JP5999683B2 - 高温特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極、この正極を具備するリチウムイオン二次電池及びこの二次電池を用いた電気機器 - Google Patents

高温特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極、この正極を具備するリチウムイオン二次電池及びこの二次電池を用いた電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、高温特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極、この正極を具備するリチウムイオン二次電池及びこの二次電池を用いた電気機器に関する。
近年、ノートパソコン、スマートフォン、携帯ゲーム機器、PDA等の携帯電子機器の普及に伴い、これらの機器をより軽量化し、且つ、長時間の使用を可能とするため、電源として使用される二次電池の小型化及び高エネルギー密度化が要求されている。
特に近年では、電動自動車、電動二輪車、電気自動車等の車両用電源としての利用が拡大している。このような車両用電源にも使用される二次電池には、高エネルギー密度化のみならず、幅広い温度域でも動作することができる電池が求められる。
二次電池としては、従来、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等が主流であったが、上記した小型化及び高エネルギー密度化の要請から、リチウムイオン二次電池の使用が増大する傾向にある。
しかし、現行のリチウムイオン二次電池は、−10℃の環境下で充電を行うと負極上にリチウムデンドライトが成長する可能性が高く、80℃の環境下においては十分なサイクル寿命特性が得られなかった。
一般的にリチウムイオン二次電池では、正極としてコバルト酸リチウム(LiCoO)、負極としてカーボン電極、電解質としてプロピレンカーボネート等の有機溶媒にリチウムイオンを溶解させた非水電解液が使用されている。他の正極としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)等のリチウムイオンを含む遷移金属酸化物が知られている。
このような正極活物質では、リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離反応によって、正極活物質の容量と安定性が決められる。正極活物質からのLi脱離量を増やすと、容量が増加する。Liを多く引き抜くことは、充電電圧を上昇させることにもつながる。
しかしながら、正極活物質からのLi脱離量を増やすと、正極活物質の結晶構造の破壊や、充電電圧の上昇による有機電解質の酸化分解が起こる虞がある。その結果、サイクル特性の低下が懸念される。
サイクル特性を改善するために、Al、ZrO、TiO、SiO、AlPO等の酸化物で正極活物質を被覆する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、これらの酸化物は絶縁物のため、特に急速充放電時にリチウムイオンの伝導経路及び電子伝達経路が阻害され、電極反応抵抗の増大を招いて、電池容量が低下するという問題がある。
リチウムイオン二次電池の電極は、活物質、バインダー、導電助剤を集電体に塗工・乾燥することで得られる。
例えば、正極は、活物質としてLiCoO、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電助剤としてカーボンブラックを分散させたスラリーをアルミ箔集電体上に塗工・乾燥することで得られる。しかし、PVdFは、水に溶解又は分散することがないため、有機溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が必要となり、環境負荷の面で課題を有する。
一方、負極においては、活物質としてグラファイト、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)、導電助剤としてカーボンブラックを分散させたスラリーを銅箔集電体上に塗工・乾燥することで得られる。CMCとSBRは、水に溶解又は分散するため、安価で環境負荷が少ない。
正極が負極のように、水系バインダーを用いることを困難とする理由としては、
(1)正極活物質と水が接触・反応することで、正極活物質のリチウムが溶け出し、正極容量が低下すること。
(2)充電の際、水系バインダーの酸化分解が起こること。
(3)スラリーを分散させることが困難であること。
等が挙げられ、電池特性として、正極容量とサイクル特性の低下が懸念されるためである。
電池材料系における活物質は、単に既存物質の新しい組合せを示しただけでは、良好な電池特性を発揮しないことが多く、予測可能性がない。このため、電池材料系の評価は、例え既存物質であっても、電池として評価し、その有用性を結果から証明することが必要とされる。言い換えれば、物質自身が既存であっても、これまでに電池として評価が成されていなければ、電池材料系においては未知物質であるといえる。更に、電池とは、システムで動作しなければ無意味であるため、いかに有用な活物質であっても、バインダー、導電助剤、集電体との相性も十分に考慮する必要があるだけでなく、その対極や電解液等も重要である。
特開2003/7299号公報
