JP2016516778A - ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含有する口腔ケア組成物 - Google Patents

ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含有する口腔ケア組成物 Download PDF

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Abstract

ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含有し、好ましくはポリメチルシルセスキオキサン粒子、フッ化物イオン源、及び口腔使用が可能なキャリアを含有する、口腔用組成物が提供される。そのような、歯のエナメル質を洗浄し、研磨するための組成物を使用する方法も提供され、そのような方法は、口腔ケア組成物をユーザーの歯に塗布するステップを含む。

Description

本発明は、研磨剤を含有する口腔ケア組成物と、それらの組成物を用いて歯を洗浄し研磨する方法と、に関する。
有効な口腔用組成物は、歯の着色汚れを除去し、かつ歯を研磨することによって、歯の外観の維持及び保護を可能にする。また、有効な口腔用組成物は、外部のクズ・カスをも洗浄し除去し、それにより、歯の齲蝕を防ぎ、歯肉の健康を促進するのに役立ち得る。
口腔用組成物内の研磨剤は、歯の着色汚れが固着する、付着性のペリクルを除去するのに役立つ。通常、ペリクルは、歯の洗浄後の数分以内でエナメル質に付着する、薄い無細胞糖タンパク質−ムコタンパク質の被膜を含む。この膜の内部に残留するさまざまな食品色素の存在は、歯の変色の殆どの場合で主な原因となる。効果的な研磨剤とは、象牙質及びエナメル質のような口腔組織への磨耗損傷を最小限に抑えつつ、ペリクルを除去することができるものである。
研磨された表面は、望ましくない構成成分が、本来沈着すべきではない場所に沈着してしまうことに対し、より大きな抵抗力を示し得るため、研磨剤系が洗浄のみならず、歯の表面の研磨を提供することが望ましいということもある。表面粗さ、すなわち表面が研磨されていることが、歯の見た目に不可欠に関連する光の反射及び散乱に影響を及ぼすため、歯に対して研磨されているという特性を付与することにより、歯の外観は、改善され得る。表面粗さはまた、歯の感触にも影響を及ぼす。例えば、研磨された歯は、清潔で、滑らかで、ツルツルした感触を有する。
多くの歯磨剤組成物は、研磨剤として、(他の物質の中でも)沈殿シリカを用いる。沈殿シリカは、Wasonの米国特許第4,340,583号(1982年7月20日付)、McKeownらの欧州特許第535,943A1号(1993年4月7日付)、McKeownらのPCT国際出願公開第92/02454号(1992年2月20日付)、ともにRiceの米国特許第5,603,920号(1997年2月18日付)及び米国特許第5,716,601号(1998年2月10日付)、並びにWhiteらの米国特許第6,740,311号(2004年5月25日付)に言及され、記載されている。
口腔用組成物中の沈殿シリカは一般に、安全で効果的な歯の洗浄を提供する一方で、例えば、金属のイオン、過酸化物、フッ化物、及び陽イオン性の抗菌物質のような、製剤中の他の望ましい活性物質との適合性の問題を提起し、且つそれらと望ましくない相互作用を及ぼし合う場合がある。これらの望ましくない相互作用の存在は、製剤内の活性物質の量の減少、及び/又は製品の有効性の減少という結果につながり得る。これらの適合性の問題は、表面積、ヒドロキシル基の数、及び気孔率などの、沈殿シリカの表面特性に直接関連することが既に明らかになっている。口腔組成物中に使用される沈降シリカの表面特性に関連した他の潜在的問題は、調合物中の風味成分との相互作用である。この相互作用は、製品が貯蔵されている間に異臭が生成するということにつながり、その製品を消費者が許容できないものにする場合がある。
それゆえに、まずは何よりも、効果的且つ安全に、歯を洗浄し研磨することを提供し、更に、例えば、口腔用組成物内、特に口腔ケア組成物内の、重要な歯磨剤構成成分のような口腔ケア活性物質と良好な適合性を有する研磨剤系に対する需要が存在する。加えて、より優れた洗浄及び研磨性能を、より少ないコストで実現し得る研磨剤への需要も、引き続き存在している。
市販のポリオルガノシルセスキオキサン粒子、より具体的にはポリメチルシスセスキオキサンシリコーン樹脂粒子は、撥水性及び潤滑性を提供し、かつ滑らかで、絹のようにすべすべとした触感及び/又は見た目を肌に与えるために、化粧品用に一般に広く使われている。Momentive社により、「TOSPEARL」という商標名で販売されている物質は、そのようなシリコーン樹脂の例であるが、T−樹脂又はメチルシスセスキオキサンとしても知られている。TOSPEARL 120A、130A、145A、150KA、及び2000B樹脂は、それぞれ2.0ミクロン、3.0ミクロン、4.5ミクロン、5.0ミクロン、及び6.0ミクロンの中央粒径を有して入手可能な、市販の球状シリコーン樹脂である。
米国特許第4,340,583号 欧州特許第535,943A1号 PCT国際出願公開第92/02454号 米国特許第5,603,920号 米国特許第5,716,601号 米国特許第6,740,311号
本発明は、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子研磨剤、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子研磨剤と、フッ化物イオン源と、キャリアとを含む口腔ケア組成物に関する。本発明は更に、これらの組成物を用いて歯のエナメル質を洗浄し、研磨するための方法に関する。
驚くべきことに、撥水性及び潤滑性を提供し、滑らかで、絹のような感触及び/又は見た目を肌に与えるために広く化粧品類に用いられているポリオルガノシルセスキオキサン粒子、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子が、口腔用組成物に用いられた場合に、研磨性洗浄特性を歯に提供することができるということが判明した。更に、そのような粒子は、驚くべきことにかつ重要なことに、ある口腔ケア活性物質とともに用いると、沈殿シリカのような他の広く使われている口腔ケア研磨剤を用いたケースで見られるものに対して改善された安定性を提供する。
それゆえ本発明は、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を、口腔用組成物、特に歯磨剤組成物に用いる。現在消費者が入手可能な歯磨剤組成物は、しばしば、シリカを増粘剤及び研磨剤として用いており、典型的に用いられるシリカは、沈殿シリカである。理論に縛られずに言えば、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、特にポリメチル−シルセスキオキサン粒子は、不活性の表面を有し、沈殿シリカよりも反応性が低いと考えられる。その結果、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、風味剤、活性物質、又は陽イオンなどの、他の構成成分をより吸着しにくいため、それらの他の構成成分の利用可能性を高めることになる。例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を組み込んだ歯磨剤は、スズイオン及び過酸化水素を有する組成物において、優れた安定性を示した。理論に縛られずに言えば、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、フッ化物、亜鉛、他の陽イオン性の抗菌物質、及び、典型的には沈殿シリカと反応して害をもたらすような類似の物質とともに用いても、安定性を改善することが期待される。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサン粒子、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子は、これらの利点の1つ以上を提供し得る。したがって、本発明は、より良好な活性物質安定性を提供し得る口腔用組成物、及びそのような口腔用組成物を使用する方法に関する。本発明の組成物及び方法は、より良い風味の美しさを提供し得る。また本発明の組成物及び方法は、研磨性を増大させることなく、改善された歯の洗浄性を提供することができる。
それゆえ本発明は、口腔用組成物の少なくとも0.01重量%の、1つ以上のポリオルガノシルセスキオキサン粒子と、口腔使用が可能なキャリアとを含有する口腔用組成物であって、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は組成物内に実質的に不溶性である、口腔用組成物に関する。
本発明は、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子が、ポリメチルシスセスキオキサン粒子、好ましくは約1ミクロン〜約20ミクロンの体積重量平均粒径を有するポリメチルシスセスキオキサン粒子から選択される、上記の組成物に更に関する。本発明は更に、このような組成物であって、オルガノシロキサン粒子を組成物内に可溶化することができる、揮発性のキャリアを実質的に含まず、かつ/又はポリシロキサンを実質的に含まず、かつ/又はカルボマーを実質的に含まない組成物に関する。
本発明は更に、上のような組成物であって、組成物の少なくとも0.01重量%の口腔ケア活性物質を含み、その口腔ケア活性物質は、抗菌剤、抗歯垢剤、抗齲蝕剤、抗過敏症剤、抗侵食剤、酸化剤、抗炎症剤、抗歯石剤、キレート化剤、歯質強化剤、抗酸化剤、鎮痛剤、麻酔剤、H−1及びH−2拮抗剤、抗ウィルス性活性物質、栄養素、及びそれらの混合物から選択され得るか、又は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸、精油、モノアルキルホスフェート、過酸化水素、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキジン、トリクロサン、及びそれらを組み合わせたものから選択され得る組成物に関する。
本発明は更に、上の組成物であって、ポリメチルシスセスキオキサン粒子が、球状の滑らかな表面の粒子である組成物に関する。本発明は更に、上の組成物であって、研磨剤が、組成物中の全研磨剤の約50重量%〜約100重量%のポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含む組成物に関する。
本発明は更に、上に挙げた組成物の1種類以上を対象者の口腔に投与することにより、歯垢、歯肉炎、敏感性、口腔の悪臭、侵食、空洞、歯石、炎症、及び着色汚れを低減する方法に関する。
ポリオルガノシルセスキオキサンの一般的構造である。 PCR値のグラフである。
本明細書は、本発明を具体的に指摘しかつ明確に主張する「特許請求の範囲」を結論とするが、以下の説明により、本発明がよりよく理解されるであろうと考えられる。
用語の定義
本明細書で使用するとき、「口腔使用が可能なキャリア」という用語は、本発明の組成物の形成及び/又は本発明の組成物の、口腔への安全かつ効果的な方法での適用のために使用可能な、好適な賦形剤又は成分を意味する。
本明細書で使用するとき、「含む」という用語は、特に具体的に言及したもの以外の工程、及び成分を付加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」を網羅する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるいかなる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項をも含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
本明細書で使用するとき、「有効量」という用語は、当業者の妥当な判断の範囲内にある、化合物又は組成物の明白な利益、つまり口腔の健康の利益、を誘導するのに十分な量であり、かつ/又は重篤な副作用を回避するのに十分低い量である量、すなわち合理的な利益対リスク比を提供する量を意味する。1つの実施形態においては、「有効量」は、組成物の重量の少なくとも0.01%、又は少なくとも0.1%に相当するその物質を意味する。
本明細書で使用するとき、「口腔用組成物」という用語は、通常の使用過程において、口腔の活性を目的として、一部若しくは全ての、歯表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間にわたって、口腔内に保持される製品を意味する。1つの実施形態においては、組成物は「口腔ケア組成物」であるが、それは、その組成物が口腔内で使用された際に、利益をもたらすことを意味する。本発明の口腔用組成物は、練り歯磨き、歯磨剤、歯磨きゲル、歯磨き粉、タブレット、洗口剤、歯肉縁下用ゲル、フォーム、ムース、チューインガム、リップスティック、スポンジ、フロス、歯面研磨ペースト、ペトロラタムゲル、又は義歯製品を含む、さまざまな形態とすることができる。1つの実施形態においては、口腔用組成物は、ペーストの形状又はゲルの形状である。別の実施形態においては、口腔用組成物は、歯磨剤の形状である。口腔用組成物は、口腔表面への直接的に適用するため、又は付着させるためのストリップ上又はフィルム上に組み込まれてもよく、あるいはフロス内に組み込まれてもよい。
