[第1実施形態]
第1実施形態による論理回路及びその駆動方法について図1乃至図10を用いて説明する。
図1は、強誘電体キャパシタを用いた論理回路の原理を示す図である。図2は、強誘電体キャパシタを用いた論理回路における合成電荷の検出方法の一例を示す回路図である。図3は、読み出された総電荷量をもとに論理値の評価を行う方法を示す図である。図4乃至図10は、本実施形態による論理回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
はじめに、本実施形態による論理回路を説明する前に、強誘電体キャパシタを用いた論理回路の原理について図1を用いて説明する。
図1に示す回路は、複数の強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcと、複数の強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに接続されたコンパレータ10とを有している。キャパシタCfa,Cfb,Cfcの一方の電極(下部電極、共通電極又はプレート電極とも呼ぶ)は、互いに接続され、コンパレータ10の入力端子に接続されている。キャパシタCfa,Cfb,Cfcの他方の電極(上部電極とも呼ぶ)には入力信号A,B,Cがそれぞれ入力され、コンパレータ10からは判定値である出力信号Xが出力される。ここでは、3つの強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcを有する場合を示すが、強誘電体キャパシタ10の数は、これに限定されるものではない。
強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcは、自発分極方向をもち、電極への印加電圧により電圧−電荷のヒステリシス特性を示す。電極間に加える電圧差が正又は負の値である+Vc、−Vcを超えると、内部の自発分極方向が反転したとき、多くのチャージを放出又は吸収する。なお、Vcは抗電圧と呼ばれる。
ここで、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに、予め所定の自発分極方向をプログラムしておくものとする。ここでは、図において上向きの分極をU分極と定義し、図において下向きの分極をP分極と定義するものとする。
強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの上部電極に信号A,B,Cを入力して上部電極の電位を上げると、電界の方向と強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの自発分極方向との関係に応じて、下部電極からキャパシタに吸収される電荷量が変化する。すなわち、U分極である強誘電体キャパシタでは下部電極側から吸収される電荷量が少量となり、P分極である強誘電体キャパシタでは下部電極側から吸収される電荷量が多量となる。これにより、アナログ的に重みづけをもった信号A,B,Cの合成を実現することができる。
合成したアナログ電荷量は、電圧センスならば浮遊容量へ充電してその電圧により、電流センスならば電圧を一定として電流値により、コンパレータ10でハイレベル(H)かローレベル(L)かの2値の判定が行われる。すなわち、プログラマブルな重みづけをした、信号A,B,Cの合成を行うことができる。コンパレータ10は、ラッチアンプと基準電圧で構成することや、演算増幅器(OpeAmp)で基準電圧との比較を行うことで実現することができる。
次に、強誘電体キャパシタを用いた論理回路における合成電荷の検出方法の一例について、図2を用いてより詳細に説明する。
強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの下部電極の共通の接続端子であるノードn2には、P型トランジスタPcontのドレイン端子が接続されている。P型トランジスタPcontのソース端子の接続端子であるノードn1には、制御信号が入力されるインバータ12の出力端子と、P型トランジスタPcurrのソース端子とが接続されている。P型トランジスタPcurrのドレイン端子には、容量Ctankが接続されている。P型トランジスタPcontのゲート端子とP型トランジスタPcurrのゲート端子とは、互いに接続されている。P型トランジスタPcontのゲート端子とP型トランジスタPcurrのゲート端子との接続端子であるノードn3とノードn2との間には、容量Cbiasが接続されている。こうして、P型トランジスタPcont、P型トランジスタPcurr、閾値電圧制御用の電圧源としての容量Cbiasにより、カレントミラー回路が構成されている。P型トランジスタPcurrのドレイン端子と容量Ctankとの接続ノードnoutは、コンパレータ10の入力端子に接続される。
強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcには、所定の自発分極方向が書き込まれているものとする。ここでは、分極が上向きでノードn2の電位上昇で分極反転し多くの電荷を吸収するものをP分極、分極が下向きでノードn2の電位上昇で分極の向きが変わらず少ない電荷を吸収するものをU分極と表すものとする。
強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの上部電極に入力する信号A,B,Cをローレベル(GND(グラウンド)レベル)に固定している場合、インバータ12への入力信号である制御信号がハイレベルからローレベルに立ち下がると、カレントミラー回路のVDD側のノードn1はローレベルからハイレベルに立ち上がる。これにより、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの下部電極の共通の接続端子であるノードn2は、P型トランジスタPcontに流れる電流により、ローレベルであった初期状態からVDDレベルへと向かって充電される。この際、容量CbiasによりP型トランジスタPcontの実質の閾値電圧Vthを0とすることで、ノードn2をVDDまで充電するのを可能にしている。
ノードn2がハイレベルになると、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの上部電極にはローレベルの電圧が、下部電極にはハイレベルの電圧が印加されることとなり、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcには抗電圧を超える電圧が印加される。これにより、P分極の強誘電体キャパシタでは分極反転が生じ、この強誘電体キャパシタには多くの電荷が吸収される。一方、U分極の強誘電体キャパシタでは分極の向きは変わらず少ない電荷が吸収される。
ここで、ノードn2の充電電流とこれにミラーリングされた容量Ctankへの充電電流は等しいため、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに吸収される総電荷量と容量Ctankに充電される総電荷量とは等しくなる。この結果、ノードnoutの電圧は、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに吸収された総電荷量に応じたレベルとなる。
ノードnoutの電圧レベルは、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの自発分極方向に応じて変化する。すなわち、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcのうち、3つがU分極の場合(U×3)、1つがP分極で2つがU分極の場合(P×1+U×2)、2つがP分極で1つがU分極の場合(P×2+U×1)、3つがP分極の場合(P×3)の順に、ノードnoutの電圧レベルは高くなる。
ここで、コンパレータ10における1/0の判定レベルVtを、(P×3)の電圧レベルと(P×2+U×1)の電圧レベルとの間のレベルに設定すると、総てがP分極であるANDの論理を判定することができる。また、判定レベルVtを、(P×1+U×2)の電圧レベルと(U×3)との間のレベルに設定すると、総てがU分極であるNORの論理を判定することができる(図3参照)。このように、3つの強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに書き込まれた情報の論理合成を、アナログ量で行うことができる。
インバータ12に入力する信号に同期して立ち上がる信号A,B,Cを強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに入力する場合、各強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcに吸収される電荷量は、0である場合を含めると、P、U、0(P>U>0)の3値となる。
この場合、信号Aがローレベルで強誘電体キャパシタCfaがP分極、信号Bがローレベルで強誘電体キャパシタCfbがP分極、且つ、信号Cがローレベルで強誘電体キャパシタCfcがP分極の場合に限って、3Pレベルとなる。つまり、各信号A,B,Cのレベルと強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの自発分極方向との論理をとったうえで同期パルス駆動される信号A,B,Cに対してNOR合成ができるようになる。例えば、信号Aがハイレベルで強誘電体キャパシタCfaがP分極、信号Bがローレベルで強誘電体キャパシタCfbがP分極、且つ、信号Cがローレベルで強誘電体キャパシタCfcがP分極では、条件は不成立となる。或いは、信号Aがローレベルで強誘電体キャパシタCfaがU分極、信号Bがローレベルで強誘電体キャパシタCfbがP分極、且つ、信号Cがローレベルで強誘電体キャパシタCfcがP分極でも、条件は不成立となる。
読み出し、すなわち論理値の評価時の動作原理は以上のようであるが、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの自発分極方向は1回のオペレーション後には総てU分極になる。このため、再度動作させるためには初期の自発分極方向を再び設定する必要がある。そこで、本実施形態による論理回路では、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの読み出し後、初期状態への書き戻しを行う。
次に、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの読み出し後に書き戻しを行う方法について、図4乃至図9を用いて説明する。
強誘電体キャパシタの読み出し後の書き戻しには、評価用の強誘電体キャパシタ(以下、「評価用キャパシタ」と呼ぶ)のほかに、バックアップ用の強誘電体キャパシタ(以下、「スレイブキャパシタ」と呼ぶ)を用いる。
ここでは、一つの強誘電体キャパシタの読み出しから書き戻しまでを説明するが、複数の評価用キャパシタを用いる場合には、これらに対応して複数のスレイブキャパシタが用いられる。本願明細書では、評価用キャパシタやスレイブキャパシタを複数用いる場合、これらを「強誘電体キャパシタ群」と表現することもある。
評価用キャパシタの読み出しから書き戻しまでは、例えば図4乃至図7に示す4つのステップにより行うことができる。
図4乃至図7において、上段の3つの強誘電体キャパシタが評価用キャパシタCfを示し、下段の3つの強誘電体キャパシタがスレイブキャパシタCfxを示している。3つの強誘電体キャパシタは、一つの強誘電体キャパシタについて異なる状態を示したものである。すなわち、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとの接続関係を左側に、評価用キャパシタCfの初期状態がP分極であるときの自発分極方向の変化を中央に、評価用キャパシタCfの初期状態がU分極であるときの自発分極方向の変化を右側に、それぞれ示している。
初期状態において、スレイブキャパシタCfxはU分極に設定しておく。すなわち、評価用キャパシタCfがP分極のときにはスレイブキャパシタCfxはU分極であり(図4の中央)、評価用キャパシタCfがU分極のときにもスレイブキャパシタCfxはU分極である(図4の右側)。また、下記一連のステップにおいて、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの上部電極には、GNDレベルの電圧を常時印加しておくものと考える。
まず、評価用キャパシタCfの読み出しを行う。評価用キャパシタCfの読み出しは、評価用キャパシタCfのプレート電極(下部電極)PLEvaにプラス電位のパルス信号を印加することにより行う。
評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaにプラス電位が印加されると、評価用キャパシタCfには抗電圧の大きさを超える電圧が印加されることになる。これにより、評価用キャパシタCfがP分極のときには分極反転が生じ、評価用キャパシタCfがP分極からU分極に変化する(図4の中央)。また、評価用キャパシタCfがU分極のときには分極反転は生じず、評価用キャパシタCfはU分極のまま維持される(図4の右側)。
このとき、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaに印加するプラス電位と同期して、スレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvにはマイナス電位を印加する。また、評価用キャパシタCfの上部電極とスレイブキャパシタCfxの上部電極とは、P型トランジスタQP1を含むチャージトランスファアンプを介して接続する。チャージトランスファアンプは、ゲート電位を固定したソースフォロアである。
