しかしながら、特許文献1の寸法測定方法では、載置板に載置された時の金属薄板が湾曲していたり浮き上がったりしていた場合には、測定値のバラツキが大きくなりすぎて、十分な補正が実現できず、測定値の誤差が大きすぎる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、金属薄板の寸法を精度良く測定することのできる金属薄板の寸法測定装置、及び、金属薄板の寸法測定方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属薄板が載置される載置板と、前記載置板上に載置される前記金属薄板の対向する各縁部領域を保持するようになっている一対の保持機構と、前記一対の保持機構の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与えるようになっている引張機構と、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、前記引張機構による引張力の方向に対する前記載置板上における前記金属薄板の載置姿勢を案内するようになっている案内部材と、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記載置板に吸着させるようになっている吸着機構と、前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する測定機構と、を備えたことを特徴とする金属薄板の寸法測定装置である。
本発明によれば、金属薄板は一対の保持機構によって保持されて引張機構によって引っ張られた状態で少なくとも1つの寸法が測定される。したがって、載置板に載置された時の金属薄板が湾曲していたり浮き上がったりしていたとしても、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で金属薄板の寸法が測定されるため、測定精度が向上する。また、寸法測定装置の周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、金属薄板の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。さらに、金属薄板の所望の引張方向に基づいて、引張機構による引張力の方向に対する載置板上における金属薄板の載置姿勢が案内されるため、金属薄板に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
好ましくは、前記案内部材は、前記載置板上における前記金属薄板の一側の縁部領域に当接する案内ピンを含み、前記案内ピンは、前記金属薄板の所望の引張方向と前記引張機構による引張力の方向とが整合するように、移動可能となっている。この場合、載置板上における金属薄板の載置姿勢を容易に案内することができる。
好ましくは、前記案内ピンは、各々独立に移動可能な複数のピンを含んでいる。この場合、複数の案内ピンの配列方向を変更することにより、載置板上における金属薄板の載置姿勢を容易に案内することができる。
好ましくは、前記測定機構は、前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の画像を撮像する測定用カメラと、撮像された画像を処理する画像処理装置と、を有している。この場合、金属薄板の寸法を容易に測定することができる。
また、好ましくは、前記吸着機構は、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板との間のエアを吸引して、前記金属薄板と前記載置板とを吸着させるようになっている。この場合、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
また、好ましくは、前記吸着機構は、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板とを静電吸着させるようになっている。この場合も、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
また、好ましくは、前記吸着機構は、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板とを磁力により吸着させるようになっている。この場合も、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
また、好ましくは、前記載置板は少なくとも2つの載置板部分に分離されていて、一対の保持機構の各々は異なる載置板部分に設けられている。この場合、金属薄板に張力が与えられる際、当該張力が付与される保持機構付近で載置板と金属薄板とが互いに摺動することが抑制されるため、金属薄板に局所的な応力が生じることが抑制され、測定精度が向上する。
あるいは、本発明は、金属薄板が載置される複数の載置板と、前記載置板上に載置される前記金属薄板の対向する各縁部領域を各対が保持するようになっている複数対の保持機構と、各対の保持機構の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与えるようになっている複数の引張機構と、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、前記複数の引張機構による引張力の方向に対する前記複数の載置板上における前記金属薄板の載置姿勢を案内するようになっている案内部材と、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記複数の載置板に吸着させるようになっている複数の吸着機構と、前記複数の載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する測定機構と、を備えたことを特徴とする金属薄板の寸法測定装置である。
本発明によれば、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力が与えられるため、金属薄板の変形状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。
あるいは、本発明は、金属薄板の所望の引張方向を決定する工程と、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、載置板上における前記金属薄板の載置姿勢を案内するように案内部材を位置決めする工程と、前記案内部材による案内に従って前記金属薄板を前記載置板に載置する工程と、一対の保持機構によって前記載置板に載置された前記金属薄板の対向する各縁部領域を保持する工程と、引張機構によって前記金属薄板を保持した状態の前記一対の保持機構の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与える工程と、吸着機構によって前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記載置板に吸着させる工程と、測定機構によって前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する工程と、を備えたことを特徴とする金属薄板の寸法測定方法である。
本発明によれば、金属薄板を一対の保持機構によって保持して引張機構によって引っ張った状態で載置板に吸着させ、載置板に吸着させた状態で少なくとも1つの寸法を測定する。したがって、載置板に載置された時の金属薄板が湾曲していたり浮き上がったりしていた場合でも、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で金属薄板の寸法を測定できるため、測定精度が向上する。また、寸法を測定すべき金属薄板の周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、金属薄板の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。さらに、金属薄板の所望の引張方向に基づいて、引張機構による引張力の方向に対する載置板上における金属薄板の載置姿勢を案内するため、金属薄板に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