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、水系バインダーを用いても正極活物質容量を低下させることなく、高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極、この正極を具備するリチウムイオン二次電池及びこの二次電池を用いた電気機器を提供することにある。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、組成式1で表される化合物を粒子表面に備える活物質と、水系バインダーとを用いたリチウムイオン二次電池用正極であって、組成式1はLiαβγ(式中、Mは、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ag、Ta、W、Irからなる群から選択される一種又は二種以上の金属元素であり、0≦α≦6、1≦β≦5、0<γ≦12である。)である。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極によれば、水系バインダーを用いるので環境負荷の小さいリチウムイオン二次電池用正極とすることができ、また組成式1で表される化合物を粒子表面に備える活物質を用いることにより、水系バインダーを用いても、正極活物質のリチウムが溶け出し正極活物質容量が低下することがなく、充電の際、水系バインダーの酸化分解が起こることを防止でき、高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、前記組成式1で表される化合物を、電極表面のオーバーコート層として備えることができる。
オーバーコート層は、厚み0.1〜10μmであることが好ましい。
これにより、本発明の上記効果をより発揮することができ、より高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、前記組成式1で表される化合物を、活物質の粒子表面にコーティングすることにより備えることができる。
これにより、本発明の上記効果をより発揮することができ、より高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極とすることができる。
また、電極表面のオーバーコート層と併用することにより、効果はより向上する。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、前記組成式1で表される化合物が、炭素粉末との混合物として前記活物質の粒子表面に備えられ、前記組成式1で表される化合物と炭素粉末との合計を100質量%とした場合、炭素粉末は0.5〜20質量%であることが好ましい。
これにより、正極の導電性を高めることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、前記組成式1で表される化合物は、平均粒子径10〜100nmであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、前記組成式1がZrOであることが好ましい。
これにより、正極活物質のリチウムの溶け出しによる正極活物質容量の低下、及び充電の際の水系バインダーの酸化分解をより効率的に防止することができ、高温特性をさらに向上させることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、水系バインダーは、CMCであることが好ましい。
これにより、正極の高温耐久性が向上するだけでなく、出力特性も改善される。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極において、活物質は、Mnを含まないことが好ましい。
これにより、正極の高温耐久性が向上する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記リチウムイオン二次電池用正極を具備する。
本発明のリチウムイオン二次電池によれば、環境負荷の小さい水系バインダーを用いても正極活物質容量を低下させることなく、高温特性に優れるリチウムイオン二次電池とすることができる。
本発明の電気機器は、上記リチウムイオン二次電池を用いる。
本発明の電気機器によれば、高温特性に優れる電気機器とすることができる。
本発明によれば、環境負荷の小さい水系バインダーを用いても、正極活物質容量を低下させることなく、高温特性に優れるリチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池及び電気機器を提供することができる。そのため、本発明に係るリチウム二次電池は、従来のリチウム二次電池と比べて高温耐久性が向上し、電池の高機能化と低コスト化を両立させることが可能となり、利用用途を拡大することが可能となる。
比較例1−5のコインセルの放電曲線である。 比較例6−10のコインセルの放電曲線である。 参考例1−6のコインセルの放電曲線である。 参考例7−9のコインセルの放電曲線である。 参考例10−12のコインセルの放電曲線である。 参考例13,実施例のコインセルの放電曲線である。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用正極、この正極を具備するリチウムイオン二次電池及びこの二次電池を用いた電気機器について説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、下記組成式1で表される化合物を粒子表面に備える活物質と、水系バインダーとを用いたリチウムイオン二次電池用正極であって、組成式1はLiαβγで表される。式中、Mは、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ag、Ta、W、Irからなる群から選択される一種又は二種以上の金属元素であり、0≦α≦6、1≦β≦5、0<γ≦12である。
