JP6008774B2 - スパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法 - Google Patents

スパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法 Download PDF

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Description

本発明は、スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法に関するものである。
従来、この種のスパークプラグ検査装置としては、スパークプラグの長手方向一端側である絶縁碍子側に超音波発信子を配置するとともに、スパークプラグの長手方向他端側である主体金具の先端部に超音波受信子を配置し、超音波発信子から入射して超音波受信子で受信される超音波を利用して絶縁碍子の欠陥の有無を検出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この装置では、超音波に基づく周波数スペクトルから特定周波数帯の固有振動数が検出されなかった場合に絶縁碍子に欠陥が生じていると判断する。
特開2005−251485号公報
しかしながら、こうした装置では、スパークプラグの長手方向両側に超音波発信子や超音波受信子を配置するから、スパークプラグ単体での検査はできるものの、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態では検査ができず、スパークプラグをエンジン本体に取付ける際に生じたスパークプラグの欠陥は検出できない。
本発明のスパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法は、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの欠陥を容易に検出することを目的とする。
本発明のスパークプラグ検査装置およびスパークプラグ検査方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のスパークプラグ検査装置は、
スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査装置であって、
エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能な振動付与手段と、
該振動付与手段によって振動が付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出する検出手段と、
検出した前記共振周波数に基づいて前記スパークプラグの絶縁碍子の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明のスパークプラグ検査装置では、エンジン本体に取付けられたスパークプラグに対して電磁的に振動を付与するとともに、振動が付与されたスパークプラグの共振周波数を検出して、この検出した共振周波数に基づいてスパークプラグの絶縁碍子の欠陥の有無を判定するから、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの絶縁碍子の欠陥を容易に検出することができる。
こうした本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記欠陥判定手段は、検出した前記共振周波数が第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する手段であって、
前記第1周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定され、
前記第2周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定されてなる
ものとすることができる。
本発明者らが確認したところ、絶縁碍子の欠陥の態様によっては、絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず、良品で検出される共振周波数が属する第1周波数帯域内に共振周波数を検出する場合があることを見出し、鋭意研究したところ、本発明者らは、検出した共振周波数が第1周波数帯域内に存在する場合であっても、これとは異なる第2周波数帯域内、即ち、欠陥が生じているにも係わらず第1周波数帯域内に共振周波数が検出される絶縁碍子に共通して検出される共振周波数が属する帯域内にも共振周波数を検出した場合には、絶縁碍子に欠陥が生じていることを見出した。
従って、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在しないときだけでなく、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在する場合であっても第2周波数帯域内にも存在するようなときに、絶縁碍子に欠陥が生じていると判定するから、絶縁碍子の欠陥をより確実に検出することができる。
