JP5998670B2 - 低降伏比高強度スパイラル鋼管杭およびその製造方法 - Google Patents

低降伏比高強度スパイラル鋼管杭およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築・土木用として好適な、スパイラル鋼管製鋼管杭に係り、とくに耐震性の向上に関する。
従来から、土木、建築等の分野で、とくに多用される鋼管杭には、上部構造物による軸方向圧縮力、あるいは土圧等によって加えられる水平方向の曲げ力に対して十分な耐力を有することが要求され、高耐力を有する鋼管杭が求められてきた。
例えば、特許文献1には、弾性設計を考慮して高強度化を念頭において、C:0.15〜0.25%、Si:0.15%以上、Mn:0.5%以上を含む鋼管に、高周波誘導加熱により、900〜1300℃に加熱して焼入れする高強度鋼管杭の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術によれば、降伏強度60kg/mm2以上(590MPa以上)、引張強度80〜100 kg/mm2(780〜980MPa)の高強度鋼管杭が得られるとしている。しかし、特許文献1に記載された技術で製造された鋼管杭は、C量が高く、溶接性に問題を残しており、この技術は、溶接が必須であるスパイラル鋼管杭には適用できないという問題がある。
また、特許文献2には、C:0.02〜0.15%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下を含有し、さらにNb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種または2種以上を含有し、平均結晶粒径が10μm以下、面積率が70〜90%のフェライトと残部が残留オーステナイト、ベイナイト、マルテンサイトからなるミクロ組織を有し、残留オーステナイトが体積率で5〜15%である耐座屈特性に優れた高強度鋼管が記載されている。特許文献2に記載された技術では、未再結晶温度域での制御圧延と、さらに、熱間圧延後の冷却で二段冷却パターンを採用して、残留オーステナイトを含むベイナイトおよびマルテンサイトとフェライトとの複合組織を有する鋼板としている。そして、得られた厚鋼板を冷間成形し、内外面溶接と、拡管とを施してUOE鋼管としている。しかし、特許文献2に記載された技術では、素材とする厚鋼板の製造で、精度の高い制御圧延と、二段階の制御冷却を必要とし、生産性が低下するという問題がある。
また、特許文献3には、C:0.02〜0.2%、Si:0.001〜0.5%、Mn:0.5〜3.0%、Al:0.002〜0.1%、N:0.01%以下、P:0.02%以下、S:0.005%以下を含有し、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であり、残部が、残留オーステナイト、ベイナイト、マルテンサイトからなるミクロ組織を有し、管軸方向のr値が0.8以上で、耐座屈特性に優れた高強度鋼管が記載されている。特許文献3に記載された技術では、得られた厚鋼板を、冷間成形し、内外面溶接と、拡管とを施してUOE鋼管としている。
特開昭54‐19415号公報 特開2004‐143499号公報 特開2004‐143500号公報
しかしながら、特許文献3に記載された技術でも、鋼管の素材である厚鋼板を製造するにあたり、厳密な圧延スケジュールの制御圧延や、厳密に冷却条件をコントロールすることが必要とされ、生産性が低下するという問題があった。
さらに、特許文献1〜3に記載された技術で製造された鋼管は、スパイラル鋼管ではなく、また、製造工程が複雑で製造コストの高い鋼管であり、土木、建築等の分野でとくに多用される鋼管杭としては、必ずしも好適であるとは言えないという問題があった。
土木、建築等の分野でとくに多用されるスパイラル鋼管製鋼管杭には、耐震性に優れることが要求され、低降伏比を有することは求められるが、土中に埋設されることから、特許文献1〜3に記載された技術で製造された鋼管杭ほどの高強度、高靭性を保持するまでの必要はない。
そこで、本発明は、土木、建築等の分野でとくに多用される鋼管杭として、製造コストの点で有利なスパイラル鋼管製鋼管杭に着目し、耐震性に優れた高強度スパイラル鋼管製鋼管杭を提供することを目的とする。なお、ここでいう「高強度」とは、管軸方向の強度で、降伏強さYS:480MPa以上、引張強さTS:570MPa以上を有する場合をいうものとする。
鋼管杭の設計強度は、降伏強さYSで規定される。本発明は、設計強度:450MPaの鋼管杭を目標としており、この設計強度を十分満足できるように、鋼管杭の目標降伏強さYSを480MPa以上に設定した。また、この降伏強さレベルの鋼管杭の目標引張強さは、鋼管杭規格HT570Pで規定されるとおりの570MPa以上とした。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、高強度鋼管杭として、要求される管軸方向の降伏強さYS:480MPa以上、引張強さTS:570MPa以上の高強度を保持した状態で、鋼管杭として十分な耐震性を確保するために必要な、管軸方向の降伏比、靭性について鋭意検討した。その結果、使用環境が土中に埋設される鋼管杭では、地震時に地盤とともに地震エネルギーを受けて変形するため、地上に設置される鋼管柱よりも低い塑性変形能であっても、十分に杭として機能できることに想到した。そして、地上に設置される柱用では、降伏比80%以下の鋼材の使用が要求されているが、地中に埋設される鋼管杭用としては、管軸方向の降伏比90%以下のスパイラル鋼管であっても十分な塑性変形能を有し、耐震性に優れた鋼管であるという知見を得た。
また、JIS Z 2242の規定に準拠したシャルピー衝撃試験で、試験温度:−20℃における吸収エネルギーvE-20が47J以上となる靭性を有する鋼管であれば、土中に埋設される鋼管杭として十分な靭性を保持していることになることを知見した。
このようなことから、本発明者らは、管軸方向で降伏比YR:90%以下で、かつJIS Z 2242の規定に準拠したシャルピー衝撃試験で、試験温度:−20℃における吸収エネルギーvE-20が47J以上となる靭性を有する鋼管であれば、スパイラル鋼管であっても鋼管杭として十分な耐震性を保持しているといえるという結論に達した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、つぎのとおりである。
