以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1から図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る化粧材繰出容器1について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、化粧材繰出容器1の全体構成について説明する。
化粧材繰出容器1は、化粧材2が内周に収容されて当該化粧材2が進退可能な開口11が先端に形成される先筒10と、先筒10に回転自在に組み付けられる基筒20と、外周に雄ねじ35が形成され先筒10と基筒20との相対回転によって進退する押棒30と、雄ねじ35と螺合する雌ねじ部42が形成される雌ねじ片40と、基筒20に組み付けられる尾栓50と、を備える。
化粧材2は、開口11から先筒10の内部に充填される。図2では、化粧材2は図示が省略されている。
次に、主に図3から図5を参照して、化粧材繰出容器1を構成する各部品について説明する。
図3に示すように、先筒10は、基筒20(図1及び図2参照)との相対回転の際に使用者によって摘んで使用される摘部14と、基筒20の内周に嵌入される基筒嵌入部15と、を有する。
摘部14は略円筒状に形成される。摘部14の内周には、化粧材2(図1参照)が収容される。摘部14の一端には、開口11が形成される。摘部14の他端には、基筒嵌入部15が軸方向に連続して形成される。
基筒嵌入部15は、貫通孔12を有する略円筒状に、摘部14と同軸に形成される。基筒嵌入部15の内周には、押棒30(図1及び図2参照)が挿通する。
貫通孔12は、基筒嵌入部15の後端面17から摘部14の開口11まで延在する。基筒嵌入部15の内周には、軸方向に延在する4つの摺動溝13が設けられる。各摺動溝13は、後端面17から開口11の近傍まで形成される。
また、基筒嵌入部15は、外径が摘部14と比較して小さく形成される。基筒嵌入部15の先端部(摘部14の周辺)の外周には環状凸部18が形成される。環状凸部18よりも後端面17側に位置する基筒嵌入部15の外周には、Oリング4(図1及び図2参照)が挿入される環状のOリング溝16が設けられる。
図1及び図2に示すように、Oリング4は、基筒20の内周に摺接する。Oリング4は、使用者が先筒10と基筒20とを相対回転させる際に、基筒20に摺接して適度な抵抗を付与する。
基筒20は、略円筒状に、先筒10と同軸に形成される。図1及び図4に示すように、基筒20の先端には開口25が形成され、基筒20の後端には開口28が形成される。基筒20の先端部(開口25の周辺)の内周には、基筒嵌入部15の環状凸部18(図3参照)と嵌合する環状の嵌合凹部24が形成される。基筒20の後端部(開口28の周辺)の内周には、環状の嵌合凹部26が形成される。
嵌合凹部24は、使用者が先筒10と基筒20とを相対回転させる際に、先筒10の環状凸部18(図3参照)に摺接する。これにより、先筒10と基筒20とは、軸方向の相対位置が規定されたまま中心軸まわりに相対回転する。
基筒20の内周には、周方向に優弧状に延在する軸方向の段部22と、周方向に劣弧状に延在する軸方向の段部23と、が設けられる。
段部22は、段部22を境に開口25側に位置する優弧状の内周面の半径が開口28側に位置する優弧状の内周面の半径よりも大きくなるように形成される。後述する雌ねじ片40は、化粧材繰出容器1が組み立てられた状態では、段部22と先筒10の後端面17との間に挟まれる。つまり、段部22よりも開口25側には、雌ねじ片設置部22aが形成される。
段部23は、段部22と同様に、段部23を境に開口25側に位置する劣弧状の内周面の半径が開口28側に位置する劣弧状の内周面の半径よりも大きくなるように形成される。段部23は段部22よりも開口25側に位置し、化粧材繰出容器1が組み立てられた状態では先筒10の後端面17に摺動可能に接する。化粧材繰出容器1が組み立てられた状態において、段部23と先筒10の後端面17との間にギャップが形成されてもよい。
また、段部23は、段部22と重複しないように、段部22に対して周方向にずれている。段部22の周方向端部から段部23の周方向端部に渡って、軸方向に延在する周方向の段部21b,21cが設けられる。段部21b,21cは、段部21b,21cを境に段部22側に位置する優弧状の内周面の半径が段部23側に位置する劣弧状の内周面の半径よりも大きくなるように形成される。
段部21b,21cは、化粧材繰出容器1が組み立てられた状態では、雌ねじ片40の端面41d,41eに接し、基筒20に対する雌ねじ片40の周方向の位置を規定する。つまり、雌ねじ片40は、先筒10に対して、基筒20と同期して回転する。
尾栓50は、基筒20の開口28から基筒20に挿入される筒状部51と、筒状部51の後端に連続して設けられる円板部52と、を有する。筒状部51の外周には、基筒20の嵌合凹部26と嵌合する嵌合凸部53が形成される。
円板部52は、筒状部51と同軸に形成される。円板部52の外径は筒状部51の外径と比較して大きく、円板部52に、基筒20の後端面27に当接する当接面54が形成される。基筒20の開口28は、尾栓50により塞がれる。
