JP2015031617A - X線光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の反射基板11が間隙を開けて積層された積層構造をなし、該積層構造体の一側面である入口から前記間隙に入射したX線2が、前記間隙を構成する二枚の反射基板11で反射されて、前記積層構造体の一側面とは反対側の側面である出口から出射されるX線光学装置において、薄い反射基板11でも変形しにくい構造とする。
【解決手段】各反射基板11の間に、前記隙間を確保するためのスペーサー12が、前記積層構造体の中央は疎、両側は密な配置密度で挟み込まれ、前記スペーサーの配置密度が密な前記積層構造体の両側部が、前記反射基板の積層方向に挟み付けられた構造とする。
【選択図】図1
【解決手段】各反射基板11の間に、前記隙間を確保するためのスペーサー12が、前記積層構造体の中央は疎、両側は密な配置密度で挟み込まれ、前記スペーサーの配置密度が密な前記積層構造体の両側部が、前記反射基板の積層方向に挟み付けられた構造とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、X線を被写体に照射するためのX線光学装置に関し、特に、発散しながら進行するX線を平行化して出射するX線光学装置に関する。
X線を一次元平行化するためのX線光学装置が知られている。反射基板である金属平板を一定間隔で積層したいわゆるソーラースリットはその一つであり、X線の非平行成分を金属平板に吸収させ、一定範囲の平行成分だけを透過させることができる。
従来、ソーラースリットにおける金属平板の変形や撓みを防ぐために、金属板を厚くするほか、周囲に枠を設けて金属平板を保持することが行われている(特許文献1)。また、製造過程において、金属平板の間にスペーサーを設けて、金属平板を所定の間隔に保って組み立てた後、周囲に金属平板を固定する枠を設けて、スペーサーを除去する製造方法も提案されている(特許文献2)。このようにソーラースリットでは、周囲に設けた枠が金属平板に引っ張り張力を与えることで、金属平板を所定の間隔に保っている。更に、平行平板以外の放物面をもつ金属板も、同様に枠を設けて金属平板に放物面形状を与えていた(非特許文献1)。この場合、金属板を数百μmの厚さにすることで、形状を保持していた。
Proceedings of SPIE Vol. 5488−449
X線光学装置は、周囲に設けた枠によって反射基板の形状を保持しているが、X線光学装置の面積が大きくなると、反射基板が撓んで部分的に平行度に不均一性がでてしまう問題があった。また、平面以外の反射基板では、所定の形状の外枠で反射基板を保持することで所定の形状を作ることができるが、反射基板を厚くする必要があった。そのため、反射基板間の間隔が小さくなるにつれて、反射基板間の間隔に対する反射基板の肉厚の割合が増え、開口率が下がって、反射基板で止められるX線の比率が多くなる欠点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、複数の反射基板が隙間を開けて積層された積層構造を有するX線光学装置において、薄い反射基板でも変形しにくく構造とすることを目的とする。
本発明は、上記目的のために、複数の反射基板が隙間を開けて積層された積層構造をなし、該積層構造体の一側面である入口から前記隙間に入射したX線が、前記隙間を構成する二枚の反射基板で反射されて、前記積層構造体の一側面とは反対側の側面である出口から出射されるX線光学装置において、
各反射基板の間に、前記隙間を確保するためのスペーサーが挟み込まれていることを特徴とするX線光学装置を提供するものである。
各反射基板の間に、前記隙間を確保するためのスペーサーが挟み込まれていることを特徴とするX線光学装置を提供するものである。
本発明においては、各反射基板の間にスペーサーを挟み込んで隙間を維持しているので、薄い反射基板でも撓みが生じにくい。
図面を参照して本発明を更に説明する。なお、以下に参照する図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
<基本原理>
まず、本発明に係るX線光学装置の基本原理について説明する。
まず、本発明に係るX線光学装置の基本原理について説明する。
(1)スリットレンズ
本発明のX線光学装置は、X線源から放射されたX線の疑似平行化素子で、図1に示すように、両面で反射する多数の反射基板11を所定の隙間を開けて積層した積層構造をもつ。X線源1から放射されたX線は、積層構造体の一側面である入口から間隙に入射し、間隙を構成する二枚の反射基板11で反射されて、積層構造体の一側面とは反対側の側面である出口から出射される。積層された反射基板11の間の隙間に入射したX線2は、積層された反射基板11で反射されながら進む。反射基板11を所定の間隔で積層した積層構造体をスリットレン3と呼ぶことにする。このスリットレンズ3を、スリットレンズ3を透過したX線を試料に照射してその透過像を得るX線撮像装置に用いた場合を例に、本発明の原理を説明する。
