以下、図面を参照して本発明による実施形態を説明する。図1は本発明による実施形態のインクジェット記録装置1の概略構成を示す模式図である。
インクジェット記録装置1は、装置筐体(図示せず)の内部の下方に配置された給紙部100と、給紙部100の上方に配置された画像形成部200と、画像形成部200の一方側に配置された用紙搬送部300と、画像形成部200の他方側に配置された用紙排出部400と、画像形成部200の上方に配置された排紙トレイ500とを備える。
給紙部100は、装置筐体に着脱自在の給紙カセット(図示せず)と、給紙ローラ110と、ガイド板120とを備える。給紙ローラ110は用紙Pの一端側の上方に配置される。ガイド板120は給紙ローラ110と用紙搬送部300との間に配置される。
給紙カセット内には多数の用紙Pが積み重ねられた状態で収納されている。給紙ローラ110は給紙カセット内の用紙Pを一枚ずつ取り出す。ガイド板120は、給紙ローラ110が取り出した用紙Pを用紙搬送部300に案内する。
画像形成部200は、搬送ユニット210と、搬送ユニット210の上方に配置された記録ヘッド220と、搬送ユニット210の下方に配置された昇降機構240とを備える。
搬送ユニット210は、支持ローラ211と、駆動ローラ212と、無端状の搬送ベルト213と、ベルト支持部材214とを備える。搬送ベルト213は、支持ローラ211と駆動ローラ212との間に張設されている。ベルト支持部材214は、支持ローラ211と駆動ローラ212とを回転自在に軸支する。
駆動ローラ212は支持ローラ211に対して用紙搬送方向に間隔をおいて配置される。駆動ローラ212はモータ(図示せず)によって回転駆動され、搬送ベルト213を矢印D方向に回転させる。
記録ヘッド220は、用紙搬送方向の上流側から下流側に向けて並設された4個のノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yにより構成される。記録ヘッド220はライン型と称される。例えば、ライン型の記録ヘッド220は装置筐体に固定される。ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの詳細構造については後述する。
昇降機構240は、一対のカム241、242を備える。カム241、及びカム242は支軸243によって鉛直面内で回転自在に軸支されており、モータ(図示せず)によって時計回り方向と反時計回り方向とに回転駆動される。カム241、及びカム242は周縁部の一部に沿って設けられた複数のベアリング244を有する。
ベアリング244はベルト支持部材214を支持する。カム241が時計回りに回転し、カム242が反時計回りに回転することによって搬送ユニット210が下降する。また、カム241が反時計回りに回転し、カム242が時計回りに回転することによって搬送ユニット210が上昇する。
用紙搬送部300は、用紙搬送路310と、用紙搬送路310の入口側に設けられた搬送ローラ対320と、用紙搬送路310の出口側に設けられたレジストローラ対330と、レジストローラ対330と画像形成部200との間に配置されたガイド板340とを備える。
搬送ローラ対320は、給紙部100から給紙される用紙Pを挟んで用紙搬送路310に送出する。レジストローラ対330は、用紙搬送路310から供給される用紙Pの斜行補正を行う。そして、レジストローラ対330は、印字のタイミングと用紙Pの搬送とを同期させるために用紙Pを一時待機させた後、用紙Pを印字タイミングに合わせてガイド板340に送出する。ガイド板340は、レジストローラ対330が送出した用紙Pを画像形成部200に案内する。
用紙排出部400は、用紙排出路410と、用紙排出路410の入口側に設けられた第1排出ローラ対420と、用紙排出路410の出口側に設けられた第2排出ローラ対430と、第1排出ローラ対420と画像形成部200との間に配置されたガイド板440とを備える。
排紙トレイ500は、第2排出ローラ対430によって排出される用紙Pを受け入れる。
図2は図1に示されるインクジェット記録装置1のノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの底面図であり、図3は図2のIII-III断面における拡大図である。
図2に示すように、底面223には複数の吐出口224が開口している。複数の吐出口224は、インク滴が用紙P上に吐出されたときに隣り合う画素間に空白が生じないように、底面223上に千鳥状に配置される。また、吐出口224は、底面223の長手方向において、インクジェット記録装置1で画像形成可能な最大の用紙の最大幅に亘って設けられる。
図3に示すように、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの各々は、複数のノズル222(1つのみ図示)と、撥水膜225と、複数のインク収容室226(1つのみ図示)と、インク槽(図示せず)と、共通流路227と、供給孔228と、ノズル流路229と、振動板230と、共通電極231と、圧電素子232と、個別電極233とを備える。
