JP6006631B2 - ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含有する硬化性樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含有する硬化性樹脂組成物及び硬化物 Download PDF

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本発明はビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含有する硬化性樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは、吸湿後の誘電特性と耐熱性に優れる硬化物を与える硬化性樹脂組成物に関する。更に本発明は、該樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、光学物品及び光学レンズに関する。
近年、電子機器の小型化が進むにつれ、電子素子の高集積化を行うためにプリント配線の多層化が進み、絶縁層と導体層を交互に形成、積層する所謂ビルドアップ工法が多く採用されるようになった。そして、ここで使用される樹脂絶縁材料には、情報の高速処理化、信号の高周波化による熱損失の低減のため、低誘電率であることが要求されるようになってきている。
光又は熱硬化性樹脂組成物としては、特開平6−1938号公報等で知られているが、これらは誘電率が満足できる程度には低くならない。一方、低誘電率を達成する手法として、特開2000−208889号公報や特開2001−126534号公報のように、フィラーを充填する方法や、空孔を持たせるといった技術が知られているが、いずれもパッケージの層間絶縁膜といった用途には、信頼性に劣るといった欠点がある。さらに、特開2004−300326号公報には、特定の不飽和化合物(A)に対して、光重合性の(メタ)アクリレート類(B)、エポキシ基を有する化合物(C)、及び光重合開始剤又は増感剤(D)を含有する光又は熱硬化性樹脂組成物において、硬化後において樹脂として存在することとなる樹脂分100g当たり、メタクリロイル基を50mmol以上含む光又は熱硬化性樹脂組成物が開示されており、低誘電性と高信頼性を両立できるとしている。しかし、最近、求められるようになって来ている低誘電特性には到達することはできなかった。
一方、携帯電話などに用いられる撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子の受光面に結像するレンズユニットとで構成される。レンズユニットに含まれるレンズは、近年、安価で成形性に優れる熱又は光硬化性の樹脂で形成されたレンズも用いられている。そして、撮像用のレンズを中心に硬化性樹脂組成物を使用した光学物品及び光学レンズにおいては、種々の光学特性の向上が求められている。光学特性向上で要求されている特性の例を挙げると、例えば、低比重、高透明性、低黄色度、高屈折率、高アッベ数、強靭性などの特性の向上が要求されている。特に、近年、携帯電話などに用いられる撮像ユニットでは、筐体の薄型化及びバッテリーの大容量化からの要求で、薄型化が強く求められている。レンズユニットを構成するレンズの薄肉化を可能にするためには、光学レンズ材料の高屈折率化が必要であった。
特開2008−94987号公報には、ビスフェノールフルオレン骨格を有する二官能(メタ)アクリレート化合物およびビフェニル骨格を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を有する光学材料用高屈折率樹脂組成物およびその硬化物が開示されている。しかし、これから得られる光学レンズは、近年、レンズユニットの薄型化で求められる高屈折率を満たすものではなく、また、寸法安定性についても不足したものであった。
特開平6−1938号公報 特開2000−208889号公報 特開2001−126534号公報 特開2004−300326号公報 特開2008−94987号公報
本発明は、高度の誘電特性(低誘電率・低誘電正接)を有し、かつ高いガラス転移温度と難燃性を有する硬化物を与えるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含有する硬化性組成物を提供することにある。また、この硬化性組成物から得られ、電気・電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料として優れる硬化物、成形体を提供することにある。また、本発明は高屈折率性などの光学特性に優れ、高い耐熱性と寸法安定性を与える光学部材と光学レンズを提供することにある。
本発明者らは、大きな平面構造と屈曲部位を持つビスフェノールフルオレン骨格を有するビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を配合した樹脂組成物が上記課題を解決するために有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物と重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
Figure 0006006631


(式(1)中、Ar1は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Yは水素またはメチル基を表し、nは1〜10の数を表し、R1及びR2メチル基を表す。p、qは独立に0〜2の整数を表す。)
また、本発明は、上記の硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形してなる硬化性フィルム、及びこれを硬化してなるフィルムである。更に、本発明は、上記の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。また、本発明は、上記の硬化性樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料、及びこれを硬化して得られた硬化複合材料である。
また、本発明は、上記の硬化物からなる光学物品、及び光学レンズである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、大きな平面構造と屈曲部位を持つビスフェノールフルオレン骨格を有するビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を硬化性化合物として使用することにより、分子内に分子サイズの大きな自由体積を有し、極性基が少ないことに起因して、高度の低誘電率特性の硬化物が得られる。そして、高度の難燃性・耐熱性で誘電率及び誘電正接の小さな材料を実現できるばかりではなく、高屈折率性をはじめとする光学特性に優れ、高い耐熱性と寸法安定性を有している光学材料も得ることができる。
