JP6009417B2 - 中空エンジンバルブの製造方法 - Google Patents
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Description
[従来例1]
従来例1を説明する。図9は接合前のバルブ本体とプラグとを示す側断面図、図10はバルブ本体に対するプラグの摩擦溶接状態を示す側断面図、図11はプラグが摩擦溶接されたバルブ本体を示す側断面図、図12は中空エンジンバルブを示す側断面図である。
図9に示すように、中空エンジンバルブの製造に際して、バルブ本体100とプラグ102とが個別に用意される。バルブ本体100は、例えば耐熱鋼からなり、弁軸部104及び弁傘部106を備えている。バルブ本体100は、弁傘部106の傘表側(エンジンの燃焼室側)から軸方向に延びかつ座ぐり状の凹部109を有する段付円筒状の中空穴108が形成されている。中空穴108の凹部109は、座ぐり加工により有底円筒状に形成されている。また、プラグ102は、例えばバルブ本体100と同材質からなり、円柱状に形成されている。
その後、プラグ102及びその周辺部に対して切削加工又は研削加工等による除去加工が施される。これにより、外ばり114が除去されるとともに、プラグ102の外端面が弁傘部106の傘表側の端面と同一面をなすように加工されることによって、中空エンジンバルブ116とされる(図12参照)。
従来例2を説明する。図13は接合前のバルブ本体とプラグとを示す側断面図、図14はバルブ本体に対するプラグの摩擦圧接状態を示す側断面図、図15はプラグが摩擦圧接されたバルブ本体を示す側断面図、図16は中空エンジンバルブを示す側断面図である。従来例2は、前記従来例1の一部が変更されたものであるから異なる構成について説明する。
図13に示すように、バルブ本体100の中空穴108の凹部(符号、120を付す)は、テーパー座ぐり加工によりテーパー孔状に形成されている。また、プラグ102の接合側端部には、テーパー状の外周面を有するテーパー部122が形成されている。
その後、プラグ102及びその周辺部に対して除去加工が施されることにより、中空エンジンバルブ(符号、128を付す)とされる(図16参照)。
また、バルブ本体100の中空穴108の凹部120の内周面(テーパー面)に高い寸法精度が要求されるため、凹部120にかかる加工費が高く付く。また、プラグ102のテーパー部122に高い寸法精度が要求されるため、プラグ102にかかる製作費が高く付く。したがって、製造コストアップを余儀なくされるという問題があった。
この構成によると、バルブ本体とプラグとの接合面を中空穴の軸線に対して直交状をなす面とすることにより、両者間の圧接力の分散を防止し、バルブ本体とプラグとの摩擦圧接による十分な接合強度を確保することができる。また、バルブ本体とプラグとの接合面の外周側に空間部を形成するようにしたことにより、空間部に摩擦圧接により生じた外ばりが排出される。また、摩擦圧接により生じた内ばりは中空穴内へ排出される。このため、材料表面の不純物が速やかに排出され、圧接部に介在物が残存しない又はほとんど残存しないため、バルブ本体とプラグとの接合強度の低下を防止することができる。したがって、バルブ本体とプラグとの摩擦圧接による接合強度を向上することができる。
また、前記従来例2と異なり、バルブ本体の中空穴の凹部の内周面に高い寸法精度が要求されないため、凹部にかかる加工費を低減するとともに、プラグに高い寸法精度が要求されないため、プラグにかかる製作費を低減することができる。したがって、製造コストを低減することができる。
実施形態1の中空エンジンバルブの製造方法について説明する。図1は接合前のバルブ本体とプラグとを示す側断面図、図2はバルブ本体に対するプラグの摩擦圧接状態を示す側断面図、図3はプラグが摩擦圧接されたバルブ本体を示す側断面図、図4は中空エンジンバルブを示す側断面図である。
図1に示すように、中空エンジンバルブの製造に際して、バルブ本体10とプラグ12とが個別に用意される。バルブ本体10は、弁軸部14及び弁傘部16を備えている。弁軸部14の一端部(図1において左端部)に傘状の弁傘部16が同心状に形成されている。弁傘部16の傘表側(エンジンの燃焼室側)には、バルブ本体10の軸線(中心線)Lに対して直交状をなす端面16aが形成されている。バルブ本体10は、例えば、SUH35、SUH11等の耐熱鋼からなり、鍛造成形により形成されている。
また、穴本体部19は、凹部20の成形後において、ドリルによる穴あけ加工により有底円筒状に形成されている。穴本体部19は、弁傘部16の傘表側から弁軸部14の軸端部(図1において右端部)に向って延びている。なお、凹部20の底面20aは中空穴18の段付面に相当する。
また、バルブ本体10の凹部20の底面20aに対してプラグ12の端面12aを同心状に当接させることによって、バルブ本体10の中空穴18の凹部20内の外周部すなわちバルブ本体10とプラグ12との接合面(20a,12a)の外周側に、凹部20の外周部による環状の空間部22が形成されることになる。空間部22は、摩擦圧接により生じた外ばりを収容可能である。
