JP6008774B2 - スパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法 - Google Patents
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Description
この装置では、超音波に基づく周波数スペクトルから特定周波数帯の固有振動数が検出されなかった場合に絶縁碍子に欠陥が生じていると判断する。
本発明のスパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法は、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの欠陥を容易に検出することを目的とする。
本発明のスパークプラグ検査装置は、
スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査装置であって、
エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能な振動付与手段と、
該振動付与手段によって振動が付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出する検出手段と、
検出した前記共振周波数に基づいて前記スパークプラグの絶縁碍子の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段と、
を備えることを要旨とする。
前記欠陥判定手段は、検出した前記共振周波数が第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する手段であって、
前記第1周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定され、
前記第2周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定されてなる
ものとすることができる。
本発明者らが確認したところ、絶縁碍子の欠陥の態様によっては、絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず、良品で検出される共振周波数が属する第1周波数帯域内に共振周波数を検出する場合があることを見出し、鋭意研究したところ、本発明者らは、検出した共振周波数が第1周波数帯域内に存在する場合であっても、これとは異なる第2周波数帯域内、即ち、欠陥が生じているにも係わらず第1周波数帯域内に共振周波数が検出される絶縁碍子に共通して検出される共振周波数が属する帯域内にも共振周波数を検出した場合には、絶縁碍子に欠陥が生じていることを見出した。
従って、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在しないときだけでなく、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在する場合であっても第2周波数帯域内にも存在するようなときに、絶縁碍子に欠陥が生じていると判定するから、絶縁碍子の欠陥をより確実に検出することができる。
前記振動付与手段は、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された励磁コイルと、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された永久磁石と、前記励振コイルに励振電流を供給する電流供給手段と、を備える手段であるものとすることができる。
こうすれば、スパークプラグに対して電磁的な振動を付与する構造を簡易に確保することができる。
前記検出手段は、前記スパークプラグの振動を検出可能な検出部を有し、
前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグの一部に当接するよう前記振動付与手段と一体に形成されてなるものとすることができる。
こうすれば、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの欠陥を検出する構造をより簡易に確保することができる。
前記振動付与手段は、前記励磁コイルおよび前記永久磁石を保持する保持部材を備え、
前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグのターミナルに当接するよう前記保持部材に保持されてなるものとすることができる。
こうすれば、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの欠陥を検出する構造をより簡易に確保することができる。
前記保持部材は、前記絶縁碍子の外径よりも大きい内径の内周面を有する円筒状に形成されてなり、前記励磁コイルは、前記内周面側に環状に配設されてなり、前記永久磁石は、前記内周面側に環状に配設されてなるものとすることができる。
こうすれば、装置の省スペース化を図ることができる。
前記永久磁石は、前記励磁コイルに対して半径方向外側に配設されてなるものとすることができる。
こうすれば、励磁コイルに励磁電流を供給した際に生じる磁束をより確実に主体金具に作用させることができる。
前記永久磁石は、前記スパークプラグの軸方向に磁化されてなるものとすることができる。
こうすれば、主体金具の中心に向かう方向の磁場を生じさせることができる。この結果、主体金具にスパークプラグの振動を確実に生じさせることができる。
前記永久磁石は、環状に形成されてなるものとすることができる。
こうすれば、より大きな磁場を生じさせることができる。
前記電流供給手段は、前記励振電流として周波数が連続的に変化する交流電流を供給可能な手段であるものとすることができる。
こうすれば、一度に広範囲な周波数帯で固有振動数を検出することができるから、検査効率が向上する。
スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査方法であって、
(a)エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与し、