こうした本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記振動付与手段は、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された励磁コイルと、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された永久磁石と、前記励振コイルに励振電流を供給する電流供給手段と、を備える手段であるものとすることができる。
こうすれば、スパークプラグに対して電磁的な振動を付与する構造を簡易に確保することができる。
また、本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記検出手段は、前記スパークプラグの振動を検出可能な検出部を有し、
前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグの一部に当接するよう前記振動付与手段と一体に形成されてなるものとすることができる。
こうすれば、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの欠陥を検出する構造をより簡易に確保することができる。
また、本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記振動付与手段は、前記励磁コイルおよび前記永久磁石を保持する保持部材を備え、
前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグのターミナルに当接するよう前記保持部材に保持されてなるものとすることができる。
こうすれば、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの欠陥を検出する構造をより簡易に確保することができる。
さらに、本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記保持部材は、前記絶縁碍子の外径よりも大きい内径の内周面を有する円筒状に形成されてなり、前記励磁コイルは、前記内周面側に環状に配設されてなり、前記永久磁石は、前記内周面側に環状に配設されてなるものとすることができる。
こうすれば、装置の省スペース化を図ることができる。
本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記永久磁石は、前記励磁コイルに対して半径方向外側に配設されてなるものとすることができる。
こうすれば、励磁コイルに励磁電流を供給した際に生じる磁束をより確実に主体金具に作用させることができる。
また、本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記永久磁石は、前記スパークプラグの軸方向に磁化されてなるものとすることができる。
こうすれば、主体金具の中心に向かう方向の磁場を生じさせることができる。この結果、主体金具にスパークプラグの振動を確実に生じさせることができる。
さらに、本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記永久磁石は、環状に形成されてなるものとすることができる。
こうすれば、より大きな磁場を生じさせることができる。
本発明のスパークプラグ検査装置において、
前記電流供給手段は、前記励振電流として周波数が連続的に変化する交流電流を供給可能な手段であるものとすることができる。
こうすれば、一度に広範囲な周波数帯で固有振動数を検出することができるから、検査効率が向上する。
本発明のスパークプラグ検査方法は、
スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査方法であって、
(a)エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与し、
(b)振動を付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出し、
(c)第1周波数帯域を、絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、第2周波数帯域を、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、検出した前記共振周波数が前記第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する
ことを要旨とする。
この本発明のスパークプラグ検査方法では、エンジン本体に取付けられたスパークプラグに対して電磁的に振動を付与するとともに、振動が付与されたスパークプラグの共振周波数を検出して、検出した共振周波数が欠陥が生じていない絶縁碍子の共振周波数が属する第1周波数帯域内に存在しないとき、または、検出した共振周波数が第1周波数帯域内および該第1周波数帯域とは異なる第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、スパークプラグの絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する。
なお、絶縁碍子の欠陥の有無を判定するにあたっては、欠陥が生じているにも係わらず第1周波数帯域内に共振周波数が検出される絶縁碍子に共通して検出される共振周波数が属する周波数帯域を前記第2周波数帯域とする。
