JP6009266B2 - 車両用ホイールリムの製造方法 - Google Patents
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Description
ロール転圧は周方向に逐次転圧となるとともに、加工時に加工部分の周囲の加工材から拘束を受けるため、加工部分の変形抵抗が大きくなるので、転圧加工に時間がかかる。そのため、車両用ホイールリムの生産性上で改善の余地がある。
(1) パンチと、側面が凹凸面とされたダイとを、組み付けたしごき装置を用いて、一定厚の筒状素材を前記パンチを前記ダイに対して相対動させてしごき加工し、不等厚の筒状部材を作製するしごき加工工程と、
前記不等厚の筒状部材を車両用ホイールリム形状にロール成形するロール成形工程と、
を有し、
前記しごき加工工程では、前記筒状素材の、前記ロール成形工程にて車両用ホイールリムのリムフランジ部に成形される軸方向第1の端部と軸方向第2の端部の少なくとも一方の一部を、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をしており、
前記しごき加工により板厚を減少させた端部の前記一部が、リムフランジ部に成形されたときにリムフランジ立ち上がり湾曲部になる、車両用ホイールリムの製造方法。
(2) 前記筒状素材の前記軸方向第1の端部と前記軸方向第2の端部の、リムフランジ部に成形されたときにリムフランジ立ち上がり湾曲部となる部分を、しごき加工により板厚を減少させる、(1)記載の車両用ホイールリムの製造方法。(3) 前記筒状素材の、前記軸方向第1の端部と前記軸方向第2の端部の前記少なくとも一方の、しごき加工した部分のしごき加工による板厚の減少率は、前記筒状素材の板厚の5パーセント以上で18パーセント以下である、(1)または(2)に記載の車両用ホイールリムの製造方法。(4) 前記しごき加工工程では、前記筒状素材の、前記軸方向第1の端部と前記軸方向第2の端部以外の部分を、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の車両用ホイールリムの製造方法。(5) 前記しごき加工工程では、前記筒状素材の前記軸方向第1の端部を、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をしており、前記筒状素材の前記軸方向第2の端部は、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をしておらず、前記筒状素材をしごき加工して、前記不等厚の筒状部材とした後に、ロール成形して成形された前記車両用ホイールリムの、前記筒状素材の前記軸方向第1の端部から成形された一方のリムフランジ部とディスク嵌合部となる部分との間の軸方向距離は、前記筒状素材の前記軸方向第2の端部から成形された他方のリムフランジ部と前記ディスク嵌合部となる部分との間の軸方向距離より、大である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の車両用ホイールリムの製造方法。
しごき加工は全周にわたって一回のプレスストロークで行なうことができるため、筒状素材の薄肉化に要する時間を従来に比べて短縮できる。そのため、従来に比べて生産性を向上させることができる。
しごき加工工程では、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をするため、その加工硬化によって不等厚の筒状部材の降伏点を一定厚の筒状素材の降伏点より上昇させることができる。そのため、不等厚の筒状部材を成形して得る車両用ホイールリムの変形強度を、板厚を増加させることなく向上させることができる。
また、しごき加工工程では、車両用ホイールリムのリムフランジ部に成形される部分を、板厚を減少させる冷間加工をするため、車両用ホイールリムのリムフランジ部に成形される部分以外の部分のみを板厚を減少させる冷間加工をする場合に比べて、車両用ホイールリムの変形強度を効果的に向上させることができる。
本発明の車両用ホイールリム10Bの製造方法は、図1に示すように、筒状素材4から不等厚のホイールリム10Bを製造する方法である。筒状素材4の材料は金属であり、金属は、たとえば、鋼である。ただし、筒状素材4の材料は、非鉄金属(アルミニウム、マグネシウム、チタンおよびその合金を含む)であってもよい。好ましくは、熱延鋼板である。不等厚のホイールリム10Bは、図3に示すように、内周面と外周面の一方が凹凸面とされ他方の面が軸芯と平行なストレート状の壁を有する筒状部材10Aを、ロール成形して軸直交方向に湾曲する壁を有する不等厚のホイールリム10Bである。不等厚のホイールリム10Bは、たとえば乗用車用、トラック・バス用、産業車両用のホイールリムである。