本発明のビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含有する硬化性組成物は、硬化後において優れた耐薬品性、誘電特性、低吸水性、耐熱性、難燃性、機械特性を示し、電気産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等に用いることができる。特に片面、両面、多層プリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板等として用いることができる。
また、本発明の光学部材及び光学レンズは高屈折率性をはじめとする光学特性に優れ、高い耐熱性と寸法安定性を有していることから、小型カメラの撮像用、記録媒体の光ピックアップ、表示装置、照明装置、複写装置、印刷装置等の光学系、眼鏡、コンタクトレンズ等として用いることができる。
以下、本発明を更に説明する。
式(1)で表されるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物は、その製法は特に限定されるものではないが、下記式(2)で表される芳香族ビスハロメチル化合物と(メタ)アクリレート化合物とから合成することが望ましい。
Figure 0006006631

(式中、Ar、n、R、R、p及びqは式(1)と同意である。Xはハロゲン元素を表す。)
芳香族ビスハロメチル化合物は、その製法は特に限定されるものではないが、ビスフェノールフルオレン系化合物と-CH2-Ar1-CH2-で表わされる架橋基を与えるを芳香族架橋剤を反応させて合成することが望ましい。芳香族架橋剤としては、ビスハロメチル類、ビスヒドロキシメチル類等があるが、ビスハロメチル類が好ましい。
なお、本明細書中で、同一の記号は特に断りがない限り、同一の意味を有する。
式(1)中のArで表される構造単位は炭素数6〜50の芳香族炭化水素からなる芳香族架橋剤より誘導される構造単位である。芳香族架橋剤の内で好適なものとしては、例えば下記式(3)で表される芳香族ビスハロメチル類を挙げることができる。
Figure 0006006631

(式中、Ar及びXは、式(2)と同意である。)
Arの具体例としては、−Ph−、−Ph−Ph−、−Np−、−Np−CH−Np−、−Ph−CH−Ph−、−Ph−C(CH−Ph−、−Ph−CH(CH)−Ph−、−Ph−CH(C)−Ph−、−Ph−Flu−Ph−、及び−Flu(CH−からなる群れから選ばれる炭素数6〜50の芳香族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは、炭素数が6〜20である芳香族炭化水素基である。ここで、Phはフェニレン基(-C-)を表し、Npはナフチレン基(-C10−)を表し、Fluはフルオレニル基を表す。ここで、Ph、NpおよびFluは、置換基を有しても良く、例えば、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基である。好ましくは炭素数が1〜6までのアルキル基である。特に好ましくは、無置換、メチル置換及びジメチル置換の−Ph−Ph−及び−Ph−である。Xはハロゲン元素を表すが、塩素、臭素、及びヨウ素から選ばれるハロゲン元素が工業的実施における入手の容易さより、好んで使用される。好ましくは塩素である。
式(1)中、nは1〜10の数を表すが、分子量分布を有するときは、平均値(数平均)である。式(1)中、p、qは各々0〜2の整数を表す。 1 、R 2 各々炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R1、R2は好ましくはC1〜6のアルキル又はフェニルであり、p、qは好ましくは0又は1である。本発明においては、R 1 、R 2 はメチル基である。
芳香族架橋剤と反応させるビスフェノールフルオレン系化合物としては、下記式(4)で表される化合物が好適であるが、これらに限定される訳ではない。
Figure 0006006631

(式中、R、R、p及びqは式(1)と同じ意味を有する。)
上記式(4)で表されるビスフェノールフルオレン系化合物をさらに具体的に例示すると、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より好ましくは、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンである。
上記式(2)の芳香族ビスハロメチル化合物は、好適には式(3)の芳香族ビスハロメチル類と式(4)のビスフェノールフルオレン系化合物とを反応させて合成される(工程A)。
芳香族ビスハロメチル類とビスフェノールフルオレン系化合物(芳香族ジヒドロキシ化合物ともいう)の使用割合は、当量比(ハロメチル:OHのモル比)で100:20〜100:99であることが好ましい。この範囲内であると、芳香族ジヒドロキシ化合物の全量に近い量が芳香族ビスハロメチル類と反応し、両末端に芳香族ビスハロメチル類のハロメチル基が残ったオリゴマーとなる。そして、上記当量比を制御することでnの数を制御することができる。このnの値は、1〜10であり更に好ましくは、1.2〜10、更に好ましくは1.2〜8、特に好ましくは1.2〜5である。なお、nは通常、平均値である。本明細書において、平均値の場合は数平均を意味する。
この工程Aでは、前記芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ビスハロメチル化合物との反応を促進させるため、アルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることがよい。
次に、式(1)で表されるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物は、その製法は特に限定されるものではないが、式(2)の芳香族ビスハロメチル化合物と(メタ)アクリレート化合物とから合成することが望ましい。
ジビニルベンジルエーテル化合物の製造において、工程Aで得られた式(2)で表される芳香族ビスハロメチル化合物と(メタ)アクリレート基部分を与える化合物を反応させるのが工業的に有利である。この反応工程を工程Bという。
式(1)における(メタ)アクリレート基部分を与える化合物としては、メタクリル酸、アクリル酸、無水メタクリル酸、無水アクリル酸及びこれらの混合物が使用できる。また、アルカリ金属(メタ)アクリレートも使用でき、反応がより容易に進行する。この場合は、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸カリウム、又は(メタ)アクリル酸ナトリウムであってよい。