好ましくは、前記案内部材は、前記載置板上における前記金属薄板の一側の縁部領域に当接する案内ピンを含み、前記位置決めする工程は、前記金属薄板の所望の引張方向と前記引張機構による引張力の方向とが整合するように、前記案内ピンを移動させる工程を含んでいる。この場合、載置板上における金属薄板の載置姿勢を容易に案内することができる。
また、好ましくは、前記測定する工程は、前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の画像を撮像する工程と、撮像された画像を処理する工程と、を含んでいる。この場合、金属薄板の寸法を容易に測定することができる。
また、好ましくは、本発明による寸法測定方法は、前記金属薄板を前記載置板に吸着させる工程の後に、前記引張機構によって前記金属薄板に対し与えられる引張力を低減させる工程を更に備えている。この場合、変形状態の除去ないし緩和のために一対の保持機構を介して与えられる引張力と、その後の寸法測定のために当該一対の保持機構を介して与えられる引張力と、を、互いに独立に決定することができるため、測定精度が向上する。
また、好ましくは、前記金属薄板を前記載置板に吸着させる工程において、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板との間のエアを吸引して、前記金属薄板と前記載置板とを吸着させる。この場合、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
あるいは、本発明は、金属薄板の所望の引張方向を決定する工程と、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて複数の載置板上における前記金属薄板の載置姿勢を案内するように案内部材を位置決めする工程と、前記案内部材による案内に従って前記金属薄板を前記複数の載置板に載置する工程と、複数対の保持機構の各対によって前記複数の載置板に載置された前記金属薄板の対向する各縁部領域を保持する工程と、複数の引張機構によって前記金属薄板を保持した状態の前記複数対の保持機構の各対の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与える工程と、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記複数の載置板に吸着させる工程と、測定機構によって前記複数の載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する工程と、を備えたことを特徴とする金属薄板の寸法測定方法である。
本発明によれば、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力を与えるため、金属薄板の変形状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。
好ましくは、本発明による寸法測定方法は、前記金属薄板を前記複数の載置板に吸着させる工程の後に、前記複数の引張機構によって前記金属薄板に対し与えられる引張力を低減させる工程を更に備えている。この場合、変形状態の除去ないし緩和のために一対の保持機構を介して与えられる引張力と、その後の寸法測定のために当該一対の保持機構を介して与えられる引張力と、を、互いに独立に決定することができるため、測定精度が向上する。
あるいは、本発明は、金属薄板が載置される載置板と、前記載置板上に載置される前記金属薄板の対向する各縁部領域を保持するようになっている一対の保持機構と、前記一対の保持機構の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与えるようになっている引張機構と、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、前記載置板上における前記金属薄板の載置姿勢に対する前記一対の保持機構の位置を変更するようになっている位置変更機構と、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記載置板に吸着させるようになっている吸着機構と、前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する測定機構と、を備えたことを特徴とする金属薄板の寸法測定装置である。
本発明によれば、金属薄板は一対の保持機構によって保持されて引張機構によって引っ張られた状態で少なくとも1つの寸法が測定される。したがって、載置板に載置された時の金属薄板が湾曲していたり浮き上がったりしていたとしても、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で金属薄板の寸法が測定されるため、測定精度が向上する。また、寸法測定装置の周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、金属薄板の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。さらに、金属薄板の所望の引張方向に基づいて、載置板上における金属薄板の載置姿勢に対する一対の保持機構の位置を変更するため、金属薄板に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
好ましくは、前記位置変更機構は、各保持機構を所定の回転中心周りに回転させるようになっている。この場合、引張機構による引張力の方向を所望の引張方向に整合させることが容易である。
また、好ましくは、前記位置変更機構は、前記一対の保持機構を互いに対して並進移動させるようになっている。この場合も、引張機構による引張力の方向を所望の引張方向に整合させることが容易である。
好ましくは、前記測定機構は、前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の画像を撮像する測定用カメラと、撮像された画像を処理する画像処理装置と、を有している。この場合、金属薄板の寸法を容易に測定することができる。
また、好ましくは、前記吸着機構は、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板との間のエアを吸引して、前記金属薄板と前記載置板とを吸着させるようになっている。この場合、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
また、好ましくは、前記吸着機構は、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板とを静電吸着させるようになっている。この場合も、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
また、好ましくは、前記吸着機構は、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板とを磁力により吸着させるようになっている。この場合も、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
また、好ましくは、前記載置板は少なくとも2つの載置板部分に分離されていて、一対の保持機構の各々は異なる載置板部分に設けられている。この場合、金属薄板に張力が与えられる際、当該張力が付与される保持機構付近で載置板と金属薄板とが互いに摺動することが抑制されるため、金属薄板に局所的な応力が生じることが抑制され、測定精度が向上する。
あるいは、本発明は、金属薄板が載置される複数の載置板と、前記載置板上に載置される前記金属薄板の対向する各縁部領域を各対が保持するようになっている複数対の保持機構と、各対の保持機構の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与えるようになっている複数の引張機構と、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、前記複数の載置板上における前記金属薄板の載置姿勢に対する各対の保持機構の位置を変更するようになっている複数の位置変更機構と、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記複数の載置板に吸着させるようになっている複数の吸着機構と、前記複数の載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する測定機構と、を備えたことを特徴とする金属薄板の寸法測定装置である。