複数のノズル222の各々は、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの底面223に開口して吐出口224を形成している(図2参照)。複数のノズル222は、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの長手方向に沿って複数の列に配列される。
撥水膜225は、底面223のうち、吐出口224以外の部分を覆うように形成されている。
インク収容室226は、複数の吐出口224の各々に対応して1つずつ設けられる。
インク槽はインクを貯留する。ノズルヘッド221Kのインク槽はブラックのインクを貯留し、ノズルヘッド221Cのインク槽はシアンのインクを貯留し、ノズルヘッド221Mのインク槽はマゼンタのインクを貯留し、ノズルヘッド221Yのインク槽はイエローのインクを貯留する。
共通流路227は、複数のインク収容室226の各々にインク槽のインクを供給する。複数のインク収容室226と共通流路227とは供給孔228を介して連通している。
ノズル流路229はノズル222とインク収容室226とを連通させる。
振動板230は、インク収容室226の壁のうち底面223と反対側の壁を構成する。振動板230は複数のインク収容室226に亘って連続して形成されている。
共通電極231は、振動板230上において、複数のインク収容室226に亘って連続して形成されている。
圧電素子232は、共通電極230上において、複数のインク収容室226の各々に対応して設けられている。
個別電極233は、共通電極231との間に圧電素子232を挟むように、複数のインク収容室226の各々に対応して設けられている。
後述する駆動パルス(1)〜(3)の印加によって、吐出口224から1画素分のインク滴が用紙P上に吐出されるが、インク滴が吐出されない間もノズル222内にはインクが満たされており、ノズル222内でインクはメニスカスMを形成している。インクの吐出及びメニスカスMの揺動については後述する。
図4は、図1に示されるインクジェット記録装置1の要部の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、ヘッド駆動部600と制御装置700とをさらに備える。
ヘッド駆動部600は、駆動信号発生回路610と、セレクタ620とを備える。
駆動信号発生回路610は、4種類の駆動パルス(1)〜(4)のいずれかを制御装置700の制御に応じて選択して、セレクタ620を介してノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの圧電素子232に印加する。
駆動パルス(1)〜(3)のパルス幅は、吐出口224からインク滴が吐出される程度の圧力を、圧電素子232を介してインク収容室226に付与するように設定される。
具体的には、駆動パルス(1)は、パルス幅がヘッド流路の固有振動周期(本例では13usec)の半周期に近い長さ(本例では約7usec)となるように設定される。ここで「ヘッド流路」は、ノズル222、ノズル流路229、インク収容室226、及び供給孔228を含む部分で構成される。よって、圧電素子232に印加される駆動電圧のパルス幅も、同様にヘッド流路の固有振動周期の半分に近い長さになる。このような駆動パルスによると、ノズル222内の流速は10m/sを超えるので、1つのインク滴が吐出口224から吐出される。
駆動パルス(2)は、駆動パルス(1)と同一幅のパルスが2つ連続するように設定される。駆動信号発生回路610によって駆動パルス(2)が選択されると、2つのインク滴が吐出口224から吐出される。
駆動パルス(3)は、駆動パルス(1)と同一幅のパルスが3つ連続するように設定される。駆動信号発生回路610によって駆動パルス(3)が選択されると、3つのインク滴が吐出口224から吐出される。
駆動パルス(1)〜(3)のいずれかがヘッド駆動部600から個別電極233に印加されることで、各圧電素子232は個別に駆動される。この駆動による圧電素子232の変形が振動板230に伝えられ、振動板230の変形によってインク収容室226は圧縮される。その結果、インク収容室226内のインクに圧力が付与され、ノズル222を通ったインクが吐出口224からインク滴となって用紙P上に吐出される。
このようにしてインク滴が用紙P上に付着するとともに、搬送ベルト213(図1参照)が用紙Pを移動させるので、用紙P上に次々にインク滴が吐出されて用紙P上に画像が形成される。給紙ローラ110が所定の間隔を開けて回転することで、用紙Pは所定の間隔を開けて連続して搬送され、複数ページの用紙Pに連続して画像が形成される。
駆動パルス(4)は、インク滴が吐出されずにメニスカスMが揺動されるように設定される。具体的には、駆動パルス(4)は、駆動パルス(1)〜(3)のパルス幅よりも小さい幅のパルスが複数回繰り返されるように設定される。駆動パルス(4)の個々のパルスのパルス幅は、ヘッド流路の固有振動周期よりも短く設定される。よって、圧電素子232に印加される駆動電圧のパルス幅も、同様にヘッド流路の固有振動周期よりも短くなる。このような短いパルスが連続すると、ノズル222内のインクの流速は、メニスカスMが揺動されるもののインク滴が吐出されない程度の値となる。
