JP5999683B2 - 高温特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極、この正極を具備するリチウムイオン二次電池及びこの二次電池を用いた電気機器 - Google Patents
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Description
特に近年では、電動自動車、電動二輪車、電気自動車等の車両用電源としての利用が拡大している。このような車両用電源にも使用される二次電池には、高エネルギー密度化のみならず、幅広い温度域でも動作することができる電池が求められる。
しかし、現行のリチウムイオン二次電池は、−10℃の環境下で充電を行うと負極上にリチウムデンドライトが成長する可能性が高く、80℃の環境下においては十分なサイクル寿命特性が得られなかった。
しかしながら、正極活物質からのLi脱離量を増やすと、正極活物質の結晶構造の破壊や、充電電圧の上昇による有機電解質の酸化分解が起こる虞がある。その結果、サイクル特性の低下が懸念される。
しかしながら、これらの酸化物は絶縁物のため、特に急速充放電時にリチウムイオンの伝導経路及び電子伝達経路が阻害され、電極反応抵抗の増大を招いて、電池容量が低下するという問題がある。
(1)正極活物質と水が接触・反応することで、正極活物質のリチウムが溶け出し、正極容量が低下すること。
(2)充電の際、水系バインダーの酸化分解が起こること。
(3)スラリーを分散させることが困難であること。
等が挙げられ、電池特性として、正極容量とサイクル特性の低下が懸念されるためである。
オーバーコート層は、厚み0.1〜10μmであることが好ましい。
これにより、本発明の上記効果をより発揮することができ、より高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極とすることができる。
これにより、本発明の上記効果をより発揮することができ、より高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極とすることができる。
また、電極表面のオーバーコート層と併用することにより、効果はより向上する。
これにより、正極の導電性を高めることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、前記組成式1がZrO2であることが好ましい。
これにより、正極活物質のリチウムの溶け出しによる正極活物質容量の低下、及び充電の際の水系バインダーの酸化分解をより効率的に防止することができ、高温特性をさらに向上させることができる。
これにより、正極の高温耐久性が向上するだけでなく、出力特性も改善される。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、活物質は、Mnを含まないことが好ましい。
これにより、正極の高温耐久性が向上する。
本発明のリチウムイオン二次電池によれば、環境負荷の小さい水系バインダーを用いても正極活物質容量を低下させることなく、高温特性に優れるリチウムイオン二次電池とすることができる。
本発明の電気機器によれば、高温特性に優れる電気機器とすることができる。
このうち、Mnを含有しない活物質であることが好ましい。後述する活物質粒子表面に金属酸化物を備えることで、Mnを含有する活物質であっても、電解液中にMnの溶出を抑制することができるが、高温の電解液中であると、Mnの溶出をすることがあり、サイクル特性が悪くなる傾向がある。
本明細書中、「活物質が粒子表面に金属酸化物を備える」とは、金属酸化物が正極の電極表面にオーバーコート層として備えられること、金属酸化物が活物質の粒子表面にコーティングされることにより備えられること、及びその両方が実施されることを含む。
活物質が粒子表面に金属酸化物を備えることにより、水系バインダーを用いる際の懸念である、正極活物質のリチウムの溶け出しによる正極活物質容量の低下、及び充電の際の水系バインダーの酸化分解を防止することができ、高温特性を向上させることができる。
更には、金属酸化物を被覆することで、動作電圧が4Vを超えるような活物質を従来の電解液で使用することができる。即ち、リン酸遷移金属リチウム化合物の遷移金属、例えばNiやCoの2価から4価或いは4価から2価のレドックス電位は非常に高いため、電解液から電子を奪い酸化分解する虞があるが、耐酸化性のリチウム遷移金属酸化物を被覆することで、活物質が直接電解液に触れることを防ぐことができるため、上記効果が奏される。
金属酸化物の電極表面へのコーティング、及び活物質の粒子表面へのコーティングの両方を実施することにより、上記効果はより発揮される。
金属酸化物の平均粒子径は10〜100nmであることが好ましい。平均粒子径が10nm以下であると、金属酸化物の凝集応力が強いため、均一な金属酸化物のコートが難しくなるだけでなく、コート層が剥離しやすいため好ましくない。平均粒子径が100nmを超えると、リチウムイオンの拡散がしにくいため、高率放電特性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
このようなスプレーによるコーティング法は、簡単に行うことができ且つコストの面でも有利である。
電極表面への金属酸化物のコーティングにおいても、同様の方法を用いることができる。
厚みが0.1μm未満であると、十分に正極活物質容量の低下と充電の際の水系バインダーの酸化分解を防止することができないので、好ましくない。厚みが10μmを超えると、電極厚みが増し、電池容量が低下するだけでなく、電池のインピーダンスを向上させるため高率放電特性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
導電助剤は、導電性を有していれば、特に限定されることはないが、炭素粉末が好ましい。炭素粉末としては、通常用いられているもの、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、黒鉛、カーボンファイバー、カーボンチューブ、グラフェン、非晶質炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラッシーカーボン、等の炭素材料を、一種単独で用いてもよいし、または二種以上を併用してもよい。