本発明によれば、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力が与えられるため、金属薄板の変形状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。
あるいは、本発明は、金属薄板の所望の引張方向を決定する工程と、前記金属薄板を載置板に載置する工程と、一対の保持機構によって前記載置板に載置された前記金属薄板の対向する各縁部領域を保持する工程と、引張機構によって前記金属薄板を保持した状態の前記一対の保持機構の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与える工程と、吸着機構によって前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記載置板に吸着させる工程と、測定機構によって前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する工程と、を備え、前記金属薄板を保持する工程の前に、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、前記載置板上における前記金属薄板の載置姿勢に対する前記一対の保持機構の位置を変更する工程を含んでいることを特徴とする金属薄板の寸法測定方法である。
本発明によれば、金属薄板を一対の保持機構によって保持して引張機構によって引っ張った状態で載置板に吸着させ、載置板に吸着させた状態で少なくとも1つの寸法を測定する。したがって、載置板に載置された時の金属薄板が湾曲していたり浮き上がったりしていた場合でも、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で金属薄板の寸法を測定できるため、測定精度が向上する。また、寸法を測定すべき金属薄板の周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、金属薄板の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。さらに、金属薄板の所望の引張方向に基づいて、載置板上における金属薄板の載置姿勢に対する一対の保持機構の位置を変更するため、金属薄板に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
好ましくは、前記測定する工程は、前記載置板に吸着された状態の前記金属薄板の画像を撮像する工程と、撮像された画像を処理する工程と、を含んでいる。この場合、金属薄板の寸法を容易に測定することができる。
また、好ましくは、本発明による寸法測定方法は、前記金属薄板を前記載置板に吸着させる工程の後に、前記引張機構によって前記金属薄板に対し与えられる引張力を低減させる工程を更に備えている。この場合、変形状態の除去ないし緩和のために一対の保持機構を介して与えられる引張力と、その後の寸法測定のために当該一対の保持機構を介して与えられる引張力と、を、互いに独立に決定することができるため、測定精度が向上する。
また、好ましくは、前記金属薄板を前記載置板に吸着させる工程において、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板と前記載置板との間のエアを吸引して、前記金属薄板と前記載置板とを吸着させる。この場合、金属薄板を載置板に容易に吸着させることができる。
あるいは、本発明は、金属薄板の所望の引張方向を決定する工程と、前記金属薄板を複数の載置板に載置する工程と、複数対の保持機構の各対によって前記載置板に載置された前記金属薄板の対向する各縁部領域を保持する工程と、複数の引張機構によって前記金属薄板を保持した状態の前記複数対の保持機構の各対の互いに対する距離を拡げることによって前記金属薄板に対し引張力を与える工程と、前記引張力を与えられた状態の前記金属薄板を前記複数の載置板に吸着させる工程と、測定機構によって前記複数の載置板に吸着された状態の前記金属薄板の少なくとも1つの寸法を測定する工程と、を備え、前記金属薄板を保持する工程の前に、前記金属薄板の所望の引張方向に基づいて、前記複数の載置板上における前記金属薄板の載置姿勢に対する各対の保持機構の位置を変更する工程を含んでいることを特徴とする金属薄板の寸法測定方法である。
本発明によれば、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力を与えるため、金属薄板の変形状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。
好ましくは、本発明による寸法測定方法は、前記金属薄板を前記複数の載置板に吸着させる工程の後に、前記複数の引張機構によって前記金属薄板に対し与えられる引張力を低減させる工程を更に備えている。この場合、変形状態の除去ないし緩和のために一対の保持機構を介して与えられる引張力と、その後の寸法測定のために当該一対の保持機構を介して与えられる引張力と、を、互いに独立に決定することができるため、測定精度が向上する。
本発明によれば、金属薄板は一対の保持機構によって保持されて引張機構によって引っ張られた状態で少なくとも1つの寸法が測定される。したがって、載置板に載置された時の金属薄板が湾曲していたり浮き上がったりしていたとしても、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で金属薄板の寸法が測定されるため、測定精度が向上する。また、寸法測定装置の周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、金属薄板の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。さらに、金属薄板の所望の引張方向に基づいて、引張機構による引張力の方向に対する載置板上における金属薄板の載置姿勢が案内されるため、金属薄板に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による寸法測定装置の一例を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態の寸法測定装置11は、金属薄板31が載置される載置板21と、載置板21上に載置される金属薄板31の対向する各縁部領域を保持するようになっている一対の保持機構22a,22bと、一対の保持機構22a,22bの互いに対する距離を拡げることによって金属薄板31に対し引張力を与えるようになっている引張機構23と、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、引張機構23による引張力の方向に対する載置板21上における金属薄板31の載置姿勢を案内するようになっている案内部材80a,80bと、引張力を与えられた状態の金属薄板31を載置板21に吸着させるようになっている吸着機構41と、載置板21に吸着された状態の金属薄板31の少なくとも1つの寸法を測定する測定機構13と、を備えている。図1の例では、載置板21が並列に7枚並んでいる。
本実施の形態においては、測定機構13は、載置板21に吸着された状態の金属薄板31の画像を撮像する測定用カメラ131と、撮像された画像を処理する画像処理装置132と、を有している。測定用カメラ131は、載置板21に吸着された金属薄板31上を、鉛直方向、水平面内の縦方向及び横方向に移動することができるようになっている。