本発明者らが確認したところ、絶縁碍子の欠陥の態様によっては、絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず、良品で検出される共振周波数が属する第1周波数帯域内に共振周波数を検出する場合があることを見出し、鋭意研究したところ、本発明者らは、検出した共振周波数が第1周波数帯域内に存在する場合であっても、これとは異なる第2周波数帯域内、即ち、欠陥が生じているにもかかわらず第1周波数帯域内に共振周波数が検出される絶縁碍子に共通して検出される共振周波数が属する帯域内にも共振周波数を検出した場合には、絶縁碍子に欠陥が生じていることを見出した。
従って、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在しないときだけでなく、検出した共振周波数が、第1周波数帯域内に存在する場合であっても第2周波数帯域内にも存在するようなときに、絶縁碍子に欠陥が生じていると判定するから、絶縁碍子の欠陥をより確実に検出することができる。もとより、共振周波数を検出するに際し、電磁的な振動を付与するだけだから、スパークプラグをエンジン本体に取付けた状態でスパークプラグの絶縁碍子の欠陥を容易に検出することができる。
本発明の一実施例であるスパークプラグ検査装置1の構成の概略を示す構成図である。 本発明の一実施例であるスパークプラグ検査装置1の要部を拡大して示す要部拡大図である。 電子制御ユニット70により実行される絶縁碍子欠陥判定処理の一例を示すフローチャートである。 実施例のスパークプラグ検査装置1によりスパークプラグ4の絶縁碍子5に振動が付与される様子を模式的に示した説明図である。 実施例のスパークプラグ検査装置1によりスパークプラグ4の絶縁碍子5に振動が付与される様子を模式的に示した説明図である。 共振周波数Vrの検出結果を示す説明図である。 共振周波数Vrの検出結果を示す説明図である。 共振周波数Vrの検出結果を示す説明図である。 共振周波数Vrの検出結果を示す説明図である。 共振周波数Vrの検出結果を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるスパークプラグ検査装置1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、本発明の一実施例であるスパークプラグ検査装置1の要部を拡大して示す要部拡大図である。
実施例のスパークプラグ検査装置1は、図1に示すように、エンジンのシリンダヘッド2に取付けられたスパークプラグ4に電磁力によって長手方向の振動を付与する振動付与体10と、スパークプラグ4に付与された長手方向の振動を検出するアコースティックエミッションセンサ(以下、AEセンサという)30と、装置に交流電流を供給する電源60と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット70とを備える。
振動付与体10は、図2に示すように、エンジンのシリンダヘッド2に取付けられたスパークプラグ4における絶縁碍子5の外周を、スパークプラグ4のターミナル6側から主体金具7近傍までに亘って覆うことができるように中空に形成された円筒体12と、円筒体12の先端側(図2の下側)外周に円筒体12と同軸状に巻き付けられた励磁コイル14と、励磁コイル14の半径方向外側に円筒体12および励磁コイル14と同軸状に配設された環状永久磁石16と、円筒体12を保持するとともに励磁コイル14からの図示しない電力ラインの端子と電子制御装置70からの図示しない電力ラインの端子とを電気的に接続する図示しないコネクタ類が収容されたベース筐体18とから構成されている。
円筒体12は、非磁性体、例えば、ポリアセタールにより形成されており、シリンダヘッド2のスパークプラグ挿入孔2aの内径よりも若干小さい外径に形成された外周面と、スパークプラグ4の絶縁碍子5の外径よりも若干大きい内径に形成された内周面とを有する。
環状永久磁石16は、軸方向(スパークプラグ4の長手方向)に磁化されており、円筒体12と同軸状に取付けられる円筒カバー部材20の内周面に取付けられている。環状永久磁石16は、円筒カバー部材20がボルトBなどによって円筒体12に取付けられることによって、円筒体12の先端側(図2の下側)外周に配置される。なお、環状永久磁石16は、実施例では、図2に示すように、スパークプラグ4のターミナル6側にN極、主体金具7側にS極がくるように円筒カバー部材20に取付けるものとした。また、円筒カバー部材20には、電磁場に影響を与えないナイロンのようなポリアミド系樹脂やポリアセタール樹脂を用いるのが良いが、環状永久磁石16等の保護を優先すればアルミニウム合金のような非磁性金属を用いることもできる。
AEセンサ30は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛などの圧電素子から構成されており、コイルスプリングSPRによって軸方向に弾性付勢された状態で、かつ、コイルスプリングSPRのバネ力に抗して軸方向に摺動可能なように、ほぼ円筒状のセンサホルダ32内に収容されている。また、AEセンサ30は、円筒体12における励磁コイル14や環状永久磁石16が配置された側とは反対側の内周面にセンサホルダ32を挿入固定することにより円筒体12内に保持されている。