以上のように、複数のインク収容室226の各々に設けられた圧電素子232がインクに圧力を付与することにより、ノズル222からインク滴を吐出させる吐出動作及び揺動動作が行われる。なお、揺動動作とは、ノズル222内のインクのメニスカスMを揺動させるが、ノズル222からインク滴を吐出させない動作である。圧電素子232は、本発明の圧力付与手段として機能する。
セレクタ620は、制御装置700から送信されてくる画像データの階調に基づいて駆動パルスを選択して圧電素子232に印加する。なお、本明細書において、「画像データ」は、所定数の階調を有する印字データであり、スキャナで得られた画像データ、又は外部装置から送信されてきた画像データに基づいて、制御装置700に含まれる印字データ作成部(図示せず)において作成される。
本実施形態の画像データは、階調0、階調1、階調2、及び階調3の4階調である。セレクタ620は、階調1の画像データに対して駆動パルス(1)を選択し、階調2の画像データに対して駆動パルス(2)を選択し、階調3の画像データに対して駆動パルス(3)を選択して圧電素子233に印加し、階調0の画像データに対しては、いずれの駆動パルスも圧電素子233に印加しないか、または駆動パルス(4)を選択して圧電素子233に印加する。
制御装置700は、CPU、ROM、及びRAM等を含むマイクロコンピュータにより構成される。CPUは、ROMに格納されたプログラムに従って所定の処理を実行する。
制御装置700は、プリンタコントローラ部710、プリンタエンジン部730、及び画像データ解析部750を備える。
プリンタコントローラ部710は、画像データを1ライン単位で画像データ解析部750へ送信する。
画像データ解析部750は、プリンタコントロール部710から送信されてくる画像データに基づいて、複数のノズル222の各々について、インク滴が吐出される画素(以下、「吐出画素」と称する。)の有無を判定する。画像データ解析部750は、本発明の画像解析手段として機能する。
図5は、画像データ解析部750の概略構成を示すブロック図である。画像データ解析部750は、画像入力部751と、画像判定部752と、判定結果一時記憶部753と、画像及び判定結果書込み部754と、内部バス755と、メモリ制御部756と、メモリ757と、画像出力部758とを含む。
図6は、画像データと画像データ解析部750による判定結果とを模式的に示す図である。画像データ中の数字0〜3は階調を表している。また、判定結果中の数字(0、1)は判定結果を表している。なお、紙面の都合上、図6では、1ライン目から3ライン目、1列目から8列目までのデータのみを示している。
図7は、画像データ解析部750のメモリ757に格納されるデータの内容を模式的に示す図である。
以下、図4〜図7を参照して、画像データ解析部751の各部の機能を説明する。
画像入力部751は、プリンタコントローラ部710から受信した1ライン分の画像データを画像判定部752へ送信する。
画像判定部752は、画像入力部751から受信した1ライン分の画像データの判定を各列毎に行い、判定結果を判定結果一時記憶部753に書き込む。階調が0より大きい場合(印字)には判定結果を1とし、階調が0の場合(非印字)には判定結果を0とする。例えば、図6の画像データの1ライン目では、1列目は0なので、判定結果は0となり、2列目は2なので、判定結果は1となる。
判定結果一時記憶部753は、前ラインまでの判定結果と、判定対象となるラインの判定結果との論理和ORとなるデータを各列毎に上書きして記憶する。例えば、図6の判定結果の1ライン目の4列目は0であるが、2ライン目の4列目の判定結果が1なので、2ライン目までの判定が終了した時点で4列目の判定結果は1となる。
画像及び判定結果書込み部754は、内部バス755を経由してメモリ制御部756へ1ライン分の画像データを送信する。また、画像及び判定結果書込み部754は、1ページの全ライン(Nライン)の画像データをメモリ制御部756に送信した後に、判定結果一時記憶部753に記憶されている判定結果をNライン目の画像データの後ろのアドレスに書き込む(図7参照)。
内部バス755は、画像及び判定結果書込み部754と、メモリ制御部756と、画像出力部758とを接続する。
メモリ制御部756は、メモリ757に対してデータのリード/ライトを行う際にメモリ757の制御信号を生成する。
メモリ757は、複数ページ分の画像データ及び判定結果を格納する。一例では、メモリ757として、一般的にパソコンなどで利用されるDDR3を採用することができる。
画像出力部758は、画像データを1ライン単位でプリンタエンジン部730へ出力する。
プリンタエンジン部730は、画像出力部758から1ライン単位で送信されてくる画像データを受信し、給紙ローラ110が用紙Pを搬送するのと同時に、画像データを1ライン単位でヘッド駆動部600へ送信する。
ヘッド駆動部600は、プリンタエンジン部730から受信した画像データに基づいて圧電素子232を制御して、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yにインクを吐出させる。そして、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yから吐出されるインクは、画像データに対応する画像を用紙P上に形成する。プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600は、本発明の画像制御手段として機能する。
