以下、本発明の実施形態について、図1から図8を用いて説明する。
[実施例の構成説明]
図1(a)は、本発明を用いたタッチパネル検査装置の外観を示すものである。また、図1(b)は、タッチパネルの構造について示すものである。
すなわち、本願発明を用いたタッチパネル検査装置100は、図1(a)に示すように、タッチパネル1とその周囲を覆うフレーム4と、タッチパネル1の断線検査を行う、マイクロコンピュータ5と、検査結果や検査状況を逐次表示する、マイクロコンピュータ5に接続された液晶モニタ6と、マイクロコンピュータ5とタッチパネル1を接続する接続ハーネス8からなる。
そして、図1(b)に示すように、タッチパネル1の背面には、タッチパネル1によってタッチ操作を行うためのGUI(Graphical User Interface)画面が表示される液晶パネル2が備えられて、液晶パネル2の後面には、タッチパネルを駆動するためのタッチパネルドライバ回路3が備えられる。そして、タッチパネル1とタッチパネルドライバ回路3は、接続ハーネス7で接続されており、タッチパネルドライバ回路3と図1(b)に図示しないマイクロコンピュータ5は、接続ハーネス8で接続されている。
なお、タッチパネル1と液晶パネル2とタッチパネルドライバ回路3は、互いに重ね合わされて、フレーム4の内部に収容されている。
図2は、タッチパネル検査装置100の概略構成を示すブロック図である。
本タッチパネル検査装置100は、図2に示すように、タッチパネル1と、タッチパネル1の表面が押圧されたときに、タッチパネル1から出力される押圧位置を表す座標情報を取得して分析するタッチパネル出力分析部10と、突起状の先端部を有しタッチパネル1の表面に接触する接触部20と、接触部20を保持して、接触部20をタッチパネル1の表面に接触させる動作と、接触部20をタッチパネル1の表面に接触した状態でタッチパネル1の表面上を移動させる動作と、接触部20をタッチパネル1の表面から離隔させる動作を行う接触部移動制御部30と、タッチパネル1の検査開始をタッチパネル出力分析部10に指示するとともに、接触部移動制御部30に対して接触部20の移動を指示する検査開始指示部40と、タッチパネル1の断線検査を実行する検査実行部50と、タッチパネル1の検査状況と検査結果を表示する表示部60と、を備えている。
なお、タッチパネル出力分析部10,検査開始指示部40,検査実行部50は、具体的には、予めプログラミングされたソフトウェアとして、前記したマイクロコンピュータ5に内包されている。また、表示部60は、具体的には、前記した液晶モニタ6によって構成される。また、接触部20,接触部移動制御部30は、図1には図示されておらず、その詳細構成は後述する。
前記タッチパネル出力分析部10は、さらに、接触部20のタッチパネル1への接触位置を検出する接触位置検出部12と、検出した接触位置を記憶する接触位置記憶部14と、タッチパネル1の表面から接触部20が離隔したことを検出する離隔検出部16を備えている。
[接触部の概要説明]
次に、図3を用いて、接触部20と接触部移動制御部30について説明する。接触部20は、図3に示すように、その先端部がペン状の突起形状をなしている。そして、接触部20は、方向x、および方向yにそれぞれ沿って移動可能な接触部移動制御部30に固定されている。
より具体的には、図3に示すように、接触部移動制御部30は、所謂xyzテーブルによって構成されている。すなわち、接触部移動制御部30は、可動部材36と、可動部材36をx方向に移動可能なx方向移動機構32と、可動部材36をy方向に移動可能なy方向移動機構33と、可動部材36をタッチパネル1の面直方向であるz方向に移動可能なz方向移動機構34からなる。そして、接触部20は、タッチパネル1の面直方向を向いて可動部材36に固定されている。
そして、接触部20の先端は、検査開始指示部40からの指示に基づいて、予め決められた第1の点においてタッチパネル1の表面に接触した後、接触した状態で、タッチパネル1の表面を、例えば図3に示す移動経路Pを描いて、予め決められた第2の点まで移動する。このとき、接触部20の移動経路Pに制約はなく、第1の点から第2の点に至る経路であれば、直線状に移動しても、曲線を描いて移動しても構わない。
さらに、第2の点において、接触部20の先端は検査開始指示部40からの指示に基づいて、タッチパネル1の表面から離隔するように制御される。
なお、本願発明によって検査できるタッチパネルは、タッチパネル上の複数の異なる位置を同時にタッチ(接触)したときに、接触された複数の位置座標を同時に出力することができる、所謂マルチタッチが可能なタッチパネルであれば、タッチパネルの形式を問うものではない。ただし、静電容量式のタッチパネルを検査するときには、接触部20には導電性を有する部材を用いるものとする等、検査するタッチパネルの形式に応じた準備が必要であるのはいうまでもない。
次に、図4を用いて、タッチパネル1の内部構造について簡単に説明する。図4は、タッチパネル1に内蔵された、押圧位置を検出するセンサの構成について説明する図である。
一般に、タッチパネル1は、縦横に規則的に配列された複数のマトリックススイッチから構成されている。例えば、図4のタッチパネル1には、横方向(x方向)に沿って本数nの透明電極、縦方向(y方向)に沿って本数mの透明電極が内蔵されており、各々の透明電極の交点が押圧されたときに、押圧位置を横切る横方向の透明電極と縦方向の透明電極が導通して電流が流れて、接触した電極の位置座標が出力される構成になっている。すなわち、図4に示したタッチパネル1では、合計mn箇所の接触位置を検出することができる。
そして、図4において、前記した第1の点がP1(x1,y1)であり、前記した第2の点がP2(xm,yn)であるとする。
なお、以後の説明を簡単にするため、このタッチパネル1は、そのx方向,y方向が、それぞれ、接触部移動制御部30のx方向,y方向と平行になるように設置されているものとする。
[タッチパネル出力の説明]
次に、本実施例において、接触部20がタッチパネル1の表面を押圧した状態(以下、接触した状態と呼ぶ)で移動したときに、タッチパネル1から出力される信号について、図5,図6を用いて説明する。
図5(a)は、接触部20の先端がタッチパネル1に接触しながら移動している様子を示す図である。そして、図5(b)は、図5(a)の状態のΔt秒後の状態を示す図である。
