本発明の第1の発明に係る搬送装置は、カーブを有する周回状に形成されるレールと、レールに沿って移動する搬送ラインを形成する複数の第1リンク部材と複数の第2リンク部材と、を備え、第1リンク部材に固定された第1接続部材が、第2リンク部材に設けられた第1挿入孔に挿入され、第1リンク部材に固定された第2接続部材が、第2リンク部材に設けられた第2挿入孔に挿入されることで、第1リンク部材と第2リンク部材とが接続され、第1挿入孔および第2挿入孔のいずれかは、第1接続部材および第2接続部材野いずれかの外形よりも大きい。
この構成により、搬送装置は、物品を搬送する搬送ラインにおいて、角部を生じさせることが無い。また、角部がないことで生じるカーブ部分も、スムーズに周回移動させることができる。
本発明の第2の発明に係る搬送装置では、第1の発明に加えて、搬送ラインは、複数の第1リンク部材のそれぞれと複数の第2リンク部材のそれぞれとが、レールに沿って互い違いに接続されて形成される。
この構成により、レールに沿った搬送ラインが形成される。
本発明の第3の発明に係る搬送装置では、第1又は第2の発明に加えて、レールの上に、所定間隔をおいて一対の第2リンク部材が設置され、一方の第2リンク部材の端部の上に第1リンク部材の一方の端部が、第1接続部材によって接続され、他方の第2リンク部材の端部の上に、第1リンク部材の他方の端部が、第2接続部材によって接続される。
この構成により、搬送装置は、カーブ部分をスムーズに周回移動できる搬送ラインを形成できる。
本発明の第4の発明に係る搬送装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、搬送ラインは、レールに基づいて周回状に移動する。
この構成により、搬送装置は、角部がなく始点と終点を同一とする周回状に、物品を搬送できる。
本発明の第5の発明に係る搬送装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、第1接続部材および第2接続部材のそれぞれは、所定の直径を有して第1挿入孔および第2挿入孔のそれぞれに挿入され、第1挿入孔および第2挿入孔のいずれか一方は、直径よりも大きな長径を、搬送ラインの移動方向に沿って有する。
この構成により、カーブ部分において、第1リンク部材と第2リンク部材とは、相互の距離を調整しつつ、搬送ラインの周回移動をスムーズにさせる。
本発明の第6の発明に係る搬送装置では、第5の発明に加えて、第1接続部材もしくは第2接続部材は、直径よりも大きな長径を有する第1挿入孔もしくは第2挿入孔内部で、その位置を変更可能である。
この構成により、カーブ部分において、第1リンク部材と第2リンク部材とは、相互の距離を調整しつつ、搬送ラインの周回移動をスムーズにさせる。
本発明の第7の発明に係る搬送装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、複数の第1リンク部材および複数の第2リンク部材のいずれかは、台座を備え、台座は、搬送ラインの周回移動に従って移動する。
この構成により、搬送装置は、物品を搬送するだけでなく、物品の製造工程を取り込むこともできる。
本発明の第8の発明に係る搬送装置では、第7の発明に加えて、搬送ラインは、複数の台座を備え、複数の台座のそれぞれは、搬送対象物に所定部品もしくは所定工程を供給する。
この構成により、搬送装置は、製造工程に利用できる。
本発明の第9の発明に係る搬送装置では、第7又は第8の発明に加えて、台座は、略中央から左右に一対の弾性体を有し、一対の弾性体は、搬送ラインの移動方向に沿って、台座の位置を微調整できる。
この構成により、精密部品の製造などで必要となる高い精度での位置決めが実現できる。
本発明の第10の発明に係る搬送装置では、第7から第9のいずれかの発明に加えて、台座および第2リンク部材の少なくとも一方は、搬送ラインの外側および内側の少なくとも一方に突出部を有し、突出部を収容可能な収容部を有する位置決め部材を更に備える。
本発明の第11の発明に係る搬送装置では、第10の発明に加えて、突出部は、略円形もしくは略楕円形の断面形状を有して回転可能であり、収容部は、突出部を収容する深さを有している。
これらの構成により、搬送装置は、製造工程に必要な位置で台座を停止させることができる。特に、停止位置を非常に高い精度で決定でき、製造レベルを向上させることができる。