工程Bの反応温度および反応時間は、反応に応じ適宜選択すればよいが、それぞれ30〜100℃、0.5〜20時間の範囲であれば十分に反応が進行する。
上記反応により式(3)で表されるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を得ることができる。この反応により得られたビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物は、さらに再沈精製あるいは再結晶により精製することにより不純物の含有量を低減できる。
本発明の硬化性組成物は、式(1)で表されるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物と重合開始剤とを含有する。重合開始剤としては、ビニル化合物の重合開始剤として公知の重合開始剤で良く、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射またはラジカル重合開始剤を適用できるが、ラジカル重合開始剤(ラジカル重合触媒ともいう。)が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、本発明の樹脂組成物は後述するように加熱、あるいは、活性エネルギー線の照射等の手段により、架橋反応を起こして硬化するが、その際、反応温度を低くしたり、不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル重合開始剤を含有させる。この目的で用いられるラジカル重合開始剤の量はビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を基準として0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。ラジカル重合開始剤はラジカル重合触媒であるので、以下ラジカル重合開始剤で代表する。
加熱によって架橋反応を起こさせるラジカル重合開始剤の代表的な例を挙げると、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンも加熱による架橋反応促進のためのラジカル重合開始剤(又は重合触媒)として使用できる。
一方、紫外線や電子線といった活性エネルギー線を照射することによって、架橋反応を促進させるラジカル重合開始剤の代表的な例を挙げると、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上の混合物として使用でき、更にはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することができるが、これらの例に限定されない。
ラジカル重合開始剤の配合量は、ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物に対し、0.01〜10重量部の範囲であれば、本樹脂組成物中に溶存している酸素によって硬化反応が阻害されることもなく良好に反応が進行する。
また、ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物含有硬化性組成物に、必要に応じて、本発明のビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物と共重合可能な他の重合性モノマーを配合して硬化させてもよい。
共重合可能な重合性モノマーとしては、スチレン、スチレンダイマー、アルファメチルスチレン、アルファメチルスチレンダイマー、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジブロモスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、アセナフチレン、ジビニルベンジルエーテル、アリルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620等)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフロフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のモノマー類を挙げることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、既知の熱硬化性樹脂、例えば、ビニルエステル樹脂、ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリシアナート樹脂、フェノール樹脂等や、既知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、PPS樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等や、あるいは、既知の熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等やあるいはゴム類、例えばポリブタジェン、ポリイソプレンと配合することも可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物には、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等の無機質充填材、デカブロモジフェニルエタン、臭素化ポリスチレン等の難燃性付与剤を併用することにより、誘電特性や難燃性あるいは耐熱性が要求される電気又は電子部品材料、とりわけ半導体封止材料や回路基板用ワニスとして特に有用に使用できる。
前記回路基板材料用ワニスは、本発明の硬化性樹脂組成物をトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の溶剤に溶解させることにより製造することができる。なお、前記回路基板材料は、具体的には、プリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムとして使用できる。例えば、半導体封止材料の硬化物は注型物又は成型物であり、かかる用途の硬化物を得る方法としては、該化合物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機、圧縮成形機などを用いて成形し、さらに80〜230℃で0.5〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。本発明の硬化性樹脂組成物は活性エネルギー線照射装置を使用して、活性エネルギー線を照射することにより硬化物を得ることができる。ここで、活性エネルギー線を照射して硬化する場合に用いられる光源の具体例としては、例えば、キセノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、複写用高圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、あるいは走査型、カーテン型電子線加速路による電子線等を挙げることができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物を紫外線照射により硬化する場合、硬化に必要な紫外線照射量は300〜40000mJ/cm2程度でよい。なお、樹脂組成物を十分に硬化するために、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で紫外線等の活性エネルギー線を照射することが望ましい。
