JP5263532B2 - ディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法 Download PDF

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本発明は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置、及び燃焼制御方法に関し、特に、NOx処理装置と煤処理装置を有するエンジンシステムに備えられるディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び燃焼制御方法に関する。
従来から、ディーゼルエンジンの排気中に含まれるNOxを処理するためのNOx処理装置を備えるエンジンシステムが知られている。このようなエンジンシステムとしては、特許文献1に記載されたものがある。
特開2000−356126号公報
具体的には特許文献1には、低負荷運転域では予混合燃焼モードでエンジンを運転し、高負荷運転域では拡散燃焼モードでエンジンを運転するようなディーゼルエンジンの燃焼制御装置が記載されている。この、燃焼制御装置が搭載されるエンジンシステムは、NOx(窒素酸化物)を処理するためのHC変動型触媒とλ変動型触媒を備える。そして燃焼制御装置は、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行させるときに、酸素濃度と燃料噴射量及び燃料噴射のタイミングとを並行して制御するようになっている。さらにこのような燃焼制御装置は、NOx処理装置に吸蔵されているNOxが飽和状態に達したときに、エンジン負荷領域に応じてHCを変動させるか、又は空燃比をリッチにして、HC変動型触媒又はλ変動型触媒を再生することとしている。
しかしながら、燃焼制御装置では、燃焼モードを移行させている間に酸素濃度と、燃料噴射の量及びタイミングを並行して制御するため、燃焼室内の酸素濃度や燃料の量が連続的に変化し、これにより、燃焼室内の酸素が過剰となって排気中のNOxが増加し、又は燃料が過剰となって排気中の煤が増加してしまう。そして、従来用いられていた装置では、排気系統に設けられたNOx処理装置及び煤処理装置の処理能力を考慮することなく、燃焼モードの移行制御を行っていた。即ち、従来用いられていた装置では、NOx処理装置が飽和状態に近付いて処理能力が低下しているにも関わらず、燃焼モードの移行時に燃焼室内の酸素濃度を増やして排気中のNOxを増加させ、又は煤処理装置が飽和状態に近付いて処理能力が低下しているにも関わらず、燃焼室内の燃料を増やして排気中の煤を増加させていた。そしてこのような制御の結果、排気中のNOxや煤が十分に処理されずに大気に放出されてしまうという問題があった。
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、燃焼モードを移行させるときに、NOxや煤を確実に処理することができるディーゼルエンジンの燃焼制御装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ディーゼルエンジンと、このディーゼルエンジンの排気中に含まれるNOxを処理するためのNOx物処理装置と、ディーゼルエンジンの排気中に含まれる煤を処理するための煤処理装置とを有するエンジンシステムに備えられるディーゼルエンジンの燃焼制御装置であって、NOx処理装置の処理能力を検出するNOx処理能力検出手段と、煤処理装置の処理能力を検出する煤処理能力検出手段と、エンジン負荷の変化に応じてディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度、及び当該燃焼室内への燃料の噴射のタイミングを徐々に移行させて、ディーゼルエンジンの燃焼モードを、ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射する拡散燃焼モードと、燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし且つ第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで燃焼室内に燃料を噴射する予混合燃焼モードとの間で移行させる燃焼制御手段とを備え、この燃焼制御手段は、燃焼モードを予混合燃焼モードと拡散燃焼モードとの間で移行させるときにマップ上の第1の移行ルートを通るように燃焼室内の酸素濃度に関する酸素濃度移行率と燃料の噴射のタイミング及び量に関する噴射形態移行率を制御し、さらに、NOx処理能力検出手段及び煤処理能力検出手段の検出結果を参照して、煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値以上であり、且つNOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値未満である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、第1の移行ルートよりもNOx発生量が少なく、且つ煤発生量が多い、第2の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっていることを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、燃焼モードの移行する際に、第1の移行ルートと比較して、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような第2の移行ルートを利用することによって、処理能力が低下しているNOx処理装置の負担を軽減させることができる。従って、処理性能が低下しているNOx処理装置、及び処理性能が低下していない煤処理装置によって、排気中のNOx及び煤を処理することになるが、排気中のNOxが少なくなるように制御が行われるので、排気中のNOx及び煤を確実に処理することができる。
また、本発明において好ましくは、燃焼制御手段は、NOx処理能力検出手段及び煤処理能力検出手段の検出結果を参照して、煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値より低い煤処理能力第2所定値未満であり、NOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値より高いNOx処理第2所定値以上である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、第1の移行ルートよりも煤発生量が少なく、且つNOx発生量が多い、第3の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっている。
