次に、本発明の実施形態について、いくつかの具体例を挙げて説明する。
〔1〕第一実施形態
[給湯器の構造]
以下に説明する給湯器1は、図1に示すように、給湯栓2や浴槽3などの出湯箇所へ湯を供給する給湯部1Aと、浴槽3内にある湯の保温ないし追い焚きを行う保温部1Bと、これら給湯部1A及び保温部1Bの作動を制御する制御部1Cとを備えている。
この給湯器1において、給湯部1Aは、燃焼室12Aを有し、燃焼室12A内には、バーナー13A〜13C、一次熱交換器14A、二次熱交換器14B、点火プラグ15A、及びフレームロッド16Aなどが配設されている。また、保温部1Bは、燃焼室12Bを有し、燃焼室12B内には、バーナー13D、熱交換器14C、点火プラグ15B、及びフレームロッド16Bなどが配設されている。点火プラグ15A,15Bは、それぞれイグナイター15Cに接続されている。
一次熱交換器14Aは、バーナー13A〜13Cでの燃焼に伴って発生する高温の排気中から主に顕熱を回収する熱交換器であり、二次熱交換器14Bは、一次熱交換器14Aでの熱交換に伴って温度が低下した排気中から主に潜熱を回収する熱交換器である。
二次熱交換器14Bでは、相応に相対湿度が高い排気から更に熱を奪うため、排気中の水蒸気が凝縮してドレン(凝縮水)が発生する。そのため、このドレンを排出するためにドレン排水管17Aが設けられ、ドレン排水管17Aの下流端には中和器17Bが設けられている。中和器17Bは、窒素酸化物や硫黄酸化物を含有する酸性のドレンを中和するために設けられたもので、中和器17Bの内部には、ドレンを中和させる中和剤(例えば、炭酸カルシウム)が充填されている。
また、給湯器1は、ファンモーター18A及びファン18Bを有し、ファンモーター18Aによってファン18Bを回転駆動することにより、燃焼室12A,12B内への給気ができるように構成されている。燃焼室12A,12Bの上部には、排気トップ19A,19Bが設けられ、排気トップ19A,19Bを介して燃焼室12A,12B外への排気ができる構造とされている。また、燃焼室12A,12Bには、周囲が異常な高温状態となったときに溶断することで給湯器1の作動を強制停止させる過熱防止装置20A,20Bが付設されている。
また、給湯器1は、バーナー13A〜13Dへのガス供給路となるガス供給管21を備えている。このガス供給管21は、上流端側がガス供給源(例えば、都市ガス内管やプロパンガス用配管等)に接続された本管23と、本管23から複数に分岐した支管24A〜24Dとで構成されている。給湯部1Aにおいては支管24A〜24Cの下流端にノズル25A〜25Cが設けられ、各ノズル25A〜25Cを介してバーナー13A〜13Cへガスを供給可能に構成されている。また、保温部1Bにおいては支管24Dの下流端にノズル25Dが設けられ、ノズル25Dを介してバーナー13Dへガスを供給可能に構成されている。
このガス供給管21において、本管23には元ガス電磁弁27、及びガス比例弁28が設けられている。また、支管24A〜24Cにはバーナー切替電磁弁29A〜29Cが設けられ、支管24Dにはガス電磁弁29Dが設けられている。
さらに、給湯器1は、以下のような各種通水用配管を備えている。まず、給湯部1Aには、二次熱交換器14Bへの入水路をなす給水管31と、一次熱交換器14Aからの出湯路をなす出湯管33と、給水管31の流路途中から分岐して出湯管33へと連通するバイパス管35と、出湯管33の流路途中から分岐して保温部1B側へと延びる分岐管37が設けられている。
一方、保温部1Bには、浴槽3内の湯を熱交換器14Cへと戻す風呂戻り流路をなす風呂戻り配管41と、熱交換器14Cから浴槽3への風呂行き流路をなす風呂行き配管43が設けられ、これら風呂戻り配管41及び風呂行き配管43が、浴槽3から熱交換器14Cを経て浴槽3へと戻る循環流路を形成している。上述した給湯部1Aの分岐管37は、風呂戻り配管41の流路途中に連通している。
これらの通水用配管のうち、給水管31は、その上流端側が水供給源(例えば、水道管)に接続され、給水管31の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、上流端側から順に、上流側から下流側へと流れる水を濾過するストレーナー51、給水管31内を流れる水量を検出する給湯水量センサー53、給水管31内を流れる水量を増減制御する水量制御モーター55、及び一次熱交換器14Aへ流れる水の温度を検出する入水温検出用サーミスター57などが設けられている。また、このような入水路の途中には、凍結予防ヒーター59が設けられている。
出湯管33は、その下流端側が出湯箇所(本実施形態においては給湯栓2のある箇所)に接続され、出湯管33の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、上流端側から順に、一次熱交換器14Aから流出する湯の温度を検出する第一出湯温検出用サーミスター61、出湯管33とバイパス管35の合流点よりも下流側において湯の温度を検出する第二出湯温検出用サーミスター63、及び逃がし弁付水抜栓65などが設けられている。バイパス管35には、バイパス管35内を流れる水量を増減制御するバイパス制御モーター67が設けられている。
分岐管37は、出湯管33側を上流側として下流側にある風呂戻り配管41への給湯路を形成する配管で、分岐管37の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、分岐管37を介して浴槽3へ給湯を行う際に開弁される落とし込み水電磁弁71、分岐管37を流れる水量を検出する落とし込み水量センサー73、分岐管37における逆流を阻止する逆止弁75A,75Bなどが設けられている。
また、分岐管37には縁切弁77が付設されており、上水側(給水管31側)の水圧低下等に起因して、分岐管37よりも下流側となるべき流路から上流側となるべき流路へ水を吸い上げてしまうような負圧が生じた際には、縁切弁77が開くことで、分岐管37を介して水が逆流するのを防止している。
風呂戻り配管41は、上流端側がバスアダプター81を介して浴槽3に取り付けられ、風呂戻り配管41の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、浴槽3から流入する湯の温度を検出する風呂戻り湯温検出用サーミスター82、風呂戻り配管41において上流側から下流側へ湯を圧送する循環ポンプ83、風呂戻り配管41内を水(湯)が流れたことを検出する水流スイッチ84、風呂戻り配管41内の圧力を検出する圧力センサー85などが設けられている。
ちなみに、風呂戻り配管41は、浴槽3内の湯を熱交換器14Cへと圧送する際には、上述の通り、バスアダプター81側が上流端、熱交換器14C側が下流端となる配管であるが、分岐管37を介して浴槽3への給湯を行う際には、風呂戻り配管41と分岐管37との合流点からバスアダプター81側へ向かって湯が逆向きに流れる状態になる。
