JP6004159B2 - 楽器用消音器 - Google Patents

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Description

本発明は、楽器の演奏音を消音する楽器用消音器に関する。
従来から、例えば下記特許文献1,2に示されているように、サクソフォンを密閉型の筐体内に収容し、演奏音を消音する消音器は知られている。この消音器においては、筐体の上部にリード取出し口を設けてマウスピースを外部に突出させ、演奏者にマウスピースをくわえさせることを許容し、かつ筐体の側部に入手口を設けて演奏者の左右両手を筐体内に挿入させてキー操作させることを許容して、楽器演奏を可能としている。
特許第4069985号公報 特許第4521778号公報
しかしながら、本発明者は、上記従来技術のような消音器を用いて楽器演奏をした場合、消音器内は狭い空間になるために、消音器を用いない通常の演奏と、消音器を用いた演奏とでは、吹奏感、ピッチなどに変化が生じることを発見した。特に、最低音などの低い音になるほど、楽器音を安定して発音させることが難しくなることも発見した。
図4は、消音器を用いない場合のアルトサックスにおける最低音の運指での共鳴特性を実線で示し、従来の消音器を用いた場合のアルトサックスにおける最低音の運指での共鳴特性を破線で示している。以降、共鳴特性と実施形態に係る説明では、最低音の運指における場合を前提としている。また、これらの共鳴特性は、第2モードのピークレベルが同じになるように表示している。さらに、これらの共鳴特性は、測定用信号に対する楽器の唄口端(閉口端)に設置したマイクロフォンで収音した音響信号の周波数特性である。具体的には、唄口端に小さな孔を残して閉塞した状態でスピーカからホワイトノイズ音を管内に入力し、唄口端内部に組み込んだマイクロフォンで収音した音響信号の周波数特性である。
図4の共鳴特性からも理解できるように、消音器を用いた場合におけるアルトサックスの共鳴特性は、消音器を用いない場合におけるアルトサックスの共鳴特性と比べると、第1モードのピークレベルが相対的に低下すると同時に、第1モードの周波数(ピッチ)が若干変化していることが分かる。また、もともとのアルトサックスの共鳴特性、すなわち消音器を用いない場合におけるアルトサックスの共鳴特性において、第1モードのピークレベルは第2モードのピークレベルよりも相対的に若干小さくなる傾向にある。したがって、演奏時に、低い音はオクターブ上の音に裏返り易い傾向にある。そして、前記従来の消音器を用いた場合には、第1モードのピークレベルが消音器を用いない場合に比べて相対的に低下するように共鳴特性が変化する。その結果、従来の消音器を用いた場合には、低い音はオクターブ上の音にさらに裏返り易くなり、楽器音を安定して発音させることがさらに難しくなる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その目的は、消音器内における楽器又は楽器周辺の音響特性を変化させることにより、消音器を用いた楽器演奏においても、消音器を用いない場合と比べて、吹奏感、ピッチなどの変化を少なくすると同時に、安定した楽器音を発音させることができるようにした楽器用消音器を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、後述する実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、この実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、楽器(20)を筐体(11,13)内に収容して、筐体の外部から楽器演奏を可能とし、所定の周波数で共振する共振装置(12)を筐体に設けて、筐体内の楽器周辺の音響特性を変更するようにした楽器用消音器において、共振装置を、楽器を筐体内に収容して演奏した状態で、前記所定の周波数における音圧が楽器を筐体内に収容しないで演奏した状態よりも高くなっている位置と、共振装置による共振における音圧の定常波で節が存在する位置とを一致させるように配置したことにある。この場合、共振装置は、楽器を筐体内に収容しないで演奏した状態の音圧分布に対する、楽器を筐体内に収容して演奏した状態の音圧分布の変化を補正するものであるとよい。
れによれば、所定の周波数における共振(共鳴)を強めることになり、所定の周波数の音圧レベルは上昇して、楽器を筐体内に収容しない状態における吹奏感及び安定した演奏を再現できる。