このように構成された本発明によれば、燃焼モードの移行する際に、第1の移行ルートと比較して、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような第3の移行ルートを利用することによって、処理能力が低下している煤処理装置の負担を軽減させることができる。従って、処理性能が低下している煤処理装置、及び処理性能が低下していないNOx処理装置によって、排気中のNOx及び煤を処理することになるが、排気中の煤が少なくなるような制御が行われるので、排気中のNOx及び煤を確実に処理することができる。
また、本発明において好ましくは、煤処理装置は、DPF(Diesel Particulate Filter)装置であり、煤処理能力第1所定値は、燃焼室内の排気温度に応じて予め設定された値であり、排気温度が高くなるほど小さくなるように設定されている。
このように構成された本発明によれば、排気ガス温度が高く、DPF装置を再生するときに大幅な燃費の悪化を伴わないようなときに、煤処理能力第1所定値をさらに小さくして、第2の移行ルートを通って燃焼モードを移行させる機会を増やすことができる。これにより、処理能力が低いNOx処理装置の処理負担をさらに軽減することができる。
また、本発明において好ましくは、NOx処理装置は、LNT(Lean NOx Trap)装置であり、NOx処理能力第2所定値は、空燃比に応じて予め設定された値であり、空燃比が高くなるほど大きくなるように設定されている。
このように構成された本発明によれば、排気の空燃比が低く、LNT装置を再生するときに大幅な燃費の悪化を伴わないようなときに、NOx処理能力第2所定値をさらに小さくして、第3の移行ルートを通って燃焼モードを移行させる機会を増やすことができる。これにより、処理能力が低い煤処理装置の処理負担をさらに軽減することができる。
また、本発明において好ましくは、燃焼制御手段は、拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの各々のモードにおいて、メイン噴射及びこれよりも前のパイロット噴射を行わせるようになっており、パイロット噴射とメイン噴射の間隔は、拡散燃焼モードよりも予混合燃焼モードで大きくなるっている。
また、本発明において好ましくは、第2の移行ルートにおける酸素濃度移行率と噴射形態移行率の各々の補正量は、拡散燃焼モードに近い状態よりも予混合燃焼モードに近い状態で少なくなっている。
このように構成された本発明によれば、煤及びNOxの発生が少ない予混合燃焼モードに近い状態において酸素濃度移行率と噴射形態移行率の補正量を減らすことができる。これにより、予混合燃焼モードに近い状態では、第1の移行ルートと同じような移行形態をとることができるので、煤処理装置、又はNOx処理装置の何れかの負担を一方的に増加させるのを防止することができる。そしてこれにより、煤処理装置、又はNOx処理装置の再生頻度を低下させることができ、燃費の低下を防ぐことができる。
また、本発明において好ましくは、第3の移行ルートにおける酸素濃度移行率と噴射形態移行率の各々の補正量は、拡散燃焼モードに近い状態よりも予混合燃焼モードに近い状態で少なくなっている。
このように構成された本発明によれば、煤及びNOxの発生が少ない予混合燃焼モードに近い状態において酸素濃度移行率と噴射形態移行率の補正量を減らすことができる。これにより、予混合燃焼モードに近い状態では、第1の移行ルートと同じような移行形態をとることができるので、煤処理装置、又はNOx処理装置の何れかの負担を一方的に増加させるのを防止することができる。そしてこれにより、煤処理装置、又はNOx処理装置の再生頻度を低下させることができ、燃費の低下を防ぐことができる。
また、本発明において好ましくは、第2の移行ルート及び第3の移行ルートにおける予混合燃焼モードに近い状態では、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率の各々の補正量が0となっている。
また、上記課題を解決するために、本発明は、ディーゼルエンジンと、このディーゼルエンジンの排気中に含まれるNOxを処理するためのNOx処理装置と、ディーゼルエンジンの排気中に含まれる煤を処理するための煤処理装置とを有するエンジンシステムに備えられるディーゼルエンジンの燃焼制御方法であって、NOx処理装置の処理能力を検出するNOx処理能力検出工程と、煤処理装置の処理能力を検出する煤処理能力検出工程と、エンジン負荷の変化に応じてディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度、及び当該燃焼室内への燃料の噴射のタイミングを徐々に移行させて、ディーゼルエンジンの燃焼モードを、ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射する拡散燃焼モードと、燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし且つ第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで燃焼室内に燃料を噴射する予混合燃焼モードとの間で移行させる燃焼制御工程とを備え、この燃焼制御工程では、燃焼モードを予混合燃焼モードと拡散燃焼モードとの間で移行させるときにマップ上の第1の移行ルートを通るように燃焼室内の酸素濃度に関する酸素濃度移行率と燃料の噴射のタイミング及び量に関する噴射形態移行率を制御し、さらに、NOx処理能力検出工程及び煤処理能力検出工程での検出結果を参照して、煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値以上であり、且つNOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値未満である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、第1の移行ルートよりもNOx発生量が少なく、且つ煤発生量が多い、第2の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっていることを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、燃焼モードの移行する際に、第1の移行ルートと比較して、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような第2の移行ルートを利用することによって、処理能力が低下しているNOx処理装置の負担を軽減させることができる。従って、処理性能が低下しているNOx処理装置、及び処理性能が低下していない煤処理装置によって、排気中のNOx及び煤を処理することになるが、排気中のNOxが少なくなるような制御を行うので、排気中のNOx及び煤を確実に処理することができる。