風呂行き配管43は、下流端側がバスアダプター81を介して浴槽3に取り付けられ、風呂行き配管43の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、空焚きを感知した際に給湯器1を強制停止させるための空焚き安全装置87、熱交換器14Cから流出する湯の温度を検出する風呂行き湯温検出用サーミスター88が設けられている。
加えて、この給湯器1において、制御部1Cは、給湯機能や保温機能の作動状態を制御するためのコントローラー93と、浴室外に配設される給湯リモコン95と、浴室内に配設される風呂リモコン97とを備えている。
コントローラー93は、CPU,ROM,RAMなどを備えたマイクロコンピュータを
内蔵しており、上述した各種センサー(フレームロッド16A,16B、入水温検出用サーミスター57、第一出湯温検出用サーミスター61、及び第二出湯温検出用サーミスター63など)から情報を入力するとともに、上述した各種電磁弁(元ガス電磁弁27、ガス比例弁28、バーナー切替電磁弁29A〜29C、ガス電磁弁29D、落とし込み水電磁弁71など)、各種モーター(ファンモーター18A、水量制御モーター55、バイパス制御モーター67)、循環ポンプ83、イグナイター15Cなどの作動を制御する。
給湯リモコン95及び風呂リモコン97は、双方とも利用者からの入力操作を受け付ける入力部と利用者に対する情報表示や音声出力を行う出力部などのユーザーインターフェースを備え、その入力部から入力された情報がコントローラー93へ伝達されるとともに、コントローラー93から伝達される情報に基づいて出力部から情報表示や音声出力を行う仕組みになっている。
[給湯操作時の作動状態]
次に、利用者が給湯操作を行ったときの給湯器1の作動状態について、その概要を説明する。利用者が給湯栓2を開くと、水入口より流入した水は、給湯水量センサー53、二次熱交換器14Bを経て一次熱交換器14Aへと向かう。このとき、給湯水量センサー53からは、流速に応じた周波数の信号が出力され、この信号が規定周波数に達したことをコントローラー93が感知すると、コントローラー93はファンモーター18Aを制御してファン18Bを回転させる。
ファン18Bが回転してプリパージ動作が行われた後、元ガス電磁弁27とバーナー切替電磁弁29A、バーナー切替電磁弁29B、及びバーナー切替電磁弁29Cが同時に開かれ、ガス比例弁28が緩点火動作となり、バーナー13A〜13Cにガスが供給される。これと同時にイグナイター15Cが作動し、点火プラグ15Aから連続的に放電してバーナー13A〜13Cに点火する。点火後、フレームロッド16Aにて炎を検知し燃焼していることを確認したら緩点火動作を終了する。
緩点火動作を終了すると、続いて比例制御が開始される。第二出湯温検出用サーミスター63で検出した湯温と利用者が任意に設定する設定温度との間に差があると、そのことをコントローラー93が判断し、バーナー切替電磁弁29A、バーナー切替電磁弁29B、バーナー切替電磁弁29Cの開閉及びガス比例弁28によって、ガス量を連続的に変化させて出湯温度を一定に保つ。また、水量制御モーター55により適切な水量に調節を行うため、常に最大能力の出湯量を確保する。このとき、コントローラー93からは、ガス比例弁28によるガス量の変化に応じて、ファンモーター18Aへ信号が送られ、これにより、常にガス量と空気量の関係が一定に保たれる。
以上のような給湯が行われている状況において、利用者が給湯栓2を閉じると、給湯水量センサー53からの周波数の信号がなくなるので、コントローラー93は、元ガス電磁弁27、バーナー切替電磁弁29A、バーナー切替電磁弁29B及びバーナー切替電磁弁29Cを閉じて消火し、ポストパージ動作に入る。その後、ポストパージ動作がタイムアップすると、ファン18Bは停止する。
[風呂操作時の作動状態]
次に、利用者が風呂操作を行ったときの給湯器1の作動状態について、その概要を説明する。利用者が給湯リモコン95又は風呂リモコン97の自動スイッチを押すと、落とし込み水電磁弁71がオンとされ、給湯水量センサー53がオンとなって給湯燃焼動作を開始する。湯は、逆止弁75A,75B、落とし込み水量センサー73を通って浴槽3に給湯される。その後、落とし込み水量センサー73で検出した水量が設定水量になれば、落とし込み水電磁弁71がオフとされ、給湯水量センサー53がオフとなって給湯燃焼が止
まる。
次に、循環ポンプ83が作動し、お湯の循環を始める。お湯が循環していることは水流スイッチ84によって検出される。このとき、風呂戻り湯温検出用サーミスター82で感知した温度が設定温度以下であれば、コントローラー93はファンモーター18Aを制御してファン18Bを回転させる。ファン18Bが回転し、回転数の信号がコントローラー93に伝えられたら、その後、元ガス電磁弁27、ガス電磁弁29Dが開かれ、バーナー13Dにガスが供給されるのと同時にイグナイター15Cが作動し、点火プラグ15Bから連続的に放電する。
バーナー13Dに点火すると、フレームロッド16Bにより炎を感知し、イグナイター15Cの作動を停止し、風呂の加熱を始める。循環ポンプ83にて循環されている風呂のお湯が設定温度に達すると、風呂戻り湯温検出用サーミスター82にて温度を感知して、バーナー13Dを消火し、循環ポンプ83を停止する。その後、沸き上がりを知らせる、お知らせブザーを鳴らす。
以上のような追い焚き燃焼が停止し、その後、浴槽湯温確認までのインターバル時間が経過したら、循環ポンプ83のみを作動させて、風呂のお湯を循環させる。このとき、風呂の温度が設定温度より下がっていれば、追い焚きを行う。その後、風呂の温度が設定温度以上になれば、循環ポンプ83の作動はそこで止まり、またインターバル時間が経過した後に循環ポンプ83が作動し、上記同様の動作を繰り返す。なお、これらの一連の動作は、給湯リモコン95又は風呂リモコン97自動スイッチを押すと停止する。
[利便性低下制御]
次に、給湯器1において実行される利便性低下制御について説明する。以下に説明する利便性低下制御は、コントローラー93によって実行される制御であり、利便性低下制御が実行されると、コントローラー93において並列に実行される他の制御(例えば、給湯制御やリモコン制御など。)において参照される設定の変更などが実行される。
より詳しく説明すると、給湯器1が作動を開始すると、図2(a)に示すように、コントローラー93は、メンテナンス時期確認処理を実行し、その中で、メンテナンス対象の累積使用量が第一のしきい値以上か否かを判断する(S110)。
本実施形態において、メンテナンス対象は中和器17Bであり、中和器17Bの累積使用量が第一のしきい値以上に達したら、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期が近づいていると判断する例について説明する。
