以下、本発明による車両の操舵制御装置および操舵制御方法を、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における車両の操舵制御装置9を含む操舵制御システムの示す全体構成図である。図1における操舵制御システムは、車輪2およびハンドル3を備えた車両1に適用され、操舵部4、撮像部5、衛星6、衛星信号受信部7、車速センサ8、操舵制御装置9、表示装置10およびヨーレートセンサ11を備える。図1における操舵制御システムでは、操舵制御装置9によって出力された操舵指令値SCに従って操舵部4が動作することで、車両1の操舵制御が行われる。
操舵部4は、例えば、操舵用モータおよびECU(Electronic Control Unit)を用いて構成される。操舵部4は、操舵制御装置9から入力された、操舵制御可否フラグSC_Fおよび操舵指令値SCに従って動作することで、ハンドル3の回転を制御する。
撮像部5は、車両1に搭載され、例えば、車両1の前方を撮像するカメラを用いて構成される。撮像部5は、車両の前方を撮像し、その撮像結果を画像情報CAM_Iとして操舵制御装置9に出力する。
衛星6は、例えば、複数のGPS(Global Positioning System)衛星を用いて構成され、地球の周囲を飛行している。なお、実施の形態1では、衛星6として、GPS衛星を用いて構成する場合を例示するが、GPS衛星と同機能のその他の衛星を用いて構成してもよい。また、図1では、衛星6を構成する複数のGPS衛星のうちの1つのみを記載し、その他のGPS衛星の記載を省略している。
衛星信号受信部7は、例えば、アンテナおよび受信機を用いて構成され、衛星6と通信可能である。衛星信号受信部7は、衛星6から、車両1の自車位置を特定するための衛星情報としてGPS信号GPS_Sを受信する。また、衛星信号受信部7は、受信したGPS信号GPS_Sを操舵制御装置9に出力する。
車速センサ8は、車両1の走行速度を検出し、検出結果を車速Vとして操舵制御装置9に出力する。なお、図1では、4つの車輪2のうちの1つの車輪の速度を車速Vとして検出するように構成する場合を例示しているがこれに限定されない。すなわち、例えば、4つの車輪2の各速度の平均、4つの車輪2のうちの右車輪の各速度の平均、または4つの車輪2のうちの左車輪の各速度の平均を、車速Vとして検出するように構成してもよい。
ヨーレートセンサ11は、車両1に発生するヨーレートを検出し、検出結果をヨーレート信号Yとして操舵制御装置9に出力する。
操舵制御装置9は、例えば、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUと、システムLSI等の処理回路とによって実現される。操舵制御装置9は、撮像部5から入力された画像情報CAM_Iと、衛星信号受信部7から入力されたGPS信号GPS_Sと、車速センサ8から入力された車速Vと、ヨーレートセンサ11から入力されたヨーレート信号Yとから、操舵制御可否フラグSC_F、操舵指令値SCおよび制御表示信号CIを演算する。また、操舵制御装置9は、操舵制御可否フラグSC_Fおよび操舵指令値SCを操舵部4に出力し、制御表示信号CIを表示装置10に出力する。
表示装置10は、現在の操舵制御システムでは、衛星6から受信した衛星情報に基づいた操舵制御と、撮像部5によって撮像された画像情報CAM_Iに基づいた操舵制御とのいずれが行われているかの操舵制御の状況を車両1のドライバに報知するために、操舵制御装置9から入力された制御表示信号CIに従って、画面に画像を表示する。
図2は、図1の表示装置10の画面に表示される画像の一例を示す構成図である。例えば、図2に示すように、画像情報CAM_Iに基づいた操舵制御が行われている場合には、撮像部5を示す絵が表示されるようにする。一方、衛星情報に基づいた操舵制御が行われている場合には、衛星6を示す絵が表示されるようにする。このように構成することで、操舵制御システムに対する安心感をドライバへ付与することが可能となる。
次に、操舵制御装置9の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、図1の操舵制御装置9の構成を示すブロック図である。図3における操舵制御装置9は、自車位置検出部31と、目標地点32および地図情報33を記憶する記憶部(図示せず)と、目標走行経路導出部34と、衛星版操舵制御量演算部35と、走行路検出部36と、撮像版操舵制御量演算部37と、操舵制御量指令部38とを有する。
自車位置検出部31は、衛星信号受信部7から入力されたGPS信号GPS_Sと、車速センサ8から入力された車速Vと、ヨーレートセンサ11から入力されたヨーレート信号Yとから、自車位置情報Pおよび位置誤差PEを演算する。自車位置検出部31は、目標走行経路導出部34に自車位置情報Pを出力し、衛星版操舵制御量演算部35に自車位置情報Pおよび位置誤差PEを出力する。
具体的には、自車位置検出部31は、GPS信号GPS_Sから位置を演算し、さらに、GPS信号GPS_Sを受信する際の更新レート間でのヨーレート信号Yの積分値と、車速Vとの積を演算する。自車位置検出部31は、GPS信号GPS_Sから演算した位置に、演算した積を加算することで、自車位置情報Pを演算する。
また、自車位置検出部31は、GPS信号GPS_Sの受信タイミングにおいて、受信した最新のGPS信号GPS_Sから演算された最新更新位置と、自車位置情報Pとの距離誤差を演算し、その距離誤差を位置誤差PEとする。
なお、上記で例示した自車位置情報Pおよび位置誤差PEの演算方法は一例に過ぎず、その他の公知技術を用いて、自車位置情報Pおよび位置誤差PEを演算するように自車位置検出部31を構成してもよい。
目標地点32は、ドライバによってあらかじめ設定される目標地点GPであり、記憶部に記憶されている。
地図情報33は、あらかじめ設定される地図情報MIであり、記憶部に記憶されている。なお、実施の形態1では、地図情報MIとして高精度地図情報を用いる場合を例示するが、本発明では、地図情報MIとして高精度地図を用いなければならないというわけではない。
