JP5998637B2 - 流路を一体に有する装置本体および当該装置本体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る装置本体の特徴構成は、装置本体を構成する母材の内部に鋳込み配置された配管部材を備え、
前記配管部材は、立体形状を有する半割りの部材どうしが対向配置されており、
前記半割りの部材は、互いに当接して接続されるフランジ部と、該フランジ部から延在するとともに前記装置本体の表面に露出して金型の内部に固定される配管保持部と、該配管保持部に併設され、前記配管部材の内部空間と前記装置本体の外部空間とを連通する連通孔と、が形成されており、
前記装置本体の外表面と前記配管部材とに亘って加工流路を形成してある点にある。
本構成によれば、配管部材を装置本体の内部に埋設した状態で鋳込み、装置本体を形成した後、装置本体の外部と配管部材の内部空間とに亘る加工流路を形成してある。このように、流路を形成するのに、予め形成しておいた配管部材を利用する流路と、装置本体を穿孔して形成した加工流路とを組み合わせて形成してある。装置本体の外表面近傍の加工流路は後に穿孔により形成できるから、内部の流路の形成に際しては、比較的自由な形状の配管部材を用意しておき、装置本体の内部に単に埋め込むだけでよい。
さらに、配管部材の保持が容易になることで、配管部材の設計自由度が高まるから、複雑な配管であっても装置本体に鋳込み形成することが可能となる。
そこで、本構成では、半割りの部材を組み合わせて配管部材を構成している。その際にこれら半割の部材どうしを組み立て易い様に周縁にフランジ部を形成している。本構成であれば、例えば、夫々の反割り部材を形成するのに、板状部材をプレス加工して立体的に加工することも可能となるうえ、前記フランジ部どうしの接合は非常に簡単に行える。このように本構成であれば、配管部材を非常に合理的に構成できるようになり、その結果、複雑な形状の流路を有する装置本体を低コストで得ることができる。
本発明に係る装置本体にあっては、前記加工流路の内径と、前記配管部材のうち前記加工流路と接する部分の内径とを等しく形成することができる。
本構成のように、特に、配管部材と加工流路との接続部において流路の内径を一定にすることで、この部位で流通抵抗が増大するのを防止することができ、流体を円滑に流通させることができる。
また、双方の流路の内径が等しくなれば、仮に、流路内に異物が流通しているような場合でも、当該接続部に異物が滞留するなどの不都合は生じない。よって、流体の良好な流通状態を長期間維持することができ、信頼性の高い装置本体を得ることができる。
本発明に係る装置本体においては、前記配管部材および前記配管保持部を構成する材料の融点を、前記装置本体を構成する母材の融点よりも高温に設定することができる。
本構成であれば、装置本体を構成する溶湯の注湯時に配管部材が溶融するのをより低減することができる。配管部材の溶け落ちの可能性が低下することで、配管部材を薄い材料で構成することができる。この結果、例えば配管部材をプレス成形する際の加工性が高まるうえ、複雑な形状の加工も容易となり、さらに、配管部材そのものの材料コストも低下する。
本発明に係る装置本体の製造方法の特徴構成は、配管部材を、立体形状を有する半割りの部材で形成するとともに、フランジ部から延在して金型に固定される配管保持部と、該配管保持部に併設され前記配管部材の内部空間と装置本体の外部空間とを連通する連通孔と、を板状部材のプレス加工により形成し、
前記配管部材の前記半割りの部材どうしを対向配置して前記フランジ部を互いに当接させて接合し、
前記配管部材を金型の内部に配置するとともに、前記配管保持部を挟んだ状態で前記金型を型締めし、
前記金型と前記配管部材との間に形成されるキャビティに溶湯を注湯し、
前記溶湯が固化した後、装置本体の外部から穿孔処理して加工流路を形成し、前記装置本体から突出した前記配管保持部の不要部分を除去する点にある。
本構成では、配管部材を装置本体の鋳造と同時に鋳込む際に、配管部材の内部空間を実質的に閉じ空間としてある。ここで、実質的に閉じ空間としてあるというのは、仮に、配管部材に小さな孔が存在しても、溶湯注湯時に配管の内部に溶湯が侵入しない程度の孔があいているに過ぎないものを含む趣旨である。
このように配管部材が閉じ空間を有する結果、配管部材を任意の姿勢で金型の内部に設定することができる。つまり、配管部材の何れかの端部が開口しているような場所には、溶湯注湯時に配管部材の内部に溶湯が侵入しないように配管部材を保持する必要がある。この場合、金型と配管部材との取り合い部分を正確にシールしなければならないが、配管部材には寸法誤差が存在するため、中にはシール不良が生じる場合もある。また、金型からは中空形状のパイプの配管部材の端部が突出するため、金型の型締め作業や鋳造後の装置本体の取り出し作業が煩雑なものとなる。