(b)振動を付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出し、
(c)第1周波数帯域を、絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、第2周波数帯域を、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、検出した前記共振周波数が前記第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する
ことを要旨とする。
なお、絶縁碍子の欠陥の有無を判定するにあたっては、欠陥が生じているにも係わらず第1周波数帯域内に共振周波数が検出される絶縁碍子に共通して検出される共振周波数が属する周波数帯域を前記第2周波数帯域とする。
本発明者らが確認したところ、絶縁碍子の欠陥の態様によっては、絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず、良品で検出される共振周波数が属する第1周波数帯域内に共振周波数を検出する場合があることを見出し、鋭意研究したところ、本発明者らは、検出した共振周波数が第1周波数帯域内に存在する場合であっても、これとは異なる第2周波数帯域内、即ち、欠陥が生じているにもかかわらず第1周波数帯域内に共振周波数が検出される絶縁碍子に共通して検出される共振周波数が属する帯域内にも共振周波数を検出した場合には、絶縁碍子に欠陥が生じていることを見出した。
従って、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在しないときだけでなく、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在する場合であっても第2周波数帯域内にも存在するようなときに、絶縁碍子に欠陥が生じていると判定するから、絶縁碍子の欠陥をより確実に検出することができる。もとより、共振周波数を検出するに際し、電磁的な振動を付与するだけだから、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの絶縁碍子の欠陥を容易に検出することができる。
図1は、本発明の一実施例であるスパークプラグ検査装置1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、本発明の一実施例であるスパークプラグ検査装置1の要部を拡大して示す要部拡大図である。
実施例のスパークプラグ検査装置1は、図1に示すように、エンジンのシリンダヘッド2に取付けられたスパークプラグ4に電磁力によって長手方向の振動を付与する振動付与体10と、スパークプラグ4に付与された長手方向の振動を検出するアコースティックエミッションセンサ(以下、AEセンサという)30と、装置に交流電流を供給する電源60と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット70とを備える。
こうして構成されたAEセンサ30は、円筒体12がスパークプラグ4の絶縁碍子5の外周を覆うようにシリンダヘッド2のスパークプラグ挿入孔2aに挿入されたとき、即ち、振動付与体10が検査開始可能状態にセットされたときに、コイルスプリングSPRのバネ力によってスパークプラグ4のターミナル6の端面に確実に当接する。
電子制御ユニット70には、AEセンサ30からの振動信号Vや、上述したように電源60からの所定周波数の交流電流が入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット70からは、上述したように周波数が連続的に繰り返し変わる励磁電流Ieなどが出力ポートを介して出力されている。なお、励磁回路78は、実施例では10kHz〜150kHzの周波数範囲で励磁電流を連続的に生じることができるよう構成するものとした。こうして発生された励磁電流が励磁コイル14に供給される。
図3は、電子制御ユニット70により実行される絶縁碍子欠陥判定処理の一例を示すフローチャートである。
この処理は、振動付与体10が検査開始可能状態にセットされ、欠陥判定開始ボタンが押されたときに実行される。
励磁コイル14に励磁電流Ieが供給されると、図4および図5に示すように、励磁コイル14による磁場によってスパークプラグの主体金具7表面に励磁コイル14によって生じた磁場Hを打ち消す方向の渦電流が生じる。
この渦電流の向きは、励磁コイル14に供給される励磁電流Ieの向きにより変化する。図4ではターミナル6側(図4の上側)から見たときに反時計回り方向の渦電流が発生しており、図5ではターミナル6側(図4の上側)から見たときに時計回り方向の渦電流が発生している。
一方、主体金具7近傍では環状永久磁石16の磁力による静磁場も生じており、静磁場の向きは主体金具7において径方向内側から径方向外側に向かう方向に生じている。スパークプラグ4には、こうした渦電流と静磁場とによるローレンツ力Fが作用する。このローレンツ力Fは、スパークプラグ4の長手方向(軸方向)に沿う方向に生じていると考えられ、その向きは励磁電流Ieの向き、即ち、渦電流の向きに応じて周期的に逆方向を向く(図4および図5における上下方向)。これによって、スパークプラグ4の絶縁碍子5に振動が入力される。
ここで、NG周波数帯域は、共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在する場合であっても、絶縁碍子5に欠陥が生じている場合に共通して検出される共振周波数Vrの存在帯域として設定されるものであり、実施例では、OK周波数帯域内に共振周波数Vrが存在すると判断されたスパークプラグ4のうち絶縁碍子5に欠陥が生じていた複数のスパークプラグ4において共通して検出される共振周波数Vrの周波数帯域を予め実験などによって定めてNG周波数帯域としてROM74に記憶しておくものとした。
