JP6012568B2 - 低周波振動構造用アクティブ・ダンパ - Google Patents

低周波振動構造用アクティブ・ダンパ Download PDF

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Description

本発明は、一般的には、振動減衰装置に関する。詳細には、本発明は駆動装置によって移動するダンパ・マスを使用した振動システムのアクティブ・バイブレーション・ダンパに関する。
バイブレーション・ダンパは、単にダンパ、またはペンジュラム・ダンパともいい、2つの部品の間にではなく、専ら装置の1つの振動部品に固定されている。その際、振動部品とのダンパ・マスの延伸または圧縮可能な接続によって、ダンパ・マスは部品の運動が遅延する。延伸および/または圧縮によって、振動運動からエネルギーが取り除かれ、このようにして減衰が引き起こされる。
通常、マスは、変形可能で、しかも延伸可能、圧縮可能、および/または歪曲可能な接続によって固有周波数を有する。これは一般的には、減衰する振動周波数との一定の比率に設定される。これを最適にした周波数のとき、マスは撓んで、対応する大きさの力、および対応する大きさのエネルギーが振動部品からダンパ・マスに伝達される。
DE19725770A1により、バイブレーション・ダンパによる振動減衰装置が周知である。バイブレーション・ダンパは、弾性システムに弾性を持たせて接続したマスを有し、このマスは、制御可能で、バイブレーション・ダンパの作動方向に長さを変えるアクチュエータを介して弾性システムに接続されている。これによって、振動の減衰は、パッシブ・バイブレーション・ダンパ・システムより広範な周波数範囲を目標とする。同様の原理は、ハウジング振動の減衰に関するDE102006056757A1およびDE102010002262A1でも既知である。
別の作動原理は、DE69414628T2およびEP618380B1に記載されたダンパに基づく。これらの特許では、ダンパはペンジュラムのような構造に取り付けられており、いわば、ペンジュラム・ダンパといってもよい。詳細には、その際、ケーブル・レール・ゴンドラ用バイブレーション・ダンパが設けられており、可動式のダンパ・マス・エレメントがエレメントの重心上のゴンドラのペンジュラム構造に固定されている。EP618380B1では、さらに、ダンパの工業用途に関する概要が記述されており、これは本発明でも考慮されている。
DE102006053232B4には、作用方向が2つある・ダンパが記述されている。その際、このダンパは、例えばチューブ・ライン振動の減衰を考慮しており、アクティブにも駆動することができる。アクティブ・ダンパは、異なる運動方向に作用する少なくとも2つのアクチュエータと1つの固定装置を有する。これらのアクチュエータは、リーフ・スプリングを介して固定装置と接続されている。2つのアクチュエータは、さらに接続エレメントを介して相互に接続されている。
DE102010039977A1には、ピストン内部の調整マスが所定の摩擦で作動可能な、ピストン形状のパッシブ・ダンパが記述されている。
本発明によれば、複数のマス・スプリング・エレメント、もしくは接続された複数のマス・スプリング・エレメントによって記述されるその振動特性によって、特に低周波振動構造を減衰することができるようになり、したがって上記エレメントの振動振幅が明瞭に抑えられる。本発明の導入分野は例えば移動式または固定式X線スキャナである。
そのために、アクティブ・バイブレーション・ダンパがサポート構造のカンチレバー部分の振動減衰のために設けられ、その際、バイブレーション・ダンパは、マスを有し、このマスは、スプリングなしで、一般には機械的に、バイブレーション・ダンパの制御装置によって制御される駆動装置を介して、駆動装置を固定する固定装置によって減衰対象のサポート構造に接続され、したがって、固定装置に対して相対的なマスの運動により、運動により発生した支持力が駆動装置を介して固定装置に直接伝達される。制御装置はモーションセンサを含み、その際、モーションセンサの信号に応じて駆動装置を制御し、このようにしてサポート構造の振動を減衰するために、制御装置が取り付けられている。