活物質としては、本技術分野で使用される正極活物質が使用できる。例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO;以降、LFPと表記する場合がある)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、コバルト酸リチウム複合酸化物(LiCoO;以降、LCOと表記する場合がある)、スピネル型マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMn;以降、LMOと表記する場合がある)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMnO)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LiNiO)、ニオブ酸リチウム複合酸化物(LiNbO)、鉄酸リチウム複合酸化物(LiFeO)、マグネシウム酸リチウム複合酸化物(LiMgO)、カルシウム酸リチウム複合酸化物(LiCaO)、銅酸リチウム複合酸化物(LiCuO)、亜鉛酸リチウム複合酸化物(LiZnO)、モリブデン酸リチウム複合酸化物(LiMoO)、タンタル酸リチウム複合酸化物(LiTaO)、タングステン酸リチウム複合酸化物(LiWO)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Al1/3;以降、LNCAOと表記する場合がある)、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3;以降、LNCMOと表記する場合がある)、Li過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNiCoMn固溶体;以降、Li rich NCMと表記する場合がある)、酸化マンガン(MnO)、バナジウム系、硫黄系、シリケート系等が好適に使用される。
このうち、Mnを含有しない活物質であることが好ましい。後述する活物質粒子表面に金属酸化物を備えることで、Mnを含有する活物質であっても、電解液中にMnの溶出を抑制することができるが、高温の電解液中であると、Mnの溶出をすることがあり、サイクル特性が悪くなる傾向がある。
活物質は、粒子表面に上記組成式1で表される化合物(以下、金属酸化物という)を備える。
本明細書中、「活物質が粒子表面に金属酸化物を備える」とは、金属酸化物が正極の電極表面にオーバーコート層として備えられること、金属酸化物が活物質の粒子表面にコーティングされることにより備えられること、及びその両方が実施されることを含む。
活物質が粒子表面に金属酸化物を備えることにより、水系バインダーを用いる際の懸念である、正極活物質のリチウムの溶け出しによる正極活物質容量の低下、及び充電の際の水系バインダーの酸化分解を防止することができ、高温特性を向上させることができる。
更には、金属酸化物を被覆することで、動作電圧が4Vを超えるような活物質を従来の電解液で使用することができる。即ち、リン酸遷移金属リチウム化合物の遷移金属、例えばNiやCoの2価から4価或いは4価から2価のレドックス電位は非常に高いため、電解液から電子を奪い酸化分解する虞があるが、耐酸化性のリチウム遷移金属酸化物を被覆することで、活物質が直接電解液に触れることを防ぐことができるため、上記効果が奏される。
金属酸化物の電極表面へのコーティング、及び活物質の粒子表面へのコーティングの両方を実施することにより、上記効果はより発揮される。
金属酸化物としては、上記組成式1で表される化合物のうち、ZrOが好適に用いられる。
金属酸化物の平均粒子径は10〜100nmであることが好ましい。平均粒子径が10nm以下であると、金属酸化物の凝集応力が強いため、均一な金属酸化物のコートが難しくなるだけでなく、コート層が剥離しやすいため好ましくない。平均粒子径が100nmを超えると、リチウムイオンの拡散がしにくいため、高率放電特性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
金属酸化物を活物質の粒子表面にコーティングする方法としては、特に限定されるものではなく、金属酸化物を含む所定量のコーティング液に所定量の活物質粉末を添加した後、混合する浸漬法等の従来行われている方法を用いることができるが、より簡便な方法としては、金属酸化物微粒子をスプレーで活物質に吹きかけることにより、活物質粒子表面に金属酸化物をコーティングすることができる。
このようなスプレーによるコーティング法は、簡単に行うことができ且つコストの面でも有利である。
電極表面への金属酸化物のコーティングにおいても、同様の方法を用いることができる。
金属酸化物が正極の電極表面にオーバーコート層として備えられる場合、電極表面の金属酸化物のオーバーコート層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましい。
厚みが0.1μm未満であると、十分に正極活物質容量の低下と充電の際の水系バインダーの酸化分解を防止することができないので、好ましくない。厚みが10μmを超えると、電極厚みが増し、電池容量が低下するだけでなく、電池のインピーダンスを向上させるため高率放電特性が悪くなる傾向があるため好ましくない。
活物質は、金属酸化物と導電助剤との混合物を粒子表面に備えることができる。
導電助剤は、導電性を有していれば、特に限定されることはないが、炭素粉末が好ましい。炭素粉末としては、通常用いられているもの、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、黒鉛、カーボンファイバー、カーボンチューブ、グラフェン、非晶質炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラッシーカーボン、等の炭素材料を、一種単独で用いてもよいし、または二種以上を併用してもよい。
上記KBやABは、比表面積が50〜4000m/gのものが好ましい。これらKBやABが50〜3000m/gであることにより、正極活物質との接触面積を充分に確保して内部抵抗の低減を実現するとともに、正極合剤含有ペーストの調製にあたって必要とされる溶剤の使用量を適正化させ、それによって、正極合剤層の密度を向上させて高容量を達成することができる。また、黒鉛系導電助剤は比表面積が50〜1000m/gであることが好ましい。すなわち、黒鉛系導電助剤の比表面積が50〜1000m/gであることによって、それらと正極活物質との接触面積を充分に確保して内部抵抗の低減を実現するとともに、正極合剤含有ペーストの調製にあたって必要とされる溶剤の使用量を適正化させ、それによって、正極合剤層の密度を向上させ、正極の高容量化を達成することができる。