さらに、本発明の他の構成上の特徴は、共振装置を、少なくとも一端が開口した構造物で構成し、少なくとも構造物の開口した一端を筐体内に位置させるようにしたことにある。この場合、構造物は、例えば円筒状のパイプ又は開口部を有する容器であり、前記開口した一端は共振装置の音圧が低くなる位置に対応する。これによれば、共振装置を簡単に構成することができる。
本発明の一実施形態に係る消音器内にアルトサックスを収容した概略断面図である。 前記実施形態の変形例に係る消音器内にアルトサックスを収容した概略断面図である。 前記実施形態の変形例に係る消音器内にアルトサックスを収容した概略断面図である。 前記実施形態の変形例に係る消音器内にアルトサックスを収容した概略断面図である。 消音器を用いない場合のアルトサックスの共鳴特性と、従来の消音器を用いた場合のアルトサックスの共鳴特性と、前記実施形態に係る消音器を用いた場合のアルトサックスの共鳴特性を示すグラフである。 消音器を用いない場合のアルトサックスの共鳴特性と、従来の消音器を用いた場合のアルトサックスの共鳴特性を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る楽器用消音器について説明する。図1Aは、前記実施形態に係る消音器10内にアルトサックス20を収容した概略断面図である。
消音器10は、アルトサックス20を収容するための筐体11を有する。筐体11は、左右に一対の樹脂製のシェルを備え、一対のシェルは裏側に設けた蝶番により開閉可能に構成され、表側には複数のパッチン錠が設けられている。パッチン錠による施錠を解除して一対のシェルを開いた状態で、アルトサックス20を筐体11内に収容し、アルトサックス20の収容後にパッチン錠を施錠することで一対のシェルは閉じられる。この一対のシェルを閉じた状態では、筐体11は密閉され、筐体11内には密閉空間が形成される。
筐体11の上部にはリード取出し口11aが設けられており、アルトサックス20を収容する際には、このリード取出し口11aを介して、アルトサックス20のマウスピース21が外部に突出される。これにより、演奏者はマウスピースをくわえることができる。なお、リード取出し口11aには、内部を密閉して外部に音を漏らさないための、弾力性のあるシール部材が設けられている。また、筐体11の側面すなわち左右一対のシェルの側面には図示しない左右一対の入手口が設けられている。左右一対の入手口は、一対のシェルに設けた円形の貫通孔部に、手首が入る程度の挿入孔を有する弾力性のあるゴムなどの樹脂で成形した挿入用シートが張り付けて構成されている。演奏者は、挿入用シートの挿入孔を介して左右両手を筐体11内に挿入して、アルトサックス20のキー22を操作することができる。なお、この挿入孔の大きさは、演奏者のキー22の操作を支障なく行え、かつ外部との機密がなるべく保持されるように設計されている。
筐体11内には、共振装置12が設けられている。共振装置12は、本実施形態では、一端にて開口するとともに他端にて閉口した樹脂などで成形した円筒状パイプ(共鳴管又は音響管)で構成されており、ピークレベルが調節されるべき周波数で共振(共鳴)するように設計されている。なお、本実施形態においては、例えば、内径が数センチメートル程度で、変形可能な樹脂によって成形されている。この共振装置12は、変形可能な円筒状のパイプであるので、共振装置12を筐体11内に収容する場合には簡単に収容することができるが、共振装置12を筐体11内に収容する際に支障がなければ変形不能な円筒状のパイプでもよい。また、この共振装置12は開口端側をアルトサックス20のベルに向けて配置されている。なお、この共振装置12の特性及び配置に関しては詳しく後述する。
上記実施形態では、共振装置12の全体が筐体11内に収容されるようにしたが、図1Bに示すように、共振装置12を筐体11から外部に突出させるように配置してもよい。この場合、筐体11に貫通孔11bを設けて、共振装置12の閉口端側を筐体11の外側に向けて共振装置12を貫通孔11bに貫通させるとともに、共振装置12の外周面を筐体11に密着させて、筐体11内部の機密性を保つ。
