ところで、例えばアジ、サバ、イワシのような中型魚や小型魚などは、鮮魚小売店において、三枚おろしされた状態で一般消費者向けに販売されている代表的な魚である。このような中型魚や小型魚などは、三枚おろしされた半身が店頭で販売される際、ピンボーンだけでなく、ろっ骨等のように、魚身の長さ方向に延びる直線から外れた位置に存在する小骨なども、半身に残存した状態で提供されることが多い。このような状態の半身は、骨を抜きながら食べるのが面倒であるとの理由により、敬遠される傾向にある。そのため、小骨の抜き取られた状態の魚身の提供が望まれている。
しかしながら、特許文献1に開示されている装置は、ピンボーン抜き取り装置が水平面内の所定の位置に固定されており、その一方で、フィレーを載置されるコンベアは水平面内の一方向にしか移動できない。そのため、特許文献1に開示されている装置では、ピンボーン抜き取り装置の下方の地点を通りコンベアの搬送方向に延びる直線から外れた位置にある小骨を抜き取ることはできない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、魚身から小骨を、その存在位置に制約されることなく、自動的に抜き取るための機械を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の魚の小骨抜き取り機は、請求項1に記載したように、小骨抜き取り作業の対象となる魚身を支持する支持台と、前記支持台の上方に設けられ前記支持台に支持された魚身に存在する小骨を挟む作業ヘッドと、前記支持台と前記作業ヘッドとを水平面に対して平行な一方向である第一方向に相対移動させる第一相対移動装置と、前記支持台と前記作業ヘッドとを水平面に対して平行でありかつ前記第一方向に交差する方向である第二方向に相対移動させる第二相対移動装置と、前記支持台に支持された魚身から小骨が抜き取られる作業を撮像する撮像装置と、前記撮像装置が撮像した作業を表示する表示画面とを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記作業ヘッドが第一移動部材に取り付けられており、前記第一相対移動装置が前記第一移動部材を前記第一方向に移動させることにより、前記作業ヘッドが前記第一方向に移動可能であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の発明において、前記支持台が、水平面に対して平行な方向に、前記魚身を搬送可能であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、さらに、前記魚身の少なくとも一部を撮像可能な撮像装置を備えたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4記載の発明において、さらに、前記撮像装置が前記魚身の少なくとも一部を撮像する際に照明するための照明装置を備えたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5記載の発明において、前記撮像装置および前記照明装置が、前記支持台に対して上側に設けられたことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項5または6に記載の発明において、前記照明装置が、赤外線照射装置であることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項4〜7のいずれかに記載の発明において、さらに、前記撮像装置が撮像した前記魚身の少なくとも一部の画像を処理する画像処理コンピュータを備えたことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の発明において、前記画像処理コンピュータは、前記撮像装置が撮像した前記魚身の少なくとも一部の画像に基づいて、前記画像内における小骨の存在を認識することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の発明において、前記画像処理コンピュータは、存在が認識された前記画像内における小骨の位置を算出することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の発明において、さらに、前記第一相対移動装置、前記第二相対移動装置、および作業ヘッドの動作を制御する制御装置を備え、前記制御装置が、前記画像処理コンピュータにより算出された小骨の位置に基づいて、前記第一相対移動装置および前記第二相対移動装置の相対移動を制御することにより、前記支持台と前記作業ヘッドとを相対移動させ、作業ヘッドを制御することにより、前記魚身から小骨を抜き取ることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項1〜11に記載の発明において、前記作業ヘッドが、開閉により小骨を挟むことが可能な一対のチャック部材を備えたことを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項1〜11に記載の発明において、前記作業ヘッドが、小骨を挟む際に先端部が前記魚身の表面に接するように設けられた爪部材と、前記爪部材の先端に下周部を接して回転するように設けられた回転歯車体とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、支持台と作業ヘッドとが、水平面に対して平行な第一方向と第二方向とに相対移動可能である。