換言すると、ダンパ・マスは、一方で駆動装置の第1の部品にスプリングなしですなわち固定的に接続され、他方では駆動装置の第1の部品と反対側の第2の可動部品はスプリングなしで固定装置に接続され、したがって減衰対象のサポート構造および/または固定装置に対するダンパ・マスの運動の自由度として駆動装置の運動のみが残る。
これに相応して本発明はアクティブ・ダンパ付きサポート構造も想定しており、その際、サポート構造は少なくとも1つの端部に固定され、サポート構造のカンチレバー部分を有し、バイブレーション・ダンパは、特に前述のようにこの支持された部分に固定されており、その際、バイブレーション・ダンパは、少なくとも1つの駆動装置を介して、少なくとも1つの方向に沿って移動可能な少なくとも1つの可動式取付けによるマスを有し、その際、マスは駆動装置を介してサポート構造のカンチレバー部分に接続され、したがって、駆動装置は、サポート構造の部分でマスの運動時に直接スプリング・エレメントの隙間切替えなしでサポート構造の部分に力を印加する。
それに応じて、ダンパ・フォースは、ダンパとサポート構造の組合せによっては生成されず、ダンパ・マスの加速度によってのみ生成され、ダンパ・マスは制御回路によりアクティブに制御され、したがって、モーションセンサにより検出された運動は、相対する力によって減衰される。
本発明ではまた、通常のダンパ・スプリングなしで、制御対象システムへの直接的な、かつ駆動装置、例えばカンチレバー端部を備えるアームを介在した固定的な接続を形成している。これによって、制御対象システムと関連したスプリング剛性の設計が不要となる。ダンパ・マスの運動によって発生する支持力は、駆動装置を介して、減衰対象のサポート構造に直接伝達される。例えばブランコの場合のように、足を一緒に振るとブランコ運動は強化されるが、足および胴体と逆向きに振るとブランコ運動は停止に至る。この原理は、本発明でも活用され、その際、様々な周波数の複数の振動モードを減衰することが可能となった。
当業者には、スプリングなしのカップリングが、ダンパ・マスと減衰対象のサポート構造の間に駆動装置を介して、どのように形成されるかが分かる。固定的な接続にバネ定数が割り当てられていることがあるが、ただし、ダンパ・マスのカップリングに関しては、減衰対象のサポート構造のバネ定数より、バネ定数が極めて大きい。それに応じて、ダンパ・マスおよびカップリングのシステムの固有振動の最低周波数は相当に大きい。通常、本発明の目的のためのスプリングなしのカップリングは、サポート構造もしくは固定装置のダンパ・マスおよびカップリングからなるシステムの最低の固有振動が、サポート構造の固有振動の最低周波数の少なくとも4倍以上、特に少なくとも8倍以上になるように設計される。本発明は特に低周波数の振動の減衰を想定する。それに応じて、ダンパ・マスのカップリングは、固定装置用の駆動装置を介して、スプリングなしでの接続の実現のために、特に低周波試験の固有振動の明らかに高い周波数を有する。この周波数は、特に少なくとも10Hz以上、特に好ましいのは20Hz以上である。
モーションセンサとして速度センサは、地中聴音器の場合に好ましい。ただし、加速度センサもモーションセンサとして考えられる。周波数が低いときに高い信号対雑音比を有するため、地中聴音器が特に適切である。
それに加えて、本発明によるダンパは、特に、振動可能なマルチ自由度システムが考慮されて、以下で簡単化され、例えばいわゆる「アーム」と呼ばれて取り付けられ、システム全体の振動が減衰される。その際、ダンパは特に駆動装置として、マスが軸方向に移動できるリニア・ドライブ、ならびにハウジング、およびアームの端部にダンパを固定できる固定装置を含む。ダンパの非可動部にはモーションセンサ、特にアーム端部の運動を検出して制御装置の制御回路に送信できる速度検出器が配置されている。
その後、上記制御回路は、制御信号をリニア・ドライブに、その結果生じる運動(または運動を引き起こす加速度)、反力をシステムに印加する形で送信し、したがってアーム全体の運動が最小限に抑制される。
以下、本発明を、実施例を使用し、添付図面を参照して詳しく説明する。その際、図面内の同一の符号は、同一または関連要素を表している。