P型トランジスタQP1のゲート電圧を−Vthの電位にすると、評価用キャパシタCfの読み出しに伴い発生する電荷によってP型トランジスタQP1のソース(図面において上側)の電位が上昇する。そして、ソースの電位が上昇した分の電荷がP型トランジスタQP1を通過してスレイブキャパシタCfxに移動し、スレイブキャパシタCfxが充電される。
評価用キャパシタCfの分極反転が生じたときには、スレイブキャパシタCfxに分極反転に十分な電荷が送られ、スレイブキャパシタCfxはU分極からP分極に変化する(図4の中央)。評価用キャパシタCfの分極反転が生じていないときには、スレイブキャパシタCfxの分極反転に十分な電荷は送られず、スレイブキャパシタCfxの分極反転は生じず、スレイブキャパシタCfxはU分極のまま維持される(図4の右側)。すなわち、初期状態における評価用キャパシタCfの自発分極方向を、スレイブキャパシタCfxにコピー(バックアップ)することができる。
次いで、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとの接続を、P型トランジスタQP1を含むチャージトランスファアンプ(図6)にもどす。その後、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaの電位及びスレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvの電位をGNDレベルに戻す。このとき、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの自発分極方向は、変化しない。すなわち、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの自発分極方向がU分極であればそのままU分極を維持し、P分極であればそのままP分極を維持する(図5)。
次いで、評価用キャパシタCfの書き戻しを行う。評価用キャパシタCfの書き戻しは、スレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvにプラス電位のパルス信号を印加することにより行う。
スレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvにプラス電位が印加されると、スレイブキャパシタCfxには抗電圧の大きさを超える電圧が印加される。これにより、スレイブキャパシタCfxがP分極のときには分極反転が生じ、スレイブキャパシタCfxがP分極からU分極に変化する(図6の中央)。また、スレイブキャパシタCfxがU分極のときには分極反転が生じず、スレイブキャパシタCfxU分極のまま維持される(図6の右側)。
このとき、スレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvに印加するプラス電位と同期して、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaにはマイナス電位を印加する。また、評価用キャパシタCfの上部電極とスレイブキャパシタCfxの上部電極とは、P型トランジスタQP1を含むチャージトランスファアンプを介して接続する。
P型トランジスタQP1のゲート電圧をVthの電位にすると、スレイブキャパシタCfxの読み出しに伴い発生する電荷によってP型トランジスタQP1のソース(図面において下側)の電位が上昇する。そして、ソースの電位が上昇した分の電荷がP型トランジスタQP1を通過して評価用キャパシタCfに移動し、評価用キャパシタCfが充電される。
スレイブキャパシタCfxの分極反転が生じたときには、評価用キャパシタCfに分極反転に十分な電荷が送られ、評価用キャパシタCfはU分極からP分極に変化する(図6の中央)。スレイブキャパシタCfxの分極反転が生じていないときには、評価用キャパシタCfの分極反転に十分な電荷は送られず、評価用キャパシタCfの分極反転は生じず、評価用キャパシタCfはU分極のまま維持される(図6の右側)。すなわち、読み出し後の評価用キャパシタCfの自発分極方向を、初期状態に書き戻すことができる。
次いで、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとの接続を、P型トランジスタQP1を含むチャージトランスファアンプ(図4)に切り換える。その後、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaの電位及びスレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvの電位を、待機状態のGNDレベルに戻す。このとき、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの自発分極方向は、変化しない。すなわち、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxがU分極であればそのままU分極を維持し、P分極であればそのままP分極を維持する(図7)。これにより、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの自発分極方向は、図4の初期状態に戻る。
なお、図5及び図7に示すステップでは、分極反転のない常誘電体成分の容量によるチャージ移動が生じるが、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとは等しい容量であり、互いに打ち消しあう。すなわち、キャパシタ電極間には不要な電位差は生じない。
また、図4に示すステップにおいて評価用キャパシタCfがU分極の場合、スレーブキャパシタCfxの初期状態における自発分極方向もU分極にしておく。これにより、図4〜図7に示すステップを一周しても、プレート電極PLEvaとプレート電極PLSlvとが逆相の駆動であるため、常誘電成分電荷転送は起こるが、両キャパシタの打ち消しあいによって、どちらもU分極の状態を維持することができる。
また、図4に示すステップにおいて、プレート電極PLEvaに印加する電圧の立ち上げを図2に示すようなドライブ回路で行い、総チャージの積分値を出力することで、多数決論理をとることができる。
以上が、チャージトランスファアンプを用いた評価用キャパシタCfの書き戻しの方法の原理である。ただし、現実的には、順方向・逆方向に転送される電荷のゲインが1以下では、電荷量が次第に減衰していき、いずれデータが保持できないことになる。
そこで、転送電荷の増幅方法について、以下に2つの方法を示す。
第1の方法は、図4及び図6のステップにおいて、増強チャージを供給するための回路を追加する方法である(図8)。
具体的には、図4に示すステップでは、図8(a)に示すように、チャージトランスファ用のP型トランジスタQP1のほかに、電荷増強用のインバータアンプと、ソースをGNDレベルとして増強チャージを供給するP型トランジスタQP2とを追加する。これにより、転送電荷の3倍〜4倍程度の電荷をスレーブキャパシタCfxに供給することができる。
また、図6に示すステップでも同様に、図8(b)に示すように、チャージトランスファ用のP型トランジスタQP1のほかに、電荷増強用のインバータアンプと、ソースをGNDレベルとして増強チャージを供給するP型トランジスタQP2とを追加する。図8(a)と図8(b)で電流方向は逆転するため、それぞれのインバータアンプとP型トランジスタのゲートの接続は異なる。これにより、転送電荷の3倍〜4倍程度の電荷を評価用キャパシタCfに供給することができる。
第2の方法は、第1の方法と同様、インバータアンプとP型トランジスタQP2とにより電荷増強を行うものであるが、その際の電荷増強を9倍程度とし、スレイブキャパシタCfxの容量を3倍程度にする方法である(図9)。
具体的には、図4に示すステップでは、図9(a)に示すように、チャージトランスファ用のP型トランジスタQP1のほかに、電荷増強用のインバータアンプと、ソースをGNDレベルとして増強チャージを供給するP型トランジスタQP2とを追加する。また、スレイブキャパシタCfxの容量を3倍程度にしておく(図では、容量の相違を判りやすくするために3つのキャパシタで表現している)。これにより、転送電荷の9倍程度の電荷をスレーブキャパシタCfxに供給することができる。
また、図7に示すステップでは、図9(b)に示すように、電荷増強は行わず、スレイブキャパシタCfxから評価用キャパタCfに電荷を転送する。ただし、スレイブキャパシタCfxの容量は第1の方法と比較して3倍であるので、転送電荷量は3倍になる。このため、一連のループでのゲインは、第1の方法と同様に9倍程度が得られる。第1の方法と同様にして更に電荷増強を行ってもよい。
なお、一連のループでのゲインが1以上であれば、データを連続して保持することが可能である。電荷増強用回路の電荷増強倍率やスレイブキャパシタCfxの容量の大きさは、一連のループでのゲインが1以上となるように、適宜設定することが望ましい。
次に、評価用キャパシタCfに初期状態としての任意の自発分極方向を書き込む方法について、図10を用いて説明する。
図10に示すように、評価用キャパシタCfの上部電極とGNDレベルとの間に、強制書き込み用のN型トランジスタQN3を接続する。
図4の読み出しステップにおいて、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaがプラス電位に立ち上がった時点で、評価用キャパシタCfの自発分極方向にかかわらず、N型トランジスタQN3をオンにしU分極とする。また、スレイブキャパシタCfxに電荷を注入する。これにより、スレイブキャパシタCfxの自発分極方向を強制的にP分極にする(図10は、プレート電極PLEvaとプレート電極PLSlvを駆動したあとの状態で、N型トランジスタQN3がオンの状態であり、評価用キャパシタCf=U↑とスレイブキャパシタCfx=P↓になっている状態である)。ここからプレート電極PLEvaとプレート電極PLSlvとをGNDにもどしN型トランジスタQN3をオフする。この後、評価サイクル図9(a)から開始すれば、評価用キャパシタCf=U設定からのサイクルとなる。一方、評価サイクルを飛ばして図9(b)の評価用キャパシタCfへの書き戻しを行えば、評価用キャパシタCfをP分極に設定することができる。評価用キャパシタCfの設定が終わったあと、評価サイクル+書き戻しサイクルを通常どおり進めればよい。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態による論理回路及びその駆動方法について図11乃至図17を用いて説明する。図1乃至図10に示す第1実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図11乃至図17は、本実施形態による論理回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態では、スレイブキャパシタCfxを用いて評価用キャパシタCfの書き戻しを行う他の方法について説明する。
評価用キャパシタCfの読み出しから書き戻しまでは、例えば図11乃至図14に示す4つのステップにより行うことができる。
図11乃至図14において、上段の3つの強誘電体キャパシタが評価用キャパシタCfを示し、下段の3つの強誘電体キャパシタがスレイブキャパシタCfxを示している。3つの強誘電体キャパシタは、一つの強誘電体キャパシタについて異なる状態を示したものである。すなわち、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとの接続関係を左側に、評価用キャパシタCfの初期状態がP分極であるときの自発分極方向の変化を中央に、評価用キャパシタCfの初期状態がU分極であるときの自発分極方向の変化を右側に、それぞれ示している。
初期状態において、スレイブキャパシタCfxは、P分極に設定しておく。すなわち、評価用キャパシタCfがP分極のときにはスレイブキャパシタCfxはP分極であり(図11の中央)、評価用キャパシタCfがU分極のときにもスレイブキャパシタCfxはP分極である(図11の右側)。
まず、評価用キャパシタCfの読み出しを行う。評価用キャパシタCfの読み出しの際、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとの間には、N型トランジスタよりなるカレントミラー回路を含む転送回路が接続される(図11参照)。評価用キャパシタCfの上部電極TELは、カレントミラー回路の入力側のN型トランジスタNcontに接続され、GNDレベルに固定される。また、スレイブキャパシタCfxの上部電極TELはカレントミラー回路の出力側のN型トランジスタNcurrに接続される。
この状態で評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaにGNDレベルからVDDレベルに立ち上がるパルス信号を印加すると、評価用キャパシタCfには抗電圧の大きさを超える電圧が印加されることになる。
これにより、評価用キャパシタCfがP分極のときには分極反転が生じ、評価用キャパシタCfがP分極からU分極に変化する(図11の中央)。これに伴い評価用キャパシタCfから放出された電荷が入力側のN型トランジスタNcontに転送され、カレントミラー回路によって増幅された分の電荷が出力側のN型トランジスタNcurrによってスレイブキャパシタCfxから引き抜かれる。
初期状態においてスレイブキャパシタCfxは、上部電極TELをVDDレベルにプリチャージし、プレート電極PLSlvはVDDレベルに固定しておく。スレイブキャパシタCfxから電荷が引き抜かれると、上部電極TELはVDDレベルからGNDレベルに下がる。これにより、スレイブキャパシタCfxには抗電圧の大きさを超える電圧が印加され、スレイブキャパシタCfxがP分極からU分極に変化する(図11の中央)。
