JP5997490B2 - 四方切換弁 - Google Patents

Description

本発明は、冷凍機器、空調機器等の可逆冷凍サイクルを利用した機器等に用いられる四方切換弁に関する。

従来、冷凍サイクルシステムの冷媒通路に四方切換弁を配置して冷媒通路を切り換え、室内の冷房と暖房とを切り換えることが行なわれている。このような四方切換弁として、特許文献１には、図３に示すような四方切換弁が提案されている。

この四方切換弁３０は、密閉中空のシリンダ状の弁本体２２を有し、弁本体２２には、圧縮機２３の吐出管に連結され、高圧の冷媒が流入する高圧管２４と、圧縮機２３の吸入管に連結され、低圧の冷媒が流出する低圧管２５と、低圧管２５を挟んで両側に配置され、熱交換機２６、２７に連結された一対の導管２８、２９とが接続される。

また、弁本体２２内には、密閉空間内を往復移動するピストン３１、３２が収容され、これらの間に椀状の弁体３３が配置される。ピストン３１、３２は、それらの内側に位置する第１室（高圧室）３５と、外側に位置する第２室（低圧室）３６との差圧に応じて動作し、それに伴って弁体３３が弁座３７上を摺動する。尚、高圧室３５及び低圧室３６間の差圧は、パイロット弁３８によって制御される。

そして、図示のように、弁体３３を左端に摺動させた場合には、弁体３３の外側で高圧管２４と右側の導管２９を連通させつつ、弁体３３の内側で低圧管２５と左側の導管２８を連通させることができる。逆に、弁体３３を右端に摺動させた場合には、高圧管２４を左側の導管２８と、低圧管２５を右側の導管２９と連通させることができ、弁体３３の位置を切り換えることで、冷媒通路を変更することができる。

特開２００９−４１６３６号公報

上記四方切換弁３０において、装置コストを低減するため、比較的安価な材料であるナイロンによって弁体３３を形成した場合には、ナイロンは摩擦係数が大きいため、弁体３３が弁座３７上を摺動する際に異音が生じるという問題があった。そこで、弁座３７の表面粗さを大きくし、弁体３３を弁座３７の表面の、冷媒に含まれる潤滑油によって形成された油膜と積極的に接触させることにより、摩擦係数を小さくして異音の発生を防止することも考えられるが、この場合には、弁体３３と弁座３７との間に隙間が生じて流体の漏れが生じるおそれがあった。

そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、弁体を比較的摩擦係数の大きい材料で形成した場合でも、異音の発生と、流体の漏れの両方を防止することが可能な四方切換弁を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明は、密閉空間を有する弁本体と、該弁本体の一側部に連結され、前記密閉空間と連通する第１導管と、前記弁本体の他側部に連結され、前記密閉空間と連通する第２導管と、該第２導管を挟んで両側に各々隣接して配置され、前記密閉空間と連通する第３及び第４導管と、前記弁本体内において前記第２乃至第４導管の各々に連通する開口部を有する弁座と、該弁座に摺動可能に配置される弁体とを備え、前記弁座上で前記弁体を一方向又は他方向に摺動させることにより、前記第１導管と前記第３導管との間、又は前記第１導管と前記第４導管との間の連通状態が選択的に切り替えられる四方切換弁であって、前記弁座の前記弁体側表面の算術平均粗さＲａが０．４以上１．２以下であることを特徴とする。

そして、本発明によれば、弁座の弁体側表面の算術平均粗さを０．４以上１．２以下としたため、弁体を比較的摩擦係数の大きい材料で形成した場合でも、弁体摺動時に、弁座及び弁体から異音が発生することがなく、弁座と弁体の当接面から流体が漏れるのを防止することもできる。

以上のように、本発明によれば、弁体を比較的摩擦係数の大きい材料で形成した場合でも、弁体摺動時に異音が発生することを防止すると共に、弁座と弁体の当接面から流体が漏れることを防止することが可能な四方切換弁を提供することができる。

本発明に係る四方切換弁の一実施の形態を示す断面図である。 弁座の摺動面のＲａと異音及び弁洩れ量の関係を示すグラフである。 従来の四方切換弁の一例を示す断面図である。

次に、本発明に係る四方切換弁の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明に係る四方切換弁を冷凍サイクルシステムの冷媒通路を切り換えるために用いる場合を例にとって説明する。

図１は、本発明に係る四方切換弁の一実施の形態を示し、この四方切換弁１は、密閉中空のシリンダ状の弁本体２に、圧縮機（不図示）からの高圧の冷媒が流入する第１導管４に連通する開口部５と、圧縮機（不図示）の吸入管に連結され、低圧の冷媒が流出する第２導管６に連通する開口部７を設け、この開口部７を挟んで両側に、熱交換機（不図示）への第３及び第４導管１０、１１に連通する２つの開口部１２、１３を配置し、椀状の弁体１４が弁座１５に摺動自在に設けられる。

