観点から、モンモリロナイト、雲母がより好ましい。
本発明において、層状化合物は有機化処理剤により有機化されていることが好ましい。層状化合物が有機化されていることにより、層状化合物のゴム成分との相溶性を高めることができる。また、層状化合物が有機化されていることにより、層状化合物の層間距離を広げることができ、後述する変性ブチル系ゴムの層間への侵入を容易とすることができる。ここで、有機化処理剤としては、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1種のオニウムカチオンを含むものが好ましい。具体的には、有機化処理剤としては、それらのカチオンを含む塩であることが好ましい。
本発明において、有機化処理剤は、下記式(4)で示される構造を有する4級アンモニウムカチオン、又は、下記式(5)で示される構造を有する4級ホスホニウムカチオンを含むものが、上述した有機化処理剤の効果の観点から特に好ましい。
Figure 0006018951
Figure 0006018951
式(4)及び(5)中、R〜R10はそれぞれ独立してベンジル基、炭素数1〜30のアルキル基、(CHCH(CH)O)H基、または、(CHCHO)H基を示し、nは1〜50の整数を示す
式(1)の4級アンモニウムカチオンを含む4級アンモニウム塩として、例えば、ポリオキシプロピレン・トリアルキルアンモニウムクロリド、ポリオキシプロピレン・トリアルキルアンモニウムブロミド、ジ(ポリオキシプロピレン)・ジアルキルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシプロピレン)・ジアルキルアンモニウムブロミド、トリ(ポリオキシプロピレン)・アルキルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)・アルキルアンモニウムブロミド等を挙げることができる。
式(2)の4級ホスホニウムカチオンを含む4級ホスホニウム塩として、例えば、アリールトリ-n-ブチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリ-n-ブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウムクロリド、ドデシルトリ-n-ブチルホスホニウムブロミド、ドデシルトリ-n-ブチルホスホニウムクロリド、エチルトリ-n-オクチルホスホニウムブロミド、ヘキサデシルトリ-n-ブチルホスホニウムブロミド、ヘキサデシルトリ-n-ブチルホスホニウムクロリド、ヘキサデシルトリ-n-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレイト、メチルトリ-n-ブチルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムクロリド、n-オクチルトリ-n-ブチルホスホニウムブロミド等を挙げることができる。
層状化合物を有機化処理剤で有機化する場合、該層状化合物としては、例えば上記4級アンモニウムカチオンが層状化合物の層間に浸入し易いように、有機溶剤に対して膨潤性のあるものを用いることが好ましい。このような膨潤性の層状化合物を使用することにより上記4級アンモニウムカチオンの層間への浸入がより容易となり、結果としてゴム組成物中の層状化合物を構成する各層の剥離性をさらに改良することができる。かかる観点からは、上記層状化合物の中でも、平均粒径が大きい雲母、特に膨潤性雲母を用いることが好ましい。雲母の平均粒径としては、特に限定されないが、3〜30μmのものが好ましい。
層状化合物の有機化は、例えば、オニウムカチオンを含む水溶液中に層状化合物を浸漬した後、水洗して、過剰なオニウムカチオンを除去することにより得られる。有機化された層状化合物中の上記オニウムカチオンの含有量は、特に限定されないが20〜60質量%が好ましい。
さらに、これらの層状化合物としては、有機化の有無を問わず層状化合物の各層の間の距離(以下、層間距離という)が12Å以上であることが好ましい。12Å以上であることで、後述する変性ブチル系ゴムの層間への侵入を容易とすることができる。なお、層状化合物の層間距離は、特に限定されないが、通常40Å以下である。層状化合物の層間距離はX線回折により測定することができる。
本発明のゴム組成物中において、これらの層状化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。層状化合物の含有量は、後述する変性ブチル系ゴム100質量部に対し、1〜200質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましく、3〜80質量部が特に好ましい。層状化合物の含有量が、該変性ブチル系ゴム100質量部に対し、1質量部以上であることで本発明の効果を十分に得ることができ、200質量部以下であることでゴム組成物の加工性が良好である。なお、本発明において、層状化合物が有機化されている場合は、層状化合物の含有量は、有機化後の層状化合物の含有量をいう。
<変性ブチル系ゴム>