本明細書で使用するとき、「歯磨剤」という用語は、特に他に断らない限り、口腔の表面を洗浄するために使用する、ペースト、ゲル、粉末、タブレット、又は液体の製剤を意味する。本明細書で使用するとき、「歯」という用語は、天然歯、及び人工歯又は歯科補綴物を指す。
本明細書で使用するとき、「ポリマー」という用語は、1種類のモノマーの重合によって作られるか、又は2種類以上のモノマーによって作られる物質(すなわち、コポリマー)が含まれるものとする。本明細書で使用するとき、「水溶性」という用語は、本組成物において、物質が水に可溶であることを意味する。一般的には、物質は、25℃で、水溶媒の0.1重量%の濃度で、好ましくは1重量%の濃度で、より好ましくは5重量%の濃度で、より好ましくは15重量%の濃度で可溶性であるべきである。
本明細書で使用するとき、「相」という用語は、不均質な系の、機械的に分離した、均一な部分を意味する。
本明細書で使用するとき、「大半」という用語は、より大きな数若しくは大きな部分、又は全体の半分を超える数を意味する。本明細書で使用するとき、「中央」という用語は、分布の中央の値であり、その値の上及び下に、同数の値が存在することを意味する。
特に断らない限り、百分率、部、及び比はすべて、本発明の組成物の総重量に基づく。このような全ての重量は、記載した成分に関する限り、活性物質レベルに基づくものであり、そのため特に断らない限り、市販材料に包含される可能性のある溶媒若しくは副生成物を包含していない。「重量パーセント」という用語は、本明細書では「重量%」として表記される場合がある。本明細書で使用するとき、すべての分子量は、特に他に断らない限り、g/モルで表現される重量平均分子量である。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子
本明細書における口腔用組成物は、研磨、歯の洗浄に関する利益を提供するための、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子を有効量含有する。本明細書の口腔用組成物は、組成物の約0.1重量%〜約30重量%の粒子を含んでいてよい。別の実施形態においては、組成物は、当該組成物の約0.5重量%〜約20重量%、あるいは約1重量%〜約10重量%の粒子を含む。組成物は、当該組成物の約0.1重量%〜約50重量%、あるいは約1重量%〜約40重量%、あるいは約2重量%〜約35重量%、あるいは約4重量%〜約30重量%、あるいは約5重量%〜約25重量%の、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子を含んでいてよい。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、その一般式が、RSiX(式中、Rは、通常はMe又はPhである非反応性置換基であり、Xは、官能基H、OH、Cl、又はORである)である、分枝状、ケージ状のオリゴシロキサンにより形成されるシリコーン材料の1つのタイプである。これらの基は、更に凝縮されて、高度に架橋された、不溶性のポリシロキサンネットワークを得るようにしてもよい。図1は、一般的構造を提供している。Rがメチルである場合には、4つの可能な、官能性シロキサンモノマー単位は、以下のように説明される:「M」は、MeSiOであり、「D」は、MeSiOであり、「T」はMeSiOであり、「Q」は、SiOである。T−群のみのネットワークが、ポリメチルシスセスキオキサンになる。これらの物質は一般に、歯磨剤のような典型的な口腔ケア組成物に不溶性のものである。
市販のポリメチルシスセスキオキサン粒子は、撥水性及び潤滑性を提供し、かつ滑らかで、絹のようにすべすべとした触感及び/又は見た目を肌に与えるために、化粧品用に、一般に広く使われている。Momentive社により、「TOSPEARL」という商標名で販売されている物質は、そのようなポリメチルシスセスキオキサンシリコーン樹脂の例であるが、T−樹脂又はメチルシスセスキオキサンとしても知られている。TOSPEARL 120A、130A、CF600、145A、150KA、及び2000B樹脂は、それぞれ2.0ミクロン、3.0ミクロン、4.5ミクロン、4.5ミクロン、5.0ミクロン、及び6.0ミクロンの平均中央粒径を有して入手可能な、市販の球状シリコーン樹脂である。TOSPEARL 3120は、13.0ミクロンの平均中央粒径を有して入手可能である。
TOSPEARL 145Aミクロスフェアは、より狭い粒径分布を有し、かつ、特に本明細書で用いるのに好ましい。TOSPEARL 2000Bは、(平均して)TOSPEARL 145Aミクロスフェアとほぼ同じくらいに小さい粒子を有し、かつわずかにより広い粒径分布を有する。TOSPEARL 3000Aミクロスフェアは、TOSPEARL 2000Bとほぼ同じくらいに大きい平均粒径を有し、わずかにより広い粒径分布を有する。TOSPEARL 145A、2000B、及び3000Aはすべて、本明細書において有用なポリメチルシスセスキオキサン粒子を代表している。表1は、Momentive社より市販されているTOSPEARL材料の公表されている特性を示している。
Figure 2016516778
所与の組成物内の粒子の粒径分布は、粒径の関数としての累積体積パーセントとしてプロットされる。累積体積パーセントは、所与の値以下の粒径を有する分布の、体積によるパーセントであり、ここでいう粒径とは、等しい量の球形粒子の直径である。分布中の中間粒径とは、その分布に対して50%の地点でのシリカ粒子の、ミクロン単位で表した粒径である。1つの粒径分布に対して、粒径分布と体積中間直径とが、Malvern社より市販されているもののようなレーザー光散乱式PSDシステムを用いて計算され、かつ/又は、米国特許出願公開第2007/0001037A1号(2007年1月4日付公開)に開示されている方法を用いて決定され得る。
粒径をプロットする際に、D[4,3]は、体積中間直径であり、d(0.1)又はD10は、その下にサンプルのうちの10%が存在する、粒子サンプルの粒径(ミクロン)である。d(0.5)又はD50は、粒子サンプルの50%がそれより小さく、かつ50%がそれより大きくなるような粒径(ミクロン)であり、「質量中央直径」又は「MMD」とも呼ぶ。d(0.9)又はD90は、その下に、粒子サンプルの90%が存在する、粒子サンプルの粒径(ミクロン)である。所与の組成物の粒径分布の幅は、スパン比を用いて特徴づけることができる。本明細書で使われるとき、スパン比とは、10番目の体積百分位数から90番目の百分位数における累積体積を減算した差を、50番目の体積百分位数での粒子の直径で除算して得られる(すなわち、D10−D90)/D50、粒子の累積直径として定義される。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子の、体積重量平均粒径は、約1ミクロン〜約20ミクロン、約1ミクロン〜約15ミクロン、約2ミクロン〜約15ミクロン、約2ミクロン〜約12ミクロン、約3ミクロン〜約12ミクロン、約2ミクロン〜約10ミクロン、約3ミクロン〜約7ミクロン、約3ミクロン〜約6ミクロン、又は約4ミクロン〜約6ミクロンの範囲であり得る。1つの実施形態においては、ポリオルガノシルセスキオキサン、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子の、体積重量平均粒径は、約3ミクロン〜約8ミクロン、又は約4ミクロン〜約7ミクロンであり、かつd(0.1)は、約2ミクロン〜約4ミクロン、又は約2ミクロン〜約3ミクロンであり、d(0.9)は、約4ミクロン〜約9ミクロン、又は約5ミクロン〜約8ミクロンである。
比表面積は、約15m/g〜約40m/g、約15m/g〜約35m/g、約10m/g〜約30m/g、又は約15m/g〜約25m/gであり得る。亜麻仁油吸収率は、約50ml/100g〜約80ml/100g、約55ml/100g〜約80ml/100g、又は約55ml/100g〜約65ml/100gであり得る。
歯磨剤組成物中に製剤化されたポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、又は90%の、陽イオン又は他の構成成分との適合性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、陽イオンはスズであり得る。
PCR/RDA比ペリクル洗浄率(PCR)とは、歯磨剤の洗浄特性の尺度であるが、本発明のポリオルガノシルセスキオキサン粒子のペリクル洗浄率は、約40〜約200、及び好ましくは約60〜約200の範囲である。本発明の組成物は、少なくとも70のPCR値、約80より大きいPCR値、又は約90より大きいPCR値を示し得る。
放射性象牙質研磨(RDA)値とは、歯磨剤に組み込まれた場合のポリオルガノシルセスキオキサン粒子の研磨性の尺度であるが、本発明のシリカの放射性象牙質研磨値は、約250より小さく、約40〜約230の範囲であり得る。本発明の組成物は、200より小さいRDA値、大きくても100のRDA値、又は大きくても80のRDA値を示し得る。
PCR値は、G.K.Stookeyらによる、J.Dental Res.誌、第61巻、1236頁〜1239頁、(1982年)の記事、「In Vitro Removal of Stain with Dentifrice」に論じられている方法によって決定される。RDA値は、Hefferrenにより、J.Dental Res.誌の1976年7月〜8月号の563頁〜573頁に提示され、Wasonによる、米国特許第4,340,583号、同第4,420,312号、及び同第4,421,527号に記載の方法にしたがって決定される。RDA値は、歯磨剤の研磨性の決定のために、ADAが推奨する手順によっても決定され得る。
歯磨剤に組み込んだ場合のポリオルガノシルセスキオキサン粒子のPCR/RDA比は、1より大きくなり得るが、それは、その歯磨剤が、研磨性が大きすぎることのない、それでいて効果的なペリクル洗浄を提供しているということを示している。PCR/RDA比はまた、少なくとも約0.5でもあり得る。PCR/RDA比は、粒径、形状、材質、硬度、及び濃度の関数である。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の粒子形状は、一般には球状として分類されるが、製造プロセスのタイプによって、その表面は滑らかなもの、尖った箇所を有するもの、又は複数の形状の組み合わせであり得る。「球状」には、粒子の全体的な形状が、ほぼ丸い形であるか、又は長円形状である粒子を含むが、その表面が、コアの丸い又は長円形状部分から延びるこぶ又は「尖頭」を有する粒子も含み得る。例えば、TOSPEARL 145Aは、球状の、滑らかな形状を有し、平均粒径が5.0であるが、TOSPEARL 150KAは、球状の、「尖った箇所を有する」形状を有し、平均粒径が5.0である。なお両材料は、Momentive Performance Materials社(米国ニューヨーク)より市販されている。
驚くべきことに、下記の実施例1及び図2に示されるように、球状の滑らかな表面のポリメチルシスセスキオキサン粒子は、同じような平均粒径の「尖った箇所のある」球形粒子よりも、良いペリクル洗浄率「PCR」を示す。1つの実施形態においては、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、球状の、滑らかな表面の粒子、及びその混合物から選択される。
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、好ましくはポリメチルシスセスキオキサン粒子は、本明細書の口腔ケア組成物中に、実質的に不溶性である。1つの実施形態においては、組成物は、オルガノシロキサン粒子を組成物内に可溶化することができる、揮発性のキャリアを実質的に含まない。1つの実施形態においては、組成物は、ポリシロキサンを実質的に含まない。1つの実施形態においては、組成物は、カルボマーを実質的に含まない。1つの実施形態においては、組成物は、皮膚軟化剤もワックスも実質的に含まない。
口腔ケア活性物質