目標走行経路導出部34は、自車位置検出部31から入力された自車位置情報Pと、記憶部に記憶されている目標地点GPおよび地図情報MIとから、目標走行経路TTを演算する。目標走行経路導出部34は、衛星版操舵制御量演算部35に目標走行経路TTを出力する。
なお、目標走行経路TTの具体的な演算について、例えば、ナビゲーション等で用いられている公知の技術を用いて、目標走行経路TTを演算するように目標走行経路導出部34を構成すればよい。
衛星版操舵制御量演算部35は、自車位置検出部31から入力された自車位置情報Pおよび位置誤差PEと、目標走行経路導出部34から入力された目標走行経路TTと、車速センサ8から入力された車速Vとから、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSを演算する。衛星版操舵制御量演算部35は、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSを操舵制御量指令部38に出力する。
ここで、衛星版操舵制御量SC_GPSの演算方法の具体例について、図4を参照しながら説明する。図4は、図3の衛星版操舵制御量演算部35によって衛星版操舵制御量SC_GPSが演算されるときの演算方法の一例を説明するための説明図である。
衛星版操舵制御量演算部35は、自車位置情報Pと自車位置情報Pから前方注視位置を考慮した自車位置P’とを結んだ線分と、目標走行経路TTとがなす角である方位角度偏差θを演算する。また、衛星版操舵制御量演算部35は、自車位置情報Pと自車位置P’とを結んだ線分と直交するように自車位置P’と目標走行経路TTとを結んだ線分の長さである横偏差wを演算する。衛星版操舵制御量演算部35は、演算した横偏差wおよび方位角度偏差θに対するゲイン演算結果から、衛星版操舵制御量SC_GPSを演算する。
なお、実施の形態1では、衛星版操舵制御量SC_GPSは、ハンドル3のハンドル角を制御するためのハンドル角指令値である場合を例示するが、衛星版操舵制御量SC_GPSは、操舵トルクを制御するための操舵トルク指令値であってもよい。
衛星版操舵制御量演算部35は、あらかじめ設定された第1の評価基準を用いて、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性を評価し、その評価結果を衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSとする。具体的には、例えば、位置誤差PEの大きさを第1の評価基準として設定した場合、位置誤差PEの大きさによって、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性が複数の評価レベルのうちのどのレベルに該当するかを決定し、決定した評価レベルを、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSとする。
実施の形態1では、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性が、低レベルおよび高レベルの2つの評価レベルのうちのどのレベルに該当するかを決定するように、衛星版操舵制御量演算部35を構成する場合を例示する。この場合、例えば、衛星版操舵制御量演算部35は、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性が低レベルに該当すると決定した場合には、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSとして「0」を出力し、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性が高レベルに該当すると決定した場合には、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSとして「1」を出力するように構成される。
なお、位置誤差PEの大きさだけでなく、衛星6の数、衛星6の配置状態、または一般的なGPS測位における品質情報といった精度情報などを併せて考慮して、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性を評価するように構成してもよい。ここでいう品質情報とは、例えば、FixまたはFloatなどが挙げられる。
なお、上記で例示した衛星版操舵制御量SC_GPSおよび衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSの演算方法は一例に過ぎず、その他の公知技術を用いて、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSを演算するように衛星版操舵制御量演算部35を構成してもよい。
すなわち、実施の形態1では、衛星版操舵制御量SC_GPSを演算する構成の一例として、GPS信号GPS_Sと、衛星情報以外の情報としての車速V、ヨーレート信号Y、目標地点GPおよび地図情報MIとを用いて衛星版操舵制御量SC_GPSを演算するように構成する場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、車両1と通信可能な衛星6から受信した、車両1の自車位置を特定するための衛星情報を用いて、衛星版操舵制御量SC_GPSをどのように演算するかは適宜設計することができる。したがって、衛星情報を用いて、衛星版操舵制御量SC_GPSを演算する構成であれば、どのように構成してもよい。
また、実施の形態1では、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSを演算する構成の一例として、位置誤差PEの大きさを第1の評価基準として設定し、位置誤差PEの大きさによって、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性を評価する場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性をどのような評価基準を用いてどのように評価するかは適宜設計することができる。したがって、評価基準を用いて、衛星版操舵制御量SC_GPSの信頼性を評価し、その評価結果を衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSとして演算する構成であれば、どのように構成してもよい。