図5(a)は、接触部20が接触面積Sをもってタッチパネル1の座標(xi,yj)に接触して、移動経路Pの方向に移動していることを表している。なお、図5(a),(b)に示すタッチパネル1には、断線箇所Bにおいて、y方向に延びる透明電極に断線が生じているものとする。
このとき、タッチパネル1は、その内部で図5(a)に示す信号を生成して、タッチパネル出力分析部10に出力する。そして、タッチパネル出力分析部10の中に設けられた接触位置検出部12は、この信号に基づいて、座標(xi,yj)が押圧されたものと認識する。なお、このときに認識された座標(xi,yj)は、接触位置記憶部14に記憶される。
一方、図5(b)において、接触部20の接触位置は、座標(xi+1,yj+1)に移動する。このとき、タッチパネル1からは、図5(b)に示す信号が生成されて出力される。すなわち、接触部20は、y方向に沿う透明電極のうち、x=xi+1の位置にある電極に接触しているが、断線箇所Bがあるため、図5(b)に示す信号には、x方向の接触位置を示す情報が出力されない。したがって、接触位置検出部12はその接触を認識することができない。
これに対して、接触部20は、x方向に沿う透明電極のうち、y=yj+1の位置にある電極に接触していることが、接触位置検出部12において、図5(b)に示す信号が、y方向の接触位置を示す情報(y=yj+1)を出力していることによって認識される。
このように、x方向、もしくはy方向の少なくとも一方において、透明電極への非接触が検出されたときには、タッチパネル出力分析部10の中に設けられた離隔検出部16は、接触位置記憶部14に記憶された、1サンプリング前(Δt秒前)の接触位置を読み出す。図5(b)の場合、接触位置(xi,yj)が読み出される。そして、離隔検出部16は、接触部20は、接触位置(xi,yj)に接触した後、タッチパネル1の表面から離隔したものと判断する。
そして、離隔検出部16は、離隔が発生する前の接触部20の接触位置(xi,yj)が、接触部20の移動の終点である第2の点P2(xm,yn)を中心とする所定の領域の内側であるか否かを判断する。そして、接触位置(xi,yj)が第2の点P2を中心とする所定の領域の内側でないと判断されたときは、タッチパネル1に断線が発生したことによって、接触部20の接触位置を示す信号が途切れたと判断する。なお、離隔が発生する直前の接触部20の接触位置(xi,yj)が、第2の点P2(xm,yn)を中心とする所定の領域の内側であることは、2点(離隔が発生する前の接触位置(xi,yj)と第2の点P2)の座標の偏差を計算して、その偏差が所定の値より小さいことをもって判断すればよい。
なお、接触部20をタッチパネル1に接触させたときに、その接触面積Sは、接触部20の先端の形状や接触部20の接触圧力によって変化するため、前記所定の領域は、予め、接触面積Sの大きさを測定して、その上限値を超える大きさに設定すればよい。以下、説明を簡単にするために、点Aが、点Bを中心とする所定の領域の内側にあることを、「点Aは点Bの近傍にある」と表現する。
次に、図6を用いて、タッチパネル1の第2の点P2(xm,yn)において、タッチパネル1から出力される信号について説明する。
図6(a)は、接触部20の先端がタッチパネル1に接触しながら移動して、タッチパネル1の第2の点P2(xm,yn)に至った状態を示す図である。そして、図6(b)は、図6(a)の状態のΔt秒後に、接触部20の先端が、タッチパネル1から離隔した状態を示す図である。
図6(a)の状態にあるとき、タッチパネル1は、図6(a)に示す信号を生成して、タッチパネル出力分析部10に出力する。そして、タッチパネル出力分析部10の中に設けられた接触位置検出部12は、この信号に基づいて、接触部20が座標(xm,yn)の位置に接触したものと認識する。なお、このときに認識された座標(xm,yn)は、接触位置記憶部14に記憶される。
一方、図6(b)において、接触部20の接触位置は、タッチパネル1から離隔する。このとき、接触部20はタッチパネル1に接触していないため、タッチパネル1からは、図6(b)に示すように、接触部20の接触位置を示す信号が出力されない。
このように、x方向、もしくはy方向の少なくとも一方において、透明電極への非接触が検出されたときには、離隔検出部16は、接触位置記憶部14に記憶された、1サンプリング前(Δt秒前)の接触位置を読み出す。図6(b)の場合、接触位置(xm,yn)が読み出される。
そして、離隔検出部16は、離隔が発生する前の接触部20の接触位置(xm,yn)が、接触部20の移動の終点である第2の点P2(xm,yn)の近傍であるか否かを判断する。図6(b)の場合、接触部20は、第2の点P2(xm,yn)においてタッチパネル1の表面から離隔したため、接触部20は、本来の移動の終点である第2の点P2に至ったものと判断されて、タッチパネル1の断線検査が完了したものと判断される。
[作用説明]
次に、本実施例の一連の流れについて、図7のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS10) まず、検査開始指示部40からタッチパネル出力分析部10に対して、検査開始を指示する検査開始指示出力が送られる。なお、検査を開始する前に、タッチパネル1の内部にある前記したマトリックススイッチの数(垂直方向m、水平方向n)は、予めタッチパネル出力分析部10に記憶されており、接触部20がタッチパネル1に接触したときに、タッチパネル1からどのような範囲の値が出力されるのかが予めわかっているものとする。さらに、接触部移動制御部30は、マトリックススイッチの数、タッチパネル1のサイズ、タッチパネル1が設置されている位置を予め記憶しており、接触部20をタッチパネル1の任意の位置に移動できるようになっているものとする。
(ステップS12) 検査開始指示部40から表示部60に対しても、検査開始を示す情報が伝達されて、表示部60において、「検査待ち」を表す情報が生成されて、表示部60を構成する液晶モニタ6に、その情報が出力される。
(ステップS14) 次に、検査実行部50から接触部移動制御部30に対して、接触部20をタッチパネル1の中の第1の点であるP1(x1,y1)(図4参照)に移動する指示を出し、その後、接触部20をタッチパネル1の表面に向かって下ろす指示を出して、タッチパネル1の表面に接触させる。なお、第1の点P1は、図4に示すように、タッチパネル1の最も左上隅部にある縦横の透明電極の交点である。ここで、接触部20をタッチパネル1の中の第1の点P1まで移動させるために、接触部移動制御部30が接触部20に指示する移動量と移動方向は、予め接触部移動制御部30に記憶されたマトリックススイッチの数、タッチパネル1のサイズ、タッチパネル1が設置されている位置に基づいて、接触部移動制御部30において計算される。