したがって、支持台と作業ヘッドとを、水平面内における任意の位置に相対移動させることができるので、水平面内の任意の位置で、支持台に支持された魚身に残存する小骨を抜き取ることができる。支持台に支持された魚身と作業ヘッドとの相対移動は、魚身の全体を走査的に移動させてもよく、後述の請求項11に記載の発明のように、小骨の位置に基づいて移動させてもよい。また、作業者は、支持台に支持された魚身から小骨が抜き取られる作業の様子を確認することができる。
請求項2に係る発明によれば、前記作業ヘッドが第一移動部材に取り付けられており、前記第一相対移動装置が前記第一移動部材を前記第一方向に移動させるので、前記作業ヘッドが前記第一方向に移動可能である。この場合、前記第二相対移動装置によって前記第二方向へ移動させられるのは、前記作業ヘッドでもよく、前記支持台であってもよい。
請求項3に係る発明によれば、前記支持台が、水平面に対して平行な方向に、前記魚身を搬送可能である。したがって、本発明の魚の小骨抜き取り機に対して、小骨抜き取り作業の対象となる魚身を自動で搬入、搬出することが可能になり、より一層の作業の自動化を実現することができる。この場合、前記支持台は、水平面に対して平行な一方向に、前記魚身を搬送可能であってもよく、水平面に対して平行かつ互いに交差する複数の方向に前記魚身を搬送可能であってもよい。また、前記支持台の搬送機能を利用して、前記支持台を、前記第一相対移動装置および前記第二相対移動装置の一方または両方としてもよく、前記支持台とは別個に、前記第一相対移動装置および前記第二相対移動装置が設けられていてもよい。
請求項4に係る発明によれば、前記魚身の少なくとも一部を撮像可能な撮像装置を備えている。したがって、例えば本発明の魚の小骨抜き取り機が、表示画面を備えている場合には、撮像画像を作業者が確認することができる。例えば、撮像装置が、小骨抜き取り作業が行われるべき魚身の画像を撮像することにより、作業者は、小骨の存在位置を表示画面で確認することができる。また、撮像装置が、小骨抜き取り作業の様子を撮像することにより、作業者は、作業の様子をリアルタイムで確認することができる。あるいは、後述の請求項8に記載の発明のように、本発明の魚の小骨抜き取り機が、画像処理コンピュータを備えている場合には、撮像した画像を画像処理コンピュータへ伝送し、画像処理結果を支持台と作業ヘッドとの相対移動の制御に利用することができる。
請求項5に係る発明によれば、本発明の魚の小骨抜き取り機がさらに照明装置を備えている。したがって、前記撮像装置は、前記魚身の良好な画像を取得できる。この場合、照明装置は、X線照射装置や、可視光照射装置であってもよく、後述の請求項7に記載の発明のように、赤外線照射装置であってもよい。
請求項6に係る発明によれば、前記撮像装置および前記照明装置が、前記支持台に対して上側に設けられる。本発明の魚の小骨抜き取り機は、食品を扱う機械であるため、厳重な衛生管理が求められる。特に、前記魚身を支持する前記支持台は、こまめな洗浄、消毒が求められる。前記支持台の下部に位置する部材を減らすことにより、支持台の洗浄、消毒のための作業が容易になる。
請求項7に係る発明によれば、前記照明装置が、赤外線照射装置である。赤外線を前記魚身に照射することにより、前記魚身に残存している小骨を、魚肉に埋もれて肉眼では視認できないものも含め、撮像することができるため、後述の請求項9に記載の発明のように、前記撮像装置が撮像した画像に基づいて、小骨の存在を認識する場合には、本発明は特に有効である。
請求項8に係る発明によれば、本発明の魚の小骨抜き取り機が、前記撮像装置が撮像した前記魚身の少なくとも一部の画像を処理する画像処理コンピュータを備えているので、前記撮像装置が撮像した画像をより有効に利用することができる。
請求項9に係る発明によれば、前記画像処理コンピュータは、前記撮像装置が撮像した前記魚身の少なくとも一部の画像に基づいて、前記画像内における小骨の存在を認識する。したがって、小骨の存在に関するデータを有効に利用することができる。
請求項10に係る発明によれば、前記画像処理コンピュータは、存在が認識された前記画像内における小骨の位置を算出する。したがって、小骨の位置に関するデータを有効に利用することができる。
請求項11に係る発明によれば、前記画像処理コンピュータが算出した小骨の位置に基づいて、制御装置が、前記支持台と前記作業ヘッドとの相対移動を制御する。したがって、魚の小骨抜き取り作業を効率的に行うことができる。