走行路検出部36は、撮像部5から入力された画像情報CAM_Iに従って、車両1の走行路の状態を検出し、検出結果を走行路情報LIとして撮像版操舵制御量演算部37に出力する。
なお、走行路情報LIの具体的な演算について、例えば、従来の画像認識技術を用いて、道路の左右に存在する白線に関する左右白線情報、および道路の曲率に関する道路曲率情報などを検出し、その検出結果を走行路情報LIとして出力するように、走行路検出部36を構成すればよい。また、その他の公知技術を用いて、走行路情報LIを出力するように、走行路検出部36を構成してもよい。実施の形態1では、左右白線情報および道路曲率情報が走行路情報LIに含まれる場合を例示する。
撮像版操舵制御量演算部37は、走行路検出部36から入力された走行路情報LIと、車速センサ8から入力された車速Vとから、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMを演算する。撮像版操舵制御量演算部37は、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMを操舵制御量指令部38に出力する。
ここで、撮像版操舵制御量SC_CAMの演算方法の具体例について、図5を参照しながら説明する。図5は、図3の撮像版操舵制御量演算部37によって撮像版操舵制御量SC_CAMが演算されるときの演算方法の一例を説明するための説明図である。
撮像版操舵制御量演算部37は、走行路情報LIから目標走行経路TT’を演算する。また、撮像版操舵制御量演算部37は、自車位置情報Pと自車位置情報Pから前方注視位置を考慮した自車位置P’とを結んだ線分と、目標走行経路TT’とがなす角である方位角度偏差θ’を演算する。さらに、撮像版操舵制御量演算部37は、自車位置情報Pと自車位置P’とを結んだ線分と直交するように自車位置P’と目標走行経路TT’とを結んだ線分の長さである横偏差w’を演算する。撮像版操舵制御量演算部37は、演算した横偏差w’および方位角度偏差θ’に対するゲイン演算結果から、撮像版操舵制御量SC_CAMを演算する。
なお、実施の形態1では、撮像版操舵制御量SC_CAMは、ハンドル3のハンドル角を制御するためのハンドル角指令値である場合を例示するが、衛星版操舵制御量SC_GPSは、操舵トルクを制御するための操舵トルク指令値であってもよい。
撮像版操舵制御量演算部37は、あらかじめ設定された第2の評価基準を用いて、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性を評価し、その評価結果を撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMとする。具体的には、例えば、左右白線情報における左右白線のばらつき度、すなわち、左右それぞれの白線を認識するときにその認識が設定時間内で変化した回数を、第2の評価基準として設定した場合、その変化回数によって、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性が複数の評価レベルのうちのどのレベルに該当するかを決定し、決定した評価レベルを、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMとする。
実施の形態1では、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性が、低レベルおよび高レベルの2つの評価レベルのうちのどのレベルに該当するかを決定するように、撮像版操舵制御量演算部37を構成する場合を例示する。この場合、例えば、撮像版操舵制御量演算部37は、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性が低レベルに該当すると決定した場合には、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMとして「0」を出力し、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性が高レベルに該当すると決定した場合には、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMとして「1」を出力するように構成される。
なお、上記で例示した撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMの演算方法は一例に過ぎず、その他の公知技術を用いて、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMを演算するように撮像版操舵制御量演算部37を構成してもよい。
すなわち、実施の形態1では、撮像版操舵制御量SC_CAMを演算する構成の一例として、画像情報CAM_Iと、画像情報CAM_I以外の情報としての車速Vとを用いて撮像版操舵制御量SC_CAMを演算するように構成する場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、画像情報CAM_Iを用いて、撮像版操舵制御量SC_CAMをどのように演算するかは適宜設計することができる。したがって、画像情報CAM_Iを用いて、撮像版操舵制御量SC_CAMを演算する構成であれば、どのように構成してもよい。
また、実施の形態1では、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMを演算する構成の一例として、左右それぞれの白線を認識するときにその認識が設定時間内で変化した回数を、第2の評価基準として設定し、その変化回数によって、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性を評価する場合を例示した。しかしながら、これに限定されず、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性をどのような評価基準を用いてどのように評価するかは適宜設計することができる。したがって、評価基準を用いて、撮像版操舵制御量SC_CAMの信頼性を評価し、その評価結果を撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMとして演算する構成であれば、どのように構成してもよい。