測定機構13によって測定される金属薄板31の寸法とは、例えば金属薄板31が有機EL用の蒸着マスクなどに用いられるメタルマスクの作製に用いられる場合、図2に示すように、メタルマスク34が作製される領域であるメタルマスク作製領域33の幅aや、各メタルマスク34の横幅bないし縦幅cである。あるいは、図3に示すように、メタルマスク開口部35の横幅dないし縦幅e、メタルマスク開口部35の横方向のピッチ間隔fないし縦方向のピッチ間隔g等である。画像処理の際には、金属薄板31に付された測定マーク32の中心位置を割り出すことによって、各寸法が決定(測定)される。
また、金属薄板31が載置される載置板21は、図4に示すように、載置板21の長手方向(図4の左右方向)の両縁部に、載置板縁部212a,212bと、載置板縁部212a,212bの間に配置された載置板中央部211と、を有している。
図4及び図5に示すように、載置板中央部211には、載置板中央部211を表面から裏面へ向けて(図5の上下方向に)貫通するエア吸引孔411が設けられており、載置板中央部211の裏面(図5の下側の面)には、エア吸引孔411を介して載置板21と載置板21に載置された金属薄板31との間のエアを吸引するためのエア吸引部412が設けられている。
このようなエア吸引孔411とエア吸引部412とによって、吸着機構41が構成されている。すなわち、エア吸引部412によって、エア吸引孔411を介して載置板21と載置板21に載置された金属薄板31との間のエアが吸引されることにより、金属薄板31は、載置板21に吸着されるようになっている。
また、本実施例の寸法測定装置11は、金属薄板31が載置板21に十分に吸着されたこと示す信号(吸着信号)を検出する吸着信号検出器51が設けられている。
本実施の形態の吸着信号検出器51は、エア吸引孔441とエア吸引部412との間に設けられてエア吸引孔411を介してエア吸引部412に流れるエアの流量を検出する流量計を有しており、エア吸引部412によるエア吸引開始後に当該流量計で検出されたエア流量の値が一定になったとき、金属薄板31が載置板21に十分に吸着されたものと見なして吸着信号を検出するようになっている。すなわち、エア吸引部412によって載置板21と載置板21に載置された金属薄板31との間のエアの吸引が開始されると、金属薄板31は徐々に載置板21に吸着されてエア吸引孔441を徐々に塞ぐ。したがって、エア吸引孔441の開口率が徐々に低下し、これにより、エア吸引孔441を介してエア吸引部412に流れ込むエアの流量も徐々に低下する。その後、金属薄板31が載置板21に十分に吸着されると、エア吸引孔441の開口率が一定となり、エア吸引孔441を介してエア吸引部412に流れ込むエアの流量も一定となる。したがって、前記流量計で検出されたエア流量の値が一定になったとき、金属薄板31が載置板21に十分に吸着されたものと見なすことができる。
図4から明らかなように、載置板縁部212a,212bと後述するクランプ基台221a,221bとの互いに向き合う各辺は、波状に形成されている。これによって、載置板縁部212a,212bとクランプ基台221a,221bとが互いに離れた状態となっても、載置板21に載置された金属薄板31が載置板21から垂れ下がることが抑制される。
載置板21の長手方向の両側に、一対の保持機構22a,22bが、載置板21上に載置される金属薄板31の対向する両端側の各辺を保持するように設けられている。
各保持機構22a,22bは、図4及び図6に示すように、クランプ基台221a,221bと、クランプ基台221a,221bと共同して金属薄板31を挟むクランプ部222と、クランプ部222をクランプ基台221a,221bに対して押圧する押圧レバー223と、押圧レバー223に押圧力を提供するようになっているワッシャー224及びコイルバネ225と、を有している。
保持機構22a,22bは、それぞれ、載置板21の長手方向に延びるように設けられたレール61a,61b上に摺動可能に載置されている。
図4に戻って、一方の保持機構22aの載置板21とは反対の側に、一対の保持機構22a,22bの互いに対する距離を拡げることによって金属薄板31に対し引張力を与えるための引張機構23が設けられている。
具体的には、本実施の形態の引張機構23は、図7に示すように、保持機構22aに固定された引張牽引部231と、引張牽引部231によって金属薄板31に対して与えられる引張力を検出することができるロードセル71と、ロードセル71を介して引張牽引部231に接続された引張牽引アーム232と、引張牽引アーム232を押すことによって引張牽引部231を図4の左方向に(一対の保持機構22a,22bを互いに離すように)移動させることができるエアシリンダ233と、を有している。
エアシリンダ233は、レール61aの引張機構23側の端部に固定されていて、エアシリンダ233が伸長することによって保持機構22aとは反対の方向(図7の左方向)に移動可能なエアシリンダヘッド234を有している。
引張牽引アーム232は、図4に示すような湾曲形状を有すると共に、一方の端部がエアシリンダヘッド234に当接され、エアシリンダ233が伸長してエアシリンダヘッド234が移動すると図4の左側に押されるようになっている。
引張牽引部231は、ロードセル71を介して引張牽引アーム232の他方の端部に接続されており、エアシリンダヘッド234の移動に伴って、レール61aの引張機構23側の端部(エアシリンダ233の固定部)を基点にして図4の左側に移動されるようになっている。
ロードセル71は、一方の端部(図4の上側の端部)が引張牽引アーム232に、他方の端部(図4の下側の端部)が引張牽引部231に接続されており、引張牽引アーム232によって引張牽引部231に与えられる引張力、したがって引張牽引部231によって金属薄板31に対して与えられる引張力、を検出することができるようになっている。
図4に戻って、本実施の形態の寸法測定装置11には、他方の保持機構22bの載置板21とは反対の側に、一対の保持機構22a,22bによって保持されて引張機構23によって引張力が与えられた金属薄板31を載置板21の長手方向に揺らすことによって、金属薄板31に与えられた引張力を金属薄板31に「なじませる」(全体に亘って均一化させる)ための揺動機構24が設けられている。
具体的には、本実施の形態の揺動機構24は、保持機構22bに固定された揺動牽引部241と、揺動牽引部241を図4の左右方向に揺動させることができるマイクロメータ243と、を有している。
マイクロメータ243は、レール61bに固定されており、マイクロメータ243が伸長及び縮退することによって載置板21の長手方向(図4の左右方向)に揺動可能なマイクロメータヘッド244を有している。
揺動牽引部241は、図4に示すような湾曲形状を有すると共にマイクロメータヘッド244に当接される揺動牽引アーム242と一体になっており、マイクロメータヘッド244の揺動に伴って、レール61b上のマイクロメータ243の固定部を基点にして同様に揺動されるようになっている。
案内部材80a,80bは、本実施の形態では、図8に示すように、金属薄板31の載置板21上における載置姿勢を案内するための案内ピン81a,81bを含んでいる。案内ピン81a,81bは、それぞれ、載置板縁部212a,212bの金属薄板31が載置される側の面から突出するように設けられている。案内部材80a,80bは、さらに、案内ピン81a,81bを移動させるためのシリンダ82a,82bを含んでいる。シリンダ82a,82bは、載置板21の平面に平行、且つ、載置板21の長手方向軸に対して垂直な方向に伸長可能である。これにより、シリンダ82の伸長方向に沿って案内ピン81a,81bを移動させることができるようになっている。案内ピン81a,81bが設けられる位置としては、金属薄板31の載置板21上における載置姿勢を案内できれば他の位置であってもよく、また、案内ピン81a,81bを移動させる方式としては、シリンダを用いた方式に限られない。さらに、案内ピン81a,81bは、金属薄板31の載置板21上における載置姿勢を案内できれば、ピンの形状に限られない。