本発明の第12の発明に係る搬送装置では、第10又は第11の発明に加えて、収容部は、搬送ラインに略垂直方向に往復運動可能であり、該往復運動によって、突出部の収容と開放とを切り替える。
この構成により、搬送装置は、移動と停止とを繰り返すことができる。
本発明の第13の発明に係る搬送装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、複数の第1リンク部材および複数の第2リンク部材の少なくとも一つは、レールの内側と外側とを挟む一対の外輪を有し、一対の外輪のそれぞれは、レールの内側と外側とに接触可能である。
本発明の第14の発明に係る搬送装置では、第13の発明に加えて、一対の外輪を結ぶ対角線は、レールと略垂直を維持する。
これらの構成により、搬送装置は、搬送ラインのカーブ部分での周回移動をより確実にできる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(基本的構成)
図8に示される従来技術では、ターンテーブル104を必要として搬送装置全体の構成が複雑になる。もちろん、ターンテーブル104での回転を必要とすることで、搬送装置での搬送速度も遅くなる問題もある。始点と終点を一致させる周回形状の搬送装置であって、ターンテーブルを必要としない搬送装置は、図1に示されるように、角部の無い基本的な構成を必要とする。図1は、本発明の搬送装置の基本的構成を示す正面図である。
本発明の搬送装置1は、前提として、図1に示されるように、始点と終点とが一致する周回形状を有している。特に、レール2には角部(直角や直角以外に係らず、角度を生じさせる角部)が存在せず、直線および曲線のみでレール2が形成される。すなわち、レール2を移動する台座3は、レール2上を周回するように移動できる。角部がないことで、途中で方向転換のための回転や回動を必要としない。すなわち、ターンテーブルを必要としない。この結果、搬送装置1は、構造が簡易になると共に、搬送速度を効率化できる(ターンテーブルにおける回転が不要となることで、無駄な時間を削減できることによる)。
また、ターンテーブルを必要とする場合には、角部が少なくとも4箇所以上となる都合上、この4箇所に、必ず同時に台座が到達するように構成される必要もある。このため、搬送装置全体の構成が、このターンテーブルの位置に依存することになってしまう。搬送装置は、レール上で台座を移動させることで、様々な部品の取り付けや組み立てを行えるが、台座の配置や位置が、ターンテーブルによって制限されてしまうと、この取り付けや組み立て作業の工程が組みにくくなる問題もある。
図1に示される本発明の基本的構成を有する搬送装置1は、ターンテーブルを不要としているので、上述の問題を生じさせない。結果として、部品取り付けや組み立てなどの様々な作業工程が、搬送装置1で構成できるようになる。搬送装置1は、レール2に装着された複数の台座を周回状に移動させながら、様々な工程を実現する。始点から終点にかけて必要な工程が実施されて、始点に投入された部材が、終点で完成品(搬送装置1の工程における完成品)として、完了される。レール2は、金属や合金などの剛性と形状維持製を有する部材で形成されるので、台座3の位置は一定に保たれるので(高さも含めて)、精密部品の組み立ても可能となる。
(全体概要)
図1に示される搬送装置1は、角部にカーブを有して周回状に形成されるレール2を有している。このレール2に台座3が装着されて、レール2の回転に合わせて台座3が移動する。ここで、レール2は、角部にカーブを有しているので、カーブにおいては内周と外周とが生じる。内周と外周とは、当然ながら距離が異なるので、レール2に装着された台座3は、そのままではカーブにおいてスムーズに周回できないことになる。本発明は、このようなカーブにおける周回の問題も解決している。
図2は、本発明の実施の形態1における搬送装置の斜視図である。搬送装置1は、テーブル10の上にレール2が設置されている。レール2は、周回状に形成されており、角部は、カーブを有している。
また、搬送装置1は、レール2に沿って移動する搬送ライン50を形成する複数の第1リンク部材5と複数の第2リンク部材6とを備える。複数の第1リンク部材5および複数の第2リンク部材とが組み合わされることで、この搬送ライン50が形成される。第1リンク部材5および第2リンク部材6は、レール2に装着されることで、レール2の周回移動に合わせて、この搬送ライン50に沿って周回移動する。