また、プリンタエンジン部730は、メモリ757に格納された判定結果を1ページ単位でヘッド駆動部600へ送信する。ヘッド駆動部600は、プリンタエンジン部730から受信した判定結果に基づいて個別電極233及び圧電素子232を制御して、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yのノズル222を揺動させる。プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600は、本発明の揺動制御手段としても機能する。プリンタエンジン部730によるノズル222の揺動制御の詳細については後述する。
図8は、画像データ解析部750による画像データ解析の手順を示すフローチャートである。以下、図5〜図8を参照して、画像データ解析部750による画像データ解析の手順を説明する。
まず、プリンタコントロール部710が、画像入力部751へ1ライン分の画像データを送信する(ステップS1及びS2)。
画像入力部751は、プリンタコントロール部710から受信した1ライン分の画像データを画像判定部752へ送信する(ステップS3)。
画像判定部752は、画像入力部751から受信した1ライン分の画像データの判定を行い、判定結果を判定結果一時記憶部753へ書き込む。すなわち、画像判定部752は、1ライン分の画像データ中の各々の列について判定を行い、画像データが0より大きい場合には1と判定し、画像データが0の場合には0と判定する。例えば、図6の画像データの1ライン目では、1列目の画像データは0なので判定結果は0となり、2列目の画像データは2なので判定結果は1となる。画像判定部752は、判定結果を判定結果一時記憶部753へ書き込む(ステップS4)。
次いで、画像判定部752は、1ライン分の画像データを画像及び判定結果書込み部754へ送信する(ステップS5)。
画像及び判定結果書込み部754は、内部バス755を経由して、画像判定部752から受信した1ライン分の画像データをメモリ制御部756へ送信する(ステップS6)。
以上のステップS2からステップS6までの処理を、1ページの全ライン(Nライン)について行う(ステップS7及びS8)。
すなわち、画像判定部752は、1つのページの画像データにおいて、複数のノズル222の各々について1ライン毎に吐出画素の有無を判定し、判定結果一時記憶部753は、画像判定部752による1ページ分の画像データの吐出画素の有無の判定中に、画像判定部752による判定結果を一時的に記憶する。
1ページの全ラインの判定が終了すると、判定結果一時記憶部753は、1ページの全ラインの判定結果を画像及び判定結果書込み部754へ送信する(ステップS9)。
そして、画像及び判定結果書込み部754は、内部バス755を経由して、判定結果一時記憶部753から受信した1ページ分の判定結果をメモリ制御部756へ送信する(ステップS10)。その結果、1ページ分の判定結果がメモリ757に格納される。
次に、図4〜図9を参照して印字制御について説明する。図9は、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yに入力される信号の例を模式的に示す図である。また、図9は、画素を模式的に示した図でもある。図9中、ページP1及びページP2は印字対象となるページを示し、各ページの横方向、すなわちラインの成分は主走査方向の画素を示し、各ページの縦方向、すなわち列の成分は副走査方向の画素を示す。
印字領域D21はページP1の印字領域、印字領域D22はページP2の印字領域を示す。領域D11、D12は紙間の領域を示す。領域D11、D12の各々は第1空白領域α、揺動領域β、及び第2空白領域γを含む。1、2、3、・・・・Nはラインを示し、1、2、3、・・・・Mは列を示す。
「紙間」とは、(1)印字すべき画像データが確定してから、最初の用紙が搬送されてくるまでの間、あるいは、(2)複数ページの用紙に亘って連続して印字を行う場合において、ある用紙の印字終了後、次の用紙への印字開始までの間、のいずれかに該当する期間を指す。なお、上記(1)の「印字すべき画像データが確定」とは、図示しない操作パネルや外部装置を介して、ユーザから印刷すべき画像データを指定した印刷依頼がなされたことを指す。領域D11は(1)の「紙間」に該当し、領域D12は(2)の「紙間」に該当する。
第1空白領域αは、印字領域D21、D22から最も離れた領域であり、第2空白領域γは、印字領域D21、D22の第1行目の直前の行を含む領域であり、揺動領域βは、第1空白領域αと第2空白領域βとの間の領域である。なお、図9では、説明の便宜上、第1空白領域α、揺動領域β、及び第2空白領域γの各々を1ラインとして描いているが、実際には、第1空白領域α、揺動領域β、及び第2空白領域γの各々には複数のラインが含まれる。例えば、第1空白領域αは1300ライン程度、揺動領域βは1000ライン程度、第2空白領域γは500ライン程度を含むものとすることができる。
図9において、ある列に含まれる画素は、同一のノズルに対応する。例えば、第2列の第1ラインから第Nラインの画素は、あるノズルに対応し、第M列の第1ラインから第Nラインの画素は、他のノズルに対応する。