中和器17Bはドレンが排出されるときに使用状態となるものであり、ドレンの排出量はガス燃焼量と相関があるので、本実施形態では、ガス燃焼量を計測、累積して、その累積値に基づいて、S110での判断を行っている。より詳しくは、中和器17Bに充填された中和剤は、中和器17Bの使用開始後、ガス燃焼量が所定量に達したときに交換が必要となるので、上記S110では、中和剤の交換が必要となるガス燃焼量のA%(ただし、Aは0以上100未満の定数であり、本実施形態では90。)を第一のしきい値として採用し、上記S110の判断を行う。
S110で、メンテナンス対象の累積使用量が第一のしきい値未満と判断された場合は(S110:NO)、S110へと戻ることにより、メンテナンス対象の累積使用量の監視を続ける。一方、S110で、メンテナンス対象の累積使用量が第一のしきい値以上と
判断された場合(S110:YES)、コントローラー93は、リモコン(給湯リモコン95及び風呂リモコン97)上でエラー番号を点滅させる(S120)。
そして、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上か否かを判断する(S130)。本実施形態において、第二のしきい値としては、中和剤の交換が必要となるガス燃焼量を採用している。すなわち、S130で否定判断がなされた場合は、直ちに中和剤の交換をすべき状況には至っていないが、S130で肯定判断がなされた場合は、直ちに中和剤の交換をすべき状況に至っている。
そこで、S130で否定判断がなされた場合(S130:NO)、コントローラー93は、利便性低下制御を実行する(S140)。この利便性低下制御の具体例はいくつかの例を考えることができるので、まず図2(b)には、利便性低下制御の第一の例を示す。
この第一の例として示した利便性低下制御を開始すると、コントローラー93は、初回の最大出湯能力の調節か否かを判断する(S210)。S210では、図2(a)に示すS140が初めて実行されたときには肯定判断がなされ(S210:YES)、その場合、コントローラー93は、今回の最大出湯能力を(設計上の最大出湯能力)×B(ただし、Bは“0<B<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.9。)に調節し(S220)、利便性低下制御を終了する。
このS220が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の最大出湯能力は、給湯器1の設計上の最大出湯能力よりも低下する状態になる(本実施形態では10%減となる。)。
利便性低下制御を終了した場合、図2(a)のS130へと戻るので、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになる。この場合、利便性低下制御を開始すると、S210では、初回の最大出湯能力の調節ではないので(S210:NO)、コントローラー93は、前回の最大出湯能力調節後に所定の燃焼時間が経過したか否かを判断する(S230)。S230が初めて実行される時点では、通常、前回の最大出湯能力調節後に所定の燃焼時間が経過していない状況なので(S230:NO)、そのまま利便性低下制御を終了する。その結果、図2(a)のS130へと戻る。
その後は、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになり、かつ、S230で否定判断がなされる間は、再びS130へと戻るので、コントローラー93は、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上となるか(S130:YES)、前回の最大出湯能力調節後に所定の燃焼時間が経過するか(S230:YES)、いずれかの状況になるまではS130〜S140及びS210〜S230を繰り返して待機することになる。
このような待機を行う中、前回の最大出湯能力調節後に所定の燃焼時間が経過すれば(S230:YES)、今回の最大出湯能力を(前回の最大出湯能力)×B(ただし、Bは“0<B<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.9。)に調節し(S240)、利便性低下制御を終了する。
このS240が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の最大出湯能力は、前回の最大出湯能力よりも更に低下する状態になる(本実施形態では前回の更に10%減となる。)。
以降は、上述のようなS130〜S140及びS210〜S230を繰り返して待機を続け、その中で所定の燃焼時間が経過するごとにS240が実行されて、最大出湯能力は10%ずつ減少してゆくことになる。一方、上述のようなS130〜S140及びS210〜S230を繰り返して待機をする中で、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上に至れば(S130:YES)、図2(a)のS150へと進む。この場合、コントローラー93は、給湯機能強制停止制御を実行し(S150)、この処理を終了する。S150が実行された場合、以降、給湯器1の給湯機能は作動しない状態となる。
なお、以上説明した利便性低下制御では、フローチャートを簡潔に示す都合上、単にS230で肯定判断がなされるたびに、S240が実行される例を示したが、S230とは別の条件を満たしているかどうかを更に判断した上で、S240を実行してもよい。より具体的な例を挙げれば、例えば、S240の実行に伴って最大出湯能力が所定の下限値に達したか否かを判定し、最大出湯能力が下限値に達していれば、以降は、S230で肯定判断がなされても、S240を実行しないように制限してもよい。あるいは、S240が実行された回数をカウントし、その回数が所定の上限値に達したら、以降は、S230で肯定判断がなされても、S240を実行しないように制限してもよい。これらのような制限を加えれば、最大出湯能力が過度に低下するのを回避することができる。
[効果]
以上説明したような給湯器1によれば、中和器17Bのメンテナンスを実施すべき時期までの残り期間が所定以下となった場合には、S120により、給湯リモコン95及び風呂リモコン97(本発明でいう報知手段の一例に相当。)上でエラー番号を点滅させる。したがって、それに気づいた利用者は、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期が実際に到来する前の段階で、メンテナンスの準備(例えば、メンテナンス業者への依頼など。)を始めることができる。