図1及び図5に示すように、押棒30は、化粧材2を保持する化粧材保持部31を有する。化粧材保持部31は4本の爪片32で形成される。押棒30には、爪片32に延設して4本の係合条部33が設けられる。
係合条部33は、軸方向に延在し、先筒10の摺動溝13(図3参照)と係合する。係合条部33と摺動溝13との係合により、先筒10に対する押棒30の周方向の位置が規定される。つまり、押棒30は、基筒20及び雌ねじ片40に対して、先筒10と同期して回転する。係合条部33と摺動溝13は軸方向に延在するので、押棒30は軸方向に拘束されない。
係合条部33より更に下方には棒軸34が延設される。棒軸34の外周には、ストローク長の雄ねじ35が設けられる。
係合条部33は、棒軸34の外周よりも径方向外側に突出して形成される。係合条部33の下端には、係合条部下端面33aが設けられる。係合条部下端面33aは、化粧材繰出容器1が繰出下降限にあるときに、雌ねじ片40の前端面43aに接するとともに、基筒20の段部23(突壁部21の前端面)に接する。つまり、化粧材繰出容器1の繰出下降限は、係合条部下端面33aと、雌ねじ片40又は段部23と、により定まる。
雌ねじ片40は、軸方向と垂直に交わる断面が円弧状に形成され、化粧材繰出容器1の軸方向に延在する。より具体的には、雌ねじ片40は、軸方向と垂直に交わる断面が劣弧状に形成される雌ねじ片本体41aと、雌ねじ片本体41aの軸方向の両端に雌ねじ片本体41aと同軸に優弧状に形成される端部41b,41cと、で構成される。
優弧状の端部41b,41cの開口の幅は棒軸34の外径よりも小さい。両端部41b,41cの開口を押し広げながら棒軸34を両端部41b,41cの内側に挿入することにより、雌ねじ片40が棒軸34に嵌着する。棒軸34への雌ねじ片40の嵌着により、雌ねじ片本体41aが棒軸34の外周の一部に設けられる。
雌ねじ片本体41aの内周の一部には、雄ねじ35のリードと同一のリードの雌ねじ部42が形成される。雌ねじ片本体41aの内周面が棒軸34に接することにより、雌ねじ部42が雄ねじ35と螺合する。
化粧材繰出容器1では、雌ねじ片40が円弧状に形成されるため、従来のような円筒状に形成される雌ねじ片と異なり、雌ねじ片40の内周面が周方向に途切れ(周方向に連続しておらず)、雌ねじ片40の周方向の両端部間に開口が形成される。そのため、雌ねじ片40の成形時に、雌ねじ部42を形成する金型を雌ねじ片40の開口から離型することができ、このような金型を回転させながらねじ抜きを行う必要がない。したがって、雌ねじ片40をより容易に成形することができる。
また、化粧材繰出容器1では、雌ねじ片40が円弧状に形成されるので、雌ねじ片40を棒軸34に組み付ける際に、円弧状の雌ねじ片40の開口から棒軸34を挿入すればよく、押棒30と雌ねじ片40とを相対回転させる必要がない。したがって、雄ねじ35のリードの大きさに関わらず、実施例のように雄ねじ35のリードが小さい場合も雌ねじ片40を棒軸34に容易に組み付けることができる。
雌ねじ片40は円弧状に限定されず、例えば平板状に形成されていてもよい。言い換えれば、雌ねじ片40の雌ねじ部42が棒軸34の雄ねじ35と螺合可能な形状であればよい。
化粧材繰出容器1では、端部41b,41cが優弧状に形成され、端部41b,41cの開口の幅が棒軸34の外径よりも小さい。そのため、雌ねじ片40を棒軸34に嵌着した後では、雌ねじ片40が棒軸34から離れにくく、ねじのリードが小さいため雌ねじ片40の自重により棒軸34の雄ねじ35に雌ねじ部42の一部が螺合した状態で自然に停止する。したがって、化粧材繰出容器1の組み立て時に、棒軸34からの雌ねじ片40の脱落や棒軸34に対する軸方向への雌ねじ片40の移動が生じにくく、化粧材繰出容器1を容易に組み立てることができる。
化粧材繰出容器1が組み立てられた状態では、雌ねじ片40の端部41cの後端面43bが基筒20の段部22に接するように雌ねじ片40が基筒20の段部22に載置され、雌ねじ片40の端部41bの前端面43aが先筒10の後端面17に摺動可能に接する。これにより、雌ねじ片40は軸方向に拘束される。化粧材繰出容器1が組み立てられた状態において、雌ねじ片40の端部41bの前端面43aと先筒10の後端面17との間にギャップが形成されてもよい。
また、化粧材繰出容器1が組み立てられた状態では、雌ねじ片40の端面41d,41eが基筒20の段部21b,21cに接する。これにより、雌ねじ片40は、基筒20に対して周方向に拘束され、基筒20と同期して回転する。
このように、雌ねじ片40を段部22に載置するだけで雌ねじ片40の端面41d,41eが段部21b,21cと接して雌ねじ片40が先筒10に対して基筒20と同期して回転するので、基筒20への雌ねじ片40の組み付けが容易である。
押棒30が先筒10と同期して回転し雌ねじ片40が基筒20と同期して回転するので、先筒10と基筒20とを相対回転させると、押棒30と雌ねじ片40とが相対回転する。雌ねじ片40が基筒20の段部22と先筒10の後端面17とにより軸方向に拘束されるので、雌ねじ部42が雄ねじ35と螺合した状態で押棒30と雌ねじ片40とが相対回転すると、押棒30は、雄ねじ35のリードに従って、先筒10に対して進退する。