(1)板厚5mm以上16mm以下の熱延鋼板製のスパイラル鋼管からなる鋼管杭であって、該鋼管杭が、質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.10%以下、N:0.01%以下、Ca:0.005%以下を含み、さらに、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.08%以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、管軸方向の降伏強さYS:480MPa以上、引張強さTS:570MPa以上、降伏比YR:90%以下の低降伏比高強度で、かつシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃の吸収エネルギーvE-20:47J以上の靭性を有することを特徴とする低降伏比高強度スパイラル鋼管杭。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.03%以下含有することを特徴とする低降伏比高強度スパイラル鋼管杭。
(3)熱延鋼板製スパイラル鋼管を素材としてスパイラル鋼管杭とするスパイラル鋼管杭の製造方法であって、前記熱延鋼板製スパイラル鋼管が、板厚5mm以上16mm以下の熱延鋼板をスパイラル状に加工しながら、前記熱延鋼板の端部同上を電縫溶接してスパイラル鋼管としたものであり、さらに前記熱延鋼板を、質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.10%以下、N:0.01%以下、Ca:0.005%以下を含み、さらにNb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.08%以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、1100℃以上に加熱し、粗圧延を施したのち、仕上圧延終了温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、該仕上圧延終了後、さらに平均冷却速度:15〜30℃/sで450℃以上600℃以下の冷却停止温度まで冷却する加速冷却を施して巻き取ることにより製造された熱延鋼板とし、管軸方向の降伏強さYS:480MPa以上、引張強さTS:570MPa以上、降伏比YR:90%以下の低降伏比高強度で、かつシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃の吸収エネルギーvE-20:47J以上の靭性を有するスパイラル鋼管とすることを特徴とする低降伏比高強度スパイラル鋼管の製造方法。
(4)(3)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.03%以下含有することを特徴とする低降伏比高強度スパイラル鋼管の製造方法。
本発明によれば、耐震性に優れた高強度スパイラル鋼管杭を、容易に、しかも安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明は、板厚5mm以上16mm以下の熱延鋼板製のスパイラル鋼管からなる、耐震性に優れた高強度スパイラル鋼管杭である。
まず、スパイラル鋼管素材として使用する熱延鋼板は、板厚5mm以上16mm以下の熱延鋼板とする。素材として使用する熱延鋼板は、板厚5mm以上に限定する。鋼管杭は、土中に埋設して使用され上部構造の柱からの反力を受けるため、板厚が5mm未満では、鋼管杭として十分に上部構造を支えられなくなる。一方、板厚が16mmを超える鋼管杭の需要はさほど多くない。このようなことから、使用する熱延鋼板は、板厚5mm以上16mm以下に限定した。
本発明鋼管杭は、熱延鋼板製スパイラル鋼管からなる。素材となるスパイラル鋼管は、上記した板厚の熱延鋼板を用いて、該熱延鋼板をスパイラル状に加工しながら、鋼板の端部同士を電縫溶接して鋼管とする。なお、本発明では、スパイラル鋼管の製造方法はとくに限定する必要はなく、通常、公知のスパイラル鋼管の製造方法がいずれも適用できる。また、スパイラル鋼管の素材となる熱延鋼板の製造方法は、下記に述べるような所定の組成を有するスラブ等の鋼素材を、加熱し、通常の熱間圧延と、熱間圧延後、所定の冷却速度以上で冷却を施す、熱延鋼板の製造方法が適用できる。すなわち、1100℃以上好ましくは1300℃以下に加熱し、仕上圧延終了温度:800℃以上とする熱間圧延を施し所定の板厚の熱延鋼板としたのち、該熱延鋼板に、好ましくは、冷却停止温度(:450℃以上600℃以下)までを15〜30℃/sの平均冷却速度で冷却する、加速冷却を施し、コイル状に巻き取る熱延鋼板の製造方法が適用できる。これにより、スパイラル鋼管とした際に、所望の低降伏比高強度を有する鋼管とすることができる。
本発明鋼管杭で使用するスパイラル鋼管は、質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.10%以下、N:0.01%以下を含み、さらに、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.08%以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
このような組成とすることにより、所望の高強度を確保できる。上記した範囲を低く外れる組成では、低強度の鋼管しか得られず、そのような組成の鋼管では厚肉鋼管とならざるを得ず、重量増となり、輸送コスト、鋼管杭とするための施工コスト等が高騰する。このため、鋼管の組成は上記した範囲に限定することとした。
つぎに、使用するスパイラル鋼管の組成限定理由について説明する。以下、質量%は単に%で記す。
C:0.03〜0.10%
Cは、炭化物として析出し、析出強化を介して強度増加に寄与する元素である。このような効果を得て所望の高強度を確保するためには、0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.10%を超える含有は、必要以上に炭化物が析出し、降伏比が高くなる。このため、Cは0.03〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.08%である。
Si:0.5%以下
