JP6009291B2 - 抗菌剤及び皮膚外用剤 - Google Patents

抗菌剤及び皮膚外用剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6009291B2
JP6009291B2 JP2012206971A JP2012206971A JP6009291B2 JP 6009291 B2 JP6009291 B2 JP 6009291B2 JP 2012206971 A JP2012206971 A JP 2012206971A JP 2012206971 A JP2012206971 A JP 2012206971A JP 6009291 B2 JP6009291 B2 JP 6009291B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial agent
compound represented
formula
skin
antibacterial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012206971A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014062059A (ja
Inventor
紗也加 野地
紗也加 野地
充 杉山
充 杉山
博文 滝川
博文 滝川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2012206971A priority Critical patent/JP6009291B2/ja
Publication of JP2014062059A publication Critical patent/JP2014062059A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6009291B2 publication Critical patent/JP6009291B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、抗菌剤及び皮膚外用剤に関する。
ヒトの皮膚には皮膚常在菌と呼ばれる様々な微生物が存在する。皮膚常在菌は、病原菌の侵入を防いで皮膚のバリア機能を維持する等の点で有用である一方、中には皮膚炎等の皮膚疾患に関与することが指摘されているものもある。
グラム陽性菌の1種であるアクネ菌(Propionibacterium acnes)は、皮脂をグリセリンと脂肪酸に分解して皮膚を弱酸性に保つことで病原菌の侵入や繁殖を抑える役割を担っている。しかし、皮脂が毛穴等に詰まった状態が続くと、皮脂を栄養源としてアクネ菌が増殖し、これが原因となってニキビ等の炎症が引き起こされる。
同じくグラム陽性菌の1種であるブドウ球菌(Staphylococcus属細菌)は、ヒトの皮膚や鼻腔等に存在し、通常は無害の細菌である。しかし、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のように毒性の強いものは、傷口の化膿やとびひ等の原因になることが知られている。黄色ブドウ球菌は、炎症を起こした傷口から体内に侵入して髄膜炎、肺炎、腹膜炎、敗血症等を引き起こすこともある。また、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因であるとの指摘もなされている(例えば、非特許文献1〜5等参照)。
真菌の1種であるマラセチア真菌(Malassezia属真菌)は、動物やヒトの体表に広く常在し、癜風、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎の原因になるといわれている。また、頭皮に存在するマラセチア真菌は、リパーゼを産生して頭皮の皮脂を分解し消費しており、このリパーゼが皮脂を分解する際に産生される脂肪酸は、頭皮炎症の原因となるといわれている。そのため、マラセチア真菌が増殖するとリパーゼが過剰に産生されて脂肪酸の量が増え、それによって頭皮の炎症が進行し、その結果としてフケが発生すると考えられている(例えば、非特許文献6〜8等参照)。
皮膚の炎症の予防・改善には、炎症の原因菌の増殖を効果的に制御することが重要であり、皮膚の健康の維持・改善に有用な新たな抗菌剤及び皮膚外用剤の開発が望まれている。例えば、特許文献1及び非特許文献9には、抗アクネ菌活性や抗黄色ブドウ球菌活性を有する化合物を含有する皮膚外用剤が記載されている。
特開2010−65014号公報
Journal of Allergy and Clinical Immunology, 2000, Vol. 105 p.814. 日本皮膚科学会雑誌, 2000, Vol. 110, p.19. British Journal of Dermatology, 1974, Vol. 90, p.525. 皮膚(新:皮膚の科学),1988, Vol. 40, p.9. 皮膚の科学, 2008, Vol. 10, p. 24. Journal of Clinical Microbiology, 2002, Vol. 40, p.3350. Japanese Journal of Medical Mycology, 2007, Vol. 48, p.179. Microbiology, 2011, Vol. 157, p. 3492. Phytochemistry,2010, Vol.71,p.104.