上記KBやABは、比表面積が50〜4000m2/gのものが好ましい。これらKBやABが50〜3000m2/gであることにより、正極活物質との接触面積を充分に確保して内部抵抗の低減を実現するとともに、正極合剤含有ペーストの調製にあたって必要とされる溶剤の使用量を適正化させ、それによって、正極合剤層の密度を向上させて高容量を達成することができる。また、黒鉛系導電助剤は比表面積が50〜1000m2/gであることが好ましい。すなわち、黒鉛系導電助剤の比表面積が50〜1000m2/gであることによって、それらと正極活物質との接触面積を充分に確保して内部抵抗の低減を実現するとともに、正極合剤含有ペーストの調製にあたって必要とされる溶剤の使用量を適正化させ、それによって、正極合剤層の密度を向上させ、正極の高容量化を達成することができる。
予め、金属酸化物と炭素前躯体との混合物を粒子表面に備え、これを加熱処理法により炭化する方法を採用してもよい。
加熱処理法とは、非酸化性雰囲気(還元雰囲気、不活性雰囲気、減圧雰囲気など酸化されにくい状態)で、600〜4000℃で加熱処理を施して炭素前躯体を炭化させ、導電性を得る方法である。
炭素前躯体は、加熱処理により炭素材料となりえるものであれば、特に制約はない。例えば、グルコース、クエン酸、ピッチ、タール、電極に用いられるバインダー材料等があげられる。
金属酸化物と炭素粉末との合計を100質量%とした場合、炭素粉末は0.5〜20質量%であることが好ましい。
炭素粉末の含有率が0.5質量%未満であると、正極の導電性を十分に向上させることができないので好ましくない。炭素粉末の含有率が20質量%を超えると、水系スラリーの作製の際、カーボンが水を弾くため、均一分散することが難しく、活物質の凝集を招く可能性が高くなる傾向あるため好ましくない。
上記の水系バインダーのうち、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、PIが好適に用いられ、CMCが特に好適に用いられる。CMCをバインダーとして用いると、正極の高温耐久性が向上するだけでなく、出力特性も改善される。
これは、CMCは高温の電解液中で膨潤しないため、電極抵抗の上昇を抑えるとともに、結合力が弱まらないからであると考えられる。
集電体の形状には、特に制約はないが、箔状基材、三次元基材などを用いることができる。ただし、三次元基材(発泡メタル、メッシュ、織布、不織布、エキスパンド等)を用いると、集電体との密着性に欠けるようなバインダーであっても高い容量密度の電極が得られる。加えて、高率充放電特性も良好になる。
なお、箔状の集電体であっても、予め、集電体表面上にプライマー層を形成することで高容量化を図ることができる。プライマー層は、活物質層と集電体との密着性が良好で、且つ導電性を有しているものであればよい。例えば、炭素系導電助剤を混ぜ合わせた結着材を集電体上に0.1μm〜50μmの厚みで塗布することでプライマー層を形成できる。
プライマー層用の導電助剤は、炭素粉末が好ましい。金属系の導電助剤であると、容量密度を上げることは可能だが、入出力特性が悪くなる。導電助剤が炭素系であればCMCを用いて容量密度を上げることが可能であり、且つ入出力特性がよくなる。炭素系導電助剤としては、KB、AB、VGCF、グラファイト、グラフェン、カーボンチューブ等が挙げられ、これらの一種を用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。このうち、導電性とコストの観点から、KBまたはABが好ましい。
結着剤は、炭素系導電助剤を結着できるものであれば、その種類は問わない。ただし、PVA、CMC、アルギン酸ナトリウム等の水系バインダーを用いてプライマー層を形成すると、活物質層を形成する際に、プライマー層が溶け、効果が顕著に発揮されないことが多い。そのため、このような水系バインダーを用いる際は、予めプライマー層を架橋するとよい。架橋材としては、ジルコニア化合物、ホウ素化合物、チタン化合物などが挙げられ、プライマー層用スラリー形成時にバインダー量に対して0.1〜20質量%添加するとよい。
このようにして作製されたプライマー層は、箔状の集電体で、CMCを用いて容量密度を上げることが可能なだけでなく、高い電流で充放電を行っても、分極が小さくなり高率充放電特性が良好になる。
なお、プライマー層は箔状の集電体だけに効果があるのではなく、三次元基材でも同様の効果がある。
Li、Na、C、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、W、Pb及びBiよりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の元素、これらの元素を用いた合金、酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物であればよい。
これらのなかでも、放電プラトーの領域が0〜1V(対リチウム電位)の範囲内に観測できる観点から、Li、C、Mg、Al、Si、Ti、Zn、Ge、Ag、Cu、In、Sn及びPbよりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の元素、これらの元素を用いた合金又は酸化物が好ましい。さらにエネルギー密度の観点から、元素としては、Al、Si、Zn、Ge、Ag、Sn等が好ましく、合金としては、Si−Al、Al−Zn、Si−Mg、Al−Ge、Si−Ge、Si−Ag、Zn−Sn、Ge−Ag、Ge−Sn、Ge−Sb、Ag−Sn、Ag−Ge、Sn−Sb等の各組み合わせ等が好ましく、酸化物としては、SiO、SnO、SnO2、CuO、Li4Ti5O12等が好ましい。
