JP5999335B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、例えばエンジンの冷間始動直後のように排気系に存在する熱エネルギが少ないような場合には、酸化触媒やNOxトラップ触媒の触媒上或いは周辺部で未燃燃料を十分に燃焼させることができず、触媒を活性温度以上に昇温させることができないことがある。
しかしながら、メイン噴射での噴射量は、エンジンの出力トルクに大きく影響を及ぼすため、このようにメイン噴射での燃料噴射量を増量すると、エンジンのトルクが増大し、ドライバビリティが悪化することとなる。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、HC添加ポスト噴射での持ち越し燃料量を把握することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
また、請求項3の内燃機関の燃料噴射制御装置では、請求項2において、更に前記HC添加ポスト噴射量の補正に加え、持ち越し燃料によるトルクの増加を抑制するように前記トルク増加量に基づき、次行程の前記主噴射グループの燃料噴射量を補正するトルク補正手段を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明によれば、更にHC添加ポスト噴射量の補正に加え、持ち越し燃料によるトルクの増加を抑制するように当該HC添加ポスト噴射量に基づき、HC添加ポスト噴射の次行程への持ち越し燃料によるトルク増加量を算出し、当該トルク増加量に基づき持ち越し燃料の影響が表れ易い次行程の主噴射グループの燃料噴射量を補正しているので、持ち越し燃料によるトルク増加量に基づいて主噴射グループの燃料噴射量を補正して、主噴射グループで発生するトルクを減少させ、HC添加ポスト噴射の持ち越し燃料によるトルク増加を抑制させることができる。これにより、HC添加ポスト噴射による排気浄化手段の制御を行い排気浄化を良好に行いつつ、持ち越し燃料でのトルク増加によるドライバビリティや騒音の悪化を防止することができる。
例えば、持ち越し燃料によるトルク補正を行うために主噴射グループの燃料噴射量を補正すると、主噴射グループの燃料噴射量の補正量が持ち越し燃料量よりも多くなることがある。詳しくは、主噴射グループでの噴射時期によってトルクへの寄与率が異なる。したがって、持ち越し燃料によるトルク増加分を主噴射グループ内の噴射時期の遅い噴射で補正すると、トルクへの寄与率が低いことから主噴射グループ内の噴射時期の遅い噴射の補正量を多くする必要がある。よって、主噴射グループ内の噴射時期の遅い噴射の補正量を多くすることで、主噴射グループの燃料噴射量の補正量が持ち越し燃料量よりも多くなることがある。このように、主噴射グループの燃料噴射量の補正量が持ち越し燃料量よりも多くなると、主噴射グループでの燃料噴射量が減少し、筒内での燃料の燃焼量が減って筒内燃焼空燃比がリーンとなる。そして、排気浄化手段をリッチ化するためにHC添加ポスト噴射でのHC添加ポスト噴射量を増加してHC添加量を増加させる。このように、HC添加ポスト噴射でのHC添加ポスト噴射量を増加させると、筒内に付着する燃料が増加し、燃料による潤滑油の希釈、即ちオイルダイリューションが発生することとなる。
図1は、内燃機関の燃料噴射制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。そして、図2は、燃料の噴射時期と筒内圧力の変化の一例を時系列で示す図である。図2上段は、筒内圧力、即ちエンジンのシリンダ内の圧力の変化を、下段が電子コントロールユニットより出力される燃料噴射ノズルの駆動信号の変化、即ち燃料の噴射時期を示している。なお、図2に示すように、プレ噴射、メイン噴射及びアフタ噴射からなる主噴射グループは、噴射により筒内圧力が変化していることからエンジンの出力に寄与している。また、燃焼ポスト噴射及びHC添加ポスト噴射は、噴射を行っても筒内圧力が変化しないことから、エンジンの出力に寄与していない。
エンジン1の各気筒には、上下摺動可能なピストン4が設けられている。そして、当該ピストン4は、コンロッド5を介してクランクシャフト6に連結されている。また、クランクシャフト6の一端部には回転速度を検出するクランク角センサ7と図示しないフライホイールが設けられている。
インテークポート8には、燃焼室3と当該インテークポート8との連通と遮断を行うインテークバルブ10が設けられている。また、エキゾーストポート9には、燃焼室3と当該エキゾーストポート9との連通と遮断とを行うエキゾーストバルブ11が設けられている。
排気管22には、上流から順番に排気中の炭化水素(THC)或いは一酸化炭素(CO)等の被酸化成分を酸化する酸化触媒(排気浄化手段)23と、排気中の窒素酸化物(NOx)を吸蔵還元するNOxトラップ触媒(排気浄化手段)24と、排気中の黒鉛を主成分とする微粒子状物資(PM)を捕集し燃焼させるディーゼルパティキュレートフィルタ(排気浄化手段)25とが連通するように設けられている。
排気管22のNOxトラップ触媒24の下流でありディーゼルパティキュレートフィルタ25の上流には、排気中の酸素比率である酸素濃度を検出するA/Fセンサ27が通路内に突出するように設けられている。