ある第1リンク部材5は、一方の端部付近において第1接続部材7により、第2リンク部材6と接続される。このとき、第1接続部材7は、第2リンク部材6に設けられた第1挿入孔61に挿入される。第1接続部材7は、第1リンク部材5の一方の端部から、第1挿入孔61に挿入されて、レール2に連結される。
また、この第1リンク部材5は、他方の端部付近において別の第2リンク部材6と、第2接続部材8により接続される。このとき、第2接続部材8は、第2リンク部材6に設けられた第2挿入孔62に挿入される。更に、第2接続部材8は、この第2挿入孔62を通じて、第1リンク部材5を、レール2に連結する。このように、一つの第1リンク部材5の両端において、第1接続部材7と第2接続部材8とが、第1リンク部材5と一対の第2リンク部材6とを接続する。
なお、第1リンク部材5および第2リンク部材6のレール2への連結は、レール2との動作を同一にするための固定的接続の場合もあるし(この場合には、レール2が周回移動することで搬送ライン50が周回移動する)、レール2とは独立しているが、レール2から外れない接続の場合もある(この場合には、レール2は周回移動せず、レール2の上を搬送ライン50が周回移動する)。
ここで、第1挿入孔61および第2挿入孔62のいずれかは、第1接続部材7および第2接続部材8の外形のいずれかよりも、大きな径を有している。例えば、第1挿入孔61は、第1接続部材7の外形よりも大きな径を有している。あるいは、第2挿入孔62は、第2接続部材8の外形よりも大きな径を有している。このように、第1挿入孔61および第2挿入孔62のいずれかは、接続部材に対して、遊び部分を有している。図2では、第1挿入孔61が遊び部分を有している。
この遊び部分は、レール2に対応して第1リンク部材5および第2リンク部材6の接続による搬送ライン50が周回移動する場合に、カーブにおける内周と外周との差分を吸収する。相互に接続されている第1リンク部材5と第2リンク部材6とによる搬送ライン50が、カーブ部分で窮屈になる場合には、第1挿入孔61の遊び部分で第1接続部材7が動いて、第1リンク部材5と第2リンク部材6とによる搬送ライン50の窮屈さが吸収される。もちろん、搬送ライン50がカーブ部分でより長さを必要とする場合にも、挿入孔51の遊び部分で第1接続部材7が動くことで、搬送ライン50の周回移動がスムーズになる。すなわち、第1接続部材7が、第1挿入孔61内部を可動することで、カーブ部分の内周と外周との差による周回移動の困難性が吸収される。
このように、第1挿入孔61もしくは第2挿入孔62の遊び部分の存在によって、レール2に存在するカーブ部分での搬送ライン50の周回移動がスムーズになる。
図3は、本発明の実施の形態1における搬送装置の一部の拡大図である。図3は、図2の一部を拡大したものである。
第1リンク部材5は、その一方の端部において第2リンク部材6Aに、第1接続部材7を介して接続される。第1接続部材7は、第2リンク部材6に設けられた第1挿入孔61を通ってレール2に到達して、第1リンク部材5の一方の端部を、レール2に連結する。また、第1リンク部材5は、他方の端部において、別の第2リンク部材6Bに、第2接続部材8を介して接続される。第2接続部材8は、第2リンク部材6Bの第2挿入孔62を通ってレール2に到達して、第1リンク部材5の他方の端部をレール2に連結する。
このように、第1リンク部材と第2リンク部材が、互い違いに接続されることで、レール2に対応した搬送ライン50が形成される。また、第1リンク部材5と第2リンク部材6とは、搬送ライン50の略垂直方向で、図3に示されるように交互に接続されつつ、レール2の周回に対応する。このようにして、レール2の周回に対応する周回軌道を有する搬送ライン50が形成される。また、この搬送ライン50は、レール2に対応しているので、レール2に対応して、搬送ライン50も周回移動する。
例えば、レール2そのものが周回移動する場合には、このレール2の周回移動に伴って、搬送ライン50も周回移動する。一方、レール2そのものは動かない場合には、搬送ライン50は、レール2の上を周回移動する。
第1接続部材7および第2接続部材8のそれぞれは、ねじやビスなどで構成される。すなわち、第1接続部材7および第2接続部材8のそれぞれは、第1挿入孔61および第2挿入孔62のそれぞれを貫通した上で、レール2に嵌合する。ここで、第1挿入孔61および第2挿入孔62は、第1接続部材7および第2接続部材8のそれぞれの外形と同等の大きさを有していればよい。