アクティブ・バイブレーション・ダンパ付きX線スキャナの形態での振動システムの実施例を示す図である。 ハウジングを開いた状態でのダンパを示す図である。 反対側から見たダンパのハウジングを示す図である。 スプリング・マス・システムの原理図である。 ダブル・マス・スイング・アームの伝達機能の数値の図である。 ダブル・マス・スイング・アームの付随する伝達機能の各位相の図である。 図5Aおよび図5Bで示した伝達機能の振幅ならびに第1制御ループによる制御後の各振幅の図である。 図5Aおよび図5Bで示した伝達機能の位相ならびに第1制御ループによる制御後の各位相の図である。 第2制御ループによる追加制御後の伝達機能の振幅の図である。 第2制御ループによる追加制御後の伝達機能の位相の図である。 取り付けられたアクティブ・ダンパを備えたアームの振動振幅と、ダンパ・ウェイトの加速度および質量の関連を示した3Dダイアグラムである。 1つの制御装置の実施例の図である。 複数の駆動装置を備えた本発明の実施形態の図である。
図1には、用途例の1つを示す振動システムの実施形態が示されている。この振動システムは、トラックまたはコンテナの透視用X線スキャナ12である。
この実施例のX線スキャナ12は、X線撮影用測定装置も収納されているコンテナ5を含む。コンテナ5には、X線用のX線検出器13が取り付けられたアーム3が固定されている。X線検出器13は、コンテナに向いた側のアーム3に取り付けられているため、図1では、アームに隠れている。図1で示された例では、X線検出器13は、アーム3の垂直部分に沿って配置され、したがってX線発生器によって生成された、垂直に扇形状に広がった扇形ビームを検出する。
自由なもしくは非固定式のアーム3の端部31には、図示されていない固定装置によって、本発明によるアクティブ・バイブレーション・ダンパ1が固定的に接続されている。本用途の可動式用途向けにコンテナ5は、セミトレーラのトレーラ上に設置することができる。これによって、常設の対象物、例えば貨物を積載したトラックをX線の通過によって検査することができ、その際、トラックまたは一般的には検査対象物はコンテナ5とアーム3の端部31の隙間7を横切る。トラックは固定式X線スキャナを通過しなければならず、したがってトラック・キャビンは透視されないため、一般にドライバ・キャビンに乗車している必要がある固定式設置とは対照的に、可動式X線スキャナは、ドライバ・キャビンに乗車している必要がないため、ドライバ・キャビンも検査することができる。
セミトレーラを牽引した走行中、アーム3は、路面の凹凸によって基点励起を検知する。これによってアーム3は、コンテナ5、したがってアーム3の運動を励起する。他方、アーム3の振動が極めて大きくなって、X線検出器は測定用コンテナ5のX線からその内側で振動し、それにより画像を生成できなくなることがある。
したがって、図1に示された例に限ることなく、本発明ではアーム3を含むX線スキャナ12を設けられており、そのアームは一方の端部が固定され、もう一方の端部が自由な状態になっている、もしくは固定されていない端部31にはX線検出器13またはX線発生器が設けられており、その際、本発明により、その自由端部31にはアクティブ・バイブレーション・ダンパ1が配置されている。
図2には、ハウジング9が開かれた状態のダンパ1が示されている。この図には、レール18上を移動するスライド・ヘッド17に取り付けられている多板形状のマス15が示されている。スライド・ヘッド17には、リニア・モータの形態での駆動装置20部分も格納されている。ハウジング9内で、スライド・ヘッドの奥には運動センサ19も配置されている。駆動装置20は2つの相互可動部品201、202を含み、その際、部品201は、スプリングなしでマス15に接続され、部品202はスプリングなしでハウジング9に接続されている。詳細には、ハウジング9に接続された駆動装置の一方の部品202はレールによって形成され、そのレール上を、リニア・モータのもう一方の部品201付きのスライド・ヘッド17が移動する。
図1および図2に示されたとおり、ダンパ1は、アーム3の最も外側の自由な端部に取り付けられている。ここでは、アーム全体が基点、すなわち固定端部もしくは係留端部を中心として振動する低周波モードと、アームの垂直端部が上側の懸架点を中心として振動する高周波モードという、振動の2つの固有モードを同時に測定することができる。