そして、燃料噴射ノズル2、クランク角センサ7、スロットルポジションセンサ17、エアーフローセンサ18、ブーストセンサ19、吸気温度センサ20、排気温度センサ26、A/Fセンサ27及びEGRバルブ29等の各種装置や各種センサ類は、エンジン1の総合的な制御を行うための制御装置であって入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、タイマ及び中央演算処理装置等を含んで構成される電子コントロールユニット(トルク増加量算出手段、燃料量増加量算出手段、持ち越し燃料量算出手段、トルク補正手段)40と電気的に接続されており、当該電子コントロールユニット40は各種センサ類からの各情報に基づき各種装置を作動制御する。
一方、電子コントロールユニット40の出力側には、燃料噴射ノズル2及びEGRバルブ29が電気的に接続されている。
図3は、本発明に係る電子コントロールユニット40が実行する燃料噴射制御のフローチャートである。図4は、HC添加ポスト噴射量とトルク増加量ΔTとの関係を示す図であり、横軸はHC添加ポスト噴射量を、縦軸はトルク増加量ΔTを示す。図5は、トルク増加量とプレ補正量との関係を示す図であり、横軸はトルク増加量ΔTを、縦軸はプレ補正量、詳しくは次行程のプレ噴射での噴射量の補正量を示す。図6は、トルク増加量とメイン補正量との関係を示す図であり、横軸はトルク増加量ΔTを、縦軸はメイン補正量、詳しくは次行程のメイン噴射での噴射量の補正量を示す。また、図4から図6は、それぞれ予め試験等で確認されるものである。図7は、補正後のプレ噴射量での各噴射への配分割合を示す図であり、横軸は補正後プレ噴射量Qpmodを、縦軸は上段がプレ噴射への配分割合ratioを、下段がメイン噴射への配分割合(1-ratio)を示す。図中のプレ噴射量下限Qpminは安定したプレ燃焼を行うことのできる下限のプレ噴射量を、プレ単独補正下限Qpsminはポスト噴射の持ち越し燃料をプレ噴射の期間中に燃えきることのできる下限のプレ噴射量を示す。また、図7は、予め試験にて図8のようなプレ噴射量変化によるプレ噴射及びメイン噴射での熱発生量より設定されるものである。
図3に示すように、ステップS10では、トルク増加量ΔTを算出する。詳しくは、予め試験などでHC添加ポスト噴射量とトルク増加量ΔTとの関係を確認して電子コントロールユニット40に記憶しておき、本ステップにおいて、この電子コントロールユニット40に記憶されているHC添加ポスト噴射量とトルク増加量ΔTとの関係と、現行程のHC添加ポスト噴射量とに基づいて、ポスト噴射量の次行程への持ち越し燃料によるトルク増加量ΔTを算出する。HC添加ポスト噴射量とトルク増加量ΔTとの関係は、例えば図4に示すように、HC添加ポスト噴射量が増加するに従ってトルク増加量ΔTが増加する比例関係となっている。そして、ステップS12に進む。
ステップS16では、プレ噴射への配分割合ratioを1.0と仮定し下記式(1)にプレ噴射への配分割合ratioに1.0を代入して、補正後プレ噴射量Qpmodを算出する。そして、ステップS18に進む。
Qpmod:補正後プレ噴射量
Qp:補正前プレ噴射量
ΔT:HC添加ポスト噴射の持ち越し燃料によるトルク増加量(HC添加ポスト噴射量に基づいて図4を用いて求められる。)
ΔTqp:プレ補正量単位当たりのトルク増加量(図5中の傾きの逆数に相当し、あらかじめ算出される。)
ステップS18では、ステップS16で算出された補正後プレ噴射量Qpmodがプレ単独補正下限Qpsminより多いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で補正後プレ噴射量Qpmodがプレ単独補正下限Qpsminより多ければ、補正後プレ噴射量QpmodでHC添加ポスト噴射の持ち越し燃料をプレ噴射の期間中に燃えきることができる図7(I)の範囲であるとして、ステップS20に進む。判別結果が否(No)で補正後プレ噴射量Qpmodがプレ単独補正下限Qpsmin以下であれば、補正後プレ噴射量QpmodでHC添加ポスト噴射の持ち越し燃料をプレ噴射の期間中に燃えきることのできない、即ちHC添加ポスト噴射の持ち越し燃料をメイン噴射の期間まで持ち越してしまう図7(II)或いは(III)の範囲であるとして、ステップS24に進む。
ステップS22では、HC添加ポスト噴射の持ち越し燃料をプレ噴射の期間中で燃えきることができるとして、補正後メイン噴射量Qmmodを補正前メイン噴射量Qmとする。即ち、メイン噴射量Qmは補正しない。そして、ステップS44に進む。
ratio=Qpmod×α+β・・・・・・・・・・(2)
α:図7の範囲(II)の傾き(定数)
β:図7の範囲(II)の切片(定数)
ステップS26では、ステップS24で算出された補正後プレ噴射量Qpmodがプレ噴射量下限Qpminより多いか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で補正後プレ噴射量Qpmodがプレ噴射量下限Qpminより多ければ、図7(II)の範囲であるとして、ステップS28に進む。判別結果が否(No)で補正後プレ噴射量Qpmodがプレ噴射量下限Qpmin以下であれば、図7(III)の範囲であるとして、ステップS34に進む。
