(構成)
本発明のディスク選別装置の一例として、図1〜4に示すメダル選別装置100について説明する。このメダル選別装置100は、ゲーム機等に内蔵されて使用されるもので、投入されたメダルの真偽を判別して偽メダルFMをメダル返却口101へ振り分けると共に、真正メダルTMをメダル受入口102へ案内する機能を有する。メダル選別装置100は、本体103、メダル投入口104、メダル通路105、振分ゲート106、二次元撮像装置120、撮像タイミングセンサ111、メダルカウントセンサ113、制御装置140、ROM142、RAM143、ユーザインターフェース151、状態表示器152、登録スイッチ153およびセキュリティボリューム154を含んでいる。
本体103は、メダル投入口104およびメダル通路105が形成され、振分ゲート106、二次元撮像装置120、撮像タイミングセンサ111およびメダルカウントセンサ113が取り付けられる機能を有する。本体103は、矩形箱形であって、樹脂により製造されている。本体103において、メダル通路105の一側壁に矩形の撮像窓110が設けられている。
メダル投入口104は、ゲーム機等の投入口(図示せず)に投入された硬貨を受け入れる機能を有する。メダル投入口104は、本体103の上面の左端部に片寄せて形成され、スリット状の断面形状を有している。
メダル通路105は、メダル投入口104に投入され、落下又は転動するメダルMを案内する機能を有する。メダル通路105は、本体103内に形成され、メダル投入口104とほぼ同一のスリット状の断面形状を有している。メダル通路105は、図1に示すように、メダル投入口104から垂下する垂立メダル通路105Vおよびその下流において左斜め下方へ下向きに傾斜する傾斜メダル通路105Sを含んでいる。よって、メダル投入口104に投入されたメダルMは、垂立メダル通路105Vを垂直に落下した後、ガイドレール108によって案内される。ガイドレール108は、図1に示すように、案内線GLに沿って形成された案内面108aを有し、メダルMの転動方向に向かって前下がりに傾斜している。そのため、メダルMはガイドレール108により右側へ案内され、ガイドレール108の案内面108a上を転動して傾斜メダル通路105Sを移動する。換言すれば、傾斜メダル通路105Sにおいて、メダルMの周面は案内線GLを介してガイドレール108に接触し、ガイドレール108により支持されつつ案内線GLに沿って右側に案内される。なお、ガイドレール108として平板以外の形状のものも使用可能であり、例えば、ガイドレール108を棒状体で構成してもよい。その場合、メダルMは、傾斜メダル通路105S内において本体103に形成される案内面103aにもたれ掛かりつつ、周面をガイドレール108に支持されて案内線GL上を転動する。
振分ゲート106は、傾斜メダル通路105Sに進退自在に配置された振分板109を有している。振分板109が傾斜メダル通路105Sに進入した場合、転動するメダルMをガイドレール108上から逸らせて落下させ、メダル返却口101へ返却する。振分板109が傾斜メダル通路105Sから退出した場合、メダルMはガイドレール108上を転動して振分ゲート106を通過する。振分板109は、制御装置140からのゲート制御信号GCSによって傾斜メダル通路105Sへ進入する。なお、通常、振分板109は傾斜メダル通路105Sに進入した状態(すなわち、振分ゲート106が閉じた状態)で保持されている。
二次元撮像装置120は、メダル通路105を移動するメダルMの一面の画像を二次元で撮像する機能を有する。二次元撮像装置120は、投光装置121、ハーフミラー122、集光レンズ123および撮像素子124を含んでいる。
投光装置121はハーフミラー122を介してメダル通路105を移動するメダルMの一面に光を投光する機能を有する。投光装置121は、例えば、面投光装置130である。面投光装置130を用いることにより、メダルMの回転位相が異なっても影の影響のない撮像が可能となるからである。面投光装置130は、発光ダイオード(以下、LEDという)131、導光体132、反射シート133および拡散シート134を含んでいる。
LED131は、メダルMへ投光するための光源である。LED131には三色LEDが使用され、LED131が白色可視光を照射する。しかし、LED131として、白色LEDを用いることもできる。LED131は、図2に示すように、導光体132の側端面に面して配置されているので、メダル通路105と平行な面内に配置することができ、設置スペースは小さい。なお、図2に示すLED131の位置は便宜的に図示したものである。
導光体132は、本実施例において、低コストの観点から樹脂にて製造された矩形薄板状をしており、メダル通路105に対しその面が平行に配置されている。樹脂は、透明又は拡散材の混入により乳白色を呈する。拡散材を混入した場合、拡散シート134は不要となる。導光体132は、ガラス基板によって構成することもできる。本実施例では、撮像窓110に導光体132が相対している。
反射シート133は、導光体132からメダル通路105の反対側へ光が拡散するのを防止し、メダル通路105側に反射する機能を有する。反射シート133は、導光体132のメダル通路105の反対側に位置する面に密着されている。なお、反射シート133に代えて、導光体132に銀幕を蒸着しても良い。
拡散シート134は、導光体132のメダル通路105側の面から投光される光を面均一に拡散させる機能を有する。したがって、導光体132によって導かれ、または、反射シート133によって反射されたLED131からの投射光は、拡散シート134によって面全体に亘って均一な光量にされ、メダル通路105に向けて投光される。これにより、メダルMに均一な投光がなされる。拡散シート134から投射される投射光は、メダル通路105、換言すれば、メダル通路105を移動するメダルMに対し直角に投射される。これは、メダルMの表面の凹凸による光学的な影を作らないためである。導光体132、反射シート133および拡散シート134は薄いので、投光装置121を小型にすることができる。
ハーフミラー122は、光の一部を反射すると共に、一部を透過する機能を有する。具体的には、投光装置121からの投光は透過し、メダルMからの反射光は反射する機能を有する。換言すれば、ハーフミラー122は、投光装置121からの投光をメダル通路105におけるメダルMに対し直角に投光し、かつ、メダルMからの反射光をメダル通路105と平行な方向に反射させる。本実施例において、ハーフミラー122は薄い透明樹脂にクロムを蒸着メッキしたものである。これは、低コスト化のためである。しかし、ガラス板にクロムをメッキしてもよい。ハーフミラー122は、撮像窓110の側方において、メダル通路105の面に対し45度の角度でメダル通路105から離れるほど左下方に位置するよう傾斜配置されている。具体的には、ハーフミラー122は、傾斜メダル通路105Sの左下領域においてメダル通路105に対し45度の角度で傾斜している。ハーフミラー122の長手軸線LLは、対面するメダル通路105におけるメダルMの進行線DL(傾斜メダル通路105Sに相対しているので僅かに傾斜した水平線になる)に対して所定角度傾斜する方向に配置されている。
集光レンズ123は、ハーフミラー122によって反射された光を所定の小さな範囲に集光する機能を有する。集光レンズ123は、上記機能から、所定の屈折率を有する凸レンズであり、本体103内においてハーフミラー122の左側方(図1では、左斜め下方)に配置され、ハーフミラー122と同等又は小さい直径を有している。投光装置121等の形状を工夫し、集光レンズ123を小型化することが好ましい。これは、低価格化及び小型化のためである。
撮像素子124は、集光レンズ123によって集光された像を撮像する機能を有する。撮像素子124は、集光レンズ123の左側方(図1では、左斜め下方)に配置されている。撮像素子124は、小型化のため、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが採用される。