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の利点の1つは、他の材料との適合性、特に、フッ化物イオンを含む活性物質などの、反応性があり、その有効性を失い得る材料との適合性である。驚くべきことに、沈殿シリカ及び他の従来の研磨剤と比較して、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、活性物質と反応しにくいため、より少ない活性物質を使用して、同様の有効性を得ることができる。活性物質が、不快な、若しくは強い風味、渋味、着色性、又は他の審美的欠点などの、何らかの潜在的な審美的欠点を有する場合、より少量の活性物質が好まれ得る。加えて、同一又は同様の有効性を得るため、より少量の活性物質を使用すれば済むということは、コスト削減となる。あるいは、従来使用されているのと同じ量の活性物質を用いる場合でも、利益を提供するために、より多くの活性物質が利用可能となるため、その活性物質は、より高い有効性を発揮する。
フッ化物イオン
本明細書の口腔ケア活性物質は、フッ化物イオン源を含む。フッ化物イオンは、25℃における組成物中のフッ化物イオン濃度を、齲蝕予防に効果的なものとするのに十分な量で存在していてよく、かつ/又は、1つの実施形態においては、組成物の約0.0025重量%〜約5.0重量%、若しくは組成物の約0.005重量%〜約2.0重量%の濃度で使用することができる。好適なフッ化物イオン生成材料の例が、米国特許第3,535,421号、同第3,678,154号に開示されている。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、及びそれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態においては、口腔ケア組成物は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、及びそれらの混合物から選択されるフッ化物源を含む。
口腔組成物のpHは、約3〜約10であってよい。pHは、一般に、当該産業において既知の方法により、スラリーpHとして測定される。口腔用組成物中で使用される活性物質に応じて、異なるpHが望まれる場合がある。フッ化物を含有する製剤に関しては、典型的な歯磨剤よりもわずかに低いpHを有することが望まれる場合がある。ポリオルガノシルセスキオキサン粒子とフッ化物とを含有する組成物は、約6.5より小さいpH、又は約5.5より小さいpHを有し得る。そのpHは、約5.2又は約5.0よりも小さくてよい。約3.5〜約5、又は約2.4〜約4.8のpHを有することが望ましい場合がある。過酸化物とポリオルガノシルセスキオキサン粒子とを含有する製剤に関しては、そのpHは、5.5より小さい、5.0より小さい、又は4.5より小さいものであってよい。過酸化物とポリオルガノシルセスキオキサン粒子とを含有するある製剤では、約3.5〜約4.0であり得る。ポリオルガノシルセスキオキサン粒子と、スズと、フッ化物とを含有する製剤に関しては、5.0よりも小さいpHを有することが望ましい場合がある。理論に縛られずに言えば、5.0より小さいpHは、SnFスズ種がより多く形成されるのを可能とすることができる。
本明細書において有用な他の口腔ケア活性物質には、抗菌剤、抗歯垢剤、抗齲蝕剤、抗過敏症剤、抗侵食剤、酸化剤、抗炎症剤、抗歯石剤、キレート化剤、歯質強化剤、抗酸化剤、鎮痛剤、麻酔剤、H−1及びH−2拮抗剤、抗ウィルス性活性物質、栄養素、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの物質については、以下により完全に述べるが、1つの物質又は成分は、2種類以上のタイプの物質として分類され得る。例えば、抗酸化剤は、抗歯垢剤であり、かつ抗菌活性物質でもあり得る。好適な活性物質の例には、精油、モノアルキルホスフェート、過酸化水素、CPC、クロルヘキジン、トリクロサン、及びそれらを組み合わせたものが挙げられる。
1つの実施形態においては、追加的口腔ケア活性物質は、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン、アルギニン、及びそれらの混合物から選択される。複数の口腔ケア活性物質の混合物を使ってもよい。1つの実施形態においては、追加的口腔ケア活性物質は、亜鉛イオン源、カルシウムイオン源、リン酸イオン源、カリウムイオン源、ストロンチウムイオン源、アルミニウムイオン源、マグネシウムイオン源、又はそれらを組み合わせたもののうちの1種類又はそれより多くのものから選択される。1つの実施形態においては、口腔ケア活性物質は、スズイオン源と、フッ化物イオン源と、亜鉛イオン源との混合物である。
抗菌剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗菌剤を含んでいてよい。口腔ケア組成物は、その組成物の約0.001重量%〜約20重量%、又は約0.1重量%〜約5重量%の、1種類又はそれより多くの種類の抗菌剤を含有し得る。
本明細書において有用な抗菌剤としては、クロルヘキジン、アレキシジン、ヘキセチジン、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、ビスビグアニド、亜鉛イオン若しくはスズイオン剤、グレープフルーツ抽出物、及びそれらの混合物が挙げられる。他の抗菌物質及び抗微生物剤は:トリクロサンと一般に呼ばれる、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;8−ヒドロキシキノリン及び、8−ヒドロキシキノリン塩の、塩化銅(II)と、硫酸銅(II)と、酢酸銅(II)と、フッ化銅(II)と、水酸化銅(II)とを含む銅(II)化合物;フタル酸、及び米国特許第4,994,262号に開示されているものを含むその塩であり、マグネシウムモノカリウムフタレートを含むもの;サンギナリンと;サリチルアニリド;ヨウ素;スルホンアミド;フェノール;デルモピノール、オクタピノール、及び他のピペリジノ誘導体;ナイアシン製剤;ナイスタチン;リンゴ抽出物;タイム油;チモール;オウグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、塩化セチルピリジニウム、及びクリンダマイシンのような抗生物質;上記の物質の類似体及び塩;サリチル酸メチル;過酸化水素;次亜塩素酸金属塩;ココイルアルギニンエチルピロリドン;ラウロイルアルギニンエチルモノクロロハイドレート;並びに上記すべてのものの混合物を含む。別の実施形態では、組成物は、フェノール樹脂抗微生物剤化合物、及びそれらの混合物を含む。
他の抗微生物剤としては、精油が挙げられる。精油は、揮発性の芳香油であり、合成されてもよく、又は蒸留、圧搾、若しくは抽出による植物由来であってもよく、通常、それらが得られた植物の匂い又は風味を伝える。有用な精油は、殺菌活性を提供することができる。いくつかの精油は、風味剤としても作用する。有用な精油としては、シトラ、チモール、メントール、サリチル酸メチル(ウィンターグリーン油)、ユーカリプトール、カルバクロール、カンファー、アネトール、カルボン、オイゲノール、イソオイゲノール、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネル、a−サルピネオール、酢酸メチル、酢酸シトロネリル、メチルオイゲノール、シネロ−ル、リナロール、エチルリナラオール、サフロラバニリン、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、月桂樹油、ニオイヒバ油、ゲリアノール、ベルベノーン、アニス油、ベイ油、ベンズアルデヒド、ベルガモット油、苦扁桃、クロロチモール、桂皮アルデヒド、シトロネラ油、クローブ油、コールタール、ユーカリ油、グアヤコール、ヒノキチオールのようなトロポロン誘導体、ラベンダー油、カラシ油、フェノール、サリチル酸フェニル、パイン油、マツ葉油、サッサフラス油、スパイクラベンダー油、ストラックス、タイム油、トルーバルサム、テレビン油、クローブ油、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態においては、精油は、チモール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、メントール、及びそれらを組み合わせたものから選択される。
本発明の1つの実施形態においては、天然起源の風味成分のブレンド、又はそのような風味成分を含有する精油(EO)を含む口腔ケア組成物が提供され、このブレンドは、優れた抗微生物活性を呈し、少なくとも2つの構成成分、すなわち、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール、及びネロールのような非環式構造又は非環状構造から選択される第1の構成成分、並びにユーカリプトール、オイゲノール、及びカルバクロールのような環を含む構造又は環式構造から選択される第2の構成成分を含む。レモングラス、カンキツ類(オレンジ、レモン、ライム)、シトロネラ、ゼラニウム、ローズ、ユーカリノキ、オレガノ、ベイ、及びクローブの油を含む精油を使用して、上記の風味成分を提供することができる。本明細書での使用に好ましいのは、所望の構成成分を主として含有するように精製、若しくは濃縮されている、天然の油、又は天然の抽出物である。
他の抗菌剤は、塩基性アミノ酸及び塩であり得る。別の実施形態は、アルギニンを含み得る。
抗歯垢剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗歯垢剤を含んでいてよい。口腔ケア組成物は、その組成物の約0.001重量%〜約20重量%、又は約0.1重量%〜約5重量%の、1種類又はそれより多くの種類の抗歯垢剤を含有し得る。
本明細書において有用な抗歯垢剤は、スズ塩、銅塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩、GANTREZのようなカルボキシル化ポリマーのコポリマー、又はジメチコンコポリオールを含む。ジメチコンコポリオールは、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール、及びこれらの混合物から選択される。1つの実施形態においては、ジメチコンコポリオールは、ABIL EM90という商標名で市販の、セチルジメチコンコポリオールである。ジメチコンコポリオールは、1つの実施形態においては、口腔用組成物の約0.001重量%〜約25重量%の濃度で、別の実施形態では、口腔用組成物の約0.01重量%〜約5重量%の濃度で、及び別の実施形態では、口腔用組成物の約0.1重量%〜約1.5重量%の濃度で存在することができる。
抗齲蝕剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗齲蝕剤を含んでいてよい。1つの実施形態においては、抗齲蝕剤はフッ化物イオン源である。
抗過敏症剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗過敏症剤を含んでいてよい。口腔ケア組成物は、その組成物の約0.001重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約5重量%の抗過敏症剤を含有し得る。
本明細書において有用な抗過敏症剤は、細管ブロック剤及び/又は減感剤を含む。細管ブロック剤は、スズイオン源、ストロンチウムイオン源、カルシウムイオン源、リンイオン源、アルミニウムイオン源、マグネシウムイオン源、アミノ酸、バイオガラス、ナノ微粒子、ポリカルボキシレート、GANTREZ、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。アミノ酸は、塩基性アミノ酸とすることができ、塩基性アミノ酸は、アルギニンであってもよい。ナノ微粒子は、ナノヒドロキシアパタイト、二酸化ナノチタン、ナノ金属酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。減感剤は、フッ化カリウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカリウム塩とすることができる。いくつかの実施形態は、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含む口腔ケア組成物を、必要とする対象に対して投与することにより、歯の過敏症を減らす方法である。
抗侵食剤
口腔ケア活性物質は、有効量の、スズイオン源のような抗侵食剤を含み得る。既に述べたように、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の利点の1つは、他の材料、特に、スズイオンのような、反応性であり有効性を喪失し得る材料との適合性である。沈殿シリカ及び他の従来の研磨剤と比較して、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、スズと反応しにくいため、同じ有効性を得るのに、より少ないスズを使用するだけで済む。スズは、不快な若しくは強い風味、渋味、着色性、又はスズを含有する口腔用組成物を消費者にとって望ましくないものにする他の審美的欠点などの、潜在的な審美的欠点を有することが、報告されている。
