JP6009847B2 - 放射性物質に汚染された固形物の除染装置および除染方法 - Google Patents
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そして拡散した放射性セシウムは、森林内の木材、土砂の付着した小石や瓦の破片、破壊した建造物等の瓦礫、木材の樹皮(バーク)等の固形物に付着し、例えば該瓦礫からコンクリートの骨材を選択採取して建造物を建てた場合、該建造物は放射性物質により汚染されたものになるという問題があり、またこれら汚染した固形物を除洗しないかぎりは固形物の受け入れ先に搬送できないという問題があるだけでなく、放射性セシウムに汚染された固形物をそのまま放置しておくと、該付着した放射性セシウムが雨水によって河川などに流れ落ちると、放射性物質に汚染された環境水が海域へ流入し汚染が更に広がることが想定されるため、早期の浄化(除染)対策を講じる事により、放射性物質の拡散を防止し、被曝を防ぐ必要がある。
このような放射性物質を除去する手法として、金属やセラミックス、ゴム製品等の材料毎に分別後、各々の材料に適した除染方法で除染することが提唱されている(例えば特許文献1)。
請求項2の発明は、前記破砕機は、様々な大きさの固形物を100mm以下になるように破砕するものであって、前記複数の洗浄機は、大きさが凡そ40〜100mmの比較的大きな固形物を分離する第一の洗浄機と、大きさが凡そ1〜40mmの中程度の大きさの固形物を分離する第二の洗浄機と、大きさが凡そ0.02〜1mmの小さな固形物を分離する第三の洗浄機とが順次配されているものであることを特徴とする請求項1記載の放射性物質に汚染された固形物の除染装置である。
請求項3の発明は、放射性物質は少なくとも放射性セシウムであることを特徴とする請求項1または2記載の放射性物質に汚染された固形物の除染装置である。
請求項4の発明は、凝集剤にはゼオライトがさらに混入されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1記載の放射性物質に汚染された固形物の除染装置である。
請求項5の発明は、表面が放射性物質により汚染された固形物を除染する除染方法であって、様々な大きさの固形物を破砕する破砕工程、直列流路となるよう配された複数の洗浄機を順次用いて該破砕された固形物を水洗浄することで、放射線量が許容量以下になった固形物を大径のものから小径のものへ順次汚染水から分離する固形物分離工程、該最終の洗浄機を通過した微細な固形物を含む分離汚染水と凝集剤とが混合されたものを攪拌することで前記微細固形物と放射性物質とを含んだフロックを生成するフロック生成工程、該フロック生成工程で生成したフロックを含む汚染水が供給され、前記微細固形物と放射性物質とを含んだフロックを水から分離するため静置される静置工程、該分離したフロックを水から取出すフロック取出し工程、前記複数の洗浄機のうち、少なくとも最初の洗浄機に固形物の表面を研磨するための研磨材を投入する研磨材投入工程と、を備えていることを特徴とする放射性物質に汚染された固形物の除染方法である。
瓦礫や木材樹皮等の固形物を洗浄する洗浄水としては、水だけでなく加熱水(湯)を用いることができるが、このなかに必要において洗剤を混入してもよい。
また使用する凝集剤としては、硫酸アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、酸化カルシウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の通常知られた無機凝集剤、さらにはアニオン性、ノニオン性、カチオン性等の通常知られた高分子凝集剤が例示され、これら凝集剤のなかから一種類、あるいは二種類以上のものが選択される。そして凝集剤は、放射性物質により汚染された汚染固形物質、水中に懸濁している非溶解性放射性物質をフロックの中に取り込むことで高い除染機能を担保することになる。
また凝集剤は、放射性物質だけでなく、ヒ素、鉛、カドミウム、水銀等の重金属だけでなく、木材や瓦礫の表面に付着していた固形物質のうち、分離しても依然として除染水中に混在する微細な固形物質も併せて凝集することができるため、これら重金属が混入する汚染水に用いることもでき、好適である。
この場合に、凝集剤には吸着剤であるゼオライトを含有していてもよい。そしてゼオライトは、凝集剤により凝集されてフロック化されることになり、分離回収が容易となる。
ゼオライトとしては天然ゼオライト、人工(合成)ゼオライトのいずれであってもよい。天然ゼオライトとしては、モルデナイト系とクリノプチロライト系に代表され、人工ゼオライトとしては、A型、X型、Y型に代表され、これらのなかから一種類、あるいは二種類以上を選択して採用することができる。そしてゼオライトは、汚染水に溶解している放射性物質を吸着する機能を有し、そして該吸着したゼオライトはフロックの中に取り込まれて除去されることになるため、高い除染機能を補佐するものとなる。