一方、評価用キャパシタCfがU分極のときには分極反転は生じず、評価用キャパシタCfはU分極のまま維持される(図11の右側)。このときに評価用キャパシタCfからカレントミラー回路の入力側のN型トランジスタNcontに転送される電荷は少量であり、カレントミラー回路の出力側のN型トランジスタNcurrによってスレイブキャパシタCfxから引き抜かれる電荷も少量である。このため、スレイブキャパシタCfxの上部電極はVDDレベルからほとんど変化せず、スレイブキャパシタCfxはP分極のまま維持される(図11の右側)。
次いで、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaの電位をGNDレベルに戻し、スレイブキャパシタCfxの上部電極TELの電位をVDDレベルに戻す。このとき、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの自発分極方向は、変化しない。すなわち、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxがU分極であればそのままU分極を維持し、P分極であればそのままP分極を維持する(図12)。
次いで、評価用キャパシタCfの書き戻しを行う。評価用キャパシタCfの書き戻しの際、評価用キャパシタCfとスレイブキャパシタCfxとの間には、P型トランジスタよりなるカレントミラー回路を含む転送回路が接続される(図13参照)。スレイブキャパシタCfxの上部電極TELは、カレントミラー回路の入力側のP型トランジスタPcontに接続され、VDDレベルに固定される。また、評価用キャパシタCfの上部電極TELは、カレントミラー回路の出力側のP型トランジスタPcurrに接続される。
この状態でスレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvにVDDレベルからGNDレベルに立ち下がるパルス信号を印加すると、スレイブキャパシタCfxには抗電圧の大きさを超える電圧が印加されることになる。
これにより、スレイブキャパシタCfxがU分極のときには分極反転が生じ、スレイブキャパシタCfxがU分極からP分極に変化する(図13の中央)。これに伴いカレントミラー回路の入力側のP型トランジスタPcontからスレイブキャパシタCfxに電荷が引き抜かれ、カレントミラー回路によって増幅された分の電荷がカレントミラー回路の出力側のP型トランジスタPcurrを介して評価用キャパシタCfに充電される。
初期状態において評価用キャパシタCfは、上部電極TELをGNDレベルにプリチャージし、プレート電極PLEvaはGNDレベルに固定しておく。評価用キャパシタCfが充電されると、上部電極はGNDレベルからVDDレベルに上がる。これにより、評価用キャパシタCfには抗電圧の大きさを超える電圧が印加され、評価用キャパシタCfがU分極からP分極に変化する(図13の中央)。
一方、スレイブキャパシタCfxがP分極のときには分極反転は生じず、スレイブキャパシタCfxはP分極のまま維持される(図13の右側)。このときにカレントミラー回路の入力側のP型トランジスタPcontからスレイブキャパシタCfxに引き抜かれる電荷は少量であり、カレントミラー回路の出力側のP型トランジスタPcurrによって評価用キャパシタCfに充電される電荷も少量である。このため、評価用キャパシタCfの上部電極はGNDレベルからほとんど変化せず、評価用キャパシタCfはU分極のまま維持される(図13の右側)。
次いで、スレイブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvの電位をVDDレベルに戻し、評価用キャパシタCfの上部電極TELの電位をGNDレベルに戻す。このとき、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxの自発分極方向は、変化しない。すなわち、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxがU分極であればそのままU分極を維持し、P分極であればそのままP分極を維持する(図14)。
以上のようにして、初期状態で評価用キャパシタCfがP分極の場合は、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxが、読み出しステップでP分極からU分極に変化し、書き戻しステップでU分極からP分極に変化して初期状態に戻る。一方、初期状態で評価用キャパシタCfがU分極の場合は、初期状態でスレイブキャパシタCfxをP分極にしておけば、評価用キャパシタCf及びスレイブキャパシタCfxは読み出し及び書き戻しステップにおいて影響を受けず、分極方向が維持される。
本実施形態による読み出し及び書き戻しでは、プレート電極PLEva,PLSlvに印加する電圧は、GNDレベル又はVDDレベルであり、第1実施形態の場合のように−VDDレベルは不要である。これには、装置構成を簡略化できる等のメリットがある。
本実施形態の方式では、カレントミラー回路の増幅度は任意に設定することができる。カレントミラー回路の出力側のトランジスタのゲート幅を入力側のトランジスタのゲート幅よりも広く(例えば2倍)することにより、チャージロスを補うための増幅を行うことができる。
カレントミラー回路を形成するトランジスタの閾値電圧Vthは、入力側のトランジスタに電圧オフセットを与えるキャパシタを挿入することで任意の電圧に設定することができる。例えば0Vにすれば、読み出しステップにおいて完全にGNDレベル固定として、評価用キャパシタCfの上部電極TELの電位をGNDレベルにすることができ、書き戻しステップではスレイブキャパシタCfxの上部電極TELの電位をVDDレベルにすることができる。
本実施形態では、評価用キャパシタCfからスレイブキャパシタCfxへの電荷の転送にnMOSカレントミラーを用い、スレイブキャパシタCfxから評価用キャパシタCfへの電荷の転送にpMOSカレントミラーを用いたが、いずれか一方を用いてもよい。すなわち、双方の電荷の転送を、nMOSカレントミラー又はpMOSカレントミラーを2つ用いることで行うことも可能である。
なお、カレントミラーのオフセットキャパシタ及びカレントミラーを2つ用いる例については、後の実施形態において示す。
次に、評価用キャパシタCfに初期状態としての任意の自発分極方向を書き込む方法について、図15を用いて説明する。
図15に示すように、評価用キャパシタCfの上部電極TELに、強制書き込みゲート(インバータ)14を接続する。
図11の読み出しステップにおいて、評価用キャパシタCfの上部電極TELにVDDレベル又はGNDレベルの電圧を印加した状態で、評価用キャパシタCfのプレート電極PLEvaに半分の期間GNDレベルを、残り半分の期間VDDレベルを印加する。これにより、評価用キャパシタCfには、上部電極TELにVDDレベルの電圧を印加したときにP分極が書き込まれ、上部電極TELにGNDレベルの電圧を印加したときにU分極が書き込まれる。
スレーブキャパシタCfxをすべてP分極にリセットする際には、スレーブキャパシタCfxの上部電極TELをVDDレベルに立ち上げた状態で、その後スレーブキャパシタCfxのプレート電極PLSlvをVDDレベルに立ち上げればよい。
このようにしてスレーブキャパシタCfxをすべてP分極にリセットした後、評価用キャパシタCfの上部電極TEL及びプレート電極PLEva、スレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvを、図11の読み出しステップにおける初期レベルに設定する。
次に、電源オン時及び電源オフ時の動作について、図16及び図17を用いて説明する。
電源オフ状態において、評価用キャパシタCfの上部電極TEL及びプレート電極PLEva、スレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvは、GNDレベルである。電源オン時には、評価用キャパシタCfの分極方向を維持しつつ、総てのスレイブキャパシタCfxにP分極を書き込んでリセットを行い、図11の読み出しステップに備えればよい。
そこでまず、スレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvを、図15に示したように、上部電極TEL、プレート電極PLSlvの順にVDDレベルに立ち上げ、総てのスレイブキャパシタCfxにP分極を書き込む(図16(a))。
スレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvをVDDレベルに立ち上げた状態は、図11に示す読み出しステップの初期状態の電圧印加レベルとなる(図16(b))。したがって、この後、前述のようにして、評価用キャパシタCfの読み出し及び書き戻しを行えばよい。
電源オフ時には、評価用キャパシタCfの自発分極方向を保持した状態のまま、総てのノード電位をGNDレベルに落とせばよい。
図13のステップにおいて書き戻しを行い、図14のステップにおいて読み出し前の初期状態の電圧レベルに戻した後には、評価用キャパシタCfの上部電極TEL及びプレート電極PLEvaは、GNDレベルになっている(図17(a))。したがって、評価用キャパシタCfの上部電極TEL及びプレート電極PLEvaの電圧レベルは、書き戻し後の状態をそのまま維持すればよい。
その後、(読み出し前の初期状態になっている)VDDレベルであるスレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvは、プレート電極PLSlv、上部電極TELの順にGNDレベルに立ち下げる(図17(b))。これにより、スレイブキャパシタCfxはすべてP分極方向が書き込まれる。
このようにして、評価用キャパシタCfの上部電極TEL及びプレート電極PLEva、並びに、スレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvが、GNDレベルになった後に、電源をオフにすればよい。
なお、電源オン時に総てのスレイブキャパシタCfxにP分極を書き込む処理を行う場合には、電源オフ動作に伴いスレイブキャパシタCfxの自発分極方向が変化しても問題はない。したがって、電源オフ時には、図17(b)のシーケンスを省いて、何もせずスレイブキャパシタCfxの上部電極TEL及びプレート電極PLSlvを同時にGNDレベルに立ち下げてもよいし、図17(a)の状態から突然電源がオフされても問題はない。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態による論理回路及びその駆動方法について図18乃至図23を用いて説明する。図1乃至図17に示す第1及び第2実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図18乃至図23は、本実施形態による論理回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態では、保持用のデータが行き来するキャパシタのペア(Cdata、Cdatax)に加えて、ロジック評価専用のキャパシタのペア(Ceva、Cevax)を設けた論理回路について説明する。
本実施形態による論理回路は、図18に示すように、保持用キャパシタCdataとそのスレーブキャパシタCdatax、評価用キャパシタCeva,Cevaxを有している。
保持用キャパシタCdataの読み出しから書き戻しまでは、例えば図19乃至図24に示す6つのステップにより行うことができる。
初期状態において、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxはP分極に設定しておく。
まず、保持用キャパシタCdataの読み出しを行う。保持用キャパシタCdataの読み出しの際、保持用キャパシタCdata、スレイブキャパシタCdatax、評価用キャパシタCevaxの間には、N型トランジスタよりなるカレントミラー回路を含む転送回路が接続される(図18参照)。保持用キャパシタCdataの上部電極TELは、カレントミラー回路の入力側のN型トランジスタNcontに接続され、GNDレベルに固定される。また、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxの上部電極TELは、カレントミラー回路の出力側に設けられた2つのN型トランジスタNcurr1,Ncurr2にそれぞれ接続される。
この状態で保持用キャパシタCdataのプレート電極PL11及び評価用キャパシタCevaのプレート電極PL12にGNDレベルからVDDレベルに立ち上がるパルス信号を印加すると、保持用キャパシタCdataには抗電圧の大きさを超える電圧が印加されることになる。
これにより、保持用キャパシタCdataがP分極のときには分極反転が生じ、保持用キャパシタCdataがP分極からU分極に変化する。これに伴い保持用キャパシタCdataから放出された電荷がカレントミラー回路の入力側のN型トランジスタNcontに転送され、増幅された分の電荷が出力側のN型トランジスタNcurr1,Ncurr2によってスレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxから引き抜かれる。
初期状態においてスレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxは、上部電極TELをVDDレベルにプリチャージしておく。また、スレイブキャパシタCdataxのプレート電極PL21及び評価用キャパシタCevaxのプレート電極PL22は、VDDレベルに固定しておく。
スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxから電荷が引き抜かれると、上部電極TELはVDDレベルからGNDレベルに下がる。これにより、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxには抗電圧の大きさを超える電圧が印加され、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxがP分極からU分極に変化する(図18)。
一方、保持用キャパシタCdataがU分極のときには分極反転は生じず、保持用キャパシタCdataはU分極のまま維持される。このときに保持用キャパシタCdataからカレントミラー回路の入力側のN型トランジスタNcontに転送される電荷は少量であり、出力側のN型トランジスタNcurr1,Ncurr2によってスレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxから引き抜かれる電荷も少量である。このため、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxの上部電極TELはVDDレベルからほとんど変化せず、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxはP分極のまま維持される。
次いで、保持用キャパシタCdataのプレート電極PL11及び評価用キャパシタCevaのプレート電極PL12の電位をGNDレベルに戻し、スレイブキャパシタCdatax及び評価用キャパシタCevaxの上部電極TELの電位をVDDレベルに戻す。このとき、保持用キャパシタCdata、スレイブキャパシタCdatax、評価用キャパシタCevaxの自発分極方向は、変化しない(図19)。
この状態で、評価用キャパシタCevaxは、合算の評価に用いることができる(なお、図18〜図23では、合算の評価に使用できる評価用キャパシタに丸印を付し、使用できない評価用キャパシタに×印を付している)。評価用キャパシタCdataxのプレート電極PL22を保持用キャパシタCdataxのプレート電極PL21から切り離すことで、保持用キャパシタCdata及びスレイブキャパシタCdataxの自発分極方向を維持しつつ、評価用キャパシタCevaxを用いることができる。
保持用キャパシタCdataの初期状態がP分極のとき、評価用キャパシタCevaxはU分極になっている。この状態で、評価用キャパシタCevaxの上部電極TELをVDDレベルからGNDレベルに立ち下げると、評価用キャパシタCevaxの分極反転は生じず、評価用キャパシタCevaxのプレート電極PL22はVDDレベルのまま維持される。
一方、保持用キャパシタCdataの初期状態がU分極のとき、評価用キャパシタCevaxはP分極になっている。この状態で、評価用キャパシタCevaxの上部電極TELをVDDレベルからGNDレベルに立ち下げると、評価用キャパシタCevaxの分極反転が生じ、評価用キャパシタCevaxのプレート電極PL22はGNDレベルに立ち下がる(図20)。
本ステップにおいて評価用キャパシタCevaxで論理をとると記憶データは破壊されるが、評価用キャパシタCevaxは次のフェーズでは書き戻されるため問題はない。
次いで、保持用キャパシタCdataの書き戻しを行う。保持用キャパシタCdataの書き戻しの際、保持用キャパシタCdata、評価用キャパシタCeva,Cevaxの間には、P型トランジスタよりなるカレントミラー回路を含む転送回路が接続される(図21参照)。スレイブキャパシタCdataxの上部電極TELは、カレントミラー回路の入力側のP型トランジスタPcontに接続され、VDDレベルに固定される。また、保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaの上部電極TELは、カレントミラー回路の出力側に設けられた2つのP型トランジスタPcurr1,Pcurr2にそれぞれ接続される。
この状態でスレイブキャパシタCdataxのプレート電極PL21及び評価用キャパシタCevaxのプレート電極PL22にVDDレベルからGNDレベルに立ち下がるパルス信号を印加すると、スレイブキャパシタCdataxには抗電圧の大きさを超える電圧が印加されることになる。
これにより、スレイブキャパシタCdataxがU分極のときには分極反転が生じ、スレイブキャパシタCdataxがU分極からP分極に変化する。これに伴いカレントミラー回路の入力側のP型トランジスタPcontからスレイブキャパシタCfxに電荷が引き抜かれ、増幅された分の電荷が出力側のP型トランジスタPcurr1,Pcurr2を介して保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaに充電される。
初期状態において保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaは、上部電極TELをGNDレベルにプリチャージしておく。また、保持用キャパシタCdataのプレート電極PL11及び評価用キャパシタCevaのプレート電極PL12は、GNDレベルに固定しておく。保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaが充電されると、上部電極TELはGNDレベルからVDDレベルに上がる。これにより、保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaには抗電圧の大きさを超える電圧が印加され、保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaの自発分極方向がP分極に変化する(図21)。
一方、スレイブキャパシタCdataxの自発分極方向がPのときには分極反転は生じず、スレイブキャパシタCdataxはP分極のまま維持される。このときにカレントミラー回路の入力側のP型トランジスタPcontからスレイブキャパシタCdataxに引き抜かれる電荷は少量であり、出力側のP型トランジスタPcurr1,Pcurr2によって保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaに充電される電荷も少量である。このため、保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaの上部電極TELはGNDレベルからほとんど変化せず、保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaはU分極のまま維持される。
次いで、スレイブキャパシタCdataxのプレート電極PL21及び評価用キャパシタCevaxのプレート電極PL22の電位をVDDレベルに戻し、保持用キャパシタCdata及び評価用キャパシタCevaの上部電極TELの電位をGNDレベルに戻す。このとき、保持用キャパシタCdata、スレイブキャパシタCdatax、評価用キャパシタCevaの自発分極方向は、変化しない(図22)。
この状態で、評価用キャパシタCevaは、合算の評価に用いることができる。評価用キャパシタCdataのプレート電極PL12を保持用キャパシタCdataのプレート電極PL11から切り離すことで、保持用キャパシタCdata及びスレイブキャパシタCdataxの自発分極方向を維持しつつ、評価用キャパシタCevaを用いることができる。
保持用キャパシタCdataの初期状態がP分極のとき、評価用キャパシタCevaはP分極になっている。この状態で、評価用キャパシタCevaの上部電極TELをGNDレベルからVDDレベルに立ち上げると、評価用キャパシタCevaの分極反転は生じず、評価用キャパシタCevaのプレート電極PL12はGNDレベルのまま維持される。
一方、保持用キャパシタCdataの初期状態がU分極のとき、評価用キャパシタCevaはU分極になっている。この状態で、評価用キャパシタCevaの上部電極TELをGNDレベルからVDDレベルに立ち上げると、評価用キャパシタCevaの分極反転が生じ、評価用キャパシタCevaのプレート電極PL12はVDDレベルに立ち上がる(図23)。
本ステップにおいて評価用キャパシタCevaで論理をとると記憶データは破壊されるが、評価用キャパシタCevaは次のフェーズでは書き戻されるため問題はない。
第2実施形態による論理回路では図11乃至図14に示す4ステップのうち1つのステップでしか合算の評価をできない。これに対し、本実施形態による論路回路では図18乃至図23に示す6ステップのうち2ステップで合算の評価を行うことができる。保持用キャパシタCdata及びスレイブキャパシタCdataxに並列して更に複数の評価用キャパシタを設け、更に多くの合算の評価ができるようにしてもよい。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。また、データ保持用の強誘電体キャパシタに加え、評価用の強誘電体キャパシタを設けることにより、より多くの合算の評価を行うことができる。
[第4実施形態]
第4実施形態による論理回路及びその駆動方法について図24を用いて説明する。図1乃至図23に示す第1乃至第3実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図24は、本実施形態による論路回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態では、強誘電体キャパシタの評価結果をもとに動作する回路の一例として、強誘電体キャパシタを用いた2入力のセレクタについて説明する。
図24に示す回路は、図2に示す読み出し回路において、信号φで制御するバイラテラルゲート回路16を介して信号A,Bを入力するものである。信号A,Bは、インバータ22A,22Bを介してバイラテラルゲート回路16に入力される。また、制御信号φは、直接及びインバータ24を介してバイラテラルゲート回路16に入力される。この回路は、共通プレート線PLをGNDレベルからVDDレベルに立ち上げる方向でpMOSカレントドライバで評価する例である。強誘電体キャパシタCfa,Cfbは、第1乃至第3実施形態による論理回路における評価用キャパシタCf,Ceva,Cevaxに対応するものであり、これら強誘電体キャパシタCfa,Cfbのプログラムと書き戻しは前述の方式で行う。
まず、容量Ctankをリセットし、制御信号φの立ち上がり前にインバータ12への入力信号をハイレベルからローレベルに立ち下げる。これにより、プレート線PLがローレベルからハイレベルに立ち上がる。なお、容量Ctankのリセットとは、容量CtankをGNDレベルに放電した後、ハイインピーダンス状態にしておくことである。
次いで、2つの入力である信号A,Bを、制御信号φで動作するバイラテラルゲート16によりゲーティングし、強誘電体キャパシタCfa,Cfbの上部電極を駆動する。すなわち、信号A,Bがハイレベルである場合、制御信号φに同期して、上部電極はハイレベルからローレベルに立ち下がる。信号A,Bがローレベルであれば、上部電極はハイレベルを維持する。
ここで、強誘電体キャパシタCfaの自発分極方向が下向き(P分極)であり、強誘電体キャパシタCfbの自発分極方向が上向き(U分極)であるものと仮定する。P分極の読み出し電荷量は、U分極の読み出し電荷量の約3倍であるものとする。
このとき、信号Aがハイレベルの場合、U分極の読み出し電荷量をU、P分極の読み出し電荷量をP=3Uとすると、信号Bがハイレベルのときの読み出し電荷量はP+U=4Uとなり、信号Bがローレベルのときの読み出し電荷量はP+0=3Uとなる。また、信号Aがローレベルの場合、信号Bがハイレベルのときの読み出し電荷量は0+U=Uとなり、信号Bがローレベルのときの読み出し電荷量は0+0=0となる。
したがって、コンパレータレベルをU〜3Uの間、例えば2Uに設定しておけば、信号Aがハイレベルのときにハイレベルであり、信号Aがローレベルのときにローレベルである出力信号を、信号Bのレベルによらずに出力することができる。すなわち、セレクタとして信号Aをセレクトしている状態を実現することができる。プレート線PLへの流入電荷をカレントミラー回路でミラーリングして容量Ctankを充電し、そこで得られる電圧をコンパレータで比較することについては、図2で説明したことと同様である。
信号Bをセレクトする場合は、信号Aをセレクトする場合と同様に、強誘電体キャパシタCfaの自発分極方向を上向き(U分極)、強誘電体キャパシタCfbの自発分極方向を下向き(P分極)に設定しておけばよい。
表1は、信号A,Bの入力と強誘電体キャパシタCfa,Cfbの自発分極方向との組み合わせと読み出し電荷量の関係をまとめたものである。
表1から判るように、強誘電体キャパシタCfa,Cfbの一方をP分極、他方をU分極とし、3U以上の場合にハイレベルを出力するようにコンパレータレベルを設定することにより、P分極をプログラムした側の信号線のハイレベルを検出するセレクタとなる。また、強誘電体キャパシタCfa,CfbをP分極とし、コンパレータレベルを6U以上に設定すれば、AND(A,B)を検出することができる。また、コンパレータレベルを0.5U以下に設定すれば、OR(A,B)を検出することができる。このように、同じハードウェアでありながら、複数の論理機能を実現することが可能である。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態による論理回路及びその駆動方法について図25を用いて説明する。図1乃至図24に示す第1乃至第4実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図25は、本実施形態による論路回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態においても、強誘電体キャパシタの評価結果をもとに動作する回路の一例として、強誘電体キャパシタを用いた2入力のセレクタについて説明する。