操舵制御量指令部38は、衛星版操舵制御量演算部35から入力された衛星版操舵制御量SC_GPSおよび衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSと、撮像版操舵制御量演算部37から入力された撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMとから、操舵制御可否フラグSC_F、操舵指令値SCおよび制御表示信号CIを演算して出力する。
なお、実施の形態1では、操舵指令値SCは、ハンドル3のハンドル角を制御するためのハンドル角指令値である場合を例示するが、操舵トルクを制御するための操舵トルク指令値であってもよい。
次に、操舵制御装置9の一連の動作について、図6を参照しながら説明する。図6は、図1の操舵制御装置9の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、自車位置検出部31は、GPS信号GPS_S、ヨーレート信号Yおよび車速Vから、自車位置情報Pを演算して出力し、ステップS102へと進む。
次にステップS102において、目標走行経路導出部34は、記憶部に記憶されている目標地点GPを読み込み、ステップS103へと進む。
ステップS103において、目標走行経路導出部34は、記憶部に記憶されている地図情報MIを読み込み、ステップS104へと進む。
ステップS104において、目標走行経路導出部34は、自車位置情報P、目標地点GPおよび地図情報MIから、目標走行経路TTを導出して出力し、ステップS105へと進む。
ステップS105において、衛星版操舵制御量演算部35は、自車位置情報P、位置誤差PE、目標走行経路TTおよび車速Vから、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSを演算して出力し、ステップS106へと進む。
ステップS106において、走行路検出部36は、画像情報CAM_Iから走行路を検出して走行路情報LIを出力し、ステップS107へと進む。
ステップS107において、撮像版操舵制御量演算部37は、走行路情報LIおよび車速Vから、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMを演算して出力し、ステップS108へと進む。
ステップS108において、操舵制御量指令部38は、衛星版操舵制御量SC_GPS、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPS、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMから、操舵指令値SC、操舵制御可否フラグSC_Fおよび制御表示信号CIを演算して出力し、一連の処理を終了する。
このように、操舵制御装置9は、ステップS101からステップS108までの一連の処理を行うことで、操舵制御可否フラグSC_F、操舵指令値SCおよび制御表示信号CIを得る。
次に、操舵制御量指令部38の構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、図3の操舵制御量指令部38の構成を示すブロック図である。図7における操舵制御量指令部38は、信頼性状態確認部71、比較演算部72および出力切り替え部73を有する。
信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMから、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのそれぞれの信頼性状態を確認することで、信頼性確認結果TCRを演算する。また、信頼性状態確認部71は、信頼性確認結果TCRを比較演算部72および出力切り替え部73に出力する。
すなわち、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMから、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのそれぞれの信頼性が信頼性基準を満たしているか否かを判断し、その判断結果を信頼性確認結果TCRとして出力する。
さらに、信頼性状態確認部71は、信頼性確認結果TCRを、制御表示信号CIとして出力する。
具体的には、信頼性状態確認部71は、入力された衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMがそれぞれ1ビット分の信号であるので、信頼性確認結果TCRを演算するときに計2ビット分の信号を割り当てる。
例えば、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSが「0」であって、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMが「0」である場合には、信頼性確認結果TCRとして、「00」を出力する。この場合、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMの両方が信頼性基準を満たさないと判断していることとなる。
信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSが「0」であって、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMが「1」である場合には、信頼性確認結果TCRとして、「01」を出力する。この場合、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのうちの撮像版操舵制御量SC_CAMのみが信頼性基準を満たすと判断していることとなる。