請求項12に係る発明によれば、前記作業ヘッドが一対のチャック部材を備えており、チャック部材の開閉により小骨を挟むことができる。
請求項13に係る発明によれば、前記作業ヘッドは爪部材と、前記爪部材の先端に下周部を接して回転するように設けられた回転歯車体とを備えている。前記爪部材は、前記作業ヘッドが小骨を挟む際に、前記爪部材の先端部が前記魚身の表面に接するように設けられている。本発明によれば、爪部材と回転歯車体により、小骨を挟むことができる。
以下、本発明に係る魚の小骨抜き取り機の一実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
本小骨抜き取り機1は、図1に示すように、装置フレーム2、支持台としてのコンベア3、小骨抜き取り装置4、撮像システム5、これら装置等を制御する制御装置6(図7参照)等を備えている。小骨抜き取り作業の対象となる魚身7は、三枚おろしされた状態で、トレイ8上に載置されている。トレイ8の魚身載置面の縁部には、複数、本実施例においては2個の基準マーク9が対角に設けられている。本小骨抜き取り機1を構成する装置や部材類は、樹脂やステンレスなど、水気の多い環境に適した素材により構成されている。
前記小骨抜き取り装置4は、図1および図2に示すように、主に、本実施形態においては一対のチャック部材10を保持した作業ヘッド11、作業ヘッド11をトレイ8の魚身載置面に平行な水平面内の任意の位置へ移動させる作業ヘッド移動装置としてのXYロボット12、作業ヘッド11をその軸線まわりに回転させるヘッド回転装置13、作業ヘッド11を昇降させるヘッド昇降装置14、チャック部材10を開閉させるチャック部材駆動装置36等を備えている。
XYロボット12は、図1に示すように、第二移動部材としてのX軸スライド15、X軸スライド移動装置16、第一移動部材としてのY軸スライド17、Y軸スライド移動装置18を備えている。X軸スライド移動装置16は、X軸スライド駆動用モータ19、ボールねじ20およびナット(図示省略)を備え、X軸スライド15を第二方向としてのX軸方向に移動させ、X軸スライド15と共に第二相対移動装置としてのX軸移動装置21を構成している。Y軸スライド移動装置18は、Y軸スライド駆動用モータ22、ボールねじ23(図2参照)およびナット(図示省略)を備え、Y軸スライド17を第一方向としてのY軸方向に移動させ、Y軸スライド17と共に第一相対移動装置としてのY軸移動装置24を構成している。本小骨抜き取り機1においてX軸方向は水平な一方向であり、Y軸方向は水平面内においてX軸方向と直交する方向である。
作業ヘッド11は、図2に示すように、チャックホルダ25を備え、チャック部材10を着脱可能に保持している。作業ヘッド11がXYロボット12によってX軸方向およびY軸方向に移動させられ、水平面内の任意の位置に移動させられることにより、チャックホルダ25が、コンベア3に対して移動させられる。すなわち、コンベア3に支持されたトレイ8上の魚身7に対して移動させられる。さらに作業ヘッド11は、ヘッド昇降装置14により鉛直方向において任意の位置へ移動させられ、コンベア3に対して接近、離間させられる。すなわち、コンベア3に支持された魚身7に対して接近、離間させられる。作業ヘッド11が小骨存在位置へ下降させられ、一対のチャック部材10がチャック部材駆動装置36により開閉させられることにより、チャック部材10が小骨を挟み、作業ヘッド11が上昇させられることにより、小骨が抜き取られる。さらにヘッド回転装置13により、小骨に対するチャック部材10の向きを適切な角度に変更することができる。
Y軸スライド17にはまた、図2に示すように、作業ヘッド11と共に前記撮像システム5、および押さえ装置47が設けられている。本実施例において、撮像システム5は赤外線撮像システムである。撮像システム5は、撮像装置26、照明装置としての赤外線照射装置27、赤外線フィルタ28を含み、XYロボット12により作業ヘッド11等と共に水平面内の任意の位置へ移動させられ、トレイ8に対角に設けられた2個の基準マーク9およびトレイ8上の魚身全体を同一視野に入るように撮像する。本実施例においては、トレイ8は赤外線吸収性の高い素材で構成されており、基準マーク9は赤外線反射性の高い材料から構成されている。さらに本実施例の撮像システム5は、魚肉透過性の高い波長の赤外線を照射するので、トレイ8上に載置された魚身に残存している小骨を、魚肉に埋もれて肉眼では視認できないものも含め、撮像することができる。2個の基準マーク9と魚身に残存している小骨の撮像に基づいて、小骨が存在する位置を認識し、その座標を算出することにより、チャック部材10を小骨存在位置へ移動させることができる。