また、本発明において好ましくは、燃焼制御工程では、NOx処理能力検出工程及び煤処理能力検出工程での検出結果を参照して、煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値より低い煤処理能力第2所定値未満であり、NOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値より高いNOx処理第2所定値以上である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、第1の移行ルートよりも煤発生量が少なく、且つNOx発生量が多い、第3の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっている。
このように構成された本発明によれば、燃焼モードの移行する際に、第1の移行ルートと比較して、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような第3の移行ルートを利用することによって、処理能力が低下している煤処理装置の負担を軽減させることができる。従って、処理性能が低下している煤処理装置、及び処理性能が低下していないNOx処理装置によって、排気中のNOx及び煤を処理することになるが、排気中の煤が少なくなるような制御を行うので、排気中のNOx及び煤を確実に処理することができる。
このように本発明によれば、燃焼モードを移行させるときに、NOxや煤を確実に処理することができる。
本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの燃焼制御装置が適用されたエンジンシステムを示す概略図である。 本発明の実施形態における、ディーゼルエンジンの状態に応じた燃料噴射モードを示すマップである。 本発明の実施形態において、各燃焼モードを実行しているときの燃焼室内の酸素濃度の目標値を示すグラフである。 本発明の実施形態において、燃焼モードの移行時の各燃料噴射形態移行率における燃料噴射量とタイミングの関係を示すグラフである。 本発明の実施形態による燃焼制御装置が燃焼モードの移行時に用いるマップである。 本発明の実施形態における、DPFに堆積している煤の量と、DPFの上流側での排気温度と、選択すべき移行ルートとの関係を示すマップである。 本発明の実施形態における、LNTのNOx吸蔵量と、排気の空燃比λと、選択すべき移行ルートとの関係を示すマップである。 本発明の実施形態における、LNTのNOx吸蔵量と、排気の空燃比λと、選択すべき移行ルートとの関係を示すマップである。 本発明の実施形態における、NOx処理能力とLNT処理能力と選択される移行ルートとの関係を示すマップである。 本発明の実施形態における、NOx処理能力とLNT処理能力と選択される移行ルートとの関係を示すマップである。 本発明の実施形態における、NOx処理能力とLNT処理能力と選択される移行ルートとの関係を示すマップである。 本発明の実施形態において、燃焼モードを移行させるときのECUの一連の処理を示すフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるディーゼルエンジンの燃焼制御装置について説明する。図1は、ディーゼルエンジンの燃焼制御装置が適用されたエンジンシステムを示す概略図である。
図1に示すように、エンジンシステムは、ディーゼルエンジン1と、このディーゼルエンジン1から延びる吸気通路3及び排気通路5を有する。ディーゼルエンジン1は、多気筒式のディーゼルエンジンであり、燃焼室7と、この燃焼室7内で運動するピストン9と、所定のタイミングで燃焼室7内に燃料を噴射するインジェクタ11とを備える。そして燃焼室7と吸気通路3の間には、吸気バルブ13が設けられており、さらに燃焼室7と排気通路5の間には、排気バルブ15が設けられている。
吸気通路3には、その上流側から、吸気量を調整するための吸気絞り弁17、ターボ過給機19のコンプレッサ21、インタークーラ23が設けられている。そして吸気通路3は、マニフォルド25を介してディーゼルエンジン1の燃焼室7の吸気側に連通されている。
排気通路5には、その上流側から、ターボ過給機19のタービン27、酸化触媒29、及び排気中の粒子状物質(PM)を捕集するための煤処理装置としてのDPF(Diesel Particulate Filter)31、及び排気中のNOxを処理するためのNOx処理装置としてのLNT(Lean NOx Trap)33が設けられている。このLNT33は、ディーゼルエンジンの排気の空燃比がリーンのときにNOxをトラップし、空燃比がリッチのときにNOxをパージする。なお、本実施形態では、NOx処理装置としてLNTを用いることとしているが、NOx処理装置としては、排気中に尿素を噴射して排気中のNOxを還元するようなSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒を用いてもよい。
また、吸気通路3と排気通路5の間には、EGR通路35が設けられている。EGR通路35は、DPF31の下流側からターボ過給機19のコンプレッサ21の上流側に排気を還流させるようになっている。具体的には、このEGR通路35は、DPF31の下流側から、吸気絞り弁17とターボ過給機19のコンプレッサ21の間まで延びる。そしてEGR通路35には、排気の温度を下げるEGRクーラ37、及び排気の還流量を調節するためのEGRバルブ39が設けられている。
そしてECU41が、ディーゼルエンジン1の吸気、排気、及び燃料の噴射を制御する。具体的には、ECU41は、吸気絞り弁17の開度を制御することで、ディーゼルエンジン1への吸気量を制御する。また、ECU41は、EGRバルブ39の開度を制御することでディーゼルエンジン1に還流されるEGR量を制御する。そしてECU41は、吸気絞り弁17、及びEGRバルブ39の開度を制御することによって、燃焼室7内の酸素濃度を制御する。