こうして構成されたAEセンサ30は、円筒体12がスパークプラグ4の絶縁碍子5の外周を覆うようにシリンダヘッド2のスパークプラグ挿入孔2aに挿入されたとき、即ち、振動付与体10が検査開始可能状態にセットされたときに、コイルスプリングSPRのバネ力によってスパークプラグ4のターミナル6の端面に確実に当接する。
電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサを備え、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、電源60から供給される所定周波数の交流電流を周波数が連続的に繰り返し変わる励磁電流Ieに変換する励磁回路78と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。
電子制御ユニット70には、AEセンサ30からの振動信号Vや、上述したように電源60からの所定周波数の交流電流が入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット70からは、上述したように周波数が連続的に繰り返し変わる励磁電流Ieなどが出力ポートを介して出力されている。なお、励磁回路78は、実施例では10kHz〜150kHzの周波数範囲で励磁電流を連続的に生じることができるよう構成するものとした。こうして発生された励磁電流が励磁コイル14に供給される。
次に、こうして構成された実施例のスパークプラグ検査装置1の動作について説明する。
図3は、電子制御ユニット70により実行される絶縁碍子欠陥判定処理の一例を示すフローチャートである。
この処理は、振動付与体10が検査開始可能状態にセットされ、欠陥判定開始ボタンが押されたときに実行される。
この絶縁碍子欠陥判定処理が実施されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、周波数が10kHz〜150kHzの範囲で連続的に繰り返し変わる励磁電流Ieを励磁コイル14に供給する処理を実行する(ステップS100)。
図4および図5は、励磁コイル14に励磁電流Ieが供給された際にスパークプラグ4の絶縁碍子5に振動が付与される様子を模式的に示した説明図である。
励磁コイル14に励磁電流Ieが供給されると、図4および図5に示すように、励磁コイル14による磁場によってスパークプラグの主体金具7表面に励磁コイル14によって生じた磁場Hを打ち消す方向の渦電流が生じる。
この渦電流の向きは、励磁コイル14に供給される励磁電流Ieの向きにより変化する。図4ではターミナル6側(図4の上側)から見たときに反時計回り方向の渦電流が発生しており、図5ではターミナル6側(図4の上側)から見たときに時計回り方向の渦電流が発生している。
一方、主体金具7近傍では環状永久磁石16の磁力による静磁場も生じており、静磁場の向きは主体金具7において径方向内側から径方向外側に向かう方向に生じている。スパークプラグ4には、こうした渦電流と静磁場とによるローレンツ力Fが作用する。このローレンツ力Fは、スパークプラグ4の長手方向(軸方向)に沿う方向に生じていると考えられ、その向きは励磁電流Ieの向き、即ち、渦電流の向きに応じて周期的に逆方向を向く(図4および図5における上下方向)。これによって、スパークプラグ4の絶縁碍子5に振動が入力される。
次に、こうして絶縁碍子5に入力された振動をAEセンサ30によって振動信号Vに変換して読み込むとともに(ステップS102)、読み込んだ振動信号Vから共振周波数Vrを検出する処理を実行する(ステップS104)。ここで、共振周波数Vrの検出は、読み込んだ振動信号Vがピーク値を示したときの周波数を読み込むことにより行なう。
共振周波数Vrを検出すると、検出した共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在するか否かの判定を行なう(ステップS106)。ここで、OK周波数帯域は、欠陥が無いスパークプラグ4に共通して検出される共振周波数Vrの存在帯域として設定されるものであり、実施例では、欠陥が無い複数のスパークプラグ4に共通して検出される共振周波数Vrの周波数帯域を予め実験などによって定めてOK周波数帯域としてROM74に記憶しておくものとした。これにより、検出した共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在しない場合には、スパークプラグ4の絶縁碍子5に欠陥が生じていると判断することができる。
一方、検出した共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在すると判定されたときには、続いて、検出した共振周波数VrがNG周波数帯域内に存在するか否かの判定を行なう(ステップS108)。
ここで、NG周波数帯域は、共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在する場合であっても、絶縁碍子5に欠陥が生じている場合に共通して検出される共振周波数Vrの存在帯域として設定されるものであり、実施例では、OK周波数帯域内に共振周波数Vrが存在すると判断されたスパークプラグ4のうち絶縁碍子5に欠陥が生じていた複数のスパークプラグ4において共通して検出される共振周波数Vrの周波数帯域を予め実験などによって定めてNG周波数帯域としてROM74に記憶しておくものとした。