本発明は、抗菌剤及び皮膚外用剤、特に、皮膚の炎症の原因菌に対して優れた抗菌活性を示す抗菌剤及び皮膚外用剤の提供を課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討を行った。その結果、皮膚炎症等の原因菌に対して優れた抗菌活性を有する化合物を新たに見出した。本発明はこの知見に基づき完成されたものである。
本発明は、下記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する抗菌剤に関する。
Figure 0006009291
Figure 0006009291
また、本発明は、前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する皮膚外用剤に関する。
また、本発明は、前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するニキビ予防・改善剤に関する。
また、本発明は、前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎予防・改善剤に関する。
また、本発明は、前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するフケ予防・改善剤に関する。
さらに、本発明は、前記式(2)で表される化合物に関する。
本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、優れた抗菌活性、特に皮膚炎症の原因菌に対して優れた抗菌活性を示す。特に、本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、ニキビ、アトピー、フケ等を発生させる皮膚炎症の原因となる菌に対して優れた抗菌活性を示す。
本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、下記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分とする。
Figure 0006009291
Figure 0006009291
式(2)で表される化合物は、式(1)で表される化合物の立体異性体で、10位の立体配置のみが異なるエピマーである。
本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、前記式(1)又は(2)で表される化合物を単独で有効成分としてもよいし、2種を組合わせて有効成分としてもよい。
前記式(1)又は(2)で表される化合物は、通常の方法により化学合成してもよいし、特定の植物から抽出、単離してもよい。
前記式(1)又は(2)で表される化合物を得ることができる植物として、マルバテイショウソウ(Ainsliaea fragrans Champ)が挙げられる。マルバテイショウソウは、キク科(Compositae)モミジハグマ属の植物である。
例えば、マルバテイショウソウを抽出原料とし、適当な溶媒を用いて抽出操作を行い、アクネ菌等に対する抗菌活性を有するマルバテイショウソウ抽出物を得る。続いて、当該抽出物を、液液分配やカラムクロマトグラフィー等の通常の分画手法を組合わせて順次分画していき、得られた画分のアクネ菌等に対する抗菌活性を指標に比活性の高い画分を得ていくことで、前記式(1)又は(2)で表される化合物を得ることができる。
マルバテイショウソウの抽出方法については特に限定はなく、通常の植物の抽出方法により行うことができる。抽出溶剤中に、抽出原料のマルバテイショウソウを浸漬又は加熱還流し、抽出物を得ることが好ましい。
抽出原料には、マルバテイショウソウの任意の部位(例えば、全草、根、茎、葉、花等)を用いることができ、各部位を複数組み合わせて用いてもよい。中でも、全草、又は根を含む部位を用いることが好ましい。マルバテイショウソウを基原植物として得られた生薬(金辺兔耳(キンペントジ))を抽出原料とすることもできる。
抽出には上記植物を生のまま用いてもよく、抽出効率を高めるために、乾燥、細断、粉砕等の処理を施したものを用いることも好ましい。
抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられる。あるいは、上記溶剤の2種以上を組み合わせた混合物を、抽出溶剤として用いることができる。このうち、水、アルコール類、アルコール水溶液、プロピレングリコール、ブチレングリコールを用いるのが好ましく、水、アルコール類、アルコール水溶液を用いるのがより好ましく、アルコール水溶液を用いるのがさらに好ましく、エタノール水溶液を用いることが特に好ましい。エタノール水溶液の濃度は、0.1〜100(v/v)%であることが好ましく、20〜100(v/v)%であることがより好ましく、50〜100%であることがさらに好ましい。
抽出条件は、使用する溶剤によっても異なり特に制限はないが、例えば、溶剤として水、アルコール類、アルコール水溶液、プロピレングリコール、ブチレングリコールを用いる場合、植物1質量部に対して1容量部以上50容量部以下の溶剤を用いることが好ましい。抽出温度は、好ましくは3℃以上、より好ましくは20℃以上である。そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。抽出時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは1日以上である。そして、好ましくは数週間程度以下、より好ましくは30日間程度以下である。また、抽出効率を上げる為、併せて攪拌を行ったり、溶媒中でホモジナイズ処理を行ってもよい。