図3は、ダンパ1のハウジング9を反対側から示している。その側に固定装置91が配置されており、この固定装置によってダンパ・サポート、つまり例えばアーム3の端部31にダンパ1を取り付けることができる。
図4は、スプリング・マス・システムの原理図を示している。このスプリング・マス・システムは、図1および図2によって説明されたX線スキャナのアームと同様に、片側が固定されたアームの振動を説明するモデルを表している。
この種のアーム3は、図4に示されたとおり、マスm1およびマスm2を備えるダブル・マス・スイング・アームとして制御技術をモデル化することができる。その際、マスm2はバネ定数D2のスプリング35を介して固定式端部33に固定されている。同時に、固定式端部33に対するマスm2の運動は、減衰定数r2のダンパ・エレメント37によって減衰される。
他方、マスm2には、バネ定数D12のスプリング36を介してマスm1が固定されており、その際、マスm1およびマスm2の相互運動は減衰定数r12のダンパ・エレメント34によって減衰される。
この図には、システムの外側の自由端部における制御によって、m1の場合でも、図1に示した端部31における相応する例の場合でも、m1に力F1のみが作用することが可能な場合、その運動が最小限に抑えられるように、離れたマス・スイング・アームm2も制御されることが示されている。
ここでまた、本発明により、バイブレーション・ダンパはダンパ・スプリングなしでアームに接続されているにもかかわらず、図4に従ったシステム代替図は標準ダンパを再度想起させ、その際、バネ定数D12および減衰率r12はダンパ自体によってではなく、システム(アーム3)によって規定される。
ただし、そのシステム特性のために、バネ定数D12および減衰率r12はパラメータ化ができないので、システムは標準ダンパと比較することができない。
それどころか、大半の制御で、標準ダンパの意義における固有周波数の誤適応を避ける必要がある。
本発明ではその際、アクティブな動的防振システムで既知の速度フィードバック制御による方法が適している。それに加え、本発明の実施形態に従って、地中聴音器の場合と同様の、m1の運動量に比例する速度センサのセンサ信号が、広い範囲でパラメータ化可能な制御パスで許可されるコントローラによってフィードバックされ、好ましくはデジタルで出力される。
その際、この制御信号はアンプ上で、駆動装置用、図1、図2に示された例ではリニア・モータ用に出力することができる。
設定に応じて、上記アンプはこの制御信号をモータ電流用または線速度用の基準信号として使用することができる。アームの速度は力に直接抵抗することになるため、モータ電流としての直接使用は利点がある。リニア・モータの電流はリニア・モータの加速度と比例するため、すぐに出力されるだろう。
他方、リニア・ドライブには、機械的構成部品の初期トルクによって運動開始時に発生する、小振幅用の非線形特性がある。したがって、この種の信号は信頼できない。
その代わりに、90°の位相のずれを考慮して、制御信号が基準速度を決めるようにする。その場合はすなわち、リニア・モータもしくはより一般的には駆動装置のアンプが、各トルクで基準速度に達するまで電流を引き上げる役割を引き受けることができる。これによって、非線形性が回避される。
したがって、発明の進展に基づいて、バイブレーション・ダンパは駆動装置の供給電流準備のためのアンプまたはドライバを含み、その際、制御装置は、出力信号として駆動装置の基準速度に適した信号をアンプに出力するために装備される。
いわゆるダブル・マス・スイング・アームのオープン・ループ伝達機能は、図4の上部に示すように、図5Aおよび図5B内に表示される。その際、図5Aは、数値もしくは振幅38を表示し、図5Bは伝達機能の位相39を示す。
最初に、伝達機能の振幅が2種類の最大値を示すことが分かる。表示された例の第1の最大値40は、周波数が約0.5Hzのときに生じ、第2の高周波最大値は、約2.5Hzのときに生ずる。これらの最大値はアーム3の上記の振動モードに対応する。周波数が約0.5Hzのときの最大値は、アーム全体で基点を中心として振動する低周波モードによって引き起こされる。周波数が約2.5Hzのときの固有モードは、上方のサスペンションポイントを中心としたアームの垂直端部の振動に対応する。