撮像タイミングセンサ111は、メダル通路105を転動するメダルMが撮像窓110に相対するタイミングを検知する機能を有する。撮像タイミングセンサ111は、撮像窓110下流の傾斜メダル通路105Sに配置され、メダルMの中心がハーフミラー122の長手軸線LL上方(換言すれば、後述の基準線BL上)に達したときに撮像タイミングセンサ111がメダルMを検知できるよう配置されている。そのため、撮像タイミングセンサ111は、メダルMを最適に撮像できるタイミングを示すタイミング信号TSをメダルMの検知信号として出力する。
撮像タイミングセンサ111としては、メダルMの位置をより正確に検知できる光電式のセンサを用いるのが好ましい。本実施例では、撮像タイミングセンサ111は、発光部112a、受光部112bおよびプリズム112cを含む光電センサ112である。発光部112aから出射した光がプリズム112cを介して受光部112bに入射するよう発光部112a、受光部112bおよびプリズム112cが配置され、メダルMが発光部112aから出射した光を遮ることによりメダルMの通過が検知されるよう構成されている。換言すれば、発光部112aから出射される光の軸(すなわち、光軸LA)によりメダルMを検知する検知軸線DALが形成され、検知軸線DALをメダルMの周面が横切ることによりメダルMが検知される。
検知軸線DALは、撮像窓110に直角な方向(図1の紙面表側から裏側に向かう方向)から見て、メダルMの進行線DLにほぼ直角な方向に配置されるのが好ましい。換言すれば、検知軸線DALは傾斜メダル通路105Sにおいてガイドレール108の案内線GLにほぼ直角な方向に配置されるのが好ましい。これにより、検知軸線DALが傾斜メダル通路105Sを最短距離で横切ることとなり、撮像タイミングセンサ111を最も効率良く設置できるからである。すなわち、案内線GLに対し直角な方向から見て、撮像タイミングセンサ111の設置に必要な領域が最小となるので、メダル選別装置100を小型化できる利点がある。しかし、検知軸線DALの案内線GLに対する角度は、90度に限定されるものではなく、メダル通路105の形状や撮像タイミングセンサ111の配置に応じて適宜に設定できる。
なお、撮像タイミングセンサ111の受光部112bは、傾斜メダル通路105Sを挟んで発光部112aと対向する位置に配置することもできる。その場合、プリズム112cは不要となる。
撮像窓110は、傾斜メダル通路105Sの一側壁に設けられた平面視矩形の開口からなり、傾斜メダル通路105Sを転動するメダルMの撮像領域を画定する機能を有する。図3に示すように、撮像窓110の高さH(換言すれば、長辺LSの長さ)は、最大径の選別対象メダルM1の直径よりも幅広に形成されている。縦方向においてメダルMの直径に関する情報を取得するためである。撮像窓110の幅W(換言すれば、短辺SSの長さ)は、最小径の選別対象メダルM3の直径よりも僅かに小さく形成してある。転動するメダルMが傾斜メダル通路105Sから外れることを防止すると共に、ハーフミラー122の横方向の大きさを規制し、メダル通路105に対し45度の角度で傾斜配置されるハーフミラー122の離れ量を規制し、装置を小型化するためである。しかし、他の飛び出し防止手段を設けることにより、撮像窓110の幅WをメダルMの直径よりも大きくすることができる。
撮像窓110に直角な方向から見て、ガイドレール108の案内線GLと撮像タイミングセンサ111の検知軸線DALとのなす角ANGの二等分線を基準線BLとした場合、撮像窓110の長辺が基準線BLと平行になるよう撮像窓110が配置される。換言すれば、撮像窓110は基準線BLに沿って延在している。なお、ハーフミラー122の長手軸線LLは、基準線BLに平行であり、撮像窓110に直角な方向に基準線BLから所定距離を隔てて配置される。換言すれば、撮像窓110に直角な方向から見て長手軸線LLと基準線BLとが重なるよう配置される。
メダルカウントセンサ113は、振分ゲート106を通過したメダルMを検知する機能を有する。メダルカウントセンサ113は、振分ゲート106の下流の傾斜メダル通路105Sの端部に配置され、1つまたは複数設けられる。本実施例では、1つのメダルカウントセンサ113が設けられている。メダルカウントセンサ113は、真正メダルTMと判断されたメダルMを検知するメダル検知信号DSを出力する。よって、メダル検知信号DSを計数することにより、受け入れた真正メダルTMの個数を判別することができる。メダルカウントセンサ113としては、光電式や磁気式のセンサが用いられる。本実施例では、メダルカウントセンサ113は、発光部114aおよび受光部114bを有する光電センサ114である。発光部114aから出射した光が受光部114bに入射するよう発光部114aおよび受光部114bが配置され、メダルMが発光部114aから出射した光を遮ることによりメダルMの通過が検知されるよう構成されている。
制御装置140は、撮像タイミングセンサ111から出力されるタイミング信号TSに基づき撮像素子124およびLED131の作動を制御すると共に、撮像素子124から出力される撮像画像信号ISを受けてメダルMの真偽を判別し、その判別結果に基づき振分ゲート106の開閉を制御してメダル通路105を転動するメダルMを選別する機能を有する。また、制御装置140は、メダルカウントセンサ113から出力されるメダル検出信号DSに基づき、真正メダルTMと判別された個数を計数する機能も有する。制御装置140は、例えば、所定のプログラムに基づき動作するマイクロコンピュータ141によって構成される。制御装置140は、種々の画像処理を実行する画像処理部160を含んでいる。画像処理部160の詳細については後述する。
ROM142は、制御装置140を動作させるプログラムおよびデータを格納する機能を有する。ROM142は、図5に示すように、後述の基準画像を保持する基準画像保持部171を含んでいる。
RAM143は、制御装置140の動作中に必要なデータを一時的に格納する機能を有する。RAM143は、図5に示すように、二次元撮像装置120により撮像されたメダルMの撮像画像を保持する撮像画像保持部172と、画像処理部160で生成された画像を保持する処理画像保持部173とを含んでいる。
ユーザインターフェース151は、メダル選別装置100が組み込まれるゲーム機などの本体機器(図示せず)に電気的に接続する機能を有する。ユーザインターフェース151を介して本体機器をメダル選別装置100に接続することにより、本体機器に対して所望の信号を入出力可能である。
状態表示器152は、メダル選別装置100の動作状態を表示する機能を有する。状態表示器152は、例えば、発光色の異なる複数のLED(図示せず)により構成され、それらLEDの発光が制御装置140により制御されることにより、メダル選別装置100の様々な状態(例えば、正常動作やエラー発生等)が報知される。なお、状態表示器152としては、液晶パネルなどのディスプレイ装置も使用可能である。
登録スイッチ153は、後述する基準画像の登録において使用され、登録の開始および終了を制御装置140に指示する機能を有する。
セキュリティボリューム154は、メダル選別装置100において偽メダルFMと判別する基準値を設定する機能を有する。制御装置140は、セキュリティボリューム154により設定された基準値に基づいてメダルMの真偽を判別する。
次に、図4を参照しながら、画像処理部160について説明する。画像処理部160は、中心抽出部161、エッジ強調部162、2値化部163、膨張・収縮部164、サイズ変換部165、画像回転部166、画像移動部167および判別部168を含んでいる。