本発明のX線光学装置は、X線源から放射されたX線の疑似平行化素子で、図1に示すように、両面で反射する多数の反射基板11を所定の隙間を開けて積層した積層構造をもつ。X線源1から放射されたX線は、積層構造体の一側面である入口から間隙に入射し、間隙を構成する二枚の反射基板11で反射されて、積層構造体の一側面とは反対側の側面である出口から出射される。積層された反射基板11の間の隙間に入射したX線2は、積層された反射基板11で反射されながら進む。反射基板11を所定の間隔で積層した積層構造体をスリットレン3と呼ぶことにする。このスリットレンズ3を、スリットレンズ3を透過したX線を試料に照射してその透過像を得るX線撮像装置に用いた場合を例に、本発明の原理を説明する。
(2)解像力
疑似平行化素子であるスリットレンズ3を透過してきたX線2によって像を投影したときの分解能を説明する。図2に示すように、スリットレンズ3の出口に無限小の物体Aがあって、そのボケを像の分解能Δpと定義すると、Δpはスリットレンズ3の出口の発散角θoutと、スリットレンズ3の出口とX線検出器4の距離L3によって、
疑似平行化素子であるスリットレンズ3を透過してきたX線2によって像を投影したときの分解能を説明する。図2に示すように、スリットレンズ3の出口に無限小の物体Aがあって、そのボケを像の分解能Δpと定義すると、Δpはスリットレンズ3の出口の発散角θoutと、スリットレンズ3の出口とX線検出器4の距離L3によって、
(3)擬似平行化原理
次に、スリットレンズ3の平行化原理について図2及び図3を用いて説明する。
次に、スリットレンズ3の平行化原理について図2及び図3を用いて説明する。
X線源1から発せられたX線2は、発散光で全方位に放射される。図2に示すようにX線源1から距離L1の位置にスリットレンズ3が置かれている。スリットレンズ3は、多数の反射基板11からなる。反射基板11は、例えばガラス薄板で構成することができる。反射基板11は、1枚の厚さが数μm〜数十μmで、数十枚から数百枚重ねられている。反射基板11のうち、隣接する二枚を反射基板11aと11bとすると、その間に入射したX線2は、反射基板11aと11bの両者で反射されながら進んでいき、X線源1とは反対側の出口から放射される。ここで、反射基板11は緩やかな曲率をもっている。
図3に示すように、反射基板11aと11bの間の隙間内に、両側の反射基板11a,11bとそれぞれ等距離に仮想面5をおき、仮想面5のX線入射位置における接平面6を考える。スリットレンズ3は、図3と同様にして複数の反射基板11間の全隙間に想定した複数の仮想面5の接平面6が、1本の直線で交わり、その線上にX線源1がある構成とする。このような関係にあるX線源1から発せられたX線2は、例えば反射基板11aと11bの2面で反射しながら進んでいく。また、反射基板11bの反射基板11aとは反対側に反射基板11cが隣接しているとすると、隣接する反射基板11bと11cで構成された隙間でも同様に、入射したX線2が反射しながら進む。このため、反射基板11bは両面でX線を反射する。すなわち、最外部に位置する2枚の反射基板11を除き、中間部の反射基板11は両面でX線を反射するものとなっている。
第4図に波長0.071nmに対する石英板のX線の反射率を示す。横軸が視射角、縦軸が反射率である。視射角が0.5mradでは、反射率が99.8%以上であり、50回の反射で90%以上透過することがわかる。また、第4図から分かるように、視射角が1.8mradで反射率が急激に減衰する。この視射角を臨界角とよびθcで表わす。総ての接平面6は、共通の直線で交わるように構成されているが、接平面6の角度ずれが大きくなると、X線源1を見込む反射基板11の角度がずれ、視射角が臨界角θcより大きくなる、X線源1から発せられたX線2が反射しなくなる。そのため、全ての接平面6と光源1の距離Δsは、
反射基板11が一定の間隔gで重ねられたスリットレンズ3から出射されるX線2の放射角θoutを求める。このようなスリットレンズ3は、楔形の厚さの反射基板11を積層することでつくることができる。反射基板11で反射するX線2の接平面6と最大の視射角θgmaxは、
一方、スリットレンズ3のX線2の出射側(出口側)において、反射基板11は平行になっている。つまり、反射基板11の間の隙間内に、この隙間を構成する両側の反射基板11と等距離に仮想面5(図3参照)をおいたとき、X線2の出射点における複数の仮想面5の接平面6が概略平行になっている。これにより、スリットレンズ3を透過してきたX線2の放射角θoutは、