(ステップS16) 次に、タッチパネル1の出力を接触位置検出部12でモニタして、接触部20がタッチパネル1に接触したか否かを判断する。接触部20がタッチパネル1に接触したときには、接触した位置の座標が出力されるため、この座標出力が観測されたときには、接触部20がタッチパネル1に接触したと判断してステップS18に進み、座標出力が観測されないときは、接触部20がタッチパネル1に接触していないと判断してステップS34に進む。
(ステップS18) 次に、接触位置検出部12では、接触部20が接触した位置座標を確認する。なお、本実施例の場合、接触部20をタッチパネル1の中の第1の点である点P1(x1,y1)に接触させる指示を出しているが、前述したように、接触部20の接触面積Sにはばらつきがあるため、第1の点である点P1(x1,y1)を中心とする所定の領域の内側に接触部20が接触していれば、点P1(x1,y1)に接触したものと判断する。そして、接触部20が、タッチパネル1の中の第1の点である点P1(x1,y1)、もしくは第1の点P1の近傍に接触していると判断されたときは、ステップS20に進み、それ以外の位置に接触していると判断されたときは、ステップS14に戻る。
(ステップS34) ステップS16において、接触部20がタッチパネル1に接触していないと判断されたときは、接触位置検出部12において、ステップS10で検査開始を指示する検査開始指示出力が送出されてから所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間が経過したと判断されたときは、ステップS36に進み、所定時間が経過していないと判断されたときには、ステップS14に戻る。
(ステップS36) 検査開始を指示する検査開始指示出力が送出されてから所定時間が経過したと判断されたときは、その旨がタッチパネル出力分析部10から検査実行部50に伝達されて、検査実行部50において「タイムオーバー」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、所定時間内に接触部20がタッチパネル1に接触しなかったためタッチパネルの検査を終了する旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
(ステップS20) 接触部20が、第1の点である点P1(x1,y1)、もしくはその近傍に接触していると判断されたときには、その旨がタッチパネル出力分析部10から検査実行部50に伝達されて、検査実行部50において、「検査中」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネルの検査中であることが、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示される。
(ステップS22) 接触部20は、接触部移動制御部30からの指示によって、タッチパネル1に接触したまま、第2の点であるP2(xm,yn)(図4参照)に向かって移動する。そして、第2の点P2(xm,yn)に到達したら、接触部20をタッチパネル1の表面から離れる方向に移動させる。なお、第2の点P2は、図4に示すように、タッチパネル1の最も右下隅部にある縦横の透明電極の交点である。そして、このときに接触部20が接触した位置座標は、随時、接触位置記憶部14に記憶される。なお、接触部20をタッチパネル1の中の第1の点から第2の点まで移動させるために、接触部移動制御部30が接触部20に指示する移動量と移動方向とは、予め接触部移動制御部30に与えられたマトリックススイッチの数、およびタッチパネル1のサイズに基づいて計算されているものとする。
(ステップS24) 離隔検出部16において、接触部20がタッチパネル1の表面から離隔したか否かを判断する。接触部20がタッチパネル1の表面から離隔したと判断されたときは、ステップS26に移動し、接触部20がタッチパネル1の表面から離隔していないと判断されたときは、ステップS22に戻って、接触部20の移動を継続する。なお、接触部20がタッチパネル1から離隔したか否かは、先に説明したように、タッチパネル1から出力される接触位置を示す信号の中に、x方向の接触位置を示す情報、もしくは、y方向の接触位置を示す情報が含まれていないことを認識することによって判断される。
(ステップS26) 接触部20がタッチパネル1から離隔したと判断されたときは、離隔する直前に、接触部20がタッチパネル1に接触していた座標(xi,yj)が、接触位置記憶部14に記憶された接触位置を表す情報の中から読み出される。
(ステップS28) そして、離隔検出部16において、ステップS26で読み出された座標値が、第2の点であるP2(xm,yn)の近傍にあるか否かが判断される。座標値が第2の点P2の近傍であるときは、ステップS30に進み、第2の点P2の近傍にないときは、ステップS32に進む。
(ステップS30) ステップS28において、座標値が第2の点P2の近傍であると判断されたときは、検査実行部50において「検査OK」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネル1の断線がない旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
(ステップS32) ステップS28において、座標値が第2の点P2の近傍でないと判断されたときは、接触部20がタッチパネル1に接触しながら移動している最中に、第2の点P2に到達する前に、タッチパネル1の表面から離隔したものと判断される。ここで、接触部20は、タッチパネル1に接触しながら移動しているため、この現象が発生したときは、タッチパネル1の内部で断線が発生したものと推定される。そのため、検査実行部50において「検査NG」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネル1に断線が生じている旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