押さえ装置47は、押さえ部材48、押さえ装置昇降装置49、押さえ装置回転装置50を含み、XYロボット12により作業ヘッド11等と共に水平面内の任意の位置へ移動させられる。図3に示すように、押さえ部材48は、凹部62を備えている。押さえ装置47は、押さえ装置昇降装置49により、鉛直方向において任意の位置へ移動させられ、コンベア3に対して接近、離間させられる。すなわち、コンベア3に支持された魚身7に対して接近、離間させられる。作業ヘッド11のチャック部材10が小骨存在位置へ下降させられて小骨を挟み、抜き取る際に、押さえ部材48が魚身7を上方から押さえつけることにより、チャック部材10が小骨を抜き取るときの魚身7の移動や身崩れを防止する。さらに、押さえ装置回転装置50により、押さえ部材48の向きを、チャック部材10が小骨を抜き取るときに邪魔にならない角度に変更することができる。
コンベア3は、図4に示すように、装置フレーム2上にコンベアフレーム30が設けられており、駆動プーリ31と従動プーリ32がコンベアフレーム30に回転可能に支持されている。駆動プーリ31と従動プーリ32との間には、コンベアベルト29が無端状に掛け渡されている。駆動プーリ31および従動プーリ32の回転により、コンベアベルト29が周回させられるので、その上面に載置されたトレイ8が、ほぼ水平な状態を保って、X軸方向に搬送される。
図1に示すように、装置フレーム2において、X軸スライド15が移動可能な最上流端よりもさらに上流側に、魚身載置トレイ検知センサ51が設けられている。魚身載置トレイ検知センサ51は発光素子52および受光素子53を備えている。発光素子52および受光素子53は、鉛直方向において、コンベア上面よりもわずかに高い位置に設けられている。発光素子52から放射され、トレイ8上の魚身7により反射された光を受光素子53が受光し、検出することにより、魚身7を載置したトレイ8が検出される。
図1に示すように、コンベア3に隣接して、チャック部材クリーナ33が設けられている。チャック部材クリーナ33の一例としては、例えば図5に示すような、水を入れた容器である。魚身7から小骨を抜いたチャック部材10は、XYロボット12を利用して、コンベア3上の位置からチャック部材クリーナ33上の位置まで移動し、ヘッド昇降装置14を利用して、チャック部材クリーナ33の容器内に下降する。チャック部材10が容器内の水中に漬かった状態で、ヘッド回転装置13による回転、ヘッド昇降装置14による鉛直方向の移動、XYロボット12による水平方向の移動を、繰り返したり組み合わせたりすることにより、チャック部材10に付着した小骨を除去する。チャック部材クリーナ33は、小骨の抜き取りを行ったチャック部材10に付着した小骨をチャック部材から除去する機能を有するものであればどのような形態のものであってもよく、例えば、洗浄水を噴出するもの、エアで吸引するもの、ブラシでかき取るものであってもよい。
本小骨抜き取り装置1の上流側には、図6に示すように、トレイ供給装置55が設けられている。トレイ供給装置55は、小骨抜き取り作業の対象となる魚身7を載置した複数のトレイ8を上下方向に、互いに接触しない程度の間隔で収納したマガジン56、およびマガジン56を昇降させるマガジン昇降装置57、コンベア3の高さに位置するトレイをコンベア3へ向けて押し出すトレイ供給手段58等を備えており、魚身7を載置したトレイ8を、本小骨抜き取り装置1のコンベア3へ、1枚ずつ自動で供給することができる。本小骨抜き取り装置1の下流側には、トレイ収容装置59が設けられている。トレイ収容装置59は、小骨抜き取り作業の終了した魚身7を載置したトレイ8をマガジンに収容するものである。トレイ収容装置59には、トレイ供給手段58に代わり、例えばトレイの下流端を把持することによりマガジン内に引き込むトレイ引き込み手段等が設けられている。トレイ収容装置59のその他の構成要素は、トレイ供給装置55とほぼ同様である。
前記制御装置6は、図7に示すように、CPU42、ROM41、RAM43およびそれらを接続するバスを有する小骨抜き取り制御コンピュータ46を主体とするものである。バスには入出力インターフェイス39が接続されており、撮像システム5の撮像装置26の撮像により得られた画像データを処理する画像処理コンピュータ38、撮像装置26、入力装置44、エンコーダ40、魚身載置トレイ検知センサ51等の各種センサ等が接続されている。
入出力インターフェイス39にはまた、駆動回路37を介してコンベア3等の駆動源を構成する各種アクチュエータ等が接続され、制御回路54を介して表示画面45が接続されている。これらコンベア3等において駆動源を構成するモータは、アクチュエータの一種であり、本実施例においては、回転角度の精度の良い制御が可能なサーボモータにより構成されているものが多い。サーボモータに代えてステップモータを用いてもよい。これらサーボモータの回転角度は、エンコーダにより検出され、その検出結果に基づいてモータ等が制御される。図7には、それらエンコーダ40のうちの1つを代表的に示す。
ROM41およびRAM43には、本小骨抜き取り機1の基本動作プログラム、作業対象となる魚の種類および小骨の形状に応じた小骨抜き取り作業のプログラム(以後、小骨抜き取り作業プログラムと称する)等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶させられている。
次に、本小骨抜き取り機1の動作について説明する。まず、トレイ供給装置55のマガジン56から、小骨抜き取り作業の対象となる魚身7を載置した1枚のトレイ8が、トレイ供給手段58により、コンベア3に向けて押し出され、コンベア3上に供給される。コンベア3の回転によりトレイ8は搬送方向であるX軸方向に進む。トレイ8の下流端部が魚身載置トレイ検知センサ51を通過すると、発光素子52から放射された光がトレイ8または魚身7によって反射され、その反射光を受光素子53が受光するので、小骨抜き取り作業の対象となる魚身7を載置したトレイ8が小骨抜き取り機1のコンベア3に搬入されたことが検出される。
制御装置6は、魚身載置トレイ検知センサ51の検出を受け、魚身載置トレイ検知センサ51の検知の瞬間から設定時間経過後にコンベア3を停止させるようにコンベア3を制御する。コンベア3が停止したときにトレイ8が位置する場所が小骨抜き取り作業位置である。小骨抜き取り作業位置は、トレイ全体が確実にコンベア3上に安定して支持される位置に定められている。トレイ8が魚身載置トレイ検知センサ51を通過してから、小骨抜き取り作業位置である停止位置に到達するまでの距離は既知であり、コンベア3の運転速度も既知であるので、それらの値から移動に要する時間を算出し、その時間を設定時間として制御装置6に事前に入力しておくのである。移動に要する時間ではなく、移動に要するコンベアのモータのパルスを算出してコンベア3の制御に利用してもよい。
トレイ8が小骨抜き取り作業位置に到達してコンベア3が停止すると、XYロボット12によって、撮像システム5がトレイ撮像位置に移動する。トレイ撮像位置は、停止位置に停止したトレイ8に設けられた2個の基準マーク9および魚身全体を、撮像システム5が同一視野で撮像できる位置に定められている。赤外線照射装置27によって赤外線を照射された基準マーク9および魚身全体を、撮像装置26が撮像する。撮像システム5には赤外線フィルタ28が設けられており、赤外線反射性の高い材料から構成される基準マーク9および魚身に残存している小骨が明確に認識可能な画像が撮像される。撮像された画像は画像処理装置である画像処理コンピュータ38へ伝送される。
図8は撮像画像の一例である。画像処理コンピュータ38ははじめに、2個の基準マークが画像内に存在することを確認する。トレイ撮像位置は、撮像システム5が、停止位置に停止したトレイ8に設けられた2個の基準マーク9と魚身全体を同一視野で撮像できる位置に定められているが、これは、トレイ8が正規の停止位置に停止することを前提に定められている。実際は、コンベアベルト29に対してトレイ8がスリップするなどして、正規の停止位置からずれた位置に停止することがある。トレイ撮像位置はトレイ停止位置の多少の位置ずれを許容できるように定められているが、大きな位置ずれが発生した場合には、複数(本実施例においては2個)存在するはずの基準マークの一部しか画像内に存在しないことがある。基準マークの一部が撮像画像内に存在しないのであれば、魚身についても一部が撮像されていない可能性がある。すると撮像されなかった部分の小骨が抜き取られず残存することになってしまう。そのため、全ての基準マークが撮像画像内に存在しない場合は、図示しないアラーム装置により、作業者にエラーを通知する。
全ての基準マーク9が画像内に存在することが確認されると、画像処理コンピュータ38は、画像内における各小骨の存在を認識し、存在を認識された各小骨に対して、画像内での形状を認識する。図8に示すように、魚の小骨は、画像内での形状に基づいて、例えば図8の紙面に対して略垂直方向に延びているタイプの小骨60(分類Aとする)、および紙面に略平行に延びているタイプの小骨61(分類Bとする)に分類できる。撮像画像内において、分類Aである小骨60は点状に認識され、分類Bである小骨61は線状に認識される。画像処理コンピュータ38は、撮像画像内での各小骨の形状を認識し、認識した形状の特徴を抽出し、各小骨がどのタイプの分類に属するかを判断できるようなアルゴリズムを備えているので、それにしたがって各小骨を分類する。
次に画像処理コンピュータ38は、基準マーク9と各小骨の存在位置との画像平面内での相対的位置関係を認識し、XY座標を算出する。具体的には、前述の小骨形状の認識で、点状に認識された小骨60(分類A)の場合はその中心位置の座標、線状に認識された小骨61(分類B)の場合はその始点(魚身中心側端部)と終点(魚身外側端部)の座標を算出する。ここで、撮像画像の縮尺は既知である。撮像画像を撮像したときの視野中心と、XYロボット12の装置原点との位置関係は、X軸スライド駆動用モータ19およびY軸スライド駆動用モータ22のエンコーダから算出できる。視野中心と作業ヘッド11の中心位置との位置関係も既知である。したがって、現在の作業ヘッド11の位置からX方向およびY方向にどれだけ移動すれば、作業ヘッド11が各小骨存在位置の上方に到達できるかが算出できる。なお、本実施例においては、基準マーク9に対する各小骨存在位置のXY座標を算出しその座標を装置座標に変換しているが、XYロボット12の装置原点に対する各小骨存在位置のXY座標を直接算出してもよい。