このように、検出した共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在すると判定した場合であっても、検出した共振周波数VrがNG周波数帯域内にも存在していると判断した場合には、スパークプラグ4の絶縁碍子5に欠陥が生じていると判断するのである。この結果、絶縁碍子5の欠陥をより確実に検出することができる。
検出した共振周波数Vrが、図6のように、OK周波数帯域内に存在するが、NG周波数帯域内に存在しない場合には、絶縁碍子5に欠陥が無いと判定され、検出した共振周波数Vrが、図7のように、OK周波数帯域内にもNG周波数帯域内にも存在しない場合、図8のように、OK周波数帯域内にもNG周波数帯域内にも存在する場合、あるいは、図9のように、OK周波数帯域内には存在せずNG周波数帯域内には存在する場合には、絶縁碍子5に欠陥が有ると判定される。
なお、OK周波数帯域およびNG周波数帯域は、それぞれ連続した1つながりの周波数帯域の場合もあるが、スパークプラグの構造や材質によっては複数に分かれた周波数帯域である場合もある。例えば、図10のようにOK周波数帯域やNG周波数帯域が2つに分かれている場合もある。
2 シリンダヘッド
2a スパークプラグ挿入孔
4 スパークプラグ
6 ターミナル
7 主体金具
10 振動付与体
12 円筒体
14 励磁コイル
16 環状永久磁石
18 ベース筐体
20 円筒カバー部材
30 AEセンサ
32 センサホルダ
60 電源
70 電子制御ユニット
72 CPU
74 ROM
76 RAM
78 励磁回路
SPR コイルスプリング
Vr 共振周波数
Ie 励磁電流
Claims (11)
- スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査装置であって、
エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能な振動付与手段と、
該振動付与手段によって振動が付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出する検出手段と、
検出した前記共振周波数に基づいて前記スパークプラグの絶縁碍子の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段と、
を備えるスパークプラグ検査装置。 - 前記欠陥判定手段は、検出した前記共振周波数が第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する手段であって、
前記第1周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定され、
前記第2周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定されてなる
請求項1記載のスパークプラグ検査装置。 - 前記振動付与手段は、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された励磁コイルと、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された永久磁石と、前記励振コイルに励振電流を供給する電流供給手段と、を備える手段である請求項1または2記載のスパークプラグ検査装置。
- 前記検出手段は、前記スパークプラグの振動を検出可能な検出部を有し、
前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグの一部に当接するよう前記振動付与手段と一体に形成されてなる請求項1ないし3いずれか記載のスパークプラグ検査装置。 - 前記振動付与手段は、前記励磁コイルおよび前記永久磁石を保持する保持部材を備え、
前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグのターミナルに当接するよう前記保持部材に保持されてなる請求項3または4記載のスパークプラグ検査装置。 - 前記保持部材は、前記絶縁碍子の外径よりも大きい内径の内周面を有する円筒状に形成されてなり、
前記励磁コイルは、前記内周面側に環状に配設されてなり、前記永久磁石は、前記内周面側に環状に配設されてなる
請求項5記載のスパークプラグ検査装置。 - 前記永久磁石は、前記励磁コイルに対して半径方向外側に配設されてなる請求項3ないし6いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
- 前記永久磁石は、前記スパークプラグの軸方向に磁化されてなる請求項3ないし7いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
- 前記永久磁石は、環状に形成されてなる請求項3ないし8いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
- 前記電流供給手段は、前記励振電流として周波数が連続的に変化する交流電流を供給可能な手段である請求項3ないし9いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
- スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査方法であって、
(a)エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与し、
(b)振動を付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出し、
(c)第1周波数帯域を、絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、第2周波数帯域を、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、検出した前記共振周波数が前記第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する
スパークプラグ検査方法。
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