中心抽出部161は、RAM143の撮像画像保持部172に保持された撮像画像に基づき、撮像画像におけるメダルMの中心位置を抽出する機能を有する。換言すれば、撮像画像においてメダルMの中心を示す座標値を算出する。後述するように、メダルMの中心は基準線BL上に位置するため、撮像画像において基準線BLに対応する直線上におけるメダルMの周縁部の一方と他方とを検出し、両周縁部間の中点をメダルMの中心位置とする。なお、中心位置の抽出には公知の方法を用いてもよい。例えば、撮像画像において縦軸(Y軸)方向に延びる各ラインに対しメダルMの周縁部の一方と他方とを検出し、検出された両周縁部の間隔が最大となるラインにおける両周縁部間の中点をメダルMの中心位置とする。しかし、基準線BL上において中心位置を抽出する方法は、上記公知の方法に比べ遥かに単純かつ容易であり、中心位置の抽出に要する時間を短縮できる。また、メダルMの直径を検出する直径センサを設け、検出された直径に基づきメダルMの中心位置を算出することもできる。この場合、基準線BLに対応する直線上において、案内線GLから直径の1/2の値(すなわち、半径)だけ離れた点をメダルMの中心とすればよいので、メダルMの周縁部を検出する必要がなく、中心位置の抽出に要する時間をさらに短縮できる。
エッジ強調部162は、撮像画像保持部172に保持された撮像画像においてエッジを強調する機能を有する。エッジ強調とは、画像の輪郭部の濃度勾配を急峻にし、画像をシャープにする処理である。エッジ強調は、もとの画像からその2次微分を引くこと(ラプラシアンフィルタ)やアンシャープマスクにより行なうことができる。
2値化部163は、エッジ強調部162でエッジ強調された画像を2値化する機能を有する。2値化とは、濃淡画像を2値画像に変換する処理である。2値化では、画素値(すなわち、輝度)が所定の閾値以上の場合にその画素値を「1」とし、それ以外の場合に画素値を「0」とする。
膨張・収縮部164は、2値化部163で2値化された画像に対し、注目画素の周辺に1画素でも白の画素があれば白に置き換える膨張処理と、注目画素の周辺に1画素でも黒の画素があれば黒に置き換える収縮処理とを繰り返し実行する機能を有する。膨張処理および収縮処理を繰り返し実行することにより、2値化された画像においてノイズが除去されると共にパターン欠陥(特に、線状パターンの欠陥)が修復される。
サイズ変換部165は、膨張・収縮部164で膨張・収縮処理された画像の画像サイズを縮小する機能を有する。サイズ変換は、公知のアフィン変換を用い、座標原点(X=0、Y=0)を基準に所定の縮小率で実行される。
画像回転部166は、撮像画像保持部172に保持された撮像画像または膨張・収縮部164で膨張・収縮処理された画像を回転する機能を有する。回転は、公知のアフィン変換を用い、中心抽出部161で抽出されたメダル中心位置を基準に所定の回転角度で実行される。
画像移動部167は、サイズ変換部165でサイズ変換された画像を平行移動する機能を有する。平行移動は、公知のアフィン変換を用い、所定の方向および移動距離で実行される。換言すれば、画素で示されたX軸方向およびY軸方向の移動距離(例えば、X軸方向に1ピクセル、Y軸方向に0ピクセル)に基づき、画像全体が平行移動される。
なお、画像処理部160は、中心抽出部161、エッジ強調部162、2値化部163、膨張・収縮部164、サイズ変換部165、画像回転部166、画像移動部167および判別部168のそれぞれの機能を有するものであれば、ハードウェアおよびソフトウェアのいずれで構成してもよい。一部をハードウェアとし残りをソフトウェアとすることも可能である。本実施例では、処理速度を高める上で有利なハードウェアにより画像処理部160の全体を構成している。
上記の構成を有するメダル選別装置100では、傾斜メダル通路105SにおいてメダルMがガイドレール108に支持されつつ案内線GLに沿って斜め下方に移動し、メダルMの進行方向側の周面が撮像タイミングセンサ111の検知軸線DAL(すなわち、光電センサ112の光軸LA)上に位置したときにメダルMが撮像窓110の所定位置(すなわち、撮像位置)に達したものとして検知される。そのため、メダルMが撮像位置に達した場合、メダルMの直径に関係なくメダルMの周面が検知軸線DAL上に位置することとなる。他方、メダルMの周面はガイドレール108により案内線GLに沿って案内されるため、メダルMが撮像位置に達した場合、メダルMの周面は案内線GL上に位置する。すなわち、図3に示すように、撮像窓110に直角な方向から見て、最大径メダルM1、中間径メダルM2および最小径メダルM3のそれぞれの外周が検知軸線DALおよび案内線GLに接した状態となる。これは、撮像窓110に直角な方向から見て、メダルM1、M2、M3の中心C1、C2、C3が案内線GLと検知軸線DALとのなす角の二等分線上に位置することを意味する。したがって、この二等分線を基準線BLとし、その基準線BLに沿って撮像窓110を延在させることにより、異なる直径を有するメダルMであってもその一面に形成された模様の全体を容易かつ確実に撮像することができる。よって、容易かつ確実な判別および選別が可能となる。換言すれば、模様の全体を撮像できるメダルMの直径範囲が広くなるので、判別および選別可能な直径範囲が広くなる。しかも、撮像窓110に直角な方向から見て基準線BLに直角な方向については、異なる直径のメダルMであっても中心位置の移動を考慮せずに撮像窓110の幅Wを設定できるため、撮像窓110の幅Wを比較的小さくできる。換言すれば、メダルMの中心位置のシフトやズレに伴って撮像領域を大きくする必要がない。したがって、メダル選別装置100を小型化できる。また、複数の撮像タイミングセンサ111を必要としないので、低コストであり、かつ、煩雑な調整も不要であり、容易に実現できる。また、画像判別の基準となるメダルMの中心位置を求める際に、基準線BL上に中心位置が存在するため、中心位置の抽出は単純かつ容易であり、判別に必要な処理時間が短縮される。換言すれば、選別に要する時間が短縮され、より高速な選別が可能となる。
撮像窓110の形状は長辺LSおよび短辺SSを有する矩形であり、矩形の長辺LSが基準線BLにほぼ平行になるよう撮像窓110が配置される。一般に撮像素子124は矩形の有効撮像面を有するため、撮像窓110を矩形状とすることにより、撮像素子124における撮像面の利用効率を向上させることができる。
撮像窓110に対し直角な方向から見て、基準線BLに対し対称となるよう撮像窓110が配置される。換言すれば、撮像窓110の短辺方向の中心軸線が基準線BLと重なるよう撮像窓110が配置される。これにより、撮像タイミングセンサ111によるメダルMの検知から撮像素子124によるメダルMの撮像までの時間差が無視できる程度であれば、撮像窓110において矩形の短辺方向の中心にメダルMの中心が配置されるので、模様の全体をより効率よく撮像できる。
撮像タイミングセンサ111として光電センサ112を用い、光電センサ112の光軸LAが検知軸線DALを形成する。したがって、指向性および直線性の高い光によりメダルMを検知するため、検知精度を高めることができる。
(動作)
次に、図6〜図12を参照しながら、メダル選別装置100の動作について説明する。以下、制御装置140の処理を中心に説明する。
まず、図6に示すように、ステップS1において、初期化がなされる。初期化では、撮像素子124のフレームレート、撮像タイミングセンサ111およびメダルカウントセンサ113の感度などが設定される。
次のステップS2において、基準画像を登録するか否かが判定される。すなわち、登録スイッチ153がオンされたか否かが判定される。登録スイッチ153がオンの場合、ステップS3に進み、後述の基準画像の登録が実行される。登録スイッチ153がオフの場合、ステップS4に進む。
ステップS4において、撮像タイミングセンサ111がオンしたか否かが判定される。換言すれば、メダル通路105を転動するメダルMが撮像位置に到達したか否かが判定される。メダル投入口104にメダルMが投入された場合、投入されたメダルMは垂立メダル通路105Vを落下した後、傾斜メダル通路105Sを転動し、撮像タイミングセンサ111がオンする。すなわち、メダル投入口104へのメダルMの投入に対応して、撮像タイミングセンサ111がオンする。撮像タイミングセンサ111がオンの場合、ステップS5に進む。メダル投入口104にメダルMが投入されない場合、撮像タイミングセンサ111がオフの状態に保たれ、ステップS4が繰り返し実行される。換言すれば、メダル投入口104にメダルMが投入される迄は、待機状態となる。