次に、反射基板11の一定の間隔が徐々に広がっていく場合、出射側のX線2の平行度を求める。簡単にするために、第5図に示すように、2枚の反射基板11aと11bが、両者間の間隔が徐々に広がるように斜めに向き合わされた場合について考える。2枚のガラス薄板11aと11bが角度θaをなす場合、点P0における発散角θ0(θ0+0.5×θa<θc)で反射基板11aに入射したX線は反射して、反射基板11bの点P1で反射するものとする。ここで、発散角を2枚の反射基板11aと11b間の等距離にある仮想面5とX線2のなす角とする。1回目の反射後の発散角θ1は、
また、やはり図5に示すように、反射基板11aと11bの間の隙間のX線2の入口側の間隔をg1、出口側の間隔をg2とし、X線2の入り口と出口間の間隔[光軸10(図2参照)方向の反射基板11aと11bの長さ]をL2とするとき、
一方、反射基板11が曲率持たない次元、即ち、紙面に垂直の方向の分解能Δxは、
以上説明したとおり、反射基板11間が一定の間隔gとなったスリットレンズ3では、出射時のX線発散角は入射時のX線視射角に依存する。さらに、反射基板11間の間隔がX線2の入り口側から出口側に向かって徐々に広がっていく場合、出射側のX線の平行度は、反射基板11間の開き角によってきまる。ところが、図6に示すように、反射基板11の一部(例えば反射点P2近傍)撓みがあると、それ以降の視射角θ3>θ0となり、再びθ0に戻ることが無い。反射基板11の一部に撓みがあると、X線2の放射角θoutは、2×θ0より大きくなって、解像力が下がってしまう。更に、撓み量が大きくθ3>θcの場合、反射しなくなる。反射基板11間の間隔が徐々に広がっていくスリットレンズ3においても、反射基板11の一部に撓みがあると解像力が下がる。従って、いずれの形状においても、反射基板11は緩やかに曲がって、所定の間隔で積層されていることが重要となる。そのため、本発明では、所定の間隔を確保するために、所定の高さのスペーサー12(図1参照)をX線2の光路中に配置し、反射基板11の撓み等の変形を防止する。
中央部のスペーサー12はX線2の光路中におかれるため、X線2を減衰させる。そのため、中央部においては疎となる配置密度でスペーサー12を挟み込むことが好ましい。また、スリットレンズ3の保持や形状維持のため、外側から力を加えて、その外形を固定しなければならない。しかしながら、力を加えると、スペーサー12の密度が小さいと反射基板11が撓んでしまう。そこで、図1に示すように、X線2の光路から外れた両側部のスペーサー12の密度を増加させて、そこの位置の反射基板11の積層体に力を加えて、スリットレンズ3全体の形状と反射基板11間の間隔を所定の値に保つ。
次に、第2図に示すように、X線の光路をθ0だけ偏向させる、透過率がもっとも高い反射基板11の形状を求める。N回反射して主光線が発散角θinのX線が光軸10に平行に出て行く場合を考える。図7に、波長0.071nmにおける視射角と石英板の反射率の関係を示す。縦軸に反射率をとった。視射角θの反射率をRθとし、反射率を視射角θの二次の項までで近似する。
図8(a)の計算と同じようにして、Rθ2n-1=一定でRθ2n=一定がもっとも高い反射率となる。即ち、円弧形状をもつ反射基板11がもっとも高い反射率をもつ。結局、図8(a)と(b)いずれの場合のスリットレンズ3も、反射基板11が円弧形状である場合がもっとも高い透過率となる。
スリットレンズ3は、数十枚から数百枚の反射基板11を積層しているため、全ての反射基板11を円弧状にできない。そのため、最もX線2を曲げる角度の大きい外側付近の反射基板11を円弧状にして、透過率を稼ぐことが望ましい。積層する反射基板11の枚数が多いため、作製方法の容易性から、全ての反射基板11について、同じ位置に同じ高さのスペーサー12を配置することが好ましい。ここで、図9のように、反射基板11のX線2の出口からスペーサー12までの距離l(z軸方向の座標値を示す変数)と、反射基板11の高さh(y軸方向の座標値を示す変数)は、
ここで、Rは円弧の曲率で、
一方、スリットレンズ3を構成するX線の入射側(入口側)の反射基板11の延長線上にX線源1があることが好ましい。そのため、外側の反射基板11であっても、全光路が円弧ではなく、X線入口付近は直線であることが望ましい。例えば第9図のL2の直線長さを有する反射基板11で、長さL22部分が円弧形状をなすようにスペーサー12の高さを決め、X線入口付近の長さL21部分は、円弧状の長さL22の接線に沿った直線になるようにスペーサー12の高さを決めることができる。本場合において、反射基板11の長さL21部分の傾きは、
<第1の実施形態>