信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSが「1」であって、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMが「0」である場合には、信頼性確認結果TCRとして、「10」を出力する。この場合、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのうちの衛星版操舵制御量SC_GPSのみが信頼性基準を満たすと判断していることとなる。
信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSが「1」であって、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMが「1」である場合には、信頼性確認結果TCRとして、「11」を出力する。この場合、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMの両方が信頼性基準を満たすと判断していることとなる。
比較演算部72は、衛星版操舵制御量SC_GPS、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび信頼性確認結果TCRから、比較演算を行うことで、比較演算結果CRを出力切り替え部73に出力する。
具体的には、比較演算部72は、入力された信頼性確認結果TCRが「11」である場合にだけ比較演算を行う。また、比較演算部72は、比較演算として、以下のような処理を行う。
すなわち、比較演算部72は、衛星版操舵制御量SC_GPSと撮像版操舵制御量SC_CAMとを比較することで、衛星版操舵制御量SC_GPSと撮像版操舵制御量SC_CAMとの間で制御量乖離状態が発生しているか否かを判断し、その判断結果を比較演算結果CRとして出力する。
具体的には、比較演算部72は、衛星版操舵制御量SC_GPSと撮像版操舵制御量SC_CAMとの偏差である制御量偏差が偏差設定値以上であり、かつその制御量偏差が偏差設定値以上である状態が設定時間継続した場合、制御量乖離状態が発生していると判断し、比較演算結果CRとして「0」を出力する。一方、比較演算部72は、制御量偏差が偏差設定値未満である場合、制御量乖離状態が発生していない、すなわち、制御量近接状態が発生していると判断し、比較演算結果CRとして「1」を出力する。なお、偏差設定値および設定時間は、あらかじめ設定しておけばよい。
実施の形態1では、偏差を用いて衛星版操舵制御量SC_GPSと撮像版操舵制御量SC_CAMとを比較する場合を例示しているが、偏差の代わりに比率を用いてもよい。また、上記で例示した比較演算の処理は一例に過ぎず、その他の公知技術を用いて、比較演算を行うように比較演算部72を構成してもよい。
出力切り替え部73は、衛星版操舵制御量SC_GPS、撮像版操舵制御量SC_CAM、信頼性確認結果TCRおよび比較演算結果CRから、操舵指令値SCおよび操舵制御可否フラグSC_Fを演算して出力する。なお、出力切り替え部73は、操舵制御不可と判断した場合、操舵制御可否フラグSC_Fとして「0」を出力し、操舵制御可能と判断した場合、操舵制御可否フラグSC_Fとして「1」を出力する。
次に、操舵制御量指令部38の一連の動作について、図8を参照しながら説明する。図8は、図3の操舵制御量指令部38の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、信頼性状態確認部71は、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMから、信頼性確認結果TCRを演算して出力し、ステップS202へと進む。
次にステップS202において、比較演算部72は、衛星版操舵制御量SC_GPS、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび信頼性確認結果TCRから、比較演算結果CRを出力し、ステップS203へと進む。
ステップS203において、出力切り替え部73は、衛星版操舵制御量SC_GPS、撮像版操舵制御量SC_CAM、信頼性確認結果TCRおよび比較演算結果CRから、操舵指令値SCおよび操舵制御可否フラグSC_Fを演算して出力し、ステップS204へと進む。
ステップS204において、信頼性状態確認部71は、信頼性確認結果TCRを、制御表示信号CIとして出力し、一連の処理を終了する。
このように、操舵制御量指令部38は、ステップS201からステップS204までの一連の処理を行うことで、操舵制御可否フラグSC_F、操舵指令値SCおよび制御表示信号CIを得る。
次に、出力切り替え部73の構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、図7の出力切り替え部73の構成を示すブロック図である。図9における出力切り替え部73は、制限付与部91、固定値出力部92、SW部93、α演算部94、1−α演算部95、乗算器96、乗算器97、加算器98および制御可否判定部99を有する。
制限付与部91は、比較演算結果CRから撮像版操舵制御量SC_CAMに制限を付与することで、制限付き撮像版制御量SC_CAMRを演算する。制限付与部91は、制限付き撮像版制御量SC_CAMRをSW部93に出力する。
具体的には、例えば、制限付与部91は、入力された比較演算結果CRが「0」の場合には、撮像版操舵制御量SC_CAMに対して設定ゲインを乗算するゲイン演算を行うことで、制限を付与する。なお、設定ゲインは、あらかじめ設定されるものであり、具体的な数値として、例えば、0.5倍に設定すればよい。一方、制限付与部91は、入力された比較演算結果CRが「1」の場合には、撮像版操舵制御量SC_CAMに対して制限を付与しなくても構わない。
固定値出力部92は、固定値CをSW部93に出力する。なお、固定値Cは、あらかじめ設定されるものであり、具体的な数値として、例えば、「0」が設定される。
SW部93は、制限付き撮像版制御量SC_CAMR、撮像版操舵制御量SC_CAM、衛星版操舵制御量SC_GPS、固定値C、比較演算結果CRおよび信頼性確認結果TCRから、切り替え後信号NOおよび切り替え前信号OOを演算する。SW部93は、切り替え後信号NOを乗算器96に出力し、切り替え前信号OOを乗算器97に出力する。