検出した共振周波数VrがNG周波数帯域内に存在すると判定されたときには、絶縁碍子5に欠陥が生じているとして「欠陥有り」を出力して(ステップS110)、本処理を終了する。
このように、検出した共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在すると判定した場合であっても、検出した共振周波数VrがNG周波数帯域内にも存在していると判断した場合には、スパークプラグ4の絶縁碍子5に欠陥が生じていると判断するのである。この結果、絶縁碍子5の欠陥をより確実に検出することができる。
一方、ステップS108において、検出した共振周波数VrがNG周波数帯域内に存在しないと判定されたときには、絶縁碍子5に欠陥は生じていない、即ち、良品であるとして「欠陥無し」を出力して(ステップS112)、本処理を終了する。
図6,7,8,9および10は、共振周波数Vrの検出結果を示す説明図である。
検出した共振周波数Vrが、図6のように、OK周波数帯域内に存在するが、NG周波数帯域内に存在しない場合には、絶縁碍子5に欠陥が無いと判定され、検出した共振周波数Vrが、図7のように、OK周波数帯域内にもNG周波数帯域内にも存在しない場合、図8のように、OK周波数帯域内にもNG周波数帯域内にも存在する場合、あるいは、図9のように、OK周波数帯域内には存在せずNG周波数帯域内には存在する場合には、絶縁碍子5に欠陥が有ると判定される。
なお、OK周波数帯域およびNG周波数帯域は、それぞれ連続した1つながりの周波数帯域の場合もあるが、スパークプラグの構造や材質によっては複数に分かれた周波数帯域である場合もある。例えば、図10のようにOK周波数帯域やNG周波数帯域が2つに分かれている場合もある。
以上説明した実施例のスパークプラグ検査装置1によれば、シリンダヘッド2のスパークプラグ挿入孔2aに取付けられたスパークプラグ4の絶縁碍子5の外周を覆うように、ターミナル6側から励磁コイル14および環状永久磁石16が設けられた円筒体12を被せ、励磁コイル14に励磁電流Ieを供給することにより絶縁碍子5に電磁的に振動を付与する。そして、振動が付与された絶縁碍子5の共振周波数VrをAEセンサ30で検出して、検出した共振周波数Vrに基づいて絶縁碍子5の欠陥の有無を判定するから、スパークプラグ4をシリンダヘッド2に取付けた状態でスパークプラグ4の欠陥を容易に検出することができる。
また、実施例のスパークプラグ検査装置1によれば、検出した共振周波数Vrが、欠陥が無いスパークプラグ4に共通して検出される周波数帯域であるOK周波数帯域内に存在するか否かを判定し、存在しなければ絶縁碍子5には欠陥が生じていると判定する。一方、検出した共振周波数Vrが、OK周波数帯域内に存在する場合には、次に、共振周波数VrがOK周波数帯域内に存在する場合であっても絶縁碍子5に欠陥が生じている場合に共通して検出される周波数帯域であるNG周波数帯域内に存在するか否かを判定し、共振周波数VrがNG周波数帯域内に存在していれば絶縁碍子5には欠陥が生じていると判定し、NG周波数帯域内に存在していなければ絶縁碍子5には欠陥が生じていない、即ち、良品と判定する。この結果、絶縁碍子5の欠陥をより確実に検出することができる。
実施例のスパークプラグ検査装置1では、円筒体12の先端側外周に励磁コイル14を配設するとともに、励磁コイル14の半径方向外側に環状永久磁石16を配設するものとしたが、スパークプラグ4に振動を付与することができれば、例えば、円筒体12における長手方向中央部の外周に励磁コイル14を配設するものとしたり、円筒体12の先端側内周に励磁コイル14を配設するものとしたり、励磁コイル14の半径方向内側に環状永久磁石16を配設するものとしたりするなど、励磁コイル14や環状永久磁石16の配置や構成は、励磁コイル14により発生する渦電流の向きと環状永久磁石16による磁界の向きが角度を持ち、ローレンツ力を発生させられるよう配置するものであれば、如何なるものであっても構わない。
実施例のスパークプラグ検査装置1では、励磁コイル14や環状永久磁石16は、それぞれ1つずつ配設するものとしたが、複数配設するものとしても構わない。
実施例のスパークプラグ検査装置1では、スパークプラグ4のターミナル6側にN極、主体金具7側にS極がくるように円筒カバー部材20に取付けるものとしたが、これとは逆に、スパークプラグ4のターミナル6側にS極、主体金具7側にN極がくるように円筒カバー部材20に取付けるものとしても構わない。
実施例のスパークプラグ検査装置1では、環状永久磁石16は、軸方向(スパークプラグ4の長手方向)に磁化するものとしたが、径方向(スパークプラグ4の長手方向に直角方向)に磁化するものとしても構わない。
実施例のスパークプラグ検査装置1では、環状永久磁石16は、環状に一体形成するものとしたが、複数の板状磁石を環状に配置するものであっても構わない。また、磁石は環状でなくても差し支えない。
1 スパークプラグ検査装置
2 シリンダヘッド
2a スパークプラグ挿入孔
4 スパークプラグ