なお、図9において、各画素は簡略化されている。実際のプリンタでは、非常に小さい画素が多数印字されることで、例えば横4800dpi、縦1200dpiの解像度を実現することができる。
図9に示す黒丸(●)は吐出画素であり、プリンタエンジン部730は、吐出画素に対応するノズル222からインク滴が吐出されるようにセレクタ620を制御して、駆動パルス(1)〜(3)のいずれかを個別電極233に印加する。
また、図9に示す白丸(○)は印字しない画素(以下、「空白画素」と称する。)であり、プリンタエンジン部730は、空白画素に対応するノズル222からインク滴が吐出されないようにセレクタ620を制御して、個別電極233に駆動パルス(1)〜(3)のいずれも印加されないようにする。
なお、プリンタエンジン部730が印字制御を行うのは、本実施形態では、印字中に限られる。ここで「印字中」とは、例えば、ページP1、P2等の印字領域D21、D22中の吐出画素又は空白画素に対応する信号を、ヘッド駆動部600からノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yに印加している期間を意味する。すなわち、「印字中」とは、用紙がノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yにより印字可能な位置にある期間を意味する。「印字中」であっても、個々のノズル222は、インク滴を吐出中であったり、吐出していなかったりする。本明細書では、「印字中」に対して、「非印字中」との文言も使用されるが、その説明は後述する。
次に、図3〜図5を参照して、ノズル222の揺動制御について説明する。ノズル222が用紙Pに画像形成を行う場合において、プリンタエンジン部730は、あるページの印字前に、画像データ解析部750のメモリ757に格納された当該ページの判定結果を参照する。そして、プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600は、当該ページの判定結果に基づいて、当該ページとその前のページとの間、及びインク滴を吐出する直前に、複数のノズル222のうち当該ページの吐出画素に対応するノズル222を揺動させるよう、圧電素子233を制御する。プリンタエンジン部730は、メモリ757に保持された揺動フラグに基づいて、ノズル222の揺動制御を行う。
図10は、プリンタエンジン部730による揺動フラグ設定の手順を示すフローチャートである。図4〜図6、及び図10を参照して、プリンタエンジン部730による揺動フラグ設定の手順を説明する。
図10に示すように、プリンタエンジン部730は、メモリ757に格納された判定結果(図6参照)のうち、対象ページ中の第1列の判定結果を参照する(ステップS11及びS12)。第1列の判定結果が1(吐出画素が含まれる)であれば(ステップS13でYes)、プリンタエンジン部730は、参照したページについて第1列の揺動フラグをONにする(ステップS14)。一方、第1列内に吐出画素が含まれていなければ(ステップS13でNo)、揺動フラグをOFFのまま維持する。ステップS12〜S14の処理が全ての列(第1列〜第M列)について実行される(ステップS15〜S16)ことで、1ページ分の揺動フラグ設定処理が終了する。設定した揺動フラグは、画像データ解析部750のメモリ757に保持される。ステップS11〜S16の処理は、印字すべき全てのページについて実行される。
図11は、紙間における揺動制御の流れを示すフローチャートである。図3〜図5、及び図11を参照して、紙間における揺動制御の流れを説明する。
図11に示すように、プリンタエンジン部730は、非印字中において、直近に印字すべきページの各列の揺動フラグを参照する(ステップS21〜S22、S25〜S26)。プリンタエンジン部730は、揺動フラグがONになっている列のノズル222に対応する個別電極233に駆動パルス(4)を印加するように、セレクタ210bを制御する(ステップS22でYes→S23)。その結果、このノズル222ではメニスカスMが揺動される。その後、ONになっていた揺動フラグは、OFFとされる(ステップS24)。一方、揺動フラグがOFFになっている列のノズル222に対応する個別電極233には、駆動パルス(1)〜(3)のいずれも印加されず、このノズル222のメニスカスMは静止状態に維持される(ステップS22でNo→ステップS27)。
本実施形態において、プリンタエンジン部730は、非印字中と印字中とに揺動制御を行う。ここで「非印字中」とは、印字中でない期間であり、上述した「紙間」である。
なお、紙間で行うノズル222の揺動は、ノズル222の先端部においてインクの透明化が進行しても、メニスカスMの揺動によって、用紙P上に着弾するインク滴が透明でなくなる程度の回数とする。具体的には、100回以上とする。例えば、ノズル222を20,000回/sec揺動させる場合には、ノズル222を0.005sec以上揺動させることになる。
以下、図3〜図5、及び図9を参照して、揺動制御について具体的に説明する。
図9中に白丸(○)で示すように、プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600は、第1空白領域α及び第2空白領域γではメニスカスMの静止状態を維持し、揺動領域βでは揺動フラグに応じた揺動制御を行う。