ここで、切り替え後信号NOの演算方法の具体例について、図10を参照しながら説明する。図10は、図9のSW部93によって切り替え後信号NOが演算されるときの演算方法の一例を示すテーブルである。なお、図10に示すテーブルは、記憶部に記憶されている。
SW部93は、図10に示すテーブルから、信頼性確認結果TCRおよび比較演算結果CRに従って、制限付き撮像版制御量SC_CAMR、撮像版操舵制御量SC_CAM、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび固定値Cのいずれかの値を選択する。SW部93は、選択した値を、切り替え後信号NOとして出力する。
例えば、SW部93に入力された信頼性確認結果TCRが「11」であり、SW部93に入力された比較演算結果CRが「0」の場合を考える。この場合、SW部93は、制限を付与した撮像版操舵制御量SC_CAM、すなわち、制限付き撮像版制御量SC_CAMRを、操舵指令値演算用制御量として選択し、その制限付き撮像版制御量SC_CAMRを切り替え後信号NOとして出力する。
また、SW部93に入力された信頼性確認結果TCRが「11」であり、SW部93に入力された比較演算結果CRが「1」の場合を考える。この場合、SW部93は、撮像版操舵制御量SC_CAMを、操舵指令値演算用制御量として選択し、その撮像版操舵制御量SC_CAMを切り替え後信号NOとして出力する。
このように、信頼性確認結果TCRが「11」である場合、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのいずれの信頼性も高い。しかしながら、撮像版操舵制御量SC_CAM、または撮像版操舵制御量SC_CAMを用いて演算される制限付き撮像版制御量SC_CAMRを、操舵指令値SCとして採用することを優先している。この理由としては、衛星版操舵制御量SC_GPSでは、衛星6の受信状態またはヨーレートセンサ11のドリフト等に起因した意図しない誤差が発生する場合があることを考慮しているからである。
さらに、SW部93に入力された信頼性確認結果TCRが「01」であり、比較演算部72が比較演算を行わない場合を考える。なお、比較演算部72が比較演算を行わない場合、比較演算結果CRが演算されないので、図10では、ドントケアを表す記号*を表記している。この場合、SW部93は、撮像版操舵制御量SC_CAMを、操舵指令値演算用制御量として選択し、その撮像版操舵制御量SC_CAMを切り替え後信号NOとして出力する。
また、SW部93に入力された信頼性確認結果TCRが「10」であり、比較演算部72が比較演算を行わない場合を考える。なお、比較演算部72が比較演算を行わない場合、比較演算結果CRが演算されないので、図10では、ドントケアを表す記号*を表記している。この場合、SW部93は、衛星版操舵制御量SC_GPSを、操舵指令値演算用制御量として選択し、その衛星版操舵制御量SC_GPSを切り替え後信号NOとして出力する。
SW部93は、信頼性状態確認部71による判断結果、すなわち、信頼性確認結果TCRに従って、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのいずれかを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した操舵指令値演算用制御量を切り替え後信号NOとして出力する。
また、SW部93は、比較演算部72による判断結果、すなわち、比較演算結果CRも併せて考慮して、制御量乖離状態が発生している場合には、制限を付与した撮像版操舵制御量SC_CAM、すなわち、制限付き撮像版制御量SC_CAMRを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した操舵指令値演算用制御量を切り替え後信号NOとして出力する。
このように、SW部93は、信頼性確認結果TCR、または信頼性確認結果TCRおよび比較演算結果CRに従って、切り替え後信号NOとして出力する値を切り替える。
SW部93は、切り替え後信号NOを新しく出力する際、今回新しく切り替え後信号NOを出力する前の前回に出力した切り替え後信号NOを、切り替え前信号OOとして出力する。
例えば、信頼性確認結果TCRが「01」から「10」に切り替わる場合、すなわち、前回に出力した切り替え後信号NOが撮像版操舵制御量SC_CAMであり、今回新しく出力する切り替え後信号NOが衛星版操舵制御量SC_GPSである場合を考える。この場合、SW部93は、撮像版操舵制御量SC_CAMを、切り替え前信号OOとして出力する。
α演算部94は、比較演算結果CRおよび信頼性確認結果TCRから、切り替え後信号NOの切り替わり、すなわち、切り替え後信号NOの変化を判断し、切り替わりからの経過時間と、あらかじめ設定した時定数とから、以下の式(1)によって、切り替え前係数αを演算する。α演算部94は、切り替え前係数αを、1−α演算部95および乗算器97に出力する。具体的には、α演算部94は、図10に示すテーブルを用いて、切り替え後信号NOの切り替わりを判断する。
α=exp(−t/τ) ・・・(1)
ただし、τ:時定数、t:経過時間
1−α演算部95は、1から、切り替え前係数αを減算し、その減算結果を切り替え後係数1−αとして乗算器96に出力する。
乗算器96は、切り替え後係数1−αと切り替え後信号NOとを乗算し、その乗算結果を切り替え後乗算結果GO_Nとして加算器98に出力する。
乗算器97は、切り替え前係数αと切り替え前信号OOとを乗算し、その乗算結果を切り替え前乗算結果GO_Oとして加算器98に出力する。
ここで、切り替え前係数αおよび切り替え後係数1−αの時系列変化について、図11を参照しながら説明する。図11は、図9のα演算部94によって演算される切り替え前係数αと、図9の1−α演算部95によって演算される切り替え後係数1−αとのそれぞれの時系列変化を示す説明図である。
図11に示すように、切り替え開始時点では、切り替え後係数1−αが0であり、切り替え前係数αが1である。切り替え開始時点からの経過時間ととともに、切り替え前係数αが徐々に減少し、切り替え後係数1−αが徐々に増加する。切り替え完了時点では、切り替え後係数1−αが1となり、切り替え前係数αが0となる。