さらに、図5Bによって、周波数が0.5Hzのときの大振幅時、ゼロを超えて経過がゆっくりと進行するため、制御用の位相の経過が不利となることが分かる。したがって、単純なPコントローラによって制御ループを閉じることは不利である。
しかし、これに対して、2つの制御ループもしくは2つの制御用コントローラを使用することは、極めて有効であることが証明された。その際、本発明の進展時、詳細に説明された実施例に限ることなく、制御装置が少なくとも2つの制御ループを有し、その際、制御ループが様々な振動周波数に対して制御信号を生成するように設定されていることが想定されている。
詳細には、ここで例示された本発明の進展におけるダンパは、本発明の進展の中で、特に地中聴音器のような運動センサからの同一の入力信号を備える2つの制御ループを使用し、最初に制御ループ内の高周波部分を制御し、次に低周波部分を制御する。
本発明のさらなる進展に従って、制御時には、周波数0.5Hzのときに振幅が低下し、位相が有利にずれて、周波数がこの振動に影響を与えないように、オープン・ループもしくは第1制御ループの制御が形成される。図6Aおよび図6Bは、図5Aおよび5Bの実施例の振幅および位相、ならびにそれと比較した第1制御ループによる制御後の振幅43および位相44を再度示している。図示された例では、第1制御ループのコントローラは、フィルタ・カスケードによって、周波数を例えば10Hz近辺に抑えている。
最終的に図7Aおよび7Bは、ダンパのところでの、第2制御ループによる追加制御後の振幅(図7A、符号46)および位相(図7B、符号47)に関する伝達機能を示す。図6A、図6Bによる第1制御ループによる制御後の振幅43および位相44が比較のために一緒に記載されている。
その際、表示された実施例に限ることなく、本発明の進展に従って第2制御ループは、バンドパスを含む。したがって一般的には、制御装置の複数の制御ループのうち1つ以上がバンドパスを含むことができる。
図5Aと図7Aの比較から分かるように、このようにして第2制御ループによって20dBを超える振動振幅の抑制が実行される。
バンドパスとして形成されるか、もしくはバンドパスを含む第2制御ループは、図7A、図7Bに示された実施例では、サポート構造もしくはその場合にアーム3のいずれかの振動モードを含む周波数範囲内で有効となるようにパラメータ化されている。図7Aおよび図7Bに示された例では、これは、高周波モードであり、ここでは周波数が約2.5Hzとなる。
両方の図から、この周波数近辺の範囲で位相および振幅が変化し、これに対し、10Hzを若干上回るか、または0.2Hzを下回る周波数の振動には影響されないか、もしくは制御されることが分かる。したがって、本発明の進展に従い、本発明によるサポート構造にはアクティブ・ダンパが設けられ、そのアクティブ・ダンパにおいて制御装置は様々なる周波数範囲の振動の制御のために形成されている少なくとも2つの制御ループを含み、その際、サポート構造は少なくとも2つの振動モードを有し、制御ループの少なくとも1つはバンドパスとして形成され、振動モードの1つを含む周波数範囲内で制御される。
この例は、周波数および位相が不都合な状態のときでさえも、広範囲にわたってデジタルで調整できる制御ループによって、運動を効果的に減衰するパラメータ・セットを常に見つけることができることを示している。
振動モードの減衰のみを目的として、振動モードのみが発生するサポート構造の1箇所にダンパが取り付けられているとき、これは通常は利点である。その代わりに、アーム3の外側の箇所が選択された場合のように、少なくとも2つの振動モードもしくは固有振動のオーバーラップ(重ね合わせ)が発生する箇所が必要に応じて有利となる。
通常、本発明はさらに、低周波振動の減衰に特別に適合されている。特にダンパは、50Hzを下回る振動、好ましくは20Hzを下回る振動、特に好ましくは10Hzを下回る振動を減衰するように形成されている。上記の複数の振動モードに関連して、これは、サポート構造の振動モードも、前述で実施された周波数範囲内にあるときに好ましくなることを意味している。