本発明における変性ブチル系ゴムは、変性剤を使用した反応によって上記層状化合物と相互作用する官能基が導入されたブチル系ゴムをいう。また、本発明においてブチル系ゴムとは、イソブチレン単位を含む共重合体をいう。該ブチル系ゴムは、イソブチレン単位以外の他の繰り返し単位を有する。該他の繰り返し単位としては、特に限定されないが、イソプレン単位、芳香族ビニル化合物単位等が挙げられる。該芳香族ビニル化合物単位としては、スチレン単位、p−メチルスチレン単位、o−メチルスチレン単位、m−メチルスチレン単位等が挙げられる。該ブチル系ゴムは、これらのイソブチレン単位以外の繰り返し単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。これらの中でも、変性ブチル系ゴムの製造の容易性の観点から、芳香族ビニル化合物単位を含むことが好ましく、p−メチルスチレン単位、o−メチルスチレン単位、m−メチルスチレン単位の少なくともいずれか1つを含むことがより好ましく、p−メチルスチレン単位を含むことが特に好ましい。また、該ブチル系ゴムとしては、繰り返し単位としてイソブチレン単位と芳香族ビニル化合物単位のみを含む共重合体(イソブチレン―芳香族ビニル化合物共重合体)が好ましく、繰り返し単位としてイソブチレン単位とp−メチルスチレン単位のみを含む共重合体(イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体)が特に好ましい。
本発明におけるブチル系ゴム中のイソブチレン単位の結合量は、70.0〜99.4mol%が好ましく、90〜99.4mol%がより好ましい。共重合体中のイソブチレン単位の結合量が70.0mol%以上であることで、ガスバリア性が良好となり、99.4mol%以下であることで、網目構造が形成可能である。
本発明における変性ブチル系ゴムは、上記層状化合物と相互作用する官能基が、末端、主鎖及び側鎖の中から選ばれる少なくとも1つの位置に存在すればよい。上記層状化合物と相互作用する官能基としては、特に限定されないが、層状化合物と、水素結合、ファンデルワールス相互作用等する官能基が挙げられる。これらの中でも、層状化合物の各層の剥離性、ひいてはゴム組成物のガスバリア性の観点から、該相互作用は水素結合であることが好ましい。
上記層状化合物と相互作用する官能基は、窒素含有官能基であることが好ましい。かかる窒素含有官能基としては、例えば、ニトリル基、アゾ基、イソシアネート基、そして、置換もしく非置換のアミノ基、置換もしく非置換のアミド基、置換もしく非置換のイミノ基、置換もしく非置換のイミダゾール基、置換もしく非置換のピリジル基、置換もしく非置換のイミド基が挙げられる。またこれら置換アミノ基、置換アミド基、置換イミノ基、置換イミダゾール基、置換ピリジル基、置換イミド基の置換基が、アセチル基、ホルミル基、TMS基(トリメチルシリル基)、Boc基(tert−ブトキシカルボニル基)、Z基(ベンジルオキシカルボニル基)等の保護基であってもよい。窒素含有官能基を有する変性ブチル系ゴムは、層状化合物との親和性に特に優れており、層状化合物を構成する各層の剥離性をより向上させることできる。また、窒素含有官能基の中でも、該剥離性の向上の観点から、第1級アミノ基(非置換のアミノ基)又は第2級アミノ基であることが特に好ましい。これは、第1級アミノ基、第2級アミノ基は水素原子を有しており、クレイとの強固な相互作用が可能であるからである。
本発明のゴム組成物に使用する該変性ブチル系ゴムは、好ましくは、イソブチレン単位とp−メチルスチレン単位とを含み、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が、窒素含有官能基を含む基に置換された構造を有する。ここで、窒素含有官能基を含む基とは、窒素含有官能基それ自身であってもよい。また、「p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が、窒素含有官能基を含む基に置換された構造」とは、必ずしもブチル系ゴム中全てのp−メチルスチレン単位についてp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が置換されている必要はなく、一部のp−メチルスチレン単位においては、該水素原子が1つも置換されていなくてもよい。
ここで、上記窒素含有官能基を含む基としては、下記式(1)で表される基、下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基、及び、非置換のアミノ基、からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 0006018951
式(1)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、Rはそれぞれ独立してニトリル基又は置換もしくは非置換のアミノ基を示す。
このような窒素含有官能基を含む基は、例えば、後述するハロゲン基を有するブチル系ゴムに、ビス(3−アミノプロピルアミン)、3,3−イミノジプロピオニトリル等の変性剤を反応させることにより導入することができる。
Figure 0006018951