押棒30が先筒10に対して前進する(開口11に近づく方向に移動する)と、化粧材2は、先筒10の開口11から繰り出される。棒軸34の雄ねじ35の雄ねじ後端部35aが雌ねじ片40の雌ねじ部42を通過したところで、押棒30は停止する。
先筒10と基筒20とを逆方向に相対回転させると、押棒30が先筒10に対して後退する(開口11から遠ざかる方向に移動する)。化粧材2は押棒30の化粧材保持部31により保持されるので、押棒30の後退に伴って、化粧材2は開口11から先筒10の内周に繰り戻される。
図1、図2及び図4に示すように、基筒20は、基筒20の内周面21aから突出する突壁部21を有する。突壁部21は、雌ねじ部42に対向する領域に、段部23から軸方向に延在する。
また、突壁部21は、化粧材繰出容器1が組み立てられた状態では、雌ねじ部42とは反対側において棒軸34に接する。そのため、突壁部21は、雌ねじ片40の雌ねじ部42と押棒30の雄ねじ35との螺合が解除される方向(以下、「螺合解除方向」とも称する)への押棒30の移動を制限する。
螺合解除方向への押棒30の移動が突壁部21により制限されるので、棒軸34が雌ねじ片40から離れにくく、雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒30は先筒10と基筒20との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧材2を化粧材繰出容器1からより確実に繰り出すことができるとともに、化粧材2を化粧材繰出容器1内により確実に繰り戻すことができる。
突壁部21は棒軸34に常に接するように形成される必要はなく、雌ねじ部42と雄ねじ35とが完全に螺合している状態では、突壁部21と棒軸34との間にギャップが形成されていてもよい。このギャップは、棒軸34が螺合解除方向に移動しても雌ねじ部42と雄ねじ35との螺合が解除されない程度の大きさに形成される。突壁部21と棒軸34との間に適度なギャップを設けることにより、基筒20へ押棒30を容易に組み付けることができるとともに、押棒30を容易に進退させることができる。
また、化粧材繰出容器1では、突壁部21が雌ねじ部42に対向する領域に設けられるので、押棒30が回転中心軸に対して傾いても、棒軸34は雌ねじ片40からほとんど離れない。したがって、基筒20の突壁部21だけで雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合の解除を防ぐことができる。
仮に、基筒20の突壁部21が雌ねじ部42に対向する領域よりも開口28側の領域に設けられる場合、突壁部21と棒軸34との接触部を支点に押棒30が回転中心軸に対して傾くと、棒軸34が雌ねじ片40から大きく離れるおそれがある。その結果、雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合が弱まり又は解除され、化粧材2の繰り出しが困難になるおそれがある。
この場合、押棒30が傾くことに起因する雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合の解除を防止するために、基筒20に雌ねじ部42に対向する領域よりも開口28側の領域に突壁部21を設けると共に、先筒10の内周にも螺合解除方向への押棒30の移動を制限する制限部を設けることが考えられる。しかしながら、この場合には、先筒10と基筒20との両方を高い寸法精度で製作することが要求され、化粧材繰出容器の製造が困難になる。
化粧材繰出容器1では、突壁部21が雌ねじ部42に対向する領域に設けられるので、突壁部21は、押棒30が傾くことに起因する雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合の解除を防ぐ。そのため、先筒10に制限部を設ける必要がなく、先筒10を高い寸法精度で製作することが要求されない。したがって、化粧材繰出容器1を容易に製造することができる。
化粧材繰出容器1では、突壁部21は雌ねじ部42に対向する領域にのみ設けられる。これに代えて、突壁部21を、雌ねじ部42に対向する領域以外の領域に設けてもよい。例えば、突壁部21は、押棒30の軸方向における雌ねじ部42の両側にそれぞれ一箇所ずつ設けられてもよい。この場合も、基筒20の突壁部21が回転中心軸に対する押棒30の傾きを防ぐので、雄ねじ35と雌ねじ42との螺合の解除を防ぐ。そのため、先筒10に制限部を設ける必要がなく、先筒10を高い寸法精度で製作することが要求されない。したがって、化粧材繰出容器1を容易に製造することができる。
図6は、化粧材繰出容器1の変形例における基筒120の正面の断面図、F−F断面図、G−G断面図、及びH−H断面図である。基筒120は底面128を有する有底筒状に形成され、段部23から底面128まで延在する突壁部121を有する。