スズイオンは、フッ化第1スズ及び/又は他のスズ塩から提供されてもよい。フッ化第1スズは、歯肉炎、歯垢、過敏症、及び侵食を低減するのに役立つこと、並びに息を改善する利益があることが既にわかっている。そのような効能をもたらす製剤は、典型的には、フッ化第一スズ及び/又は他のスズ塩により提供され、約50ppm〜約15,000ppmの、組成物全体中のスズイオンの範囲である、スズ濃度を含む。スズイオンは、約1,000ppm〜約10,000ppm、1つの実施形態では、約3,000ppm〜約7,500ppmの量で存在する。他のスズ塩としては、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、マロン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、第一スズエチレングリコシド、ギ酸第一スズ、硫酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズなどのような、有機スズカルボキシレートが挙げられる。他のスズイオン源としては、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、及び塩化第一スズ二水素化物などの、ハロゲン化第一スズが挙げられる。1つの実施形態においては、スズイオン源はフッ化第一スズであり、別の実施形態では、塩化第一スズ二水和物、若しくは塩化第一スズ三水和物、又はグルコン酸第一スズである。スズ塩を組み合わせて、口腔ケア組成物の約0.001重量%〜約11重量%の量で存在させ得る。スズ塩は、1つの実施形態においては、口腔ケア組成物の約0.01重量%〜約7重量%の量で、他の実施形態では約0.1重量%〜約5重量%の量で、及び他の実施形態では約1.5重量%〜約3重量%の量で存在してもよい。
ホワイトニング剤及び酸化剤
口腔ケア活性物質は、有効量のホワイトニング剤又は酸化剤を含んでいてよい。本明細書において有用なホワイトニング剤は、アルカリ金属過酸化物及びアルカリ土類金属過酸化物、亜塩素酸金属塩、単水和物及び四水和物を含む過ホウ酸塩、ペルホスフェート、過炭酸塩、過酸化物、並びに過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸リチウムなどの過硫酸塩、及びそれらを組み合わせたものを含む。好適な過酸化物化合物としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、過酸化ストロンチウム、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態においては、過酸化物化合物は過酸化カルバミドである。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。追加的なホワイトニング活性物質は、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素であってもよい。1つの実施形態においては、亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。別の実施形態においては、過炭酸塩は過炭酸ナトリウムである。1つの実施形態においては、過硫酸塩はオキソンである。これらの物質の濃度は、着色汚れを漂白するために分子が提供できる、利用可能な酸素又は塩素のそれぞれに応じて決定される。1つの実施形態においては、ホワイトニング剤は、口腔ケア組成物の約0.01重量%〜約40重量%の濃度で、別の実施形態では約0.1重量%〜約20重量%の濃度で、別の実施形態では約0.5重量%〜約10重量%の濃度で、及び別の実施形態では約4重量%〜約7重量%の濃度で存在することができる。
口腔ケア活性物質は、有効量の、過酸化物源のような酸化剤を含んでいてよい。過酸化物源は、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、過酸化物源は過酸化水素である。他の過酸化物活性物質としては、過炭酸塩、例えば過炭酸ナトリウムのような、水と混合すると過酸化水素を生成するものを挙げることができる。ある実施形態では、過酸化物源はスズイオン源と同じ相で存在し得る。いくつかの実施形態では、口腔用組成物は、この組成物の約0.01重量%〜約20重量%の過酸化物源を含み、他の実施形態では、約0.1重量%〜約5重量%、特定の実施形態では、約0.2重量%〜約3重量%、及び別の実施形態では、約0.3重量%〜約2.0重量%の過酸化物源を含む。過酸化物源は、遊離イオン、塩、錯体、又はカプセル状として提供することができる。
抗炎症剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗炎症剤を含んでいてよい。そのような薬剤としては、オキシカム系非ステロイド性抗炎症(NSAID)剤、サリチル酸塩、プロピオン酸、酢酸、及びフェナム酸が挙げられる。NSAIDとしては、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ピロキシカム、ナブメトン、アスピリン、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、及びアセトアミノフェンが挙げられる。好適なステロイド性抗炎症剤としては、フルオシノロン及びヒドロコルチゾンのような、副腎皮質ホルモンが挙げられる。
抗歯石剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗歯石剤を含んでいてよいが、1つの実施形態においては、その抗歯石剤は、口腔ケア組成物の約0.05重量%〜約50重量%で存在してもよく、別の実施形態では約0.05重量%〜約25重量%、又は約0.1重量%〜約15重量%である。抗結石剤は、ポリリン酸(ピロホスフェートを含む)及びその塩と、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩と、ポリオレフィンスルホネート及びその塩と、ポリビニルホスフェート及びその塩と、ポリオレフィンホスフェート及びその塩と、ジホスホネート及びその塩と、ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩と、ポリホスホネート及びその塩と、ポリビニルホスホネート及びその塩と、ポリオレフィンホスホネート及びその塩と、ポリペプチドと、並びにこれらの混合物と、ポリカルボキシレート及びその塩と、カルボキシ置換ポリマーと、これらの混合物とからなる群から選択することができる。1つの実施形態においては、本明細書で使用する高分子ポリカルボキシレートとしては、米国特許第5032386号に開示されるものが挙げられる。これらの市販のポリマーの例は、International Speciality Products(ISP)社より入手可能な、GANTREZである。1つの実施形態においては、塩は、アルカリ金属塩、又はアンモニウム塩である。本明細書においては、ポリリン酸塩は歯質強化剤としてより完全に論じる。無機ポリリン酸塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリリン酸、テトラポリリン酸、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明に有用なピロリン酸塩としては、アルカリ金属ピロホスフェート、ジ−、トリ−及びモノ−ピロリン酸カリウム又はピロリン酸ナトリウム、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラアルカリ金属ピロリン酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態においては、ピロリン酸塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ピロリン酸四カリウム(K)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ポリオレフィンスルホネートとしては、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するもの、及びその塩が挙げられる。ポリオレフィンホスホネートとしては、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリビニルホスホネートとしては、ポリビニルホスホン酸が挙げられる。ジホスホネート及びその塩としては、アゾシクロアルカン−2、2−ジホスホン酸及びその塩、アゾシクロアルカン−2、2−ジホスホン酸及びその塩のイオン、アザシクロヘキサン−2、2−ジホスホン酸、アザシクロペンタン−2、2−ジホスホン酸、N−メチル−アザシクロペンタン−2、3−ジホスホン酸、EHDP(エタン−1−ヒドロキシ−1、1、−ジホスホン酸)、AHP(アザシクロヘプタン−2、2−ジホスホン酸)、エタン−1−アミノ−1、1−ジホスホネート、ジクロロメタンジホスホネートなどが挙げられる。ホスホノアルカンカルボン酸、又はそのアルカリ金属塩としては、それぞれが酸、又はアルカリ金属塩である、PPTA(ホスホノプロパントリカルボン酸)、PBTA(ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸)が挙げられる。ポリオレフィンホスフェートとしては、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリペプチドとしては、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸が挙げられる。
キレート化剤
口腔ケア活性物質は、有効量の、金属イオン封鎖剤とも呼ばれるキレート化剤を含んでいてよく、多くのキレート化剤は、抗歯石活性又は歯質強化活性をも有する。口腔ケア製品においてキレート剤を使用することは、細菌の細胞壁に見られるようなカルシウムを錯体化し、歯垢を破壊し、金属イオンにより錯体を形成する能力により有利である。鉄又は銅などのイオンのキレート化は、最終製品の酸化による変質を遅延させるのに役立つ。
1つの実施形態においては、キレート化剤は、ポリリン酸塩、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、高分子量ポリエーテル、高分子量アルキルホスフェート、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、ポリホスホネート、アルギン酸ナトリウム、カルボニルジホスホネート、アクリル酸ポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのカルボン酸塩とのコポリマー、及びそれらの混合物から選択される。
組成物中のキレート化剤の量は、使用するキレート化剤に応じて決定され、典型的には、少なくとも約0.1%〜約20%、好ましくは約0.5%〜約10%、及びより好ましくは約1.0%〜約7%となる。
好適なキレート化剤は、フィチン酸塩のような可溶性のリン酸化合物、2つ又はそれより多くのリン酸塩基を有する直鎖状ポリリン酸、及び他のポリリン酸化化合物を含み、これらすべては歯質強化剤として、後でより完全に論じる。
キレート化剤として本明細書において有用な更に他のリン酸化合物は、歯質強化剤として有用なものとして後述される、有機リン酸モノ−、ジ−、又はトリエステルを含む、界面活性有機リン酸化合物である。
本明細書において有用なキレート化剤は、その遊離酸、又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えば、カリウム、及び好ましくはナトリウム)、又はアンモニウム塩の形態の、陰イオン性高分子量ポリカルボキシレートを含む。例としては、無水マレイン酸又はマレイン酸と、他の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーを含む。これらのコポリマーは、例えば、GAF Chemicals社のGANTREZ(登録商標)AN 139(M.W.は500,000)、AN 119(M.W.は250,000)、及びS−97医薬品グレード(M.W.は70,000)として入手可能である。
他の有効な高分子量ポリカルボキシレートは、無水マレイン酸の、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、又はエチレンとの1:1コポリマー(後者は例えば、Monsanto社のEMA−1103(分子量10,000)及びEMAグレード61として入手可能)、及びアクリル酸の、メチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、メチル若しくはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテル、又はN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマーを含む。