次のステップS5では、制御装置140がLED131に点灯制御信号LCSを出力し、LED131が点灯制御信号LCSに基づいて短時間点灯(すなわち、フラッシュ)される。これにより、投光装置121から撮像窓110に向かう拡散光が発せられ、撮像窓110と相対するメダルMが投光される。
次のステップS6では、制御装置140が撮像素子124に撮像制御信号ICSを出力し、撮像素子124が撮像制御信号ICSに基づいてメダルMを撮像する。換言すれば、二次元撮像装置120によりメダルMの撮像画像が取得される。撮像素子124は、取得された撮像画像を含む撮像画像信号ISを制御装置140に出力する。制御装置140は、供給された撮像画像信号ISに含まれる撮像画像を図5に示すバスラインBSを介してRAM143に転送する。RAM143は、送られた撮像画像を撮像画像保持部172に格納し保持する。
なお、ステップS6で取得される撮像画像は、選別対象のメダルMにおける表面および裏面のいずれかの画像である。そのため、メダルMの表面および裏面の模様が異なる場合、後述の基準メダルSMの表面および裏面のそれぞれの基準画像と対比する必要がある。本実施例では、メダルMの表面および裏面の模様が異なるものとして説明する。
次のステップS7では、制御装置140の画像処理部160が撮像画像保持部172に保持された撮像画像に対し前処理を実行する。前処理は、図7に示すように、中心抽出、エッジ強調、2値化、膨張・収縮、サイズ変換の順で実行される。まず、ステップS41において、中心抽出部161が撮像画像保持部172に保持された撮像画像における基準メダルSMの中心位置を抽出する。抽出された中心位置の座標値はRAM143に格納される。
次のステップS42では、エッジ強調部162が撮像画像保持部172に保持された撮像画像についてエッジ強調の処理を実行する。エッジ強調された画像は、RAM143の処理画像保持部173に保持される。
続くステップS43では、2値化部163が処理画像保持部173に保持されたエッジ強調後の画像を2値化する。2値化された画像は、処理画像保持部173に保持される。
その後、ステップS44において、膨張・収縮部164が処理画像保持部173に保持された2値化後の画像に対し膨張・収縮処理を実行する。膨張・収縮処理により、2値化された画像のノイズ除去やパターン欠陥の修復等がなされる。膨張・収縮された画像は、処理画像保持部173に保持される。
さらに、ステップS45では、サイズ変換部165が処理画像保持部173に保持された膨張・収縮後の画像をサイズ変換する処理を実行する。サイズ変換処理により、膨張・収縮処理された画像が縮小されて画素数が減少する。サイズ変換された画像は、処理画像保持部173に保持される。こうして図6のステップS7の前処理が完了し、当該前処理が施された撮像画像が被判別画像として処理画像保持部173に保持される。
次のステップS8では、画像対比判定が実行される。画像対比判定では、ステップS3において登録された基準画像とステップS7において処理画像保持部173に保持された被判別画像とを対比し、その対比結果によりメダルの真偽が判別される。換言すれば、基準画像との対比結果が所定の基準を満たした場合に一致(真正メダルTM)と判定され、それ以外の場合に不一致(偽メダルFM)と判定される。このステップS8における画像対比判定の詳細については後述する。
次のステップS9では、ステップS8の画像対比判定において一致と判定されたか否かが判定される。換言すれば、真正メダルと判別されたか否かが判定される。一致と判定された場合(すなわち、真正メダルと判別された場合)、ステップS10に進み、不一致(すなわち、偽メダルと判別された場合)と判定された場合、ステップS2に戻る。
次のステップS10では、制御装置140がゲート制御信号GCSを振分ゲート106に出力し、振分板109がメダル通路105から退出して振分ゲート106が開かれる。これにより、傾斜メダル通路105Sを転動する真正メダルTMは振分ゲート106を通過し、メダル受入口102を介して本体機器(図示せず)に導入される。換言すれば、メダル投入口104に投入されたメダルMが真正メダルTMと判別され、振分ゲート106により真正メダルTMとして選別される。
次のステップS11では、メダルカウントセンサ113がオンしたか否かが判定される。メダルカウントセンサ113がオフの場合、ステップS11が繰り返し実行される。換言すれば、メダルカウントセンサ113が待機状態となる。ステップS9において真正メダルTMとして選別された場合、振分ゲート106を通過した真正メダルTMによりメダルカウントセンサ113がオンされ、ステップS12に進む。
ステップS12では、制御装置140がゲート制御信号GCSを振分ゲート106に出力し、振分板109がメダル通路105内に進入して振分ゲート106が閉ざされた後、ステップS2に戻る。
ステップS9において不一致(すなわち、偽メダルと判別された場合)と判定された場合、振分ゲート106の閉じた状態が保持されているので、メダル通路105を転動するメダルMは振分ゲート106を通過することができず、メダル返却口101に振り分けられる。換言すれば、メダルMは偽メダルFMとして選別され、メダル返却口101から放出される。
(基準画像登録)
次に、図8を参照しながら、図6のステップS3で実行される基準画像の登録について説明する。基準画像の登録は、真偽判別の基準となるメダル(以下、基準メダルSMという)の表面および裏面の画像を二次元撮像装置120により取得して行われる。基準メダルSMとしては、判別精度を高める上で未使用のメダルMを使用することが好ましいが、使用済みのメダルMでもよい。図8の基準画像登録では、最初のステップS21において、登録設定がなされる。登録設定では、例えば、登録する画像がメダルMの表面および裏面のいずれであるかの選択がなされる。
次のステップS22では、登録が終了したか否かが判定される。登録終了は、登録スイッチ153がオフされたか否かで判定される。登録スイッチ153がオフされた場合、図6のステップS2に戻り、登録スイッチ153がオフされていない場合、ステップS23に進む。
ステップS23では、図6のステップS4と同様に、撮像タイミングセンサ111がオンしたか否かが判定される。メダル投入口104に基準メダルSMが投入され、撮像タイミングセンサ111がオンとなった場合、ステップS24に進む。撮像タイミングセンサ111がオフの場合、ステップS23が繰り返し実行される。換言すれば、メダル投入口104に基準メダルSMが投入される迄は、待機状態となる。
次のステップS24では、図6のステップS5と同様に、制御装置140がLED131に点灯制御信号LCSを出力し、LED131が点灯制御信号LCSに基づいて短時間点灯(すなわち、フラッシュ)される。これにより、投光装置121から撮像窓110に向かう拡散光が発せられ、撮像窓110と相対する基準メダルSMが投光される。
次のステップS25では、図6のステップS6と同様に、制御装置140が撮像素子124に撮像制御信号ICSを出力し、撮像素子124が撮像制御信号ICSに基づいて基準メダルSMを撮像する。換言すれば、二次元撮像装置120により基準メダルSMの撮像画像が取得される。撮像素子124は、取得された撮像画像を含む撮像画像信号ISを制御装置140に出力する。制御装置140は、供給された撮像画像信号ISに含まれる撮像画像をRAM143の撮像画像保持部172に格納し保持する。
次のステップS26では、回転角度θおよび画像移動カウント数nに「0」を設定する。換言すれば、回転角度θおよび画像移動カウント数nが初期化(すなわち、リセット)される。
次のステップS27では、図6のステップS7と同様に、撮像画像保持部172に保持された基準メダルSMの撮像画像に対し、図8のステップS41〜S45において、中心抽出、エッジ強調、2値化、膨張・収縮、サイズ変換の順で前処理が実行される。このとき、前処理が施された撮像画像は、RAM143の処理画像保持部173に保持される。RAM143の撮像画像保持部172に保持されていた撮像画像は、継続して撮像画像保持部172に保持される。