予め、金属酸化物と炭素前躯体との混合物を粒子表面に備え、これを加熱処理法により炭化する方法を採用してもよい。
加熱処理法とは、非酸化性雰囲気(還元雰囲気、不活性雰囲気、減圧雰囲気など酸化されにくい状態)で、600〜4000℃で加熱処理を施して炭素前躯体を炭化させ、導電性を得る方法である。
炭素前躯体は、加熱処理により炭素材料となりえるものであれば、特に制約はない。例えば、グルコース、クエン酸、ピッチ、タール、電極に用いられるバインダー材料等があげられる。
金属酸化物と炭素粉末との合計を100質量%とした場合、炭素粉末は0.5〜20質量%であることが好ましい。
炭素粉末の含有率が0.5質量%未満であると、正極の導電性を十分に向上させることができないので好ましくない。炭素粉末の含有率が20質量%を超えると、水系スラリーの作製の際、カーボンが水を弾くため、均一分散することが難しく、活物質の凝集を招く可能性が高くなる傾向あるため好ましくない。
バインダーの材料としては、水系バインダーが用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride;PVDF)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸共重合体(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の材料を一種単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
通常、正極用のバインダーに水系バインダーを用いると、出発材料のリチウムが水に溶けるため、リチウムイオン電池では、実用量の低下を招くとされるが、本発明では、活物質が金属酸化物を粒子表面に備える正極材料を用いるため、水系バインダーを採用しても実用量の低下という問題が生じることはない。
上記の水系バインダーのうち、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、PIが好適に用いられ、CMCが特に好適に用いられる。CMCをバインダーとして用いると、正極の高温耐久性が向上するだけでなく、出力特性も改善される。
これは、CMCは高温の電解液中で膨潤しないため、電極抵抗の上昇を抑えるとともに、結合力が弱まらないからであると考えられる。
集電体は、電子伝導性を有し、保持した正極材料に通電し得る材料であれば特に限定されない。例えば、C、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al等の導電性物質、これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、集電体としてはC、Al、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からAl等が好ましい。
集電体の形状には、特に制約はないが、箔状基材、三次元基材などを用いることができる。ただし、三次元基材(発泡メタル、メッシュ、織布、不織布、エキスパンド等)を用いると、集電体との密着性に欠けるようなバインダーであっても高い容量密度の電極が得られる。加えて、高率充放電特性も良好になる。
なお、箔状の集電体であっても、予め、集電体表面上にプライマー層を形成することで高容量化を図ることができる。プライマー層は、活物質層と集電体との密着性が良好で、且つ導電性を有しているものであればよい。例えば、炭素系導電助剤を混ぜ合わせた結着材を集電体上に0.1μm〜50μmの厚みで塗布することでプライマー層を形成できる。
プライマー層用の導電助剤は、炭素粉末が好ましい。金属系の導電助剤であると、容量密度を上げることは可能だが、入出力特性が悪くなる。導電助剤が炭素系であればCMCを用いて容量密度を上げることが可能であり、且つ入出力特性がよくなる。炭素系導電助剤としては、KB、AB、VGCF、グラファイト、グラフェン、カーボンチューブ等が挙げられ、これらの一種を用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。このうち、導電性とコストの観点から、KBまたはABが好ましい。
結着剤は、炭素系導電助剤を結着できるものであれば、その種類は問わない。ただし、PVA、CMC、アルギン酸ナトリウム等の水系バインダーを用いてプライマー層を形成すると、活物質層を形成する際に、プライマー層が溶け、効果が顕著に発揮されないことが多い。そのため、このような水系バインダーを用いる際は、予めプライマー層を架橋するとよい。架橋材としては、ジルコニア化合物、ホウ素化合物、チタン化合物などが挙げられ、プライマー層用スラリー形成時にバインダー量に対して0.1〜20質量%添加するとよい。
このようにして作製されたプライマー層は、箔状の集電体で、CMCを用いて容量密度を上げることが可能なだけでなく、高い電流で充放電を行っても、分極が小さくなり高率充放電特性が良好になる。
なお、プライマー層は箔状の集電体だけに効果があるのではなく、三次元基材でも同様の効果がある。
正極活物質に、導電助剤、水系バインダー、水を加えてペースト状として、これを集電体に塗布することによって正極を作製することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、正極活物質100質量部に対して、0.5〜20質量%程度とすることができる。また、水系バインダーの使用量についても、特に限定的ではないが、例えば、正極活物質100質量部に対して、0.5〜30質量%程度とすることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極を用い、本発明のリチウムイオン二次電池とすることができる。
負極としては、リチウムイオン二次電池で用いられる材料を用いることができる。例えば、