基筒120を備える化粧材繰出容器1においても、押棒30(図1及び図2参照)の螺合解除方向への移動が突壁部121により制限されるので、雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒30は、先筒10と基筒20との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧材2を化粧材繰出容器1からより確実に繰り出すことができるとともに、化粧材2を化粧材繰出容器1内により確実に繰り戻すことができる。
化粧材繰出容器1の変形例では、基筒120の一端が底面128により塞がれるため、尾栓50(図1、図2及び図4参照)が必要とされない。したがって、化粧材繰出容器1の部品数を減らすことができる。
また、突壁部121が段部23から底面128まで延在するので、型を用いて基筒120を成形する際に、基筒120の内周面を形成する型を開口25から引き抜くだけでよい。したがって、基筒120を容易に製造することができる。
図1及び図2に示すように、化粧材繰出容器1では、突壁部21が雌ねじ部42に対向する領域に設けられるので、押棒30が湾曲しても、棒軸34は雌ねじ片40からほとんど離れない。したがって、基筒20の突壁部21だけで雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合の解除をより確実に防ぐことができる。
以下、図1から図5を参照して、化粧材繰出容器1の組み立て手順について説明する。
まず、押棒30の棒軸34の外周に、雌ねじ片40を組み付ける。このとき、雌ねじ片40の前端面43aと押棒30の係合条部下端面33aとを当接させる。
上記のように、雌ねじ片40は円弧状に形成されるので、雌ねじ片40の開口から棒軸34を挿入するだけで、雌ねじ片40は棒軸34に組み付けられる。そのため、雌ねじ片40の前端面43aと押棒30の係合条部下端面33aとを当接させる際に、押棒30と雌ねじ片40とを相対回転させる必要がない。したがって、雄ねじ35と雌ねじ部42とのリードが小さくても、手間と時間をかけることなく雌ねじ片40を押棒30に組み付けることができる。
優弧状の端部41b,41cの開口の幅は棒軸34の外径よりも小さい。雌ねじ片40を棒軸34に組み付ける際には、端部41b,41cの開口を押し広げながら棒軸34を両端部41b,41cの内側に挿入する。組み付け後、押し広げられた端部41b,41cの開口がもとに戻ることにより、雌ねじ片40と棒軸34とが嵌着する。
嵌着後には、端部41b,41cの開口の幅が棒軸34の外径よりも小さいので、端部41b,41cは、棒軸34が雌ねじ片本体41aから遠ざかる方向に移動するのを制限する。そのため、雌ねじ片40は、自重により棒軸34の雄ねじ35に雌ねじ部42の一部が螺合した状態で自然に停止する。したがって、棒軸34からの雌ねじ片40の脱落や棒軸34に対する軸方向への雌ねじ片40の移動を防止することができる。
次に、雌ねじ片40が嵌着された押棒30を基筒20に挿入する。具体的には、押棒30の後端面36を基筒20の開口25に通すことにより、押棒30を基筒20に挿入する。このとき、雌ねじ片40を雌ねじ片設置部22aに載置する。
雌ねじ片40は、自重により棒軸34の雄ねじ35に雌ねじ部42の一部が螺合した状態で自然に停止しているので、押棒30の位置を合わせるだけで、雌ねじ片40を雌ねじ片設置部22aに容易に載置することができる。また、雌ねじ片40の前端面43aと押棒30の係合条部下端面33aとが当接しているので、雌ねじ片40の後端面43bを基筒20の段部22に載置することにより、押棒30を化粧材繰出容器1の下降限に位置させることができる。
その後、Oリング4が環装された先筒10を基筒20に装着する。このとき、押棒30の爪片32と係合条部33とを先筒10の摺動溝13に挿入する。係合条部33と摺動溝13とが係合し、先筒10に対する押棒30の周方向の位置が規定される。
また、基筒20への先筒10の装着により、雌ねじ片40は、基筒20の段部22と先筒10の後端面17とに挟まれ、軸方向への移動が拘束される。
尾栓50は、基筒20の開口28を塞ぐように基筒20に装着される。押棒30を基筒20に挿入する前に尾栓50を基筒20に装着してもよいし、押棒30を基筒20に挿入した後に尾栓50を基筒20に装着してもよい。もちろん、先筒10を基筒20に装着した後に尾栓50を基筒20に装着してもよい。
以上の第1の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
雌ねじ片40と同期して回転する基筒20は、雌ねじ片40の雌ねじ部42と押棒30の雄ねじ35との螺合が解除される方向への押棒30の移動を制限する突壁部21を有する。螺合解除方向への押棒30の移動が突壁部21により制限されるので、棒軸34が雌ねじ片40から離れにくく、雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒30は先筒10と基筒20との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧材2を化粧材繰出容器1からより確実に繰り出すことができるとともに、化粧材2を化粧材繰出容器1内により確実に繰り戻すことができる。