第4実施形態では、共通プレート線PLをGNDレベルからVDDレベルに立ち上げる方向でpMOSカレントドライバで評価する例を示した。本実施形態では、共通プレート線をVDDレベルからGNDレベルに立ち下げる方向でnMOSカレントドライバで評価する例を示す。
図25に示す回路は、図24に示す回路と同様、制御信号φで制御するバイラテラルゲート回路16を介して信号A,Bを入力するものである。信号A,Bは、直接、バイラテラルゲート回路16に入力される。また、制御信号φは、直接及びインバータ24を介してバイラテラルゲート回路16に入力される。強誘電体キャパシタCfa,Cfbは、第1乃至第3実施形態による論理回路における評価用キャパシタCf,Ceva,Cevaxに対応するものであり、これら強誘電体キャパシタCfa,Cfbのプログラムと書き戻しは前述の方式で行う。
強誘電体キャパシタCfa,Cfbの下部電極(プレート電極)に接続されたプレート線PLには、N型トランジスタNcontのドレイン端子が接続されている。N型トランジスタNcontのソース端子の接続端子であるノードn1には、評価開始信号が入力されるインバータ12の出力端子と、N型トランジスタNcurrのソース端子とが接続されている。N型トランジスタNcurrのドレイン端子には、容量Ctankが接続されている。N型トランジスタNcontのゲート端子とN型トランジスタNcurrのゲート端子とは、互いに接続されている。N型トランジスタNcontのゲート端子とN型トランジスタNcurrのゲート端子との接続端子であるノードn2とプレート線PLとの間には、容量Cbiasが接続されている。こうして、N型トランジスタNcont、N型トランジスタNcurr、閾値電圧制御用の電圧源としての容量Cbiasにより、カレントミラー回路が構成されている。N型トランジスタNcurrのドレイン端子と容量Ctankとの接続ノードnoutは、コンパレータ10に接続される。
まず、容量Ctankをリセットし、インバータ12へ入力される評価開始信号をローレベルからハイレベルに立ち上げる。これにより、プレート線PLがハイレベルからローレベルに立ち下がる。なお、容量Ctankのリセットとは、容量Ctankを放電してノードnoutをVDDレベルとした後、ハイインピーダンス状態にしておくことである。
次いで、2つの入力である信号A,Bを、制御信号φで動作するバイラテラルゲート16によりゲーティングし、強誘電体キャパシタCfa,Cfbの上部電極を駆動する。すなわち、信号A,Bがハイレベルである場合、信号φに同期して、上部電極は、ローレベルからハイレベルに立ち上がる。信号A,Bがローレベルであれば、上部電極はローレベルを維持する。
ここで、強誘電体キャパシタCfaの自発分極方向が上向き(P分極:読み出しに分極反転を伴い多量の電荷を出す)であり、強誘電体キャパシタCfbの自発分極方向が下向き(U分極:読み出しに分極反転せず少量の電荷を出す)であるものと仮定する。図25では共通プレート線PLがGNDレベルでの逆極性の読み出しとなるので、ここに限り分極方向の矢印が反転している。P分極の読み出し電荷量は、U分極の読み出し電荷量の約3倍であるものとする。
このとき、信号Aがハイレベルの場合、U分極の読み出し電荷量をU、P分極の読み出し電荷量をP=3Uとすると、信号Bがハイレベルのときの読み出し電荷量はP+U=4Uとなり、信号Bがローレベルのときの読み出し電荷量はP+0=3Uとなる。また、信号Aがローレベルの場合、信号Bがハイレベルのときの読み出し電荷量は0+U=Uとなり、信号Bがローレベルのときの読み出し電荷量は0+0=0となる。
したがって、コンパレータレベルをU〜3Uの間、例えば2Uに設定しておけば、信号Aがハイレベルのときにハイレベルであり、信号Aがローレベルのときにローレベルである出力信号を、信号Bのレベルによらずに出力することができる。すなわち、セレクタとして信号Aをセレクトしている状態を実現することができる。プレート線PLへの流入電荷をカレントミラー回路でミラーリングして容量Ctankを充電し、そこで得られる電圧をコンパレータで比較することについては、図2で説明したことと同様である。
信号Bをセレクトする場合は、信号Aをセレクトする場合と同様に、強誘電体キャパシタCfaの自発分極方向を下向き(U分極)、強誘電体キャパシタCfbの自発分極方向を上向き(P分極)に設定しておけばよい。
信号A,Bの入力と強誘電体キャパシタCfa,Cfbの自発分極方向との組み合わせと読み出し電荷量の関係は、第4実施形態の場合(表1)と同様である。
表1から判るように、強誘電体キャパシタCfa,Cfbの一方をP分極、他方をU分極とし、3U以上の場合にハイレベルを出力するようにコンパレータレベルを設定することにより、P分極をプログラムした側の信号線のハイレベルを検出するセレクタとなる。また、強誘電体キャパシタCfa,CfbをP分極とし、コンパレータレベルを6U以上に設定すれば、AND(A,B)を検出することができる。また、コンパレータレベルを0.5U以下に設定すれば、OR(A,B)を検出することができる。このように、同じハードウェアでありながら、複数の論理機能を実現することが可能である。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第6実施形態]
第6実施形態による論理回路及びその駆動方法について図26を用いて説明する。図1乃至図25に示す第1乃至第5実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図26は、本実施形態による論路回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態では、強誘電体キャパシタの評価結果をもとに動作する回路の一例として、強誘電体キャパシタを用いた3入力のセレクタについて説明する。なお、ここでは第4実施形態による論理回路と同様のpMOSカレントドライバを用いる例を示すが、第5実施形態と同様のnMOSカレントドライバを用いるようにしてもよい。
図26に示す回路は、図2に示す読み出し回路において、制御信号φで制御するバイラテラルゲート回路16を介して信号A,B,Cを入力するものである。この回路は、共通プレート線をGNDレベルからVDDレベルに立ち上げる方向でpMOSカレントドライバで評価する例である。強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcは、第2及び第3実施形態による論理回路における評価用キャパシタCeva,Cevaxに対応するものであり、これら強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcのプログラムと書き戻しは前述の方式で行う。
まず、容量Ctankをリセットし、インバータ12へ入力される制御信号φをハイレベルからローレベルに立ち下げる。これにより、プレート線PLがローレベルからハイレベルに立ち上がる。なお、容量Ctankのリセットとは、容量CtankのノードnoutをGNDレベルに放電した後、ハイインピーダンス状態にしておくことである。
次いで、3つの入力である信号A,B,Cを、制御信号φで動作するバイラテラルゲート16によりゲーティングし、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの上部電極を駆動する。すなわち、信号A,B,Cがハイレベルである場合、信号φに同期して、上部電極は、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。信号A,B,Cがローレベルであれば、上部電極はハイレベルを維持する。
ここで、強誘電体キャパシタCfaの自発分極方向が下向き(P分極)であり、強誘電体キャパシタCfb,Cfcの自発分極方向が上向き(U分極)であるものと仮定する。P分極の読み出し電荷量は、U分極の読み出し電荷量の約3倍であるものとする。
このとき、信号Aがハイレベルの場合、U分極の読み出し電荷量をU、P分極の読み出し電荷量をP=3Uとすると、信号B,Cがハイレベルのときの読み出し電荷量はP+U+U=5Uとなる。信号B,Cの一方がハイレベルで他方がローレベルのときの読み出し電荷量はP+U+0=4Uとなる。信号B,Cがローレベルのときの読み出し電荷量はP+0+0=3Uとなる。
一方、信号Aがローレベルの場合、信号B,Cがハイレベルのときの読み出し電荷量は0+U+U=2Uとなる。信号B,Cの一方がハイレベルで他方がローレベルのときの読み出し電荷量は0+U+0=Uとなる。信号B,Cがローレベルのときの読み出し電荷量は0+0+0=0となる。
したがって、コンパレータレベルをU〜3Uの間、例えば2.5Uに設定しておけば、Aがハイレベルのときにハイレベルであり、Aがローレベルのときにローレベルである出力信号を、信号B,Cのレベルによらずに出力することができる。すなわち、セレクタとして信号Aをセレクトしている状態を実現することができる。プレート線PLへの流入電荷をカレントミラー回路でミラーリングして容量Ctankを充電し、そこで得られる電圧をコンパレータで比較することについては、図2で説明したことと同様である。
信号Bをセレクトする場合は、信号Aをセレクトする場合と同様に、強誘電体キャパシタCfbの自発分極方向を下向き(P分極)、強誘電体キャパシタCfa,Cfcの自発分極方向を上向き(U分極)に設定しておけばよい。また、信号Cをセレクトする場合は、強誘電体キャパシタCfcの自発分極方向を下向き(P分極)、強誘電体キャパシタCfa,Cfbの自発分極方向を上向き(U分極)に設定しておけばよい。
表2は、信号A,B,Cの入力と強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの自発分極方向との組み合わせと読み出し電荷量の関係をまとめたものである。
表2から判るように、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcのいずれか1つをP分極、他をU分極とし、2.5U以上の場合にハイレベルを出力するようにコンパレータレベルを設定することにより、P分極をプログラムした側の信号線のハイレベルを検出するセレクタとなる。
また、コンパレータレベルを0.5U以下に設定すれば、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,Cfcの自発分極方向に関わらず、OR(A,B,C)を検出することができる。
また、強誘電体キャパシタCfa,Cfb,CfcをP分極とし、コンパレータレベルを8U以上に設定すれば、AND(A,B,C)を検出することができる。
また、例えば、強誘電体キャパシタCfa,CfbをP分極、強誘電体キャパシタCfcをU分極とし、6U以上の場合にハイレベルを出力するようにコンパレータレベルを設定することにより、AND(A,B)を検出することができる。3つのうち2つをP分極とする他の組み合わせの場合も同様である。
このように、同じハードウェアでありながら、複数の論理機能を実現することが可能である。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第7実施形態]
第7実施形態による論理回路及びその駆動方法について図27乃至図30を用いて説明する。図1乃至図26に示す第1乃至第6実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図27は、スクランブル回路の基本構成を示す回路図である。図28は、セレクタの基本構成を示す回路図である。図29及び図30は、本実施形態による論路回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
スクランブル回路は、暗号回路などに用いられるものであり、アドレスやデータをハッシュして解析されにくくするものである。通常はハードロジックで形成するためその回路を読まれると動作が解析される虞があるが、例えば第4乃至第6実施形態に示したようなセレクタ回路を用いれば、強誘電体キャパシタの分極方向を検出することは困難なため、高い機密保持性が得られる。
図27に示す回路は、信号A〜Fの6つの入力信号を、セレクタを使用して信号A*〜F*の6つの出力信号に変換するスクランブル回路である。信号A*は、信号A〜FをセレクタSW1A〜SW1Fで処理した信号である。信号B*は、信号A〜FをセレクタSW2A〜SW2Fで処理した信号である。信号C*は、信号A〜FをセレクタSW3A〜SW3Fで処理した信号である。信号D*は、信号A〜FをセレクタSW4A〜SW4Fで処理した信号である。信号E*は、信号A〜FをセレクタSW5A〜SW5Fで処理した信号である。信号F*は、信号A〜FをセレクタSW6A〜SW6Fで処理した信号である。
図28は、図27のセレクタSW1A〜SW6Fに適用可能な6入力1出力のセレクタの例である。図27(a)がロジック表記であり、図27(b)がブロック表記であり、図27(c)がMOS表記である。SWA〜SWFのいずれかをハイレベルにすることで、その入力信号を選択することができる。
本実施形態では、上述のようなセレクタを強誘電体キャパシタを用いたセレクタで実現するために、強誘電体キャパシタを用いたセレクタの入力数を拡張する方法について示す。セレクタでは、これまで述べてきた容量結合ロジックとは異なり一つの信号を選択すればよいので、P=3Uの総電荷量を比較しなくとも最大電荷を比較すればよく、入力数の拡張が可能となる。
図29に示す回路は、入力A〜Fのそれぞれに対して、直列に接続された容量C(Ca〜Cf)及び容量Cl(Cla〜Clf)と、これらの接続ノードにゲート電極が接続されたN型トランジスタQ(Qa〜Qf)を有している。N型トランジスタQa〜Qfのドレイン端子は束ねられ、コンパレータ10に接続されている。