しかしながら、上述の通り、レール2のカーブ部分での移動時の内周と外周の差によって、第1リンク部材5と第2リンク部材6との移動が困難になることを防止することが必要である。このため、第1挿入孔61は、第1接続部材7の外形よりも大きな内径を有している。図3では、第1挿入孔61は、搬送ライン50の周回移動の軌跡に沿う長径を有する形状である。すなわち、第1接続部材7は、この長径に沿って前後できる。前後できるとは、搬送ライン50の周回移動の軌跡に沿って前後できることである。この前後によって、レール2の周回移動に合わせた第1リンク部材5と第2リンク部材6とは、カーブ部分で生じる前後変動を吸収しながら移動できる。すなわち、搬送ライン50は、レール2に沿った周回移動で、周回移動できるようになる(レール2が周回移動するように動くのに合わせて、レール2に連結されている第1リンク部材5と第2リンク部材6とが周回移動する。この第1リンク部材5と第2リンク部材6との連結によって構成される搬送ライン50も、レール2の周回移動に合わせて周回移動する。)。
このように、実施の形態1における搬送装置1は、始点と終点とが一致する周回形状を有しつつも、角部を生じさせない。更に、角部の代わりにカーブ部分が生じることによる不具合(カーブ部分での周回移動が詰まったり伸びたりする問題)を解消できる。結果として、ターンテーブルのような不要な要素を用いることなく、周回動作での物品の組み立て等が実現できる。
次に、各部の詳細について説明する。
(レール)
レール2は、周回移動の外形を形成する。レール2は、図2に示されるように、テーブル10の上に設置される。レール2は、金属、合金、合成樹脂などの剛性と形態維持性を有する素材で形成される。レール2は、搬送装置1の周回移動の外形を形成するので、周回状であることが好ましい。加えて、周回状であると共に隅にカーブ部分を有することで、角度の生じる角部を生じさせないことが好適である。これらの結果、レール2は、図2に示されるように、直線部、曲線部(カーブ部分)のみを有するようになる。
レール2は、レール2と別途に設けられる駆動部によって周回移動する。ここでの周回移動とは、レール2が形成する周回状に動くことをいう。このレール2の周回移動に合わせて搬送ライン50が周回移動する。
あるいは、レール2は、周回状の形態を構成するだけであり、搬送ライン50がレール2の上を周回移動することでもよい。この場合は、固定されたレール上を列車が移動する態様と同様である。この場合には、第1リンク部材5と第2リンク部材6のそれぞれは相互に連結しているが、レール2とは固定されていない。ただし、構造上の容易性を考慮すると、レール2は周回移動せず、固定されたレール2の上を、搬送ライン50が周回移動することが適当である。
レール2は、単一の部材で構成されても良いし、複数の部材の組み合わせで構成されても良い。実際には、搬送装置1の大きさや外形のバリエーションを広げるために、レール2を構成するユニットの組み合わせで、レール2が構成されることが適当である。
(搬送ライン)
搬送ライン50は、レール2の周回移動に合わせて周回移動する。もしくは搬送ラインは、固定されたレール2の上を周回移動する(レール2に沿って周回移動する)。
搬送ライン50は、複数の第1リンク部材5と複数の第2リンク部材6のそれぞれとが、レール2に沿って互い違いに接続されることで形成される。このため、搬送ライン50がレール2の周回移動に合わせて周回移動する場合には、第1リンク部材5および第2リンク部材6の少なくとも一方は、レール2に固定されている。一方、搬送ライン50がレール2の上を周回移動する場合には、第1リンク部材5と第2リンク部材6とは相互に接続されているが、第1リンク部材5および第2リンク部材6のそれぞれは、レール2に固定されていない。例えば、第2リンク部材6は、他の部材を活用してレール2を挟んだり抱えたりして、連結されるだけで固定されない。
搬送ライン50は、このように、第1リンク部材5、第2リンク部材6、第1リンク部材5、第2リンク部材6・・・、と接続されて形成される。まず、レール2の上に、所定間隔をおいて一対の第2リンク部材6A,6Bが設置される。図3では、第1リンク部材5を間に挟むような間隔で、一対の第2リンク部材6A、6Bとが設置されている。一方である第2リンク部材6Aの端部の上に、第1リンク部材5の一方の端部が接続される。このとき、第1リンク部材5と第2リンク部材6Aの第1挿入孔61とが、第1接続部材7で接続される。
一方、第2リンク部材6Bの端部の上に、第1リンク部材5の他方の端部が接続される。このとき、第1リンク部材5と第2リンク部材6Bの第2挿入孔62とが、第2接続部材8で接続される。