第1の実施例について、図1、図9及び図10を用いて説明する。X線源1から放射されたX線2は、反射基板11間の隙間を反射しながら進む。反射基板11が複数枚積層されてスリットレンズ3を構成している。反射基板11間にはスペーサー12が設けられており、反射基板11間は所定の間隔を保っている。総ての反射基板11間には、図10(a),(b)に示すスペーサー12が挟み込まれている。ここで、反射基板11は総て図10(a)に示す形状をしている。図10(b)は、図10(a)におけるA−A断面である。S1〜S6はスペーサー12で、その高さをH1〜H6、位置をl1〜l6をとする。h1〜h4とl1〜l4は式8を満たし、h4〜h6とl4〜l6は式14を満たすように作製されている。
第1の実施例について、図1、図9及び図10を用いて説明する。X線源1から放射されたX線2は、反射基板11間の隙間を反射しながら進む。反射基板11が複数枚積層されてスリットレンズ3を構成している。反射基板11間にはスペーサー12が設けられており、反射基板11間は所定の間隔を保っている。総ての反射基板11間には、図10(a),(b)に示すスペーサー12が挟み込まれている。ここで、反射基板11は総て図10(a)に示す形状をしている。図10(b)は、図10(a)におけるA−A断面である。S1〜S6はスペーサー12で、その高さをH1〜H6、位置をl1〜l6をとする。h1〜h4とl1〜l4は式8を満たし、h4〜h6とl4〜l6は式14を満たすように作製されている。
さらに、X線の照射される領域は、Line1とLine2及び辺E11とE12で囲まれた領域である。その外側の領域13にスペーサー12を高密度に配置する。領域13のスペーサー12も、式17、19及び式21を満たすように位置と高さが決められている。
図10に示す反射基板11を、X線の入口及び出口側の辺E11及びE21の縁が揃うように重ねる。これにより、図9及び図10(b)の様に、断面がl1〜l4(L22の領域)までが円弧、l4〜l6(L21の領域)が直線で構成されたスリットレンズ3が構成される。スリットレンズ3の形状が維持されるように、領域13の部分で上下から力を加えて、反射基板11の積層体を挟み付けて保持する。
<第2の実施形態>
第2の実施例について、図11を用いて説明する。本例は、X線の入口側及び出口側の辺E11及びE21が撓むことを防ぐものである。両辺E11及びE21は、片持ち梁構造のために撓みやすい。撓むとX線の反射率が下がる、場合によっては全く反射しない場合が発生する。反射基板11が撓むと、反射率以外にも図6に示すように、視射角が変化し、スリットレンズ3から放出されるX線の平行度が悪化する。そのため、図11に示すように、X線の入口及び出口側の辺E11及びE21に、辺E11及びE21にそれぞれ平行に、X線の透過を許容する、断面矩形の棒状のスペーサー14を設ける。棒状のスペーサー14はX線の光軸方向に数〜100μmの長さを有し、出入口を全部塞ぐように取り付けられる。高さは、式17、19及び21に従って決められる。100μmの厚さのSiO2は、波長0.07nmのX線を90%以上透過するので、多少の光量減衰があるが、X線は一様に減衰するので照度むらを生じることはない。この様な反射基板11を辺E11及びE21の縁が揃うように積層し、スリットレンズ3の形状が維持されるように、反射基板11の積層方向に挟み付ける。挟み付けは、棒状のスペーサー14が挟み込まれた入口及び出口側の領域を含めて、反射基板11の積層体の四方の辺について行う。
第2の実施例について、図11を用いて説明する。本例は、X線の入口側及び出口側の辺E11及びE21が撓むことを防ぐものである。両辺E11及びE21は、片持ち梁構造のために撓みやすい。撓むとX線の反射率が下がる、場合によっては全く反射しない場合が発生する。反射基板11が撓むと、反射率以外にも図6に示すように、視射角が変化し、スリットレンズ3から放出されるX線の平行度が悪化する。そのため、図11に示すように、X線の入口及び出口側の辺E11及びE21に、辺E11及びE21にそれぞれ平行に、X線の透過を許容する、断面矩形の棒状のスペーサー14を設ける。棒状のスペーサー14はX線の光軸方向に数〜100μmの長さを有し、出入口を全部塞ぐように取り付けられる。高さは、式17、19及び21に従って決められる。100μmの厚さのSiO2は、波長0.07nmのX線を90%以上透過するので、多少の光量減衰があるが、X線は一様に減衰するので照度むらを生じることはない。この様な反射基板11を辺E11及びE21の縁が揃うように積層し、スリットレンズ3の形状が維持されるように、反射基板11の積層方向に挟み付ける。挟み付けは、棒状のスペーサー14が挟み込まれた入口及び出口側の領域を含めて、反射基板11の積層体の四方の辺について行う。
<第3の実施形態>