式(2)中、Rは炭素数1〜8のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、Rはそれぞれ独立して水素原子又は保護基を示し、保護基としてはアセチル基、ホルミル基、TMS基(トリメチルシリル基)、Boc基(tert−ブトキシカルボニル基)、Z基(ベンジルオキシカルボニル基)等が挙げられる。
このような窒素含有官能基を含む基は、例えば、後述するハロゲン基を有するブチル系ゴムに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,3−ジアミノプロパン等の変性剤を反応させることにより導入することができる。
Figure 0006018951
式(3)中、Rは炭素数1〜8のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はトリアルコキシシリル基を示し、トリアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
このような窒素含有官能基を含む基は、例えば、後述するハロゲン基を有するブチル系ゴムに、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等の変性剤を反応させることにより導入することができる。
また、窒素含有官能基を含む基として非置換のアミノ基を採用する場合、該非置換のアミノ基は、例えば、後述するハロゲン基を有するブチル系ゴムに、N-カリウムフタルイミド等の変性剤を反応させ、さらにヒドラジンを反応させることにより導入することができる。
層状化合物と相互作用する官能基を有する変性ブチル系ゴムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン基を有するブチル系ゴム(以下、ハロゲン化ブチル系ゴムと称する)に窒素含有官能基を有する変性剤を反応させる方法等が挙げられる。該ハロゲン化ブチル系ゴムとしては、末端、主鎖、側鎖の少なくともいずれかにハロゲン基を有するブチル系ゴムであれば特に限定されない。このハロゲン化ブチル系ゴムの製造方法としては、例えば、イソブチレンとハロゲン基を有する単量体とを共重合する方法、イソブチレンと他の単量体を共重合し、得られた共重合体をハロゲン化する方法等が挙げられる。
イソブチレンとハロゲン基を有する単量体とを共重合して、ハロゲン化ブチル系ゴムを製造する方法について、以下説明する。イソブチレンとハロゲン基を有する単量体とを共重合する方法としては、例えば、イソブチレンとハロゲン基を有する芳香族ビニル化合物とをカチオン重合により共重合する方法等が挙げられる。
上記カチオン重合に使用するカチオン重合開始剤は、陽イオンを成長活性種とする連鎖重合反応であるカチオン重合を開始するための試薬である。該カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、三塩化ホウ素(BCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、四塩化スズ(SnCl)、四塩化チタン(TiCl)、五塩化バナジウム(VCl)、三塩化鉄(FeCl)、三フッ化ホウ素(BF)、クロロジエチルアルミニウム(EtAlCl)、ジクロロエチルアルミニウム(EtAlCl)等のルイス酸が挙げられ、これらの中でも四塩化チタンが好ましい。
上記カチオン重合に使用する溶媒としては、通常カチオン重合に用いられる溶剤を適宜用いることができ、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの中でも芳香族炭化水素が好ましく、トルエンがより好ましい。脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン等を挙げることができる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。またハロゲン化炭化水素としては、例えば、クロロメタン、クロロエタン、塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等を挙げることができる。これらは、一種単独でも、二種以上を混合して使用してもよい。更に、これらの溶媒と共に少量の他の溶媒、例えば酢酸エチル等の酢酸エステルやニトロエタン等のニトロ基を持つ有機化合物を併用してもよい。
上記カチオン重合における重合温度は、−100℃〜−30℃が好ましい。−100℃未満では、重合反応の進行が遅く、−30℃を超えると、連鎖移動反応が激しく、分子量が著しく低下する傾向があるので好ましくない。
また、上記カチオン重合は、単量体を実質的に液相下に保つのに充分な圧力下で行うことが好ましい。即ち、反応圧力は重合される各単量体や、使用する溶媒及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力下で重合させることができ、このような高い圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で達成される。
上記共重合体の製造においては、一般に単量体、カチオン重合開始剤、溶媒等の製造に使用する全ての物質から、水、酸素、二酸化炭素等の触媒毒を除去するのが好適である。