Siは、脱酸剤として作用する元素であるが、このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、0.5%を超える含有は、溶接時に溶接部で素材起因のSi酸化物が増加し、溶接部特性を低下させる。このため、Siは0.5%以下に限定した。なお、好ましくは0.35%以下である。
Mn:0.2〜2.0%
Mnは、焼入れ性向上を介して強度増加、靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.2%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超えて含有すると、焼入れ性が著しく高まり、杭として所望の靭性を確保できにくくなる。このため、Mnは0.2〜2.0%の範囲に限定した。
P:0.05%以下
Pは、不純物元素であり、溶接性に悪影響を及ぼす元素で、本発明ではできるだけ低減することが望ましい。しかし、過度の低減は、精錬コストの高騰を招く。鋼管杭として必要な溶接性という観点からは、0.05%までは許容できる。このため、Pは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.03%以下である。
S:0.05%以下
Sは、鋼中では粗大なMnS(硫化物)として存在しやすい。粗大なMnSは、脆性破壊の起点として作用し、靭性を低下させる要因となる。このことから、Sは、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、鋼管杭として必要な靭性という観点からは、0.05%までは許容できる。このため、Sは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.01%以下である。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であるが、このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましいが、0.10%を超える含有は、鋼の清浄度が低下し、靭性を低下させる。このため、Alは0.10%に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.05%である。
N:0.01%以下
Nは、Alと結合しAlNを形成し、結晶粒の微細化を介して靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上含有することが望ましいが、0.01%を超える含有は、靭性を低下させる。このため、Nは0.01%以下に限定した。
Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上:合計0.08%以上
Nb、V、Tiはいずれも、炭化物を形成し析出強化により強度増加に寄与するとともに、窒化物を形成し結晶粒微細化を介して組織の微細化により靭性向上に寄与する元素であり、選択して合計0.08%以上含有する。
Nbは、炭化物、窒化物あるいは炭窒化物を形成し、析出強化、および結晶粒微細化を介した組織の微細化により、強度増加および靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましいが、0.1%を超える含有は、硬化した第二相量が増加しやすくなり、靭性が低下しやすい。このため、含有する場合には、Nbは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは0.005〜0.05%である。
Vは、炭化物、窒化物あるいは炭窒化物を形成し、析出強化、および結晶粒微細化を介した組織の微細化により、強度増加および靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましいが、0.1%を超える含有は、硬化した第二相量が増加しやすくなり、靭性が低下しやすい。このため、含有する場合には、Vは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは0.005〜0.05%である。
Tiは、炭化物、窒化物あるいは炭窒化物を形成し、析出強化、および結晶粒微細化を介した組織の微細化により、強度増加および靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましいが、0.1%を超える含有は、硬化した第二相量が増加しやすくなり、靭性が低下しやすい。このため、含有する場合には、Tiは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは0.005〜0.05%である。
上記した成分が基本の成分であるが、さらに選択元素として必要に応じて、Ca:0.005%以下、および/または、Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Ta のうちの1種または2種以上を合計0.1%以下を含有できる。
Ca:0.005%以下
Caは、MnS等の硫化物の形態を、伸長した形態から球状の形態に、硫化物の形態を制御する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るためには、0.0005%以上含有することが望ましい。一方、0.005%を超える含有は、Ca酸化物、Ca硫化物が過剰になり、靭性低下に繋がる。このため、含有する場合には、Caは0.005%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0005〜0.002%である。
Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Taのうちから選ばれた1種または2種以上:合計0.1%以下
Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Taはいずれも、強度増加と靭性改善に寄与する元素であり、必要に応じて選択して合計0.1%以下含有できる。なお、好ましくは合計で0.03%以下である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