また、ECU41は、インジェクタ11を制御することによって、燃焼室7内へ燃料を供給するタイミング及び量を制御する。具体的にはECU41は、インジェクタ11を制御してメイン噴射、パイロット噴射、及びポスト噴射を行うようになっている。ここでメイン噴射とは、比較的多量の燃料を燃焼室7内に噴射して、この燃料に着火させることでトルクを発生させるものであり、パイロット噴射の前に行われるパイロット噴射とは、比較的少量の燃料を燃焼室7内に噴射して、燃料と空気を混合させるためのものである。また、ポスト噴射とは、DPF31の再生時に行われるものであり、ディーゼルエンジン1の膨張行程で燃焼室7内に燃料を噴射して、排気通路5に未燃燃料を噴射するものである。そして未燃燃料をDPF31の上流の酸化触媒に供給することで、DPF31が再生される。そしてECU41によるメイン噴射及びパイロット噴射の制御は、ピストン9のクランク角(CA)を検出するためのクランク角センサ43、吸気の圧力状態を検出するための吸気圧センサ45、排気の酸素濃度を検出するためのO2センサ47、ディーゼルエンジン1に流入される空気流量を検出するエアフローセンサ49、ディーゼルエンジン1に流入される空気の温度を検出する吸気温度センサ51、アクセル(図示せず)の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ53、DPF31の上流側と下流側の差圧を検出するための差圧センサ55、及び排気通路5におけるDPF31の上流側の排気の温度を検出するための排気温度センサ57の検出結果に基づいて行われる。
図2は、ディーゼルエンジンの状態に応じた燃料噴射モードを示すマップである。この図2に示すように、ディーゼルエンジン1では、エンジン負荷及びエンジンの回転数に応じて、拡散燃焼モードと予混合燃焼モード(PCI燃焼モード)の2種類の燃料噴射モードが切り替えられる。
拡散燃焼モードでは、ECU41は、燃焼室7の圧縮工程においてピストン9が上死点近傍にあるときに、パイロット噴射及びメイン噴射を行って、燃焼室7内に燃料が噴射されるようにインジェクタ11を制御する。具体的には拡散燃焼モードでは、ピストン9が上死点に達する直前にパイロット噴射を行い、ピストンが上死点に達した直後にメイン噴射を行うようになっており、メイン噴射と燃料の着火が並行して行われる。
一方で、予混合燃焼モードでは、ECU41は、拡散燃焼モードよりも早いタイミングで燃焼室7内に燃料が噴射されるようにインジェクタ11を制御する。そして予混合燃焼モードでは、ピストン9が上死点に到達する前にパイロット噴射及びメイン噴射が行われ、燃料が着火する前に燃料の噴射を終えるようになっている。これにより、燃料が着火する前に、燃料が均一な雰囲気を作り出すことができ、燃料と空気の当量比を比較的低くして燃料の不完全燃焼、又は煤の発生を抑制することができる。この予混合燃焼モードは、燃料を均一にするための時間を確保する必要があるので、エンジン負荷が比較的低く、且つディーゼルエンジン1の回転数が比較的少ない場合に使用される。そしてECU39は、エンジン負荷に応じて燃料の噴射形態を予混合燃焼モードと拡散燃焼モードの間で切り替える。
図3は、各燃焼モードを実行しているときの燃焼室内の酸素濃度の目標値を示すグラフであり、このグラフでは、X軸に酸素濃度移行率を示し、Y軸に燃焼室内の酸素濃度を示す。この図に示すように、拡散燃焼モードを実行するときの酸素濃度C1は、予混合燃焼モードを実行するときの酸素濃度C2よりも高くなっている。これは、拡散燃焼モードを実行しているときには、酸素の当量比が高くなる(酸素が少なくなる)と、CO、HC、又は煤が発生し易くなるので、EGR量を制御することによって燃焼室7内に供給される酸素の濃度を予混合燃焼モードを実行する場合よりも高くして、不完全燃焼を抑制する必要があるからである。そして、予混合燃焼モードから拡散燃焼モードに移行するときは、経路L1に沿って燃焼室7内の酸素濃度を徐々に高くし、一方で、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときは、経路L1に沿って燃焼室7内の酸素濃度を徐々に低くする。そして、拡散燃焼モードにおける酸素濃度移行率を0.0とし、予混合燃焼モードにおける酸素濃度移行率を1.0とすると、酸素濃度移行率は、燃焼室7内の酸素濃度に比例して増減する。
図4は、燃焼モードを移行させるときの燃料噴射のタイミングと燃料噴射形態の変化の関係のグラフであり、図5は、燃焼モードを移行させるときに用いるマップである。
図4では、横軸にピストン9のクランク角度(CA)を示し、縦方向に燃料噴射量を示す。そしてこの図に示すように、ECU41は、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときに、パイロット噴射のタイミングを徐々に遅らせ、且つ、パイロット噴射量を徐々に増量して、パイロット噴射量を予混合燃焼モード時のパイロット噴射量に近づけるようになっている。また、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードに移行するときには、ECU41は、パイロット噴射のタイミングを徐々に早め、且つ、パイロット噴射量を徐々に減らして、パイロット噴射量を、拡散燃焼モード時のパイロット噴射量に近づけるようになっている。
図5に示すマップでは、X軸方向に酸素濃度移行率を示し、Y軸方向に噴射形態移行率を示し、さらに点(X,Y)=(0,0)を拡散燃焼モードとし、点(X,Y)=(1,1)を予混合燃焼モードとする。また、この図に示すようにNOxは、酸素量が多く(EGR率が低い)、且つ燃焼温度が高い場合に増加し、NVHは、ディーゼルエンジン負荷が高くなると増加し、Sootは、燃焼温度が高く当量比が高くなると増加し、HCは燃焼温度が低く当量比が高くなると増加する。そしてECU41は、DPFのDPF処理能力、及びLNTのLNT処理能力に基づいて3つの移行ルートA,B,Cのうちの最適な移行ルートを選択し、選択した移行ルートに基づいて、ディーゼルエンジン1の燃焼モードを拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの間を移行させる。燃焼モードの移行は、ECU39が、燃焼室7内の酸素濃度を制御しながら、酸素濃度に基づいてインジェクタ11による燃料の噴射形態の噴射形態移行率を制御することによって、制御される。