また、回路基板用ワニスの硬化物は積層物であり、この硬化物を得る方法としては、回路基板用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを単独同士で、あるいは銅箔等の金属箔と積層し熱プレス成形して得ることができる。
また、チタン酸バリウム等の無機の高誘電体粉末、あるいはフェライト等の無機磁性体を配合することにより電子部品用材料、特に高周波電子部品材料として有用である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、後述する硬化複合材料と同様、金属箔(金属板を含む意味である。以下、同じ。)と張り合わせて用いることができる。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性樹脂組成物による硬化性複合材料には、機械的強度を高め、寸法安定性を増大させるために基材を加える。
このような基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布及びその他合成若しくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルア ルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維から得られる織布又は不織布、綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙ーガラス混繊紙などの天然セルロース系布などの布類、紙類等がそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
基材の占める割合は、硬化性複合材料中に5〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、更に好ましくは20〜70wt%であることがよい。基材が5wt%より少なくなると複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また基材が90wt%より多くなると複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を前述の芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の硬化性複合材料を、加熱等の方法により硬化することによって硬化複合材料が得られる。その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。また、一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。
本発明の硬化性複合材料の成形及び硬化は、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm、時間:1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度:150〜250℃、圧力1〜500kg/cm、時間:1分〜5時間の範囲で行うことができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を含む積層体とは、本発明の硬化複合材料の層と金属箔の層より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物を含む積層体を製造する方法としては、例えば上で説明した本発明の硬化性樹脂組成物と基材から得た硬化性複合材料と、金属箔を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の硬化性樹脂組成物の積層体においては、硬化複合材料と金属箔が任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
金属箔との接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化複合材料の製造と同様の条件で行うことができる。
本発明の硬化性樹脂組成物から得られるフィルムとは、本発明の硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形した硬化性フィルム、及びこれを硬化した硬化フィルムである。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明のフィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルムなどの樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。硬化性フィルムは、用途に応じて適用前又は後に硬化させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を使用した樹脂付き金属箔とは、本発明の硬化性樹脂組成物と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物を使用した樹脂付き金属箔を製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明のビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物を硬化して光学物品及び光学レンズを製造する方法としては、加熱もしくは活性エネルギー線の照射といった通常用いられている方法を好適に使用することができ、後述するように樹脂組成物の種類に応じて適宜選択することができるが、上記硬化性樹脂組成物を5分以内で硬化させて硬化物を製造する方法であることが好ましい。具体的には、上記硬化性樹脂組成物を、硬化物の形状に合わせた金型に該混合液を塗出して、5分以内で硬化させることが好ましい。金型を用いた硬化を短時間で行うことにより、経済性に優れた方法とすることができる。このように、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて光学物品及び光学レンズを製造する方法である。
