JP6016386B2 - X線光学装置 - Google Patents
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Description
間隔を空けて並べて配置された少なくとも3枚のX線反射基板からなり、隣り合う前記X線反射基板により規定される複数のX線通路のそれぞれに前記X線源から入射したX線のそれぞれが互いに平行化されて前記各X線通路から出射されるX線反射構造体と、
前記X線源から入射し、前記X線反射構造体の前記X線通路から出射されたX線の強度を検出するX線検出器と、を備えるX線光学装置であって、
前記X線反射構造体の前記X線が入射される一端面をX線の入口、前記X線が出射される他端面をX線の出口としたときに前記出口の前記X線反射基板のピッチが前記入口のピッチより広く、
前記X線通路の両側の前記X線反射基板からの距離が等しい位置に仮想面を設けたとき、前記X線源は複数の前記仮想面の前記入口における接平面上に位置しており、複数の前記仮想面の前記出口における前記接平面は略平行であり、
前記X線源と前記入口との対向方向の距離をL 1 、前記各X線通路にX線が入射するときの視射角の臨界角をθ c とすると、前記X線源と前記X線通路との前記対向方向に垂直な方向の距離Δ s が、
Δ s <L 1 ×θ c である。
そして第一の特徴は、前記X線反射基板の厚さは、前記入口側よりも前記出口側が大きく、
隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記入口から前記出口に向かう方向において一定であり、
前記X線検出器の画素サイズをΔ d 、前記出口と前記X線検出器との対向方向の距離をL 3 、X線源の光源サイズをs、隣り合う前記X線反射基板間の間隔をgとすると、
0.5×Δ d <L 3 ×(s+g)/L 1 <2×Δ d
である。
第二の特徴は、隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記入口側よりも前記出口側が大きく、
前記X線反射基板の厚さは、前記入口から前記出口に向かう方向において一定であり、
前記出口と前記X線検出器との対向方向の距離をL 3 、隣り合う前記X線反射基板間の前記出口側の間隔をg out 、隣り合う前記X線反射基板間の前記入口側の間隔をg in 、前記X線反射基板の長さをL 2 とすると、
前記X線検出器に形成される半影量Δ p が、
L 3 ×(g out −g in )/L 2 <Δ p
である。
第三の特徴は、隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記入口側よりも前記出口側が大きく、
前記X線反射基板の厚さは、前記入口から前記出口に向かう方向において一定であり、
前記X線検出器の画素サイズをΔ d 、前記出口と前記X線検出器との対向方向の距離をL 3 、隣り合う前記X線反射基板間の前記出口側の間隔をg out 、隣り合う前記X線反射基板間の前記入口側の間隔をg in 、前記X線反射基板の長さをL 2 とすると、
0.5×Δ d <L 3 ×(g out −g in )/L 2 <2×Δ d
である。
図1に示すように、スリットレンズ3は、X線反射基板11が間隔を空けて並べて配置された構造を有し、少なくとも3枚のX線反射基板11で構成される。隣り合うX線反射基板間の間隔はスペーサ等により形成される。X線反射基板11に両側を挟まれた複数の通路(以下、「X線通路」という。)にそれぞれ入射したX線2は、各X線通路の両側のX線反射基板11で反射され平行化されて各X線通路から出射される。スリットレンズ3の一端面をX線の入口、他端面をX線の出口としたときに出口のX線反射基板11のピッチの方が入口のピッチよりも広くなっている。本発明における「平行化」とは、X線反射基板11の積層方向(y方向)のX線の成分を小さくして、X線の出射方向をy方向と垂直な面(xz平面)に平行にすることをいう。
まず、本発明を適用したX線撮影装置において、X線源1からスリットレンズ3のX線通路に入射しX線通路を透過したX線を試料に照射して、その透過像をX線検出器4に投影したときの半影量(分解能)について図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明の原理を示す概念図、図2は図1のスリットレンズ3のX線源1を通るYZ平面である。
Δp=L3×θout (式1)
と表せる。上記式1は各X線通路から出射されるX線について成立する。
0.5<Δp/Δd<2 (式2)
次に、スリットレンズ3の各X線通路から出射されるX線を平行化する原理(平行化原理)について図2及び図3を用いて説明する。図3は図2のスリットレンズ3の二点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。以下、X線反射基板11としてガラス薄板を用いた場合で説明するが、X線反射基板11はガラス薄板でなくても良く、金属等でも良い。
Δs<L1×θc (式3)
となる必要がある。即ち、上記式3を満たすように、スリットレンズ3とX線源1の相対位置、ガラス薄板とX線源1の相対位置を決める必要がある。図4のX線源1の場合、L1は光源サイズsのX線を発生させるX線発生部とスリットレンズ3の入口との対向方向の距離、Δsは前記X線発生部とX線通路との前記対向方向に垂直な方向の距離を指す。
θgmax=(s+g)/2L1 (式4)
となる。ここで、sはX線源1の光源サイズ(光源の直径)であり、光源の強度分布がガウシアン分布に近似できる場合2σとする。gは隣り合うガラス薄板間の間隔とする。但し、θgmaxは臨界角θcより小さい角度でなければならない。