このうち、Si系材料を用いることで、エネルギー密度だけでなく、高温特性を向上させることができるので、より好ましい。ただし、多くのSi系材料は充放電に伴う体積変化が激しいため、サイクル特性が十分に発揮されない。そのため、初期の充電でリチウムイオン導電性を有する固体電解質と、リチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料と分解するSiOを用いることが好ましい。
なお、これらのリチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料は、2種以上使用しても何ら問題ない。
また、本発明のリチウム二次電池の電解質は、固体電解質やイオン性液体であっても構わない。
上述の構造のリチウム二次電池によれば、高温特性に優れるリチウム二次電池として機能することができる。
リチウム二次電池の構造としては、特に限定されないが、積層式電池、捲回式電池などの既存の電池形態・構造に適用できる。
本発明の正極を具備したリチウム二次電池は、安全性が良好であることから、様々な電気機器(電気を使用する乗り物を含む)の電源として利用することができる。
電気機器としては、例えば、エアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、冷房機器、ノートパソコン、パソコンキーボード、パソコン用ディスプレイ、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン、CRTモニター、パソコンラック、プリンター、一体型パソコン、マウス、ハードディスク、パソコン周辺機器、アイロン、衣類乾燥機、ウインドウファン、トランシーバー、送風機、換気扇、テレビ、音楽レコーダー、音楽プレーヤー、オーブン、レンジ、洗浄機能付便座、温風ヒーター、カーコンポ、カーナビ、懐中電灯、加湿器、携帯カラオケ機、換気扇、乾燥機、乾電池、空気清浄器、携帯電話、非常用電灯、ゲーム機、血圧計、コーヒーミル、コーヒーメーカー、こたつ、コピー機、ディスクチェンジャー、ラジオ、シェーバー、ジューサー、シュレッダー、浄水器、照明器具、除湿器、食器乾燥機、炊飯器、ステレオ、ストーブ、スピーカー、ズボンプレッサー、掃除機、体脂肪計、体重計、ヘルスメーター、ムービープレーヤー、電気カーペット、電気釜、炊飯器、電気かみそり、電気スタンド、電気ポット、電子ゲーム機、携帯ゲーム機、電子辞書、電子手帳、電子レンジ、電磁調理器、電卓、電動カート、電動車椅子、電動工具、電動歯ブラシ、あんか、散髪器具、電話機、時計、インターホン、エアサーキュレーター、電撃殺虫器、複写機、ホットプレート、トースター、ドライヤー、電動ドリル、給湯器、パネルヒーター、粉砕機、はんだごて、ビデオカメラ、ビデオデッキ、ファクシミリ、ファンヒーター、フードプロセッサー、布団乾燥機、ヘッドホン、電気ポット、ホットカーペット、マイク、マッサージ機、豆電球、ミキサー、ミシン、もちつき機、床暖房パネル、ランタン、リモコン、冷温庫、冷水器、冷凍ストッカー、冷風器、ワープロ、泡だて器、電子楽器、オートバイ、おもちゃ類、芝刈り機、うき、自転車、自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道、船、飛行機、非常用蓄電池などが挙げられる。
正極活物質:リン酸鉄リチウム(LFP)90質量%、CMCバインダー4質量%、AB6質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。この正極にZrO2微粒子を5重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、電極表面に厚み0.5μmのZrO2のオーバーコート層を形成した。
負極として、SiO負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター(商品名「アドバンテックGA−100」、厚み0.44mm、空隙率90%を圧縮して、厚み0.35mm、空隙率88%としたもの)、電解液として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてリチウム−ニッケル−マンガン複合酸化物(LNMO(5V級マンガン系))を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LNCAO)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LNCMO)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてLi過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(Li rich NCM)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質:コバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)90質量%、CMCバインダー4質量%、AB6質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。この正極にZrO2微粒子を1重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、電極表面に厚み0.5μmのZrO2のオーバーコート層を形成した。
負極として、SiO負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
コーティング液のZrO2濃度を2重量%としたこと以外は参考例7と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
コーティング液のZrO2濃度を5重量%としたこと以外は参考例7と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LNCMO)を用いたこと以外は参考例7と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
コーティング液のZrO2濃度を2重量%としたこと以外は参考例10と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