その上、前述の、例示された実施形態から、既知のバイブレーション・ダンパと異なり、ダンパのパラメータがシステムに適合されるのは1度に限られず、特に、広帯域のフィードバック制御回路を使用すればシステムの励起は防止されることが自明である。これによって、基点励起誘導による障害にも、外部原因による障害にも反応する状態になる。アクティブ制御によって、摩擦/減衰損失によって作動するシステムと異なり、速度が勝っている。
これによって、本発明によるアクティブ・ダンパの設計は、移動式マス15、必要な加速度およびダンパ・マス15の移動路を振動可能な各システムに適合することに制限される。
振動可能なサポート構造のパラメータ依存に関する例は、図8の3Dダイアグラムに示されている。
このダイアグラムは、予想されるアーム運動振幅に対する、必要なダンパ・マス加速度、および必要なダンパ・マス質量を示している。図8に示されている機能連関は、ニュートンの力の公式に関して簡単に作成することができる。
図9は、複数の制御ループを備えた制御装置の実施例を図式的に示している。この制御装置22の原理は、制御装置が少なくとも2つのパラレル・コントローラ261、262、…、26Nを有していることに基づいており、各コントローラ261、262、…、26Nは運動センサ19の信号を入力信号として受信し、制御装置22は、コントローラ261、262、…、26Nの出力信号を加算する加算器25を有する。
フィードバック制御のために、特に速度センサが運動センサとして使用され、その信号はアームの運動に比例する。この運動センサの信号は、制御装置22のアナログ・デジタル・コンバータ23によってデジタル化され、他方、フィルタ・カスケードを制御装置側で検出できるコントローラ261、262、…、26Nを並列で使用することができる。それによって、実施例に従って、8種類以内のフィルタ・カスケードに同一の入力信号を使用できる。図1に示されたとおり、アーム3の用途例に関しては、伝達機能が2つのパラレル・コントローラ261、262によって有効に処理される。その際、本発明の進展に応じて、コントローラ261、262のいずれかが進み/遅れフィルタおよびPIDフィルタのカスケードを検出する。この種のカスケードが振動可能な異種のサポート構造の減衰にも有効であることは自明である。
通常、制御装置22は、現場で選択可能および/またはパラメータ化可能なデジタル・フィルタによって、任意のカスケードを全般的に含むことができる。
その後、実施例に従って低周波モード(0.5Hz)で、図5Aで分かるように、第2のコントローラ262としてコントローラ・カスケードが並列で算出され、コントローラ・カスケードは0.5Hzのときのバンドパスフィルタリング、進み/遅れおよびPIDフィルタによって定義される。
パラレル構造の各出力信号は、加算器25によってデジタルで加算され、デジタル・アナログ・コンバータ24に送信され、デジタル・アナログ・コンバータ24はアクチュエータまたは駆動装置20用の制御信号を表示する。
制御装置22は、図9の例でも詳細に示したように、特にデジタルで行われる。これにより、各サポート構造の振動特性に対して、極めて自由にパラメータ化されたコントローラの適合が可能になる。
図9に示された、各コントローラ261、…、26Nのパラレル切替えも、このようにしてコントローラを、発生する様々なオーバーラップした信号モードに対して個別に適合させることができるため、本発明との関連では特別な利点である。このようにして、各コントローラ261、…、26Nは、特定の振動モードに対して個別に適合させることができる。振動は障害なくオーバーラップするため、加算器を使用して同一方法でパラレル切替えにより、駆動装置用の制御信号もオーバーラップされる。
図1および図2に示された実施例では、X線検出器がアーム3の振動によって、1つまたは複数のX線発生器から発生した垂直方向に扇形状に広がった扇形ビームから横方向に制限されて突き出すことのないように、駆動装置20によってほぼ水平に移動するようにされるダンパ・マスが設けられている。本発明が、振動の減衰に関しても、複数の様々な方向に拡張できることは自明である。