イソブチレンとハロゲン基を有する単量体とを共重合する上記方法以外にも、ハロゲン化ブチル系ゴムの製造方法としては、例えば、イソブチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られた共重合体をハロゲン化する方法や、イソブチレンと少量のイソプレンをカチオン重合により重合した所謂ブチルゴムをハロゲン化する方法(通常のハロゲン化ブチルゴムを製造する方法)等が挙げられる。イソブチレンと芳香族ビニル化合物とを共重合して得られた共重合体をハロゲン化したハロゲン化ブチル系ゴムとしては、例えば、イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体であって、p−メチルスチレン単位のメチル基の一部又は全部の水素原子が臭素原子に置換されたもの(EXXPRO(登録商標)3035、エクソンモービル社製)等が挙げられる。
上記ハロゲン化ブチル系ゴムに反応させる窒素含有官能基を有する変性剤としては、例えば、ビス(3−アミノプロピル)アミン、3,3−イミノジプロピオニトリル、N−(tert−ブトキシカルボニル)−1,3−ジアミノプロパン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-カリウムフタルイミド等が挙げられる。これらを、一種単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも、ハロゲン化ブチル系ゴムと変性剤との反応の容易性の観点から、ビス(3−アミノプロピル)アミンが好ましい。
例えばビス(3−アミノプロピル)アミンは、両末端に存在する2つの第1級アミノ基がそれぞれ有する2つの水素原子のうち少なくとも1つを上記の保護基により保護してからハロゲン化ブチル系ゴムと反応させることが好ましい。このように保護基により保護しハロゲン化ブチル系ゴムと反応させることで、該反応の際に、ビス(3−アミノプロピル)アミンの中心に存在する第2級アミノ基を、ハロゲン化ブチル系ゴムのハロゲン原子と選択的に反応させることができる。
本発明のゴム組成物に使用する変性ブチル系ゴムは、上記保護基を有していてもよいし、上記保護基は脱離されていてもよい。また、該保護基の脱離は、層状化合物や他の配合剤と混合する前にスチームストリッピング等の水蒸気を用いる脱溶媒処理や、加水分解等の公知の方法を用いることができる。また、該保護基の脱離は、ゴム組成物を作製する混練の際に、酸を加えて加水分解により行ってもよい。
上記ハロゲン化ブチル系ゴムと窒素含有官能基を有する変性剤の反応において、該変性剤は、ハロゲン化ブチル系ゴム1molに対し、1〜30mol添加することが好ましい。上記ハロゲン化ブチル系ゴムと窒素含有官能基を有する変性剤の反応に使用する溶媒としては、例えば、クロロホルム、トルエン、ヘキサン等が挙げられる。これらは、一種単独でも、二種以上を混合して使用してもよい。上記ハロゲン化ブチル系ゴムと窒素含有官能基を有する変性剤の反応の反応温度は、室温以上であることが好ましく、そして各溶媒の沸点以下であることが好ましい。
また、本発明のゴム組成物に使用する変性ブチル系ゴムは、重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,000,000であることが好ましく、25,000〜75,000であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が10,000以上であることで、ゴムとしての性能が良好であり、1,000,000以下であることで、加工性が良好である。さらに、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比で表される分子量分布は1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。分子量分布を上記範囲内にすることにより、該変性ブチル系ゴムをゴム組成物に配合しても、該ゴム組成物の作業性を低下させることがなく、混練りが容易で、ゴム組成物の物性を十分に向上させることができる。なお、上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、上記変性ブチル系ゴム以外の他のゴム成分を含んでもよいのは勿論である。本発明のゴム組成物は、例えば硫黄等の加硫剤、シリカやカーボンブラック等の充填剤、プロセスオイル等の油分、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、及び、ステアリン酸等の配合剤を含んでもよい。また、本発明のゴム組成物は、常法により作製できる。該作製方法に特に制限は無く、例えば、変性ブチル系ゴム、その他のゴム成分、層状化合物、配合剤を混練して作製してもよいし、変性ブチル系ゴム、その他のゴム成分、層状化合物を含むゴムマスターバッチを作製し、その後該ゴムマスターバッチと上記のような配合剤を混練して作製してもよい。ゴムマスターバッチは、例えば、変性ブチル系ゴム、その他のゴム成分、層状化合物を水及び有機溶媒に混合し、その後水及び/又は有機溶媒を除去することによって得られる。