汚染水に凝集剤を添加後、急速に撹拌して混合を促進し、その後、穏やかに撹拌する操作をすることで放射性物質を含んだフロックを大きく成長させることができ、このフロックを大きく成長させる過程で、該フロック中に、水に溶解している溶解性放射物質および水中に懸濁している固形物や非溶解性放射性物質を効率よく取り込むことができる。
非放射性セシウムイオン濃度が1.0mg/Lの水溶液を調整したものについてイオン濃度を測定したところ、非放射性セシウムイオン濃度が1.0358mg/Lの水溶液であった。この水溶液に、島根県産の天然ゼオライト1.0g及び凝集剤として炭酸カルシウム、硫酸アルミニウムを各1.0g添加し、24時間振蕩した後、遠心分離およびろ過を行い、水分中のセシウムイオン濃度を測定したところ、0.0011mg/Lであり、除去率は99.89%であった。比較のため、前記調整した水溶液にゼオライトのみを1.0g添加し、同じ処理をした後、水分中のセシウムイオン濃度を測定したところ、非放射性セシウムイオン濃度が0.0038mg/Lであり、除去率は99.63%であった。このことから前記ゼオライト及び凝集剤を添加したものはゼオライトのみを添加したものよりも非放射性セシウムを2.7μg/Lだけ多く除去することが確認できた。
非放射性セシウムイオン濃度が1.0mg/Lの3.5%NaCl水溶液を調整したものについてイオン濃度を測定したところ、非放射性セシウムイオン濃度が1.0530mg/Lであった。この水溶液に、島根県産の天然ゼオライト1.0g及び凝集剤として炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムを各1.0g添加し、予備実験例1と同様の処理をした後、水分中のセシウムイオン濃度を測定したところ、0.2412mg/Lであり、除去率は77.09%であった。比較のため、同様にしてゼオライトのみを1.0g添加し、同様の処理をしたものについて非放射性セシウムイオン濃度を測定したところ、0.2543mg/Lであり、除去率は75.85%であった。このことから前記ゼオライト及び凝集剤を添加したものはゼオライトのみを添加したものよりもセシウムを13.1μg/Lだけ多く除去することが確認できた。
尚、さらに別の予備実験を重ねたところ、凝集剤は一種類よりも二種類以上の混合物であることが好ましく、また添加物として凝集剤だけの場合よりも、凝集剤にゼオライトをさらに混合したものの方がより多くのセシウムを除去できることが確認された。
前記福島県内の小学校のプールにて採取した放射性セシウム汚染水(36200Bq/kg(内訳:セシウム134 16900Bq/kg、 セシウム137 19300Bq/kg))1.0Lに前記ゼオライト1.0g及び凝集剤として炭酸アルミニウム、硫酸アルミニウムを各1.0g添加して10分間撹拌した後、5分間放置してフロックを生成し、しかる後、該フロックをろ過により分離し、その分離液について放射線量を分析したところ、検出限界値以下(検出限界値:10.0Bq/kg)であった。
<実験例2>
さらに、放射性セシウム汚染水(250Bq/kg)1.0m3に対して、前記ゼオライト100g及び凝集剤として硫酸アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムを各100g混合して1分間撹拌した後、24時間放置してフロックを生成し、しかる後、該フロックを濾過により分離し、その分離液について放射線量を測定したところ、検出限界値以下(検出限界値:10.0Bq/kg)であった。
また、放射性セシウム汚染水(250Bq/kg)1.0m3に対して、炭酸アルミニウムを300g添加して1分間撹拌した後、24時間放置してフロックを生成し、しかる後、該フロックをろ過により分離し、該分離液について放射線量を測定したところ、88.4Bq/kgであった。
本発明の実施の形態に係る除去装置を作成し、放射性セシウムの除去を試みた。このものは固形物(瓦礫、泥土や石、コンクリート片、木材あるいはその樹皮、建築廃材等)を除染した汚染水から放射性セシウムを除去するものである。固形物は大きさが不揃いであるため、破砕機21を用いて大きさが100mm以下のものに破砕し(本発明の「破砕工程」に相当する。)、該破砕した固形物を振動フィーダ22で振動してブリッジ化をなくし、これをベルトコンベア23で搬送して洗浄機(トロンメル洗浄機)(本発明の「第一の洗浄機」に相当する。)24で水又はお湯(洗剤が含まれていてもよい。)で洗浄(水を流し続ける洗浄)し、比較的大きな固形物(凡そ40〜100mm)Aを篩い分けする。この篩い分けられた固形物の放射線量は前記電離放射線障害防止規則で定められている許容限度以下であった。