なお、上記説明は、接触部20のタッチパネル1への接触面積Sが、図5(a),(b)に示すように、縦横の透明電極の交点1つに接触する程度の面積を有するものとして説明したが、接触面積Sがより大きい場合であっても、上記説明と同様にして、接触位置の検出と離隔の検出を行うことができる。
以下、図8を用いて、接触部20のタッチパネル1への接触面積S’が、隣接する縦横の透明電極の交点3つ分の大きさを有している場合を例にあげて、接触部20の接触位置の検出と離隔検出の方法について説明する。なお、タッチパネル1は、断線箇所Bにおいて、縦方向(y方向)に延びる透明電極に断線が生じているものとする。
図8(a)は、ある時刻tにおけるタッチパネル1上の接触部20の位置、および、接触部20の移動経路Pを示している。このとき、タッチパネル1から接触位置検出部12に対して、図8(a)の右側に示す、x方向,y方向における接触部20の接触位置を示す信号が出力される。なお、タッチパネル1はマルチタッチを認識することができるタッチパネルであるため、図8(a)に示す信号からわかるように、複数の電極の交点が同時に押圧されたことを認識することができる。
接触位置検出部12は、この信号に基づいて、座標(xi+1,yj+1)を中心とする上下各3つの電極の交点、合計9箇所が押圧されているものと認識する。こうして認識された座標は、接触位置記憶部14に記憶される。
図8(b)は時刻t+Δtにおけるタッチパネル1上の接触部20の位置を示している。接触部20の接触位置は、座標(xi+3,yj+5)を中心とする接触面積S’の領域に移動する。このとき、タッチパネル1から接触位置検出部12に対して、図8(b)の右側に示す、x方向,y方向における接触部20の接触位置を示す信号が出力される。
このとき、断線箇所Bにおいて縦方向の透明電極に断線が生じているため、x=xi+3においては、接触部20が接触したことを示す信号が出力されない。
すなわち、図8(b)の場合、接触位置検出部12は、座標(xi+2,yj+4),(xi+4,yj+4),(xi+2,yj+5),(xi+4,yj+5),(xi+2,yj+6),(xi+4,yj+6)の6箇所が押圧されているものと認識する。
離隔検出部16は、図8(b)の信号において、x方向の接触位置を示す信号が中抜けになっている(x=xi+3に相当する接触位置を示す信号が出力されない)ことを認識すると、その直前に、接触部20がタッチパネル1に接触していた座標を、接触位置記憶部14から読み出す。
そして、図8(a)に示す9箇所の接触位置が読み出される。そして、9箇所の接触位置の重心位置である、座標(xi+1,yj+1)を求めて、接触部20は、座標(xi+1,yj+1)においてタッチパネル1の表面から離隔したものと判断する。
そして、この離隔した座標(xi+1,yj+1)が、前記した第2の点P2の近傍にないとき、タッチパネル1の内部に断線があるものと判断される。
このように、接触部20の接触面積S’が、隣接する縦横の透明電極の交点の複数個分の大きさを有しているときであっても、タッチパネル1の断線検査を確実に行うことができるため、接触部20として検査員の手指を用いることも可能である。
すなわち、検査員の手指をタッチパネル1に接触させたとき、その接触面積には個人差があるが、上記した検査方法を採ることによって、接触面積が大きい場合であっても、確実に断線検査を行うことができる。
なお、検査員が手指でタッチパネルに触れた場合を想定すると、検査員が異なると、手指のサイズが異なるため、手指がタッチパネルに接触したときの接触面積が異なる。さらに、同じ検査員でも、手指の腹がタッチパネルに接触したときと、手指先がタッチパネルに接触したときとで、接触面積が異なる。すなわち、接触部20として検査員の手指を用いた場合、タッチパネルへの接触面積を一定に保つのは困難である。
しかしながら、本願発明にあっては、先に説明したように、接触面積Sが透明電極の交点1個分の大きさであっても、また、接触面積S’が隣接する透明電極の交点3個分の大きさであっても、全く同じ検査方法で、タッチパネルの断線検査を行うことができる。すなわち、検査の途中で接触面積がSからS’に変化しても、また、S’からSに変化しても、検査結果には何の影響も与えることなく、検査を遂行することができる。そして、接触面積はS,S’に限定されるものではなく、それ以外の大きさであっても、同様に検査できることはいうまでもない。
また、このように、接触部20として検査員の手指を用いることによって、図2で説明した接触部移動制御部30の機能、すなわち、接触部20である手指をタッチパネル1の所定の第1の点に接触させて、接触させたまま、所定の第2の点まで移動させるという機能は、検査員自身がタッチパネル1を自身の目で見て確認することによって実行できるため、図2に示した接触部移動制御部30が不要となり、検査装置の構成をより一層簡易化することができる。
以上、説明したように、実施例1に係るタッチパネル検査方法によれば、接触部移動制御部30が、接触部20を、接触された位置座標を出力する複数のセンサを備えたタッチパネル1の所定の第1の点P1に移動してタッチパネル1に接触させた後で、接触位置記憶部14が接触部20の接触位置を記憶しながら、接触部20を所定の第2の点P2まで移動させて、第2の点P2において接触部20をタッチパネル1から離隔させたときに、離隔検出部16が、接触部20がタッチパネル1から離隔した直前に接触していた位置座標を算出して、こうして算出された位置座標に基づいて、タッチパネル1の断線の有無を判断して表示部60に検査結果を表示するため、検査状況を確認しながら、簡単な手順によって短時間で確実にタッチパネル1の断線検査を行うことができる。
また、実施例1に係るタッチパネル検査方法によれば、離隔検出部16が、接触部20がタッチパネル1から離隔したことを検出したときに、接触部20がタッチパネル1から離隔する直前に接触していた位置座標が接触位置記憶部14から読み出されて、こうして読み出された位置座標が、第2の点P2を中心とする所定の領域の内側でないときに、タッチパネル1が断線していると判断されるため、簡単な判断ロジックによって確実にタッチパネルの断線検査を行うことができる。
また、実施例1に係るタッチパネル検査方法によれば、長方形状を有するタッチパネル1の1つの頂点を第1の点P1に設定し、この頂点を通るタッチパネル1の対角線の他端の頂点を第2の点P2に設定して、第1の点P1から第2の点P2に亘ってタッチパネル1に接触させた接触部20を移動させるため、接触部20の移動経路Pは、タッチパネル1が短辺と長辺に沿ってそれぞれ有する全ての座標値を漏れなく網羅するため、タッチパネル1の断線の有無の検査を漏れなく行うことができる。