上記硬化時間(金型を用いた硬化時間)が5分を超えると、生産性が悪くなる。より好ましくは、3分以内であり、更に好ましくは、2分以内であり、最も好ましくは、1分以内である。加熱によって硬化させる場合には、硬化温度としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができるが、80〜250℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜220℃であり、更に好ましくは、120〜200℃である。
本発明のビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによっても硬化物を得ることができる。ここで本発明の光学物品及び光学レンズの成形に用いられる硬化性樹脂組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化する場合に用いられる光源の具体例としては、例えば、キセノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、複写用高圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、あるいは走査型、カーテン型電子線加速路による電子線等を挙げることができる。また、本発明の樹脂組成物を紫外線照射により硬化する場合、硬化に必要な紫外線照射量は300〜30,000mJ/cm2程度でよい。なお、本発明の樹脂組成物を十分に硬化するために、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で紫外線等の活性エネルギー線を照射することが望ましい。
本発明のビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物においては、上記のように金型を用いて5分以内で硬化させた後、硬化物を金型から取り出し、ポストキュア(ベーク)を行うことか好ましい。ポストキュアを行うことにより、硬化物が充分な硬度をもち、種々の用途に好適に用いることができる。また、ポストキュアにおいては、ある程度の硬度を持つ硬化物を更に硬化させる点から、取り扱い性に優れている。そのため、金型を用いないでよいことから、小さな面積で大量の製品をポストキュアできる利点がある。
上記ポストキュアにおいて、硬化温度及び硬化時間としては、硬化させる樹脂組成物等に応じて適宜設定することができる。例えば、硬化温度としては、80〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜180℃であり、更に好ましくは、110〜150℃である。ポストキュアの硬化時間としては、硬化温度にも依存するが、1〜48時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、1〜5時間である。
本発明のビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物は、上述する硬化方法によって硬化した光学物品を得ることができ、このような硬化した光学物品は、種々の光学特性に優れた光学物品及び光学レンズとなる。
例えば、ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物を使用した光学物品の濁度(ヘイズ)としては、2%以下であることが好ましい。
このように、上記ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物を使用した光学物品の濁度が、2%以下である樹脂組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
硬化した光学物品の濁度としてより好ましくは2%以下であり、更に好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.7%以下である。透明性としては、可視光領域(波長が450〜780nmの領域)の光透過率が85%以上であることが好ましい。硬化物の光線透過率はより好ましくは87%以上であり、更に好ましくは88%以上であり、特に好ましくは、89%以上である。
上記光学物品の用途として具体的には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラや携帯電話や車裁カメラ等カメラレンズ、フィルター、回折格子、プリズム、光案内子、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズ、ウォッチガラス、表示装置用のカバーガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途;フォトセンサー、フォトスイッチ、LED、発光素子、光導波管、合波器、分波器、断路器、光分割器、光ファイバー接着剤等のオプトデバイス用途;LCDや有機ELやPDP等の表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、ディスプレイ保護膜、ディスプレイバックライト、導光板、反射防止フィルム、防曇フィルム等の表示デバイス用途等が好適である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の測定結果は以下に示す方法により試料調製及び測定を行ったものである。
1)芳香族ビスハロメチル化合物、及びビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物のGPC純度
分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。UV検出器(波長:254nm)で検出された各ピークの面積比により算出した。分子量は単分散ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量として測定を行った。
2)芳香族ビスハロメチル化合物、及びビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物の構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及びH−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−dを使用した。NMR測定溶媒であるテトラクロロエタン−dの共鳴線を内部標準として使用した。