(インナーライナー素材)
本発明のインナーライナー素材は、本発明のゴム組成物からなることを特徴とする。本発明のインナーライナー素材を常法により押出して加工し、未加硫の空気入りタイヤに組み込んだ状態で加硫し、又は、単独で加硫して、インナーライナーとすることができる。該インナーライナーは、優れたガスバリア性を有する。
(空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、本発明のインナーライナー素材を用いたインナーライナーを具えることを特徴とする。本発明の空気入りタイヤは、特に制限は無く、常法により製造することができる。また、該タイヤに充填する空気としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気に加え、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを含んでもよい。該空気入りタイヤは、優れた充填気体保持性を有する。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例においてH−NMR測定には、日本電子製FT−NMRを使用した。分子量測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8220、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]を使用し、単分散ポリスチレンを基準としてMn及びMwを求めた。
<アミン変性ブチル系ゴムの製造(I)>
・変性剤中の窒素含有官能基への保護基の導入
ビス(3−アミノプロピル)アミン135gとトリエチルアミン300gをTHF4L中に投入し、撹拌し、その後氷冷した。得られた溶液に、2−(Boc−オキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル500gをTHF2Lに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後室温で終夜攪拌した。その後得られた溶液を分液操作で精製した後、溶媒を除去し、50℃で減圧乾燥してビス(3−アミノプロピル)アミンのBoc体250gを得た。H−NMR測定により、Boc基が、ビス(3−アミノプロピル)アミンの両末端のアミノ基に導入されていることを確認した。
・ハロゲン化ブチル系ゴムと変性剤の反応
EXXPRO3035(臭素化イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体)400gをクロロホルム8L中に投入し、Ar気流下室温で撹拌した。さらに上記ビス(3−アミノプロピル)アミンのBoc体を250g、ジイソプロピルエチルアミン410mlを加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い精製しビス(3−アミノプロピル)アミン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体のBoc体を得た。
・保護基の脱離
上記Boc体をクロロホルム17Lに溶解させ、トリフルオロ酢酸820mlを添加後攪拌した(脱Boc反応)。得られた反応物をメタノール/アンモニア水を用いて再沈殿で精製後、溶媒を除去し、40℃で減圧乾燥して、ビス(3−アミノプロピル)アミン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体(以下、アミン変性ブチル系ゴム(I)と称する)400gを得た。H−NMR測定により、アミン変性ブチル系ゴム(I)が、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が、ビス(3−アミノプロピル)アミン由来の基により置換された構造を有することを確認した。得られたアミン変性ブチル系ゴム(I)の重量平均分子量(Mw)は50,000であり、分子量分布は3.0であった。
<アミン変性ブチル系ゴムの製造(II)>
・ハロゲン化ブチル系ゴムと変性剤の反応
EXXPRO3035(臭素化イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体)400gをクロロホルム8L中に投入し、Ar気流下室温で撹拌した。さらにN−(t−ブトキシカルボニル)−1,3−ジアミノプロパンを250g、ジイソプロピルエチルアミン410mlを加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い精製しN−(t−ブトキシカルボニル)−1,3−ジアミノプロパン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体を得た。
・保護基の脱離