画像処理コンピュータ38は、画像内で認識された各小骨のXY座標と分類とが関連付けられた小骨データを作成し、その小骨データを制御装置6へ伝送する。
制御装置6は、小骨抜き取り作業プログラムを小骨の分類ごとに備えている。そのため、小骨の形状に応じて、最適な手順で、抜き取り作業を行うことができる。小骨データを伝送された制御装置6は、小骨データに基づいて、データ内にある全ての小骨を抜き取るための作業ヘッド11の移動経路を作成する。移動経路は、作業ヘッド11の移動距離ができる限り短くなるものが望ましいが、後述するように、小骨を抜くための作業ヘッド11および押さえ装置47の動きが小骨の分類によって異なるため、同じ分類の小骨を連続して抜くことができるような移動経路が望ましい場合もある。一例として、図9に矢印で示すような移動経路をとった場合の動作について説明する。なお、説明を簡単にするため、図9において、作業ヘッド11がチャック部材クリーナ33へ移動する経路は省略されている。
作成された作業ヘッド11の移動経路に基づいて、制御装置6ははじめに、分類Aについての小骨抜き取り作業プログラムにしたがった制御を行う。XYロボット12により、作業ヘッド11を最初の小骨存在位置である小骨60の上方へ移動させる。次に制御装置6は、押さえ装置昇降装置49により押さえ装置47を魚身7に対して下降させて、押さえ部材48により魚身7を押さえつける。コンベアベルト29上の魚身7の鉛直方向の高さは、魚の種類によりおおむね既知であるため、魚の種類ごとに魚身高さデータとしてあらかじめ制御装置6に設定されており、その設定量だけ下降させるのである。同様に、制御装置6は、ヘッド昇降装置14により作業ヘッド11を下降させる。作業ヘッド11が設定量下降すると、制御装置6は、チャック部材駆動装置36により対向する一対のチャック部材10を開閉させることにより、小骨60をチャック部材10に挟み掴ませる。そして制御装置6は、押さえ部材48により魚身7を押さえつけたままの状態で、ヘッド昇降装置14により作業ヘッド11を上昇させる。すると、一端をチャック部材10に挟まれた小骨60は魚身7から抜き取られる。その後制御装置6は、押さえ装置昇降装置49により押さえ装置47を上昇させる。
制御装置6は、チャック部材10に付着した小骨をチャック部材10から取り去るため、XYロボット12により、チャック部材10、すなわち作業ヘッド11をチャック部材クリーナ33へ移動させ、チャック部材10を洗浄する。
続いて制御装置6は、右隣の小骨60の上方へ、作業ヘッド11を移動させ、同様の動作を行わせる。このような動作は右端の小骨60まで繰り返される。
続いて制御装置6は、分類Bについての小骨抜き取り作業プログラムにしたがった制御を行う。制御装置6は、図9に例示される移動経路にしたがって、作業ヘッド11を、最初の小骨61の魚身中心側端部上方へ移動させる。ここで制御装置6は、現時点での押さえ部材48の角度を認識し、凹部62の長手方向の向きが小骨61の延在方向と交差するようであれば、凹部62の長手方向が小骨61の延在方向と略平行になるように、押さえ装置47を回転させる。その後、制御装置6は、分類Aである小骨60を抜き取った場合と同様に、押さえ装置47を魚身7に対して下降させ、押さえ部材48により魚身7を押さえつける。制御装置6は、作業ヘッド11に対しても押さえ装置47と同様に、現時点でのチャック部材10の角度を認識し、チャック部材10の開閉角度が小骨61を挟み掴むのに最適な角度になるように、作業ヘッド11を回転させる。そして、作業ヘッド11を下降させ、一対のチャック部材10を開閉させて、小骨61の魚身中心側端部をチャック部材10に挟み掴ませる。
分類Bについての小骨抜き取りプログラムにおいては、小骨61の魚身中心側端部を挟んだチャック部材10を上昇させる量が、分類Aについての小骨抜き取りプログラムにおいて小骨60を挟み掴んだチャック部材10を上昇させる量、すなわち作業ヘッド11を上昇させる量とは異なった量が設定されている。すなわち、分類Aについての小骨抜き取りプログラムにおいては、小骨60を挟み掴んだチャック部材10が、小骨60が魚身7から完全に抜き取られる高さまで上昇するように、作業ヘッド11の上昇量が設定されているのに対し、分類Bについての小骨抜き取りプログラムにおいては、小骨61のうちチャック部材10に挟み掴まれた魚身中心側端部は魚身7から離脱するものの、他端部である魚身外側端部およびその近辺は依然として魚身7に残っている状態になるような高さまでチャック部材10が上昇するように、作業ヘッド11の上昇量が設定されている。