また、図2A及び図2Bに示すように、筐体11の外側に、筐体11を囲むように、さらに別の筐体13を設けた多層構造にしてもよい。例えば、この筐体13も、左右に一対のシェルを備え、一対のシェルは裏側に設けた蝶番により開閉可能に構成され、表側には複数のパッチン錠が設けられており、内側は筐体11と一体化している。そして、パッチン錠による施錠を解除した状態で、アルトサックス20を一体化させた筐体11及び筐体13内に収容し、収容後にパッチン錠を施錠することで一対の多層構造のシェルは閉じられる。この一対のシェルを閉じた状態では、筐体11,13は密閉され、筐体11,13内には密閉空間が形成される。なお、これらの場合には、筐体11のみの場合よりも外部に漏れる音を小さくすることができる。図2A及び図2Bに示した消音器10は2重構造であるが、消音器10に求められる性能に応じてより多層の構造になっていてもよく、共振装置12の開口端が最外面より内部に位置していれば、種々の形態で実施できる。
また、これらの筐体13に関しても、筐体13の上部にリード取出し口13aが設けられており、アルトサックス20を筐体11及び筐体13内に収容する際には、このリード取出し口13aを介して、アルトサックス20のマウスピース21が外部に突出される。これにより、演奏者はマウスピースをくわえることができる。また、リード取出し口13aには、内部を密閉して外部に音を漏らさないための、弾力性のあるシール部材が設けられている。また、筐体13の側面すなわち左右一対のシェルの側面にも、上記筐体11と同様に構成した左右一対の入手口を設けられている。これにより、筐体11,13内の密閉がある程度保たれた状態で、演奏者は左右両手を筐体13を介して筐体11内に挿入してアルトサックス20のキー22を操作することができる。
また、共振装置12に関しては、図2Aに示すように、筐体11の外側であって、筐体13の内側に共振装置12を配置する。また、図2Bに示すように、貫通孔11bに組み付けた共振装置12の閉口端を筐体13の内部に位置させるようにしてもよい。さらには、筐体13に前記貫通孔11bと同様な貫通孔を設けて、共振装置12を前記筐体13に設けた貫通孔を貫通させて共振装置12の閉口端を筐体13の外部に位置させるとともに、共振装置12の開口端を筐体11の内部に位置させてもよい。また、この場合の共振装置12の開口端に関しては、筐体11の外側であって筐体13の内側に位置させるようにしてもよい。
次に、共振装置12の特性及び配置について説明する。この共振装置12としては、調整しようとする周波数で共振(共鳴)する特性を有する共振装置を用いる。そして、この共振装置12を、基本的には、消音器10内に収容したアルトサックス20の管内及び管外の音圧分布が、消音器10内にアルトサックス20を収容しない状態でのアルトサックス20の管内及び管外の音圧分布に近づくような位置に配置する。具体的には、次の第1の方法及び第2の方法がある。
まず、第1の方法は、共振装置12を有さない消音器において、音圧が低下した周波数成分の音圧を絶対的に上昇させるための方法である。本実施形態では、この音圧が低下した周波数成分は、図3及び図4の第1モードに対応し、この音圧が低下した周波数成分の周波数を調整周波数とする。図3は、上記図4の第1及び第2モード部分を拡大して、一点鎖線で上記実施形態の共振装置12を有する消音器10を用いた場合におけるアルトサックス20の共鳴特性を示している。なお、この図3においても、上記図4と同様に、消音器10を用いない場合のアルトサックスの共鳴特性を実線で示し、従来の消音器を用いた場合のアルトサックスの共鳴特性を破線で示しており、第2モードのピークレベルが同じになるように表示している。
この場合、共振装置12の特性に関しては、調整周波数を共振(共鳴)周波数とする共振装置12を用意する。具体的には、共振装置12を構成する円筒状のパイプの長さが第1モードの周波数で共振する長さ、例えば第1モードの振動波の波長の1/4分と開口端補正を考慮した長さである共振装置12を用意する。
共振装置12の配置に関しては、共振装置12を有さない消音器内にアルトサックス20を収容することにより、調整周波数(すなわち、第1モード)における音圧が本来低くなるべき位置で高くなっている位置、すなわち共振装置12を有さない消音器の存在により、調整周波数における音圧が上昇してしまう位置を見つけ出す。そして、前記見つけ出した位置と、前記用意した共振装置12の音圧が低くなる位置とを一致させて、前記用意した共振装置12を筐体11(又は筐体13)に組み付ける。この共振装置12の音圧が低くなる位置とは、共振装置12による共振における音圧の定常波の節の部分、本実施形態では共振装置12である円筒状のパイプの開口端である。この第1の方法によれば、調整周波数における共振(共鳴)を強めることになり、図3の一点鎖線で示すように、第1モードのピークレベルは上昇して、消音器10を用いない場合のアルトサックスの共鳴特性に近づく。