弁体１４はナイロンで形成され、弁座１５の弁体側表面は真鍮で形成される。この弁座１５の弁体側表面には、冷媒に含まれる潤滑油によって油膜が形成され、弁体１４の摺動時の摩擦を低減するように機能する。

弁座１５の弁体側表面は、JIS B0601で規定されるＲａ（算術平均粗さ）が０．４以上１．２以下に設定される。これにより、後述するように、弁体１４が弁座１５上を摺動する際の異音の発生を防止することができると共に、弁座１５と弁体１４の当接面から冷媒が漏れることを防止することができる。

弁本体２の内部には、弁座１５と栓体２ａとの間にピストン１６が、弁座１５と栓体２ｂとの間にピストン１７が設けられ、ピストン１６、１７の間に、高圧室１８が形成される。ピストン１６、１７は、連結板１９によって一体的に移動可能に連結される。ピストン１６と栓体２ａとの間に形成された作動室２０と、ピストン１７と栓体２ｂとの間に形成された作動室２１とは、導管を介して四方切換パイロット弁（不図示）に連結されている。パイロット弁が、作動室２０、２１の間に介在することにより、作動室２０、２１のいずれか一方が導管を介して高圧側の第１導管４に連通するとき、他方の作動室が導管を介して低圧側の第２導管６に連通するように構成される。

上記構成を有する四方切換弁１は、例えば、図１に示す冷房時において、第１導管４から第３導管１０へ圧縮機からの高圧の冷媒が流れ、第４導管１１から第２導管６に低圧の冷媒が流れる。

冷房から暖房に切り換えるには、例えば、パイロット弁に通電励磁することにより、作動室２１の圧力が徐々に低下し、高圧室１８内の圧力によってピストン１７も徐々に栓体２ｂ側に移動し、栓体２ｂに衝撃を与えずに栓体２ｂまでピストン１７が到達する。これにより、弁体１４が右方へ移動して開口部７と開口部１０とを覆い、冷媒の流れが反対になって暖房運転となる。

次に、本発明の試験例について図２を参照しながら説明する。

上記構成を有する四方切換弁１を用い、弁座１５の弁体側表面のＲａを変化させた際の異音振動と弁漏れ量の関係を試験によって求めた。図２にその結果を示す。同図において、横軸は弁座１５の［Ｒａ］を、縦軸は異音振動［Ｇ］及び弁漏れ量［ｃｍ³／ｍｉｎ］を示す。

同図より、弁座１５の表面粗さＲａを０．４未満とすると、異音振動が０．６Ｇと大きくなり、弁座１５の表面粗さＲａが１．２を超えると、弁漏れ量が急激に増加することが判る。

そこで、弁座１５の表面粗さＲａの範囲を０．４以上１．２以下とすることで、弁体摺動時に、弁座１５及び弁体１４から異音が発生することがなく、弁座１５と弁体１４の当接面から流体が漏れるのを防止することもできる。

尚、上記試験例では、弁体１４をナイロンで形成し、弁座１５の弁体側表面を真鍮で形成したが、弁体１４をナイロンと同様に比較的摩擦係数の大きい材料で形成し、弁座１５の弁体側表面を真鍮と同様の摩擦係数を有する他の金属等で形成した場合にも、弁座１５の弁体側表面Ｒａを０．４以上１．２以下とすることで、異音の発生と、流体の漏れを防止することができる。

１ 四方切換弁
２ 弁本体
２ａ 栓体
２ｂ 栓体
４ 第１導管
５ 開口部
６ 第２導管
７ 開口部
１０ 第３導管
１１ 第４導管
１２ 開口部
１３ 開口部
１４ 弁体
１５ 弁座
１６、１７ ピストン
１８ 高圧室
１９ 連結板
２０、２１ 作動室

Claims (1)

1. 密閉空間を有する弁本体と、該弁本体の一側部に連結され、前記密閉空間と連通する第１導管と、前記弁本体の他側部に連結され、前記密閉空間と連通する第２導管と、該第２導管を挟んで両側に各々隣接して配置され、前記密閉空間と連通する第３及び第４導管と、前記弁本体内において前記第２乃至第４導管の各々に連通する開口部を有する弁座と、該弁座に摺動可能に配置される弁体とを備え、前記弁座上で前記弁体を一方向又は他方向に摺動させることにより、前記第１導管と前記第３導管との間、又は前記第１導管と前記第４導管との間の連通状態が選択的に切り替えられる四方切換弁であって、
   前記弁座の前記弁体側表面の算術平均粗さＲａが０．４以上１．２以下であることを特徴とする四方切換弁。