なお、図11には記載していないが、切り替え完了後に切り替え後係数1−αと、切り替え前係数αとを入れ替えることで、次の切り替えに対応可能な状態をとるように構成する。すなわち、切り替え後係数1−αおよび切り替え前係数αを切り替え開始時点の状態に戻すように構成する。切り替え後係数1−αと切り替え前係数αとを入れ替えるタイミングは、切り替え完了直後でも構わないし、切り替え完了時点から数秒経過後でも構わないし、次の切り替え開始時点でも構わない。
加算器98は、切り替え後乗算結果GO_Nと切り替え前乗算結果GO_Oとを加算し、その加算結果を、操舵指令値SCとして出力する。
このように構成することで、出力切り替え部73は、SW部93によって選択される操舵指令値演算用制御量が切り替わるとき、切り替え開始時点からの経過時間に従って切り替え後の操舵指令値演算用制御量に近づいていき、切り替え完了時点で切り替え後の操舵指令値演算用制御量と同値となるように操舵指令値を演算することとなる。
具体的には、切り替え開始時点からの経過時間をt、時定数をτ、切り替え前係数をα、切り替え前の操舵指令値演算用制御量をSC1、切り替え後の操舵指令値演算用制御量をSC2とするとき、出力切り替え部73は、以下の式(2)に従って操舵指令値SCを演算することとなる。
SC=αSC1+(1−α)SC2 ・・・(2)
ただし、α=exp(−t/τ)
制御可否判定部99は、信頼性確認結果TCRから操舵制御可否フラグSC_Fを演算し、その演算結果を出力する。
具体的には、制御可否判定部99は、入力された信頼性確認結果TCRが「00」以外の場合、すなわち、「01」、「10」および「11」の場合には、操舵制御可能と判断し、操舵制御可否フラグSC_Fとして「1」を出力する。一方、制御可否判定部99は、入力された信頼性確認結果TCRが「00」の場合、操舵制御不可と判断し、操舵制御可否フラグSC_Fとして「0」を出力する。
次に、出力切り替え部73の一連の動作について、図12を参照しながら説明する。図12は、図7の出力切り替え部73の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において、制限付与部91は、比較演算結果CRおよび撮像版操舵制御量SC_CAMから、制限付き撮像版制御量SC_CAMRを演算して出力し、ステップS302へと進む。
次にステップS302において、SW部93は、制限付き撮像版制御量SC_CAMR、撮像版操舵制御量SC_CAM、衛星版操舵制御量SC_GPS、固定値C、比較演算結果CRおよび信頼性確認結果TCRから、切り替え後信号NOおよび切り替え前信号OOを出力し、ステップS303へと進む。
ステップS303において、α演算部94は、信頼性確認結果TCRおよび比較演算結果CRから、切り替え前係数αを演算して出力し、ステップS304へと進む。
ステップS304において、1−α演算部95は、切り替え前係数αから切り替え後係数1−αを演算して出力し、ステップS305へと進む。
ステップS305において、乗算器96は、切り替え後信号NOと切り替え後係数1−αとを乗算して切り替え後乗算結果GO_Nを出力し、ステップS306へと進む。
ステップS306において、乗算器97は、切り替え前信号OOと切り替え前係数αとを乗算して切り替え前乗算結果GO_Oを出力し、ステップS307へと進む。
ステップS307において、加算器98は、切り替え後乗算結果GO_Nと切り替え前乗算結果GO_Oとを加算して操舵指令値SCを出力し、ステップS308へと進む。
ステップS308において、制御可否判定部99は、信頼性確認結果TCRから操舵制御可否フラグSC_Fを演算して出力し、一連の処理を終了する。
このように、出力切り替え部73は、ステップS301からステップS308までの一連の処理を行うことで、操舵制御可否フラグSC_Fおよび操舵指令値SCを得る。
操舵部4は、操舵制御可否フラグSC_Fとして「0」が入力された場合には、操舵制御を行わない。一方、操舵部4は、操舵制御可否フラグSC_Fとして「1」が入力された場合には、入力された操舵指令値SCに従って操舵制御を行う。
次に、本発明によって実現される効果の一例について、図13および図14を参照しながら説明する。図13は、図1の操舵制御装置9によって演算される各パラメータの時間変化の第1の例を示す説明図である。図14は、図1の操舵制御装置9によって演算される各パラメータの時間変化の第2の例を示す説明図である。
まず、図13について説明する。図13には、操舵制御装置9によって演算される各パラメータの時間波形として、操舵制御量、信頼性確認結果TCR、比較演算結果CRおよび操舵指令値のそれぞれの時間波形が示されている。また、操舵制御量の時間波形を示すグラフには、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのそれぞれの時間波形が図示されている。さらに、操舵指令値の時間波形を示すグラフには、操舵指令値SCの時間波形とともに、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのそれぞれの時間波形も比較のために併せて図示されている。
図13において、時刻T1以前では、信頼性確認結果TCRの時間波形から分かるとおり、信頼性確認結果TCRが「11」であるので、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMは、ともに信頼性が高い状態である。
時刻T1では、信頼性確認結果TCRが「11」から「10」に切り替わっている。すなわち、時刻T1は、図中のTCR切り替わりタイミングに相当する。時刻T1において、信頼性確認結果TCRが「11」から「10」に切り替わっているので、撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMは、時刻T1以前と比べて、信頼性が低下している。
また、時刻T1では、比較演算結果CRが「1」から「0」に切り替わっているので、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMについて、制御量近接状態から制御量乖離状態に変化している。