また、実施例1に係るタッチパネル検査方法によれば、複数の位置に同時に接触したことを認識できるタッチパネル1において、接触部20の接触面積S’が、タッチパネル1の内部に配列された、隣接する3箇所以上のセンサに同時に接触するサイズを有しているときに、隣接する3箇所以上のセンサのうち、その両端部以外の少なくとも1つのセンサから、接触部20がタッチパネル1に接触していることを示す信号が出力されないときに、タッチパネル1が断線していると判断するため、接触面積S’が、隣接する3箇所以上のセンサに亘る程度の面積を有する、例えば、検査員の手指を用いてタッチパネル1の断線検査を行うことができる。さらに、検査中に手指をタッチパネル1に押し付ける力が変化することによって接触部20の接触面積S’が変化しても、タッチパネル1の断線検査を行うことができる。
また、実施例1に係るタッチパネル検査方法によれば、予め、タッチパネル1の内部にあるマトリックススイッチ(センサ)の数をタッチパネル出力分析部10に記憶しておき、マトリックススイッチの数、タッチパネルのサイズ、タッチパネルが設置されている位置を接触部移動制御部30に記憶しておくことによって、タッチパネルのサイズやタッチパネルの内部のセンサの数が増加した場合であっても、同じ方法を用いて同様に検査を行うことが可能である。特に、接触部20として検査員の手指を用いる場合は、接触部移動制御部30が不要になるため、マトリックススイッチの数を予めタッチパネル出力分析部10に記憶しておくだけで、異なるサイズや異なるセンサ数を有するタッチパネルの断線検査を簡便に行うことができる。
次に、本発明に係るタッチパネル検査方法の第2の実施例について説明する。自動車のエアコンやオーディオやカーナビゲーションの操作に用いられるタッチパネルの形状は、長方形である必要はなく、例えば意匠性を高める観点から、楕円のような形状のタッチパネルを用いることもできる。
実施例2は、図9に示すように、タッチパネル1の上面に、その周囲を覆う楕円形状のフレーム9を被せることによって、タッチパネルの情報入力面が楕円形状をなしている場合に、このタッチパネルの断線検査に、本発明に係るタッチパネルの検査方法を適用したものである。
[実施例2の構成説明]
図10は、タッチパネル検査装置101の概略構成を示すブロック図である。
本タッチパネル検査装置101は、図10に示すように、タッチパネル11と、タッチパネル11の表面が押圧されたときに、タッチパネル11から出力される押圧位置を表す座標情報を取得して分析するタッチパネル出力分析部10と、突起状の先端部を有しタッチパネル11の表面に接触する接触部20と、接触部20を保持して、接触部20をタッチパネル11の表面に接触させる動作と、接触部20をタッチパネル11の表面に接触した状態でタッチパネル11の表面上を移動させる動作と、接触部20をタッチパネル11の表面から離隔させる動作を行う接触部移動制御部30と、タッチパネル11の検査開始をタッチパネル出力分析部10に指示するとともに、接触部移動制御部30に対して接触部20の移動を指示する検査開始指示部40と、接触部20の2本の移動方向とそれぞれの移動方向の始点と終点を選定する移動方向選定部45と、タッチパネル11の断線検査を実行する検査実行部52と、タッチパネル11の検査状況と検査結果を表示する表示部60と、を備えている。
前記タッチパネル出力分析部10は、さらに、接触部20のタッチパネル11への接触位置を検出する接触位置検出部12と、検出した接触位置を記憶する接触位置記憶部14と、タッチパネル11の表面から接触部20が離隔したことを検出する離隔検出部16を備えている。
また、前記検査実行部52は、さらに、接触部20をタッチパネル11に接触させたまま、タッチパネル11の横方向の最小座標値を有する点から横方向の最大座標値を有する点まで移動させたときの断線検査を行う第1方向検査実行部54と、タッチパネル11の縦方向の最小座標値を有する点から縦方向の最大座標値を有する点まで移動させたときの断線検査を行う第2方向検査実行部56を備えている。
以下、本実施例の作用を説明する。なお、第1実施例と同じ動作を行う部分は説明を簡略化する。
[移動部移動方向の選定方法の説明]
まず、図9を用いて、断線検査を行う際に、接触部20を移動させる方向を選定する方法について説明する。
図9は、実施例2で検査を行うタッチパネル11の外形形状を示すものである。タッチパネル11は、楕円状に切り抜かれたフレーム9で覆われて、タッチパネル11の内部にある透明電極のうち、横方向位置がxoからxpの範囲、および、縦方向位置がyqからyrの範囲の透明電極が外部に露出していることを表している。
図9に示すタッチパネル11のサイズ、タッチパネル11の内部にあるマトリックススイッチの数、タッチパネル11が設置されている位置、フレーム9のサイズ、フレーム9の形状は、予め接触部移動制御部30に記憶されている。移動方向選定部45は、接触部移動制御部30からこれらの情報を読み出して、移動方向選定部45において、接触部20を移動させる方向の選定を行う。
移動方向選定部45では、まず、図9に示すようにタッチパネル11に外接する長方形Rを描く。そして、この長方形Rがタッチパネル11と接する、横方向の最小座標値を有するタッチパネル11上の第3の点P3(x3,y3)と、横方向の最大座標値を有するタッチパネル11上の第4の点P4(x4,y4)、および、縦方向の最小座標値を有するタッチパネル11上の第5の点P5(x5,y5)と、縦方向の最大座標値を有するタッチパネル11上の第6の点P6(x6,y6)をそれぞれ求める。
そして、第3の点P3から第4の点P4に至る方向を第1方向Q1とし、第5の点P5から第6の点P6に至る方向を第2方向Q2として選定する。
こうして選定された、第3の点P3から第4の点P4に至る第1方向Q1と、第5の点P5から第6の点P6に至る第2方向Q2を辿ると、タッチパネル11のうち、フレーム9から露出している部分が有する全ての縦方向の透明電極と、全ての横方向の透明電極を漏れなくなぞることができるため、これによって、タッチパネル11の断線検査を漏れなく行うことができる。
[作用説明]