3)粘度
E型粘度計を使用して、25℃の温度で測定を行った。
4)誘電率及び誘電正接
硬化性樹脂組成物ワニスを0.2mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm、UV照射量:6,000mJ/cmでUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について諸特性を測定した。また、この厚み0.2mmの平板硬化物を0.3cm×10cmに切り出して試験片を作成し、JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。
5)線膨張係数(CTE)及びガラス転移温度(Tg)測定用試験片の調製及び測定
硬化性樹脂組成物をシリコンゴム製の200μm厚のスペーサーを介した2枚のガラス基板からなる型の間に流し込むことによって、注型サンプルを作成し、減圧下、気泡を取り除いた。その後、熱硬化型サンプルについては、窒素気流下のイナートオーブンに注型サンプルをセットし、段階的に15分かけて昇温操作を行った後、200℃で60分間熱硬化させた。一方、UV硬化型サンプルについては、高圧水銀ランプを光源とするコンベア式UV照射装置を使用して、UV照射量:6,000mJ/cmでUV硬化を行った。熱硬化サンプル及びUV硬化サンプルのいずれについても、空気気流下、イナートオーブンを使用して、200℃で30分間、ポストキュアを行った。得られた200μm厚の平板から3mm幅の平板サンプルを作成し、CTE測定(TMA法)及びTg測定(DMA法)用の試験片として使用した。
CTE測定(TMA法)は、上記の方法で作成した試験片をTMA(熱機械分析装置)測定装置の分析用プローブにセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャンさせることにより測定を行い、0〜40℃の温度範囲における平均線膨張係数を求めた。
一方、上記の方法で作成した硬化試験片のTgの測定は動的粘弾性測定装置を使用し、昇温速度2℃/minで測定を行い、損失弾性率のピークより決定した。
6)難燃性の測定
線膨張係数(CTE)及びガラス転移温度(Tg)測定用試験片を作成する際に、作成した平板からサンプリングをおこなった硬化サンプルを用いて、TGA(熱天秤)測定装置を使用して、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から600℃までスキャンさせることにより測定を行い、550℃におけるチャー(炭化物)生成量により下記の通り、難燃性を求めた。
難燃性A:チャー生成量>40wt%
難燃性B:25wt%<チャー生成量≦40wt%
難燃性C:18wt%<チャー生成量≦25wt%
難燃性D:10wt%<チャー生成量≦18wt%
難燃性E:チャー生成量≦10wt%
7)YI、Haze及び全光線透過率の測定
YI、Haze及び全光線透過率の測定は、調製した硬化性樹脂組成物ワニスを1.0mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm、UV照射量:6,000mJ/cmでUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について、濁度計及び色差計を使用して測定した。
8)屈折率及びアッベ数の測定
屈折率及びアッベ数の測定は、調製した硬化性樹脂組成物ワニスを1.0mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm、UV照射量:6,000mJ/cmでUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、硬化物平板を得た。得られた硬化物平板の端面をプリズム加工し、真空乾燥器で、60℃で5時間乾燥させた後、20℃、60%RHの恒温恒湿器の槽内に2日間以上置き、状態調節を行った。カルニュー屈折率計KPR-2000(島津デバイス製造社製)を用いて、25℃にて、屈折率を測定し、得られた屈折率データよりアッベ数を算出した。
9)成形性
銅箔光沢面に黒化処理を行った銅張り積層板(銅箔層/コア層=35μm/300μm)の黒化処理を行った銅箔面の上に、硬化性樹脂組成物の未硬化フィルムを積層し、真空ラミネーターを用いて、温度:110℃、プレス圧:0.1MPaで真空ラミネートを行い、黒化処理銅箔とフィルムの接着状態により評価を行った。評価は黒化処理銅箔とフィルムの接着状態が良好であったものを「○」、黒化処理銅箔とフィルムとが容易に剥離することができる接着状態のものを「×」として評価した。
実施例1(合成例)
反応容器に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン140.16g(0.40モル)、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル141.40g(0.88モル)、及び、アセトン1200mlを加え攪拌しながら78℃に昇温した。次いで、78℃に保った反応容器にKOH−MeOH(KOH:0.88モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに78℃で4h攪拌を継続した。4h後、室温まで冷却し、トルエン900mlを加え、さらに10%HClを加えて中和した。その後、水相を分液することにより分離し、さらに水300mlで3回分液洗浄した。
得られた有機相を蒸留することにより濃縮し、メタノールを加えて生成物を再沈殿した。沈殿を濾過・乾燥し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンと4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルとの反応生成物である芳香族ビスクロロメチル化合物A(2CM−DMBP−BPFZ)169.33gを得た。得られた2CM−DMBP−BPFZは白色紛体であった。
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、フェノール性水酸基に由来するピークが減少していること、3)H−NMR測定結果において、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルのクロロメチル基に由来するプロトンの共鳴線が減少し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線が生成していることが確認され、芳香族ビスクロロメチル化合物A(2CM−DMBP−BPFZ)が得られていることを確認した。
2CM−DMBP−BPFZのn=1以上の成分のGPC純度(面積比)は、下記の通りであった。