後述の実施例に示すように、前記式(1)又は(2)で表される化合物は優れた抗菌作用を示し、抗菌剤として使用することができる。本発明において「抗菌」とは、菌の増殖を抑制すること、菌を死滅させること、の両概念が包含され、菌には、細菌類、真菌類の両方が包含される。また、上記使用は、治療的使用(即ち医療行為)であっても非治療的使用(非医療的な行為)であってもよい。上記使用の対象は、ヒト、非ヒト動物、又はそれらに由来する検体であり得る。
特に、前記式(1)又は(2)で表される化合物は、皮膚の炎症の原因菌に対し優れた抗菌活性を示す。皮膚の炎症の原因菌としては、ニキビの原因菌、アトピー性皮膚炎の原因菌、フケの原因菌が挙げられる。より具体的には、ニキビ原因菌としてはアクネ菌(Propionibacterium acnes)が、アトピー性皮膚炎原因菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)やマラセチア(Malassezia)属真菌が、フケ原因菌としてはマラセチ属真菌が挙げられる。本発明の抗菌剤は、これらの菌に対する抗菌剤として好適に用いることができる。
本発明の抗菌剤は、治療的用途(医療用途)、非治療用途(非医療用途)のいずれにも適用することができ、その使用形態も、人や動物の皮膚、爪、粘膜、毛髪等に適用されうるすべての形態が含まれる。具体的には、医薬品、医薬部外品、化粧料等としての使用が挙げられ、化粧料や医薬部外品、医薬品の場合は皮膚外用剤の形態で、医薬品の場合は投与形態で、使用することができる。
本発明の抗菌剤は、有効成分である前記式(1)又は(2)で表される化合物のみを含有するものであってもよいし、効果に影響を与えない範囲で他の成分を含有するものであってもよい。
有効成分以外の他の成分は、剤の形態や用途等に応じて適宜選択できる。例えば、剤として成形しやすいよう、酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体または固体の賦形剤または増量剤を加えてもよい。また、他の薬効成分(美白剤、保湿剤など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、色材種等を加えてもよい。
剤に他の成分を配合する場合、前記式(1)又は式(2)で表される化合物の含有量は特に制限されないが、上記化合物の剤中の総量が、固形分濃度(固形分換算)で、0.000001質量%以上含まれることが好ましく、0.00001質量%以上含まれることがより好ましい。また、上記化合物が剤中に固形分濃度で、0.5質量%以下含まれることが好ましく、0.1質量%以下含まれることが特に好ましい。
本発明の抗菌剤を皮膚外用剤の形態で使用する場合、当該「皮膚外用剤」には、皮膚化粧料、外用医薬品、外用医薬部外品等として皮膚に適用されるものが含まれ、その剤型も水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、ゲル系、軟膏系、クリーム、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、幅広い形態をとり得る。より具体的には、洗顔料、化粧水、ローション、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク、マッサージ剤、ファンデーション、口紅、入浴剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、軟膏、ペースト、シート状製品(サニタリー用品等の吸収性物品、おしり拭き、ウェットティッシュ等)等の形態が挙げられる。
また、これらの剤型とするにあたって、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料等を適宜配合することができる。
本発明の抗菌剤を医薬品としてヒトや動物に投与する形態で使用する場合、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤、注射剤、外用剤、坐剤、経皮吸収剤等の非経口用製剤などの形態とすることができる。
これらの製剤を調製するに際しては、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜配合することができる。
本発明の抗菌剤を皮膚外用剤の形態で使用する場合、当該皮膚外用剤の使用量は、剤中の有効成分の含有量により異なるが、皮膚面1cm当たり0.00001mg以上、0.1mg以下とすることが好ましい。
また、本発明の抗菌剤を医薬品等の形態で使用する場合、その使用量は、適用対象者の状態、体重、性別、年齢等の条件により異なるが、通常、成人1人(体重60kg)当たり1日に、前記式(1)又は式(2)で表される化合物を固形分換算で、0.01μg以上、50mg以下使用することが好ましい。