入力信号がローレベルからハイレベルにスイッチングするときに、複数ある入力のうち1つの容量C(ここでは容量Caを仮定する)のみを上向きの分極(P分極:読み出し電荷量大)としておく。他の容量C(ここでは容量Cb〜Cf,容量Cla〜Clfを仮定する)を下向きの分極(U分極:読み出し電荷量小)としておく。すると、容量Cと容量Clとの接続ノードの電位は、容量Cと容量Clとの容量分割により、P分極の容量C(容量Ca)が接続されたノードでは高く、U分極の容量C(容量Cb〜Cf)が接続されたノードでは低くなる。入力A〜Fのこれら接続ノードをN型トランジスタQのソースフォロワでワイヤドオアをとり、最大電圧をノードNmaxに出力する。
図29において、入力Aがローレベルのままの場合、ノードGaはGNDレベルのままであり、たとえ入力B〜Fがローレベルからハイレベルに立ち上がったとしても、容量Cb〜Cfの読み出し電荷量は少ないため、ノードGb〜Gfのレベルは低い。このため、ノードNmaxは低いU対応レベルとなる。これに対し、入力Aがローレベルからハイレベルに遷移した場合は、ノードGaのレベルは高く、ノードNmaxは高いP対応レベルとなる。
したがって、ノードNmaxの電位がU対応のレベルであるかP対応のレベルであるかをコンパレータ10により判定することで、入力Aがローレベルであるかハイレベルであるかを出力することができる。すなわち、セレクタを実現することができる。
入力B〜Fを選択する場合も同様である。
図30は、図29の回路において、容量ClとN型トランジスタQとを、2つの入力で共用したものである。すなわち、容量Ca及び容量Cbに接続して容量Cl1及びN型トランジスタQ1が設けられ、容量Cc及び容量Cdに接続して容量Cl2及びN型トランジスタQ2が設けられ、容量Ce及び容量Cfに接続して容量Cl3及びN型トランジスタQ3が設けられている。このようにすることで、容量Cl及びN型トランジスタQの総量を半減することができる。
この場合も、入力信号がローレベルからハイレベルにスイッチングするときに、複数ある入力のうち一つの容量C(ここでは容量Caを仮定する)のみを上向きの分極(P分極:読み出し電荷量大)としておく。他の容量C(ここでは容量Cb〜Cf,容量Cl1〜Cl3を仮定する)を下向きの分極(U分極:読み出し電荷量小)としておく。
ノードG1のレベルは、入力A,BがハイレベルのときにP+U=4U、入力Aがハイレベルで入力BがローレベルのときにP+0=3U、入力Aがローレベルで入力Bがハイレベルのときに0+U=U、入力A,Bがローレベルのときに0+0=0となる。一方、非選択のペアは、最大でもハイレベル及びハイレベルの入力でU+U=2Uとなる。
したがって、コンパレータの比較レベルを2Uと3Uとの間のレベル(例えば2.5U)に設定しておけば、入力Aがハイレベルであるかローレベルであるかを判定することができる。すなわち、セレクタを実現することができる。
入力B〜Fを選択する場合も同様である。
[第8実施形態]
第8実施形態による論理回路及びその駆動方法について図31乃至図33を用いて説明する。図1乃至図30に示す第1乃至第7実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図31は、本実施形態による論理回路の構造を示す回路図である。図32及び図33は、本実施形態による論理回路の駆動方法を示す回路図である。
本実施形態による論理回路は、入力信号inA〜inDのうちのいずれかの信号レベルを判定するセレクタである。ここでは、紙面の都合で4入力の回路構成を示しているが、同様のユニットを増やしていけば任意の入力数のセレクタに拡張することができる。
容量Ca,Cb,Cc,Cdが、評価に使用される強誘電体キャパシタである。これら容量Ca,Cb,Cc,Cdは、図30に示すセレクタの場合と同様、2つずつのペアを形成し、各ペア毎に一つの読み出し回路が設けられている。ここでは、容量Caに接続された評価/書き戻し回路18と、容量Ca,Cbに接続された読み出し回路20とを、代表して説明する。他の容量Cb,Cc,Cdに接続された評価/書き戻し回路18及び読み出し回路20は、容量Caに接続された評価/書き戻し回路18及び読み出し回路20と同様である。
評価/書き戻し回路18は、評価用の容量Caと、バックアップ用の容量Caxとを有している。容量Caの一方の電極(図面左側)は、信号φEVAL3で動作するN型トランジスタQ1aを介して、カレントミラー回路CMEaの入力側のN型トランジスタに接続されている。容量Caの一方の電極は、また、信号φRSM1xで動作するP型トランジスタQ2aを介して、VDD線に接続されている。容量Caxの一方の電極(図面左側)は、信号φEVAL4で動作するN型トランジスタQ3aを介して、カレントミラー回路CMEaの出力側のN型トランジスタに接続されている。容量Caxの一方の電極は、また、信号φRSM2xで動作するP型トランジスタQ4aを介して、VDD線に接続されている。カレントミラー回路CMEaの共通ノードは、入力信号inAと信号φEVAL5とを入力とするNANDゲートの出力に接続されている。
容量Caxの他方の電極(図面右側)は、信号φRSM2で動作するN型トランジスタQ5aを介して、カレントミラー回路CMRaの入力側のN型トランジスタに接続されている。容量Caxの他方の電極は、また、信号φEVAL3xで動作するP型トランジスタQ6aを介して、VDD線に接続されている。容量Caの他方の電極(図面右側)は、信号φRSM1で動作するN型トランジスタQ7aを介して、カレントミラー回路CMRaの出力側のN型トランジスタに接続されている。容量Caの他方の電極は、また、信号φpreEVAL2xで動作するP型トランジスタQ8aを介して、VDD線に接続されている。カレントミラー回路CMRaの出力側ノードは、信号φRSM3を入力とするNOTゲートの出力に接続されている。
容量Caの他方の電極は、更に、信号φEVAL2xで動作するP型トランジスタQ9aを介して、読み出し回路20を形成するカレントミラー回路CMS1の入力側のP型トランジスタに接続されている。カレントミラー回路CMS1の出力側のP型トランジスタには、容量Cs1と、信号φpreEVAL1で動作するN型トランジスタQ10aと、N型トランジスタQ11aとが接続されている。N型トランジスタQ10aは容量Cs1をリセットする際に用いられるものである。N型トランジスタQ11aのドレイン端子はVDD線に接続され、ソース端子は他のN型トランジスタQ11cなどとともにノードSFOに接続されて、最大電圧をとり、コンパレータ10に接続されている。また、信号φpreEVAL1で動作するN型トランジスタQ12により、このノードSFOは、GNDレベルにリセットされる。
次に、本実施形態によるセレクタの動作について、図32及び図33を用いて説明する。ここでは、入力信号inA,inBのどちらかの信号を選択的に通過させる2インプットセレクタの部分の動作を示す。以下の例では、容量CaにP分極(図中、右向きの矢印で表す)を、容量CbにU分極(図中、左向きの矢印で表す)を書き込んでおき、入力信号inAを選択する例を説明する。容量Cax,Cbxには、第2実施形態の場合と同様、初期状態においてP分極が書き込まれる。
まず、評価のステップについて図32を用いて説明する。
評価のステップでは、図32に示すように、信号φEVAL1〜5をハイレベルとし、信号φRSM1〜3をローレベルとする。これにより、N型トランジスタQ1a,Q1b,Q3a,Q3b、P型トランジスタQ6a,Q6b,Q9a,Q9bがオンとなる。信号φpreEVAL1は、容量Cs1をGNDレベルにプリチャージするためにパルス駆動した後、評価のステップではローレベルとする。また、信号φpreEVAL2xは、書き戻しのステップ終了時にローレベルとなっている容量Ca,Cbの右側の電極をパルス駆動してVDDレベルに上げた後、評価のステップではハイレベルとする。
入力信号inAがハイレベルの場合、カレントミラー回路CMEaの共通ノードはローレベルとなり、カレントミラー回路CMS1、P型トランジスタQ9a、容量Ca、N型トランジスタQ1a、カレントミラー回路CMEaを通る経路で電流I1が流れる。この電流I1により容量Caが分極反転し、多くの電荷を通過させる読み出しとなる。また、カレントミラー回路CMS1でミラーリングされた電流Isの電流(電荷)によって容量Cs1は高い電位に充電される。この電流−電圧変換によってN型トランジスタQ11aのソースフォロアのゲート電位を与え、他のペアとの間でワイヤドオアをとり、最終的にはコンパレータ10からはハイレベルが出力される。同時に、カレントミラー回路CMEaでミラーリングされた電流I2の電流(電荷)は多いため、容量Caxを分極反転させる。すなわち、容量Caxにより、初期状態の容量Caの分極方向の情報をバックアップする。
一方、入力信号inAがローレベルの場合、信号φEVAL1〜5がハイレベルの期間もカレントミラー回路CMEaの共通ノードはハイレベルとなり、電流I1は流れない。したがって、容量Caは、そのままP分極を保つ。カレントミラー回路CMS1でミラーリングされた電流Isの電流(電荷)はゼロで、容量Cs1は低い電位のままであり、N型トランジスタQ11aのソースフォロアでさらにワイヤドオアをとられ、最終的にはコンパレータ10からはローレベルが出力される。同時に、電流I2も流れないため、容量CaxはP分極を維持する。したがって、評価のステップにおいて破壊読み出しは生じないため書き戻しは必要ないが、一斉に行われる書き戻しのステップでは容量Caxの分極反転はおこらず、容量Caは分極反転されずに、容量CaはP分極を保持する。
また、入力信号inBがハイレベルの場合、カレントミラー回路CMEbの共通ノードはローレベルとなり、カレントミラー回路CMS1、P型トランジスタQ9b、容量Cb、N型トランジスタQ1b、カレントミラー回路CMEbを通る経路で電流I3が流れる。この場合、電流I3によって容量Cbは分極反転せず(U分極を維持)、少量の電荷を通過させる読み出しとなる。したがって、電流I3によるカレントミラー回路CMS1への電流寄与は少なく、ほとんどが電流I1の電流経路による電流である。同時に、カレントミラー回路CMEbでミラーリングされた電流I4の電流(電荷)も少ないため、容量Cbxは分極反転せず、そのままP分極を維持する。
一方、入力信号inBがローレベルの場合、信号φEVAL1〜5がハイレベルの期間もカレントミラー回路CMEbの共通ノードはハイレベルとなり、電流I3は流れない。したがって、容量Cbは、そのままU分極を保つ。電流I3がカレントミラー回路CMS1でミラーリングされた電流Isに寄与することもない。同時に、電流I4も流れないため、容量CbxはP分極を維持する。したがって、評価のステップにおいて破壊読み出しは生じないため書き戻しは必要ないが、一斉に行われる書き戻しのステップでは容量Cbxの分極反転はおこらないため容量Cbも分極反転されずに、容量CbはU分極を保持する。
このようにして、入力信号inAがハイレベルの場合だけ電流Isを多く流してコンパレータ10でハイレベルを出力させることで、セレクタ動作が実現される。
次に、書き戻しのステップについて図33を用いて説明する。
書き戻しのステップでは、図33に示すように、信号φRSM1〜3をハイレベルとし、信号φEVAL1〜5をローレベルとする。これにより、N型トランジスタQ5a,Q5b,Q7a,Q7b、P型トランジスタQ2a,Q2b,Q4a,Q4bがオンとなる。
信号φRSM3がハイレベルになると、カレントミラー回路CMRaの共通ノードはローレベルとなり、P型トランジスタQ4a、容量Cax、カレントミラー回路CMRaを通る経路で電流I5が流れる。この電流I5は、容量CaxのP分極への分極反転を伴うものであり、多量の電流となる。この電流I5により、容量CaxはP分極に分極反転し、初期状態に戻る。同時に、カレントミラー回路CMRaでミラーリングされた多量の電流I6が、P型トランジスタQ2a、容量Ca、N型トランジスタQ7a、カレントミラー回路CMRaを通る経路で流れる。この電流I6により、容量CaはP分極に分極反転し、初期状態に戻る。
同様に、カレントミラー回路CMRbの共通ノードはローレベルとなり、P型トランジスタQ4b、容量Cbx、カレントミラー回路CMRbを通る経路で電流I7が流れる。この電流I7は、容量Cbxの分極反転を伴うものではなく、少量の電流となる。同時に、カレントミラー回路CMRbでミラーリングされた電流I8が、P型トランジスタQ2b、容量Cb、N型トランジスタQ7b、カレントミラー回路CMRbを通る経路で流れる。電流I8は電流I7をミラーリングした少量の電流であり、容量Cbの分極反転は生じない。これにより、容量CbはU分極を維持し、容量CbxはP分極を維持する。
このようにして、容量Ca,Cax,Cb,Cbxの自発分極方向を、初期状態に戻すことができる。
なお、上記の例では、容量Ca,Cbのみを、カレントミラー回路CMS1を用いた評価回路によって評価しているが、容量Cax,Cbxに対しても同様にカレントミラー回路CMSx1を用いた評価回路を設けてもよい。これにより、書き戻しのステップにおいてもこの評価回路によって電荷積分並びに論理評価を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第9実施形態]
第9実施形態による論理回路及びその駆動方法について図34乃至図36を用いて説明する。図1乃至図33に示す第1乃至第8実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図34は、本実施形態による論理回路の構造を示す回路図である。図35及び図36は、本実施形態による論理回路の駆動方法を示す回路図である。
本実施形態による論理回路も、第8実施形態と同様、入力信号inA〜inDのうちのいずれかの信号レベルを判定するセレクタである。ここでは、紙面の都合で4入力の回路構成を示しているが、同様のユニットを増やしていけば任意の入力数のセレクタに拡張することができる。本実施形態によるセレクタは、容量Cax〜Cdxへの書き戻しにpMOSカレントミラー回路を用いる点で、第8実施形態によるセレクタとは異なっている。