筒状素材4の、軸方向第1の端部4aのしごき加工した部分のしごき加工による板厚の減少率は、筒状素材4の板厚の5パーセント以上で18パーセント以下(5%および18%を含む)が望ましい。
筒状素材4は、図1(b)に示すように、筒状素材作製工程としごき加工工程との間に、フランジ形状形成工程(折り曲げ部成形工程)を行い、筒状素材4を該筒状素材4の軸方向と交わる方向に半径方向外側に折り曲げて筒状素材4に折り曲げ部8を形成することで筒状素材4の軸方向第2の端部4bをフランジ形状とする。
フランジ形状とされた軸方向第2の端部4bは、しごき加工工程で、一定厚の筒状素材4をダイ22に軸方向に引っかけて位置決めし、しごき加工時に筒状素材4がダイ22に対して軸方向にずれないようにすることに役立つ。ただし、軸方向第2の端部4bをフランジ形状にすることなく、一定厚の筒状素材4を、直接、しごき加工工程に送ってもよい。
軸方向中間折り曲げ部9aを形成することで軸方向中間折り曲げ部9aおよび折り曲げ部8での折り曲げ角度が比較的小さくても(ともに90度未満であっても)、しごき加工時に筒状素材4の折り曲げ部8がパンチ26に引きずられてしまう事が無く、ロール成形時に、リムフランジ部のロール成形がしやすくなる。折り曲げ部8と軸方向中間折り曲げ部9aの折り曲げ方向が逆の場合、折り曲げ角度が小さくても、しごき加工時に筒状素材4の折り曲げ部8がパンチ26に引きずられてしまう事が無く、ロール成形時に、リムフランジ部のロール成形がさらにしやすくなる。
軸方向中間折り曲げ部9aの折り曲げ角度は、しごき加工時に筒状素材4の折り曲げ部8がダイ22に対して軸方向にずれない範囲で、小さいほうがロール成形が容易となり、好ましい。
しごき加工工程では、一定厚の筒状素材4(折り曲げ部8とフランジ形状の軸方向第2の端部4bをもつ筒状素材4)をフランジ形状の軸方向第2の端部4bにてダイ22に軸方向に掛止し(引っ掛けて)ダイ22にセットする。その後、しごき装置20を作動させて押さえ部材23とパンチ26をダイ22に対して筒状素材4の軸方向にのみ相対動させ(接近させ)る。押さえ部材23とパンチ26をダイ22に対して相対動させると、押さえ部材23がダイ22にセットされた筒状素材4のフランジ形状の軸方向第2の端部4bに当たり、押さえ部材23とダイ22とで筒状素材4の軸方向第2の端部4bを挟圧し(押さえ部材23で筒状素材4の軸方向第2の端部4bをダイ22に押し付け)、押さえ部材23は止まる。パンチ26がさらにダイ22に対して筒状素材4の軸方向にのみ相対動し(接近し)、筒状素材4の軸方向第2の端部4b以外の部分をダイ22の凹凸面24とパンチ26とによる筒状素材4の径と板厚の変化を伴いつつしごき加工する。
しごき加工工程では、パンチ26から筒状素材4に、筒状素材4を軸方向に引き延ばす方向に引っ張り応力が作用するため、比較的小さな力で筒状素材4の厚みを薄く加工することができる。
しごき加工工程の前、あるいはしごき加工時に、筒状素材4に潤滑処理等(ボンデ処理、潤滑油)を行なうことが望ましい。筒状部材10Aの焼き付き、疵の発生を抑えられるからである。
筒状素材4をしごき加工しているとき、パンチ26の移動方向に、筒状素材4の軸方向長さは徐々に長くなる(伸びる)。
プレス機30は、架台32、架台32に取り付けられたラム駆動手段34、ラム駆動手段34により上下動されるラム36、ボルスター38、排出板40、排出板40に連結され排出板40に素材排出荷重をかける排出板駆動手段42を有する。ダイ22はボルスター38またはボルスター38に対して固定される固定部材に固定され、パンチ26はラム36またはラム36に固定される固定部材に固定される。ラム駆動手段34を作動させて(プレス機30を作動させて)ラム36を下降させると、パンチ26がダイ22に対して筒状素材4の軸方向にのみ相対動(接近)する。
ここでプレス機30はラム駆動手段34が液圧シリンダの液圧式プレスのほか、ラム駆動手段34がモータとクランク軸、コネクティングロッド等からなる機械式プレスであってもよいし、ラム駆動手段34がサーボモータ、ボールスクリュー等からなるサーボ駆動プレスであってもよい。また排出板駆動手段42は、油圧シリンダであっても空圧シリンダであってもよく、また電動モータ等を用いた昇降機構であっても良い。