移行ルートAは、燃焼室7内の酸素濃度を比較的高くして燃焼モードを移行させる経路であり、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような経路である。移行ルートBは、燃焼室7内の酸素濃度を比較的低くして燃焼モードを移行させる経路であり、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような経路である。そして移行ルートCは、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率をバランス良く制御して、NOx及び煤を総合的に増やさないような経路である。
移行ルートAは、移行ルートCにおける酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような移行ルートである。そして移行ルートAにおける予混合燃焼モード近傍では、酸素濃度移行率と噴射形態移行率の関係が移行ルートCと同一になるように補正量が0となる。一方で、移行ルートAの拡散燃焼モード近傍では、酸素濃度移行率の変化量が、噴射形態移行率の変化量よりも大幅に大きくなるように補正される。
移行ルートBは、移行ルートCにおける酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような移行ルートである。移行ルートBにおける予混合燃焼モード近傍では、酸素濃度移行率と噴射形態移行率の関係が移行ルートCと同一になるように補正量が0となる。一方で、移行ルートBにおける拡散燃焼モード近傍では、噴射形態移行率の変化量が、酸素濃度移行率の変化量よりも大幅に大きくなるように補正される。
燃焼モードを移行させるときのルートは、ECU41が、DPF処理能力及びLNT処理能力を比較することで選択される。ここで、DPF処理能力とは、DPF31が捕集可能な煤の量の上限値に対する、捕集可能量の割合をいう。そしてDPF処理能力は、ECU41が差圧センサ55の検出結果に基づいて、現在のDPF31の煤捕集量を検出し、検出した値を、予め決定されたDPF31の煤捕集可能量の上限値から減じ、さらに煤捕集可能量に対する現在の煤捕集量の割合を演算することで算出される。
また、LNT処理能力とは、LNT33が吸蔵可能なNOx量の上限値に対する吸蔵可能量の割合をいう。LNT処理能力は、ECU41がディーゼルエンジン1の燃焼室7内の酸素濃度からNOx発生量を逐次算出した値の積算値(現在のNOx吸蔵量)を、予め決定されたLNT33のNOx吸蔵可能量の上限値から減じ、さらにNOx吸蔵可能量に対する現在のNOx吸蔵量の割合を演算することで算出される。
図6は、DPFに堆積している煤の量と、排気通路内におけるDPFの上流側での排気温度と、選択すべき移行ルートとの関係を示すマップであり、図7及び図8は、LNTのNOx吸蔵量と、排気の空燃比λと、選択すべき移行ルートとの関係を示すマップである。
図6では、縦軸にDPF31内の煤堆積量を示し、横軸にDPF31の上流側の排気温度を示す。縦軸では、上方ほどDPF31の煤の堆積量が多くなっていること、即ちDPF処理能力が低いことを示し、下方ほどDPF31の煤の堆積量が少なくなっていること、即ちDPF処理能力が高いことを示す。そして横軸では、左側で排気温度が低いこと、即ちDPF31の再生に際して燃費の低下が多いことを示し、右側で排気温度が高いこと、即ちDPF31の再生に際して燃費の低下が少ないことを示す。
そして、DPF31の煤の堆積量が多く、且つ排気温度が低い場合(領域Z1)には、DPF処理能力が低く、且つDPF31を再生しようとすると燃費が大幅に低下するため、NOxの発生よりも煤の発生を優先して燃料を増やし、さらに大幅な燃費の低下が生じないような移行ルートBが選択される。さらに領域Z1で示す場合よりもDPF31の煤の堆積量が少ない、又は排気温度が高い場合(領域Z2)には、DPF31の処理能力が低く、且つ領域Z1に属するときよりも排気温度が低いので、煤が増える移行ルートAを選択することができないこととなり、これ以外の移行ルートB又は移行ルートCの何れかが選択可能となる。また、領域Z2で示す場合よりもDPF31の煤の堆積量がさらに少ない、又は排気の温度がさらに高い場合(領域Z3)には、DPF31の処理能力が高く、さらに煤が増加したとしてもDPF31の再生を行うときに大幅な燃費の低下を招かないので、何れの移行ルートを選択することも可能となる。
図7及び図8は、LNTのNOx吸蔵量と、排気の空燃比λと、選択すべき移行ルートとの関係を示すマップである。これら図7及び図8では、縦軸にLNT33のNOx吸蔵量を示し、横軸に排気の空燃比λを示す。縦軸では、上側でLNT33のNOx吸蔵量が多くなっていること、下側でLNT33のNOx吸蔵量が少なくなっていることを示す。そして横軸では、左側で空燃比λが低いこと、右側で空燃比λが高いことを示す。図7に示すマップは、図6に示すマップに基づいて移行ルートA,B,Cの何れもが選択可能である場合、即ちDPF処理能力と排気温度の関係が図6のマップの領域Z3に属する場合に使用されるものである。また、図8に示すマップは、図6に示すマップに基づいて移行ルートAを選択することができない場合、即ちDPF処理能力と排気温度の関係が図6のマップの領域Z1又は領域Z2に属する場合に使用されるものである。
先ず、図7に示すマップを参照すると、LNT33のNOx吸蔵量が少なく、且つ空燃比が低い場合(領域Z4)には、LNT処理能力が高く、且つ大幅な燃費の低下を伴わずにLNT33を再生できることが分かる。よってこの場合には、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような移行ルートBが選択される。
さらに領域Z4で示す場合よりもLNT処理能力が低い、又は空燃比λが高い場合(領域Z5)には、LNT処理能力とDPF処理能力がほぼ均一となっているため、NOxと煤の何れも増加しないような移行ルートCが選択される。
さらに領域Z5で示す場合よりもNOx吸蔵量が多く、且つ空燃比λが高い場合(領域Z6)には、LNT処理能力が低く、且つLNTの再生に大幅な燃費の低下を伴う。一方で上述のように図7のマップを使用するのは、DPF処理能力が高いか、又は排気温度が高いという何れか一方の条件を満たしているため、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような移行ルートAが選択される。
次に、図8に示すマップを参照すると、LNTのNOx吸蔵量が少なく、且つ空燃比が低い場合(領域Z7)には、領域Z4の場合と同様に、LNT処理能力が高く、且つ大幅な燃費の低下を伴わずにLNTを再生できる。よってこの場合には、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような移行ルートBが選択される。