本発明の鋼管杭の素材であるスパイラル鋼管は、上記した組成を有し、好ましくは、ベイニティックフェライト相を主相とし、面積率で2%以上のマルテンサイト相とあるいはさらにパーライト、ベイナイト相からなる第二相を合計で面積率で10%以下からなる組織を有する。なお、ここでいう「ベイニティックフェライト相」とは、ベイニティックフェライト、アシキュラーフェライト、ウッドマンステッテン状フェライト、針状フェライトを含む相を指すものとし、ポリゴナルフェライトは含まない。
以下、さらに実施例に基づいて、さらに詳細に、本発明について説明する。
表1に示す組成を有し、表2に示す板厚の熱延鋼板をスパイラル鋼管素材とする。素材となる熱延鋼板は、表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で、スラブ(鋼素材)(肉厚:220mm)としたのち、表2に示す条件の加熱、熱間圧延、熱延後の冷却を施して表2に示す板厚の鋼板とした。
ついで、これら熱延鋼板をスパイラル状に加工しながら、鋼板の端部同士を電縫溶接して、スパイラル鋼管(外径:900 mmφ)とし、鋼管杭とした。
得られた鋼管杭から、試験片を採取し、組織観察、引張試験、衝撃試験を実施した。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)組織観察
得られた鋼管杭から、組織観察用試験片を採取し、管軸方向断面(L断面)が観察面となるように、研磨し、腐食(ナイタール液腐食)し、光学顕微鏡(倍率:400倍)および走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)により、組織を観察し、組織の種類およびその分率を測定した。
(2)引張試験
得られた鋼管杭から、引張方向が管軸方向となるように弧状引張試験片(JIS 12号C)を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS、降伏比YR(=YS/TS×100%))を求めた。
(3)衝撃試験
得られた鋼管杭から、試験片長手方向が管軸方向と直交する方向(C方向)となるようにVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242に準拠して衝撃試験を試験温度:−20℃で行い、吸収エネルギーvE-20を求めた。なお、試験は各3本ずつ行い、それらの平均値をその鋼管杭のvE-20とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0005998670
Figure 0005998670
Figure 0005998670
本発明例はいずれも、所望の高強度と、低降伏比と、高靭性を有し、耐震性に優れたスパイラル鋼管杭となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、所望の高強度が確保できていないか、あるいは降伏比が高いか、あるいは靭性が低いかして、所望の耐震性を確保できていない。

Claims (4)

  1. 板厚5mm以上16mm以下の熱延鋼板製のスパイラル鋼管からなる鋼管杭であって、該鋼管杭が、質量%で、
    C:0.03〜0.10%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.2〜2.0%、 P:0.05%以下、
    S:0.05%以下、 Al:0.10%以下、
    N:0.01%以下 Ca:0.005%以下
    を含み、さらにNb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.08%以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、管軸方向の降伏強さYS:480MPa以上、引張強さTS:570MPa以上、降伏比YR:90%以下の低降伏比高強度で、かつシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃の吸収エネルギーvE-20:47J以上の靭性を有することを特徴とする低降伏比高強度スパイラル鋼管杭。
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.03%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の低降伏比高強度スパイラル鋼管杭。
  3. 熱延鋼板製スパイラル鋼管を素材としてスパイラル鋼管杭とするスパイラル鋼管杭の製造方法であって、
    前記熱延鋼板製スパイラル鋼管が、板厚5mm以上16mm以下の熱延鋼板をスパイラル状に加工しながら、前記熱延鋼板の端部同士を電縫溶接してスパイラル鋼管としたものであり、
    さらに
    前記熱延鋼板を、質量%で、
    C:0.03〜0.10%、 Si:0.5%以下、
    Mn:0.2〜2.0%、 P:0.05%以下、
    S:0.05%以下、 Al:0.10%以下、
    N:0.01%以下 Ca:0.005%以下
    を含み、さらにNb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.08%以上含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材に、1100℃以上に加熱し、粗圧延を施したのち、仕上圧延終了温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、該仕上圧延終了後、さらに平均冷却速度:15〜30℃/sで450℃以上600℃以下の冷却停止温度まで冷却する加速冷却を施して巻き取ることにより製造された熱延鋼板とし、管軸方向の降伏強さYS:480MPa以上、引張強さTS:570MPa以上、降伏比YR:90%以下の低降伏比高強度で、かつシャルピー衝撃試験の試験温度:−20℃の吸収エネルギーvE-20:47J以上の靭性を有するスパイラル鋼管とすることを特徴とする低降伏比高強度スパイラル鋼管の製造方法。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu、Sn、Ni、Mg、Co、As、Cr、W、Mo、Pb、Taのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.03%以下含有することを特徴とする請求項3に記載の低降伏比高強度スパイラル鋼管の製造方法。
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