JP6007660B2 - 口腔用組成物及び歯石形成抑制剤 - Google Patents
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また、非イオン性界面活性剤により縮合リン酸塩の粘膜刺激が緩和することは知られている。
なお、特許文献5には、実施例に縮合リン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム及びAPGを含む練歯磨が記載されているが、これは縮合リン酸塩とキサンタンガムとを併用した口腔用組成物の経時での粘度変化をAPGで改善した技術であり、特許文献5から、(A)〜(D)成分の適切な併用により、特に2質量%以下の縮合リン酸塩で高い歯石形成抑制効果を与えることは予測できない。
(A)ラウリル硫酸塩を0.1〜1.5質量%含有し、かつ(B)縮合リン酸塩を0.1〜2質量%含有する口腔用組成物に、
(C)カルボキシル基のエステル化度が70〜95%、かつB型粘度計で測定した1質量%水溶液の20℃での粘度が10〜200mPa・sであるアルギン酸プロピレングリコールエステルを0.01〜2質量%と、
(D)(D−1)エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる非イオン性界面活性剤及び/又は(D−2)2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインから選ばれるベタイン型両性界面活性剤を合計で0.3〜8質量%と
を配合してなり、(B)成分/(C)成分が質量比として3〜50であることを特徴とする口腔用組成物、及び前記(A)成分を0.1〜1.5質量%、(B)成分を0.1〜2質量%、(C)成分を0.01〜2質量%、(D)(D−1)及び/又は(D−2)成分を合計で0.3〜8質量%含有し、(B)成分/(C)成分が質量比として3〜50である歯石形成抑制剤
を提供する。
ラウリル硫酸塩の配合量は、組成全体の0.1〜1.5%(質量%、以下同様。)であり、好ましくは0.3〜1.0%である。0.1%未満では泡立ちに劣り、1.5%を超えると口腔粘膜への刺激が強く発現し、使用感に劣る。
なお、エステル化度が70%以上のものとしては、(株)キミカ製の商品名 キミロイドLLV、キミロイドBF、キミロイドHV、昆布酸503、昆布酸501、(株)フードケミファ製の商品名 ダックロイドPF、ダックロイドLF等が挙げられる。
アルギン酸プロピレングリコールエステルは、製品の種類に応じて1種単独で又は2種以上併用して使用できる。
粘度測定法((株)フードケミファ製 ダックロイド)
アルギン酸プロピレングリコールエステルを4g採取し600mL容量のビーカーに入れ、そこに撹拌棒で撹拌しながら精製水396gを少しずつ加える。初めに少量の水でよく溶解し、ある程度溶けたら全量の水を入れる。その後1時間膨潤させ、1時間後、高速撹拌機(ホモミキサー)により12,000回転/分で1分間攪拌する。この溶液を300mLトールビーカーに入れて、20℃水槽に静置させておく。泡が上に上がり、ビーカーの溶液の色が透明になったら、上の泡を薬さじ等で取り除く。温度計をビーカーの中に入れて検液が20℃に達したことを確認し、粘度測定を行う。
粘度計:東京計器 BL型粘度計
ローター:No.1
回転数:60rpm
測定時間:1分
300mLトールビーカーに精製水297gをとり、スターラー又はスリーワンモーターで攪拌しながらアルギン酸プロピレングリコールエステルを3.0g加えて完全に溶解する。次に、20℃恒温水槽に1時間静置後(アルギン酸プロピレングリコールエステル水溶液が20℃に達したことを確認する)、BL型粘度計(東京計器社製)を用いて正確に1分後の粘度を測定する。
アルギン酸プロピレングリコールエステル
商品名 昆布酸503:
1%水溶液粘度18mPa・s(ローターNo.1、60rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=80%/(株)キミカ製
商品名 キミロイドBF:
1%水溶液粘度20mPa・s(ローターNo.1、60rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=80%/(株)キミカ製
商品名 キミロイドLLV:
1%水溶液粘度24mPa・s(ローターNo.1、60rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=80%/(株)キミカ製
商品名 キミロイドNLS−K:
1%水溶液粘度55mPa・s(ローターNo.1、60rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=80%/(株)キミカ製
商品名 キミロイドLV:
1%水溶液粘度90mPa・s(ローターNo.1、30rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=80%/(株)キミカ製
商品名 キミロイドMV:
1%水溶液粘度148mPa・s(ローターNo.1、30rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=80%/(株)キミカ製
商品名 昆布酸542:
1%水溶液粘度1,280mPa・s(ローターNo.3、60rpm)、M/G比=1.3、エステル化度=40%/(株)キミカ製
商品名 ダックロイドLF:
1%水溶液粘度21mPa・s(ローターNo.1、60rpm)、M/G比=0.8、エステル化度=75%/(株)フードケミファ製
商品名 ダックロイドPF:
1%水溶液粘度51mPa・s(ローターNo.1、60rpm)、M/G比=0.8、エステル化度=75%/(株)フードケミファ製
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインとしては、商品名エナジコールC−40Hとしてライオン(株)より販売されている2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム水溶液、脂肪酸アミドプロピルベタインとしては、Degussa社より販売されているヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインであるTEGO BETAIN CKを用いることができる。
着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩などが挙げられる。
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物を下記方法で調製し、下記方法で評価した。結果を表1〜3に示す。
精製水に、縮合リン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、更にはサッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム等の水溶性成分を溶解させ、増粘性シリカ、ソルビットを加えた後、これに、別途、プロピレングリコールにキサンタンガム等の高分子化合物を分散させた液を加え、更に、非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を加え、攪拌した。その後、香料、研磨性シリカ等の研磨剤を順次加え、最後にラウリル硫酸ナトリウムを加えて減圧下(5.3kPa)で攪拌し、歯磨剤組成物を得た。なお、比較例の歯磨剤組成物は上記に準じて調製した。
ラウリル硫酸ナトリウム;アルスコープLS−30(商品名)、[東邦化学工業(株)製]
トリポリリン酸ナトリウム;トリポリリン酸ナトリウム(商品名)、[太平化学産業(株)製]
ピロリン酸ナトリウム;ピロリン酸ナトリウム(無水)(商品名)、[太平化学産業(株)製]
アルギン酸プロピレングリコールエステル;キミロイドBF(商品名)、[キミカ(株)製]
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油;NIKKOL HCO−20(商品名)、[日光ケミカルズ(株)製]
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;NIKKOL HCO−60(商品名)、[日光ケミカルズ(株)製]
ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油;NIKKOL HCO−80(商品名)、[日光ケミカルズ(株)製]
なお、以下において、POEはポリオキシエチレンの略記であり、POEの後ろの( )内の数値はエチレンオキサイドの平均付加モル数である。
イミダゾリニウムベタイン;2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、エナジコールC−40H(商品名)、[ライオン(株)製]
アミドプロピルベタイン;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、TEGO BETAIN CK−OK(商品名)、[Deggusa社製]
その他の成分は、医薬部外品原料規格品である。
(1)歯石形成抑制効果
ヒトエナメル質の代わりに、同様な性状を有する牛エナメル質を用いた。牛エナメル質をサンドペーパ(#1,500)にて研磨して光沢のある平らな表面とし、その表面を1×1mmの面積を除いてマニキュアで被覆し、これを試験サンプルとした。評価対象の各例の歯磨剤組成物をそれぞれ蒸留水にて2倍に希釈し、そのスラリー中に試験サンプルを3分間浸漬した。余剰のスラリーを除くため試験サンプルを軽く水洗し、人工プラーク液(2mL)に浸漬した(37℃、24時間)。この人工プラーク液に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンとの結合によって歯石様の物質(種々のリン酸カルシウムの複合体)が形成、牛エナメル質表面に沈着する。この時、評価対象歯磨剤に含まれる活性成分によって歯石様の物質の形成が抑制される。