更なる有効な高分子ポリカルボキシレートとしては、米国特許第4,138,477号(1979年2月6日付、Gaffar)、及び同第4,183,914号(1980年1月15日、Gaffarら)に開示されており、無水マレイン酸と、スチレン、イソブチレン、又はエチルビニルエーテルとのコポリマー、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、及びポリマレイン酸、並びにUniroyal ND−2として入手可能な、分子量が1,000程度に低いスルホアクリルオリゴマーが挙げられる。
他の好適なキレート剤としては、米国特許第5,015,467号(Smitherman)、同第5,849,271号、及び同第5,622,689号(双方ともLukacovic)に記載の、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、二コハク酸、並びにグルコン酸ナトリウム若しくはグルコン酸カリウム、及びクエン酸ナトリウム若しくはクエン酸カリウムのようなそれらの塩、クエン酸/アルカリ金属クエン酸塩の組み合わせ、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸モノスクシネートナトリウムの酸若しくは塩形態、酒石酸ジスクシネートカリウム、及びこれらの混合物のような、ポリカルボン酸並びにその塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、キレート化剤の混合物又は組み合わせが存在してもよい。
歯質強化剤
口腔ケア活性物質は、有効量の歯質強化剤を含んでいてよい。本出願の目的のために、歯質強化剤もまた、キレート剤として同様に含まれる。好適な薬剤は、高分子電解質、より具体的には陰イオン性ポリマーを含めた、高分子界面活性剤(PMSA)とすることができる。
理論に縛られずに言えば、PMSAは、その反応性又は持続性によって、無機質、すなわち歯表面に着色汚れ防止の利益を提供し、結果として、望ましくない吸着をしたペリクルタンパク質の一部を、具体的には、歯を着色する色素体の結合、歯石の発達、及び望ましくない微生物種の誘引と関連する部分を、脱着させると考えられる。これらのPMSAの歯上での定着はまた、歯表面上の色素体の結合部位を破壊することによって、着色汚れの発生を防止することもできる。
PMSAとしては、歯表面に対して強い親和性を有し、ポリマー層又は被膜を歯表面に沈着させ、所望の表面改質効果を生みだす任意の薬剤が挙げられる。そのようなポリマーの好適な例は、縮合リン酸化ポリマー;ポリホスホネート;ホスフェート若しくはホスホネート含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー及びアミノ酸のような他のモノマーとのコポリマー、又はタンパク質、ポリペプチド、多糖、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)及びポリ(ビニルベンジルクロライド)のような他のポリマーとのコポリマー;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;及びこれらの混合物のような高分子電解質である。好適な高分子無機質界面活性剤としては、米国特許第5,292,501号、同第5,213,789号、同第5,093,170号、同第5,009,882号、及び同第4,939,284号(すべてDegenhardtら)に記載されているカルボキシ置換アルコールポリマー、米国特許第5,011,913号(Benedictら)のジホスホネート誘導体化されたポリマー;例えば、米国特許第4,627,977号(Gaffarら)に記載されているようなポリアクリレートを含む合成陰イオン性ポリマー、及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、GANTREZ(登録商標))が挙げられる。好ましいポリマーは、ジホスホネート修飾ポリアクリル酸である。末端鎖又は側鎖に、ホスフェート官能基又はホスホネート官能基を有するポリマーが好ましいが、無機質結合活性を有する他のポリマーも、吸着親和性に応じて、有効性を示す場合がある。
ホスホネート含有高分子無機質界面活性剤の更なる好適な例としては、米国特許第4,877,603号(Degenhardtら)に抗歯石剤として開示のジェム状ジホスホネートポリマー、米国特許第4,749,758号(Durschら)、及び英国特許第1,290,724号(双方ともHoechstに譲渡)に開示の、洗剤及び洗浄組成物中での使用に好適な、ホスホネート基含有コポリマー、並びにスケール抑制、腐食抑制、被覆、セメント、及びイオン交換樹脂を含めた適用に有用として、米国特許第5,980,776号(Zakikhaniら)、及び同第6,071,434号(Davisら)に開示される、コポリマー及びコテロマーが挙げられる。更なるポリマーとしては、英国特許第1,290,724号に開示の、ビニルホスホン酸とアクリル酸との水溶性コポリマー、及びその塩が挙げられ、このコポリマーは、約10重量%〜約90重量%のビニルホスホン酸、及び約90重量%〜約10重量%のアクリル酸を含有し、より具体的には、このコポリマーは、ビニルホスホン酸70%:アクリル酸30%、ビニルホスホン酸50%:アクリル酸50%、ビニルホスホン酸30%:アクリル酸70%の、ビニルホスホン酸とアクリル酸との重量比を有する。他の好適なポリマーとしては、Zakikhani及びDavisによって開示され、1つ以上の不飽和C=C結合(例えば、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸、及び2−(ヒドロキシホスフィニル)エチリデン−1,1−ジホスホン酸)を有する、ジホスホネート又はポリホスホネートモノマーを、不飽和C=C結合を有する少なくとも1つの更なる化合物(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー)と共重合することにより調製される、水溶性ポリマーが挙げられる。好適なポリマーとしては、Rhodiaより、表記ITC 1087(平均分子量3000〜60,000)及びポリマー1154(平均分子量6000〜55,000)として供給されているジホスホネート/アクリレートポリマーが挙げられる。
1つの好ましいPMSAは、ポリリン酸塩である。ピロリン酸塩(n=2)は理論的にはポリリン酸塩であるが、所望のポリリン酸塩は、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のリン酸塩官能基を生成し、これが陰イオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、およそ3以上のホスフェート基を有するものである。所望の無機ポリリン酸塩類としては、特に、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、及びヘキサメタリン酸塩が挙げられる。テトラポリリン酸塩よりも大きいポリリン酸塩類は、通常は非晶質のガラス状物質として生じる。本発明の組成物で好ましいのは、以下の式を有する直鎖ポリリン酸である。
XO(XPO
式中、Xはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであり、nの平均は約3〜約125である。好ましいポリリン酸塩は、Sodaphos(n≒6)、Hexaphos(n≒13)、及びGlass H(n≒21)として商業的に既知のもの、並びにFMC社及びAstaris社による製造のもののように、平均約6〜約21のnを有する。これらのポリリン酸塩は、単独で、又は組み合わせて使用することができる。ポリリン酸塩は、酸性pH、具体的にはpH 5未満で、高含水製剤中での加水分解の影響を受けやすい。したがって、より長鎖のポリリン酸塩、具体的には、平均鎖長が約21のGlass Hを使用することが好ましい。そのような、より長鎖のポリリン酸塩は、加水分解する際に、より短鎖のポリリン酸塩を生成し、それらは歯上に沈着して、着色汚れ防止効果を提供するのに依然として有効であると考えられている。
非高分子リン酸化合物、具体的には、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸)、及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、若しくはアンモニウム塩のような、ポリリン酸化イノシトール化合物もまた、歯質強化剤として有用である。本明細書では、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(二水素リン酸)又はイノシトール六リン酸としても既知である、フィチン酸、及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、若しくはアンモニウム塩が好ましい。本明細書では、「フィチン酸塩」という用語は、フィチン酸及びその塩、並びに他のポリリン酸化イノシトール化合物を包含する。
歯質強化剤として有用な、他の界面活性リン酸化合物としては、同一出願人による米国特許出願公開第20080247973(A1)号に記載されるような、リン酸モノ−、ジ−又はトリエステルなどの有機リン酸が挙げられる。例としては、ドデシルホスフェート、ラウリルホスフェート、ラウレス−1ホスフェート、ラウレス−3ホスフェート、ラウレス−9ホスフェート、ジラウレス−10ホスフェート、トリラウレス−4ホスフェート、C12〜18 PEG−9ホスフェートなどの、モノ−、ジ−及びトリ−アルキルホスフェート並びにアルキル(ポリ)アルコキシホスフェート、並びにその塩が挙げられる。多くは、Croda社、Rhodia社、Nikkol Chemical社、Sunjin社、Alzo社、Huntsman Chemical社、Clariant社、及びCognis社などの供給元より市販されている。いくつかの好ましい薬剤は、例えば、高分子部分としての反復アルコキシ基、特に3つ以上のエトキシ、プロポキシイソプロポキシ、又はブトキシ基を含有する高分子のものである。
更なる好適な高分子有機リン酸剤としては、デキストランホスフェート、ポリグルコシドホスフェート、アルキルポリグルコシドホスフェート、ポリグリセリルホスフェート、アルキルポリグリセリルホスフェート、ポリエーテルホスフェート、及びアルコキシル化ポリオールホスフェートが挙げられる。いくつかの特定の例は、PEGホスフェート、PPGホスフェート、アルキルPPGホスフェート、PEG/PPGホスフェート、アルキルPEG/PPGホスフェート、PEG/PPG/PEGホスフェート、ジプロピレングリコールホスフェート、PEGグリセリルホスフェート、PBG(ポリブチレングリコール)ホスフェート、PEGシクロデキストリンホスフェート、PEGソルビタンホスフェート、PEGアルキルソルビタンホスフェート、及びPEGメチルグルコシドホスフェートである。
更なる好適な非高分子リン酸としては、アルキルモノグリセリドホスフェート、アルキルソルビタンホスフェート、アルキルメチルグルコシドホスフェート、アルキルスクロースホスフェートが挙げられる。
他の有用な歯質強化剤には、ともにProcter & Gamble社による米国特許第7,025,950号及び同第7,166,235号に開示されているような、カルボン酸基によって官能化されたシロキサンポリマーが含まれる。ビニルピロリドン(VP)モノマーの1つ又は混合物と、アルケニルカルボキシレート(AC)モノマーの1つ又は混合物、具体的には、ともに譲渡された米国特許第6,682,722号に記載の、飽和直鎖又は分枝鎖C1〜C19アルキルカルボン酸のC2〜C12アルケニルエステルとを、共重合することによって調製される、水溶性又は水分散性のポリマー剤もまた、歯質強化剤として有用である。例としては、ビニルピロリドンと、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又は酪酸ビニルのうちの1つ又は混合物とのコポリマーが挙げられる。好ましいポリマーは、約1,000〜約1,000,000、好ましくは約10,000〜約200,000、更により好ましくは約30,000〜約100,000の範囲の平均分子量を有する。
歯質強化剤の量は、典型的には、口腔ケア組成物全体の約0.1重量%〜約35重量%である。歯磨剤製剤では、この量は、好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約6%〜約20%である。
鎮痛剤及び麻酔剤