次に、本実施例の一連の流れについて、図11,図12のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS35) 移動方向選定部45において、第3の点P3,第4の点P4,第5の点P5,第6の点P6を特定して、第3の点P3から第4の点P4に至る第1方向Q1と、第5の点P5から第6の点P6に至る第2方向Q2を求める。なお、その処理内容は前記した通りであるため、詳細説明は省略する。
(ステップS40) 検査開始指示部40からタッチパネル出力分析部10に対して、検査開始を指示する検査開始指示出力が送られる。
(ステップS42) 検査開始指示部40から表示部60に対しても、検査開始を示す情報が伝達されて、表示部60において、「検査待ち」を表す情報が生成されて、表示部60を構成する液晶モニタ6に、その情報が出力される。
(ステップS44) 次に、検査実行部50から接触部移動制御部30に対して、接触部20をタッチパネル11の中の第3の点P3(x3,y3)(図9参照)に移動する指示を出し、その後、接触部20をタッチパネル11の表面に向かって下ろす指示を出して、タッチパネル11の表面に接触させる。ここで、接触部20を第3の点P3まで移動させるために、接触部移動制御部30が接触部20に指示する移動量と移動方向は、予め接触部移動制御部30に記憶されたマトリックススイッチの数、タッチパネル11のサイズ、タッチパネル11が設置されている位置に基づいて、接触部移動制御部30において計算される。
(ステップS46) 次に、タッチパネル11の出力を接触位置検出部12でモニタして、接触部20がタッチパネル11に接触したか否かを判断する。接触部20がタッチパネル11に接触したときには、接触した位置の座標が出力されるため、この座標出力が観測されたときには、接触部20がタッチパネル11に接触したと判断してステップS48に進み、座標出力が観測されないときは、接触部20がタッチパネル11に接触していないと判断してステップS66に進む。
(ステップS48) 次に、接触位置検出部12では、接触部20が接触した位置座標を確認する。そして、タッチパネル11の中の第3の点であるP3、もしくは第3の点P3の近傍に接触していると判断されたときは、ステップS50に進み、それ以外の位置に接触していると判断されたときは、ステップS44に戻る。
(ステップS66) ステップS46において、接触部20がタッチパネル11に接触していないと判断されたときは、接触位置検出部12において、ステップS40で検査開始を指示する検査開始指示出力が送出されてから所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間が経過したと判断されたときは、ステップS68に進み、所定時間が経過していないと判断されたときには、ステップS44に戻る。
(ステップ68) 検査開始を指示する検査開始指示出力が送出されてから所定時間が経過したと判断されたときは、その旨がタッチパネル出力分析部10から第1方向検査実行部54に伝達されて、第1方向検査実行部54において「タイムオーバー」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、所定時間内に接触部20がタッチパネル11に接触しなかったためタッチパネルの検査を終了する旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
(ステップS50) 接触部20が、第3の点である点P3、もしくはその近傍に接触していると判断されたときには、その旨がタッチパネル出力分析部10から第1方向検査実行部54に伝達されて、第1方向検査実行部54において、「検査中」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネルの検査中であることが、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示される。
(ステップS52) 接触部20は、接触部移動制御部30からの指示によって、タッチパネル11に接触したまま、第4の点であるP4(x4,y4)(図9参照)に向かって移動する。そして、第4の点P4(x4,y4)に到達したら、接触部20をタッチパネル11の表面から離れる方向に移動させる。そして、このときに接触部20が接触した位置座標は、随時、接触位置記憶部14に記憶される。なお、接触部20をタッチパネル11の中の第3の点から第4の点まで移動させるために、接触部移動制御部30が接触部20に指示する移動量と移動方向とは、予め接触部移動制御部30に与えられたマトリックススイッチの数、タッチパネル11のサイズ、タッチパネル11が設置されている位置に基づいて、接触部移動制御部30において計算される。
(ステップS54) 離隔検出部16において、接触部20がタッチパネル11の表面から離隔したか否かを判断する。接触部20がタッチパネル11の表面から離隔したと判断されたときは、ステップS56に移動し、接触部20がタッチパネル11の表面から離隔していないと判断されたときは、ステップS52に戻って、接触部20の移動を継続する。なお、接触部20がタッチパネル11から離隔したか否かは、先に説明したように、タッチパネル11から出力される接触位置を示す信号の中に、x方向の接触位置を示す情報、もしくは、y方向の接触位置を示す情報が含まれていないことを認識することによって判断される。
(ステップS56) 接触部20がタッチパネル11から離隔したと判断されたときは、離隔する直前に、接触部20がタッチパネル11に接触していた座標(xi,yj)(第1の位置座標)が、接触位置記憶部14に記憶された接触位置を表す情報の中から読み出される。
(ステップS58) そして、離隔検出部16において、ステップS56で読み出された座標値が、第4の点であるP4(x4,y4)の近傍にあるか否かが判断される。座標値が第4の点P4の近傍であるときは、ステップS62に進み、第4の点P4の近傍にないときは、ステップS64に進む。
(ステップS62) ステップS58において、座標値が第4の点P4の近傍であると判断されたときは、第1方向検査実行部54において「第1方向検査OK」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネル11の縦方向(第1方向に直交する方向)の透明電極に断線がない旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示される。