次のステップS28では、データがROM142に格納される。すなわち、前処理を施された撮像画像は、バスラインBSを介してRAM143からROM142に転送され、基準画像保持部171に「θ=0、n=0」の基準画像として格納され保持される。換言すれば、基準画像が回転角度θおよび画像移動カウント数nと関連付けられて基準画像保持部171に保持される。このとき、RAM143の撮像画像保持部172に保持されていた撮像画像は、継続して撮像画像保持部172に保持される。
次のステップS29では、新たな回転角度θとして現在の回転角度θに回転角度増分θdを加算した「θ+θd」が設定される。換言すれば、回転角度θに回転角度増分θdを加算することにより、回転角度θが更新される。本実施例では、画像を1回転したときに「θ=0」の基準画像を含めて全64枚の基準画像が得られるように、θdが設定される。この場合のθdは「5.625°」である。
次のステップS30では、回転角度θが360°以上であるか否かが判定される。回転角度θが360°未満(すなわち、「θ<360°」)の場合、ステップS31においてRAM143の撮像画像保持部172に保持された撮像画像を設定された回転角度θで回転した後、ステップS27に戻り、ステップS27〜S31が繰り返し実行される。これにより、複数の回転角度θにそれぞれ対応する複数の基準画像がROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。換言すれば、基準メダルSMに対応する画像およびその画像をそれぞれ異なる複数の回転角度θで回転させた画像からなる複数の基準画像が基準画像保持部171に保持される。このとき、画像移動カウント数nは「0」として各基準画像に関連付けされる。上記により生成された「θ≠0」の各基準画像は、「θ=0」の基準画像をそれぞれ異なる回転角度θで回転した画像に相当する。
ステップS30において回転角度θが360°以上(すなわち、「θ≧360°」)の場合、ステップS31に進み、回転角度θおよび画像移動カウント数nに「0」が設定される。換言すれば、回転角度θおよび画像移動カウント数nが再度初期化(すなわち、リセット)される。
次のステップS33では、基準画像保持部171に保持された基準画像から回転角度θのデータが選択される。ステップS30において「θ=0、n=0」に設定されているので、最初に「θ=0、n=0」に対応する基準画像が選択される。
次のステップS34では、画像移動カウント数nが「8」以上であるか否かが判定される。画像移動カウント数nが「8」以上でない場合(すなわち、「n<8」の場合)、ステップS35に進み、図9に示す平行移動処理が実行される。
図9の平行移動処理では、ステップS33で選択された基準画像が、画像移動カウント数nに対応した所定の方向に平行移動される。すなわち、ステップS91では、画像移動カウント数が「0」か否かが判定され、「n=0」の場合、ステップS98において基準画像が右上方に1ピクセル移動(図10(A)の位置P1に移動、すなわち、X軸方向およびY軸方向に各「+1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠0」の場合、ステップS92に進み、画像移動カウント数nが「1」か否かが判定される。「n=1」の場合、ステップS99において基準画像が上方に1ピクセル移動(図10(B)の位置P2に移動、すなわち、Y軸方向に「+1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠1」の場合、ステップS93に進み、画像移動カウント数nが「2」か否かが判定される。「n=2」の場合、ステップS100において基準画像が左上方に1ピクセル移動(図10(C)の位置P3に移動、すなわち、X軸方向に「−1」およびY軸方向に「+1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠2」の場合、ステップS94に進み、画像移動カウント数nが「3」か否かが判定される。「n=3」の場合、ステップS101において基準画像が左方に1ピクセル移動(図10(D)の位置P4に移動、すなわち、X軸方向に「−1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠3」の場合、ステップS95に進み、画像移動カウント数nが「4」か否かが判定される。「n=4」の場合、ステップS102において基準画像が右方に1ピクセル移動(図10(E)の位置P5に移動、すなわち、X軸方向に「+1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠4」の場合、ステップS96に進み、画像移動カウント数nが「5」か否かが判定される。「n=5」の場合、ステップS103において基準画像が右下方に1ピクセル移動(図10(F)の位置P6に移動、すなわち、X軸方向に「+1」およびY軸方向に「−1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠5」の場合、ステップS97に進み、画像移動カウント数nが「6」か否かが判定される。「n=6」の場合、ステップS104において基準画像が下方に1ピクセル移動(図10(G)の位置P7に移動、すなわち、Y軸方向に「−1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。「n≠6」の場合、ステップS105に進み、基準画像が左下方に1ピクセル移動(図10(H)の位置P8に移動、すなわち、X軸方向およびY軸方向に各「−1」ピクセル移動)された後、図9のステップS35に戻る。なお、図10では、平行移動の方向を明瞭に示すため、便宜的に移動距離を大きく示している。
ステップS35の後に実行されるステップS36では、現在の画像移動カウント数nに「1」が加算され、新たな画像移動カウント数nが設定される。換言すれば、画像移動カウント数nが更新される。
なお、ここでは、平行移動の移動量を8方向に各1ピクセルとしているが、メダルの中心位置に対して模様のズレが大きい場合、必要に応じて2ピクセル以上とすることもできる。その場合、図9の平行移動処理において、画像移動カウント数nやピクセル数を適宜設定することにより、ピクセル数を徐々に増やすことも可能である。
次のステップS37では、データがROM142に格納される。すなわち、平行移動された基準画像が現在の回転角度θおよび画像移動カウント数nに関連付けされてROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。その後、ステップS34に戻り、ステップS34において画像移動カウント数nが「8」以上と判定されるまでステップS35〜S37が繰り返し実行される。これにより、回転角度θの基準画像が平行移動の方向を変えながら平行移動され、平行移動により生成された8枚の基準画像が対応する画像移動カウント数n(「n=1」〜「n=7」)に関連付けされてROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。
ステップS34において画像移動カウント数nが「8」以上と判定された場合(すなわち、「n≧8」の場合)、ステップS38に進み、現在の回転角度θに回転角度増分θdを加算して得られた値が新たな回転角度θとして設定される。換言すれば、回転角度θが更新される。
次のステップS39では、ステップS38で更新された回転角度θが「360°」以上であるか否かが判定される。θが「360°」未満の場合(すなわち「θ<360°」の場合)、ステップS33に戻り、ステップS33〜S37が繰り返し実行される。これにより、回転角度θを増加させながら、各回転角度θに対応する基準画像のそれぞれについて平行移動の方向を変えながら平行移動され、平行移動により生成された8枚の基準画像が対応する画像移動カウント数n(「n=1」〜「n=7」)に関連付けされてROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。こうして、「0≦θ<360°」の範囲で36枚の基準画像のそれぞれについて平行移動された図10(A)〜(H)に示す各8枚の基準画像が生成され、平行移動されていない基準画像を含めると総計324枚の基準画像が回転角度θおよび画像移動カウント数nに関連付けされてROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。