n=1成分:7.8%
n=2成分:27.2%
n=3成分:30.6%
n=4成分:18.2%
n=5以上の成分:15.1%
その他の成分(低分子量成分):1.2%
2CM−DMBP−BPFZのTGA測定を行ったところ、TGA測定結果における、示差熱分析(DTA)曲線には、220℃と271℃に発熱ピークが観察された。そして、220℃の発熱ピークでは0.75wt%、271℃の発熱ピークでは、4.88wt%の重量減少が観察された。また、600℃における、炭化物生成量は、62.2wt%であった。
実施例2(合成例)
反応容器に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン140.16g(0.40モル)、α,α’−ジクロロ−p−キシレン157.20g(0.88モル)、及び、MEK1200mlを加え攪拌しながら78℃に昇温した。次いで、78℃に保った反応容器にKOH−MeOH(KOH:0.88モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに78℃で4h攪拌を継続した。4h後、室温まで冷却し、トルエン900mlを加え、さらに10%HClを加えて中和した。その後、水相を分液することにより分離し、さらに水300mlで3回分液洗浄した。
得られた有機相を蒸留することにより濃縮し、メタノールを加えて生成物を再沈殿した。沈殿を濾過・乾燥し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとα,α’−ジクロロ−p−キシレンとの反応生成物である芳香族ビスクロロメチル化合物B(2CM−Xy−BPFZ)123.57gを得た。
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、1H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、フェノール性水酸基に由来するピークが減少していること、3)H−NMRで、α,α’−ジクロロ−p−キシレンのクロロメチル基に由来するプロトンの共鳴線が減少し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線が生成していることが確認され、芳香族ビスクロロメチル化合物B(2CM−Xy−BPFZ)が得られていることを確認した。
2CM−Xy−BPFZのn=1以上の成分のGPC純度は、下記の通りであった。
n=1成分:36.3%
n=2成分:28.5%
n=3成分:19.6%
n=4成分:10.6%
n=5以上の成分:4.1%
その他の成分(低分子量成分):0.9%
2CM−Xy−BPFZのTGA測定を行ったところ、TGA測定結果における、示差熱分析(DTA)曲線には、219℃と268℃に発熱ピークが観察された。そして、219℃の発熱ピークでは0.81wt%、271℃の発熱ピークでは、5.21wt%の重量減少が観察された。また、600℃における炭化物生成量は、57.8wt%であった。
実施例3
反応容器に、炭酸カリウム15.28g(0.11モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、メタクリル酸19.13g(0.22モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、実施例1で得た2CM−DMBP−BPFZ 58.27gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−DMBP−BPFZとメタクリル酸との反応生成物である2MA−DMBP−BPFZ52.64gを得た。
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、IRよりカルボニル基が生成していること、H−NMRで、メタクリル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、2MA−DMBP−BPFZが得られていることを確認した。
実施例4
反応容器に、炭酸カリウム14.59g(0.105モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、メタクリル酸18.26g(0.21モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、実施例2で得た2CM−Xy−BPFZ 62.76gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−Xy−BPFZとメタクリル酸との反応生成物である2MA−Xy−BPFZ69.53gを得た。
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、カルボニル基が生成していること、H−NMRで、メタクリル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、2MA−Xy−BPFZが得られていることを確認した。
合成例1
500ml四つ口フラスコ中にビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂231g(エポキシ当量231)と、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド450mgと、2,6−ジ−イソブチルフェノール100mgと、アクリル酸72.0gを仕込んで混合し、空気を毎分25mlの速度で吹き込みながら90〜100℃で加熱して溶解させた。この溶液は白濁していたがそのまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全に溶解させた。溶液は次第に透明粘稠になったがそのまま攪拌し続け、この間に酸価を測定して酸価が2.0mgKOH/g未満になるまでこの加熱攪拌を継続した。酸価が目標(酸価0.8)に達するまで8時間を要した。その後、室温まで冷却し、無色透明な固体のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂243.6gを得た。
実施例5
実施例3で得られた2MA−DMBP−BPFZ 8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスA)を得た。
調製したワニスAを0.2mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm、UV照射量:6,000mJ/cmでUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について諸特性を測定した。また、この厚み0.2mmの平板硬化物を0.3cm×10cmに切り出して試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