また、突壁部21は、雌ねじ部42に対向する領域に設けられるので、押棒30が回転中心軸に対して傾いても、棒軸34は雌ねじ片40からほとんど離れない。したがって、基筒20の突壁部21だけで雄ねじ35と雌ねじ部42との螺合の解除を防ぐことができる。そのため、先筒10に制限部を設ける必要がなく、先筒10を高い寸法精度で製作することが要求されず、化粧材繰出容器1を容易に製造することができる。
突壁部21が押棒30の軸方向における雌ねじ部42の両側にそれぞれ一箇所ずつ設けられる場合においても、先筒10に制限部を設ける必要がなく、先筒10を高い寸法精度で製作することが要求されない。したがって、化粧材繰出容器1を容易に製造することができる。
さらに、雌ねじ片40の周方向の位置は、基筒20に設けられる段部21b,21cにより規定されるので、雌ねじ片40が段部21b,21cに接するだけで、雌ねじ片40は、先筒10に対して基筒20と同期して回転する。したがって、雌ねじ片40を基筒20に容易に組み付けることができる。
(第2の実施形態)
以下、図7から図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係る化粧材繰出容器201について説明する。なお、以下に示す各実施の形態では、前述した実施の形態と同様の構成についての説明は重複することがあるので、適宜その説明を省略する。
図7及び図8に示すように、第2の実施形態に係る化粧材繰出容器201では、先筒210は、先端に開口211aが形成される先端部材210aと、先端部材210aに組み付けられる中継部材210bと、を有する。基筒220は、有底筒状に形成される。化粧材202は、開口211aから先端部材210aの内周に充填される。
図9に示すように、先端部材210aは、化粧材202を収容する化粧材収容部214と、中継部材210bの内周に嵌入される中継部材嵌入部215と、を有する。
化粧材収容部214は、貫通孔212aを有する円筒状に形成される。化粧材収容部214の一端には、貫通孔212aの一端である開口211aが形成される。化粧材収容部214の他端には、中継部材嵌入部215が連続して形成される。化粧材202は、開口211aから貫通孔212aに充填される。
図7、図8及び図9に示すように、中継部材嵌入部215は、略円筒状に、化粧材収容部214と同軸に形成される。貫通孔212aは、中継部材嵌入部215の後端面217aから化粧材収容部214の開口211aまで延在する。中継部材嵌入部215の内周には、化粧材202が収容されるとともに、押棒230が挿通する。
また、中継部材嵌入部215は、外径が化粧材収容部214と比較して小さく形成される。中継部材嵌入部215の外周には、化粧材収容部214から軸方向に延在する4つの溝213aが形成される。溝213aよりも後端面217a側に位置する中継部材嵌入部215の外周には、環状凸部216aが形成される。
中継部材210bは、略円筒状に、先端部材210aと同軸に形成される。中継部材210bの先端には開口211bが形成され、中継部材210bの後端には開口218bが形成される。
中継部材210bの先端部(開口211bの周辺)の内周には、開口211bの縁から軸方向に延在するリブ213bが設けられる。リブ213bは、中継部材嵌入部215の溝213aと係合する。溝213aとリブ213bとの係合により、先端部材210aに対する中継部材210bの周方向の位置が規定される。つまり、中継部材210bは、先端部材210aと同期して回転する。
また、リブ213bよりも後端面217b側に位置する中継部材210bの内周には、中継部材嵌入部215の環状凸部216aと嵌合する環状の嵌合凹部216bが形成される。環状凸部216aと嵌合凹部216bとが嵌合することにより、先端部材210aに対する中継部材210bの軸方向の位置が規定される。
中継部材210bの後端部(開口218bの周辺)の内周には、環状の嵌合凹部216cが形成される。
中継部材210bの内周には、周方向に半円状に延在する軸方向の段部219bが設けられる。段部219bは、段部219bを境に開口211b側に位置する半円状の内周面の半径が開口218b側に位置する半円状の内周面の半径よりも大きくなるように形成される。後述する雌ねじ片240は、化粧材繰出容器201が組み立てられた状態では、段部219bと先端部材210aの後端面217aとの間に挟まれる。つまり、段部219bよりも開口211b側には、雌ねじ片設置部214bが形成される。
また、中継部材210bは、中継部材210bの内周面から突出する突壁部215bを有する。突壁部215bは、軸方向と直交する断面が半円状に形成され、段部219bに対して周方向に180度ずれて設けられる。また、突壁部215bは、段部219bよりも開口211b側に設けられる。
突壁部215bは、中継部材210bの内周に、周方向に半円状に延在する軸方向の段部219cを形成する。段部219cは、段部219bよりも開口211b側に位置し、化粧材繰出容器201が組み立てられた状態では先端部材210aの後端面217aと摺動可能に接する。化粧材繰出容器201が組み立てられた状態において、段部219cと先端部材210aの後端面217aとの間にギャップが形成されてもよい。