Qmmod=Qm−ΔT×(1-ratio)/ΔTqm・・・・・・・・・・(3)
Qmmod:補正後メイン噴射量
Qm:補正前メイン噴射量
ΔTqm:メイン補正量単位当たりのトルク増加量(図6中の傾きの逆数に相当し、あらかじめ算出される。)
ステップS30では、燃焼ポスト補正量を算出する。詳しくは、補正後プレ噴射量Qpmodと補正前プレ噴射量Qpとの差分と補正後メイン噴射量Qmmodと補正前メイン噴射量Qmとの差分とを加算し、当該加算結果より持ち越し燃料量を減算し燃焼ポスト補正量を算出する。即ち、プレ噴射の補正量及びメイン噴射の補正量から持ち越し燃料量を減算し燃焼ポスト補正量を算出する。そして、ステップS32に進む。
ステップS36では、補正後プレ噴射量Qpmodをプレ噴射量下限Qpminとする。そして、ステップS38に進む。
ratio=(Qp−Qpmod)×ΔTqm/ΔT・・・・・・・・・・(4)
ステップS40では、ステップ30と同様に、燃焼ポスト補正量を算出する。詳しくは、補正後プレ噴射量Qpmodと補正前プレ噴射量Qpとの差分と補正後メイン噴射量Qmmodと補正前メイン噴射量Qmとの差分とを加算し、当該加算結果より持ち越し燃料量を減算し燃焼ポスト補正量を算出する。即ち、プレ噴射の補正量及びメイン噴射の補正量から持ち越し燃料量を減算し燃焼ポスト補正量を算出する。そして、ステップS42に進む。
そして、ステップS46では、HC添加ポスト噴射量を補正する。詳しくは、補正前の次行程のHC添加ポスト噴射量よりステップS14にて算出された持ち越し燃料量を減算して次行程のHC添加ポスト噴射量とする。そして、本ルーチンをリターンする。
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、発明の形態は本実施形態に限定されるものではない。
また、例えば、本発明の実施例では、持ち越し燃料の全てをプレ噴射の期間中に燃焼が可能である場合には、図7(I)のようにプレ噴射のみを補正するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、プレ噴射の補正量によるトルク補正量がメイン噴射の補正量によるトルク補正量以上となるように、プレ噴射とメイン噴射との双方を補正するようにしてもよい。このように、トルク増加への影響が大きなプレ噴射量の補正量を大きくすることで、同じトルク増加量に対する補正であっても噴射量の補正量を小さくすることができるので噴射量の制御を容易にすることができる。
2 燃料噴射ノズル(燃料噴射手段)
23 酸化触媒(排気浄化手段)
24 NOxトラップ触媒(排気浄化手段)
25 ディーゼルパティキュレートフィルタ(排気浄化手段)
40 電子コントロールユニット(トルク増加量算出手段、燃料量増加量算出手段、持ち越し燃料量算出手段、トルク補正手段)
Claims (4)
- 排気浄化手段を有する圧縮自己着火式内燃機関の1サイクル中に、前記内燃機関の発生するトルクに寄与し筒内で燃焼が完結する複数回の燃料噴射で構成される主噴射グループと、前記内燃機関の発生するトルクには寄与せず筒内で燃焼が完結する燃焼ポスト噴射と、排気系に未燃燃料を供給するHC添加ポスト噴射とを含む複数回の燃料噴射を順に燃料噴射手段から実施可能な内燃機関の燃料噴射制御装置において、
あらかじめ記憶したHC添加ポスト噴射量と前記HC添加ポスト噴射量の一部が次行程の主噴射グループに持ち越されて増加するトルク増加量との関係に基づき、前記次行程の主噴射グループで噴射した燃料の燃焼期間中のトルク増加量を算出するトルク増加量算出手段と、
前記トルク増加量算出手段により算出された前記トルク増加量から主噴射グループの前記燃焼期間中に燃える燃料量の増加量を算出する燃料量増加量算出手段と、を備え、
前記燃料量増加量算出手段により算出された前記主噴射グループの前記燃料量の増加量を、前記HC添加ポスト噴射量による前記HC添加ポスト噴射の次行程への持ち越し燃料量として算出する持ち越し燃料量算出手段と、を有することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 算出された前記持ち越し燃料量に基づき、持ち越し燃料による排気空燃比の変動を抑制するように次行程の前記HC添加ポスト噴射量を補正することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 更に前記HC添加ポスト噴射量の補正に加え、持ち越し燃料によるトルクの増加を抑制するように前記トルク増加量に基づき、次行程の前記主噴射グループの燃料噴射量を補正するトルク補正手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記主噴射グループの燃料噴射量の補正量が前記持ち越し燃料量より多い場合には、前記主噴射グループの燃料噴射量の補正量と前記持ち越し燃料量との差分を算出し、次行程の燃焼ポスト噴射量に前記差分を加算して前記次行程の燃焼ポスト噴射量とすることを特徴とする、請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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