Li、Na、C、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、W、Pb及びBiよりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の元素、これらの元素を用いた合金、酸化物、カルコゲン化物又はハロゲン化物であればよい。
これらのなかでも、放電プラトーの領域が0〜1V(対リチウム電位)の範囲内に観測できる観点から、Li、C、Mg、Al、Si、Ti、Zn、Ge、Ag、Cu、In、Sn及びPbよりなる群から選ばれた少なくとも一種以上の元素、これらの元素を用いた合金又は酸化物が好ましい。さらにエネルギー密度の観点から、元素としては、Al、Si、Zn、Ge、Ag、Sn等が好ましく、合金としては、Si−Al、Al−Zn、Si−Mg、Al−Ge、Si−Ge、Si−Ag、Zn−Sn、Ge−Ag、Ge−Sn、Ge−Sb、Ag−Sn、Ag−Ge、Sn−Sb等の各組み合わせ等が好ましく、酸化物としては、SiO、SnO、SnO、CuO、LiTi12等が好ましい。
このうち、Si系材料を用いることで、エネルギー密度だけでなく、高温特性を向上させることができるので、より好ましい。ただし、多くのSi系材料は充放電に伴う体積変化が激しいため、サイクル特性が十分に発揮されない。そのため、初期の充電でリチウムイオン導電性を有する固体電解質と、リチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料と分解するSiOを用いることが好ましい。
なお、これらのリチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料は、2種以上使用しても何ら問題ない。
また、本発明の正極を用いるリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを含有する必要があることから、電解質塩としてはリチウム塩が好ましい。このリチウム塩としては特に制限されないが、具体例としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウムなどを挙げることができる。これらのリチウム塩は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。上記のリチウム塩は、電気的陰性度が高くイオン化しやすいことから、充放電サイクル特性に優れ、二次電池の充放電容量を向上させることができる。
上記電解質の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等を用いることができ、これらの溶媒を一種単独又は2種以上混合して用いることができる。特に、プロピレンカーボネート単体、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物又はγ−ブチロラクトン単体が好適である。なお、上記エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物の混合比は、一方の成分が10体積%以上90体積%以下となる範囲で任意に調整することができる。
また、本発明のリチウム二次電池の電解質は、固体電解質やイオン性液体であっても構わない。
上述の構造のリチウム二次電池によれば、高温特性に優れるリチウム二次電池として機能することができる。
リチウム二次電池の構造としては、特に限定されないが、積層式電池、捲回式電池などの既存の電池形態・構造に適用できる。
本発明の正極を具備したリチウム二次電池は、安全性が良好であることから、様々な電気機器(電気を使用する乗り物を含む)の電源として利用することができる。
電気機器としては、例えば、エアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、冷房機器、ノートパソコン、パソコンキーボード、パソコン用ディスプレイ、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン、CRTモニター、パソコンラック、プリンター、一体型パソコン、マウス、ハードディスク、パソコン周辺機器、アイロン、衣類乾燥機、ウインドウファン、トランシーバー、送風機、換気扇、テレビ、音楽レコーダー、音楽プレーヤー、オーブン、レンジ、洗浄機能付便座、温風ヒーター、カーコンポ、カーナビ、懐中電灯、加湿器、携帯カラオケ機、換気扇、乾燥機、乾電池、空気清浄器、携帯電話、非常用電灯、ゲーム機、血圧計、コーヒーミル、コーヒーメーカー、こたつ、コピー機、ディスクチェンジャー、ラジオ、シェーバー、ジューサー、シュレッダー、浄水器、照明器具、除湿器、食器乾燥機、炊飯器、ステレオ、ストーブ、スピーカー、ズボンプレッサー、掃除機、体脂肪計、体重計、ヘルスメーター、ムービープレーヤー、電気カーペット、電気釜、炊飯器、電気かみそり、電気スタンド、電気ポット、電子ゲーム機、携帯ゲーム機、電子辞書、電子手帳、電子レンジ、電磁調理器、電卓、電動カート、電動車椅子、電動工具、電動歯ブラシ、あんか、散髪器具、電話機、時計、インターホン、エアサーキュレーター、電撃殺虫器、複写機、ホットプレート、トースター、ドライヤー、電動ドリル、給湯器、パネルヒーター、粉砕機、はんだごて、ビデオカメラ、ビデオデッキ、ファクシミリ、ファンヒーター、フードプロセッサー、布団乾燥機、ヘッドホン、電気ポット、ホットカーペット、マイク、マッサージ機、豆電球、ミキサー、ミシン、もちつき機、床暖房パネル、ランタン、リモコン、冷温庫、冷水器、冷凍ストッカー、冷風器、ワープロ、泡だて器、電子楽器、オートバイ、おもちゃ類、芝刈り機、うき、自転車、自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道、船、飛行機、非常用蓄電池などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
参考例1)