上記N−(t−ブトキシカルボニル)−1,3−ジアミノプロパン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体をクロロホルム17Lに溶解させ、トリフルオロ酢酸820mlを添加後攪拌した(脱Boc反応)。得られた反応物をメタノール/アンモニア水を用いて再沈殿で精製後、溶媒を除去し、40℃で減圧乾燥して、1,3−ジアミノプロパン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体(以下、アミン変性ブチル系ゴム(II)と称する)400gを得た。H−NMR測定により、アミン変性ブチル系ゴム(II)が、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が1,3−ジアミノプロパン由来の基により置換された構造を有することを確認した。得られたアミン変性ブチル系ゴム(II)の重量平均分子量(Mw)は50,000であり、分子量分布は3.3であった。
<アミン変性ブチル系ゴム(III)の製造>
EXXPRO3035(臭素化イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体)400gをクロロホルム8L中に投入し、Ar気流下室温で撹拌した。さらに3−アミノプロピルトリエトキシシランを250g、ジイソプロピルエチルアミン410mlを加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い精製し3−アミノプロピルトリエトキシシラン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体(以下、アミン変性ブチル系ゴム(III)と称する)を得た。H−NMR測定により、アミン変性ブチル系ゴム(III)が、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン由来の基により置換された構造を有することを確認した。得られたアミン変性ブチル系ゴム(III)の重量平均分子量(Mw)は50,000であり、分子量分布は3.6であった。
<アミン変性ブチル系ゴム(IV)の製造>
EXXPRO3035(臭素化イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体)400gをクロロホルム8L中に投入し、Ar気流下室温で撹拌した。さらにN−カリウムフタルイミド250gを加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後、メタノールで再沈殿を行い精製しフタルイミド変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体を得た。
上記フタルイミド変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体をクロロホルム17Lに溶解させ、ヒドラジン820mlを添加後攪拌した。得られた反応物をメタノールを用いて再沈殿で精製後、溶媒を除去し、40℃で減圧乾燥して、アミン変性イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体(以下、アミン変性ブチル系ゴム(IV)と称する)400gを得た。H−NMR測定により、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が非置換のアミノ基により置換された構造を有することを確認した。得られたアミン変性ブチル系ゴム(IV)の重量平均分子量(Mw)は50,000であり、分子量分布は3.0であった。
<実施例1〜5,11〜13、比較例1〜7のゴム組成物の作製>
上記アミン変性ブチル系ゴム(I)〜(IV)、上記臭素化イソブチレン―p−メチルスチレン共重合体(表1中、ハロゲン化ブチル系ゴム(I)と表記する。)を使用して、以下の表1中の配合処方でプラストミルを使用して混練し、実施例1〜5,11〜13、比較例1〜7のゴム組成物を作製した。なお表1中、該作製方法をAと表記する。
<実施例6〜10のゴム組成物の作製>
上記アミン変性ブチル系ゴム(I)100質量部をトルエンに溶解させ、該溶液に、別途トルエンに分散させたCloisite20A(ジメチル二水素化牛脂アンモニウムクロリドで有機化されたモンモリロナイト)を加えた。これを100℃で6時間攪拌した後、溶媒を除去し、ゴムマスターバッチを得た。得られたゴムマスターバッチを使用して、以下の表1中の配合処方でプラストミルを使用して混練し、実施例6〜10のゴム組成物を作製した。なお表1中、該作製方法をBと表記する。
《空気透過性(ガスバリア性)》
上記ゴム組成物を150℃で30分間加硫し、以下に示す方法で空気透過性を評価した。空気透過試験機M−C1(東洋精機(株)製)を用いて60℃で各ゴム組成物の空気透過率を測定した。比較例1のゴム組成物の空気透過率を100とし、それぞれ指数表示で表1に示す。指数値が小さい程、空気透過率が小さく、即ちガスバリア性が良好であることを示す。
Figure 0006018951
*1 Southern clay products製、Cloisite20A : ジメチル二水素化牛脂アンモニウムクロリドで有機化されたモンモリロナイト(ジメチル二水素化牛脂アンモニウムクロリドに含まれるジメチル二水素化牛脂アンモニウムカチオンは、式(4)中、Rがメチル基、Rがメチル基、Rが炭素数14〜18のアルキル基、R10が炭素数14〜18のアルキル基の構造を有する)
*2 ACID CHEM製、PALMAC 1600.