本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分とし、皮膚炎の原因菌、特にニキビ原因菌、アトピー性皮膚炎原因菌、フケ原因菌に対して優れた抗菌作用を示す。この抗菌作用により、本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、これらの原因菌によって引き起こされる皮膚炎症に起因する種々の症状、すなわち、ニキビや化膿、アトピー、フケ等を予防、緩和、改善することができる。この観点から、本発明の抗菌剤及び皮膚外用剤は、ニキビの発症を予防する又はニキビの症状を緩和・改善するためのニキビ予防剤又は改善剤として、アトピー性皮膚炎の発症を予防する又はアトピー性皮膚炎の症状を緩和・改善するためのアトピー性皮膚炎予防剤又は改善剤として、フケの発生を予防する又はフケの症状を緩和・改善するためのフケ予防剤又は改善剤として用いることができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の抗菌剤、皮膚外用剤、方法及び用途を開示する。
<1> 前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する抗菌剤。
<2> ニキビ原因菌に対する抗菌剤である、<1>項記載の抗菌剤。
<3> アクネ菌(Propionibacterium acnes)に対する抗菌剤である、<1>又は<2>項記載の抗菌剤。
<4> アトピー性皮膚炎原因菌に対する抗菌剤である、<1>項記載の抗菌剤。
<5> 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌剤である、<1>又は<4>項記載の抗菌剤。
<6> フケ原因菌に対する抗菌剤である、<1>項記載の抗菌剤。
<7> マラセチア属(Malassezia属)真菌に対する抗菌剤である、<1>又は<6>項記載の抗菌剤。
<8> 前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を含む化粧料を皮膚に適用することを特徴とする、抗菌方法(医療行為を除く)。
<9> 前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する皮膚外用剤。
<10> 前記式(2)で表される化合物。
<11> 前記式(1)又は(2)で表される化合物を、抗菌剤として使用する方法。
<12> 抗菌剤としての、前記式(1)又は(2)で表される化合物の使用。
<13> 抗菌のための、前記式(1)又は(2)で表される化合物の非医薬的な使用。
<14> 抗菌剤の製造のための、前記式(1)又は(2)で表される化合物の使用。
<15> 抗菌のために用いる、前記式(1)又は(2)で表される化合物。
<16> 前記式(1)又は(2)で表される化合物を投与又は皮膚に適用することを含む、抗菌方法。
<17> 前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するニキビ予防・改善剤。
<18> 前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎予防・改善剤。
<19> 前記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するフケ予防・改善剤。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例 式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物の単離
マルバテイショウソウ全草(新和物産(株)より購入)715gを、95体積%エタノール水溶液7.15Lに7日間常温で浸漬した。この浸漬液をろ過し、得られたろ液を濃縮して固形分12.52gを得た。得られた固形分を液液分配(酢酸エチル/水)し、酢酸エチル相を濃縮して酢酸エチル可溶画分を8.6g得た。これを中圧シリカゲルカラムを用いてヘキサン/酢酸エチルの混合溶液で溶出させることで、5つの画分(画分EA−A〜EA−E)を得た。
これらの画分のうち、画分EA−C(全量:600mg)423mgを用いて、中圧シリカゲルカラムにてクロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出させて、4つの画分(画分EA−C−1〜EA−C−4)を得た。さらに、画分EA−C−2を、ODS−3カラム(GLサイエンス社製;10×250mm)に通し、アセトニトリル/水(0.1%酢酸)混合溶媒で溶出させ、3つの画分(画分EA−C−2−1〜EA−C−2−3)を得た。続いて、画分EA−C−2−2(全量:167mg)60mgを用いて、ODS−3カラム(GLサイエンス社製;10×250mm)に通し、メタノール/水(0.1%酢酸)混合溶媒で溶出させて、2つの画分(画分EA−C−2−2−1、画分EA−C−2−2−2)を得た。
このようにして得られた画分のうち、EA−C−2−1(80mg)、EA−C−2−2−2(49mg)に存在する単離成分について(以下、単離成分EA−C−2−1及びEA−C−2−2−2という)、NMRスペクトルとMSスペクトルの測定を行った。結果を表1及び2に示す。
Figure 0006009291
Figure 0006009291
得られたNMRスペクトルの結果から、これらの単離成分の化学構造を決定した。
その結果、単離成分EA−C−2−2−2は、下記式(1)で表される既知の化合物:Gochnatiolide A、単離成分EA−C−2−1は、下記式(2)で表されるGochnatiolide Aの10位の立体異性体で、新規の化合物であることがわかった。
Figure 0006009291
上記式(2)で表される新規化合物については、さらに旋光度、IRの測定を行った。結果を以下に示す。