容量Ca,Cb,Cc,Cdが、評価に使用される強誘電体キャパシタである。これら容量Ca,Cb,Cc,Cdは、図30に示すセレクタの場合と同様、2つずつのペアを形成し、各ペア毎に一つの読み出し回路が設けられている。ここでは、容量Caに接続された評価/書き戻し回路18と、容量Ca,Cbに接続された読み出し回路20とを、代表して説明する。他の容量Cb,Cc,Cdに接続された評価/書き戻し回路18及び読み出し回路20は、容量Caに接続された評価/書き戻し回路18及び読み出し回路20と同様である。
評価/書き戻し回路18は、評価用の容量Caと、バックアップ用の容量Caxとを有している。容量Caの一方の電極(図面左側)は、信号φEVAL3で動作するN型トランジスタQ1aを介して、カレントミラー回路CMEaの入力側のN型トランジスタに接続されている。容量Caxの一方の電極(図面左側)は、信号φRSM2で動作するP型トランジスタQ2aを介して、カレントミラー回路CMRaの入力側のP型トランジスタに接続されている。容量Caの一方の電極は、また、信号φRSM1xで動作するP型トランジスタQ3aを介して、カレントミラー回路CMRaの出力側のP型トランジスタに接続されている。容量Caxの一方の電極は、また、信号φEVAL4で動作するN型トランジスタQ4aを介して、カレントミラー回路CMEaの出力側のN型トランジスタに接続されている。カレントミラー回路CMEaの共通ノードは、入力信号inAと信号φEVAL5とを入力とするNANDゲートの出力に接続されている。カレントミラー回路CMRaの共通ノードは、信号φRSM3の信号線に正論理バッファを介して接続されている。
容量Caの他方の電極(図面右側)は、信号φRSM1で動作するN型トランジスタQ5aと、信号φpreEVAL2xで動作するP型トランジスタQ6aとの接続ノードに接続されている。N型トランジスタQ5aの他方のノードはGND線に接続され、P型トランジスタQ6aの他方のノードはVDD線に接続されている。
容量Caの他方の電極は、更に、信号φEVAL2xで動作するP型トランジスタQ9aを介して、読み出し回路を形成するカレントミラー回路CMS1の入力側のP型トランジスタに接続されている。カレントミラー回路CMS1の出力側のP型トランジスタには、信号φpreEVAL1で動作するN型トランジスタQ10aと、N型トランジスタQ11aとが接続されている。N型トランジスタQ11aのドレイン端子はVDD線に接続され、ソース端子はコンパレータ10に接続されている。
次に、本実施形態によるセレクタの動作について、図35及び図36を用いて説明する。ここでは、入力信号inA,inBのどちらかの信号を選択的に通過させる2インプットセレクタの部分の動作を示す。以下の例では、容量CaにP分極(図中、右向きの矢印で表す)を、容量CbにU分極(図中、左向きの矢印で表す)を書き込んでおき、入力信号inAを選択する例を説明する。容量Cax,Cbxには、第2実施形態の場合と同様、初期状態においてP分極が書き込まれる。
まず、評価のステップについて図35を用いて説明する。
評価のステップでは、図35に示すように、信号φEVAL1〜5をハイレベルとし、信号φRSM1〜3をローレベルとする。これにより、N型トランジスタQ1a,Q1b,Q4a,Q4b、P型トランジスタQ9a,Q9bがオンとなる。信号φpreEVAL1は、容量Cs1をGNDレベルにプリチャージするためにパルス駆動した後、評価のステップではローレベルとする。また、信号φpreEVAL2xは、書き戻しのステップ終了時にローレベルとなっている容量Ca,Cbの右側の電極をパルス駆動してVDDレベルに上げた後、評価のステップではハイレベルとする。また、プレート線は、VDDレベルとする。
入力信号inAがハイレベルの場合、カレントミラー回路CMEaの共通ノードはローレベルとなり、カレントミラー回路CMS1、P型トランジスタQ9a、容量Ca、N型トランジスタQ1a、カレントミラー回路CMEaを通る経路で電流I1が流れる。この電流I1により容量Caが分極反転し、多くの電荷を通過させる読み出しとなる。また、カレントミラー回路CMS1でミラーリングされた電流Isの電流(電荷)によって容量Cs1は高い電位に充電される。この電流−電圧変換によってN型トランジスタQ11aのソースフォロアのゲート電位を与え、他のペアとの間でワイヤドオアをとり、最終的にはコンパレータ10からはハイレベルが出力される。同時に、カレントミラー回路CMEaでミラーリングされた電流I2の電流(電荷)は多いため、容量Caxを分極反転させる。すなわち、容量Caxにより、初期状態の容量Caの分極方向の情報をバックアップする。
一方、入力信号inAがローレベルの場合、信号φEVAL1〜5がハイレベルの期間もカレントミラー回路CMEaの共通ノードはハイレベルとなり、電流I1は流れない。したがって、容量Caは、そのままP分極を保つ。カレントミラー回路CMS1でミラーリングされた電流Isの電流(電荷)はゼロで、容量Cs1は低い電位のままであり、N型トランジスタQ11aのソースフォロアでさらにワイヤドオアをとられ、最終的にはコンパレータ10からはローレベルが出力される。同時に、電流I2も流れないため、容量CaxはP分極を維持する。したがって、評価のステップにおいて破壊読み出しは生じないため書き戻しは必要ないが、一斉に行われる書き戻しのステップでは容量Caxは分極反転せず、したがって容量Caを分極反転することなく、容量CaはP分極を維持する。
また、入力信号inBがハイレベルの場合、カレントミラー回路CMEbの共通ノードはローレベルとなり、カレントミラー回路CMS1、P型トランジスタQ9b、容量Cb、N型トランジスタQ1b、カレントミラー回路CMEbを通る経路で電流I3が流れる。この場合、電流I3によって容量Cbは分極反転せず(U分極を維持)、少量の電荷を通過させる読み出しとなる。したがって、電流I3によるカレントミラー回路CMS1への電流寄与は少なく、ほとんどが電流I1の電流経路による電流である。同時に、カレントミラー回路CMEbでミラーリングされた電流I4の電流(電荷)も少ないため、容量Cbxは分極反転せず、そのままP分極を維持する。
一方、入力信号inBがローレベルの場合、信号φEVAL1〜5がハイレベルの期間もカレントミラー回路CMEbの共通ノードはハイレベルとなり、電流I3は流れない。したがって、容量Cbは、そのままU分極を保つ。電流I3がカレントミラー回路CMS1でミラーリングされた電流Isに寄与することもない。同時に、電流I4も流れないため、容量CbxはP分極を維持する。したがって、評価のステップにおいて破壊読み出しは生じないため書き戻しは必要ないが、一斉に行われる書き戻しのステップでは容量Cbxは分極反転しないため、容量Cbを分極反転することはなく、容量CbのU分極を維持する。
このようにして、入力信号inAがハイレベルの場合だけ電流Isを多く流してコンパレータ10でハイレベルを出力させることで、セレクタ動作が実現される。
次に、書き戻しのステップについて図36を用いて説明する。
書き戻しのステップでは、図36に示すように、信号φRSM1〜3をハイレベルとし、信号φEVAL1〜5をローレベルとする。これにより、N型トランジスタQ5a,Q5b、P型トランジスタQ2a,Q2b,Q3a,Q3bがオンとなる。また、プレート線は、GNDレベルとする。
信号φRSM3がハイレベルになると、カレントミラー回路CMRaの共通ノードはハイレベルとなり、カレントミラー回路CMRa、P型トランジスタQ2a、容量Caxを通る経路で電流I5が流れる。この電流I5は、容量CaxのP分極への分極反転を伴うものであり、多量の電流となる。この電流I5により、容量CaxはP分極に分極反転し、初期状態に戻る。同時に、カレントミラー回路CMRaでミラーリングされた多量の電流I6が、カレントミラー回路CMRa、P型トランジスタQ3a、容量Ca、N型トランジスタQ5aを通る経路で流れる。この電流I6により、容量CaはP分極に分極反転し、初期状態に戻る。
同様に、カレントミラー回路CMRbの共通ノードはハイレベルとなり、カレントミラー回路CMRb、P型トランジスタQ2b、容量Cbx、を通る経路で電流I7が流れる。この電流I7は、容量Cbxの分極反転を伴うものではなく、少量の電流となる。同時に、カレントミラー回路CMRbでミラーリングされた電流I8が、カレントミラー回路CMRb、P型トランジスタQ3b、容量Cb、N型トランジスタQ5bを通る経路で流れる。電流I8は電流I7をミラーリングした少量の電流であり、容量Cbの分極反転は生じない。これにより、容量CbはU分極を維持し、容量CbxはP分極を維持する。
このようにして、容量Ca,Cax,Cb,Cbxの自発分極方向を、初期状態に戻すことができる。
なお、上記の例では、容量Ca,Cbのみを、カレントミラー回路CMS1を用いた評価回路によって評価しているが、容量Cax,Cbxに対しても同様にカレントミラー回路CMSx1を用いた評価回路を設けてもよい。これにより、書き戻しのステップにおいてもこの評価回路によって電荷積分並びに論理評価を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、評価用の強誘電体キャパシタの他にバックアップ用の強誘電体キャパシタを設け、評価用の強誘電体キャパシタの読み出し後に書き戻しを行うため、評価用の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を維持することができる。また、強誘電体キャパシタに書き込まれた電荷保持状態に応じた論理合成を行うため、レイアウトパターンから論理を解析することを防止することができる。これにより、耐タンパー性の高い論理回路を実現することができる。
[第10実施形態]
第10実施形態による論理回路及びその駆動方法について図37を用いて説明する。図1乃至図36に示す第1乃至第9実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図37は、本実施形態による論理回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態では、第9実施形態によるセレクタの強誘電体キャパシタ部をNAND型キャパシタユニットで置き換えた例を示す。
本実施形態によるセレクタは、図37に示すように、第9実施形態によるセレクタの容量C,Cxを、NAND型キャパシタユニットに置き換えたものである。すなわち、強誘電体キャパシタCa,Caxの代わりに、強誘電体キャパシタとバイラテラルゲートとの並列接続体を直列に複数接続したNAND型キャパシタユニットを設けている。
バイラテラルゲートは、ローレベルの入力で端子間の接続を切り離し、ハイレベルの入力で端子間を接続する。例えば、容量Ca2,Cax2を選択する場合には、信号S1,S3,S4をハイレベルとし、信号S2をローレベルとする。これにより、信号S1,S3,S4で駆動するバイラテラルゲートに並列に接続された容量Ca1,Ca3,Ca4,Cax1,Cax3,Cax4がバイパスされ、容量Ca2,Cax2のみが実質的な回路動作に寄与する。
したがって、容量Ca1,Cax1の組、容量Ca2,Cax2の組、容量Ca3,Cax3の組、容量Ca4,Cax4の組に、予め所定の自発分極方向をプログラムしておくことで、任意の組を信号S1〜S4により選択することができる。
本実施形態によるセレクタの動作は、使用する容量の組を選択するほかは、第9実施形態によるセレクタと同様である。
なお、上記の例では、4つの容量の組から1組を選択する例を示したが、容量の組は、4つに限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
このように、本実施形態によれば、複数の強誘電体キャパシタから所望の強誘電体キャパシタを選択して接続するキャパシタユニットを設けるので、評価用の強誘電体キャパシタ群の電荷保持状態を所望のセットに容易に切り換えることができる。
[第11実施形態]
第11実施形態による論理回路及びその駆動方法について図38を用いて説明する。図1乃至図37に示す第1乃至第9実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図38は、本実施形態による論理回路の構造及び駆動方法を示す回路図である。
本実施形態では、第9実施形態によるセレクタの強誘電体キャパシタ部をNOR型キャパシタユニットで置き換えた例を示す。
本実施形態によるセレクタは、図38に示すように、第9実施形態によるセレクタの容量C,Cxを、NOR型キャパシタユニットに置き換えたものである。すなわち、強誘電体キャパシタCa,Caxの代わりに、強誘電体キャパシタとバイラテラルゲートとの直列接続体を並列に複数接続したNOR型キャパシタユニットを設けている。バイラテラルゲートは、端子間の接続/開放を制御するスイッチとして機能する。
バイラテラルゲートは、ローレベルの入力で端子間の接続を切り離し、ハイレベルの入力で端子間を接続する。例えば、容量Ca2,Cax2を選択する場合には、信号S1,S3,S4をローレベルとし、信号S2をハイレベルとする。これにより、信号S1,S3,S4で駆動するバイラテラルゲートに接続された容量Ca1,Ca3,Ca4,Cax1,Cax3,Cax4が切り離され、容量Ca2,Cax2のみが実質的な回路動作に寄与する。
したがって、容量Ca1,Cax1の組、容量Ca2,Cax2の組、容量Ca3,Cax3の組、容量Ca4,Cax4の組に、予め所定の自発分極方向をプログラムしておくことで、任意の組を信号S1〜S4により選択することができる。