口腔ケア活性物質は、有効量の抗疼痛剤又は減感剤を含んでいてよい。そのような薬剤としては、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、フッ化ナトリウム、硝酸ナトリウム、アセトアニリド、フェナセチン、アセルトファン(acertophan)、チオルファン、スピラドリン(Spiradoline)、アスピリン、コデイン、テバイン、レボルフェノール(Levorphenol)、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、フェナゾシン、フェンタニール、ブプレノルフィン、ブタファノール(butaphanol)、ナルブフィン、ペンタゾシン、没食子のような自然の薬草、アサルム、クベビン、ガランガ、スクテラリア、両面針、及びビャクシを挙げることができる。アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸トロラミン、リドカイン、及びベンゾカインなどの麻酔剤又は局所鎮痛剤もまた存在してもよい。これらの鎮痛剤活性物質は、Kirk−Othmerの「Encyclopedia of Chemical Technology」、第4版、第2巻、Wiley−Interscience Publishers(1992年)、729頁〜737頁に詳細に記載されている。
H−1及びH−2拮抗剤及び抗ウィルス性活性物質
口腔ケア活性物質は、米国特許第5,294,433号に開示されている化合物を含む、有効量の選択的H−1及びH−2拮抗剤を含んでいてよい。本発明で使用することができるスズ塩としては、有機カルボン酸第一スズ、及び無機ハロゲン化第一スズが挙げられる。フッ化第一スズを使用してもよいが、それは典型的には、別のハロゲン化第一スズ若しくは1種類以上のカルボン酸第一スズ、又は他の治療薬との組み合わせでのみ使用される。
栄養素
口腔ケア活性物質は、有効量の栄養素を含んでいてよい。栄養素としては、ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤、及びこれらの混合物が挙げられる。有用なミネラルとしては、カルシウム、リン、亜鉛、マンガン、カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ビタミンは、ミネラルとともに含まれてもよく、又は別個に使用されてもよい。好適なビタミンとしては、ビタミンC及びビタミンD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、バイオフラボノイド、及びこれらの混合物が挙げられる。経口栄養補給剤としては、アミノ酸、脂肪親和物、魚油、及びこれらの混合物が挙げられる。アミノ酸としては、L−トリプトファン、L−リジン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチン又はL−カルニチン、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。脂肪親和物としては、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。魚油は、大量のω−3(N−3)多不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸を含有する。経腸栄養補給剤としては、タンパク質製品、グルコースポリマー、コーン油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。
追加的な活性物質
本発明での使用に適した追加的な活性物質としては、インスリン、ステロイド、薬草剤、及び他の植物由来の治療薬が挙げられるが、これらに限定されない。更には、当該技術分野において既知の抗歯肉炎剤又は歯肉ケア剤もまた挙げることができる。歯に清浄感を付与する構成成分が任意に含まれてもよい。これらの構成成分には、例えば、重曹又はGlass−Hが含まれていてよい。上に上げた材料を組み合わせたものもまた、使用することが可能である。例えば、抗菌剤及び抗炎症剤は、単一の歯磨剤組成物中に組み合わせて、組み合わされた有効性を提供し得る。
界面活性剤
本明細書の組成物は界面活性剤を含んでよい。界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択されてもよい。口腔ケア組成物は、界面活性剤を、全組成物の約0.1重量%〜約50重量%、約0.025重量%〜約9重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約2.5重量%、約0.5重量%〜約2重量%、又は約0.1重量%〜約1重量%の濃度で含んでいてよい。
本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤の例としては、アルキル基に8個〜20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類の陰イオン性界面活性剤の例である。他の好適な陰イオン性界面活性剤の例は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムのようなサルコシネート、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。陰イオン性界面活性剤の混合物も使用できる。多数の好適な陰イオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(Agricolaら、1976年5月25日発行)に開示されている。
本発明で有用な陽イオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジ−イソブチルフェノキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウム、亜硝酸ココナツアルキルトリメチルアンモニウム、フッ化セチルピリジニウムなどのような、約8個〜18個の炭素原子を含有する1つの長アルキル鎖を有する、脂肪族四級アンモニウムの化合物の誘導体が挙げられる。好ましい化合物は、米国特許第3,535,421号(1970年10月20日、Brinerら)に記載のフッ化四級アンモニウムであり、このフッ化四級アンモニウムは、洗剤特性を有する。
本発明の組成物中で使用できる非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(性質上は親水性)と、性質上は脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪族アルコール、脂肪族酸、及び脂肪族エステルの、エチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、並びにこのような材料の混合物が挙げられる。
本発明で有用な双極性イオン性合成界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族基は直鎖又は分枝鎖であってもよく、脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ基、スルホネート基、サルフェート基、ホスフェート基、又はホスホネート基のような陰イオン性水溶性基を含有する。
好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号(Polefkaら、1993年1月19日発行)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン、すなわち2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン、すなわち2−(N−coc−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタインなどが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタインなどによって例示される。選択されるベタインは、好ましくはココアミドプロピルベタイン、より好ましくはラウラミドプロピルベタインである。
1つの実施形態においては、組成物は、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含み、かつSLSを本質的に含まないものであり得る。「本質的に含まない」とは、組成物の約0.01重量%未満しか存在しないことを意味する。
口腔使用が可能なキャリア
本発明の組成物の構成成分のためのキャリアは、口腔内での使用に適したいずれの口腔使用が可能な賦形剤とすることができる。口腔使用が可能なキャリアは、緩衝剤、副次的研磨剤、アルカリ金属の重炭酸塩、増粘剤、ゲルネットワーク、湿潤剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、風味剤、冷却剤、甘味料、着色料、他の好適な材料、及びそれらの混合物のような材料を含む。口腔ケア組成物は、組成物の約0.001重量%〜約90重量%、約0.01重量%〜約50重量%、又は約0.1重量%〜約30重量%の口腔使用が可能なキャリアを含んでいてよい。
緩衝剤
本明細書の口腔ケア組成物は、有効量の緩衝剤を含んでいてよい。本明細書で使われるとき、「緩衝剤」とは、組成物のpHを調節するために用いられる薬剤を指す。緩衝剤としては、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機アンモニウム化合物、炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤としては、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロリン酸塩、グルコン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。
副次的研磨剤
本明細書の口腔ケア組成物は、組成物の約0.1重量%〜約60重量%、約1重量%〜約50重量%、約2重量%〜約40重量%、約4重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約25重量%の、1種類若しくはそれより多くの種類の副次的研磨剤、又はそれらの混合物を更に含んでいてよい。本明細書において有用な副次的研磨剤の例には、沈殿シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸塩(オルトリン酸塩を含む)、ピロリン酸塩、パーライト、軽石、ナノダイアモンド、表面処理し脱水処理した沈殿シリカ、もみ殻シリカ、シリカゲル、アルミナ、ポリメタリン酸塩、他の無機粒子、及びそれらの混合物を含む。本明細書において有用な副次的研磨剤の例には、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、βピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、及び尿素とホルムアルデヒドとの粒子状縮合製品等の樹脂性研磨材、及びCooleyらによる1962年12月25日発行の米国特許第3,070,510号に開示されているその他の材料が挙げられる。1つの実施形態において組成物は、その組成物の約2重量%〜約40重量%、又は約3重量%〜約30重量%のポリオルガノシルセスキオキサン粒子と、約2重量%〜約40重量%、又は約3重量%〜約30重量%の副次的研磨剤を含む。
1つの実施形態において組成物は、その組成物の約2重量%〜約40重量%、又は約3重量%〜約30重量%のポリオルガノシルセスキオキサン粒子と、約2重量%〜約40重量%、又は約3重量%〜約30重量%の副次的研磨剤を含む。1つの実施形態においては、副次的研磨剤は、沈殿シリカ、ピロリン酸カルシウム、及びそれらの混合物から選択される。
本明細書に記載される組成物中の研磨剤すべてを合わせると、一般に、組成物の約5重量%〜約70重量%の濃度で存在する。好ましくは、歯磨剤組成物は、研磨剤すべてを合わせると、組成物の約5重量%〜約50重量%相当量を含有する。1つの実施形態においては、副次的研磨剤の、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子に対する比は、約2対1より大きいか、約10対1より大きいか、又は約1対1である。1つの実施形態においては、研磨剤の混合物を含有する組成物は、少なくとも約80、約100、又は約120のPCR、及び/又は約125未満、約150未満、又は約250未満のRDAを有していてよい。
増粘剤
本明細書の口腔ケア組成物は、高分子量増粘剤のような、1種類又はそれより多くの種類の増粘剤を含んでいてよい。増粘剤は、口腔用組成物全体の約0重量%〜約15重量%の量、約0.01重量%〜約10重量%の量、又は約0.1重量%〜約5重量%の量で使用することができる。好適な増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのような、セルロースエーテルの水溶性塩を含む。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴムのような、天然ゴムも使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、又は超微粒子状シリカを、増粘剤の一部として使用できる。他の増粘剤としては、アルキル化ポリアクリレート、アルキル化架橋ポリアクリレート、又はゲルネットワークを挙げることができる。増粘剤は、高分子量ポリエーテル化合物を含むことができ、その例は、1〜約18個の炭素原子を含有するアルキル基又はアシル基でキャップされたポリエチレン又はポリプロピレン酸化物(M.W.は300〜1,000,000)である。