ステップS39において回転角度θが「360°」以上の場合(すなわち、θ≧360°」の場合、ステップS21に戻り、上記ステップS21〜S39が繰り返し実行可能である。これにより、基準メダルSMの表面および裏面のそれぞれについて、複数の基準画像が登録可能である。
なお、基準画像の登録において、基準メダルSMの表面および裏面のいずれかを特定する面番号kが設定される。すなわち、基準メダルSMの表面に対応する基準画像には、面番号kとして「0」が設定される。同様に、基準メダルSMの裏面に対応する基準画像には、面番号kとして「1」が設定される。そして、基準画像保持部171には、面番号kが各基準画像と共に格納され保持される。これにより、面番号kに基づき、基準メダルSMにおける表面の基準画像と裏面の基準画像とを区別することができる。したがって、各基準画像は面番号k、回転角度θ、画像移動カウント数nに関連付けされる。
(画像対比判定)
次に、図11を参照しながら、図6のステップS8における画像対比判定について説明する。まず、図11のステップS51において、制御装置140が上述の面番号kに「0」を設定する。これにより、初めに「k=0」に対応する基準画像(換言すれば、基準メダルSMの表面の基準画像)との対比がなされる。
次のステップS52では、制御装置140が画像移動カウント数nに「0」を設定する。換言すれば、画像移動カウント数nが初期化(すなわち、リセット)される。
次のステップS53では、制御装置140が回転角度θに「0」を設定する。換言すれば、回転角度θが初期化(すなわち、リセット)される。
次のステップS54では、ROM142の基準画像保持部171に保持された複数の基準画像のうち、面番号k、回転角度θおよび画像移動カウント数nの基準画像が選択される。最初に「k=0、θ=0、n=0」の基準画像が選択される。
次のステップS55では、選択された基準画像と処理画像保持部173に保持された被判別画像(換言すれば、前処理後の撮像画像)とを対比する画像比較が実行される。画像比較では、選択された基準画像および被判別画像を画素単位で比較し、画素値の相違する画素数をカウントすることにより相違度DFが算出される。
なお、相違度DFに換えて類似度を算出してもよい。その場合、画素値の一致する画素数をカウントすることにより類似度が算出される。
次のステップS56では、ステップS55で算出された相違度DFが所定閾値以下か否かが判定される。閾値以下の場合、ステップS57において一致したと判定され、図6のステップS8に戻る。相違度DFが閾値を超えている場合、ステップS58に進む。
ステップS58では、現在の回転角度θに回転角度増分θdを加算して得られた値が新たな回転角度θとして設定される。換言すれば、回転角度θが更新される。回転角度増分θdは、図7または図9における回転角度増分θdと同一値である。
次のステップS59では、ステップS58で更新された回転角度θが「360°」以上であるか否かが判定される。「θ<360°」の場合、ステップS54に戻り、ステップS54〜S58が繰り返し実行される。回転角度θが「360°」以上の場合、次のステップS60に進む。これにより、回転角度θを増加させながら、各回転角度θに対応する複数の基準画像のそれぞれについて相違度DFが算出され、算出された相違度DFが閾値以下となるか、または、回転角度θが「360°」以上となるまで基準画像と被判別画像との対比がなされる。
次のステップS60では、現在の画像移動カウント数nに「1」が加算され、新たな画像移動カウント数nが設定される。換言すれば、画像移動カウント数nが更新される。
次のステップS61では、画像移動カウント数nが「8」以上であるか否かが判定される。画像移動カウント数nが「8」以上でない場合(すなわち、「n<8」の場合)、ステップS53に戻り、上記ステップS53〜S60が繰り返し実行される。これにより、更新された画像移動カウント数nに関連する各基準画像(換言すれば、平行移動された基準画像)と被判別画像との対比が回転角度θを増加させながらなされる。これにより、ステップS51〜S61において、面番号kが「0」の全ての基準画像と被判別画像との対比が可能となる。この対比の過程で相違度DFが閾値以下となった場合に一致判定がなされ、図6のステップS6に戻る。
ステップS61において画像移動カウント数nが「8」以上の場合(すなわち、「n≧8」の場合)、次のステップS62に進み、現在の面番号kに「1」が加算され、新たな面番号kが設定される。
次のステップS63では、面番号kが「2」以上であるか否かが判定される。面番号kが「2」未満(すなわち、「k<2」)の場合、ステップS52に戻る。換言すれば、「k=1」に設定された状態で、ステップS52〜S61の処理が再度実行される。すなわち、基準メダルSMの裏面の基準画像との対比が行われる。面番号kが「2」以上(すなわち、「k≧2」)の場合、ステップS64において不一致と判定され、図6のステップS8に戻る。
上述の通り、実施例1のメダル選別装置100では、メダル通路105内を転動する基準メダルSMまたは選別対象のメダルMの表面または裏面を撮像して撮像画像を取得する二次元撮像装置120と、二次元撮像装置120により取得された基準メダルの撮像画像に基づく複数の基準画像を保持する基準画像保持部171と、二次元撮像装置120により取得されたメダルMの撮像画像に基づく被判別画像を基準画像保持部171に保持された複数の基準画像と対比し、メダルMの真偽を判別する判別部168と、判別部168による判別結果に基づきメダルMを真偽別に振り分ける振分ゲート106と、を含んでいる。
複数の基準画像は、基準メダルの撮像画像に所定の処理を施すことにより予め準備され、基準画像保持部171に保持される。複数の基準画像は、基準メダルの撮像画像に基づく基準画像(以下、第1の基準画像という)と、第1の基準画像をそれぞれ異なる複数の回転角度で回転した画像に相当する複数の基準画像(以下、第2の基準画像という)と、第1の基準画像および複数の第2の基準画像のそれぞれを平行移動してなる複数の基準画像(以下、第3の基準画像という)とにより構成される。平行移動は、その移動方向を変えながら実行される。換言すれば、回転角度および移動方向の異なる複数の基準画像が基準画像保持部171に保持されている。
判別部168は、被判別画像と複数の基準画像(換言すれば、第1の基準画像、第2の基準画像および第3の基準画像)のそれぞれとを順次対比し、その対比結果として相違度DFを求める。換言すれば、対比結果が相違度DFとして定量化される。そして、被判別画像と複数の基準画像との対比の過程において、相違度DFが所定の閾値以下である場合にメダルMが真正メダルTMであると判別する。
そのため、被判別画像において選別対象メダル(換言すれば、判別対象メダル)Mの模様が回転していても、その回転角度と同一または近似する回転角度の基準画像との対比が可能となる。また、被判別画像において模様の位置ズレが生じていても、その位置ズレと同一または近似する基準画像との対比が可能となる。換言すれば、被判別画像における模様の回転および位置ズレの双方の影響が除去または減少され、判別精度を高めることができる。よって、選別精度の高いディスク選別装置が実現される。さらに、複数の基準画像は予め準備されているため、判別対象メダルMの撮像画像を回転または平行移動させるよりも時間短縮でき、短時間での判別が可能となる。よって、判別速度が向上し、高速選別が可能となる。
図12〜図15は、本発明の実施例2のメダル選別装置における基準画像登録処理および画像対比判定処理を示す。実施例2のメダル選別装置は、基準画像の登録および画像対比判定の処理効率を高めるために処理の一部を変更した点において実施例1のメダル選別装置100と相違する。それ以外は、実施例1のメダル選別装置100と同一である。そのため、ここでは基準画像登録処理および画像対比判定処理についてのみ説明する。