制御装置6は、設定された上昇量だけ作業ヘッド11を上昇させ、チャック部材10を開いて、小骨61の魚身中心側端部を解放し、押さえ装置47を上昇させる。この段階で、小骨61は魚身7に残存している状態であるが、制御装置6は、図9に例示される移動経路にしたがって、作業ヘッド11を左隣の小骨61の魚身中心側端部上方へ移動させ、同様の動作を行わせる。このような動作は左端の小骨61の魚身中心側端部まで繰り返される。
続いて制御装置6は、図9に例示される移動経路にしたがって、作業ヘッド11を、小骨61の最初の魚身外側端部上方へ移動させる。前述と同様に、押さえ部材48およびチャック部材10を適切な角度に回転させ、押さえ装置47を魚身7に対して下降させて押さえ部材48により魚身7を押さえつけ、作業ヘッド11を下降させて一対のチャック部材10を開閉させることにより、小骨61の魚身外側端部がチャック部材10に挟み掴まれる。
分類Bについての小骨抜き取りプログラムにおいて、小骨61の魚身外側端部を挟み掴んだチャック部材10を上昇させる量、すなわち作業ヘッド11の上昇量は、小骨61が魚身7から完全に抜き取られる高さまで作業ヘッド11が上昇するような量が設定されている。したがって、制御装置6が、設定量だけ作業ヘッド11を上昇させることにより、小骨61が魚身7から抜き取られる。本実施形態においては、図8または図9の紙面において平行に延びた形状の小骨61を、片側ずつ2度に分けて抜き取り作業を行うことにより、魚肉の身崩れを起こすことなく、小骨61を抜き取ることができる。
制御装置6は押さえ装置47を上昇させ、作業ヘッド11を右隣の小骨61の魚身外側端部上方へ移動させ、同様の動作を行わせる。このような動作は右端の小骨61の魚身外側端部まで繰り返され、小骨抜き取り作業が完了する。
小骨抜き取り作業の際、撮像システム5は、作業ヘッド11が小骨を抜き取る作業を撮像し、表示画面45にリアルタイムで表示させる。作業者は、作業の様子を確認することにより、各種パラメータの調整の必要性などを判断することができる。
小骨抜き取り作業が完了すると、制御装置6は、コンベア3を回転させて、トレイ8をX軸方向へ搬送する。小骨抜き取り作業の完了した魚身7を載置したトレイ8は、トレイ収容装置59に収容される。それと並行して、制御装置6は、トレイ供給装置55から、小骨抜き取り作業の対象となる魚身7を載置した新たなトレイ8をコンベア3に供給し、前述の作業が繰り返される。
なお、チャック部材10の洗浄は、小骨を1本抜くごとに行ってもよく、数本抜くごとに行ってもよい。作業者が、小骨抜き取り作業開始前に、チャック部材10の洗浄のタイミングを、制御装置6に入力しておくことにより、制御装置6は、小骨抜き取り作業中に、所定のタイミングで、チャック部材10を洗浄させる。
また、小骨が1本抜かれるごとに、制御装置6が、撮像システム5が撮像した画像に基づいて、抜き取りが正常に終了したか否かを判断してもよい。制御装置は、抜き取りが正常に終了していないと判断した場合には、作業者に対してエラーを通知する。作業者は、抜き取りエラーが判断された魚身を載置したトレイが小骨抜き取り機1から搬出されると、制御装置が通知したエラー情報を参照して、抜き取りエラーの部分のみ手動で抜き取り作業を行ってもよい。
また、本実施形態においては、チャック部材10は作業ヘッド11に対して着脱可能に取り付けられているため、小骨抜き取り作業終了時などに行われるメンテナンス時には、チャック部材10を作業ヘッド11から取り外して、念入りに洗浄、消毒することができる。さらに、小骨抜き取り作業の対象となる魚種に応じて、適切な形状のチャック部材10を選択して使用することができる。
このように、本実施形態によれば、魚身7を支持するコンベア3と作業ヘッド11とが水平面に平行な二方向に相対移動可能であるので、魚身7から小骨を、その存在位置に制約されることなく、自動的に抜き取ることができる。本実施態様による魚の小骨抜き取り機を、例えば鮮魚小売店のバックヤードで作動させることにより、小骨の抜き取られた状態の魚身を容易に提供することができる。
なお、上述の一実施形態の説明において、トレイ8が小骨抜き取り作業位置に到達すると、撮像システム5は、トレイ8に設けられた2個の基準マーク9および魚身全体を、同一視野で撮像し、撮像画像に基づいて、基準マーク9に対する各小骨存在位置のXY座標を算出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、撮像システムは、魚身を部分的に撮像し、その撮像画像において小骨が認識されたら、撮像中心に対する小骨の位置と、既知の値である撮像中心と作業ヘッド中心の距離とを考慮して、作業ヘッドを移動させて小骨を抜き取り、撮像システムを次の撮像部分へ移動させ、小骨を認識し小骨を抜き取る、といった動作を繰り返してもよい。この場合、視野を狭くできるので、撮像画像の品質が向上し、小骨の認識が容易になる。また、このような作業を行う場合、一方の基準マーク9を撮像することにより部分的撮像を開始させ、最後の部分的撮像の後に他方の基準マークが撮像されるような撮像経路を作成することにより、魚身7において認識されない部分が発生することを防止でき、魚身7の全ての部分を確実に認識できる。