ページP1については、第5列の揺動フラグはOFFとなり、第1列〜第4列、第6列〜第M列の揺動フラグはONとなる。よって、プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600は、領域D11において、第5列のノズル222のメニスカスMを静止状態(白丸(○))に保ち、第1列〜第4列、第6列〜第M列のノズル222のメニスカスMを揺動状態(二重丸(◎))にする。
また、ページP2については、第1列、第3列〜第5列、第7列〜第M列の揺動フラグがONとなる。よって、プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600は、ページP1とP2との間の領域D12において、第1列、第3列〜第5列、第7列〜第M列のノズル222のメニスカスMを揺動させる。
さらに、本実施形態では、用紙Pに印字を行う際に、プリンタエンジン部730及びヘッド駆動部600が、あるノズル222について、吐出画素の前に空白画素が10以上続く場合には、吐出画素の10画素手前の画素から直前の画素まで当該ノズル222を揺動させる。
例えば、図9に示すページP2においては、第3列の第12ライン目(図示せず)に吐出画素が初めて出現し、第3列の第1ラインから第11ライン(図示せず)までは空白画素となっている。従って、ページP2の第3列については、対応するノズル222を第2ライン目から第11ライン目まで揺動させる。
ここで、吐出画素の10画素手前の画素からノズル222の揺動を開始するのは、以下の理由による。すなわち、制御装置700が空白画素を認識するためには、ヘッド駆動部600の近傍にラインバッファを配置する必要がある。ラインバッファを多くするほど制御装置700がより多くの空白画素を認識できるが、製造コストが高騰するため、ノズル222を揺動させる期間を10画素分とした。なお、ノズル222を吐出画素の直前に揺動させる態様としては、吐出画素の10画素手前からに限定されない。
以上のように、インクジェット記録装置1では、紙間の領域D11、D12の後で最初に印字される画像データの印字に使用されるノズル222のメニスカスMを領域D11、D12中に揺動させるため、メニスカス面およびその近傍におけるインクの粘度の上昇を抑制することができる。
また、インクジェット記録装置1では、画像データの印字に使用されるノズル222のメニスカスMをインク滴の吐出直前に揺動させるため、メニスカスMの表面から水分が蒸発することによりインクの内部流動が生じて顔料粒子がノズル222の先端部から内部へ移動したとしても、メニスカスMの揺動によってインクが流動して顔料粒子がノズル222の先端部に移動する。従って、インクの透明化の進行による画像不良を抑制できる。また、単ページや連続ページの印字において、ノズル222の非吐出期間が長い場合や、低印字率が続く場合でも、ノズル222から安定してインク滴を吐出できる。
なお、画像データ解析部750による各ページの画像データの解析実行のタイミングは、各ページの印字実行開始より前であればよく、揺動制御を行うことができる範囲で適宜設定される。また、このタイミングは、画像データ解析部750のメモリ757の大きさに応じても変更可能である。
例えば、メモリ757が10ページ分の揺動フラグを保持できるとする。この場合、互いに異なる画像データで構成される10ページ分の画像データの印字を実行すると、画像データ解析部12は、印字開始前に全てのページの画像データを解析して、各ページについて揺動フラグを設定し、揺動フラグを記憶することができる。
また、例えば、メモリ757が、2ページ分の画像の揺動フラグを保持できる場合には、10ページ分の画像データを印字するとき、画像データ解析部750は印字順序に沿って2ページずつ解析して揺動フラグを設定する。そして、この揺動フラグによる揺動制御が完了して、もはやこの2ページ分の揺動フラグを保持する必要が無くなったときにメモリ757に保持された揺動フラグを消去して、次の2ページ分の解析と揺動フラグの設定を行う。
また、同一の画像を複数部印刷する場合には、画像データ解析部750が1つの画像データについて得た解析結果を用いて、複数ページについての揺動制御が行われてもよい。例えば、同一の画像データをページP1とページP2とに連続して印字する場合は、プリンタエンジン部730とヘッド駆動部600は、画像データ解析部750が画像データに基づいて設定した揺動フラグに基づいて、最初のページP1の揺動パターンと次のページP2の揺動パターンとを同一のパターンとすることができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、ノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの周囲の環境の温度及び湿度に応じて、吐出画素に対応するノズル222の駆動波形を変更する。
図12は駆動パルス(4)の駆動波形の説明図であり、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示す。図12において、時間aは圧電素子232に電圧を印加しない時間を示し、時間bは圧電素子232に電圧を印加する時間を示す。駆動パルス(4)の駆動波形は、時間a+bをノズルヘッド221K、221C、221M、及び221Yの固有振動周期とし、この固有振動周期の間の波形を基本波形とし、この基本波形を所定回数(例えば4回)繰り返した波形を駆動波形とする。