約1,000〜約120,000(数平均)の範囲の分子量を有する、ラクチドモノマーとグリコリドモノマーとのコポリマーは、「歯肉縁下用ゲルキャリア」として、歯周ポケットの中又は歯周ポケットの周りに活性物質を送達するのに有用である。これらのポリマーは、米国特許第5,198,220号、同5,242,910号、及び同4,443,430号に記載されている。
増粘剤は、粘土、ラポナイト、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。1つの実施形態においては、組成物は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースエーテルの水溶性塩、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、天然ゴム、例えばカラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、アルキル化ポリアクリレート、アルキル化架橋ポリアクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される増粘剤を更に含むことができる。
他の可能な増粘剤としては、カルボマー、疎水変性カルボマー、カルボキシメチルセルロース、セチル/ステアリルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ジェランガム、アシル化ジェランガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸ナトリウム、微結晶セルロース、微細繊維状セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、セチルヒドロキシエチルセルロース、架橋アクリロイルメチルプロパンスルホン酸ナトリウム及びコポリマー、及びこれらの混合物が含まれる。カルボマーは、B.F.Goodrich社から、Carbopol(登録商標)シリーズとして、市販されている。特に、カーボポールとして、Carbopol 934、940、941、956、及びこれらの混合物が含まれる。
組成物の作製時の粘度を、そのまま組成物の粘度とすることができ、又は言い換えれば、組成物は、安定した粘度を有することができる。粘度が安定であると見なされる場合には、典型的には、粘度は30日後で約5%を超えて変化しない。いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、約30日後で約5%を超えて、約30日後で約10%を超えて、約30日後で約20%を超えて、又は約90日後で約50%を超えて、変化しない。経時的に不安定な粘度の問題は、水分量が少ない製剤ではより顕著であるため、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、約20%未満の総水分量、又は約10%未満の総水分量しか含有しないとよい。
ゲルネットワーク
本明細書の口腔ケア組成物は、ゲルネットワークを含んでいてよい。口腔ケア組成物内で有用なゲルネットワークは、Procter & Gamble社による、米国特許第8,216,552号、同出願公開第2008/0081023号、同第2009/0246151号により詳しく説明されている。ゲルネットワークは、脂肪族両親媒性物質、界面活性剤、及び溶媒を含み得る。1つの実施形態においては、組成物はゲルネットワークを含み、口腔用組成物の約0.05重量%〜約30重量%、約0.1重量%〜約20重量%、又は約0.5重量%〜約10重量%の脂肪族両親媒性物質と、口腔用組成物の約0.01重量%〜約15重量%、約0.1重量%〜約10重量%、又は約0.3重量%〜約5重量%の界面活性剤と、組成物の少なくとも約0.05重量%、約0.1重量%〜約99重量%、約0.5重量%〜約95重量%、又は約1重量%〜約90重量%の溶媒と、を含有する。
1つの実施形態においては、脂肪族両親媒性物質は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物から選択される。1つの実施形態においては、界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、双極イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選択される。一実施形態では、ラウリル硫酸ナトリウムのような、陰イオン性界面活性剤が好ましい。本発明に好適な溶媒としては、水、食用多価アルコール、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、エリスリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態においては、溶媒は、ソルビトール、グリセリン、水、及びそれらを組み合わせたものから選択される。
湿潤剤
本明細書の組成物は、組成物の約0.1重量%〜約99重量%、約0.5重量%〜約95重量%、又は約1重量%〜約90重量%の湿潤剤を含んでいてよい。本発明に好適な保湿剤としては、水、食用多価アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態においては、湿潤剤は、ソルビトール、グリセリン、水、及びそれらを組み合わせたものから選択される。

本明細書の組成物は、その組成物の約10重量%〜約99重量%の水を含んでいてよい。1つの実施形態においては、組成物は、その組成物の約30重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、又は約30重量%〜約50重量%の水を含む。1つの実施形態においては、組成物は、20%未満の水を含む。
風味剤及び冷却剤
本明細書の口腔ケア組成物は、組成物の約0.001重量%〜約5重量%、約0.01重量%〜約4重量%、約0.1重量%〜約3重量%、又は約0.5重量%〜約2重量%の風味剤を含んでいてよい。本明細書において有用な風味剤は、ウィンターグリーンの油、クローブバッドオイル、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリオイル、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4−シス−ヘプテナール、ジアセチル、メチル−パラ−tert−ブチルフェニルアセテート、クランベリー、チョコレート、緑茶、及びこれらの混合物が挙げられる。精油もまた、風味剤として含まれてもよく、抗菌剤の考察において上記で説明されている。冷却剤もまた本明細書において使用され得る。本発明の組成物に好適な冷感剤としては、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3、WS−23、WS−5として商業的に既知である)、MGA、TK−10、Physcool、及びこれらの混合物のような、パラメンタンカルボキシアミド剤が挙げられる。唾液分泌促進剤、加温剤、局部麻酔剤、及び他の任意材料は、口腔用組成物が使用されている間に、シグナルを放出するために使用することができる。
一部の実施形態は、小直径の感覚ニューロン上に優先的に発現し、有害物質並びに他の物質を検出する、リガンド開口型、非選択性陽イオンチャネルである、TRPV1活性剤、すなわち一過性受容器電位バニロイド受容体1活性剤を含み得る。一実施形態では、TRPV1活性化因子は、バニリルブチルエーテル、ジンゲロン、カプサイシン、カプシエイト、ショウガオール、ジンゲロール、ピペリン、又はこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態においては、口腔ケア組成物の約0.0001重量%〜約0.25重量%の量でTRPV1活性化因子を添加する。
甘味料
本明細書の口腔ケア組成物は、甘味料を含んでいてよい。これらとしては、サッカリン、ブドウ糖、スクロース、ラクトース、キシリトール、マルトース、果糖、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、ネオテーム、及びこれらの混合物のような、甘味料が挙げられる。甘味料は、一般に口腔用組成物中で、組成物の約0.005重量%〜約5重量%の濃度で使用される。
着色料
本明細書の口腔ケア組成物は、着色料を含んでいてよい。着色料は水溶液、好ましくは1%の着色料水溶液の形態であってよい。顔料、パール剤(pealing agent)、粉末充填剤、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、及び歯磨剤組成物に視覚的変化を生みだすことができる他の材料も使用できる。着色料溶液及び他の薬剤は、一般に、組成物の約0.01重量%〜約5重量%を構成する。二酸化チタンもまた本組成物に添加されてよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般に、組成物の約0.25重量%〜約5重量%含まれる。
いくつかの実施形態は、界面活性剤、フッ化物、及び/又は任意の1種類以上の口腔ケア活性物質を本質的に含まなくてもよい。1つの実施形態においては、本明細書の組成物は、1種類以上の酵素も、着色料粒子も、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、着色料粒子、及び/又はトリクロサンを可溶化することができる溶媒も含まない。
使用方法
本発明はまた、歯を洗浄し研磨する方法にも関する。本明細書で用いられる方法は、対象者の歯のエナメル質表面及び口腔粘膜に、本発明による口腔用組成物を接触させることを含む。処置方法は、歯磨剤を用いたブラッシング、又は歯磨剤スラリー若しくは口内洗浄剤を用いるすすぎによる場合がある。他の方法としては、局所口腔用ゲル、口中スプレー、練り歯磨き、歯磨剤、歯磨きゲル、歯磨き粉、タブレット、歯肉縁下用ゲル、フォーム、ムース、チューインガム、リップスティック、スポンジ、フロス、ペトロラタムゲル、若しくは義歯製品、又は他の形態物を、対象者の歯及び口腔粘膜に接触させることが挙げられる。実施形態に応じて、口腔用組成物は、練り歯磨きと同じく頻繁に使用されてもよく、又はより少ない頻度、例えば週単位で使用されてもよく、又は歯面研磨ペースト、若しくは他の集中治療の形態で、専門家により使用されてもよい。
以下の実施例及び説明は、本発明の範囲内にある実施形態を更に明らかにする。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変形例が発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明の制限として解釈されるべきではない。
(実施例I)
実施例1A〜1Eは、配合者によって選択される従来の方法によって好適に調製され得る歯磨剤組成物であり、ポリメチルシスセスキオキサン粒子及びフッ化物を含有する本発明による歯磨剤組成物を示している。それぞれの製剤に対するPCR値及びRDA値は、本明細書に開示された方法論を用いて決定され、それぞれの製剤に対して、下記の表2に報告されている。
これらの組成物のすべてが、良好な洗浄の有効性を示した。
Figure 2016516778
LANETTE Wは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(50:50)で、ラウリル硫酸ナトリウムを(約90:10の割合で)含むものであり、Cognis/BASF社(ドイツ)から市販されている。
TOSPEARL剤は、Momentive社(米国ニュージャージー州)から市販されている。
(実施例II)
実施例2F〜2Kは、処方者によって選択される従来の方法によって好適に調製され得る歯磨剤組成物である。実施例2G〜2Jは、ポリメチルシスセスキオキサン粒子を含有する、本発明による歯磨剤組成物を示す。実施例2Fは、研磨剤を含有しない比較例である。実施例2Kは、Huber社より市販されている沈殿シリカ研磨剤を含有する比較例である。
下記の表3は、用いられたTOSPEARL材料の粒径を示すが、その粒径は、本明細書において定められた方法論により、Malvern 2000(PS−3 Hydro2000SN;型式APA 2000)を用いて決定された。
それぞれの製剤に対するPCR値は、本明細書に開示された方法論を用いて決定され、それぞれの製剤に対して、下記の表4に報告されている。図2は、2F〜2Kの製剤に対するPCR値のグラフである。