さらに領域Z7で示す場合よりもLNT処理能力が低い、又は空燃比λが高い場合(領域Z8)には、LNT処理能力とNOx処理能力がほぼ均一となっているため、NOxと煤の何れも増加しないような移行ルートCが選択される。そして図8のマップを使用するときは、DPF処理能力が低いか、又は排気温度が低いため、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような移行ルートAは用いないようになっている。
このようにECU41は、先ず、LNT33よりも再生頻度が低い、即ち単位運転時間に対してLNT33よりも処理能力が高いDPF31のDPF処理能力に基づいて移行ルートを選択して、さらにDPF処理能力に基づいて移行ルートを選択することができない場合には、DPF処理能力とLNT処理能力に基づいて移行ルートを選択するようになっている。
図9乃至図11は、DPF処理能力とLNT処理能力との関係を参照して移行ルートを選択するときのマップであり、上記図6乃至図8を参照して説明した一連の処理をさらに詳細に説明するためのものである。具体的には、上述の図6乃至図8を参照した説明では、先ず、DPF処理能力と排気温度の関係を参照して、次に、LNT処理能力と空燃比の関係を参照することで移行ルートを選択するものとして説明した。一方で、以下の図9乃至図11を参照した説明では、かかる説明を、DPF処理能力とLNT処理能力に着目してさらに詳述する。
図9は、図6の領域Z1乃至Z3の全ての領域に属する可能性がある、或る排気温のときのDPF処理能力及びLNT処理能力と、選択される移行ルートの関係を示すグラフであり、縦軸にはDPF処理能力(煤捕集量)を横軸にはLNT処理能力(NOx吸蔵量)を示す。そして、DPF処理能力とLNT処理能力との関係が領域Z9に属する場合には移行ルートAが選択されることを示し、領域Z10に属する場合には移行ルートCが選択されることを示し、領域Z11に属する場合には移行ルートBが選択されることを示す。
領域Z9は、DPF処理能力がDPF処理能力第1所定値以上、且つLNT処理能力がLNT処理能力第1所定値未満の領域によって規定される。そしてこのような場合には、DPF処理能力が高く、且つLNT処理能力が低いため、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制するような移行ルートAが選択される。
領域Z10は、DPF処理能力がDPF処理能力第2所定値以上であり、且つLNT処理能力がLNT処理能力第2所定値未満となる領域のうち、領域Z9を除く領域によって規定される。そしてこのような場合には、DPF処理能力及びLNT処理能力の何れもが十分な処理能力を有しているため移行ルートCが選択される。
領域Z11は、DPF処理能力がDPF処理能力第2所定値未満であり、またはLNT処理能力がLNT処理能力第2所定値以上の領域によって規定される。そしてこのような場合には、DPF処理能力が低く、またはLNT処理能力が高いため、NOxの発生よりも煤の発生を優先的に抑制するような移行ルートBが選択される。
そして図9に示す或る排気温度及び或る空燃比の条件下では、DPF処理能力第1所定値がN1、DPF処理能力第2閾値がN2、LNT処理能力第1所定値がM1、LNT処理能力第2所定値がM2とされる。
図10は、図9に示すマップと比較して、排気温度及び空燃比が高い場合における、DPF処理能力及びLNT処理能力と、選択される移行ルートの関係を示すグラフである。煤処理装置としてDPF31を用いた場合、運転時の排気温度が上昇すると、排気温度を、DPF31を再生するために必要な温度まで上昇させるために必要となる燃料の量が少なくなる。よって、排気温度が高い場合には、領域Z9を規定するDPF処理能力第1所定値が、N1よりも小さいN3に設定される。これにより、領域Z9が下側に広がり、移行ルートAが選択される頻度が増す。
また、運転時の排気温度が高い場合には、上述のようにDPF31が再生し易くなる。
このため、DPF処理能力が高くない場合に、煤の発生よりもNOxの発生を優先的に抑制し、煤が増えたとしても、大幅な燃費の低下を伴わずにDPF31を再生することができる。よって、運転時の排気温度が高い場合には、移行ルートCが選択される領域Z10を規定するDPF処理能力第2所定値が、N2よりも小さいN4に設定される。これにより、領域Z10が下側に広がり、一方で領域Z11が上下方向において狭くなる。そして、移行ルートCが選択される頻度が増し、移行ルートBが選択される頻度が減る。
NOx処理装置としてLNT33を用いた場合、運転時の空燃比が上昇してリーン雰囲気に近付くと、LNT33に吸蔵されているNOxをパージさせるために必要な燃料の量が多くなる。よって、空燃比が高い場合には、領域Z9を規定するLNT処理能力第1所定値を、M1よりも大きいM2とし、さらに領域Z10を規定するLNT処理能力第2所定値を、M3よりも大きいM4とすることで領域Z11を狭くする。これにより、移行ルートBが選択される頻度が減るので、LNT33によって排気中のNOxを確実に処理することができる。
図11は、図9に示すマップと比較して、排気温度及び空燃比が低い場合における、DPF処理能力及びLNT処理能力と、選択される移行ルートの関係を示すグラフである。煤処理装置としてDPF31を用いた場合、運転時の排気温度が低くなると、排気温度を、DPF31を再生するために必要な温度まで上昇させるために必要となる燃料の量が多くなる。よって、排気温度が低い場合には、領域Z9を規定するDPF処理能力第1所定値が、N1よりも大きいN5に設定される。これにより、領域Z9が上方に狭まり、移行ルートAが選択される頻度が減るので、DPF31によって排気中の煤を確実に処理することができる。
また、運転時の排気温度が低下している場合には、上述のようにDPF31を再生すると大幅な燃費の低下を招く。このため、排気温度が低く、さらにDPF処理能力が高くない場合には、煤の発生を極力抑制するために、領域Z10を規定するDPF処理能力第2所定値が、N2よりも大きいN6に設定される。これにより、領域Z10が上方に狭まり、領域Z11が上方に広がる。そして、移行ルートBが選択される頻度が増す。
また、運転時の空燃比が低下している場合には、LNT33を再生するために必要な空燃比まで低下させるために必要となる燃料の量が少なくなる。よって、空燃比が低い場合には、領域Z11を規定するLNT処理能力第2所定値が、M2よりも小さいM6に設定される。これにより、領域Z11が左側に広がり、移行ルートBが選択される頻度が増す。