本実施形態によるセレクタの動作は、使用する容量の組を選択するほかは、第9実施形態によるセレクタと同様である。
なお、上記の例では、4つの容量の組から1組を選択する例を示したが、容量の組は、4つに限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
このように、本実施形態によれば、ラッチ回路の強誘電体キャパシタとして、複数の強誘電体キャパシタから所望の強誘電体キャパシタを選択して接続するキャパシタユニットを設けるので、ラッチ回路の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を所望のセットに容易に切り換えることができる。
[第12実施形態]
第12実施形態による論理回路及びその駆動方法について図39乃至図41を用いて説明する。図1乃至図38に示す第1乃至第11実施形態による論理回路と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図39は、一般的な4キャパシタタイプの不揮発性ラッチ回路の例を示す回路図である。図40及び図41は、本実施形態による不揮発性ラッチ回路の構造を示す回路図である。
一般的な4キャパシタタイプの不揮発性ラッチ回路は、例えば図39に示すように、フリップフロップ回路の入力側端子に接続された強誘電体キャパシタCa,Caxと、フリップフロップ回路の出力端子に接続された強誘電体キャパシタCb,Cbxとを有している。これら強誘電体キャパシタCa,Cax,Cb,Cbxにフリップフロップ回路の初期値に対応する分極情報を記憶しておくことで、電源投入後のフリップフロップ回路を初期値の状態に戻すことができる。
図40は、このような不揮発性ラッチ回路の強誘電体キャパシタCa,Cax,Cb,Cbxを、第10実施形態で示したようなNAND型キャパシタユニットで置き換えたものである。また、図41は、強誘電体キャパシタCa,Cax,Cb,Cbxを、第11実施形態で示したようなNOR型キャパシタユニットで置き換えたものである。
このようにすることで、強誘電体キャパシタCa,Cax,Cb,Cbxのデータとして、信号S1〜S4で選択される4セットのデータに切り換えることができる。図40のNAND型キャパシタユニットは、例えば図39に示す回路によって一般的なラッチと同様にして、読み出し及び書き戻しが可能である。また、図41のNOR型キャパシタユニットは、例えば図39に示す回路によって読み出し及び書き戻しが可能である。
なお、上記の例では、4つの容量から1つを選択する例を示したが、並列或いは直列に設ける容量の数は、4つに限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、図40の不揮発性ラッチ回路の例において、容量Cax,Cbxを常誘電体キャパシタで形成し、容量Ca,Cbのみを強誘電体キャパシタのNAND型キャパシタユニットとしてもよい。
また、図41の不揮発性ラッチの例において、容量Cax,Cbxを常誘電体キャパシタで形成し、容量Ca,Cbのみを強誘電体キャパシタのNOR型キャパシタユニットとしてもよい。
また、図39に示す不揮発性ラッチの強誘電体キャパシタCa,Cax,Cb,Cbxを置き換えるキャパシタユニットは、必ずしもNAND型キャパシタユニット又はNOR型キャパシタユニットのいずれか一方に統一する必要はない。例えば、強誘電体キャパシタCa,CbをNOR型キャパシタユニットに置き換え、強誘電体キャパシタCax,CbxをNAND型キャパシタユニットに置き換えるようにしてもよい。
なお、本実施形態では、フリップフロップ回路の入力ノード及び出力ノードに接続された強誘電体キャパシタを有する不揮発性ラッチ回路を示したが、不揮発性ラッチ回路の基本構成はこれに限定されるものではない。強誘電体キャパシタを用いた不揮発性ラッチ回路であれば、広く適用が可能である。
このように、本実施形態によれば、ラッチ回路の強誘電体キャパシタとして、複数の強誘電体キャパシタから所望の強誘電体キャパシタを選択して接続するキャパシタユニットを設けるので、ラッチ回路の強誘電体キャパシタの電荷保持状態を所望のセットに容易に切り換えることができる。
[変形実施形態]
上記実施形態に記載した論理回路及びその駆動方法は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1及び第2の強誘電体キャパシタ群と、
前記第1の強誘電体キャパシタ群に接続され、前記第1の強誘電体キャパシタ群から読み出された電荷量を検出し、前記第1の強誘電体キャパシタ群に記憶された電荷保持状態に応じた所定の論理合成の結果を評価する評価回路と、
前記第1の強誘電体キャパシタ群と前記第2の強誘電体キャパシタ群との間に接続され、前記第1の強誘電体キャパシタ群からの読み出し電荷に応じた電荷を前記第2の強誘電体キャパシタ群に転送して前記第2の強誘電体キャパシタ群に書き込む第1の転送回路と、
前記第1の強誘電体キャパシタ群と前記第2の強誘電体キャパシタ群との間に接続され、前記第2の強誘電体キャパシタ群からの読み出し電荷に応じた電荷を前記第1の強誘電体キャパシタ群に転送して前記第1の強誘電体キャパシタ群に書き込む第2の転送回路と
を有することを特徴とする論理回路。
(付記2) 付記1記載の論理回路において、
前記第1の転送回路は、前記第1の強誘電体キャパシタ群からの読み出し電流を入力とし、前記第2の強誘電体キャパシタ群への書き込み電流を出力とする第1のカレントミラー回路を有し、
前記第2の転送回路は、前記第2の強誘電体キャパシタ群からの読み出し電流を入力とし、前記第1の強誘電体キャパシタ群への書き込み電流を出力とする第2のカレントミラー回路を有する
ことを特徴とする論理回路。
(付記3) 付記1記載の論理回路において、
前記第1の転送回路は、前記第1の強誘電体キャパシタ群から読み出した電荷を前記第2の強誘電体キャパシタ群に転送する第1のチャージトランスファアンプを有し、
前記第2の転送回路は、前記第2の強誘電体キャパシタ群から読み出した電荷を前記第1の強誘電体キャパシタ群に転送する第2のチャージトランスファアンプを有する
ことを特徴とする論理回路。
(付記4) 付記3記載の論理回路において、
前記第1の転送回路は、前記第1の強誘電体キャパシタ群から読み出された電荷を増幅して前記第2の強誘電体キャパシタ群に書き込む
ことを特徴とする論理回路。
(付記5) 付記4記載の論理回路において、
前記第2の転送回路は、前記第2の強誘電体キャパシタ群から読み出された電荷を増幅して前記第1の強誘電体キャパシタ群に書き込む
ことを特徴とする論理回路。
(付記6) 付記4又は5記載の論理回路において、
前記第2の強誘電体キャパシタ群に含まれる強誘電体キャパシタの容量は、前記第1の強誘電体キャパシタ群に含まれる強誘電体キャパシタの容量よりも大きい
ことを特徴とする論理回路。
(付記7) 付記1又は2記載の論理回路において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群は、第1の強誘電体キャパシタ及び第2の強誘電体キャパシタを含み、
前記第2の強誘電体キャパシタ群は、第3の強誘電体キャパシタ及び第4の強誘電体キャパシタを含み、
前記第1の転送回路は、前記第1の強誘電体キャパシタからの読み出し電荷に応じた電荷を前記第3の強誘電体キャパシタ及び前記第4の強誘電体キャパシタのそれぞれに転送して前記第3の強誘電体キャパシタ及び前記第4の強誘電体キャパシタを書き込み、
前記第2の転送回路は、前記第3の強誘電体キャパシタからの読み出し電荷に応じた電荷を前記第1の強誘電体キャパシタ及び前記第2の強誘電体キャパシタのそれぞれに転送して前記第1の強誘電体キャパシタ及び前記第2の強誘電体キャパシタを書き込む
ことを特徴とする論理回路。
(付記8) 付記1乃至7のいずれか1項に記載の論理回路において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群及び前記第2の強誘電体キャパシタ群は、強誘電体キャパシタとスイッチとの並列接続体が複数直列に接続されたNAND型キャパシタユニットを含む
ことを特徴とする論理回路。
(付記9) 付記1乃至7のいずれか1項に記載の論理回路において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群及び前記第2の強誘電体キャパシタ群は、強誘電体キャパシタとスイッチとの直列接続体が複数並列に接続されたNOR型キャパシタユニットを含む
ことを特徴とする論理回路。
(付記10) 付記1乃至9のいずれか1項に記載の論理回路において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群に含まれる複数の強誘電体キャパシタは、一方の電極がプレート線に共通接続されており、前記評価回路は、前記プレート線に読み出された総電荷量をもとに論理合成の結果を評価する
ことを特徴とする論理回路。
(付記11) 付記1乃至9のいずれか1項に記載の論理回路において、
前記評価回路は、前記第1の強誘電体キャパシタ群に含まれる複数の強誘電体キャパシタのそれぞれから読み出された電荷量のうちの最大値をもとに論理合成の結果を評価する
ことを特徴とする論理回路。
(付記12) 第1の強誘電体キャパシタ群から読み出された電荷量を検出し、前記第1の強誘電体キャパシタ群に記憶された電荷保持状態に応じた所定の論理合成の結果を評価する論理回路の駆動方法であって、
前記第1の強誘電体キャパシタ群の読み出しを行う際に、前記第1の強誘電体キャパシタ群からの読み出し電荷に応じた電荷を第2の強誘電体キャパシタ群に転送することにより、前記電荷保持状態を前記第2の強誘電体キャパシタ群によりバックアップし、
前記第2の強誘電体キャパシタ群の読み出しを行い、前記第2の強誘電体キャパシタ群からの読み出し電荷に応じた電荷を前記第1の強誘電体キャパシタ群に転送することにより、バックアップした前記電荷保持状態を前記第1の強誘電体キャパシタ群に書き戻す
ことを特徴とする論理回路の駆動方法。
(付記13) 付記12記載の論理回路の駆動方法において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群から読み出された電荷を増幅して前記第2の強誘電体キャパシタ群に書き込む
ことを特徴とする論路回路の駆動方法。
(付記14) 付記12又は13記載の論理回路の駆動方法において、
前記第2の強誘電体キャパシタ群から読み出された電荷を増幅して前記第1の強誘電体キャパシタ群に書き込む
ことを特徴とする論理回路の駆動方法。
(付記15) 付記12乃至14のいずれか1項に記載の論理回路の駆動方法において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群は、第1の強誘電体キャパシタ及び第2の強誘電体キャパシタを含み、
前記第2の強誘電体キャパシタ群は、第3の強誘電体キャパシタ及び第4の強誘電体キャパシタを含み、
前記電荷保持状態をバックアップする際に、前記第1の強誘電体キャパシタからの読み出し電荷に応じた電荷を前記第3の強誘電体キャパシタ及び前記第4の強誘電体キャパシタのそれぞれに転送して前記第3の強誘電体キャパシタ及び前記第4の強誘電体キャパシタを書き込み、
バックアップした前記電荷保持状態を前記第1の強誘電体キャパシタ群を書き戻す際に、前記第3の強誘電体キャパシタからの読み出し電荷に応じた電荷を前記第1の強誘電体キャパシタ及び前記第2の強誘電体キャパシタのそれぞれに転送して前記第1の強誘電体キャパシタ及び前記第2の強誘電体キャパシタを書き込む
ことを特徴とする論理回路の駆動方法。
(付記16) 付記12乃至15のいずれか1項に記載の論理回路の駆動方法において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群に含まれる複数の強誘電体キャパシタから読み出された総電荷量をもとに論理合成の結果を評価する
ことを特徴とする論理回路の駆動方法。
(付記17) 付記12乃至15のいずれか1項に記載の論理回路の駆動方法において、
前記第1の強誘電体キャパシタ群に含まれる複数の強誘電体キャパシタのそれぞれから読み出された電荷量のうちの最大値をもとに論理合成の結果を評価する
ことを特徴とする論理回路の駆動方法。
(付記18) フリップフロップ回路と、
前記フリップフロップ回路の入力ノードに接続された第1及び第2のキャパシタと、
前記フリップフロップ回路の出力ノードに接続された第3及び第4のキャパシタとを有し、
前記第1乃至第4のキャパシタの少なくとも一つが、強誘電体キャパシタとスイッチとの並列接続体が複数直列に接続された第1のキャパシタユニットを含む
ことを特徴とする不揮発性ラッチ回路。
(付記19) フリップフロップ回路と、
前記フリップフロップ回路の入力ノードに接続された第1及び第2のキャパシタと、
前記フリップフロップ回路の出力ノードに接続された第3及び第4のキャパシタとを有し、
前記第1乃至第4のキャパシタの少なくとも一つが、強誘電体キャパシタとスイッチとの直列接続体が複数並列に接続された第1のキャパシタユニットを含む
ことを特徴とする不揮発性ラッチ回路。
(付記20) 付記18又は19記載の不揮発性ラッチ回路において、
前記第1のキャパシタユニットと同型の第2のキャパシタユニットと、
前記第1のキャパシタユニットと前記第2のキャパシタユニットとの間に接続され、前記第1のキャパシタユニットの前記強誘電体キャパシタからの読み出し電荷に応じた電荷を前記第2のキャパシタユニットに転送して前記第2のキャパシタユニットの強誘電体キャパシタに書き込む第1の転送回路と、
前記第2のキャパシタユニットの前記強誘電体キャパシタからの読み出し電荷に応じた電荷を前記第1のキャパシタユニットに転送して前記第1のキャパシタユニットの前記強誘電体キャパシタに書き込む第2の転送回路と
を更に有することを特徴とする不揮発性ラッチ回路。