正極活物質:リン酸鉄リチウム(LFP)90質量%、CMCバインダー4質量%、AB6質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。この正極にZrO微粒子を5重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、電極表面に厚み0.5μmのZrOのオーバーコート層を形成した。
負極として、SiO負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター(商品名「アドバンテックGA−100」、厚み0.44mm、空隙率90%を圧縮して、厚み0.35mm、空隙率88%としたもの)、電解液として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
参考例2)
正極活物質としてコバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例3)
正極活物質としてリチウム−ニッケル−マンガン複合酸化物(LNMO(5V級マンガン系))を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例4)
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LNCAO)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例5)
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LNCMO)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例6)
正極活物質としてLi過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(Li rich NCM)を用いたこと以外は参考例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例7)
正極活物質:コバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)90質量%、CMCバインダー4質量%、AB6質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。この正極にZrO微粒子を1重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、電極表面に厚み0.5μmのZrOのオーバーコート層を形成した。
負極として、SiO負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
参考例8)
コーティング液のZrO濃度を2重量%としたこと以外は参考例7と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例9)
コーティング液のZrO濃度を5重量%としたこと以外は参考例7と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例10)
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LNCMO)を用いたこと以外は参考例7と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例11)
コーティング液のZrO濃度を2重量%としたこと以外は参考例10と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例12)
コーティング液のZrO濃度を5重量%としたこと以外は参考例10と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
参考例13)
正極活物質:リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LNCAO)90質量%、CMCバインダー4質量%、AB6質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。ZrO微粒子を5重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、電極表面に厚み0.5μmのZrOのオーバーコート層を形成した。
負極として、SiO負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
(実施例
正極活物質:リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LNCAO)にZrO微粒子を5重量%含むコーティング液をスプレーで吹きかけることにより、活物質粒子表面に厚み0.5μmのZrOのオーバーコート層を形成した。
次いで、参考例13と同様の方法により、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例1)
正極活物質:リン酸鉄リチウム(LFP)90質量%、PVdFバインダー5質量%、AB5質量%を混合してスラリー状の合剤を調製し、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布・乾燥後、ロールプレス機により、アルミニウム箔と塗膜とを密着接合させ、次いで、加熱処理(減圧中、180℃、1時間以上)して正極を作製した。負極として、グラファイト負極を用い、セパレータとしてガラスフィルター、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比1:1で混合した溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解した溶液を具備したコインセル(CR2032)を作製した。
(比較例2)
正極活物質としてコバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例3)