さらに図10は、本発明のもう1つの実施形態を図式的に示している。この図では、ダンパ・マス15は2方向に振動可能なアーム3の端部に取り付けられている。バイブレーション・ダンパ1は、お互いに重なりあった2つのスライド・ヘッド17を有し、2つのスライド・ヘッド17には専用の駆動装置20もしくは200がそれぞれ取り付けられている。これによって、駆動装置20、200は、ダンパ・マス15を異なる方向、特に相互に垂直な方向に動かす。各方向に専用のモーションセンサ19、190が設けられており、そのセンサの信号は制御装置22によって処理される。モーションセンサ19、190の運動検出方向は、両向き矢印によってそれぞれ示されている。それに応じて、モーションセンサ19は駆動装置20に配置され、センサ190は駆動装置200に配置されている。
その際、処理およびフィードバック制御は、簡単な方法で駆動装置20、200および配置されたモーションセンサ19、190で個別に行うことができる。それに応じて、代わりに、相互に無関係に作動する2つの制御装置22を取り付けることもできる。
図示の例では、振動は複数の方向に、共通のダンパ・マス15を使用して減衰される。なお、別のダンパ・マス15を設けることもできる。さらに、入力信号は、個別の、複数の空間方向の感応型モーションセンサ19で検出されることもある。モーションセンサ19の信号は、その後、個別の空間方向の各部に分解され、制御装置22によって別々に処理される。
本発明の進展において、直交振動モードをも減衰するために、図9に示された例に制限されることなく、アクティブ・ダンパ付きサポート構造が設けられている。このサポート構造では、アクティブ・ダンパは、これを使うと、1つまたは複数のダンパ・マス15を制御装置22によって様々な方向、特に直交方向に移動可能にする、少なくとも2つの駆動装置を有する。相互に直交する方向は、クロストークを防止するのに有利である。方向が相互に直角でない場合、ダンパ・マスの運動は、別の方向に沿った1つの力の方向に向く。特に、制御装置は、1つまたは複数のマス15の運動を、1つまたは複数のモーションセンサ19、190によって信号が生成される方向に沿った運動の信号によって、相互に無関係の様々な方向に沿って有利に制御する。
1 アクティブ・バイブレーション・ダンパ
3 アーム
5 コンテナ
7 5と31の間の隙間
9 ハウジング
12 X線スキャナ
13 X線検出器
15 マス
17 スライド・ヘッド
18 レール
19、190 モーションセンサ
20、200 駆動装置
201、202 駆動装置の相互可動部品
22 制御装置
23 ADコンバータ
24 DAコンバータ
25 加算器
31 アーム3の端部
33 固定端
35、36 スプリング
34、37 ダンパ・エレメント
38、43、46 伝達機能の振幅
39、44、47 伝達機能の位相
40、41 最大伝達機能
91 固定装置
93 スクリュー・クランプ
95 かぎ形スクリュー
97 サポート・ブラケット
261、262、26N コントローラ

Claims (14)

  1. 少なくとも2つの振動モードを有するサポート構造のカンチレバー部分の振動を減衰するためのアクティブ・バイブレーション・ダンパ(1)であって、前記バイブレーション・ダンパ(1)がマス(15)を有し、前記マス(15)がスプリングなしで、前記バイブレーション・ダンパ(1)の制御装置によって制御される駆動装置(20)を介して、前記駆動装置(20)を固定する固定装置によって減衰対象のサポート構造に接続され、前記マス(15)の運動により前記固定装置に対して相対的に、運動により発生した支持力が前記駆動装置(20)を介して前記固定装置に直接伝達され、前記制御装置がモーションセンサ(19)、及び前記モーションセンサ(19)の信号に応じて前記駆動装置(20)の基準速度に適した電流を前記駆動装置に出力することによって、様々な周波数範囲の振動のために前記駆動装置を制御するように形成されている少なくとも2つの制御ループを備え、前記少なくとも2つの制御ループのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの振動モードのうちの1つを含む周波数範囲内で制御される、アクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  2. 