θout=2×θgmax (式5)
となる。このとき、半影量Δpは、上記式1、式4及び式5より、
Δp=L3×(s+g)/L1 (式6)
となる。また、上記式2及び式6より、
0.5×Δd<L3×(s+g)/L1<2×Δd (式7)
となる。
Δout-a<(s+g)/L1 (式8a)
Δout-b<Δd/L3 (式8b)
θ1=θ0−θa (式9)
となる。従って、n回目の反射後の角度θnは、θ0−n×θa>0の範囲で、
θn=θ0−n×θa (式10)
となる。θn<0.5×θaとなると、X線2がガラス薄板に到達しないので、半発散角は変わらない。また、隣り合うガラス薄板間の出口側の間隔をgout、隣り合うガラス薄板間の入口側の間隔をginとし、ガラス薄板の長さをL2とすると、
θa=(gout−gin)/L2 (式11)
となる。このとき、θa<θoutなので、半影量Δpは、上記式1及び式11より、
(gout−gin)×L3/L2<Δp (式12)
となる。また、上記式2及び式12より、
0.5×Δd<L3×(gout−gin)/L2<2×Δd (式13)
となる。
Δout-a<(gout−gin)/L2 (式14a)
Δout-b<Δd/L3 (式14b)
Δx=s×L3/(L2+L1) (式15)
となり、スリットレンズ3、X線源1、X線検出器4の相対位置で決まる。
本実施例は、図2に示すように、隣り合うガラス薄板間の間隔gは10μmで一定、全てのガラス薄板の厚さは出口側が20μm、入口側が10μmのスリットレンズ3を用いた例である。
0.5×L1/L3×Δd−g<s<2×L1/L3×Δd−g (式16)
となる。X線源1とスリットレンズ3の入口との対向方向の距離L1=100mm、スリットレンズ3の出口とFPDとの対向方向の距離L3=200mm、FPDの画素サイズΔd=100μmのとき、光源サイズsの許容範囲は15μm<s<90μmとなる。この範囲に入るように、光源サイズsを調整すれば良い。図4に示す透過型のX線源1では、電子線源12から放出された電子線13が、電子を収束させるための電子レンズ14で収束されてターゲット15上に集光される。電子線13のサイズは、電子レンズ14のパワーを変えることで容易に変えることができる。これにより、X線源1の光源サイズsを調整することができる。
本実施例は、図6に示すように、全てのガラス薄板の厚さは一定で、隣り合うガラス薄板間の間隔は出口側goutが50μm、入口側ginが10μmのスリットレンズ3を用いた例である。
s<L1×2θc (式17)
となるように調整する。
本実施例は、図8に示すように、隣り合うガラス薄板から等距離の位置に仮想面を設けたとき、X線源が複数の仮想面の入口側の接平面上に位置しており、複数の仮想面の出口側の接平面16は共通の直線17で交差しているスリットレンズ3を用いた例である。本実施例においても、簡易な構造で、X線を効率的に平行化して出射させることができ、分解能の低下を所定の範囲に抑えることができる。
Claims (16)
- X線源と、
間隔を空けて並べて配置された少なくとも3枚のX線反射基板からなり、隣り合う前記X線反射基板により規定される複数のX線通路のそれぞれに前記X線源から入射したX線のそれぞれが互いに平行化されて前記各X線通路から出射されるX線反射構造体と、
前記X線源から入射し、前記X線反射構造体の前記X線通路から出射されたX線の強度を検出するX線検出器と、を備えるX線光学装置であって、
前記X線反射構造体の前記X線が入射される一端面をX線の入口、前記X線が出射される他端面をX線の出口としたときに前記出口の前記X線反射基板のピッチが前記入口のピッチより広く、
前記X線通路の両側の前記X線反射基板からの距離が等しい位置に仮想面を設けたとき、前記X線源は複数の前記仮想面の前記入口における接平面上に位置しており、複数の前記仮想面の前記出口における前記接平面は略平行であり、
前記X線源と前記入口との対向方向の距離をL 1 、前記各X線通路にX線が入射するときの視射角の臨界角をθ c とすると、前記X線源と前記X線通路との前記対向方向に垂直な方向の距離Δ s が、
Δ s <L 1 ×θ c であり、
前記X線反射基板の厚さは、前記入口側よりも前記出口側が大きく、
隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記入口から前記出口に向かう方向において一定であり、
前記X線検出器の画素サイズをΔ d 、前記出口と前記X線検出器との対向方向の距離をL 3 、X線源の光源サイズをs、隣り合う前記X線反射基板間の間隔をgとすると、
0.5×Δ d <L 3 ×(s+g)/L 1 <2×Δ d
であることを特徴とするX線光学装置。 - 前記全てのX線反射基板の平行度Δoutが、
(s+g)/L1、Δd/L3
のうちの大きい方よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のX線光学装置。 - 隣り合う前記X線反射基板の間隔は、前記X線反射基板が積層された方向において一定であることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線光学装置。
- 隣り合う前記X線反射基板の間隔は、前記X線反射基板が前記X線源と対向する辺に沿って一定であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記X線反射基板間に配置されたスペーサにより規定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- X線源と、