6 ターミナル
7 主体金具
10 振動付与体
12 円筒体
14 励磁コイル
16 環状永久磁石
18 ベース筐体
20 円筒カバー部材
30 AEセンサ
32 センサホルダ
60 電源
70 電子制御ユニット
72 CPU
74 ROM
76 RAM
78 励磁回路
SPR コイルスプリング
Vr 共振周波数
Ie 励磁電流

Claims (11)

  1. スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査装置であって、
    エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能な振動付与手段と、
    該振動付与手段によって振動が付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出する検出手段と、
    検出した前記共振周波数に基づいて前記スパークプラグの絶縁碍子の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段と、
    を備えるスパークプラグ検査装置。
  2. 前記欠陥判定手段は、検出した前記共振周波数が第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する手段であって、
    前記第1周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定され、
    前記第2周波数帯域は、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定されてなる
    請求項1記載のスパークプラグ検査装置。
  3. 前記振動付与手段は、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された励磁コイルと、前記絶縁碍子の半径方向外側に配置された永久磁石と、前記励振コイルに励振電流を供給する電流供給手段と、を備える手段である請求項1または2記載のスパークプラグ検査装置。
  4. 前記検出手段は、前記スパークプラグの振動を検出可能な検出部を有し、
    前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグの一部に当接するよう前記振動付与手段と一体に形成されてなる請求項1ないし3いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
  5. 前記振動付与手段は、前記励磁コイルおよび前記永久磁石を保持する保持部材を備え、
    前記検出部は、前記振動付与手段が前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与可能なよう設置されたときに、前記スパークプラグのターミナルに当接するよう前記保持部材に保持されてなる請求項3または4記載のスパークプラグ検査装置。
  6. 前記保持部材は、前記絶縁碍子の外径よりも大きい内径の内周面を有する円筒状に形成されてなり、
    前記励磁コイルは、前記内周面側に環状に配設されてなり、前記永久磁石は、前記内周面側に環状に配設されてなる
    請求項5記載のスパークプラグ検査装置。
  7. 前記永久磁石は、前記励磁コイルに対して半径方向外側に配設されてなる請求項3ないし6いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
  8. 前記永久磁石は、前記スパークプラグの軸方向に磁化されてなる請求項3ないし7いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
  9. 前記永久磁石は、環状に形成されてなる請求項3ないし8いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
  10. 前記電流供給手段は、前記励振電流として周波数が連続的に変化する交流電流を供給可能な手段である請求項3ないし9いずれか記載のスパークプラグ検査装置。
  11. スパークプラグの欠陥を検出するためのスパークプラグ検査方法であって、
    (a)エンジン本体に取付けられた前記スパークプラグに対して電磁的に振動を付与し、
    (b)振動を付与された前記スパークプラグの振動測定値から共振周波数を検出し、
    (c)第1周波数帯域を、絶縁碍子に欠陥が生じていない前記スパークプラグにおいて、必ず前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、第2周波数帯域を、前記絶縁碍子に欠陥が生じているにも係わらず前記第1周波数帯域内に前記共振周波数が検出される前記スパークプラグにおいて、前記第1周波数帯域とは別に前記共振周波数が存在する周波数帯域として設定し、検出した前記共振周波数が前記第1周波数帯域内に存在しないとき、または、前記共振周波数が前記第1周波数帯域内および第2周波数帯域内のいずれにも存在するときに、前記絶縁碍子に欠陥が生じていると判定する
    スパークプラグ検査方法。
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