正極活物質としてリチウム−ニッケル−マンガン複合酸化物(LNMO(5V級マンガン系))を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例4)
正極活物質としてリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LNCMO)を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例5)
正極活物質としてLi過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(Li rich NCM)を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例6)
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例1と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例7)
正極活物質としてマンガン酸リチウム複合酸化物(LMO)を用いたこと以外は比較例6と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例8)
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例3と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例9)
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例4と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(比較例10)
負極としてSiO負極を用いたこと以外は比較例5と同じ条件で、コインセル(CR2032)を作製した。
(電池性能試験)
実施例1、参考例1〜13、比較例1〜10のコインセルについて、それぞれ80℃環境下で充放電電流値0.1−1CAで100サイクルまで試験を行った。
図1は、比較例1−5のコインセルの放電曲線である。縦軸は容量維持率(%)、横軸はサイクル数を表している(図2−6も同様)。
容量維持率とは、各サイクルにおける放電容量と1サイクル目の放電容量との比である。
比較例1−5のコインセルは、100サイクル目にはいずれも容量維持率が40%以下となっており、高温下において容量が顕著に減少している。
これは、高温下、正極ではバインダーの膨張、負極では固体電解質界面(SEI)皮膜成長によりインピーダンスが増加することによると考えられる。
図2は、比較例6−10のコインセルの放電曲線である。
図1と図2を比較すると、負極をグラファイト負極からSiO負極に換えたことにより、活物質がLFP、LNCMOである場合には、高温特性がわずかに向上したことがわかる。
図3は、参考例1−6のコインセルの放電曲線である。
図2と図3を比較すると、バインダーとしてCMC(水系バインダー)を用い、さらに正極の電極表面をZrOでコーティングすることにより、活物質がLNMOである場合にはあまり効果がなかったが、それ以外については高温特性が顕著に向上したことがわかる。
図4は、参考例7−9のコインセルの放電曲線、図5は、参考例10−12のコインセルの放電曲線である。
図4及び図5から、電極表面のコーティング液中のZrO濃度が高くなるほど、高温下における寿命は改善されたことがわかる。また、濃度が20重量%以上でも実施したが、電極作製中に集電体から活物質層が剥離した。
図6は、参考例13、実施例のコインセルの放電曲線である。
図6から、正極の電極表面にZrOをコーティングし、さらに予め活物質粒子表面にもZrOをコーティングしておくことにより、高温特性はさらに向上したことがわかる。
本発明によれば、高温耐久性、すなわち、高温時でもサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極を提供することができる。この正極を用いた本発明のリチウムイオン二次電池は、移動体通信機器、携帯用電子機器、電動自転車、電動二輪車、電気自動車等の主電源に好適に利用されるものである。

Claims (8)

  1. ZrO を粒子表面に備える活物質と
    水系バインダーからなる電極であって、
    前記電極はZrO がさらにオーバーコート層として備えられることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 前記オーバーコート層が、厚み0.1〜10μmである請求項1記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 前記活物質の粒子表面はZrO と炭素粉末との混合物を表面に備え、
    ZrOと炭素粉末との合計を100質量%とした場合、炭素粉末は0.5〜20質量%である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. ZrO が、平均粒子径10〜100nmである請求項1乃至3いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 前記水系バインダーが、CMCである請求項1乃至4いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 前記活物質が、Mnを含まない材料である請求項1乃至5いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 請求項1乃至6いずれか一つに記載のリチウムイオン二次電池用正極を具備するリチウムイオン二次電池。
  8. 請求項7記載のリチウムイオン二次電池を用いた電気機器。
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