式(2)で表される化合物(単離成分EA−C−2−1)の物性
白色個体、
[α]28 −74.0 (c 0.3,CHCl)、
MS(ESI,negative):501[M−H]
IR(ATR)3488,2929,1766,1693,1259,1138,999,753 cm−1
試験例1 アクネ菌に対する抗菌試験
上記製造例で得られた式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を、各々95体積%エタノールに溶解し、濃度2mMの評価用サンプルを調製した。これを用いて、終濃度0.2mMでアクネ菌に対する抗菌活性を評価した。抗菌活性は、ルシフェラーゼを利用してATP量を定量するための市販キット(商品名:BacTiter-GloTM Microbial Cell Viability Assay、Promega社製)を用いて評価した。
変法GAM培地(日水製薬社製)を用いて37℃で3日間嫌気培養したアクネ菌JCM6425株の培養液10μLと、変法GAM培地80μL、及び式(1)又は(2)で表される化合物10μLを96穴プレートのウェル内で混合し、37℃で24時間嫌気培養した。培養後、BacTiter-GloTM 試薬100μLをウェルに添加し、1420 Multilabel Counter(Wallac社製)を用いて、530nmの蛍光強度(励起光:488nm)を定量した。
式(1)又は(2)で表される化合物の代わりに95%エタノールを混合した系を陰性コントロールとして同様の試験を行った。また、式(1)又は(2)で表される化合物に代えて、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)を終濃度0.2mM、0.5mM、1mMとなるよう混合したものを陽性コントロールとして同様の試験を行った。イソプロピルメチルフェノール(IPMP)は、幅広い抗菌スペクトルを示すことが知られる化合物で、各種の殺菌消毒剤やにきび治療薬の有効成分として一般的に用いられている。
結果を表3に示す。
Figure 0006009291
表3に示すように、式(1)又は(2)で表される化合物を含有する系では、陰性コントロールに比べて蛍光強度がはるかに低く、アクネ菌の増殖が著しく抑制されていた。さらに、この増殖抑制効果は、同じ濃度の陽性コントロール(IPMP)に比べても非常に優れていた。以上の結果から、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が、アクネ菌に対して優れた抗菌活性を示すことがわかった。
試験例2 黄色ブドウ球菌に対する抗菌試験
上記製造例で得られた式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を、各々95体積%エタノールに溶解し、濃度2mMの評価用サンプルを調製した。これを用いて、終濃度0.2mMで黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を評価した。抗菌活性は、ルシフェラーゼを利用してATP量を定量する市販キット(商品名:BacTiter-GloTM Microbial Cell Viability Assay、Progega社製)を用いて評価した。
SCD培地(ダイゴ社製)を用いて37℃で1日間好気培養した黄色ブドウ球菌IFO13276株の培養液10μLと、SCD培地80μL、及び式(1)又は(2)で表される化合物10μLを96穴プレートのウェル内で混合し、37℃で24時間好気培養した。培養後、BacTiter-GloTM 試薬100μLをウェルに添加し、1420 Multilabel Counter(Wallac社製)を用いて、530nmの蛍光強度を定量した。
式(1)又は(2)で表される化合物の代わりに95%エタノールを混合した系を陰性コントロールとして同様の試験を行った。また、式(1)又は(2)で表される化合物に代えて、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)を終濃度0.2mM、0.5mM、1mMとなるよう混合したものを陽性コントロールとして同様の試験を行った。イソプロピルメチルフェノール(IPMP)は、幅広い抗菌スペクトルを示すことが知られる化合物で、黄色ブドウ球菌に対しても抗菌効果を示すことが知られている。また、殺菌消毒剤の有効成分としても一般的に用いられている。
結果を下記表4に示す。
Figure 0006009291
表4に示すように、式(1)又は(2)で表される化合物を含有する系では、陰性コントロールに比べて蛍光強度がはるかに低く、黄色ブドウ球菌の増殖が著しく抑制されていた。さらに、この増殖抑制効果は、同じ濃度の陽性コントロールに比べても非常に優れていた。以上の結果から、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が、黄色ブドウ球菌に対して優れた抗菌活性を示すことがわかった。
試験例3 マラセチア属真菌に対する抗菌試験
上記製造例で得られた式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を、各々95体積%エタノールに溶解し、濃度4mMの評価用サンプルを調製した。これを用いて、終濃度0.4mMでマラセチア属真菌に対する抗菌活性を評価した。抗菌活性は、ルシフェラーゼを利用してATP量を定量するための市販キット(商品名:BacTiter-GloTM Microbial Cell Viability Assay、Promega社製)を用いて評価した。