これらの第1接続部材7と第2接続部材8とによって、第1リンク部材5と第2リンク部材6とが交互に接続されていく。交互の接続が、レール2に沿って一周すると、搬送ライン50が形成される。
第1リンク部材5および第2リンク部材6は、金属、合金、剛性樹脂などの剛性や形態維持性を有する素材で形成される。第1リンク部材5および第2リンク部材6のいずれかは、物品の組み立てなどを行う台座を備えることが好適である。すなわち、台座には、組み立て対象の物品が設置されたり、組み立てに用いられる部品が供給されたりするので、搬送ライン50の周回移動に伴った台座の位置設定は、高い精度を要する。場合によっては、mm(ミリ)単位での位置設定が要求される。
第1リンク部材5および第2リンク部材6が剛性や形態維持性を有する素材で形成されることで、周回移動に伴う台座の位置設定には、揺らぎやブレがなくなるので、高い精度での位置設定が可能となる。
第1リンク部材5と第2リンク部材6とは、互い違いに接続されることで、搬送ライン50が形成される。このとき、第1接続部材7は、第1挿入孔61に挿入される。第2接続部材8は、第2挿入孔62に挿入される。第1接続部材7および第2接続部材8のそれぞれは、ねじやビスのように、第1リンク部材5を固定しつつ第1挿入孔61および第2挿入孔62に挿入される部材である。
図4は、本発明の実施の形態1における第1リンク部材と第2リンク部材との接続を示す説明図である。
第1接続部材7および第2接続部材7のそれぞれは、所定の直径を有している。第1接続部材7および第2接続部材7のそれぞれが、ねじやビスのような部材であれば、円形や方形を有しているので、これらは所定の直径(円形の直径だけでなく、方形の径も含む)を有していることになる。図4では、第1接続部材7および第2接続部材8のそれぞれは、円形のねじである。
第1挿入孔61および第2挿入孔62のいずれか一方は、この第1接続部材7および第2接続部材8のいずれかの直径と同等である。図4では、第2挿入孔62は、第2接続部材8の直径と同等である。すなわち、第2接続部材8は、第2挿入孔62にほぼすっぽりと嵌合するように、第2挿入孔62に挿入される。
一方、第1挿入孔61は、第1接続部材7の直径よりも大きな径を有している。特に、第1挿入孔61は、搬送ライン50の移動方向に沿って、第1接続部材7の直径よりも大きな長径を有している。この結果、第1接続部材7は、この長径に沿ってその位置を変えることができる。言い換えると、第1挿入孔61は、第1接続部材7に対しての位置を変えることができる。第1接続部材7は、第1挿入孔61に対して固定されていないので、第1接続部材7と第1挿入孔61とは、相互にその位置を変更できる。
搬送ライン50の周回移動に伴って、ある第2リンク部材6がカーブ部分に到達すると、この第2リンク部材6に接続される一対の第1リンク部材5同士の距離が縮まる必要があったり伸びたりする必要があったりする。搬送ライン50の移動方向に沿った長径を有する第1挿入孔61内部で、第1接続部材7がその位置を変更しつつ、第1リンク部材5同士の距離を調整できる。この結果、カーブ部分においても、搬送ライン50は、問題なく周回移動できる。
ここで、第1挿入孔61の径の大きさ(長径の長さ)は、カーブ部分のRに応じて定められれば良い。例えば、カーブ部分のRが小さく、一対の第1リンク部材5同士の距離の伸び縮みの遊びを大きくする必要がある場合には、長径を長くすることが好ましい。逆に、カーブ部分のRが大きい場合には、一対の第1リンク部材5同士の距離の伸び縮みの遊びが小さくても良いので、第1挿入孔61の長径は短くても良い。
以上のように、第1挿入孔61の径の工夫によって、搬送ライン50は、カーブ部分でも問題なく周回移動できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1で説明された搬送装置1は、始点と終点とを同一にして、周回移動する中で、対象となる物品の組み立てを行う。例えば、周回移動する中で、所定位置で次々と部品が供給されて、対象となる物品が組み立てられる。例えば、搬送ライン50の複数個所に、部品供給路が設置される。搬送ライン50は、周回移動しつつ、この部品供給路で停止する。停止している間に、部品供給路から搬送ライン50を流れる物品に部品が供給されて、組み立てが行われる。複数個所の部品供給路のそれぞれでは、異なる部品が供給されることで、搬送ライン50が一周する間に、全ての工程が完了して、一つの物品が製造される。