図5に示すように、除去加工された弁傘部16の傘表側には環状溝32が形成されている。環状溝32は、前記空間部22(図2参照)を主とする外周側の溝部分と、プラグ12の外端部及び外周部を所定形状に除去加工することによって形成された内周側の溝部分とからなる。環状溝32は断面U字状に形成されており、その溝底部が凹曲面34に形成されている。凹曲面34は、内周側の凹型R面35と外周側の凹型R面36を有している。また、プラグ12に除去加工を施すことにより、半球状の凸部38が形成されている。凸部38の表面は半径SRで形成されている。また、凸部38の先端(頂点)は、弁傘部16の傘表側の端面16aと同一面又は略同一面上に位置されている。また、凸部38は、環状溝32で取り囲まれている。凸部38の表面は、環状溝32の内周側の凹型R面35と連続している。
また、前記従来例2(図13〜図16参照)と異なり、バルブ本体10の中空穴18の凹部20の加工に高い寸法精度が要求されないため、凹部20にかかる加工費を低減するとともに、プラグ12に高い寸法精度が要求されないため、プラグ12にかかる製作費を低減することができる。したがって、製造コストを低減することができる。
実施形態2を説明する。実施形態2以降の実施形態は、実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について詳述し、重複する説明は省略する。図6は中空エンジンバルブの弁傘部を一部破断して示す側面図である。
図6に示すように、本実施形態は、前記実施形態1の中空エンジンバルブ30の弁傘部16の凸部38(図5参照)を、平坦な頂面40aを有する凸部40に変更したものである。凸部40の外周部には、凸型R面40bが形成されている。凸型R面40bは、環状溝32の凹曲面34の内周側の凹型R面35と連続している。また、凸部40の頂面40aは、弁傘部16の傘表側の端面16aと同一面又は略同一面上に位置されている。
実施形態3を説明する。図7は中空エンジンバルブの弁傘部を一部破断して示す側面図である。
図7に示すように、本実施形態は、前記実施形態1の中空エンジンバルブ30の弁傘部16の凸部38(図5参照)を、平坦な頂面42aを有する凸部42に変更したものである。凸部42は、円錐台状に形成されている。凸部42のテーパー状の外周面42bは、環状溝32の凹曲面34の内周側の凹型R面35と連続している。
実施形態4を説明する。図8は中空エンジンバルブの弁傘部を一部破断して示す側面図である。
図8に示すように、本実施形態は、前記実施形態1の中空エンジンバルブ30の弁傘部16の凸部38(図5参照)を、平坦な頂面44aを有する凸部44に変更したものである。凸部44は円柱状に形成されている。凸部44の円筒状の外周面44bは、環状溝32の凹曲面34の内周側の凹型R面35と連続している。また、環状溝32の外周面(図7に(符号、46を付す)は、外周側の凹型R面36に連続する円筒面に形成されている。なお、本実施形態の場合、前記実施形態1におけるバルブ本体10の凹部20(図1参照)は、有底テーパー円筒状から有底円筒状に変更され、その有底円筒状の凹部の内周面を基にして環状溝32の外周面46が形成されている。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、バルブ本体10の中空穴18の凹部20の外形形状は、プラグ12の外形形状よりも大きい形状であればよく、円形以外の形状にしてもよい。
12…プラグ
12a…端面(接合面)
14…弁軸部
16…弁傘部
18…中空穴
20…凹部
20a…底面(接合面)
22…空間部
24…中空部
28…外ばり
30…中空エンジンバルブ
32…環状溝
34…凹曲面
Claims (2)
- 弁軸部及び弁傘部を備えかつ弁傘部の傘表側から軸方向に延びかつ座ぐり状の凹部を有する中空穴が形成されたバルブ本体と、前記バルブ本体の中空穴の凹部の底面に摩擦圧接されるプラグとを備える中空エンジンバルブの製造方法であって、
前記バルブ本体に前記プラグを摩擦圧接するに際し、バルブ本体とプラグとの接合面を前記中空穴の軸線に対して直交状をなす面とし、バルブ本体とプラグとの接合面の外周側に摩擦圧接により生じた外ばりを収容する空間部を形成するようにし、
前記バルブ本体に対する前記プラグの摩擦圧接後において、前記空間部の外ばりを除去するとともに前記プラグを含む前記弁傘部の傘表側の形状を所定形状に加工する除去加工を行うことを特徴とする中空エンジンバルブの製造方法。 - 請求項1に記載の中空エンジンバルブの製造方法であって、
前記除去加工を行うことにより、前記弁傘部の傘表側に環状溝を形成するとともに該環状溝の溝底部を凹曲面に形成するようにしたことを特徴とする中空エンジンバルブの製造方法。
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