また、上述の一実施形態の説明において、撮像システム5は第一移動部材としてのY軸スライド17に設けられているため、XYロボット12により、作業ヘッド11とともに、XY平面上の任意の位置に移動することが可能である。しかし、撮像システムが第一移動部材以外の場所に設けられ、作業ヘッド11とは独立して移動可能であってもよい。また、トレイ8の基準マーク9および魚身全体を同一視野で撮像するのであれば、撮像システム5は撮像位置上方に固定で設けられてもよい。
また、上述の一実施形態の説明において、赤外線照射装置27は、支持台としてのコンベア3に対して、撮像装置26と同じ側、すなわちコンベア3に対して上側に設けられている。このため、コンベア3の下方に設けられる部材が少なくなり、コンベア3の水洗いなどのメンテナンス作業を容易に行うことができる。しかし、赤外線照射装置が、支持台に対して、撮像装置の反対側に設けられてもよい。さらに、上述の一実施形態の説明において、支持台としてコンベア3が採用された。したがって小骨抜き取り作業の対象となる魚身を自動で搬入、搬出することが可能になり、より一層の作業の自動化を実現することができる。しかし、支持台がトレイの搬送機能を備えていることは不可欠ではなく、単なる作業台であってもよい。例えば、赤外線照射装置が、支持台としての作業台の下方に設けられてもよい。この場合、トレイ、および作業台の少なくとも撮像位置に該当する部分を、赤外線透過性の高い素材で構成することにより、明確な画像を撮影できる。
また、上述の一実施形態の説明において、照明装置として赤外線照射装置27を採用しているが、本発明において赤外線を照射することは不可欠ではなく、X線や可視光を照射してもよい。
また、上述の一実施形態の説明において、撮像装置26による魚身7の撮像が行われる撮像位置は、小骨抜き取り作業位置に停止したトレイ8に設けられた2個の基準マーク9および魚身7全体を、撮像システム5が同一視野で撮像できる位置に設定されている。しかし、上流側に撮像位置を設け、それに対応する位置でトレイを一旦停止させてもよい。この場合、撮像後にコンベアが再び回転し、トレイを搬送方向に搬送し、下流側に設けられた小骨抜き取り作業位置でトレイを再び停止させる。
また、上述の一実施形態の説明において、小骨抜き取り作業は、撮像システム5が取得した画像を利用して行われた。しかし、本発明において、魚身の画像を利用することは不可欠ではない。さらに、上述の一実施形態の説明において、作業ヘッド11はチャック部材10を備え、チャック部材10の開閉により小骨を挟み掴んで小骨抜き取り作業を行った。しかし、本発明において、チャック部材10により小骨を挟み掴んで抜き取ることは不可欠ではない。例えば、作業ヘッドとして、従来の爪部材と回転歯車体から構成される骨抜き装置を、作業ヘッド移動装置としてのXYロボットに設けてもよい。すなわち、図10に示すように、爪部材63の先端と、回転歯車体64の下周部は、互いに接するように設けられており、小骨抜き取り作業の際には、爪部材63の先端と回転歯車体64の下周部が魚身7の表面に接し、両者が小骨を挟む。水平面内の二方向に移動可能な作業ヘッドにこのような構成の骨抜き装置を設け、魚身の全体を走査的に移動させることにより、魚身の画像を利用しなくても、魚身内の任意の位置に存在する小骨を、爪部材63の先端と回転歯車体の下周部とで挟み込んで抜き取ることができる。
また、上述の一実施形態の説明において、小骨抜き取り作業の際、作業ヘッド11はXYロボット12により水平面内の任意の位置へ移動し、ヘッド昇降装置14により鉛直方向へ昇降することにより小骨抜き取り作業を行う。一方、トレイ8を支持するコンベア3は、小骨抜き取り作業中は回転を停止させられており、作業対象となる魚身7は静止している。しかし、本発明はこれに限定されず、作業ヘッドと作業対象の魚身とが相対移動可能であればよい。例えば、作業ヘッドは第一方向としてのY軸方向にのみ移動可能とし、作業ヘッドと魚身との第二方向としてのX軸方向における相対移動は、魚身を支持しているコンベアの回転を利用してもよい。また、作業ヘッドと魚身との鉛直方向における接近、離間は、支持台が昇降することにより実現されてもよい。
さらに、作業ヘッドと魚身との相対的な接近、離間は、鉛直方向でなくてもよい。上述の一実施形態において、チャック部材10が小骨を挟み掴むと、ヘッド昇降装置14により、作業ヘッド11は鉛直方向に上昇させられた。すなわち、小骨のチャック部材10に挟まれた部分は、魚身7から鉛直方向に離脱した。しかし、チャック部材が小骨を挟み掴んだ後、例えばヘッド昇降装置とXYロボットとが協働して作動することにより、作業ヘッドが所定の角度をもって斜め上方に移動させられてもよい。水平面に対する小骨の延在方向を考慮して前記所定の角度を設定することにより、魚身から小骨がスムーズに抜き取られるので、小骨抜き取りによる魚肉の身崩れを防止することができる。