このように、搬送装置1は、物品の製造を実現するために、搬送ライン50を形成する複数の第1リンク部材5および複数の第2リンク部材6の少なくとも一つは、台座を備えることが好ましい。図5は、本発明の実施の形態2における搬送ライン50の一部を示す斜視図である。
台座9は、ある第2リンク部材6の上に設置されている。台座9は、搬送ライン50を形成する複数の第2リンク部材6の全てに設置されても良いし、いくつかに設置されるだけでも良い。台座9は、部品が供給される部品供給路の位置および個数に合わせて、設置されれば良い。
図5では、台座9は、ある第2リンク部材6に設置されているので、搬送ライン50の周回移動に従って移動する。このため、台座9は、ある位置から次の位置に移動し、更に次の位置から次の次の位置に移動する。この移動を繰り返して、始点から終点に到達する。
また、台座9は、上述の通り、部品供給路の位置に合わせて搬送される搬送対象物に、所定部品もしくは所定工程を供給する。このため、台座9は、部品供給路の位置において停止することが好ましい。このため、台座9は、搬送ライン50の周回移動に合わせて、設置されている部品供給路の位置で、都度停止を繰り返す。
搬送ライン50は、外部に駆動手段を備えており、この駆動手段が搬送ライン50を周回移動させる。この駆動手段は、設定に従って、停止位置において搬送ライン50を停止させる。この停止によって、台座9は、部品供給路のそれぞれの位置である停止位置において停止する。
台座9は、搬送ライン50の外側および内側の少なくとも一方に突出部91を有することが好ましい。図5では、突出部91は、搬送ライン50の外側に突出している。また、図5では、突出部91は、第2リンク部材6から突出している。突出部91は、台座9が所定の停止位置で停止する際の補助を行うので、台座9と連結する第2リンク部材6に設けられても良い。
突出部91に対向する位置には、位置決め部材20が設けられることも好適である。位置決め部材20は、搬送装置1が設置されるテーブル10に設置されれば良い。位置決め部材20は、突出部91を収容可能な収容部21を更に備える。突出部91が収容部21に収容されることで、突出部91の位置が決まる。この結果、台座9の位置が決まる。
位置決め部材20は、搬送ライン50を停止させる停止位置に設けられる。すなわち、搬送ライン50に対する部品供給路の設置位置が停止位置であるので、部品供給路の設置位置に合わせて、位置決め部材20が設置される。複数の部品供給路が設けられる場合には、停止位置も複数となるので、複数の位置決め部材20が設置される。このため、位置決め部材20は、部品供給路と一体的に設けられても良い。
位置決め部材20は、停止させたい台座9が自身の前に到達すると、搬送ライン50に近づき、収容部21が突出部91を収容して、台座9の停止位置を調整する。この結果、位置決め部材20は、台座9の停止位置を、所定の位置に固定できる。
突出部91は、図5に示されるようにその断面が略円形もしくは略楕円形を有していることが好ましい。加えて、この略円形もしくは略楕円形に応じて、突出部91は、回転可能であることが好ましい。収容部21は、突出部91を収容できる深さを有しており、位置決め部材20が突出部91に対して近づく際に、突出部91が収容部21内に収まっていく。特に、突出部91が回転可能であることで、突出部91は、収容部21と接触しながら、収容部21によって定められる位置に落ち着くようになる。
図6は、本発明の実施の形態2における位置決め部材の周辺の斜視図である。
図6は、台座9が設置されるべき第2リンク部材6の周辺と、第2リンク部材6に対応して設置される位置決め部材20を示している。なお、図6では、突出部91は、第2リンク部材6に設けられている。
位置決め部材20もしくは収容部21は、搬送ライン50に略垂直方向に往復運動が可能である。例えば、搬送ライン50がレール2に沿って周回移動している間は、位置決め部材20は、搬送ライン50から離れた状態である。この結果、突出部91は、収容部21や位置決め部材20に接触することなく、第2リンク部材6の周回移動に合わせて移動できる。
一方、台座9が停止するべき位置(位置決め部材20の設置位置)に到達すると、搬送ライン50を周回移動させる駆動手段の駆動が停止すると共に、収容部21や位置決め部材20が、搬送ライン50に近づく。この際に、収容部21は、突出部91を収容する。特に、収容部21は、狭小となる頂点22を有しており、突出部91は、この頂点22に収まる。この結果、突出部91の位置が所定位置に正確に調整される。