ここで用いた人工プラーク液は、Journal Dental research 67(12):1468−1475,1988を参考に調製した(人工プラーク液:CaCl2=4.1mM、KH2PO4=15.5mM、酢酸=100mM、NaCl=100mM、pH6.35(1規定水酸化ナトリウム水溶液にて調整。)。試薬はすべて和光純薬工業(株)製である。)
なお、被覆率は、得られた沈着物の電子顕微鏡画像について汎用の画像解析装置を用いて解析して求めた。具体的には、電子顕微鏡画像において沈着物が存在している領域は黒く映り、沈着物の存在していない領域は白っぽく映る。この領域の差異を区分する閾値(輝度)を設定し、全観察領域を二値化した。そして、全観察領域に対する沈着物が占める領域の割合を被覆率(%)とした。ここでの被覆率の値は、各評価対象歯磨剤組成物について試験サンプル3個を用いた時の平均値である。
評価基準
被覆率 効果
◎:25%未満 良好な歯石形成抑制効果が認められる
○:25%以上50%未満 歯石形成抑制効果が認められる
△:50%以上75%未満 歯石形成抑制効果がやや認められる
×:75%以上100%以下 歯石形成抑制効果が認められない
縮合リン酸塩による口腔粘膜刺激への感受性には個人差があり、高感度パネラーを対象に本試験を実施した。試験実施前に、縮合リン酸塩2%及び非イオン性界面活性剤2%配合の歯磨剤組成物(組成は下記のとおり)で歯を磨いた時に、口腔粘膜にわずかに刺激を感じた人を高感度パネラーとし、5人の高感度パネラーに各例の歯磨剤組成物を使用させた。
通常の歯ブラシの植毛部に約1gの歯磨剤組成物を取り、3分間歯磨きした後、約10mLの水道水で3回、口を濯いた後の口腔粘膜への刺激のなさを下記の4段階で評価した。
<縮合リン酸塩2%、非イオン性界面活性剤2%配合の歯磨剤組成物の組成>
トリポリリン酸ナトリウム 2.0%
POE(20)硬化ヒマシ油 2.0
研磨性シリカ 18.0
ソルビット 25.0
サッカリンナトリウム 0.2
フッ化ナトリウム 0.21
増粘性シリカ 3.0
酸化チタン 0.4
プロピレングリコール 3.0
キサンタンガム 0.3
香料 0.8
精製水 バランス
合計 100.0%
pH7.5(塩酸又は水酸化ナトリウムで調整)
4点:刺激を全く感じない
3点:刺激をごくわずかに感じる
2点:刺激を感じる
1点:刺激を強く感じる
5名の評価点の平均値を求め、口腔粘膜への刺激のなさを下記4段階で判定した。◎、○となるものを口腔粘膜への刺激のない使用感が良好な歯磨剤組成物であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
通常の歯ブラシの植毛部に約1gの歯磨剤組成物を取り、3分間歯磨きした時の泡立ちを下記の4段階で評価した。
評点基準
4点:良好に泡立つ
3点:泡立つ
2点:やや泡立つ
1点:全く泡立たない
5名の評価点の平均値を求め、泡立ちを下記4段階で判定した。◎、○となるものを泡立ちの良好な歯磨剤組成物であると判断した。
評価基準
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
Claims (3)
- (A)ラウリル硫酸塩を0.1〜1.5質量%含有し、かつ(B)縮合リン酸塩を0.1〜2質量%含有する口腔用組成物に、
(C)カルボキシル基のエステル化度が70〜95%、かつB型粘度計で測定した1質量%水溶液の20℃での粘度が10〜200mPa・sであるアルギン酸プロピレングリコールエステルを0.01〜2質量%と、
(D)(D−1)エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる非イオン性界面活性剤及び/又は(D−2)2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインから選ばれるベタイン型両性界面活性剤を合計で0.3〜8質量%と
を配合してなり、(B)成分/(C)成分が質量比として3〜50であることを特徴とする口腔用組成物。 - 歯磨剤である請求項1記載の口腔用組成物。
- (A)ラウリル硫酸塩を0.1〜1.5質量%、
(B)縮合リン酸塩を0.1〜2質量%、
(C)カルボキシル基のエステル化度が70〜95%、かつB型粘度計で測定した1質量%水溶液の20℃での粘度が10〜200mPa・sであるアルギン酸プロピレングリコールエステルを0.01〜2質量%、
(D)(D−1)エチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜100モルであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる非イオン性界面活性剤及び/又は(D−2)2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインから選ばれるベタイン型両性界面活性剤を合計で0.3〜8質量%
含有し、(B)成分/(C)成分が質量比として3〜50である歯石形成抑制剤。
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