ダイ22の凹凸面24は、パンチ26の突出部28に対向する側の側面とパンチ26の突出部28との間隔を一定厚の筒状素材4の板厚より狭くするために、(a)図5に示すように、ダイ22の側面の軸方向で、隣接する部分(凹部24b)に比べてパンチ26の突出部28側に凸となる凸部24aが少なくとも1つ設けられることにより形成されていてもよく、(b)ダイ22の側面の周方向で、隣接する部分(凹部24b)に比べてパンチ26の突出部28側に凸となる凸部24aが少なくとも1つ設けられることにより形成されていてもよく、(c)上記(a)と上記(b)の複合にて形成されていてもよい。
凸部24aの突出量は、ホイールリム10B(筒状部材10A)の各部分の目標板厚によって決定され、1つの凸部24aの中で、一定とされていてもよく異なっていてもよい。また、複数の凸部24aが設けられる場合、それぞれの凸部24aの突出量はホイールリム10B(筒状部材10A)の各部分の目標板厚によって決定され、それぞれの凸部24aの突出量は同一であってもよく異なっていてもよい。凸部24aは、ダイ22のパンチ26の突出部28に対向する側の側面の少なくとも一部に形成されていればよい。
筒状素材4のフランジ形状の軸方向第2の端部4bの折り曲げ部8より端部側は、パンチ26が接触せず、しごき加工されない。筒状素材4の軸方向第2の端部4bと反対側の軸方向第1の端部4aは、ダイ22の凸部24aとパンチ26の突出部28とにより、しごき加工によって薄肉化されている。また、筒状素材4の軸方向第1の端部4aと軸方向第2の端部4b以外の軸方向部分の少なくとも一部も、ダイ22の凸部24aとパンチ26の突出部28とにより、しごき加工によって薄肉化されている。
軸方向第1の端部4aの、パンチ26の停止位置より先側にある部分は、しごき加工されないため、板厚を厚いまま(しごき加工前の筒状素材4の板厚と同じ板厚)にすることができる。また、軸方向第1の端部4aの、パンチ26の停止位置より先側にある部分の板厚を、排出板40との相互作用で、しごき加工前の筒状素材4の板厚よりも厚くすることもできる。
図10に示すように、筒状素材4の折り曲げ部8の位置を、ロール成形後にホイールリム10Bのリムフランジ部10aのリムフランジ立ち上がり部10mのリムフランジ立ち上がり湾曲部10Sとなる部分より端部側(リムフランジ湾曲部10n側)にして、ロール成形後にリムフランジ立ち上がり湾曲部10Sとなる部分4Sをしごき加工しても良い。
筒状素材4の、軸方向第2の端部4bのしごき加工した部分のしごき加工による板厚の減少率は、筒状素材4の板厚の5パーセント以上で18パーセント以下(5%および18%を含む)が望ましい。
また、排出板40に作用する荷重を制御してもよいし、軸方向に変位する量を制御してもよい。また、排出版40を所定位置に強固に保持し、筒状素材4を受けながらしごき加工を行うことで、筒状素材4の軸方向長さの変化を拘束し、軸方向長さを一定に保つこともできる。
ロール成形工程は、図3(a)、図3(b)に示すように、不等厚の筒状部材10Aの軸方向第1の端部4aをフレア加工して拡開した後に行なわれる。ロール成形工程では、図3(c)、図3(d)、図3(e)に示すように、下ロール31と上ロール(下半分のみを示す)32との間に筒状部材10Aを挟みロールを回転させ、筒状部材10Aを成形し、リム形状を出す。その後、エキスパンダーおよび/またはシュリンカーを用いてサイジング加工(真円に近づける加工およびリム断面形状の整形加工)し、図3(f)に示すように最終リム形状にする。
なお、自動車用ホイールリム形状に成形する工程は、プレス成形などロール成形以外の方法でもよい。
リムフランジ部10a、10gは、それぞれ、図9および図10に示すように、隣接するリムビードシート部10bまたは10fから半径方向外側に湾曲して立ち上がるリムフランジ立ち上がり部10h、10mと、リムフランジ立ち上がり部10h、10mから軸方向外側(隣接するリムビードシート部10bまたは10fから離れる方向)に湾曲してリムフランジ部10a、10gの最も半径方向外側のリムフランジ頂部10j、10pまで延びるリムフランジ湾曲部10i、10nと、リムフランジ頂部10j、10pに連なりリムフランジ頂部10j、10pより軸方向外側に位置するリムフランジ外側部10k、10qと、を備える。