(ステップS64) ステップS58において、座標値が第4の点P4の近傍でないと判断されたときは、接触部20がタッチパネル11に接触しながら移動している最中に、第4の点P4に到達する前に、タッチパネル11の表面から離隔したものと判断される。ここで、接触部20は、タッチパネル11に接触しながら移動しているため、この現象が発生したときは、タッチパネル11の縦方向(第1方向に直交する方向)の透明電極に断線が発生したものと推定される。そのため、第1方向検査実行部54において「第1方向検査NG」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネル11の縦方向の透明電極に断線が生じている旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
(ステップS70) 次に、検査実行部52から接触部移動制御部30に対して、接触部20をタッチパネル11の中の第5の点P5(x5,y5)(図9参照)に移動する指示を出し、その後、接触部20をタッチパネル11の表面に向かって下ろす指示を出して、タッチパネル11の表面に接触させる。ここで、接触部20を第5の点P5まで移動させるために、接触部移動制御部30が接触部20に指示する移動量と移動方向は、予め接触部移動制御部30に記憶されたマトリックススイッチの数、タッチパネル11のサイズ、タッチパネル11が設置されている位置に基づいて、接触部移動制御部30において計算される。
(ステップS72) 次に、タッチパネル11の出力を接触位置検出部12でモニタして、接触部20がタッチパネル11に接触したか否かを判断する。接触部20がタッチパネル11に接触したときには、接触した位置の座標が出力されるため、この座標出力が観測されたときには、接触部20がタッチパネル11に接触したと判断してステップS74に進み、座標出力が観測されないときは、接触部20がタッチパネル11に接触していないと判断してステップS92に進む。
(ステップS74) 次に、接触位置検出部12では、接触部20が接触した位置座標を確認する。そして、タッチパネル11の中の第5の点であるP5(x5,y5)、もしくは第5の点P5の近傍に接触していると判断されたときは、ステップS76に進み、それ以外の位置に接触していると判断されたときは、ステップS70に戻る。
(ステップS92) ステップS72において、接触部20がタッチパネル11に接触していないと判断されたときは、検査実行部52から接触部移動制御部30に対して、接触部20をタッチパネル11の中の第5の点P5(x5,y5)に移動する指示を出してから所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間が経過したと判断されたときは、ステップS94に進み、所定時間が経過していないと判断されたときには、ステップS70に戻る。
(ステップS94) 検査実行部52から接触部移動制御部30に対して、接触部20をタッチパネル11の中の第5の点P5(x5,y5)に移動する指示を出してから所定時間が経過したと判断されたときは、その旨がタッチパネル出力分析部10から第2方向検査実行部56に伝達されて、第2方向検査実行部56において「タイムオーバー」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、第2方向の検査を開始してから所定時間内に接触部20がタッチパネル11に接触しなかったためタッチパネルの検査を終了する旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
(ステップS76) 接触部20が、第5の点である点P5(x5,y5)、もしくはその近傍に接触していると判断されたときには、その旨がタッチパネル出力分析部10から第2方向検査実行部56に伝達されて、第2方向検査実行部56において、「検査中」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネルの検査中であることが、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示される。
(ステップS78) 接触部20は、接触部移動制御部30からの指示によって、タッチパネル11に接触したまま、第6の点であるP6(x6,y6)(図9参照)に向かって移動する。そして、第6の点P6(x6,y6)に到達したら、接触部20をタッチパネル11の表面から離れる方向に移動させる。そして、このときに接触部20が接触した位置座標は、随時、接触位置記憶部14に記憶される。なお、接触部20をタッチパネル11の中の第5の点から第6の点まで移動させるために、接触部移動制御部30が接触部20に指示する移動量と移動方向とは、予め接触部移動制御部30に与えられたマトリックススイッチの数、タッチパネル11のサイズ、タッチパネル11が設置されている位置に基づいて、接触部移動制御部30において計算される。
(ステップS80) 離隔検出部16において、接触部20がタッチパネル11の表面から離隔したか否かを判断する。接触部20がタッチパネル11の表面から離隔したと判断されたときは、ステップS82に移動し、接触部20がタッチパネル11の表面から離隔していないと判断されたときは、ステップS78に戻って、接触部20の移動を継続する。なお、接触部20がタッチパネル11から離隔したか否かは、先に説明したように、タッチパネル11から出力される接触位置を示す信号の中に、x方向の接触位置を示す情報、もしくは、y方向の接触位置を示す情報が含まれていないことを認識することによって判断される。
(ステップS82) 接触部20がタッチパネル11から離隔したと判断されたときは、離隔する直前に、接触部20がタッチパネル11に接触していた座標(xi,yj)(第2の位置座標)が、接触位置記憶部14に記憶された接触位置を表す情報の中から読み出される。
(ステップS84) そして、離隔検出部16において、ステップS82で読み出された座標値が、第6の点であるP6(x6,y6)の近傍にあるか否かが判断される。座標値が第6の点P6の近傍であるときは、ステップS88に進み、第6の点P6の近傍にないときは、ステップS90に進む。