下記のデータからわかるように、約4.2の平均粒径と滑らかな表面を有するポリメチルシスセスキオキサン粒子(TOSPEARL 145A及びCF600)を含有する組成物は、沈殿シリカを含有するものに近い結果を、PCR値について示した。尖頭のある表面を有するTOSPEARL 150KAと、より大きな粒径のTOSPEARL 3120とは、洗浄効果があったが、その程度がより低かった。
Figure 2016516778
Figure 2016516778
LANETTE Wは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(50:50)で、ラウリル硫酸ナトリウムを(約90:10の割合で)含むものであり、Cognis/BASF社(ドイツ)から市販されている。
TOSPEARL剤は、Momentive社(米国ニュージャージー州)から市販されている。
沈殿シリカZEODENT 109は、Huber社から入手可能である。
(実施例III)
実施例III:過酸化物安定性
表7の実施例3A〜3Eは、処方者によって選択される従来の方法によって好適に調製され得る歯磨剤組成物である実施例3B〜3Eは、ポリメチルシスセスキオキサン粒子を含有する、本発明による歯磨剤組成物を示す。実施例3Aは、研磨剤を含有しない比較例である。
製剤の経時的な過酸化物安定性が、以下に定められる方法論を用いて決定され、その結果を表6に示した。下記の表6に示すように、製剤3B〜3Eは、40℃で、4週間、8週間、及び12週間にわたり保管した後、良好な過酸化物安定性を示した。
比較のため、ポリメチルシスセスキオキサンの代わりに沈殿シリカを含有する類似の製剤、すなわち表7(下記)に示されている製剤3F、に対する過酸化物安定性を表8に示す。表からわかるように、沈殿シリカを含有する製剤では、利用可能な過酸化物は、せいぜい数日(数週間ではなく)のうちに劇的に減少している。
Figure 2016516778
LANETTE Wは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(50:50)で、ラウリル硫酸ナトリウムを(約90:10の割合で)含むものであり、Cognis/BASF社(ドイツ)から市販されている。
TOSPEARL剤は、Momentive社(米国ニュージャージー州)から市販されている。
過酸化物安定性の決定
所与の製剤における過酸化物の安定性を決定するために、以下の方法論が用いられた:
1)まず、製剤の試料(0.2g)を集めた;
2)次に、0.2000g(±0.0200g)の過酸化物ゲルを計量して、250mLのプラスチック製ビーカーに入れた;
3)撹拌棒と、100mLの、0.04NのHSOとをビーカーに加えた。ビーカーはパラフィルムで覆われ、内容物は少なくとも10分間にわたって撹拌された。
4)撹拌後、25mLの10% KI溶液と、3滴のNH−モリブデートをビーカーに加え、その内容物を更に3分〜20分間撹拌した。
5)得られた混合物を、0.1NのNa−チオ硫酸での自動滴定により分析した。
測定は、最初に製剤を作製した後でまず実行され、次に製剤が40℃で13日間、非反応器に保管された後に再び実行された。40℃で13日間保管した後に測定された過酸化物の百分率を、初期に測定された過酸化物の百分率で除算した百分率に、100をかけた数値として、適合性が計算された。(製品を40℃で1か月保存することは、室温で大体7か月の保管にほぼ相当するということが一般に受け入れられているので、製品を40℃で13日間置くことは、延長された貯蔵寿命を意味する)。
Figure 2016516778
Figure 2016516778
LANETTE Wは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(50:50)で、ラウリル硫酸ナトリウムを(約90:10の割合で)含むものであり、Cognis/BASF社(ドイツ)から市販されている。
ZEODENT 109沈殿シリカは、J.M.Huber社から市販されている。
Figure 2016516778
(実施例IV)
表11の実施例4A及び4Bは、配合者によって選択される従来の方法によって好適に調製され得る歯磨剤組成物であり、ポリメチルシスセスキオキサン粒子を含有する、本発明による歯磨剤組成物を示す。
Figure 2016516778
LANETTE Wは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(50:50)で、ラウリル硫酸ナトリウムを(約90:10の割合で)含むものであり、Cognis/BASF社(ドイツ)から市販されている。
TOSPEARL剤は、Momentive社(米国ニュージャージー州)から市販されている。
(実施例V)
表12の実施例5Aは、配合者によって選択される従来の方法によって好適に調製され得る歯磨剤組成物であり、ポリメチルシスセスキオキサン粒子を含有する、本発明の歯磨剤組成物を示している。
Figure 2016516778
LANETTE Wは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物(50:50)で、ラウリル硫酸ナトリウムを(約90:10の割合で)含むものであり、Cognis/BASF社(ドイツ)から市販されている。
TOSPEARL剤は、Momentive社(米国ニュージャージー州)から市販されている。
(実施例VI)
表13の実施例6A〜6Cは、処方者によって選択される従来の方法によって好適に調製され得る歯磨剤組成物である。実施例6B及び6Cは、ポリメチルシスセスキオキサン粒子とフッ化物とを含有する、本発明の歯磨剤組成物を示す。実施例6Aは、Huber社より市販されている沈殿シリカ研磨剤を含有する比較例である。
フッ化物イオン、スズイオン、及び亜鉛イオンの製剤の継時的安定性が、以下に定められる方法論を用いて決定され、その結果を表14に示した。下記の表14に示されているように、ポリメチルシスセスキオキサン粒子を含有する、6B及び6Cの本発明による製剤は、可溶性のフッ化物イオン及び可溶性のスズイオンの両方について、当初及び40℃で1か月保管した後ともに、沈殿シリカを含有する比較用の製剤6Aに対して、その安定性が向上し、亜鉛イオンについても合理的な安定性を維持していた。
Figure 2016516778
ZEODENT 109沈殿シリカは、J.M.Huber社から市販されている。
TOSPEARL 145A及びCF600は、Momentive社から市販されている。
GANTREZ S−95(IUPAC名:furan−2,5−dione;methoxyethene;CASナンバー:9067−41−8)は、Ashland社から市販されている。
可溶性のフッ化物の算出
希釈された歯磨剤溶液内の可溶性のフッ化物の濃度の再現可能な尺度を提供する以下の方法論を用いて、製剤の、可溶性のフッ化物濃度を計算した。まず、歯磨剤が十分に分散された3:1の水:製品のスラリーを用意する。スラリーの試料を遠心分離にかけて、上澄みの層を形成する。試験用の溶液を用意するために、上澄み液のアリコートを、水酸化物溶液とともに酸のマトリクス内に入れた。次に試料を、Hamilton社により用意された、分離のためのカスタムカラムを用いて、イオンクロマトグラフ装置に注入する。導電率検出器を用いて、応答を測定する。一連の既知のフッ化物標準品から生成された二次の較正曲線を用いて、結果を算出する。
可溶性のスズ及び亜鉛の算出
希釈された歯磨剤溶液内の可溶性のスズ及び/又は亜鉛の濃度の再現可能な尺度を提供する以下の方法論を用いて、製剤の、可溶性のスズ及び/又は亜鉛濃度を計算した。まず、歯磨剤が十分に分散された3:1の水:製品のスラリーを用意する。スラリーの試料を遠心分離にかけて、上澄みの層を形成する。試験用の溶液を用意するために、上澄み液のアリコートを、水酸化物溶液とともに酸のマトリクス内に入れた誘導結合プラズマ発光分析により溶液を分析し、スズ及び亜鉛を、外部の較正曲線により決定する。スズ及び亜鉛についての結果は、上澄み中のppm(μg/g)で報告される。初期値から分析値を差し引くことにより、パーセント適合性を算出する。(スズ及びフッ化物を含む製剤内での、溶融シリカ及び沈殿シリカのような研磨剤の適合性は、米国特許出願公開第2010/0135924A1号にも論じられている。)
Figure 2016516778
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。
「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本明細書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさまざまな変更及び改変を行いうる点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び改変を、付属の「特許請求の範囲」において網羅するものとする。

Claims (15)

  1. 口腔用組成物であって:
    a.1ミクロン〜20ミクロンの、体積重量平均粒径(average volume weighted mean particle size)を有する1つ以上のポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む、前記組成物の少なくとも0.01重量%の研磨剤と;
    b.少なくとも1種類のフッ化物イオン源を含む、前記組成物の少なくとも0.01重量%の口腔ケア活性物質と;
    c.前記組成物の0.001重量%〜99重量%の、口腔使用が可能なキャリアと、を含み、
    前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子は、前記組成物に対しては実質的に不溶性である、組成物。
  2. 前記フッ化物源は、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、及びそれらを組み合わせたものからなる群より選択され、好ましくは、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記フッ化物は、フッ化第一スズ、モノフルオロリン酸、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. pHが6.5より小さく、好ましくは、pHが3.5〜5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記組成物は、その0.1重量%〜40%の前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子が、3ミクロン〜14ミクロンの体積重量平均粒径を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記ポリメチルシルセスキオキサン粒子は、球状の、滑らかな表面の粒子である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記口腔使用が可能なキャリアは、緩衝剤、副次的研磨剤、アルカリ金属重炭酸塩、増粘剤、ゲルネットワーク、湿潤剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、風味剤、冷却剤、甘味料、着色料、他の好適な材料、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記口腔使用が可能なキャリアは、ピロリン酸カルシウム、沈殿シリカ、溶融シリカ、及びそれらの混合物から選択される副次的研磨剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記組成物におけるフッ化物安定性は、25℃で2週間経った後で90%より大きい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記組成物は、歯磨剤であり、かつペースト、スラリー、ゲル、又はそれらを組み合わせたものから選択される形状である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記口腔ケア活性物質は、エトキシ化及び非エトキシ化モノ若しくはジアルキルホスフェート又はホスホネートを含む高分子量有機リン酸化合物から選択されるキレート剤を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記口腔使用が可能なキャリアはゲルネットワークを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. ポリメチルシルセスキオキサン粒子の研磨剤と、スズイオン源と、ゲルネットワークと、キレート剤とを含む、口腔用組成物。
  15. ポリメチルシルセスキオキサン粒子の研磨剤と、スズイオン源とを含む組成物を、対象者の口腔に投与することにより、歯垢、歯肉炎、知覚過敏症、口腔の悪臭、侵食、空洞、歯石、炎症、及び着色汚れを減らす方法。
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