また、この給湯器1において、上述のようなエラー番号の報知が行われた場合、コントローラー93は利便性低下制御を実行し、S220及びS240により、給湯機能に関する性能(本実施形態の場合、最大出湯能力)を低下させることで、利用者の利便性を低下させる(利便性低下制御を実行するコントローラー93が本発明でいう利便性低下制御手段の一例に相当。)。したがって、S120によりエラー番号を点滅させただけでは、メンテナンス業者への連絡をしない利用者であっても、S220及びS240によって給湯栓2からの出湯量が減少すれば、それを体感した利用者は、給湯器1に何らかの異常が起きているかもしれないとの思いに至り、メンテナンス業者へ連絡する可能性が高まるものと期待される。
さらに、S150が実行されるまでは、給湯栓2からの出湯量は減少するものの、直ちに給湯機能が完全停止するわけではないので、「S140相当の制御を実行することなく、S150相当の制御を実行するような給湯器」とも異なり、突然給湯機能が完全停止する状況に至って利用者に不便を強いる、といった事態になる可能性も低めることができる。
〔2〕第二実施形態
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態以降の実施形態は、利便性低下制御の具体的内容が第一実施形態とは相違するものの、他の点は第一実施形態と同様なので、以下の説明では第一実施形態の相違点を中心に詳述し、共通部分に関しては、第一実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
[利便性低下制御]
第二実施形態においても、図2(a)のS130で否定判断がなされた場合(S130
:NO)、コントローラー93は、利便性低下制御を実行する(S140)。ただし、第二実施形態では、利便性低下制御として、図3(a)に示す第二の例が実行される。
この第二の例として示した利便性低下制御を開始すると、コントローラー93は、初回の出湯温度の調節か否かを判断する(S310)。S310では、図2(a)に示すS140が初めて実行されたときには肯定判断がなされ(S310:YES)、その場合、コントローラー93は、今回の出湯温度を(リモコン設定温度)×C(ただし、Cは“0<C<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.95。)に調節し(S320)、利便性低下制御を終了する。
このS320が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の出湯温度は、給湯リモコン95又は風呂リモコン97での設定温度よりも低下する状態になる(本実施形態では5%減となる。)。より具体的な例を交えて説明すれば、例えば、リモコン設定温度が40℃の場合、S320の実行後は、出湯温度が40℃×0.95=38℃に調節され、出湯温度はリモコン設定温度よりも2℃低下する。
利便性低下制御を終了した場合、図2(a)のS130へと戻るので、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになる。この場合、利便性低下制御を開始すると、S310では、初回の出湯温度調節ではないので(S310:NO)、コントローラー93は、前回の出湯温度調節後に所定の燃焼時間が経過したか否かを判断する(S330)。S330が初めて実行される時点では、通常、前回の出湯温度調節後に所定の燃焼時間が経過していない状況なので(S330:NO)、そのまま利便性低下制御を終了する。その結果、図2(a)のS130へと戻る。
その後は、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになり、かつ、S330で否定判断がなされる間は、再びS130へと戻るので、コントローラー93は、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上となるか(S130:YES)、前回の出湯温度調節後に所定の燃焼時間が経過するか(S330:YES)、いずれかの状況になるまではS130〜S140及びS310〜S330を繰り返して待機することになる。
このような待機を行う中、前回の出湯温度調節後に所定の燃焼時間が経過すれば(S330:YES)、今回の出湯温度を(前回の出湯温度)×C(ただし、Cは“0<C<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.95。)に調節し(S340)、利便性低下制御を終了する。
このS340が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の出湯温度は、前回の出湯温度よりも更に低下する状態になる(本実施形態では前回の更に5%減となる。)。より具体的な例を交えて説明すれば、例えば、前回の出湯温度が38℃の場合、S340の実行後は、出湯温度が38℃×0.95=36.1℃に調節され、出湯温度はリモコン設定温度よりも3.9℃低下する。
以降は、上述のようなS130〜S140及びS310〜S330を繰り返して待機を続け、その中で所定の燃焼時間が経過するごとにS340が実行されて、出湯温度は5%ずつ低下してゆくことになる。なお、上述のようなS130〜S140及びS310〜S330を繰り返して待機をする中で、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上に至れば(S130:YES)、図2(a)のS150へと進み、以下、第一実施形態と同様の挙動となる。
なお、以上説明した利便性低下制御では、フローチャートを簡潔に示す都合上、単にS330で肯定判断がなされるたびに、S340が実行される例を示したが、S330とは別の条件を満たしているかどうかを更に判断した上で、S340を実行してもよい。より具体的な例を挙げれば、例えば、S340の実行に伴って出湯温度が所定の下限値(例えば、リモコン設定温度の20%減)に達したか否かを判定し、出湯温度が下限値に達していれば、以降は、S330で肯定判断がなされても、S340を実行しないように制限してもよい。あるいは、S340が実行された回数をカウントし、その回数が所定の上限値に達したら、以降は、S330で肯定判断がなされても、S340を実行しないように制限してもよい。これらのような制限を加えれば、出湯温度が過度に低下するのを回避することができる。
[効果]
以上説明したような給湯器1でも、第一実施形態同様、給湯リモコン95及び風呂リモコン97(本発明でいう報知手段の一例に相当。)上でエラー番号が点滅するので、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期が実際に到来する前の段階で、メンテナンスの準備を始めることができる。