図13は、駆動パルス(4)の駆動波形を選択するための温湿度テーブルを示す図であり、横軸は温度を示し、縦軸は湿度を示す。
本実施形態では、低温低湿環境I(温度が0℃以上25℃以下、湿度が0%以上40%以下)のときには、時間aを時間(a+b)の1/5以上1/3以下とする。
また、本実施形態では、高温低湿環境II(温度が25℃よりも大きく且つ50℃以下、湿度が0%以上40%以下)のときには、時間aを時間(a+b)の1/7以上1/5以下とする。
また、本実施形態では、低温高湿環境III(温度が0℃以上25℃以下、湿度が40%よりも大きく且つ100%以下)のときには、時間aを時間(a+b)の1/10以上1/7以下とする。
また、本実施形態では、高温高湿環境IV(温度が25℃よりも大きく且つ50℃以下、湿度が40%よりも大きく且つ100%以下)のときには、時間aを時間(a+b)の1/20以上1/10以下とする。
なお、時間aが時間(a+b)の1/3よりも大きい場合は、すべての環境において、ノズル222からインク液滴を吐出してしまうため、揺動波形として成り立たない。
図14〜図19は、ノズル222の揺動に用いる駆動波形とメニスカスMの速度とを示すグラフである。横軸は時間を示し、左側の縦軸は電圧を示し、右側の縦軸はメニスカスMの速度を示す。
図14は、低温低湿環境Iで、時間aが時間(a+b)の1/3である駆動波形を示している。図15は、低温低湿環境Iで、時間aが時間(a+b)の1/5である駆動波形を示している。図16は、高温低湿環境IIで、時間aが時間(a+b)の1/7である駆動波形を示している。図17は、低温高湿環境IIIで、時間aが時間(a+b)の1/10の駆動波形を示している。図18は、高温高湿環境IVで、時間aが時間(a+b)の1/20の駆動波形を示している。
図19は、時間aが時間(a+b)の1/40である駆動波形を示している。この場合は、時間aが低温低湿環境I、高温低湿環境II、低温高湿環境III及び高温高湿環境IVで設定した時間aの範囲には属しておらず、図14〜図18のグラフに対する比較例のグラフである。
なお、駆動パルス(4)の波形は、図14〜図18に示す形に限定されるものではなく、メニスカスMを揺動させ、かつインク滴を吐出させないものであればよい。
本実施形態の効果を確認するために、実験と評価を行った。温湿度環境に応じてノズルの駆動波形を変更しない画像形成装置(以下、「比較装置」と称する。)を用いて画像形成を行い、画像の品質を評価した。実験に先立って、実験に使用するインクを作製したので、まず、インクについて説明する。
(顔料分散方法)
インクに使用する顔料分散体に関しては、画像品質を求める場合には、微粒子かつ数万の分子量をもつ樹脂に被覆された顔料分散体が適している。上記条件を満たす材料として、スチレンアクリル樹脂を挙げることができるが、特に、酸価150〜300の範囲の樹脂が適している。すなわち、酸価が低い樹脂の場合には、顔料分散性が悪くなって微粒子化が困難となり、発色・着色力が落ちる。また酸価が高い場合には、インクの保存安定性が悪くなる。種々の材料を混合し、メディア型分散機にて混練を行った。分散機として湿式分散機を採用した。湿式分散機としては、例えば、浅田鉄工株式会社製のナノグレンミル(商品名)、日本コークス工業株式会社(旧社名:三井鉱山株式会社)製のMSCミル(商品名)、株式会社シンマルエンタープライゼス製のダイノーミル(商品名)等を用いることができる。
分散条件としては、小径ビーズ(直径0.5〜1.0mmのジルコニアビーズ)をベッセル内にセットし 顔料分散体の分散粒度(平均粒子径)が70〜130nmになるように調整した。また、ビーズ径を変えることで分散度合いや遊離樹脂量を変化させた。より小さいビーズ径にすれば容易に微粒子化ができ、かつ樹脂の顔料に対する被覆は強くなる。なお、粒度分布測定に関しては、シスメックス株式会社製のゼータサイザーナノ(商品名)を測定装置として使用し、試料をイオン交換水で300倍希釈した溶液にて測定した。
(顔料分散体配合)
図20は第2実施形態の効果を確認するための実験に用いるインクの顔料分散体の成分を示す図である。顔料はフタロシアニンブルーを使用した。顔料に対する樹脂量の比率は任意に変化させた。樹脂に関しては、水溶性(アルカリ可溶性樹脂)であり、水酸化カリウム(KOH)で等量中和している。
(アクリル樹脂の合成)
顔料分散体に使用したアクリル樹脂について、以下に説明する。合成方法としては、容易かつ安定的な重合方法であるマクロモノマー合成法を採用した。ポリスチレンの分子末端の1個に(メタ)アクリロイル基が結合したオリゴマー(Mn=6,000、東亜合成株式会社製のAS−6(商品名))を採用し、樹脂の比率に合うように、その他のモノマーを添加した。上記モノマーは、MEK中で、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等の公知の開始剤とともに添加した。その後、溶媒を減圧留去した。また、得られた樹脂の重量平均分子量をゲル濾過クロマトグラフィーにより確認し、得られた樹脂の酸価を滴定により確認した。