本実施の形態の寸法測定装置11は、シリンダ82a,82bのそれぞれの伸長の大きさを決定する制御機構85を有している。制御機構85は、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、個々の案内ピン81a,81bの位置、すなわち個々のシリンダ82a,82bの伸長の大きさを決定するようになっている。具体的には、制御機構85は、金属薄板31の一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で金属薄板31が載置板21に載置された際に金属薄板31の所望の引張方向と引張機構23による引張力の方向とが整合するような位置に案内ピン81a,81bが配置されるように、シリンダ82a,82bの伸長の大きさを決定するようになっている。
例えば、金属薄板31の所望の引張方向が金属薄板31の長手方向(金属薄板31の中心線L1の延びる方向)とは異なる図9の矢印で示すような方向であり、且つ、引張機構23による引張力の方向が載置板21の長手方向に平行である場合には、金属薄板31は、載置板21上に図10に示すような姿勢で載置される必要がある。この場合、制御機構85は、金属薄板31の一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で金属薄板31が載置板21に載置された際に金属薄板31が図10に示すような姿勢となるように案内ピン81a,81bを移動させるべく、シリンダ82a,82bの伸長の大きさを決定する。
また、例えば、金属薄板31の所望の引張方向が金属薄板31の長手方向であり、引張機構23による引張力の方向が載置板21の長手方向(載置板21の中心線L2の延びる方向)とは異なる図11の矢印で示すような方向である場合にも、金属薄板31は、載置板21上に図10に示すような姿勢で載置される必要がある。したがって、この場合も、制御機構85は、金属薄板31の一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で金属薄板31が載置板21に載置された際に金属薄板31が図10に示すような姿勢となるように案内ピン81a,81bを移動させるべく、シリンダ82a,82bの伸長の大きさを決定する。
図11に示す場合において、好ましくは、金属薄板31の一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で金属薄板31が載置板21に載置された際に、図11に示すエアシリンダ233の固定部の中心点Aを通り引張機構23による引張力の方向に平行な線と、金属薄板31の中心線L1と、が一致するように、シリンダ82a,82bの伸長の大きさを決定する。
本実施の形態では、寸法測定装置11は、金属薄板31の所望の引張方向を決定するために必要な情報を入力する入力手段86を有しており、制御機構85は、入力手段86から得られた情報に基づいて金属薄板31の所望の引張方向を決定するようになっている。ここで、金属薄板31の所望の引張方向を決定するために必要な情報とは、例えば、金属薄板31の変形状態、引張機構23による引張力の方向、案内ピン81a,81bの位置等である。これらの情報は、測定機構13の測定用カメラ131により取得された金属薄板31やエアシリンダ233の画像等を、画像処理装置132が処理することによって得てもよいし、記憶装置に予め保持していてもよい。
測定用カメラ131及び画像処理装置132によって引張機構23による引張力の方向を検出する場合、例えば、図12に示すようにクランプ基台221aには引張方向検出用マーク28が設けられており、測定用カメラ131は、エアシリンダ233の伸長前と伸長後とにおいて引張方向検出用マーク28の画像を取得するようになっており、画像処理装置132は、測定用カメラ131によって取得された引張方向検出用マーク28の画像から、エアシリンダ233の伸長前後における引張方向検出用マークの移動方向、すなわち引張機構23による引張力の方向、を検出するようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、金属薄板31が載置板21に載置される際には、引張機構23のエアシリンダヘッド234と引張牽引アーム232とが当接されており、揺動機構24のマイクロメータヘッド244と揺動牽引アーム242とが当接されている。
入力手段86により金属薄板31の所望の引張方向を決定するために必要な情報が入力されると、制御機構85により金属薄板31の所望の引張方向が決定される。そして、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、シリンダ82a,82bのそれぞれの伸長の大きさが、決定される。
シリンダ82a,82bは、それぞれ、制御機構85によって決定された伸長の大きさに従って伸長される。これにより、案内ピン81a,81bは、金属薄板31の一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で金属薄板31が載置板21に載置された際に金属薄板31の所望の引張方向と引張機構23による引張力の方向とが整合するような位置に、移動される。
そして、金属薄板31が、その一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で載置板21上に載置され、金属薄板31の対向する各縁部領域が、一対の保持機構22a,22bによって保持される。具体的には、各保持機構22a,22bにおいて、ワッシャー224及びバネ225によって押圧レバー223に押圧力が提供され、押圧レバー223によってクランプ部222がクランプ基台221a,221bに対して押圧されることにより、クランプ基台221a,221bとクランプ部222との間に金属薄板31の対向する各縁部領域が挟まれて保持される。
金属薄板31が一対の保持機構22a,22bによって保持されると、引張機構23によって一対の保持機構22a,22bの互いに対する距離が拡げられ、金属薄板31に引張力が与えられる。
具体的には、エアシリンダ233が伸長することによって、エアシリンダヘッド234が保持機構22aとは反対の方向(図7の左方向)に移動されて引張牽引アーム232の一方の端部がエアシリンダヘッド234の移動方向と同じ方向に押される。このように引張牽引アーム232の一方の端部がエアシリンダヘッド234に押されることによって、引張牽引部231が、レール61aの引張機構23側の端部(エアシリンダ233の固定部)を基点にして、図4の左方向に一対の保持機構22a,22bを互いに離すように移動される。すなわち、引張牽引部231が保持機構22aとは反対の方向に移動されることによって、一方の保持機構22aがレール61a上を引張牽引部231と共に移動され、一対の保持機構22a,22bの互いに対する距離が拡げられる。
金属薄板31に与えられる引張力は、ロードセル71によって検出され、当該検出結果に基づいてエアシリンダ233の伸長の程度が制御される。これにより、金属薄板31に与えられる引張力を調整することができる。
また、本実施の形態では、金属薄板31に引張力が与えられた状態で、揺動機構24によって金属薄板31が載置板21の長手方向に揺らされる。これによって、金属薄板31に与えられた引張力を金属薄板31に「なじませる」(全体に亘って均一化させる)ことができる。
具体的には、マイクロメータ243が伸長及び縮退することによって、マイクロメータヘッド244が載置板21の長手方向(図4の左右方向)に揺動される。このようなマイクロメータヘッド244の揺動に伴って、揺動牽引部241が、レール61b上のマイクロメータ243の固定点を基点にして同様に揺動され、他方の保持機構22bがレール61b上を揺動牽引部241と共に揺動される。これによって、金属薄板31が、結果的に載置板21の長手方向に揺動されることになる。
金属薄板31が揺動された後、エア吸引部412によって、エア吸引孔411を介して載置板21と載置板21に載置された金属薄板31との間のエアが吸引され、金属薄板31は載置板21に吸着される。
金属薄板31が載置板21に十分に吸着されると、吸着信号検出器51によって吸着信号が検出される。吸着信号が検出されると、エアシリンダ233は、エアが徐々に抜かれて縮退され、金属薄板31に与えられる引張力が徐々に低減されて最終的にゼロになる。