本実施形態に係る装置本体1は、例えば、オイル流路を形成した自動車やオートバイ用のエンジンの他、オイル流路を備えたオイルポンプやトランスミッションなど、流体流路を一体的に形成した各種ハウジングなどに適用可能である。本実施形態の装置本体1は、各種金属材料を用いた鋳造製品、あるいは、各種金属材料や樹脂材料を用いた射出成形品として得ることができ、その内部には、予め配管部材2を配置して装置本体1と一体に形成した流路を備えている。
本実施形態においては、装置本体1が、オイル流路を備えたエンジンの一部(以下、単に「エンジン本体1a」と称する)である例を示す。図1は内部にオイル流路を形成したエンジン本体1aの斜視図であり、図2は配管部材2の分解斜視図である。
この配管部材2は、配管部材2を配置した鋳型の内部に装置本体1を構成する溶湯を注湯する際に、溶湯が配管部材2の内部に流入しなければ良い。よって、配管部材2の表面には、ある程度のサイズの隙間が存在していても構わない。
つまり、本実施形態の配管部材2は、溶湯が内部に侵入しない程度に外表面は密閉されている。よって、配管部材2を鋳込む際には、配管部材2の内部の空気が膨張し、この膨張した空気は、場合によってはエンジン本体1aの何れかの箇所に流れて空洞を形成するおそれがある。そこで、図2に示すごとく、配管保持部3の一方側に幅の狭い溝を形成しておく。この溝は配管部材2の内部空間とエンジン本体1aの外部空間とを連通する長さに形成する。二つの半割り部材2aを互いに接合することでこの溝部が連通孔6となる。
なお、エンジン本体1aが固化した後は、この連通孔6の開口部をポンチングするなどして連通孔6を閉塞しておくとよい。
(1) 配管部材2を構成する半割り部材2aどうしの接合においては、上述のカシメの他にも各種の手法を採り得る。例えば、図4に示すごとく、一方のフランジ部5のサイズを他方のフランジ部5のサイズよりも大きく形成しておき、大きい側の端部を折り込んで互いに接合してもよい。
また、この他に、双方のフランジ部5どうしを接着したり、スポット溶接など各種の溶接方法を用いて接合することもできる。
本構成であれば、鋳込み作業後の加工流路8の穿孔に際して、まさに配管保持部3の位置を穿孔すれば良いから、穿孔位置の特定が極めて容易となる。加工流路8を穿孔したのちは、例えば図5に示すように、流路開口の両側に配管保持部の一部3aが残される。よって、加工流路8が配管保持部3に対して正確な位置に形成されているか、つまり、配管部材に係る流路4に対して加工流路8が正確な位置に形成されているかの確認が容易となる。
2 配管部材
3 配管保持部
3a 配管保持部の一部
6 連通孔
8 加工流路
Claims (4)
- 装置本体を構成する母材の内部に鋳込み配置された配管部材を備え、
前記配管部材は、立体形状を有する半割りの部材どうしが対向配置されており、
前記半割りの部材は、互いに当接して接続されるフランジ部と、該フランジ部から延在するとともに前記装置本体の表面に露出して金型の内部に固定される配管保持部と、該配管保持部に併設され、前記配管部材の内部空間と前記装置本体の外部空間とを連通する連通孔と、が形成されており、
前記装置本体の外表面と前記配管部材とに亘って加工流路を形成してある装置本体。 - 前記加工流路の内径と、前記配管部材のうち前記加工流路と接する部分の内径とを等しく形成してある請求項1に記載の装置本体。
- 前記配管部材および前記配管保持部を構成する材料の融点が、前記装置本体を構成する母材の融点よりも高温に設定してある請求項1又は2に記載の装置本体。
- 配管部材を、立体形状を有する半割りの部材で形成するとともに、フランジ部から延在して金型に固定される配管保持部と、該配管保持部に併設され前記配管部材の内部空間と装置本体の外部空間とを連通する連通孔と、を板状部材のプレス加工により形成し、
前記配管部材の前記半割りの部材どうしを対向配置して前記フランジ部を互いに当接させて接合し、
前記配管部材を金型の内部に配置するとともに、前記配管保持部を挟んだ状態で前記金型を型締めし、
前記金型と前記配管部材との間に形成されるキャビティに溶湯を注湯し、
前記溶湯が固化した後、装置本体の外部から穿孔処理して加工流路を形成し、前記装置本体から突出した前記配管保持部の不要部分を除去する装置本体の製造方法。
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