(ステップS88) ステップS84において、座標値が第6の点P6の近傍であると判断されたときは、第2方向検査実行部56において「第2方向検査OK」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネル11の横方向(第2方向に直交する方向)の透明電極に断線がない旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
(ステップS90) ステップS84において、座標値が第6の点P6の近傍でないと判断されたときは、接触部20がタッチパネル11に接触しながら移動している最中に、第6の点P6に到達する前に、タッチパネル11の表面から離隔したものと判断される。ここで、接触部20は、タッチパネル11に接触しながら移動しているため、この現象が発生したときは、タッチパネル11の横方向(第2方向に直交する方向)の透明電極に断線が発生したものと推定される。そのため、第2方向検査実行部56において「第2方向検査NG」を表す情報が生成されて、この情報が表示部60に伝達されて、タッチパネル11の横方向の透明電極に断線が生じている旨が、表示部60を構成する液晶モニタ6に表示されて、検査を終了する。
以上、説明したように、実施例2に係るタッチパネル検査方法によれば、タッチパネル11に外接する長方形Rの中で、長方刑Rの長辺方向の最小座標値を有するタッチパネル上の第3の点P3と、長辺方向の最大座標値を有するタッチパネル上の第4の点P4と、タッチパネルに外接する長方形の中で、短辺方向の最小座標値を有するタッチパネル上の第5の点P5と、短辺方向の最大座標値を有するタッチパネル上の第6の点P6がそれぞれ選定されて、接触部20をタッチパネル11の第3の点P3に接触させた後、接触部20が接触した位置を記憶しながら、接触部20をタッチパネル11の第4の点P4まで移動させて、第4の点P4において、接触部20をタッチパネル11から離隔させたときに、離隔検出部16が、接触部20が離隔したと判断された直前に接触部20が接触していた第1の位置座標を算出して、こうして算出された第1の位置座標に基づいて、タッチパネル11の断線の有無を判断して、さらに、接触部20をタッチパネル11の第5の点P5に接触させた後、接触部20が接触した位置を記憶しながら、接触部20をタッチパネルの第6の点P6まで移動させて、第6の点P6において、接触部20をタッチパネル11から離隔させたときに、離隔検出部16が、接触部20が離隔したと判断された直前に接触部20が接触していた第2の位置座標を算出して、こうして算出された第2の位置座標に基づいて、タッチパネル11の断線の有無を判断するため、接触部20の移動経路が、タッチパネル11が第3の点P3から第4の点P4に向かう第1方向Q1、および第5の点P5から第6の点P6に向かう第2方向Q2にそれぞれ沿って有する全ての座標値を網羅するため、頂点を持たないために対角線を引くことができない形状のタッチパネル11であっても、簡単な判断ロジックによって、漏れなく確実にタッチパネル11の断線検査を行うことができる。
また、実施例2に係るタッチパネル検査方法によれば、第1の位置座標が第4の点P4を中心とする所定の領域の内側でないときには、タッチパネル11の電極のうち、第3の点P3から第4の点P4に至るまでに横切った電極の中に断線している電極があると判断されて、さらに、第2の位置座標が第6の点P6を中心とする所定の領域の内側でないときには、タッチパネル11の透明電極のうち、第5の点P5から第6の点P6に至るまでに横切った電極の中に断線している電極があると判断されるため、タッチパネル11が円形状や楕円形状のように頂点を持たない形状であっても、タッチパネル11の断線の有無の検査を漏れなく確実に行うことができる。
なお、タッチパネルが長方形状であるときに、前記第3の点P3を長方形の短辺上に設定して、前記第4の点P4を前記短辺に対向する短辺上に設定して、また、前記第5の点P5を長方形の長辺上に設定して、前記第6の点P6を前記長辺に対向する長辺上に設定して、点P3から点P4に至る経路と点P5から点P6に至る経路をなぞることによって、タッチパネルの断線検査を行うようにしてもよい。
このようなタッチパネル検査方法によれば、長方形状を有するタッチパネルにおいて、第3の点P3がタッチパネルの短辺上に設定され、第4の点P4が第3の点P3を設定した短辺に対向する短辺上に設定され、第5の点P5がタッチパネルの長辺上に設定され、第6の点P6が第5の点P5を設定した長辺に対向する長辺上に設定されて、こうして設定された第3の点P3から第4の点P4に至る経路と、第5の点P5から第6の点P6に至る経路にそれぞれ沿って、タッチパネルの外縁から対向する外縁まで接触部20を移動させながら、接触部20の接触位置を示すタッチパネルの出力を検出して、この出力に基づいてタッチパネルの断線の有無を判断するため、第3の点P3と第4の点P4は、それぞれタッチパネルの短辺上に設定されればその位置は問われず、第5の点P5と第6の点P6は、それぞれタッチパネルの長辺上に設定されればその位置は問われない。すなわち、接触部20の移動を行う際の始点と終点の位置を厳密に特定する必要がないため、タッチパネルの断線の有無の検査を簡便に行うことができる。
なお、このとき、第3の点P3から第4の点P4に至る経路と第5の点P5から第6の点P6に至る経路は、厳密に直交している必要はない。すなわち、第3の点P3から第4の点P4に至る経路と第5の点P5から第6の点P6に至る経路が、それぞれ、タッチパネルの外縁から、対向する外縁に至る方向でありさえすれば、第3の点P3から第4の点P4に至る経路と第5の点P5から第6の点P6に至る経路は、タッチパネルの全ての長辺方向の座標と全ての短辺方向の座標を漏れなく通過するため、タッチパネルの断線検査を漏れなく行うことができる。
なお、以上説明した第2実施例は、複数の位置に同時に接触したことを認識できるタッチパネルを用いたときには、第1実施例で説明したのと同様に、接触面積が大きい、例えば検査員の手指を用いてタッチパネルの断線検査を行うことができる。その場合、検査中に接触部の接触面積が変化しても、タッチパネルの断線検査を行うことができるのは、第1実施例で説明した通りである。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。さらに、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。さらに、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。