前記少なくとも2つの制御ループは様々な振動周波数に対して制御信号を生成するように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  3. 少なくとも1つの前記制御ループがバンドパスフィルタを含んでいることを特徴とする、請求項2に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  4. 前記制御装置が少なくとも2つのパラレル・コントローラ(261、262、…、26N)を有し、それぞれの前記コントローラ(261、262、…、26N)が前記モーションセンサ(19)の信号を入力信号として受信し、前記コントローラ(261、262、…、26N)の出力信号を加算する加算器(25)を前記制御装置が有する、請求項2乃至3のいずれか1項に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  5. 前記モーションセンサが速度センサを含んでいることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  6. 前記駆動装置(20)の供給電流提供用アンプを備え、前記駆動装置(20)のいずれかの基準速度に対応する信号を出力信号として該アンプに出力するように前記制御装置が適合されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  7. 前記駆動装置がリニア・モータを含んでいることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  8. 50Hzを下回る振動を減衰するために前記バイブレーション・ダンパ(1)が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアクティブ・バイブレーション・ダンパ。
  9. アクティブ・ダンパ付きサポート構造であって、該サポート構造が、少なくとも1つの端部で固定され、且つ、請求項1乃至8のいずれか1項の記載のバイブレーション・ダンパ(1)が固定されているカンチレバー部分を有している、アクティブ・ダンパ付きサポート構造。
  10. 前記サポート構造が片側でカンチレバーアーム(3)として形成されており、前記バイブレーション・ダンパ(1)が前記アーム(3)の自由端部(31)に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載のサポート構造。
  11. 前記バイブレーション・ダンパ(1)が、少なくとも2つの振動モードの重ね合わせが発生する、前記サポート構造の1箇所に配置されていることを特徴とする、請求項9乃至10のいずれか1項に記載のサポート構造。
  12. 前記バイブレーション・ダンパ(1)が、様々な周波数範囲の振動の制御のために形成されている少なくとも2つの制御ループを含む制御装置(22)を有し、前記サポート構造が少なくとも2つの振動モードを有し、前記制御ループの少なくとも1つがバンドパスフィルタとして形成され、いずれか1つの振動モードを含む1つの周波数範囲内で制御されることを特徴とする、請求項10乃至11のいずれか1項に記載のサポート構造。
  13. 前記アクティブ・バイブレーション・ダンパ(1)が少なくとも2つの前記駆動装置(20、200)を有し、前記駆動装置を使い1つまたは複数のダンパ・マス(15)が制御装置(22)によって直交方向に移動できるように制御されている、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のアクティブ・ダンパ付きサポート構造。
  14. 一方の端部が固定され、もう一方の自由端部(31)にX線検出器またはX線発生器が設けられており、前記自由端部(31)に請求項1乃至8のいずれか1項に記載の前記アクティブ・バイブレーション・ダンパ(1)が配置されている、1本のアーム(3)を含むX線スキャナ(12)。
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