*3 MID WEST ZINC CO.製、 205P.
*4 BAYER製、VULKACIT DM/MG.
*5 BAYER製、VULKACIT D/EGC.
*6 BAYER製、CURE−RITE BBTS.
*7 鶴見化学工業製、粉末硫黄
表1の結果から明らかなように、アミン変性ブチル系ゴムと層状化合物を使用した実施例1〜5,6〜10のゴム組成物はそれぞれ、層状化合物Aの配合量が対応する、ハロゲン化ブチル系ゴムと層状化合物を使用した比較例1〜5に比して、そして、アミン変性ブチル系ゴムを使用するが層状化合物を使用しない比較例6、及び、アミン変性ブチル系ゴムも層状化合物も使用しない比較例7に比して、空気透過率がはるかに低く、即ちガスバリア性について極めて優れていた。また、アミン変性ブチル系ゴム、層状化合物を含むゴムマスターバッチを経て、該ゴムマスターバッチと配合剤を混練した実施例6のゴム組成物は、アミン変性ブチル系ゴム、層状化合物、配合剤を含み、ゴムマスターバッチを経ずに作製された実施例1のゴム組成物に比してガスバリア性について優れていた。同様に、実施例7のゴム組成物は実施例2のゴム組成物に比して、実施例8のゴム組成物は実施例3のゴム組成物に比して、実施例9のゴム組成物は実施例4のゴム組成物に比して、実施例10のゴム組成物は実施例5のゴム組成物に比して、ガスバリア性について優れていた。

Claims (11)

  1. 層状化合物と、前記層状化合物と相互作用する官能基を有する変性ブチル系ゴムとを含み、
    前記変性ブチル系ゴムは、イソブチレン単位とp−メチルスチレン単位とを含み、p−メチルスチレン単位中のp−位のメチル基中の少なくとも1つの水素原子が、窒素含有官能基を含む基に置換された構造を有し、
    前記窒素含有官能基を含む基が、下記式(1)で表される基、
    Figure 0006018951
    (式(1)中、R はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキレン基、R はそれぞれ独立してニトリル基又は置換もしくは非置換のアミノ基を示す)
    下記式(2)で表される基、
    Figure 0006018951
    (式(2)中、R は炭素数1〜8のアルキレン基、R はそれぞれ独立して水素原子又は保護基を示す)、
    下記式(3)で表される基、
    Figure 0006018951
    (式(3)中、R は炭素数1〜8のアルキレン基、R は水素原子又はトリアルコキシシリル基を示す)
    及び、非置換のアミノ基、からなる群から選択される少なくとも1種である、ゴム組成物。
  2. 前記相互作用は、水素結合であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記層状化合物は、カオリン鉱物、サーペンティン、パイロフィライト‐タルク、雲母、クロライト、スメクタイト、バーミキュライトからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記層状化合物は、モンモリロナイト、雲母、バーミキュライト、ハイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイトからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記層状化合物は、雲母及び/又はモンモリロナイトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 前記層状化合物は、有機化処理剤により有機化されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 前記有機化処理剤は、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1種のオニウムカチオンを含むことを特徴とする請求項6に記載のゴム組成物。
  8. 前記有機化処理剤は、下記式(4)で示される構造を有する4級アンモニウムカチオン、
    Figure 0006018951
    又は、下記式(5)で示される構造を有する4級ホスホニウムカチオン、
    Figure 0006018951
    (式(4)及び(5)中、R〜R10はそれぞれ独立してベンジル基、炭素数1〜30のアルキル基、(CHCH(CH)O)H基、または、(CHCHO)H基を示し、nは1〜50の整数を示す)の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項6に記載のゴム組成物。
  9. 前記変性ブチル系ゴム100質量部に対し、前記層状化合物を1〜200質量部含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物からなることを特徴とするインナーライナー素材。
  11. 請求項10に記載のインナーライナー素材を用いたインナーライナーを具えることを特徴とする空気入りタイヤ。
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