(基準画像登録)
最初に、図12および図13を参照しながら、基準画像登録処理について説明する。図12および図13の基準画像登録処理は、実施例1のメダル選別装置100と同様に、図6のステップS8において実行される。
まず、ステップS211において、図8のステップS21と同様に、登録設定がなされる。ここでは、基準メダルSMの表面に対応する基準画像を登録する場合とし、面番号kに「0」を設定する。ステップS212では、図8のステップS22と同様に、登録が終了したか否かが判定される。登録スイッチ153がオフされた場合、図6のステップS2に戻り、登録スイッチ153がオフされていない場合、ステップS213に進む。
次のステップS213では、図8のステップS23と同様に、撮像タイミングセンサ111がオンしたか否かが判定される。メダル投入口104に基準メダルSMが投入され、撮像タイミングセンサ111がオンとなった場合、ステップS24に進む。撮像タイミングセンサ111がオフの場合、ステップS23が繰り返し実行される。換言すれば、メダル投入口104に基準メダルSMが投入される迄は、待機状態となる。
次のステップS214では、図8のステップS24と同様に、制御装置140がLED131に点灯制御信号LCSを出力し、LED131が点灯制御信号LCSに基づいて短時間点灯(すなわち、フラッシュ)される。これにより、投光装置121から撮像窓110に向かう拡散光が発せられ、撮像窓110と相対する基準メダルSMが投光される。
次のステップS215では、図8のステップS25と同様に、制御装置140が撮像素子124に撮像制御信号ICSを出力し、撮像素子124が撮像制御信号ICSに基づいて基準メダルSMを撮像する。換言すれば、二次元撮像装置120により基準メダルSMの撮像画像が取得される。撮像素子124は、取得された撮像画像を含む撮像画像信号ISを制御装置140に出力する。制御装置140は、供給された撮像画像信号ISに含まれる撮像画像をRAM143の撮像画像保持部172に格納し保持する。
次のステップS216では、前処理として図13に示すステップS241〜S244が順次実行されることにより、中心抽出、エッジ強調、2値化、膨張・収縮の各処理がなされた後、前処理後の撮像画像としてRAM143の処理画像保持部173に格納され保持される。換言すれば、図7の前処理におけるステップS45のサイズ変換を実行する前の画像が、前処理画像として処理画像保持部173に保持される。
次のステップS217では、処理画像保持部173に保持された前処理画像がRAM143の撮像画像保持部172に格納され保持される。換言すれば、撮像画像保持部172に保持された撮像画像が前処理画像に置換される。
次のステップS218では、回転角度θに「0」を設定する。換言すれば、回転角度θが初期化(すなわち、リセット)される。さらに、ステップS219では、画像移動カウント数nに「0」を設定する。換言すれば、画像移動カウント数nが初期化(すなわち、リセット)される。
次のステップS220では、図7のステップS45と同様に、前処理画像がサイズ変換され、図8のステップS27と同一の画像が得られる。
次のステップS221では、図8のステップS28と同様に、データがROM142に格納される。すなわち、前処理を施された撮像画像は、バスラインBSを介してRAM143からROM142に転送され、基準画像保持部171に「k=0、θ=0、n=0」の基準画像として格納され保持される。換言すれば、基準画像が面番号k、回転角度θおよび画像移動カウント数nと関連付けられて基準画像保持部171に保持される。このとき、RAM143の撮像画像保持部172に保持されていた前処理画像は、継続して撮像画像保持部172に保持される。
次のステップS222では、図8のステップS35と同様に、図9の平行移動処理が実行される。続くステップS223において、現在の画像移動カウント数nに「1」が加算され、新たな画像移動カウント数nが設定される。換言すれば、画像移動カウント数nが更新される。その後、ステップS224において、データがROM142に格納される。すなわち、平行移動された基準画像が現在の面番号k、回転角度θおよび画像移動カウント数nに関連付けされてROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。
次のステップS215では、画像移動カウント数nが「8」以上であるか否かが判定される。画像移動カウント数nが「8」以上でない場合(すなわち、「n<8」の場合)、ステップS222に戻り、ステップS215において画像移動カウント数nが「8」以上と判定されるまでステップS222〜S224が繰り返し実行される。これにより、回転角度θの基準画像が平行移動の方向を変えながら平行移動され、平行移動により生成された8枚の基準画像が対応する画像移動カウント数n(「n=1」〜「n=7」)に関連付けされてROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。
ステップS215において画像移動カウント数nが「8」以上の場合(すなわち、「n≧8」の場合)、ステップS216に進み、新たな回転角度θとして現在の回転角度θに回転角度増分θdを加算した「θ+θd」が設定される。換言すれば、回転角度θに回転角度増分θdを加算することにより、回転角度θが更新される。本実施例においても、実施例1の場合と同様に、画像を1回転したときに「θ=0」の基準画像を含めて全64枚の基準画像が得られるように、θdが設定される。
次のステップS217では、回転角度θが360°以上であるか否かが判定される。回転角度θが360°未満(すなわち、「θ<360°」)の場合、ステップS218においてRAM143の撮像画像保持部172に保持された前処理画像を更新された回転角度θで回転した後、ステップS219に戻り、ステップS219〜S216が繰り返し実行される。これにより、複数の回転角度θにそれぞれ対応する複数の基準画像およびそれらの基準画像を平行移動の方向を変えながら平行移動された基準画像がROM142の基準画像保持部171に格納され保持される。このとき、各基準画像は、面番号k、回転角度θおよび画像移動カウント数nに関連付けされて基準画像保持部171に保持される。
ステップS217において回転角度θが360°以上(すなわち、「θ≧360°」)の場合、ステップS211に戻る。基準メダルSMの裏面に対応する基準画像を登録する場合、ステップS211において面番号kに「1」を設定し、上記ステップS212〜S218を繰り返し実行可能する。これにより、基準メダルSMの表面および裏面のそれぞれに対応する基準画像が登録可能である。
本実施例における基準画像登録処理では、1つの撮像画像に対して中心抽出、エッジ強調、2値化、膨張・収縮の各処理を重複して実行する必要がない。そのため、図8の基準画像登録処理に比べて処理時間を短縮できる利点がある。
(画像対比判定)
次に、図14および図15を参照しながら、画像対比判定処理について説明する。まず、図14のステップS251において、制御装置140が面番号kに「0」を設定する。これにより、初めに「k=0」に対応する基準画像(換言すれば、基準メダルSMの表面の基準画像)との対比がなされる。
次のステップS252では、制御装置140が画像移動カウント数nおよび回転角度θにそれぞれ「0」を設定する。換言すれば、画像移動カウント数nおよび回転角度θが初期化(すなわち、リセット)される。
次のステップS253では、ROM142の基準画像保持部171に保持された複数の基準画像のうち、面番号k、回転角度θおよび画像移動カウント数nの基準画像が選択される。最初に「k=0、θ=0、n=0」の基準画像が選択される。
次のステップS254では、選択された基準画像と処理画像保持部173に保持された被判別画像(換言すれば、前処理後の撮像画像)とを対比する画像比較が実行される。画像比較では、選択された基準画像および被判別画像を画素単位で比較し、画素値の相違する画素数をカウントすることにより相違度DFが算出される。