また、この給湯器1において、上述のようなエラー番号の報知が行われた場合、コントローラー93は利便性低下制御を実行し、S320及びS340により、給湯機能に関する性能(本実施形態の場合、出湯温度)を低下させることで、利用者の利便性を低下させる(利便性低下制御を実行するコントローラー93が本発明でいう利便性低下制御手段の一例に相当。)。したがって、S120によりエラー番号を点滅させただけでは、メンテナンス業者への連絡をしない利用者であっても、S320及びS340によって出湯温度が低下すれば、それを体感した利用者は、給湯器1に何らかの異常が起きているかもしれないとの思いに至り、メンテナンス業者へ連絡する可能性が高まるものと期待される。
さらに、出湯温度は低下するものの、第一実施形態同様、直ちに給湯機能が完全停止するわけではないので、「S140相当の制御を実行することなく、S150相当の制御を実行するような給湯器」とも異なり、突然給湯機能が完全停止する状況に至って利用者に不便を強いる、といった事態になる可能性も低めることができる。
〔3〕第三実施形態
次に、第三実施形態について説明する。
[利便性低下制御]
第三実施形態においても、図2(a)のS130で否定判断がなされた場合(S130:NO)、コントローラー93は、利便性低下制御を実行する(S140)。ただし、第三実施形態では、利便性低下制御として、図3(b)に示す第三の例が実行される。
この第三の例として示した利便性低下制御を開始すると、コントローラー93は、初回の出湯温度範囲の変更か否かを判断する(S410)。S410では、図2(a)に示すS140が初めて実行されたときには肯定判断がなされ(S410:YES)、その場合、コントローラー93は、リモコン設定温度から(リモコン設定温度)×D(ただし、Dは“0<D<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.95。)の範囲を今回の出湯温度範囲とし、その出湯温度範囲内で出湯温度を変動させ(S420)、利便性低下制御を終了する。
このS420が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の出湯温度範囲は、給湯リモコン95又は風呂リモコン97での設定温度から(リモコン設定温度)×D
の範囲となり、その範囲内で出湯温度が変動する状態になる。より具体的な例を交えて説明すれば、例えば、リモコン設定温度が40℃の場合、S420の実行後は、出湯温度範囲が40℃から40℃×0.95=38℃の範囲となり、その範囲内で出湯温度が変動する。
利便性低下制御を終了した場合、図2(a)のS130へと戻るので、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになる。この場合、利便性低下制御を開始すると、S410では、初回の出湯温度範囲の変更ではないので(S410:NO)、コントローラー93は、前回の出湯温度範囲の変更後に所定の燃焼時間が経過したか否かを判断する(S430)。S430が初めて実行される時点では、通常、前回の出湯温度範囲の変更後に所定の燃焼時間が経過していない状況なので(S430:NO)、そのまま利便性低下制御を終了する。その結果、図2(a)のS130へと戻る。
その後は、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになり、かつ、S430で否定判断がなされる間は、再びS130へと戻るので、コントローラー93は、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上となるか(S130:YES)、前回の出湯温度範囲の変更後に所定の燃焼時間が経過するか(S430:YES)、いずれかの状況になるまではS130〜S140及びS410〜S430を繰り返して待機することになる。
このような待機を行う中、前回の出湯温度範囲の変更後に所定の燃焼時間が経過すれば(S430:YES)、リモコン設定温度から(前回の出湯温度範囲下限)×D(ただし、Dは“0<D<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.95。)の範囲を今回の出湯温度範囲とし、その出湯温度範囲内で出湯温度を変動させ(S440)、利便性低下制御を終了する。
このS440が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の出湯温度範囲下限は、前回の出湯温度範囲下限よりも更に低下する状態になる(本実施形態では前回の更に5%減となる。)。より具体的な例を交えて説明すれば、例えば、前回の出湯温度範囲下限が38℃の場合、S440の実行後は、出湯温度範囲下限が38℃×0.95=36.1℃に変更され、40℃〜36.1℃の範囲内で出湯温度が変動する状態になる。
以降は、上述のようなS130〜S140及びS410〜S430を繰り返して待機を続け、その中で所定の燃焼時間が経過するごとにS440が実行されて、出湯温度範囲下限は5%ずつ低下してゆくことになる。なお、上述のようなS130〜S140及びS410〜S430を繰り返して待機をする中で、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上に至れば(S130:YES)、図2(a)のS150へと進み、以下、第一実施形態と同様の挙動となる。
なお、以上説明した利便性低下制御では、フローチャートを簡潔に示す都合上、単にS430で肯定判断がなされるたびに、S440が実行される例を示したが、S430とは別の条件を満たしているかどうかを更に判断した上で、S440を実行してもよい。より具体的な例を挙げれば、例えば、S440の実行に伴って出湯温度範囲下限が所定の下限値(例えば、リモコン設定温度の20%減)に達したか否かを判定し、出湯温度範囲下限が下限値に達していれば、以降は、S430で肯定判断がなされても、S440を実行しないように制限してもよい。あるいは、S440が実行された回数をカウントし、その回数が所定の上限値に達したら、以降は、S430で肯定判断がなされても、S440を実行しないように制限してもよい。これらのような制限を加えれば、出湯温度範囲が過度に低温側へ揺らぐのを回避することができる。
[効果]
以上説明したような給湯器1でも、第一実施形態同様、給湯リモコン95及び風呂リモコン97(本発明でいう報知手段の一例に相当。)上でエラー番号が点滅するので、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期が実際に到来する前の段階で、メンテナンスの準備を始めることができる。