上述のように、図6乃至図8を参照した説明では、先ずNOx処理能力を参照して、その後LNT処理能力を参照するように2段階の処理で移行ルートを選択するようになっているが、これらの2段階の処理を行うことによって、結局、図9乃至図11を参照した説明のように、NOx処理能力とLNT処理能力を相対的に比較して、その結果に基づいて移行ルートを選択するようになっている。
次にエンジンシステムの動作について説明する。図9は、エンジンシステムの動作を示すフロー図である。尚、同図、及び以下の説明において符号「S」は、「ステップ」を示す。
一連の処理が開始すると、S1においてECU41は、燃焼モードの移行要求があったか否かを判断する。この処理は、ECU41が、アクセル開度センサ53の検出結果を読み込み、図2に示すようなマップを参照することで行われる。そして、エンジンの回転数及びエンジン負荷が変化して、これらの関係が、図2の予混合燃焼モードの領域から拡散燃焼モードの領域に移行した場合には、予混合燃焼モードから拡散燃焼モードへの移行要求があったと判断する。また、エンジンの回転数及びエンジン負荷が変化して、これらの関係が、図2の拡散燃焼モードの領域から予混合燃焼モードの領域に移行した場合には、拡散燃焼モードから予混合燃焼モードへの移行要求があったと判断する。そして何れかの移行要求があった場合には、ECU41は、S2以降の処理を行う。
S2においてECU41は、DPF処理能力を算出する。この処理は、ECU41が差圧センサ55の検出結果を読み込んで、予め記憶されたDPF31の煤捕集可能量から煤の堆積量を引くことで行われる。次いで、S3においてECU41は、排気通路5におけるDPF41の上流側の排気温度を検出する。この処理は、ECU41が、排気温度センサ57の検出結果を読み込むことで行われる。
次いで、S4においてECU41は、図6のマップ、DPF処理能力、及び排気温度に基づいて移行ルートを選択する。この処理においては、上述のように、DPF処理能力が低く、且つ排気温度が低い場合(領域Z1)には、燃焼モードの移行ルートとして移行ルートBが選択される。その他の場合には、移行ルートA又は移行ルートCの何れの移行ルートも選択可能であるため、1つの移行ルートを選択することは行わない。そしてS5においてECU41は、1つの移行ルートが選択されているか否かを判定する。この処理においては、上記S4において移行ルートBが選択された場合にのみ、1つの移行ルートが選択されていると判断する。
そして1つの移行ルートが選択されている場合には、S6においてECU41は、図3に示すマップの経路L1に沿って酸素濃度を徐々に移行させ、且つ図4に示すマップに従って噴射形態を徐々に移行させ、これにより図5に示すマップの複数の移行ルートのうち、選択された移行ルートに沿って、燃焼モードを移行させる。そしてECU41は、S7において燃焼モードの移行が完了したと判断されるまでかかる処理を繰り返し実行する。
一方で、S5において1つの移行ルートが選択されていないと判断された場合には、S8においてECU41は、LNT処理能力を算出する。次いで、S9においてECUは、燃焼室7内の空燃比λを算出する。空燃比λの算出は、ディーゼルエンジン1の回転数、排気温度、吸気絞り弁の開度から推定されるディーゼルエンジン1の負荷等に基づいて瞬間的なNOx吸蔵量である瞬時NOx吸蔵量を算定し、これを積算することで行われる。
次いで、S10においてECU41は、DPF処理能力と排気温度の関係が、図6のマップの領域Z3に属しているか否かを判断する。そしてDPF処理能力と排気温度の関係が領域Z3に属していると判断された場合には、S11においてECU41は、図7に示すマップ、LNT処理能力、及び空燃比λに基づいて移行ルートを選択し、この移行ルートが確定する。そしてECU41は、S6以降の処理を実行する。一方で、S10において領域Z3に属していないと判断された場合には、S12においてECU41は、図8に示すマップ、LNT処理能力、及び空燃比λに基づいて移行ルートを選択し、この移行ルートが確定する。
このように燃焼モードの移行に際してECU41は、DPF処理能力に対するLNT処理能力の割合が所定量以上となっているときには、LNTが処理可能なNOxを増加させて煤を減少させ、一方で、所定量未満となっているときには、DPFが処理可能な煤を増加させてNOxを減少させるようになっている。そして、このような制御により、DPF処理能力とLNT処理能力に基づいて燃焼モードの移行時の移行ルートを選択することができ、燃焼モードの移行時に増加したNOx及び煤を処理して、排気中に含まれるNOx及び煤を確実に処理することができる。
1 ディーゼルエンジン
7 燃焼室
47 ECU

Claims (10)

  1. ディーゼルエンジンと、このディーゼルエンジンの排気中に含まれるNOxを処理するためのNOx物処理装置と、前記ディーゼルエンジンの排気中に含まれる煤を処理するための煤処理装置とを有するエンジンシステムに備えられるディーゼルエンジンの燃焼制御装置であって、
    前記NOx処理装置の処理能力を検出するNOx処理能力検出手段と、
    前記煤処理装置の処理能力を検出する煤処理能力検出手段と、
    エンジン負荷の変化に応じて前記ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度、及び当該燃焼室内への燃料の噴射のタイミングを徐々に移行させて、前記ディーゼルエンジンの燃焼モードを、ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射する拡散燃焼モードと、前記燃焼室内の酸素濃度を前記第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし且つ前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する予混合燃焼モードとの間で移行させる燃焼制御手段とを備え、
    この燃焼制御手段は、燃焼モードを予混合燃焼モードと拡散燃焼モードとの間で移行させるときにマップ上の第1の移行ルートを通るように燃焼室内の酸素濃度に関する酸素濃度移行率と燃料の噴射のタイミング及び量に関する噴射形態移行率を制御し、
    さらに、前記NOx処理能力検出手段及び前記煤処理能力検出手段の検出結果を参照して、前記煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値以上であり、且つ前記NOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値未満である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、前記第1の移行ルートよりもNOx発生量が少なく、且つ煤発生量が多い、第2の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっていること、