コーティング液のZrO2濃度を5重量%としたこと以外は参考例10と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質:リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LNCAO)90質量%、CMCバインダー4質量%、AB6質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。ZrO2微粒子を5重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、電極表面に厚み0.5μmのZrO2のオーバーコート層を形成した。
負極として、SiO負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質:リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LNCAO)にZrO2微粒子を5重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、活物質粒子表面に厚み0.5μmのZrO2のオーバーコート層を形成した。
次いで、参考例13と同様の方法により、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質:リン酸鉄リチウム(LFP)90質量%、PVdFバインダー5質量%、AB5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。負極として、グラファイト負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてリチウム−ニッケル−マンガン複合酸化物(LNMO(5V級マンガン系))を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LNCMO)を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてLi過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(Li rich NCM)を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
正極活物質としてマンガン酸リチウム複合酸化物(LMO)を用いたこと以外は比較例6と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例3と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例4と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例5と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
実施例1、参考例1〜13、比較例1〜10のコインセルについて、それぞれ80℃環境下で充放電電流値0.1−1CAで100サイクルまで試験を行った。
容量維持率とは、各サイクルにおける放電容量と1サイクル目の放電容量との比である。
比較例1−5のコインセルは、100サイクル目にはいずれも容量維持率が40%以下となっており、高温下において容量が顕著に減少している。
これは、高温下、正極ではバインダーの膨張、負極では固体電解質界面(SEI)皮膜成長によりインピーダンスが増加することによると考えられる。
図1と図2を比較すると、負極をグラファイト負極からSiO負極に換えたことにより、活物質がLFP、LNCMOである場合には、高温特性がわずかに向上したことがわかる。
図2と図3を比較すると、バインダーとしてCMC(水系バインダー)を用い、さらに正極の電極表面をZrO2でコーティングすることにより、活物質がLNMOである場合にはあまり効果がなかったが、それ以外については高温特性が顕著に向上したことがわかる。
図4及び図5から、電極表面のコーティング液中のZrO2濃度が高くなるほど、高温下における寿命は改善されたことがわかる。また、濃度が20重量%以上でも実施したが、電極作製中に集電体から活物質層が剥離した。
図6から、正極の電極表面にZrO2をコーティングし、さらに予め活物質粒子表面にもZrO2をコーティングしておくことにより、高温特性はさらに向上したことがわかる。
Claims (8)
- ZrO 2 を粒子表面に備える活物質と
水系バインダーからなる電極であって、
前記電極はZrO 2 がさらにオーバーコート層として備えられることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。 - 前記オーバーコート層が、厚み0.1〜10μmである請求項1記載のリチウムイオン二次電池用正極。
- 前記活物質の粒子表面はZrO 2 と炭素粉末との混合物を表面に備え、
ZrO2と炭素粉末との合計を100質量%とした場合、炭素粉末は0.5〜20質量%である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。 - ZrO 2 が、平均粒子径10〜100nmである請求項1乃至3いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
- 前記水系バインダーが、CMCである請求項1乃至4いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
- 前記活物質が、Mnを含まない材料である請求項1乃至5いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
- 請求項1乃至6いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極を具備するリチウムイオン二次電池。
- 請求項7記載のリチウムイオン二次電池を用いた電気機器。
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