また、この給湯器1において、上述のようなエラー番号の報知が行われた場合、コントローラー93は利便性低下制御を実行し、S420及びS440により、給湯機能に関する性能(本実施形態の場合、出湯温度の安定性)を低下させることで、利用者の利便性を低下させる(利便性低下制御を実行するコントローラー93が本発明でいう利便性低下制御手段の一例に相当。)。したがって、S120によりエラー番号を点滅させただけでは、メンテナンス業者への連絡をしない利用者であっても、S420及びS440によって出湯温度が変動するとともに、その変動幅が低温方向へ拡大してゆけば、それを体感した利用者は、給湯器1に何らかの異常が起きているかもしれないとの思いに至り、メンテナンス業者へ連絡する可能性が高まるものと期待される。
さらに、出湯温度が変動するものの、第一実施形態同様、直ちに給湯機能が完全停止するわけではないので、「S140相当の制御を実行することなく、S150相当の制御を実行するような給湯器」とも異なり、突然給湯機能が完全停止する状況に至って利用者に不便を強いる、といった事態になる可能性も低めることができる。
〔4〕第四実施形態
次に、第四実施形態について説明する。
[利便性低下制御]
第四実施形態においても、図2(a)のS130で否定判断がなされた場合(S130:NO)、コントローラー93は、利便性低下制御を実行する(S140)。ただし、第四実施形態では、利便性低下制御として、図4(a)に示す第四の例が実行される。
この第四の例として示した利便性低下制御を開始すると、コントローラー93は、初回の最大給湯流量の調節か否かを判断する(S510)。S510では、図2(a)に示すS140が初めて実行されたときには肯定判断がなされ(S510:YES)、その場合、コントローラー93は、今回の最大給湯流量を(設計上の最大給湯流量)×E(ただし、Eは“0<E<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.9。)に調節し(S520)、利便性低下制御を終了する。
このS520が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の最大給湯流量は、設計上の最大給湯流量よりも低下する状態になる(本実施形態では10%減となる。)。
利便性低下制御を終了した場合、図2(a)のS130へと戻るので、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになる。この場合、利便性低下制御を開始すると、S510では、初回の最大給湯流量の調節ではないので(S510:NO)、コントローラー93は、前回の最大給湯流量の調節後に所定の燃焼時間が経過したか否かを判断する(S530)。S530が初めて実行される時点では、通常、前回の最大給湯流量調節後に所定の燃焼時間が経過していない状況なので(S530:NO)、そのまま利便性低下制御を終了する。その結果、図2(a)のS130へと戻る。
その後は、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することに
なり、かつ、S530で否定判断がなされる間は、再びS130へと戻るので、コントローラー93は、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上となるか(S130:YES)、前回の最大給湯流量調節後に所定の燃焼時間が経過するか(S530:YES)、いずれかの状況になるまではS130〜S140及びS510〜S530を繰り返して待機することになる。
このような待機を行う中、前回の最大給湯流量調節後に所定の燃焼時間が経過すれば(S530:YES)、今回の最大給湯流量を(前回の最大給湯流量)×E(ただし、Eは“0<E<1”を満たす定数であり、本実施形態では0.9。)に調節し(S540)、利便性低下制御を終了する。
このS540が実行されると、その後は、利用者が給湯栓2を開くと給湯器1が上述の「給湯操作時の作動状態」の項で説明した通りに作動するものの、その際の最大給湯流量は、前回の最大給湯流量よりも更に低下する状態になる(本実施形態では前回の更に10%減となる。)。
以降は、上述のようなS130〜S140及びS510〜S530を繰り返して待機を続け、その中で所定の燃焼時間が経過するごとにS540が実行されて、最大給湯流量は10%ずつ低下してゆくことになる。なお、上述のようなS130〜S140及びS510〜S530を繰り返して待機をする中で、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上に至れば(S130:YES)、図2(a)のS150へと進み、以下、第一実施形態と同様の挙動となる。
なお、以上説明した利便性低下制御では、フローチャートを簡潔に示す都合上、単にS530で肯定判断がなされるたびに、S540が実行される例を示したが、S530とは別の条件を満たしているかどうかを更に判断した上で、S540を実行してもよい。より具体的な例を挙げれば、例えば、S540の実行に伴って最大給湯流量が所定の下限値に達したか否かを判定し、最大給湯流量が下限値に達していれば、以降は、S530で肯定判断がなされても、S540を実行しないように制限してもよい。あるいは、S540が実行された回数をカウントし、その回数が所定の上限値に達したら、以降は、S530で肯定判断がなされても、S540を実行しないように制限してもよい。これらのような制限を加えれば、最大給湯流量が過度に低下するのを回避することができる。
[効果]
以上説明したような給湯器1でも、第一実施形態同様、給湯リモコン95及び風呂リモコン97(本発明でいう報知手段の一例に相当。)上でエラー番号が点滅するので、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期が実際に到来する前の段階で、メンテナンスの準備を始めることができる。
また、この給湯器1において、上述のようなエラー番号の報知が行われた場合、コントローラー93は利便性低下制御を実行し、S520及びS540により、給湯機能に関する性能(本実施形態の場合、最大給湯流量)を低下させることで、利用者の利便性を低下させる(利便性低下制御を実行するコントローラー93が本発明でいう利便性低下制御手段の一例に相当。)。したがって、S120によりエラー番号を点滅させただけでは、メンテナンス業者への連絡をしない利用者であっても、S520及びS540によって最大給湯流量が低下すれば、それを体感した利用者は、給湯器1に何らかの異常が起きているかもしれないとの思いに至り、メンテナンス業者へ連絡する可能性が高まるものと期待される。
さらに、最大給湯流量は低下するものの、第一実施形態同様、直ちに給湯機能が完全停
止するわけではないので、「S140相当の制御を実行することなく、S150相当の制御を実行するような給湯器」とも異なり、突然給湯機能が完全停止する状況に至って利用者に不便を強いる、といった事態になる可能性も低めることができる。
〔5〕第五実施形態
次に、第五実施形態について説明する。
[利便性低下制御]