    を特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  2. 前記燃焼制御手段は、前記NOx処理能力検出手段及び前記煤処理能力検出手段の検出結果を参照して、前記煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値より低い煤処理能力第2所定値未満であり、前記NOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値より高いNOx処理第2所定値以上である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、前記第1の移行ルートよりも煤発生量が少なく、且つNOx発生量が多い、第3の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっている請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  3. 前記煤処理装置は、DPF(Diesel Particulate Filter)装置であり、
    前記煤処理能力第1所定値は、前記燃焼室内の排気温度に応じて予め設定された値であり、排気温度が高くなるほど小さくなるように設定されている請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  4. 前記NOx処理装置は、LNT(Lean NOx Trap)装置であり、
    前記NOx処理能力第2所定値は、空燃比に応じて予め設定された値であり、空燃比が高くなるほど大きくなるように設定されている請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  5. 前記燃焼制御手段は、拡散燃焼モードと予混合燃焼モードの各々のモードにおいて、メイン噴射及びこれよりも前のパイロット噴射を行わせるようになっており、パイロット噴射とメイン噴射の間隔は、拡散燃焼モードよりも予混合燃焼モードで大きくなるっている請求項1又は請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  6. 前記第2の移行ルートにおける酸素濃度移行率と噴射形態移行率の各々の補正量は、拡散燃焼モードに近い状態よりも予混合燃焼モードに近い状態で少なくなっている請求項1又は請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  7. 前記第3の移行ルートにおける酸素濃度移行率と噴射形態移行率の各々の補正量は、拡散燃焼モードに近い状態よりも予混合燃焼モードに近い状態で少なくなっている請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  8. 前記第2の移行ルート及び前記第3の移行ルートにおける予混合燃焼モードに近い状態では、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率の各々の補正量が0となっている請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  9. ディーゼルエンジンと、このディーゼルエンジンの排気中に含まれるNOxを処理するためのNOx処理装置と、前記ディーゼルエンジンの排気中に含まれる煤を処理するための煤処理装置とを有するエンジンシステムに備えられるディーゼルエンジンの燃焼制御方法であって、
    前記NOx処理装置の処理能力を検出するNOx処理能力検出工程と、
    前記煤処理装置の処理能力を検出する煤処理能力検出工程と、
    エンジン負荷の変化に応じて前記ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度、及び当該燃焼室内への燃料の噴射のタイミングを徐々に移行させて、前記ディーゼルエンジンの燃焼モードを、ディーゼルエンジンの燃焼室内の酸素濃度を第1の酸素濃度とし且つ第1のタイミングで当該燃焼室内に燃料を噴射する拡散燃焼モードと、前記燃焼室内の酸素濃度を前記第1の酸素濃度よりも低い第2の酸素濃度とし且つ前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングで前記燃焼室内に燃料を噴射する予混合燃焼モードとの間で移行させる燃焼制御工程とを備え、
    この燃焼制御工程では、燃焼モードを予混合燃焼モードと拡散燃焼モードとの間で移行させるときにマップ上の第1の移行ルートを通るように燃焼室内の酸素濃度に関する酸素濃度移行率と燃料の噴射のタイミング及び量に関する噴射形態移行率を制御し、
    さらに、前記NOx処理能力検出工程及び前記煤処理能力検出工程での検出結果を参照して、前記煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値以上であり、且つ前記NOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値未満である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、前記第1の移行ルートよりもNOx発生量が少なく、且つ煤発生量が多い、第2の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっていること、
    を特徴とするディーゼルエンジンの燃焼制御方法。
  10. 前記燃焼制御工程では、前記NOx処理能力検出工程及び前記煤処理能力検出工程での検出結果を参照して、前記煤処理装置の煤処理能力が煤処理能力第1所定値より低い煤処理能力第2所定値未満であり、前記NOx処理装置のNOx処理能力がNOx処理能力第1所定値より高いNOx処理第2所定値以上である場合に、酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を補正して、前記第1の移行ルートよりも煤発生量が少なく、且つNOx発生量が多い、第3の移行ルートを通るように酸素濃度移行率及び噴射形態移行率を制御するようになっている請求項9に記載のディーゼルエンジンの燃焼制御方法。
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