次のステップS255では、ステップS254で算出された相違度DFが所定閾値以下か否かが判定される。閾値以下の場合、ステップS256において一致したと判定され、図6のステップS8に戻る。相違度DFが閾値を超えている場合、ステップS257に進む。
ステップS257では、θが「0」であるか否かが判定される。「θ=0」の場合、ステップS259に進み、「θ≠0」の場合、ステップS258に進む。
ステップS259では、相違度DFの最小値を示す最小相違度DFmが設定される。ステップS257において「θ=0」と判定された場合、ステップS255において算出された相違度DFが最小相違度DFmとして設定され、ステップS260において最小相違度回転角度θmとして「0」が設定される。設定された最小相違度DFmおよび最小相違度回転角度θmは、RAM143に格納される。
ステップS257において「θ≠0」の場合、ステップS258において、ステップS255で算出された相違度DFが最小相違度DFm未満であるか否かが判定される。「DF<DFm」の場合、すなわち、ステップS254で算出された相違度DFが既に設定されている最小相違度DFmより小さい場合、ステップS259に進み、ステップS259およびS260において、最小相違度DFmおよび最小相違度回転角度θmに現在の相違度DFおよび回転角度θが設定される。換言すれば、最小相違度DFmおよび最小相違度回転角度θmが更新される。「DF≧DFm」の場合、ステップS261に進み、現在の最小相違度DFmおよび最小相違度回転角度θmがそのまま維持される。
次のステップS261では、現在の回転角度θに回転角度増分θdを加算して得られた値が新たな回転角度θとして設定される。換言すれば、回転角度θが更新される。
次のステップS262では、ステップS261で更新された回転角度θが「360°」以上であるか否かが判定される。「θ<360°」の場合、ステップS253に戻り、ステップS253〜S261が繰り返し実行される。これにより、回転角度θを増加させながら、各回転角度θに対応する複数の基準画像のそれぞれについて相違度DFが算出され、算出された相違度DFのうちの最小値が最小相違度DFmとしてRAM143に保持される。また、その最小相違度DFmに対応する最小相違度角度θmがRAM143に保持される。
ステップS262において「θ≧360°」と判定された場合、ステップS263に進み、平行移動カウント数nに「1」が加算され、新たな画像移動カウント数nが設定される。換言すれば、画像移動カウント数nが更新される。
次のステップS264では、画像移動カウント数nが「8」以上であるか否かが判定される。画像移動カウント数nが「8」以上でない場合(すなわち、「n<8」の場合)、図15のステップS271に進み、回転角度カウント数mとして「0」が設定される。回転角度カウント数mは、RAM143に保持される。
次のステップS272では、回転角度カウント数mが「0」と一致するか否かが判定される。「m=0」の場合、ステップS273において、回転角度θとして最小相違度回転角度θmが設定された後、ステップS277に進む。「m≠0」の場合、ステップS274に進む。
ステップS274では、回転角度カウント数mが「1」と一致するか否かが判定される。「m=1」の場合、ステップS275において、回転角度θとして最小相違度回転角度θmから回転角度増分θdを減算した「θm−θd」が設定された後、ステップS277に進む。「m≠1」の場合、ステップS276において、回転角度θとして最小相違度回転角度θmに回転角度増分θdを加算した「θm+θd」が設定された後、ステップS277に進む。
ステップS277では、ROM142の基準画像保持部171に保持された複数の基準画像のうち、ステップS273、S275およびS276のいずれかで設定された回転角度θに対応する基準画像が選択される。このとき、面番号kおよび画像移動カウント数nに対応する複数の基準画像の中から選択される。
次のステップS278では、図14のステップS254と同様に、選択された基準画像とRAM143の処理画像保持部173に保持された被判別画像とを対比する画像比較が実行され、相違度DFが算出される。
次のステップS279では、ステップS78で算出された相違度DFが所定閾値以下か否かが判定される。閾値以下の場合、ステップS280において一致したと判定され、図6のステップS8に戻る。相違度DFが閾値を超えている場合、ステップS281に進む。
ステップS281では、新たな回転角度カウント数mとして現在の回転角度カウント数mに「1」を加算した「m+1」を設定する。
次のステップS282では、回転角度カウント数mが「2」以下であるか否かが判定される。「m≦2」の場合、ステップS272に戻り、ステップS272〜S281が繰り返し実行される。
このように、画像移動カウント数nが「0」である(換言すれば、平行移動していない)複数の基準画像と被判別画像との対比結果から最小相違度DFmが得られる最小相違度回転角度θmを第1回転角度として特定し、最小相違度回転角度θmに回転角度増分θdを減算した角度「θm−θd」を第2回転角度として特定し、最小相違度回転角度θmに回転角度増分θdを加算した角度「θm+θd」を第3回転角度として特定しておき、画像移動カウント数nが「0」でない(換言すれば、平行移動された)基準画像と被判別画像とを対比する場合には、特定された第1〜第3回転角度に対応する基準画像のみを選択して対比する。換言すれば、面番号kおよび画像移動カウント数nが同一で、且つ、回転角度θの異なる64枚の基準画像の中から3枚の基準画像を特定し、特定された3枚の基準画像についてのみ被判別画像との対比がなされる。そのため、全64枚の基準画像について対比する場合に比べ、判定に要する時間を短縮できる。
ステップS282において「m>2」の場合、図14のステップS263に戻り、ステップS263〜S264、S271〜S282が繰り返し実行される。これにより、ステップS254、S279において相違度DFが閾値以下となるか、ステップS264において画像移動カウント数nが「8」以上となるまで基準画像保持部171に保持された複数の基準画像と被判別画像との対比がなされる。
ステップS264において画像移動カウント数nが「8」以上の場合、ステップS265に進み、現在の面番号kに「1」が加算され、新たな面番号kが設定される。
次のステップS266では、面番号kが「2」以上であるか否かが判定される。面番号kが「2」未満(すなわち、「k<2」)の場合、ステップS252に戻る。換言すれば、「k=1」に設定された状態で、ステップS252〜S264、S271〜282の処理が再度実行される。すなわち、基準メダルSMの裏面の基準画像との対比が行われる。面番号kが「2」以上(すなわち、「k≧2」)の場合、ステップS267において不一致と判定され、図6のステップS8に戻る。
上述した実施例2のメダル選別装置では、実施例1とほぼ同じ効果が得られる。すなわち、被判別画像において選別対象メダル(換言すれば、判別対象メダル)Mの模様が回転していても、その回転角度と同一または近似する回転角度の基準画像との対比が可能となる。また、被判別画像において模様の位置ズレが生じていても、その位置ズレと同一または近似する基準画像との対比が可能となる。換言すれば、被判別画像における模様の回転および位置ズレの双方の影響が除去または減少され、判別精度を高めることができる。よって、選別精度の高いディスク選別装置が実現される。さらに、複数の基準画像は予め準備されているため、判別対象メダルMの撮像画像を回転または平行移動させるよりも時間短縮でき、短時間での判別が可能となる。また、平行移動された基準画像と被判別画像とを対比する場合には、特定された第1〜第3回転角度に対応する基準画像のみを選択して対比する。そのため、実施例1のメダル選別装置100に比べて判別に要する時間がより短縮される。よって、判別速度が一層向上し、より高速な選別が可能となる。