第2の方法は、共振装置12を有さない消音器において、2つの周波数成分の音圧のバランスがずれたことを相対的に修正するための方法である。図3及び図4の破線で示すように、共振装置12を有さない消音器内にアルトサックス20を収容した場合には、消音器内にアルトサックス20を収容しない場合よりも、第1モードのピークレベルが第2モードのピークレベルに対して相対的に低下し、共振装置12を有さない消音器内にアルトサックス20を収容した場合と、消音器内にアルトサックス20を収容しない場合とでは、第1モードの音圧と第2の音圧とはバランスが乱れる。そして、この第2の方法では、第2モードの周波数を調整周波数とする。
この場合も、共振装置12の特性に関しては、調整周波数を共振(共鳴)周波数とする共振装置12を用意する。具体的には、共振装置12を構成する円筒状のパイプの長さが第2モードの周波数で共振する長さ、例えば第2モードの振動波の波長の1/4分と開口端補正を考慮した長さである共振装置12を用意する。
共振装置12の配置に関しては、共振装置12を有さない消音器10内にアルトサックス20を収容することにより、調整周波数(すなわち第2モード)における音圧が高くなっている位置を見つけ出す。そして、前記見つけ出した位置と、前記用意した共振装置12の音圧が低くなる位置とを一致させて、前記用意した共振装置12を筐体11(又は筐体13)に組み付ける。この場合も、共振装置12の音圧が低くなる位置とは、共振装置12による共振における定常波の節の部分、本実施形態では共振装置12である円筒状のパイプの開口端である。この第2の方法によれば、調整周波数における共振(共鳴)を弱めることになり、第2モードのピークレベルは下降して、第1モードのピークレベルと第2モードのピークレベルとの相対関係が、消音器10を用いない場合のアルトサックスの共鳴特性における第1モードのピークレベルと第2モードのピークレベルとの相対関係に近づく。
上記のように構成した消音器10の使用について説明する。演奏者は、上記のように共振装置12を組み付けた筐体11(又は筐体11,13)を、パッチン錠による施錠を解除することによって開く。そして、アルトサックス20を筐体11(又は筐体11,13)内に入れ、リード取出し口11a(又はリード取出し口11a,13a)を介してマウスピース21を外部に突出させた状態で、筐体11(又は筐体11,13)を閉じてパッチン錠を施錠する。この状態で、演奏者は、アルトサックス20のマウスピース21をくわえ、左右両手を入手口から内部に挿入させて、アルトサックス20のキー22を操作しながら、マウスピース21に息を吹き込む。その結果、アルトサックス20は発音される。この場合のアルトサックス20の発生音は消音器10により消音されるので、外部には大きな音は発生されない。
このとき、共振装置12は、音圧における第1モード又は第2モードのピークレベルを調整する。上述した第1の方法による共振装置12を採用すれば、第1モードの周波数による共振(共鳴)を強めることになり、第1モードの周波数の音圧レベルは上昇して、アルトサックス20を筐体11(又は筐体11,13)内に収容しない状態における吹奏感及び安定した演奏を再現できる。一方、上述した第2の方法による共振装置12を採用すれば、第2モードの周波数による共振(共鳴)を弱めることになり、アルトサックス20を筐体11(又は筐体11,13)内に収容したことによりピークレベルが下降した第1モードの周波数による共振(共鳴)が弱まった場合でも、第1モードの周波数と第2モードの周波数とのピークレベルの相対関係を、アルトサックス20を筐体11(又は筐体11,13)内に収容しない場合と同様にでき、安定した演奏、低い音のオクターブ上への音の裏返りをし難くすることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態では、共振装置12を一つのみ設けるようにしたが、複数の共振装置12を設けるようにしてもよい。特に、複数の異なる調節されるべき周波数が存在する場合には、調節されるべき周波数でそれぞれ共振(共鳴)する複数の共振装置12を設けるようにするとよい。