前述のように金属薄板31に与えられる引張力がゼロになった後、載置板21に吸着された状態の金属薄板31の画像が、測定用カメラ131によって取得され、撮像された画像が画像処理装置132によって処理され、金属薄板31の少なくとも1つの寸法が測定される。これによって、載置板21に載置された時の金属薄板31が湾曲していたり浮き上がったりしていた場合でも、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で、且つ、変形状態の除去ないし緩和のために与えられた引張力が除去された状態で金属薄板31の各種寸法が測定される。これにより、測定精度が顕著に向上する。さらに、寸法測定装置11周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、吸着機構41によって金属薄板31の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。
以上のように、本実施の形態によれば、金属薄板31は、一対の保持機構22a,22bによって保持されて引張機構23によって引っ張られた状態で少なくとも1つの寸法が測定される。したがって、載置板21に載置された時の金属薄板31が湾曲していたり浮き上がったりしていた場合でも、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で金属薄板31の寸法が測定されるため、測定精度が向上する。また、寸法測定装置11周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、吸着機構41によって金属薄板31の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。さらに、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、引張機構23による引張力の方向に対する載置板21上における金属薄板31の載置姿勢が案内されるため、金属薄板31に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
また、案内部材80a,80bは、載置板21上における金属薄板31の一側の縁部領域に当接する案内ピン81a,81bを含み、案内ピン81a,81bは、金属薄板31の所望の引張方向と引張機構23による引張力の方向とが整合するように、移動可能となっている。したがって、載置板21上における金属薄板31の載置姿勢を容易に案内することができる。
さらに、案内ピン81a,81bは、各々独立に移動可能である。したがって、案内ピン81a,81bの配列方向を変更することにより、載置板21上における金属薄板31の載置姿勢を容易に案内することができる。
また、測定機構13は、載置板に吸着された状態の金属薄板31の画像を撮像する測定用カメラ131と、撮像された画像を処理する画像処理装置132と、を有している。したがって、金属薄板31の寸法を容易に測定することができる。
また、吸着機構41は、引張力を与えられた状態の金属薄板31と載置板21との間のエアを吸引して、金属薄板31と載置板21とを吸着させるようになっている。したがって、金属薄板31を載置板21に容易に吸着させることができる。
なお、吸着機構41は、引張力を与えられた状態の金属薄板31と載置板21とを静電吸着させてもよいし、磁力により吸着させてもよい。この場合も、金属薄板31を載置板21に容易に吸着させることができる。
また、金属薄板31を載置板21に吸着させた後、エアシリンダ233を縮退させることによって、引張機構23によって金属薄板31に対し与えられる引張力が低減される。この場合、変形状態の除去ないし緩和のために一対の保持機構22a,22bを介して与えられる引張力と、その後の寸法測定のために当該一対の保持機構22a,22bを介して与えられる引張力と、を、互いに独立に決定することができるため、測定精度が向上する。
また、載置板21は2つの載置板部分に分離されていて、各載置板部分に各保持機構22a,22bが設けられていてもよい。この場合、金属薄板31に張力が与えられる際、保持機構22a,22b付近で載置板21と金属薄板31とが互いに摺動することが抑制されるため、金属薄板31に張力が与えられる際、金属薄板31に局所的な応力が生じることが抑制され、測定精度が向上する。
また、金属薄板31に位置決めするための穴を設け、当該穴と案内ピン81a,81bとの位置を合わせながら金属薄板31を載置板21上に載置してもよい。
また、保持機構22a,22bは、クランプ部222をネジやエアでクランプ基台221a,221bに押し付けることにより、金属薄板31をクランプ部222とクランプ基台221a,221bとの間に保持するタイプものであってもよい。
また、引張機構23は、重りやモータ、バネなどによって保持機構22aを引っ張るものであってもよい。
次に、図13により、本発明による寸法測定装置の第2の実施の形態について説明する。
図13は、本発明の第2の実施の形態による寸法測定装置における、載置板と、保持機構と、引張機構と、を概略的に示す平面図である。図13に示すように、本実施の形態の寸法測定装置11は、第1の実施の形態の寸法測定装置に対して、金属薄板31が載置される複数の載置板21と、載置板21上に載置される金属薄板31の対向する各縁部領域を各対が保持するようになっている複数対の保持機構22a,22bと、各対の保持機構22a,22bの互いに対する距離を拡げることによって金属薄板31に対し引張力を与えるようになっている複数の引張機構23と、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、複数の引張機構23による引張力の方向に対する23複数の載置板上における金属薄板31の載置姿勢を案内するようになっている案内部材80a,80bと、引張力を与えられた状態の金属薄板31を複数の載置板21に吸着させるようになっている複数の吸着機構41と、複数の載置板21に吸着された状態の金属薄板31の少なくとも1つの寸法を測定する測定機構13と、を備えた点が異なっている。また、本実施の形態の寸法測定装置11は、金属薄板31に与えられた引張力を金属薄板31に「なじませる」(全体に亘って均一化させる)ための複数の揺動機構24を有している。
その他の構成は、図1及び図4に示す第1の実施の形態と略同様である。図13において、第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態の寸法測定装置11では、図13に示すように、複数の載置板21が、載置板21の長手方向に垂直な方向(図13の上下方向)に並列に設けられており、各載置板21の両側に、一対の保持機構22a,22b、引張機構23及び揺動機構24が、第1の実施の形態と略同様に設けられている。本実施の形態では、案内機構80a,80bは、一方の載置板21にのみ設けられているが、両方の載置板21に設けられていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、金属薄板31が複数の載置板21に載置される際には、各載置板21に対して備えられた引張機構23のエアシリンダヘッド234と引張牽引アーム232とが当接されており、各載置板21に対して備えられた揺動機構24のマイクロメータヘッド244と揺動牽引アーム242とが当接されている。
次に、制御機構85によって、案内ピン81a,81bが、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて移動される。具体的には、金属薄板31の一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で金属薄板31が複数の載置板21に載置された際に、金属薄板31の所望の引張方向と、複数の引張機構23による引張力の合力の方向と、が整合するような位置に移動される。
そして、金属薄板31が、その一側の縁部領域が案内ピン81a,81bに当接された状態で複数の載置板21上に載置され、複数対の保持機構22a,22bの各対によって複数の載置板21に載置された金属薄板31の対向する各縁部領域が保持される。
金属薄板31が複数対の保持機構22a,22bによって保持された後、複数の引張機構23によって複数対の保持機構22a,22bの互いに対する距離が拡げられる。これによって、金属薄板31に対して二次元的に(平面的に)引張力が与えられる。