間隔を空けて並べて配置された少なくとも3枚のX線反射基板からなり、隣り合う前記X線反射基板により規定される複数のX線通路のそれぞれに前記X線源から入射したX線のそれぞれが互いに平行化されて前記各X線通路から出射されるX線反射構造体と、
前記X線源から入射し、前記X線反射構造体の前記X線通路から出射されたX線の強度を検出するX線検出器と、を備えるX線光学装置であって、
前記X線反射構造体の前記X線が入射される一端面をX線の入口、前記X線が出射される他端面をX線の出口としたときに前記出口の前記X線反射基板のピッチが前記入口のピッチより広く、
前記X線通路の両側の前記X線反射基板からの距離が等しい位置に仮想面を設けたとき、前記X線源は複数の前記仮想面の前記入口における接平面上に位置しており、複数の前記仮想面の前記出口における前記接平面は略平行であり、
前記X線源と前記入口との対向方向の距離をL 1 、前記各X線通路にX線が入射するときの視射角の臨界角をθ c とすると、前記X線源と前記X線通路との前記対向方向に垂直な方向の距離Δ s が、
Δ s <L 1 ×θ c であり、
隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記入口側よりも前記出口側が大きく、
前記X線反射基板の厚さは、前記入口から前記出口に向かう方向において一定であり、
前記出口と前記X線検出器との対向方向の距離をL3、隣り合う前記X線反射基板間の前記出口側の間隔をgout、隣り合う前記X線反射基板間の前記入口側の間隔をgin、前記X線反射基板の長さをL2とすると、
前記X線検出器に形成される半影量Δpが、
L3×(gout−gin)/L2<Δp
であることを特徴とするX線光学装置。 - 前記X線検出器の画素サイズをΔ d とすると、
0.5×Δd<L3×(gout−gin)/L2<2×Δd
であることを特徴とする請求項6に記載のX線光学装置。 - 前記X線検出器の画素サイズをΔ d とすると、
前記全てのX線反射基板の平行度Δoutが、
(gout−gin)/L2、Δd/L3
のうちの大きい方よりも小さいことを特徴とする請求項6又は7に記載のX線光学装置。 - 前記X線反射基板の厚さは、前記X線反射基板が積層された方向において一定であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 前記X線反射基板の厚さは、前記X線反射基板が前記X線源と対向する辺に沿って一定であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記X線反射基板間に配置されたスペーサにより規定されていることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- X線源と、
間隔を空けて並べて配置された少なくとも3枚のX線反射基板からなり、隣り合う前記X線反射基板により規定される複数のX線通路のそれぞれに前記X線源から入射したX線のそれぞれが互いに平行化されて前記各X線通路から出射されるX線反射構造体と、
前記X線源から入射し、前記X線反射構造体の前記X線通路から出射されたX線の強度を検出するX線検出器と、を備えるX線光学装置であって、
前記X線反射構造体の前記X線が入射される一端面をX線の入口、前記X線が出射される他端面をX線の出口としたときに前記出口の前記X線反射基板のピッチが前記入口のピッチより広く、
前記X線通路の両側の前記X線反射基板からの距離が等しい位置に仮想面を設けたとき、前記X線源は複数の前記仮想面の前記入口における接平面上に位置しており、複数の前記仮想面の前記出口における前記接平面は略平行であり、
前記X線源と前記入口との対向方向の距離をL 1 、前記各X線通路にX線が入射するときの視射角の臨界角をθ c とすると、前記X線源と前記X線通路との前記対向方向に垂直な方向の距離Δ s が、
Δ s <L 1 ×θ c であり、
隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記入口側よりも前記出口側が大きく、
前記X線反射基板の厚さは、前記入口から前記出口に向かう方向において一定であり、
前記X線検出器の画素サイズをΔ d 、前記出口と前記X線検出器との対向方向の距離をL 3 、隣り合う前記X線反射基板間の前記出口側の間隔をg out 、隣り合う前記X線反射基板間の前記入口側の間隔をg in 、前記X線反射基板の長さをL 2 とすると、
0.5×Δ d <L 3 ×(g out −g in )/L 2 <2×Δ d
であることを特徴とするX線光学装置。 - 前記全てのX線反射基板の平行度Δ out が、
(g out −g in )/L 2 、Δ d /L 3
のうちの大きい方よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載のX線光学装置。 - 前記X線反射基板の厚さは、前記X線反射基板が積層された方向において一定であることを特徴とする請求項12又は13に記載のX線光学装置。
- 前記X線反射基板の厚さは、前記X線反射基板が前記X線源と対向する辺に沿って一定であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 隣り合う前記X線反射基板間の間隔は、前記X線反射基板間に配置されたスペーサにより規定されていることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載のX線光学装置。
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