(インク作製方法)
図21は第2実施形態の効果を確認するための実験に用いるインクの成分を示す図である。Pig.4%にて評価した。なお、インクの粘度は、6mPa・sになるように調整した。
以下の項目について、上記のインクを用いて比較装置で形成した画像を評価した。
(間欠吐出性評価)
ノズルヘッドのパージ、ワイプ直後に紙間揺動を与え、任意の非印字部の間隔を作り、予備振動を与える。その後、横1ライン×5を光沢紙に印字させる。その先頭ラインの乱れ具合で、間欠での有効印字ライン数を評価する。評価の指標として、A3縦ライン相当の間欠吐出が可能であった場合は○、間欠吐出を達成しない場合は×とした。なお、インク吐出量が5.5plになるように制御して間欠吐出性を評価した。
(ベタ印字濃度測定評価)
ノズルヘッドのパージ、ワイプを行い、1hの非印字時間経過後、ベタ印字を行う。非吐出時間0minのベタ印字部分と比較して、濃度低下が0.04以下の場合は○、濃度低下が0.04よりも大きい場合は×とする。インク吐出量は5.5plになるように制御し、ベタ印字濃度を評価した。
(連続印字による抜けピン評価)
横1ライン11画素スペース×300の画像を連続100枚印字し、非吐出のノズルが発生しない場合は○、発生する場合は×とする。すべての評価において、紙間揺動の回数は300回、吐出前の駆動回数は5回である。また、ノズルヘッドの1秒間の駆動回数は20000回である。
図22は第2実施形態の比較装置の画像品質の評価結果を示す図である。図22において、「間欠」は上記の間欠吐出性評価を表し、「濃度」は上記のベタ印字濃度測定評価を表し、「抜けピン」は上記の連続印字による抜けピン評価を表す。
また、図22において、(1)は図14のグラフの駆動波形に対応する評価結果を示し、(2)は図15のグラフの駆動波形に対応する評価結果を示し、(3)は図16のグラフの駆動波形に対応する評価結果を示し、(4)は図17のグラフの駆動波形に対応する評価結果を示し、(5)は図18のグラフの駆動波形に対応する評価結果を示し、(6)は図19のグラフの駆動波形に対応する評価結果を示し、「揺動無し」はメニスカスの揺動を行わなかった場合の評価結果を示している。
図22(a)に示すように、低温低湿環境Iでは、(1)(図14の駆動波形(時間a=1/3))及び(2)(図15の駆動波形(時間a=1/5))のときに、「間欠」、「濃度」、及び「抜け」がいずれも○となる結果(以下「良好な結果」と略す。)が得られた。
また、図22(b)に示すように、高温低湿環境IIでは、(2)(図15の駆動波形(時間a=1/5))及び(3)(図16の駆動波形(時間a=1/7))のときに良好な結果が得られた。
また、図22(c)に示すように、低温高湿環境IIIでは、(3)(図16の駆動波形(時間a=1/7))及び(4)(図17の駆動波形(時間a=1/10))のときに良好な結果が得られた。
また、図22(d)に示すように、高温高湿環境IVでは、(4)(図17の駆動波形(時間a=1/10))及び(5)(図18の駆動波形(時間a=1/20))のときに良好な結果が得られた。
そして、(5)(図19に示す駆動波形(時間a=1/40)及び「揺動無し」(メニスカスの揺動を行わなかった)については、低温低湿環境I、高温低湿環境II、低温高湿環境III及び高温高湿環境IVのいずれにおいても良好な結果は得られなかった。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は図1〜図22に示される実施形態に限定されるものではなく、本実施形態に種々の改変を施すことができる。
例えば、本実施形態では、印字データの最大階調数が4であり、駆動パルスは(1)〜(4)の4種類であるが、本発明はそれらに限定されるものではない。例えば、階調数nの画像を形成する場合には、駆動信号発生回路は、各階調値に応じた、又はパルス数等が互いに異なる(n−1)種の駆動パルス(1)、(2)、(3)・・・・(n−1)を生成することができ、セレクタは、これらの複数の駆動パルスのいずれかを選択してもよい。この場合も、印字しないゼロ階調では駆動パルスを印加しなければよい。
また、本発明の実施形態では、インクジェット記録装置が用紙に画像形成を行う場合について説明したが、インクジェット記録装置が画像形成を行う被記録媒体は用紙以外のもの(例えば、プラスチックシート、布帛)であってもよい。
また、本実施形態では、装置筐体に固定されたライン型の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、そのようなインクジェット記録装置に限定されるものではない。例えば、装置筐体に対して移動する記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に本発明を適用してもよい。例えば、シリアル型の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に本発明を適用してもよい。
また、本発明は、水性顔料インク以外のインクを使用する画像形成装置にも適用可能である。
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で本実施形態に種々の改変を施すことができる。