また、突壁部215bは、中継部材210bの内周に、軸方向に延在する周方向の段部219d,219eを形成する。段部219d,219eは、化粧材繰出容器201が組み立てられた状態では、雌ねじ片240の端面243c,243dと接し、中継部材210bに対する雌ねじ片240の周方向の位置を規定する。つまり、雌ねじ片240は、先端部材210aと中継部材210bと同期して回転する。
図7及び図10に示すように、基筒220は、先筒210との相対回転の際に使用者によって摘んで使用される摘部220aと、中継部材210bの内周に嵌入される中継部材嵌入部220bと、を有する。
摘部220aは、一端に底面226を有する有底円筒状に形成される。摘部220aの内周には、底面226から軸方向に延在する4つのリブ225が設けられる。摘部220aの他端には、中継部材嵌入部220bが軸方向に連続して形成される。
中継部材嵌入部220bは、略円筒状に、摘部220aと同軸に形成される。リブ225は、摘部220aの内周から中継部材嵌入部220bの前端面222まで設けられる。
また、中継部材嵌入部220bは、外径が摘部220aと比較して小さく形成される。中継部材嵌入部220bの後端部(摘部220aの周辺)の外周には、中継部材210bの嵌合凹部216c(図9参照)と嵌合する環状の嵌合凸部224が形成される。
嵌合凸部224は、使用者が中継部材210bと基筒220とを相対回転させる際に、中継部材210bの嵌合凹部216c(図3参照)と摺接する。これにより、中継部材210bと基筒220とは、軸方向の相対位置が規定されたまま中心軸まわりに相対回転する。
嵌合凸部224よりも前端面222側に位置する中継部材嵌入部220bの外周には、Oリング5が挿入される環状のOリング溝223が設けられる。Oリング5は、使用者が中継部材210bと基筒220とを相対回転させる際に、中継部材210bに摺接して適度な抵抗を付与する。
図7及び図11に示すように、押棒230は、棒軸234と、棒軸234の下端に軸方向に連続して形成される大径部237と、を有する。棒軸234の外周には雄ねじ235が設けられる。大径部237は、外径が棒軸234と比較して大きく形成される。
大径部237の外周には、軸方向に延在する溝238が設けられる。溝238は、押棒230が基筒220に組み付けられた状態では、基筒220のリブ225(図10参照)と係合する。リブ225と溝238との係合により、基筒220に対する押棒230の周方向の位置が規定される。つまり、押棒230は、先筒210及び雌ねじ片240に対して、基筒220と同期して回転する。リブ225と溝238は軸方向に延在するので、押棒230は軸方向に拘束されない。
大径部237の後端面236は、化粧材繰出容器201が繰出下降限にあるときに、基筒220の底面226(図10参照)と接する。つまり、化粧材繰出容器201の繰出下降限は、大径部237の後端面236と、基筒220の底面226と、により定まる。
雌ねじ片240は、軸方向と垂直に交わる断面が半円状に形成され、化粧材繰出容器201の軸方向に延在する。雌ねじ片240の内周の一部には、雄ねじ235のリードと同一のリードの雌ねじ部242が形成される。雌ねじ片240が棒軸234に接することにより、雌ねじ部242が雄ねじ235と螺合する。
化粧材繰出容器201が組み立てられた状態では、雌ねじ片240の後端面243bが中継部材210bの段部219bに接するように雌ねじ片240が段部219bに載置され、雌ねじ片240の前端面243aが先端部材210aの後端面217aに摺動可能に接する。これにより、雌ねじ片240は軸方向に拘束される。
また、化粧材繰出容器201が組み立てられた状態では、雌ねじ片240の周方向の端面243c,243bが中継部材210bの段部219d,219eに接する。これにより、雌ねじ片240は、中継部材210bに対して周方向に拘束され、中継部材210bと先端部材210a(すなわち先筒210)と同期して回転する。
押棒230が基筒220と同期して回転し雌ねじ片240が先筒210と同期して回転するので、先筒210と基筒220とを相対回転させると、押棒230と雌ねじ片240とが相対回転する。雌ねじ片240が中継部材210bの段部219bと先端部材210aの後端面217aとにより軸方向に拘束されるので、雌ねじ部242が雄ねじ235と螺合した状態で押棒230と雌ねじ片240とが相対回転すると、押棒230は、雄ねじ235のリードに従って、先筒210に対して進退する。
押棒230が先筒210に対して前進する(開口211aに近づく方向に移動する)と、化粧材202は押棒230の化粧材保持面231により押され、先端部材210aの開口211aから繰り出される。棒軸234の雄ねじ235の雄ねじ後端部235aが雌ねじ片240の雌ねじ部242を通過したところで、押棒230は停止する(図8参照)。
先筒210と基筒220とを逆方向に相対回転させると、押棒230が先筒210に対して後退する(開口211aから遠ざかる方向に移動する)。第2の実施形態では、化粧材202が押棒230の化粧材保持面231に把持されていないため、押棒230のみが後退し、化粧材202は先端部材210aの内周に繰り戻されない。