modified LNA培地(Japanese Journal of Medical Mycology 2007, Vol. 48, p.179、参照)を用いて、32℃で7日間静置培養して得られたマラセチア菌:Malassezia globosa CBS7874株を96穴プレートの各ウェルに0.5%のTween60(関東化学社製)水溶液に分散したもの90μLと、及び式(1)又は(2)で表される化合物10μLとを添加・混合し、32℃で24時間振盪培養した。培養後、BacTiter-GloTM 試薬100μLをウェルに添加し、1420 Multilabel Counter(Wallac社製)を用いて、530nmの蛍光強度を定量した。
式(1)又は(2)で表される化合物の代わりに95%エタノールを混合した系を陰性コントロールとして同様の試験を行った。また、式(1)又は(2)で表される化合物に代えて、硝酸ミコナゾールを終濃度0.4mMとなるよう混合したものを陽性コントロールとして同様の試験を行った。硝酸ミコナゾールは、フケの発生を抑制する効果が知られている化合物で、抗フケシャンプーの有効成分として用いられている。
結果を下記表5に示す
Figure 0006009291
表5に示すように、式(1)又は(2)で表される化合物を含有する系では、陰性コントロールに比べて蛍光強度がはるかに低く、マラセチア属真菌の増殖が著しく抑制されていた。この増殖抑制効果は、陽性コントロールと同程度と優れていた。以上の結果から、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が、マラセチア属真菌に対して優れた抗菌活性を示すことがわかった。
(処方例)
本発明の抗アクネ菌剤の使用形態の一例として、下記に示す組成のローション、クリーム、軟膏を常法により各々調製できる。
1.ローションの調製
(組成) (配合量:質量%)
式(1)で表される化合物 0.03
グリセリン 10
1,3-ブチレングリコール 6
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
エチルアルコール 8
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 0.5
香料 適量
水 残量
合計 100
2.クリームの調製
(組成) (配合量:質量%)
式(1)で表される化合物 0.05
モノステアリン酸グリセリド 2
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 2
セタノール 7
スクワレン 40
プロピレングリコール 10
流動パラフィン 10
香料 適量
水 残量
合計 100
3.軟膏の調製
(組成) (配合量:質量%)
式(2)で表される化合物 0.05
サラシミツロウ 11
流動パラフィン 22
ラノリン 10
ポリソルベート80 2
オリーブ油 15
防腐剤 適量
水 残量
合計 100

Claims (10)

  1. 下記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有する抗菌剤。
    Figure 0006009291
    Figure 0006009291
  2. ニキビ原因菌に対する抗菌剤である、請求項1記載の抗菌剤。
  3. アクネ菌(Propionibacterium acnes)に対する抗菌剤である、請求項1又は2記載の抗菌剤。
  4. アトピー性皮膚炎原因菌に対する抗菌剤である、請求項1記載の抗菌剤。
  5. 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌剤である、請求項1又は4記載の抗菌剤。
  6. フケ原因菌に対する抗菌剤である、請求項1記載の抗菌剤。
  7. マラセチア属(Malassezia)真菌に対する抗菌剤である、請求項1又は6記載の抗菌剤。
  8. 下記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するニキビ予防・改善剤。
    Figure 0006009291
    Figure 0006009291
  9. 下記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するアトピー性皮膚炎予防・改善剤。
    Figure 0006009291
    Figure 0006009291
  10. 下記式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を有効成分として含有するフケ予防・改善剤。
    Figure 0006009291
    Figure 0006009291
JP2012206971A 2012-09-20 2012-09-20 抗菌剤及び皮膚外用剤 Active JP6009291B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206971A JP6009291B2 (ja) 2012-09-20 2012-09-20 抗菌剤及び皮膚外用剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012206971A JP6009291B2 (ja) 2012-09-20 2012-09-20 抗菌剤及び皮膚外用剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014062059A JP2014062059A (ja) 2014-04-10