比較例1
合成例1で得られたビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスB)を得た。
調製したワニスBを0.2mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm、UV照射量:6,000mJ/cmでUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について諸特性を測定した。また、この厚み0.2mmの平板硬化物を0.3cm×10cmに切り出して試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
表中、BPF樹脂は、ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂である。
Figure 0006006631
実施例6(合成例)
反応容器に、炭酸カリウム15.28g(0.11モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、アクリル酸15.85g(0.22モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、実施例1で得た2CM−DMBP−BPFZ 58.27gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−DMBP−BPFZとアクリル酸との反応生成物である2A−DMBP−BPFZ49.87gを得た。
実施例7(合成例)
反応容器に、炭酸カリウム14.59g(0.105モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、アクリル酸15.13g(0.21モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、実施例2で得た2CM−Xy−BPFZ 62.76gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−Xy−BPFZとアクリル酸との反応生成物である2A−Xy−BPFZ54.3gを得た。
実施例8
実施例6で得られた2A−DMBP−BPFZ 8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスC)を得た。
調製したワニスCを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表2に示した。
実施例9
実施例7で得られた2A−Xy−BPFZ 8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスD)を得た。
調製したワニスDを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表2に示した。
Figure 0006006631
実施例10
実施例3で得られた2MA−DMBP−BPFZ 11gと反応性希釈剤としてジビニルベンゼン(新日鐵化学(株)製、商品名:DVB960)2g、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、商品名:オグソールEA−0200)1g及び、フェニルチオエチルアクリレート(BIMAX社製、商品名:BX−PTEA)6g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40g、及び、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーブチルO)0.04gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスE)を得た。
調製したワニスEを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
実施例11
実施例4で得られた2MA−Xy−BPFZ 11gと反応性希釈剤としてジビニルベンゼン(新日鐵化学(株)製、商品名:DVB960)2g、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、商品名:オグソールEA−0200)1g及び、フェニルチオエチルアクリレート(BIMAX社製、商品名:BX−PTEA)6g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40g、及び、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーブチルO)0.04gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスF)を得た。
調製したワニスFを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
Figure 0006006631

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表されるビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物と重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006006631


    (式(1)中、Ar1は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、Yは水素またはメチル基を表し、nは1〜10の数を表し、R1及びR2メチル基を表す。p、qは独立に0〜2の整数を表す。)
  2. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形してなる硬化性フィルム。
  3. 請求項2に記載の硬化性フィルムを硬化してなるフィルム。
  4. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  5. 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料。
  6. 請求項5に記載の硬化性複合材料を硬化して得られたことを特徴とする硬化複合材料。
  7. 請求項4に記載の硬化物からなる光学物品。
  8. 光学物品が光学レンズである請求項7に記載の光学物品。
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