更に、台座9が停止中に行われる部品供給や工程が完了すると、搬送ライン50は、再び周回移動を開始するようになる。このため、収容部21(位置決め部材20)は、搬送ライン50から遠ざかるように移動し、突出部91を開放する。この結果、搬送ライン50は、再び周回移動可能となる。搬送ライン50が周回移動を開始して、次の台座9が、位置決め部材20の位置に到達すると、再び収容部材21が搬送ライン50に近づいて突出部91を収容して、停止位置を調整する。
また、図6に示されるように、台座9は、略中央から左右に一対の弾性体92、93を備えることも好適である。一対の弾性体92、93は、搬送ライン50の周回移動の方向に沿っており、台座9の位置を微調整できる。例えば、突出部91が収容部21に収まる際に、弾性体92、93が弾性力によって、台座9の位置を所望の位置に微調整する。
弾性体92、93は、ばねでも良いし、ゴムのような弾性素材でも良い。
搬送装置1は、精密機器などの製造ラインに適用されることが想定される。このような精密機器の製造ラインでは、台座9の停止位置が正確であることが求められる。実施の形態2で説明される要素と機能が加わることで、搬送装置1は、台座9を高い精度で所定の停止位置に停止させることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
複数の第1リンク部材5と複数の第2リンク部材6との連結によって形成される搬送ライン50は、レール2に沿って周回移動する。搬送ライン50は、レール2に沿って設けられるが、角度を有する角部を形成せずに、カーブ部分である曲線と直線のみ(あるいは曲線のみ)で形成されるレール2に合わせて、カーブ部分を有する。
実施の形態1、2で説明したように、搬送装置1は、カーブ部分での搬送ライン50の周回移動をスムーズにしている。しかし、搬送ライン50の周回移動の速度が高速になったり、カーブ部分の角度が厳しくなったりする場合には、カーブ部分での周回移動のスムーズさが減少することもありえる。
図7は、本発明の実施の形態3における搬送装置の一部の拡大図である。図7は、カーブ部分の搬送ライン50を示している。上述のような理由で、カーブ部分では、搬送ライン50が周回移動でレール2に沿った仮想ラインからはみ出たりする可能性もある。これを防止するために、第1リンク部材5および第2リンク部材6の少なくとも一つは、一対の外輪30を備えることが好適である。図7では、第2リンク部材6が外輪30を備える。
一対の外輪は、レール2の内側と外側とを挟む。また、この一対の外輪30のそれぞれは、レール2の内側と外側とに接触可能である。すなわち、一対の外輪30が、レール2をはさみながら、搬送ライン50が周回移動する。第2リンク部材6が一対の外輪30を備えるので、第2リンク部材6は、レール2をこの外輪30ではさみながら、周回移動する。
一対の外輪30がレール2を挟んでいるので、この外輪30に繋がる第2リンク部材6も、レール2に間接的に固定された状態で周回移動することになる。このため、搬送ライン50は、レール2によって形成される仮想ラインからはみ出すことなく周回移動できる。
また、一対の外輪30同士を結ぶ対角線は、レール2と略垂直を維持する。一対の外輪30同士の対角線は、レール2と略垂直を維持することで、外輪30を備える第2リンク部材6は、レール2と略平行を維持しやすくなる。略平行を維持できることで、第2リンク部材6は、レール2に沿った周回移動を実現しやすい。特に、カーブ部分においても、外輪30同士を結ぶ対角線が、レール2に略垂直であることで、第2リンク部材6は、レール2に沿った周回移動を実現できるようになる。
一対の外輪30は、レール2に接触することで回転することが好ましい。搬送ライン50がレール2の上を周回移動する際に、一対の外輪30がレール2の内側と外側とに接触しつつ回転する。この回転によって、搬送ライン50は、スムーズに周回移動できる。
以上のように、実施の形態3の搬送装置1は、カーブ部分での周回移動をよりスムーズにできる。結果として、搬送装置1での搬送ライン50の移動速度を高めることができ、搬送装置1を利用した製造ラインでの製造速度を向上させることができる。
なお、実施の形態1〜3で説明された搬送装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。