車両用ホイールリム10Bの一方のリムフランジ部10aとディスク嵌合部(リムドロップ部10dまたはリムビードシート部10b)との間の軸方向距離Eは、車両用ホイールリム10Bの他方のリムフランジ部10gとディスク嵌合部との間の軸方向距離Fより、小である。
しかし、リムフランジ部10gの板厚減少率よりも、車両用ホイールリム10Bの降伏点(弾性限界)の上昇率は大きい。そのため、車両用ホイールリム10Bの変形強度は大きくなる。
すなわち、
Z:車両用ホイールリム10Bの断面係数
R:車両用ホイールリム10Bの変形強度(弾性限界におけるタイヤからリムフランジ部10gまたはリムビードシート部10fに加わるホイール半径方向の力)
Y:素材の弾性限界の応力
Mmax:最大曲げモーメント(弾性限界における車両用ホイールリム10Bに加わる曲げモーメント)
C:MmaxからRへの変換係数(車両用ホイールリム10Bの直径の影響を含み単位は「1/長さ」)
であるとき、
R=C×Mmax=C×Y×Z
であり、Zが小さくなるとMmax、Rも小さくなるが、それ以上にYが大きくなるためMmax、Rも大きくなる。上記計算式は、リムフランジ近傍の注目部分に関してのものである。
なお、ロール成形およびロール成形後のサイジング加工(整形加工)により、リムフランジ部10gは拡径されるため板厚が減少するが、ロール成形およびサイジング加工による板厚減少率はせいぜい2.8%であり、降伏点上昇の効果は10%程度でありほとんど得られない。
スチール製リムに要求される強度要件としては「疲労強度」と変形に対する「剛性」の2つがある。疲労強度は、繰り返し発生応力の大きさで決定され、主に、リムビードシート部10b、10f、リムドロップ部10dの軸方向両側のR部(湾曲部)などが高い応力となることからクリチカルポイントとなる。一方、変形強度については、車両が走行時に突起乗り上げなどをした時に発生する、所謂「一発入力」時の永久変形のしにくさのことであり、研究の結果、特にリムフランジ部10a、10gとリムビードシート部10b、10fの板厚と抗張力により支配されることが判明している。リム素材を冷間で板厚を減少させる加工をすると、材料の改質効果により機械的性質が向上する。例えば、370Mpa級の材料(図11の370材であらわされる材料であり引張強さが370Mpaを保証した材料)で10%冷間で板厚を減少加工した材料を使用した場合、板厚減少加工前の素材厚みを20%増加させたものと同等な変形強度があることを確認した。このことに着眼し、これまで積極的に冷間で板厚減少加工をしていなかったリムフランジ部10a、10gの少なくとも一方を積極的に板厚減少加工をして、降伏点を上げることで板厚を薄くしてもそれ以上に変形強度を上げた車両用ホイールリム10Bにすることが可能となる。
しごき加工は全周にわたって一回のプレスストロークで行なうことができるため、筒状素材4の薄肉化に要する時間を従来に比べて短縮できる。そのため、従来に比べて生産性を向上させることができる。
また、しごき加工工程を、ロール成形工程の前に行なうため、ロール成形工程中またはロール成形工程後に行う場合と異なり、しごき加工を行なうことができる。
板厚の減少率が筒状素材4の板厚の5パーセント以上であるため、板厚の減少率が筒状素材4の板厚の5パーセント未満である場合と異なり、筒状素材4、ダイ22およびパンチ26の弾性変形や筒状素材4の板厚のばらつきを考慮しても加工硬化の効果を確実に得ることができる。
また、板厚の減少率が筒状素材4の板厚の18パーセント以下であるため、板厚の減少率が筒状素材4の板厚の(18パーセントを含まず)18パーセントより大である場合に比べて、筒状素材4の延性の低下量が小である。その結果、フレア加工工程およびロール成形工程で筒状部材10A(車両用ホイールリム10B)に加工割れを生じることを抑制できる。図6に示すように、軸方向第1の端部4aの最端部がしごき加工されないようにした場合、板厚減少率を18%より大きくしても、加工割れを生じることを抑制できる。
筒状素材4の、ロール成形後にホイールリム10Bのリムフランジ立ち上がり湾曲部10Rおよびリムフランジ湾曲部10iとなる部分が、しごき加工により板厚を減少させた部分であると、変形強度を確実に大きくでき好ましい。
筒状素材4の軸方向第1の端部4aと軸方向第2の端部4bの少なくとも一方のみの板厚を減少させる場合に比べて、さらなる車両用ホイールリム10Bの軽量化を図ることができる。