また、上記実施形態では、調整周波数として、第1モード又は第2モードの周波数を採用した。しかし、これに代えて、調整周波数として所定のモードに対応した周波数であって、所定のモードの周波数から僅かにずれた周波数を採用することにより、共振装置12の共振(共鳴)周波数を前記所定のモードの周波数から僅かにずれた周波数に設定するようにしてもよい。これによれば、演奏時におけるピッチを僅かに変更させることができ、消音器10内にアルトサックス20を採用したことによるピッチのずれも解消できる。具体的には、図3及び図4の共鳴特性に示されている第1モードのピッチずれも解消できる。
また、上記実施形態では、共振装置12の共振(共鳴)周波数を調整すべき周波数に設定するとともに、共振装置12の組付け位置を固定するようにした。しかし、これに代えて、演奏者が共振装置12の共振(共鳴)周波数を任意に設定できるようにしたり、共振装置12の組付け位置を演奏者が任意に設定できるようにしてもよい。共振装置12の共振(共鳴)周波数を変更するには、例えば、上記実施形態の共振装置12である円筒状のパイプを蛇腹付にして、円筒状のパイプの長さをユーザの好みに応じて変更すればよい。これらによれば、演奏者が好みの共鳴効果を有する楽器音が発生されるようになる。
また、上記実施形態においては、図3及び図4の第1モード又は第2モードのピークレベルを変更するようにした。しかし、これに代えて、又はこれに加えて、他のモードのピークレベルを共振装置12により変更するようにしてもよい。具体的には、第1モード及び第2モード以外の複数のモードの周波数をそれぞれ共振(共鳴)周波数とする複数の共振装置12を用意して筐体11に組み付け、第1モード及び第2モード以外のモードのピークレベルを変更するようにすればよい。ピークレベルを変更するには、上記実施形態による円筒状のパイプを共振装置とする場合には、共振装置12の長さ、太さなどを異ならせればよい。また、この場合も、複数の共振装置12の共振(共鳴)周波数は固定であってもよいし、前記変形例のように円筒状のパイプの長さの変更により共振装置12の共振(共鳴)周波数を演奏者の好みに応じて変更できるようにしてもよい。これによれば、各モードのピークレベルの変更により、発生される楽器音の音色を変化させることも可能である。
また、上記実施形態では、消音器10内に収容される楽器としてアルトサックス20を例にして説明したが、上記実施形態に係る消音器10を、フルート、オーボエ、クラリネット等の木管楽器、又はホルン、トランペット等の金管楽器に適用してもよい。また、ギター、マンドリン等の木管楽器及び金管楽器以外の他の楽器に適用してもよい。
さらに、上記実施形態では、共振装置12として円筒状のパイプ(共鳴管又は音響管)を利用するようにしたが、共振装置12としては本発明の目的を達成できるものであれば、種々の共振装置を利用できる。例えば、ヘルムホルツ共鳴器を利用したり、板、膜、棒、弦、バネなどの機械系振動体を利用することもできる。また、機械系の共振装置に限らず、マイクロフォン、スピーカなどを配置して、信号処理によって仮想的な共振系を生成する電気系の共振装置を利用することもできる。
10…消音器、11,13…筐体、11a,13a…リード取出し口、11b…貫通孔、12…共振装置、20…アルトサックス、21…マウスピース、22…キー

Claims (3)

  1. 楽器を筐体内に収容して、前記筐体の外部から楽器演奏を可能とし、所定の周波数で共振する共振装置を前記筐体に設けて、前記筐体内の楽器周辺の音響特性を変更するようにした楽器用消音器において、
    前記共振装置を、楽器を前記筐体内に収容して演奏した状態で、前記所定の周波数における音圧が楽器を前記筐体内に収容しないで演奏した状態よりも高くなっている位置と、前記共振装置による共振における音圧の定常波で節が存在する位置とを一致させるように配置したことを特徴とする楽器用消音器。
  2. 前記共振装置は、楽器を前記筐体内に収容しないで演奏した状態の音圧分布に対する、楽器を前記筐体内に収容して演奏した状態の音圧分布の変化を補正するものである請求項1に記載の楽器用消音器。
  3. 前記共振装置を、少なくとも一端が開口した構造物で構成し、少なくとも前記構造物の開口した一端を前記筐体内に位置させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の楽器用消音器。
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