図7、図8及び図9に示すように、突壁部215bは、雌ねじ部242に対向する領域に設けられる。また、突壁部215bは、化粧材繰出容器201が組み立てられた状態では、雌ねじ部242とは反対側において棒軸234に接する。そのため、突壁部215bは、螺合解除方向への押棒230の移動を制限する。
螺合解除方向への押棒230の移動が突壁部215bにより制限されるので、雄ねじ235と雌ねじ部242との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒230は先筒210と基筒220との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧材202を化粧材繰出容器201からより確実に繰り出すことができる。
第1の実施形態に係る化粧材繰出容器1(図1等参照)と同様に、突壁部215bは棒軸234に常に接するように形成される必要はなく、雌ねじ部242と雄ねじ235とが完全に螺合している状態では、突壁部215bと棒軸234との間にギャップが形成されていてもよい。
以下、図7から図11を参照して、化粧材繰出容器201の組み立て手順について説明する。
まず、押棒230を中継部材210bに挿入する。具体的には、押棒230の化粧材保持面231を中継部材210bの開口218bに通すことにより、押棒230を中継部材210bに挿入する。
押棒230の化粧材保持面231が中継部材210bの開口211bを抜けたところで、棒軸234の外周に雌ねじ片240を当接させ、指で押さえておく。このとき、雌ねじ片240を、化粧材保持面231よりも下方に組み付けるとともに、雌ねじ片40を雌ねじ片設置部214bに載置する。
次に、先端部材210aを中継部材210bに組み付ける。具体的には、先端部材210aの後端面217aを中継部材210bの開口211bに通しながら溝213aとリブ213bを係合させることにより、先端部材210aの中継部材嵌入部215を中継部材210bに挿入する。これにより、雌ねじ片240は、中継部材210bの段部219bと先端部材210aの後端面217aとに挟まれ、軸方向への移動が拘束される。
その後、Oリング5が環装された基筒220を中継部材210bに装着する。このとき、押棒230の溝238に基筒220のリブ225に挿入する。リブ225と溝238とが係合し、基筒220に対する押棒230の周方向の位置が規定される。
最後に、先筒210と基筒220とを相対回転させて、押棒230の後端面236が基筒220の底面226に接するまで押棒230を後退させる。これにより、化粧材繰出容器201は、繰出下降限状態となる。その後、化粧材202は溶解した状態で先端部材210aの内部に充填され、冷却されて凝固すると、ゲル状になったり棒状になったりする。
以上により、化粧材繰出容器201が完成する。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、押棒230は先筒210と基筒220との相対回転に伴ってより確実に進退するので、化粧材202を化粧材繰出容器201からより確実に繰り出すことができる。
また、中継部材210b(先筒210)の突壁部215bだけで雄ねじ235と雌ねじ部242との螺合の解除を防ぐことができる。そのため、基筒220に制限部を設ける必要がなく、基筒220を高い寸法精度で製作することが要求されず、化粧材繰出容器201を容易に製造することができる。
更に、雌ねじ片240の周方向の位置は、中継部材210bに設けられる段部219d,219eにより規定されるので、雌ねじ片240の端面243c,243dが段部219d,219eに接するだけで、雌ねじ片240は、基筒220に対して先筒210と同期して回転する。したがって、雌ねじ片240を先筒210に容易に組み付けることができる。
(第3の実施形態)
以下、図12から図16を参照して、本発明の第3の実施形態に係る化粧材繰出容器301について説明する。
図12及び図13に示すように、第3の実施形態に係る化粧材繰出容器301では、先筒310は、1部品で構成される。基筒320は、有底筒状に形成される。化粧材302は、開口311から先筒310の内周に充填される。
図14に示すように、先筒310は、貫通孔312を有する略円筒状に形成される。先筒310の一端には、貫通孔312の一端である開口311が形成される。先筒310の他端には開口318が形成される。先筒310の後端部(開口318の周辺)の内周には、環状の嵌合凹部316が形成される。
先筒310の内周には、周方向に半円状に延在する軸方向の段部314が設けられる。段部314は、段部314を境に開口318側に位置する半円状の内周面の半径が開口311側に位置する半円状の内周面の半径よりも大きくなるように形成される。後述する雌ねじ片340は、化粧材繰出容器301が組み立てられた状態では、段部314に接する。つまり、段部314よりも開口318側には、雌ねじ片設置部314aが形成される。
また、先筒310の内周には、周方向に半円状に延在する軸方向の段部313が設けられる。段部313は、段部314よりも開口318側に設けられる。段部313は、段部314に対して周方向に180度ずれている。段部313の周方向端部から段部314の周方向端部に渡って、軸方向に延在する周方向の段部315a,315bが設けられる。