車両用ホイールリム10Bのディスク嵌合部に車両用ホイールディスクDを嵌合して車両用ホイールを製造し、該車両用ホイールにホイール半径方向の荷重がかかった際に、車両用ホイールリム10Bの両方のリムフランジ部10a、10gのうち、車両用ホイールディスクDによるバックアップを受ける割合(車両用ホイールディスクDで補強される割合)が小さい方のリムフランジ部10gの、変形強度を向上させることができる。そのため、車両用ホイールディスクDによるバックアップを受ける割合が小さい方のリムフランジ部10gと、車両用ホイールディスクDによるバックアップを受ける割合が大きい方のリムフランジ部10aとの、変形強度にバランスを持たせることができる。
しごき加工時に、筒状素材4がパンチ26によって引きずり込まれてダイ22に対して移動することを抑制できる。
軸方向中間折り曲げ部9aがしごき加工工程の挟圧工程においてのみ形成される場合、フランジ形状形成工程で軸方向中間折り曲げ部9aを形成する必要がなく、フランジ形状形成工程において折り曲げ部8とフランジ形状の軸方向第2の端部4bを容易に形成できる(フランジ形状形成工程を簡素化できる)。
4 一定厚の筒状素材
4a 軸方向第1の端部
4b 軸方向第2の端部
6 溶接部
8 折り曲げ部
9a 軸方向中間折り曲げ部
10A 不等厚の筒状部材
10B 車両用ホイールリム
10a リムフランジ部
10b リムビードシート部
10c リムサイドウオール部
10d リムドロップ部
10e リムサイドウオール部
10f リムビードシート部
10g リムフランジ部
10h リムフランジ立ち上がり部
10i リムフランジ湾曲部
10j リムフランジ最頂部
10k リムフランジ外側部
20 しごき装置
22 ダイ
23 押さえ部材
24 凹凸面
24a 凸部
24b 凹部
26 パンチ
28 突出部
30 プレス機
32 架台
34 油圧シリンダ
36 可動ボルスタ
38 固定台
40 排出板
42 油圧シリンダ
Claims (5)
- パンチと、側面が凹凸面とされたダイとを、組み付けたしごき装置を用いて、一定厚の筒状素材を前記パンチを前記ダイに対して相対動させてしごき加工し、不等厚の筒状部材を作製するしごき加工工程と、
前記不等厚の筒状部材を車両用ホイールリム形状にロール成形するロール成形工程と、
を有し、
前記しごき加工工程では、前記筒状素材の、前記ロール成形工程にて車両用ホイールリムのリムフランジ部に成形される軸方向第1の端部と軸方向第2の端部の少なくとも一方の一部を、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をしており、
前記しごき加工により板厚を減少させた端部の前記一部が、リムフランジ部に成形されたときにリムフランジ立ち上がり湾曲部になる、車両用ホイールリムの製造方法。 - 前記筒状素材の前記軸方向第1の端部と前記軸方向第2の端部の、リムフランジ部に成形されたときにリムフランジ立ち上がり湾曲部となる部分を、しごき加工により板厚を減少させる、請求項1記載の車両用ホイールリムの製造方法。
- 前記筒状素材の、前記軸方向第1の端部と前記軸方向第2の端部の前記少なくとも一方の、しごき加工した部分のしごき加工による板厚の減少率は、前記筒状素材の板厚の5パーセント以上で18パーセント以下である、請求項1または請求項2に記載の車両用ホイールリムの製造方法。
- 前記しごき加工工程では、前記筒状素材の、前記軸方向第1の端部と前記軸方向第2の端部以外の部分を、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用ホイールリムの製造方法。
- 前記しごき加工工程では、前記筒状素材の前記軸方向第1の端部を、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をしており、前記筒状素材の前記軸方向第2の端部は、しごき加工により板厚を減少させる冷間加工をしておらず、
前記筒状素材をしごき加工して、前記不等厚の筒状部材とした後に、ロール成形して成形された前記車両用ホイールリムの、前記筒状素材の前記軸方向第1の端部から成形された一方のリムフランジ部とディスク嵌合部となる部分との間の軸方向距離は、前記筒状素材の前記軸方向第2の端部から成形された他方のリムフランジ部と前記ディスク嵌合部となる部分との間の軸方向距離より、大である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用ホイールリムの製造方法。
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