金属薄板31に引張力が与えられた状態で、複数の揺動機構24によって、金属薄板31は各載置板21の長手方向(図13の左右方向)に揺動される。これによって、金属薄板31に二次元的に与えられた引張力を、金属薄板31に二次元的に「なじませる」(全体に亘って均一化させる)ことができる。
金属薄板31が揺動された後、金属薄板31は複数の吸着機構41によって複数の載置板21に吸着され、その後、複数の引張機構23により金属薄板31に与えられる引張力が低減される。
前述のように金属薄板31に与えられる引張力がゼロになった後、載置板21に吸着された状態の金属薄板31の画像が、測定用カメラ131によって取得され、撮像された画像が画像処理装置132によって処理され、金属薄板31の少なくとも1つの寸法が測定される。
以上のように、本実施の形態によれば、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力が与えられるため、金属薄板の変形の状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。
次に、図14により、本発明による寸法測定装置の第3の実施の形態について説明する。
図14は、本発明の第3の実施の形態による寸法測定装置における、載置板と、保持機構と、引張機構と、を概略的に示す平面図である。本実施の形態の寸法測定装置11は、図14に示すように、載置板21が複数に分かれていない点を除いて、図13に示す第2の実施の形態と同様である。
図14において、図13に示す実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態によっても、図13に示す実施の形態と同様に、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力が与えられるため、金属薄板の変形の状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。
次に、図15により、本発明による寸法測定装置の第4の実施の形態について説明する。
図15は、本発明の第4の実施の形態による寸法測定装置における、載置板と、保持機構と、引張機構と、を概略的に示す平面図である。図15に示すように、本実施の形態の寸法測定装置11は、第1の実施例による寸法測定装置に対し、案内部材80a,80bの代わりに、一対の保持機構22a,22bの位置を変更するための位置変更機構90を備えている点が異なっている。位置変更機構90は、詳しくは、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて載置板21上における金属薄板31の載置姿勢に対する一対の保持機構22a,22bの位置を変更するようになっている。その他の構成は、第1の実施の形態と略同様である。図15において、第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
位置変更機構90は、本実施の形態においては、図16に示すように、保持機構22a及び引張機構23の下方に設けられて保持機構22a及び引張機構23を一体として移動させる回転機構91a及び並進機構92aを含んでいる。回転機構91aは、保持機構22a及び引張機構23を一体として水平面内において所定の回転中心周りに回転させるようになっている。また、並進機構92aは、保持機構22a及び引張機構23を一体として水平面内において並進させるようになっている。
位置変更機構90は、さらに、保持機構22b及び揺動機構24の下方に設けられて保持機構22b及び揺動機構24を一体として移動させる回転機構91b及び並進機構92bを含んでいる。回転機構91bは、保持機構22b及び揺動機構24を一体として水平面内において所定の回転中心周りに回転させるようになっている。また、並進機構92bは、保持機構22b及び揺動機構24を一体として水平面内において並進させるようになっている。
制御機構85は、本実施の形態においては、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、載置板上における金属薄板31の載置姿勢に対する回転機構91a,91bの回転角度と、並進機構92a,92bの並進方向及び並進距離と、を決定するようになっている。
例えば、金属薄板31の所望の引張方向が金属薄板31の長手方向とは異なる図9の矢印で示すような方向であり、金属薄板31が載置板21上に載置板21の長手方向軸に平行に載置される場合には、保持機構22a及び引張機構23は、載置板21に対して図15(b)に示すような位置に移動される必要がある。この場合、制御機構85は、保持機構22a及び引張機構23の移動後の位置が図15(b)に示す位置となるように、回転機構91aの回転角度と、並進機構92aの並進方向及び並進距離と、を決定するようになっている。
また、保持機構22a及び引張機構23が移動される場合、保持機構22b及び揺動機構24も、移動後の引張機構23の位置に対応して移動される必要がある。具体的には、保持機構22b及び揺動機構24は、移動後の引張機構23による引張力の方向と、移動後の揺動機構24による金属薄板31の揺動方向とが、整合するように移動される必要がある。したがって、保持機構22a及び引張機構23が図15(b)に示す位置に移動される場合、制御機構85は、保持機構22b及び揺動機構24の移動後の位置が図15(b)に示す位置となるように、回転機構91bの回転角度と、並進機構92bの並進方向及び並進距離と、を決定するようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。本実施の形態においては、金属薄板31は、載置板21上に載置板21の長手方向軸に平行に載置されるものとする。
まず、金属薄板31が載置板21に載置される際には、引張機構23のエアシリンダヘッド234と引張牽引アーム232とが当接されており、揺動機構24のマイクロメータヘッド244と揺動牽引アーム242とが当接されている。
入力手段86により金属薄板31の所望の引張方向を決定するために必要な情報が入力されると、制御機構85により金属薄板31の所望の引張方向が決定される。そして、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、載置板21上における金属薄板31の載置姿勢に対する各回転機構91a,91bの回転角度と各並進機構92a,92bの並進方向及び並進距離とが、決定される。具体的には、回転機構91aの回転角度と並進機構92aの並進方向及び並進距離とは、回転及び並進後の引張機構23による引張力の方向が金属薄板31の所望の引張方向に一致するように決定される。また、回転機構91bの回転角度と並進機構92bの並進方向及び並進距離とは、回転及び並進後の揺動機構24の揺動方向が回転及び並進後の引張機構23による引張力の方向に整合するように決定される。
保持機構22a及び引張機構23は、制御機構85によって決定された回転角度に従って、回転機構91aによって回転される。さらに、保持機構22a及び引張機構23は、制御機構85によって決定された並進方向及び並進距離に従って、並進機構92aによって並進される。これにより、保持機構22a及び引張機構23は、移動後の引張機構23による引張力の方向が所望の引張方向に一致するように移動される。
また、保持機構22b及び揺動機構24は、制御機構85によって決定された回転角度に従って、回転機構91bによって回転される。さらに、保持機構22b及び揺動機構24は、制御機構85によって決定された並進方向及び並進距離に従って、並進機構92bによって並進される。これにより、保持機構22b及び揺動機構24は、移動後の揺動機構24の揺動方向が移動後の引張機構23による引張力の方向に整合するように移動される。
そして、金属薄板31が載置板21上に載置板21の長手方向軸に平行に載置されると、金属薄板31の対向する各縁部領域が一対の保持機構22a,22bによって保持される。
金属薄板31が一対の保持機構22a,22bによって保持されると、引張機構23によって一対の保持機構22a,22bの互いに対する距離が拡げられ、金属薄板31に引張力が与えられる。