第五実施形態においても、図2(a)のS130で否定判断がなされた場合(S130:NO)、コントローラー93は、利便性低下制御を実行する(S140)。ただし、第五実施形態では、利便性低下制御として、図4(b)に示す第五の例が実行される。
この第五の例として示した利便性低下制御を開始すると、コントローラー93は、初回の操作回数の変更か否かを判断する(S610)。S610では、図2(a)に示すS140が初めて実行されたときには肯定判断がなされ(S610:YES)、その場合、コントローラー93は、リモコンのスイッチ操作を受け付けるまでに必要な操作回数を1回から2回に変更し(S620)、利便性低下制御を終了する。
このS620が実行されると、その後、利用者がリモコンのスイッチ操作をする際には、1回の操作ではスイッチ操作が受け付けられず、2回続けて同じスイッチ操作を行うとスイッチ操作が受け付けられる状態になる。
利便性低下制御を終了した場合、図2(a)のS130へと戻るので、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになる。この場合、利便性低下制御を開始すると、S610では、初回の操作回数の変更ではないので(S610:NO)、コントローラー93は、前回の操作回数の変更後に所定の燃焼時間が経過したか否かを判断する(S630)。S630が初めて実行される時点では、通常、前回の操作回数の変更後に所定の燃焼時間が経過していない状況なので(S630:NO)、そのまま利便性低下制御を終了する。その結果、図2(a)のS130へと戻る。
その後は、S130で否定判断がなされる間は、再び利便性低下制御を実行することになり、かつ、S630で否定判断がなされる間は、再びS130へと戻るので、コントローラー93は、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上となるか(S130:YES)、前回の操作回数変更後に所定の燃焼時間が経過するか(S630:YES)、いずれかの状況になるまではS130〜S140及びS610〜S630を繰り返して待機することになる。
このような待機を行う中、前回の操作回数変更後に所定の燃焼時間が経過すれば(S630:YES)、今回の操作回数を(前回の操作回数)+1回に変更し(S640)、利便性低下制御を終了する。このS640が実行されると、その後、利用者がリモコンのスイッチ操作をする際には、S640の実行前と同数回の操作でもスイッチ操作が受け付けられなくなり、更に1回多いスイッチ操作を行うとスイッチ操作が受け付けられる状態になる。
以降は、上述のようなS130〜S140及びS610〜S630を繰り返して待機を続け、その中で所定の燃焼時間が経過するごとにS640が実行されて、操作回数は1回分ずつ増大してゆくことになる。なお、上述のようなS130〜S140及びS610〜S630を繰り返して待機をする中で、メンテナンス対象の累積使用量が第二のしきい値以上に至れば(S130:YES)、図2(a)のS150へと進み、以下、第一実施形態と同様の挙動となる。
なお、以上説明した利便性低下制御では、フローチャートを簡潔に示す都合上、単にS630で肯定判断がなされるたびに、S640が実行される例を示したが、S630とは別の条件を満たしているかどうかを更に判断した上で、S640を実行してもよい。より具体的な例を挙げれば、例えば、S640の実行に伴って操作受け付けまでに必要な操作回数が所定の上限値に達したか否かを判定し、操作回数が上限値に達していれば、以降は、S630で肯定判断がなされても、S640を実行しないように制限してもよい。あるいは、S640が実行された回数をカウントし、その回数が所定の上限値に達したら、以降は、S630で肯定判断がなされても、S640を実行しないように制限してもよい。これらのような制限を加えれば、操作受け付けまでに必要な操作回数が過度に多くなるのを回避することができる。
[効果]
以上説明したような給湯器1でも、第一実施形態同様、給湯リモコン95及び風呂リモコン97(本発明でいう報知手段の一例に相当。)上でエラー番号が点滅するので、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期が実際に到来する前の段階で、メンテナンスの準備を始めることができる。
また、この給湯器1において、上述のようなエラー番号の報知が行われた場合、コントローラー93は利便性低下制御を実行し、S620及びS640により、操作性を低下させる(本実施形態の場合、リモコンのスイッチ操作回数を増大させる)ことで、利用者の利便性を低下させる(利便性低下制御を実行するコントローラー93が本発明でいう利便性低下制御手段の一例に相当。)。したがって、S120によりエラー番号を点滅させただけでは、メンテナンス業者への連絡をしない利用者であっても、S620及びS640によって操作回数が増大すれば、それを体感した利用者は、給湯器1に何らかの異常が起きているかもしれないとの思いに至り、メンテナンス業者へ連絡する可能性が高まるものと期待される。
さらに、リモコンのスイッチ操作の回数は増大するものの、第一実施形態同様、直ちに給湯機能が完全停止するわけではないので、「S140相当の制御を実行することなく、S150相当の制御を実行するような給湯器」とも異なり、突然給湯機能が完全停止する状況に至って利用者に不便を強いる、といった事態になる可能性も低めることができる。
〔6〕その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記第二実施形態では出湯温度が低下する例を示し、上記第三実施形態では出湯温度範囲の下限値が低下しつつ出湯温度を揺らがせる例を示し、さらに、第一実施形態、第四実施形態、第五実施形態では、徐々に変化させるという観点で、第二実施形態同様の構成を例示したが、第一実施形態、第四実施形態、第五実施形態でも、第三実施形態同様、揺らぎが起きるような構成としてもよい。
具体的には、第一実施形態においては、出湯能力を低下させる例を示したが、出湯能力の上限値は変えないまま、出湯能力の下限値を低下させて、その上限値から下限値の範囲内で、出湯能力を変動させるように構成してもよい。
また、第四実施形態においては、給湯流量を低下させる例を示したが、給湯流量の上限値は変えないまま、給湯流量の下限値を低下させて、その上限値から下限値の範囲内で、給湯流量を変動させるように構成してもよい。
この他、利用者が通常の状態ではないと感じられるのであれば、給湯能力を通常より高める制御、給湯温度を上昇させる制御、給湯流量を上昇させる制御などを行ってもよい。
また、第五実施形態においては、スイッチ操作回数を増大させる例を示したが、スイッチ操作回数の下限値は変えないまま、スイッチ操作回数の上限値を増大させて、その下限値から上限値の範囲内で、スイッチ操作回数を変動させるように構成してもよい。