JP6009291B2 true JP6009291B2 (ja) 2016-10-19

Family

ID=50617655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012206971A Active JP6009291B2 (ja) 2012-09-20 2012-09-20 抗菌剤及び皮膚外用剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6009291B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5411733A (en) * 1992-04-27 1995-05-02 Hozumi; Toyoharu Antiviral agent containing crude drug

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014062059A (ja) 2014-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111278326A (zh) 改善皮肤、头发和头皮健康的基于酵母的面膜
KR101634668B1 (ko) 겨우살이의 발효된 추출물을 포함하는 항산화 또는 미백용 화장료 조성물
KR101851010B1 (ko) 항염증 및 항균활성을 가지는 조성물
TWI535449B (zh) 到手香萃取物於製備改善痤瘡之組成物之用途
EP1461004B1 (de) Gegen bakterien, mycota und viren wirksame wirkstoffkombinationen auf der basis von dialkylsubstituierten essigsäuren und glycerinalkylethern
KR101433823B1 (ko) 부챗말 추출물 또는 분획물을 이용한 피부 외용제 조성물
JP5972732B2 (ja) 抗菌剤及び皮膚外用剤
JP5956122B2 (ja) 抗アクネ菌剤
JP6009291B2 (ja) 抗菌剤及び皮膚外用剤
JP6691923B2 (ja) フィトスフィンゴシン誘導体及びこれを含む組成物
KR100860272B1 (ko) 선학초로부터 유효성분의 추출ㆍ정제방법 및 그 추출물을함유한 여드름 예방 및 치료용 생약 조성물
JP2010202604A (ja) 皮膚常在菌正常化剤、皮膚常在菌正常化方法及びそれを用いる皮膚外用剤又は化粧料、並びにそれらの製造方法
KR20190021114A (ko) 식물 추출물을 포함하는 피부 항염, 피지 분비 억제용, 또는 여드름 개선용 조성물
JP5366358B2 (ja) 皮膚の老化機構に作用する剤、抗老化用皮膚外用剤、及び抗老化方法
JP5000964B2 (ja) テストステロン5α−リダクターゼ活性阻害剤、アンドロゲンレセプター拮抗剤、その用途、及びアンドロゲン活性発現の抑制方法
JP5718700B2 (ja) 新規セスタテルペン化合物、抗菌剤及び皮膚外用剤
JP2012206961A (ja) 抗菌剤及び皮膚外用剤
KR101363028B1 (ko) 레몬밤, 베르가못, 박하잎, 한련초 및 지구자 추출물을 유효성분으로 함유하는 여드름 예방, 개선 또는 치료용 화장용 조성물
KR20170065187A (ko) 티트리 잎 복합 추출물을 함유하는 여드름 개선용 화장료 조성물
JP5155543B2 (ja) エンドセリン−1産生抑制剤、ヘキソサミニダーゼ遊離抑制剤、抗炎症用/美白用皮膚外用剤、エンドセリン−1の産生抑制方法及びヘキソサミニダーゼの遊離抑制方法
JP5816025B2 (ja) 抗菌剤及び皮膚外用剤
KR102001257B1 (ko) 에틸헥실갈레이트를 포함하는 항균용 조성물
WO2012167936A2 (de) WIRKSTOFFKOMBINATIONEN AUS ε-POLYLYSIN (EPSILON-POLYLYSIN) UND EINEM ODER MEHREREN TERPENEN
WO2005082151A1 (ja) 抗菌剤及び抗菌性組成物
KR101634670B1 (ko) 겨우살이의 발효된 추출물을 포함하는 항염증 또는 항알러지용 화장료 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160621

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160810

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160914

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6009291

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250