金属薄板31に引張力が与えられた状態で、揺動機構24によって金属薄板31が、マイクロメータ243の伸長及び縮退方向に揺らされる。
金属薄板31が揺動された後、エア吸引部412によって、エア吸引孔411を介して載置板21と載置板21に載置された金属薄板31との間のエアが吸引され、金属薄板31は載置板21に吸着される。
金属薄板31が載置板21に十分に吸着されると、吸着信号検出器51によって吸着信号が検出される。吸着信号が検出されると、エアシリンダ233は、エアが徐々に抜かれて縮退され、金属薄板31に与えられる引張力が徐々に低減されて最終的にゼロになる。
前述のように金属薄板31に与えられる引張力がゼロになった後、載置板21に吸着された状態の金属薄板31の画像が、測定用カメラ131によって取得され、撮像された画像が画像処理装置132によって処理され、金属薄板31の少なくとも1つの寸法が測定される。これによって、載置板21に載置された時の金属薄板31が湾曲していたり浮き上がったりしていた場合でも、そのような変形状態が除去ないし緩和された状態で、且つ、変形状態の除去ないし緩和のために与えられた引張力が除去された状態で金属薄板31の各種寸法が測定される。これにより、測定精度が顕著に向上する。さらに、寸法測定装置11周辺で外乱(振動、風)が生じたとしても、吸着機構41によって金属薄板31の移動が抑制されるため、このことによっても測定精度が向上する。
以上のように、本実施の形態によれば、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、載置板21上における金属薄板31の載置姿勢に対する一対の保持機構22a,22bの位置が変更されるため、金属薄板31に対して適切な方向に引張力を与えることができる。
また、位置変更機構90は、各保持機構22a,22bを所定の回転中心周りに回転させるようになっているため、引張機構23による引張力の方向を所望の引張方向に整合させることが容易である。
さらに、位置変更機構90は、一対の保持機構22a,22bを互いに対して並進移動させるようになっているため、このことによっても、引張機構23による引張力の方向を所望の引張方向に整合させることが容易である。
なお、一対の保持機構22a,22bの位置が変更される代わりに、載置板21の位置が変更されてもよい。
また、寸法測定装置11は、本発明の第1の実施の形態による寸法測定装置における案内部材80a,80bを更に有していてもよい。この場合、案内部材80a,80bが案内する金属薄板の載置姿勢と、一対の保持機構22a,22bの移動後の位置と、の両方を調整することで、金属薄板31の所望の引張方向と、引張機構23による引張力と、を、より柔軟に整合させることができる。
次に、図17により、本発明による寸法測定装置の第5の実施の形態について説明する。
図17は、本発明の第5の実施の形態による寸法測定装置における、載置板と、保持機構と、引張機構と、を概略的に示す平面図である。図17に示すように、本実施の形態の寸法測定装置11は、図15及び図16に示す実施の形態の寸法測定装置に対し、金属薄板31が載置される複数の載置板21と、載置板21上に載置される金属薄板31の対向する各縁部領域を各対が保持するようになっている複数対の保持機構22a,22bと、各対の保持機構22a,22bの互いに対する距離を拡げることによって金属薄板31に対し引張力を与えるようになっている複数の引張機構23と、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、複数の載置板21上における金属薄板31の載置姿勢に対する各対の保持機構22a,22bの位置を変更するようになっている複数の位置変更機構90と、引張力を与えられた状態の金属薄板31を複数の載置板21に吸着させるようになっている複数の吸着機構41と、を備えた点が異なっている。また、本実施の形態の寸法測定装置11は、金属薄板31に与えられた引張力を金属薄板31に「なじませる」(全体に亘って均一化させる)ための複数の揺動機構24を有している。
その他の構成は、図15及び図16に示す実施の形態と略同様である。図17において、図15及び図16に示す実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、金属薄板31が載置板21に載置される際には、各載置板21に設けられた引張機構23のエアシリンダヘッド234と引張牽引アーム232とが当接されており、各載置板21に設けられた揺動機構24のマイクロメータヘッド244と揺動牽引アーム242とが当接されている。
入力手段86により金属薄板31の所望の引張方向を決定するために必要な情報が入力されると、制御機構85により金属薄板31の所望の引張方向が決定される。そして、金属薄板31の所望の引張方向に基づいて、各回転機構91a,91bの回転角度と各並進機構92a,92bの並進方向及び並進距離とが、決定される。具体的には、回転機構91aの回転角度と並進機構92aの並進方向及び並進距離とは、回転及び並進後の複数の引張機構23による引張力の合力の方向が所望の引張方向に一致するように決定される。また、回転機構91bの回転角度と並進機構92bの並進方向及び並進距離とは、回転及び並進後の複数の揺動機構24により金属薄板31が搖動される方向が回転及び並進後の複数の引張機構23による引張力の合力の方向に整合するように決定される。
各保持機構22a及び各引張機構23は、制御機構85によって決定された回転角度に従って、各々の回転機構91aによって回転される。さらに、各保持機構22a及び各引張機構23は、制御機構85によって決定された並進方向及び並進距離に従って、各々の並進機構92aによって並進される。これにより、複数の保持機構22a及び複数の引張機構23は、移動後の複数の引張機構23による引張力の合力方向が所望の引張方向に一致するように移動される。
また、各保持機構22b及び各揺動機構24は、制御機構85によって決定された回転角度に従って、各々の回転機構91bによって回転される。さらに、各保持機構22b及び各揺動機構24は、制御機構85によって決定された並進方向及び並進距離に従って、各々の並進機構92bによって並進される。これにより、複数の保持機構22b及び複数の揺動機構24は、移動後の複数の揺動機構24による揺動方向が移動後の複数の引張機構23による引張力の合力の方向に整合するように移動される。
そして、金属薄板31が複数の載置板21上に複数の載置板21の長手方向軸に平行に載置されると、金属薄板31の対向する各縁部領域が複数対の保持機構22a,22bの各対によって保持される。
金属薄板31が複数対の保持機構22a,22bの各対によって保持されると、複数の引張機構23によって複数対の保持機構22a,22bの互いに対する距離が拡げられる。これによって、金属薄板31に対して二次元的に(平面的に)引張力が与えられる。
金属薄板31に引張力が与えられた状態で、複数の揺動機構24によって、金属薄板31は、マイクロメータ243の伸長及び縮退方向に揺動される。これによって、金属薄板31に二次元的に与えられた引張力を、金属薄板31に二次元的に「なじませる」(全体に亘って均一化させる)ことができる。
金属薄板31が揺動された後、エア吸引部412によって、エア吸引孔411を介して載置板21と載置板21に載置された金属薄板31との間のエアが吸引され、金属薄板31は載置板21に吸着される。
金属薄板31が載置板21に十分に吸着されると、吸着信号検出器51によって吸着信号が検出される。吸着信号が検出されると、エアシリンダ233は、エアが徐々に抜かれて縮退され、金属薄板31に与えられる引張力が徐々に低減されて最終的にゼロになる。
前述のように金属薄板31に与えられる引張力がゼロになった後、載置板21に吸着された状態の金属薄板31の画像が、測定用カメラ131によって取得され、撮像された画像が画像処理装置132によって処理され、金属薄板31の少なくとも1つの寸法が測定される。
以上のように、本実施の形態によれば、金属薄板に二次元的に(平面的に)引張力が与えられるため、金属薄板の変形の状態が二次元的に除去ないし緩和され、測定精度がより一層向上する。