図12、図15及び図16に示すように、基筒320は、摘部320aと、先筒310の内周に嵌入される先筒嵌入部320bと、を有する。摘部320aは、一端に底面326を有する有底円筒状に形成され、先筒嵌入部320bは、略円筒状に、摘部320aと同軸に形成される。
先筒嵌入部320bの外周には、環状の嵌合凸部324と環状のOリング溝323とが設けられる。嵌合凸部324は、先筒310の嵌合凹部316と嵌合する。Oリング溝323にはOリング5が挿入される。
基筒320の内周にはリブ325が設けられる。基筒320のリブ325と、押棒330の大径部337に設けられる溝338とが係合することにより、基筒220に対する押棒230の周方向の位置が規定され、押棒330は基筒320と同期して回転する。
棒軸334の外周には雄ねじ335が設けられる。雌ねじ片240は断面が半円状に形成される。雌ねじ片240の内周の一部には、雄ねじ335のリードと同一のリードの雌ねじ部242が形成される。
化粧材繰出容器301が組み立てられた状態では、基筒320の前端面322は、先筒310の段部313に摺動可能に接するとともに、雌ねじ片240の後端面243bに摺動可能に接する。また、先筒310の段部314が雌ねじ片240の前端面243aに接する。これにより、雌ねじ片240は軸方向に拘束される。
また、化粧材繰出容器301が組み立てられた状態では、雌ねじ片240の周方向の端面243c,243dが先筒310の段部315a,315bに接する。これにより、雌ねじ片340は、先筒310に対して周方向に拘束され、先筒310と同期して回転する。
図12及び図14に示すように、雌ねじ部242に対向する領域に位置する先筒310の壁部315は、化粧材繰出容器301が組み立てられた状態では、雌ねじ部242とは反対側において棒軸334に接する。つまり、壁部315は、螺合解除方向への押棒330の移動を制限する。
螺合解除方向への押棒330の移動が壁部315により制限されるので、雄ねじ335と雌ねじ部242との螺合が弱まりにくい。したがって、押棒330は先筒310と基筒320との相対回転に伴ってより確実に進退し、化粧材302を化粧材繰出容器301からより確実に繰り出すことができる。
第1の実施形態に係る化粧材繰出容器1(図1等参照)と同様に、壁部315は棒軸334に常に接するように形成される必要はなく、雌ねじ部242と雄ねじ335とが完全に螺合している状態では、壁部315と棒軸334との間にギャップが形成されていてもよい。
以下、図12から図16を参照して、化粧材繰出容器301の組み立て手順について説明する。
まず、押棒330の棒軸334の外周に、雌ねじ片240を当接させ、指で押さえておく。このとき、雌ねじ片240を、化粧材保持面331よりも下方に組み付ける。
次に、指によって雌ねじ片240が当接された押棒330を先筒310に挿入する。このとき、雌ねじ片240を雌ねじ片設置部314aに載置する。雌ねじ片240の端面243c,243dが先筒310の段部315a,315bに接することにより、雌ねじ片240は周方向に拘束される。
その後、Oリング5が環装された基筒320を先筒310に装着する。このとき、押棒330の溝338に基筒320のリブ325が係合するように挿入する。リブ325と溝338とが係合し、基筒320に対する押棒330の周方向の位置が規定される。先筒310への基筒320の装着により、雌ねじ片240は、先筒310の段部314と基筒320の前端面322とに挟まれ、軸方向への移動が拘束される。
最後に、先筒310と基筒320とを相対回転させて、押棒330の後端面336が基筒320の底面326に接するまで押棒330を後退させる。これにより、化粧材繰出容器301は、繰出下降限状態となる。その後、化粧材302は、溶解した状態で先筒310の内部に充填され、冷却されて凝固すると、ゲル状になったり棒状になったりする。
以上により、化粧材繰出容器301が完成する。
以上の第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様に、押棒330は先筒310と基筒320との相対回転に伴ってより確実に進退するので、化粧材302を化粧材繰出容器301からより確実に繰り出すことができる。
また、先筒310の壁部315だけで雄ねじ335と雌ねじ部242との螺合の解除を防ぐことができる。そのため、基筒320に制限部を設ける必要がなく、基筒320を高い寸法精度で製作することが要求されず、化粧材繰出容器301を容易に製造することができる。
更に、雌ねじ片240の周方向の位置は、先筒310に設けられる段部315a,315bにより規定されるので、雌ねじ片240の端面243c,243dが段部315a,315bに接するだけで、雌ねじ片240は、基筒320に対して先筒310と同期して回転する。したがって、雌ねじ片240を先筒310に容易に組み付けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。