さらに、上記各実施形態においては、S230,S330,S430,S530,及びS630では、いずれも所定の燃焼時間が経過したか否かを判定条件の一つとしていたが、上記のような様々なメンテナンス対象に関する報知を行うに当たって、燃焼時間の経過を判定条件とするか否かも任意である。例えば、燃焼時間以外の時間条件で判定を行ってもよく、給湯器の使用時間、燃焼オン・オフの切替回数、通水時間などを判定条件としてもよい。また、燃焼エネルギー量やガス供給量など、経時変化、経年変化、あるいは消耗品の減少量などを、測定ないし推定するのに適した物理量であれば何でもよい。
また、上記実施形態では、中和器に対するメンテナンスの必要性を利用者に体感させるための構成として、いくつかの具体的例を挙げて説明を行ったが、上記以外にも様々な構成を考え得る。より具体的な例を示せば、例えば、給湯器が、給湯器に関する情報を表示する表示部を備えている場合には、利便性低下制御手段としては、表示部の輝度を低下させる制御、及び前記表示部の輝度を揺らがせる制御のうち、少なくとも一方の制御を行う手段を採用してもよい。
このような給湯器であれば、報知手段による報知が行われる状態に至ると、操作性を低下させる制御が実行され、表示部の輝度が低下する状態、又は表示部の輝度に揺らぎが生じる状態になり、利用者は操作前後の表示内容を確認しにくくなって操作性が低下する。そのため、報知手段で情報を報知して警告を行う程度では、そのような警告を軽視してしまう利用者であっても、表示部の輝度の低下に起因して利便性が低下すれば、それを契機としてメンテナンス業者への連絡を行う可能性があるので、中和器に対するメンテナンスがなされないままメンテナンスを実施すべき時期が到来してしまうのを抑制することができる。
また、利用者が給湯器に対する指令を与える際に利用者によって操作される操作部を備えている給湯器であれば、利便性低下制御手段としては、操作部で行われる所定の操作について、操作が実際に行われてから操作部で受け付けるまでに要する遅れ時間を増大させる制御、及び操作が実際に行われてから操作部で受け付けるまでに要する遅れ時間を揺らがせる制御のうち、少なくとも一方の制御を行う手段を採用してもよい。
このような給湯器によれば、報知手段による報知が行われる状態に至ると、操作性を低下させる制御が実行され、操作が実際に行われてから操作部で受け付けるまでに要する遅れ時間が増大する状態、又は同遅れ時間に揺らぎが生じる状態になり、利用者は操作が受け付けられたかどうかを確認しにくくなって操作性が低下する。そのため、報知手段で情報を報知して警告を行う程度では、そのような警告を軽視してしまう利用者であっても、操作が受け付けられるまでの遅れ時間が増大するのに起因して利便性が低下すれば、それを契機としてメンテナンス業者への連絡を行う可能性があるので、中和器に対するメンテナンスがなされないままメンテナンスを実施すべき時期が到来してしまうのを抑制することができる。
この他、給湯器は、給湯器に関する情報を表示する表示部を備えており、前記利便性低下制御手段は、前記給湯機能に関する性能又は操作性を低下させる制御として、前記表示部の点滅周期を短縮する制御、及び前記表示部の点滅周期を揺らがせる制御のうち、少なくとも一方の制御を行うものであってもよい。
このような給湯器によれば、報知手段による報知が行われる状態に至ると、表示部の点滅周期が短縮される状態、又は表示部の点滅周期に揺らぎが生じる状態になる。そのため、表示部の点滅周期が短縮されたこと又は表示部の点滅周期が変動するのに起因して利便性が低下すれば、それを契機としてメンテナンス業者への連絡を行う可能性があるので、中和器に対するメンテナンスがなされないままメンテナンスを実施すべき時期が到来してしまうのを抑制することができる。
また、給湯器は、利用者が給湯器に対する指令を与える際に利用者によって操作される操作部を備えており、前記利便性低下制御手段は、前記給湯機能に関する性能又は操作性を低下させる制御として、前記操作部で行われる所定の操作について、前記操作に伴って出力される受付音の音量を増大させる制御、及び前記操作に伴って出力される受付音の音量を揺らがせる制御のうち、少なくとも一方の制御を行うものであってもよい。
このような給湯器によれば、報知手段による報知が行われる状態に至ると、操作に伴って出力される受付音の音量が増大する状態、又は同受付音の音量に揺らぎが生じる状態になる。そのため、受付音の音量が増大したこと又は受付音の音量が変動することに起因して利便性が低下すれば、それを契機としてメンテナンス業者への連絡を行う可能性があるので、中和器に対するメンテナンスがなされないままメンテナンスを実施すべき時期が到来してしまうのを抑制することができる。
さらに、上記実施形態では、第一実施形態〜第五実施形態、及びその他の実施形態をそれぞれ別々に説明したが、各実施形態で個別に説明した構成は2組以上を同時に採用してもよい。例えば、出湯量及び出湯温度の双方を低下させたり、これら双方を揺らがせたりするようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、注意喚起用の可視情報としてエラー番号を表示することで、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期までの残り期間が所定以下となった旨を、利用者に対して報知する例を示したが、このような報知は、エラー番号以外の可視情報で報知することもできる。例えば、警告ランプの点灯ないし点滅で、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期までの残り期間が所定以下となった旨を報知してもよい。また、可視情報以外には、可聴情報で報知を行うこともでき、ブザー音やメロディーで警告音を出力し、中和器に対するメンテナンスを実施すべき時期までの残り期間が所定以下となった旨を報知してもよい。
また、上記実施形態では、操作部の例として、給湯リモコン95及び風呂リモコン97を例示したが、リモコンがない給湯器(例えば、熱源部と操作部が一体の構造物として構成されているタイプの給湯器)でも、本発明を採用できる。
さらに、温度を低下させる制御についても、その具体的な手法は任意であり、例えば、バーナー数は固定し、ガス供給量を減少させることで、発熱量を抑制して流体の温度を低下させてもよいし、点火対象のバーナー数を減らすことで、発熱量を抑制して流体の温度を低下させてもよい。また、そのような温度の微調整を行うに当たっては、バーナーを断続的に点火させたり消火させたりする制御を行ってもよい。あるいは、給水を続けつつ、給湯を一時的又は断続的に停止させることで、温度を低下させてもよい。
また、このような制御を行う上限時間を定めておいて、上限時間が到来したら、利便性低下制御を中止してもよい。逆に、上限時間が到来するまでは、利便性低下制御を実施しないようにしてもよい。