時刻T1以前から時刻T1までの期間では、操舵指令値SCは、撮像版操舵制御量SC_CAMと同値である。すなわち、この期間では、操舵制御量指令部38は、撮像版操舵制御量SC_CAMを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した撮像版操舵制御量SC_CAMと同値となるように操舵指令値SCを演算する。したがって、この期間では、車両1において、撮像部5の画像情報に基づいた操舵制御が行われていることとなる。
時刻T1以降では、操舵指令値SCは、撮像版操舵制御量SC_CAMから衛星版操舵制御量SC_GPSに切り替わり、衛星版操舵制御量SC_GPSと同値となる。すなわち、この期間では、操舵制御量指令部38は、衛星版操舵制御量SC_GPSを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した衛星版操舵制御量SC_GPSと同値となるように操舵指令値SCを演算する。したがって、この期間では、車両1において、衛星6の衛星情報に基づいた操舵制御が行われていることとなる。
ただし、時刻T1の時点で操舵指令値SCが撮像版操舵制御量SC_CAMから衛星版操舵制御量SC_GPSに急に切り替わるのではなく、図中の斜線部の切り替え領域の期間で操舵指令値SCが撮像版操舵制御量SC_CAMから衛星版操舵制御量SC_GPSに徐々に切り替わり、切り替え領域の期間以降で衛星版操舵制御量SC_GPSと同値となる。
このように、撮像部5の画像情報に基づいた操舵制御および衛星6の衛星情報に基づいた操舵制御のそれぞれの信頼性をチェックし、信頼性の高い操舵制御への制御切り替えをスムーズに行うように構成している。その結果、自動操舵制御システムとしての制御継続性が向上するとともに、走行環境条件への柔軟な対応が可能となる。
続いて、図14について説明する。図14には、操舵制御装置9によって演算される各パラメータの時間波形として、操舵制御量、信頼性確認結果TCR、比較演算結果CRおよび操舵指令値のそれぞれの時間波形が示されている。また、操舵制御量の時間波形を示すグラフには、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMのそれぞれの時間波形が図示されている。さらに、操舵指令値の時間波形を示すグラフには、操舵指令値SCの時間波形とともに、衛星版操舵制御量SC_GPS、撮像版操舵制御量SC_CAMおよび制限付き撮像版制御量SC_CAMRのそれぞれの時間波形も比較のために併せて図示されている。
図14において、信頼性確認結果TCRの時間波形から分かるとおり、信頼性確認結果TCRが「11」であるので、衛星版操舵制御量信頼性情報T_GPSおよび撮像版操舵制御量信頼性情報T_CAMは、ともに信頼性が高い状態である。
時刻T2では、比較演算結果CRが「1」から「0」に切り替わっている。すなわち、時刻T2は、図中のCR切り替わりタイミングに相当する。時刻T2において、比較演算結果CRが「1」から「0」に切り替わっているので、衛星版操舵制御量SC_GPSおよび撮像版操舵制御量SC_CAMについて、制御量近接状態から制御量乖離状態に変化している。
時刻T2以前から時刻T2までの期間では、操舵指令値SCは、撮像版操舵制御量SC_CAMと同値である。すなわち、この期間では、操舵制御量指令部38は、撮像版操舵制御量SC_CAMを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した撮像版操舵制御量SC_CAMと同値となるように操舵指令値SCを演算する。したがって、この期間では、車両1において、撮像部5の画像情報に基づいた操舵制御が行われていることとなる。
時刻T2以降では、操舵指令値SCは、撮像版操舵制御量SC_CAMから制限付き撮像版制御量SC_CAMRに切り替わり、制限付き撮像版制御量SC_CAMRと同値となる。すなわち、この期間では、操舵制御量指令部38は、制限を付与した撮像版操舵制御量SC_CAMを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した撮像版操舵制御量SC_CAMと同値となるように操舵指令値SCを演算する。したがって、この期間では、車両1において、撮像部5の画像情報に基づいた操舵制御が行われていることとなる。
ただし、時刻T2の時点で操舵指令値SCが撮像版操舵制御量SC_CAMから制限付き撮像版制御量SC_CAMRに急に切り替わるのではなく、図中の斜線部の切り替え領域の期間で操舵指令値SCが撮像版操舵制御量SC_CAMから制限付き撮像版制御量SC_CAMRに徐々に切り替わり、切り替え領域の期間以降で制限付き撮像版制御量SC_CAMRと同値となる。
このように、撮像部5の画像情報に基づいた操舵制御および衛星6の衛星情報に基づいた操舵制御のそれぞれの信頼性をチェックし、それぞれの信頼性がともに高い状態であっても、制御量乖離状態である場合には、撮像版操舵制御量SC_CAMに対して制限を付与した制御量を用いた操舵制御へ制御切り替えをスムーズに行うように構成している。その結果、自動操舵制御システムとしての制御継続性が向上するとともに、走行環境条件への柔軟な対応が可能となる。
以上、本実施の形態1によれば、衛星版操舵制御量信頼性情報および撮像版操舵制御量信頼性情報から、衛星版操舵制御量および撮像版操舵制御量のそれぞれの信頼性が信頼性基準を満たしているか否かを判断し、判断結果に従って衛星版操舵制御量および撮像版操舵制御量のいずれかを操舵指令値演算用制御量として選択し、選択した操舵指令値演算用制御量と同値となるように操舵指令値を演算するように構成する。
これにより、衛星から受信した衛星情報に基づいた操舵制御と、撮像部によって撮像された画像情報に基づいた操舵制御とのそれぞれの信頼性をチェックすることが可能となり、さらに、信頼性の高い操舵制御への制御切り替えをスムーズに行うことが可能となる。その結果、従来と比べて、操舵制御の信頼性を向上させることができる。
また、上記のように構成することで、自動操舵制御システムとしての制御継続性を向上するとともに、走行環境条件への柔軟な対応が可能となる。上記の構成に対して、操舵制御の状況をドライバに表示するようにさらに構成することで、ドライバへ安心感を付与することが可能となる。