本例はスリットレンズ3の作製法で、図12に従って、本例のスリットレンズ3の作製法について述べる。スリットレンズ3を構成する各反射基板11のスペーサー12の形成位置はそれぞれ同じで、同じ反射基板11において異なる位置に形成されたスペーサー12は高さが異なる。また、各反射基板11における対応する位置に形成されたスペーサー12の高さは同じになっている。
本例はスリットレンズ3の作製法で、図12に従って、本例のスリットレンズ3の作製法について述べる。スリットレンズ3を構成する各反射基板11のスペーサー12の形成位置はそれぞれ同じで、同じ反射基板11において異なる位置に形成されたスペーサー12は高さが異なる。また、各反射基板11における対応する位置に形成されたスペーサー12の高さは同じになっている。
ステップ1:露光等によって、反射基板11上にスペーサー12の形状をしたレジストパターンを形成する。スペーサー12の高さに応じてレジストパターンを小さく設計しておく。このとき、図7の領域13のスペーサー12もX線の光路と同じ高さになるようにする。
ステップ2:エッチングよってスペーサー12が形成されない部分の反射基板11を一様に薄くし、スペーサー12に対応する部分だけを残す。そのとき、小さいスペーサー12は早期にレジストパターンが無くなるために、オーバーエッチされ、スペーサー12天頂部がエッチングされ低くなる。
ステップ3:エッチングが終了後、辺E11及びE21の縁が揃うようにして、式9と式14に沿った形状の型に反射基板11を積層していく。そのとき、領域13のスペーサー12間に光硬化性の接着剤を添加してもよい。
ステップ4:この様にして必要な枚数の反射基板11を型に入れた後枠に取り付けて上下から力を加えて形成することで、所望の形状のスリットレンズ3が出来上がる。また、領域13のスペーサー12間に光硬化性の接着剤を充填した場合、光を照射して接着剤を硬化させて完成する。
<第4の実施形態>
以上の例はガラス板でX線を反射させたが、金属平板を使用してもよい。その場合、金属表面にカーボン膜や有機膜を形成して反射率を上げてもよい。更に、スペーサーを所定の厚さをもつ金属を射出させて形成してもよい。
以上の例はガラス板でX線を反射させたが、金属平板を使用してもよい。その場合、金属表面にカーボン膜や有機膜を形成して反射率を上げてもよい。更に、スペーサーを所定の厚さをもつ金属を射出させて形成してもよい。
本発明は、光源から発散されたX線の一次元方向成分を集光あるいは平行化させる光学素子に関するものである。特に、X線CTに利用される光学素子である。
1:X線源、2:X線、3:スリットレンズ、4:X線検出器、5:反射基板と等距離に設置された仮想面、6:X線入射位置における仮想面の接平面、11:反射基板、12:スペーサー、13:X線が反射しない領域、14:スペーサー
Claims (8)
- 複数の反射基板が間隙を開けて積層された積層構造をなし、該積層構造体の一側面である入口から前記間隙に入射したX線が、前記間隙を構成する二枚の反射基板で反射されて、前記積層構造体の一側面とは反対側の側面である出口から出射されるX線光学装置において、
各反射基板の間に、前記隙間を確保するためのスペーサーが挟み込まれていることを特徴とするX線光学装置。 - 前記スペーサーが、前記積層構造体の両側部において密で、中央部において疎となる配置密度で挟み込まれていることを特徴とする請求項1に記載のX線光学装置。
- 前記スペーサーの配置密度が密な前記積層構造体の両側部が、前記反射基板の積層方向に挟み付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線光学装置。
- X線の光軸方向の断面において、最外殻の反射基板の少なくとも一部が円弧状をなしていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 前記反射基板の前記入口及び出口側の辺に沿って、X線の透過を許容する棒状のスペーサーが挟み込まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 前記棒状のスペーサーが挟み込まれた前記入口及び出口側の領域が、前記反射基板の積層方向に挟み付けられていることを特徴とする請求項5に記載のX線光学装置。
- 前記各隙間に挟み込まれた前記スペーサーの位置が同じで、対応する位置に挟み込まれた前記スペーサーの高さが同じであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のX線光学装置。
- 前記スペーサーが、反射基板をエッチングすることで形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のX線光学装置。
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