なお本実施の形態では、洗浄効果や除染効率を高めるため、固形物同士を強制的に擦り合わせて研磨する処理が施されている。そのため前記洗浄機24内に磨砕用のボール状または棒状の研磨材が投入されている。このため該研磨材で固形物表面を削って(擦り合わせて)研磨したことにより生じる研磨物を含んだ固形物を水洗浄するようにしている。該研磨材の材質としては、例えば、金属、セラミック、石、プラスチック等を採用することができるが、本実施の形態では金属製のボールを採用している。因みに、放射能に汚染された固形物同士が擦れ合うことにより研磨され、このようにして生じた研磨物も固形物として除染の対象になる。
なお、このようにして固形物を大径のものから小径のものへ、放射線量が許容量以下になったものを汚染水から順次分離する工程が、本発明の「固形物分離工程」に相当する。
そして該供給された汚染水は、ポンプ30aにより静水槽31に供給された後、第一反応槽32に供給される。第一反応槽32には、薬剤供給装置32aからゼオライトが混合されていても良い凝集剤の中から選択された第一の凝集剤が添加された状態で攪拌器32bにより撹拌混合され、さらに攪拌器33aにより撹拌される第二の反応槽33に供給される。
22 振動フィーダ
23 ベルトコンベア
24 洗浄機
25 第一固液分離機
26 貯留層
27 第二の固液分離器
28 第一水受槽
29 第三の固液分離器
30 第二の水受槽
31 静水槽
32 第一反応槽
33 第二の反応槽
34 第三の反応槽
35 ラインミキサー
36 反応塔
37 静水槽
38 スラリー槽
39 プレス機
Claims (5)
- 表面が放射性物質により汚染された固形物を除染する除染装置であって、
該除染装置は、
表面が放射性物質により汚染された固形物を破砕する破砕機と、
該破砕された固形物を水洗浄し、放射線量が許容量以下になった固形物を大径のものから小径のものに順次汚染水から分離するため直列流路となるよう配された複数の洗浄機と、
該最終の洗浄機を通過した微細な固形物を含む分離汚染水が供給されると共に、凝集剤が添加されて分離汚染水と凝集剤とを混合する混合反応槽と、
前記混合した分離汚染水と凝集剤とを攪拌して微細固形物と放射性物質とを含んだフロックを生成するする撹拌器と、
該生成したフロックを含む汚染水が供給され、フロックを水から分離するため静置される静水槽と、
該静置により分離した前記フロックを水から取出すフロック取出し機とを備えると共に、
前記複数の洗浄機のうち、少なくとも最初の洗浄機に固形物の表面を研磨するための研磨材が投入されている
ことを特徴とする放射性物質に汚染された固形物の除染装置。 - 前記破砕機は、様々な大きさの固形物を100mm以下になるように破砕するものであって、
前記複数の洗浄機は、
大きさが凡そ40〜100mmの比較的大きな固形物を分離する第一の洗浄機と、
大きさが凡そ1〜40mmの中程度の大きさの固形物を分離する第二の洗浄機と、
大きさが凡そ0.02〜1mmの小さな固形物を分離する第三の洗浄機とが順次配されているものであることを特徴とする請求項1記載の放射性物質に汚染された固形物の除染装置。 - 放射性物質は少なくとも放射性セシウムであることを特徴とする請求項1または2記載の放射性物質に汚染された固形物の除染装置。
- 凝集剤にはゼオライトがさらに混入されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1記載の放射性物質に汚染された固形物の除染装置。
- 表面が放射性物質により汚染された固形物を除染する除染方法であって、
様々な大きさの固形物を破砕する破砕工程、
直列流路となるよう配された複数の洗浄機を順次用いて該破砕された固形物を水洗浄することで、放射線量が許容量以下になった固形物を大径のものから小径のものへ順次汚染水から分離する固形物分離工程、
該最終の洗浄機を通過した微細な固形物を含む分離汚染水と凝集剤とが混合されたものを攪拌することで前記微細固形物と放射性物質とを含んだフロックを生成するフロック生成工程、
該フロック生成工程で生成したフロックを含む汚染水が供給され、前記微細固形物と放射性物質とを含んだフロックを水から分離するため静置される静置工程、
該分離したフロックを水から取出すフロック取出し工程、
前記複数の洗浄機のうち、少なくとも最初の洗浄機に固形物の表面を研磨するための研磨材を投入する研磨材投入工程と、
を備えていることを特徴とする放射性物質に汚染された固形物の除染方法。
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