この発明に係る弾性ローラを、その一例を挙げて、説明する。この発明に係る弾性ローラの一例である弾性ローラ1は、図1に示されるように、軸体2と弾性層3とコート層4とを備えている。
軸体2は、従来公知の現像ローラにおける軸体と基本的に同様である。この軸体2は、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体であり、良好な導電特性を有している。軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよい。
弾性層3は、従来公知の現像ローラにおける弾性層と基本的に同様である。この弾性層3は、前記軸体2の外周面に後述する導電性組成物を硬化して成り、20〜70のJIS A硬度を有しているのが好ましい。弾性層3が20〜70のJIS A硬度(JIS K6301)を有していると、弾性ローラ1と被当接体との接触面積を大きくすることができ、また、弾性層3の反発弾性及び圧縮永久ひずみが優れる。
弾性層3は、体積抵抗率が101〜107Ω・cmの範囲にあり、及び/又は、電気抵抗率が101〜109Ωの範囲にあるのが好ましい。弾性層3の体積抵抗率及び/又は電気抵抗率が前記範囲内にあると、弾性ローラ1を画像形成装置に装着したときに、現像剤を所望のように担持、供給して所望の品質を有する画像を形成することに貢献できる。前記体積抵抗率はJIS K6911に規定された方法(印加電圧を100V)に準じて測定することができる。前記電気抵抗率は、例えば、電気抵抗計(商品名:ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A、株式会社アドバンテスト製)を用い、弾性ローラ1を水平に置き、5mmの厚さ、30mmの幅、及び、弾性ローラ1の弾性層3全体を載せることのできる長さを有する金メッキ製板を電極とし、500gの荷重を弾性ローラ1における軸体2の両端それぞれに支持させた状態にして、軸体2と電極との間にDC100Vを印加し、1秒後の電気抵抗計の値を読みとり、この値を電気抵抗値とする方法に準拠して、測定することができる。
弾性層3は、被当接体との当接状態において被当接体と弾性層3との均一なニップ幅を確保することができる点で、その厚さは1mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのが特に好ましい。一方、弾性層3の厚さの上限は弾性層3の外径精度を損なわない限り特に制限されないが、一般に弾性層3の厚さを厚くしすぎると弾性層3の作製コストが上昇するから、実用的な作製コストを考慮すると弾性層3の厚さは30mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。なお、弾性層3の厚さは、所望のニップ幅を達成するために、弾性層3の硬度、例えば、JIS A硬度等に応じて、適宜選択される。
コート層4は、図1に示されるように、弾性層3の外周面であって弾性層3の軸線方向両端側それぞれに形成された端部コート層4Aと、弾性層3の外周面であって端部コート層4Aの間に形成された中央コート層4Bとを有している。このように、弾性層3の軸線方向両端側それぞれに端部コート層4Aを有していると、後述するように、弾性ローラ1の交換時期に対応してバイアス電流が外部に漏洩する程度に端部コート層4Aを摩耗させることができ、例えば画像形成装置による印刷可能枚数をもって端部コート層4Aを剥離して新たな端部コート層4Aを形成することで、再使用可能な弾性ローラ1とすることができる。また、中央コート層4Bを有していると、所望の帯電量に帯電した所望量の現像剤を担持搬送して像担持体に供給でき、高品質の画像を形成することに大きく貢献できる。そして、端部コート層4A及び中央コート層4Bが、特に同じ厚さで、形成されていると、端部コート層4Aへのダメージを軽減するという効果が得られる。
端部コート層4Aそれぞれは、弾性層3の軸線方向両端側の外周面に形成されている。好ましくは、端部コート層4Aそれぞれは、図2に示されるように、現像装置に装着されたときに、少なくとも現像剤シール部材25に接触する領域を超えて中央側に向かって伸びるように、具体的には、自身の中央側端部4Cが、現像剤シール部材25を超えてこの現像剤シール部材25に並設された現像剤規制部材24の内側まで到達するように、弾性層3の外周面に形成されている。換言すると、端部コート層4Aそれぞれは、現像装置に装着されたときに、現像剤シール部材25と現像剤規制部材24とに接する弾性層3の外周面に形成されている。より具体的には、弾性ローラ1の軸線長さにも依存するが、A3用紙(JIS)に画像を形成する画像形成装置に装着される場合には、端部コート層4Aそれぞれは、弾性層3の各端縁から中央側に向かって5〜15mmまでの外周面に形成される。一般に現像剤シール部材25と現像剤規制部材24との境界部分に現像剤が物理的に付着して現像剤漏れを発生しやすいと推測されるが、弾性ローラ1は、端部コート層4Aが前記境界部分を超えて形成されているから、現像装置に装着されても、物理的に付着しやすい前記境界付近の現像剤量を大幅に低減することができ、現像剤漏れを高度に防止できる。
端部コート層4Aは、ポリオールとシランカップリング剤とを反応させてなる樹脂(以下において単に「樹脂」と称することがある。)とフッ素樹脂粒子とを含有し、導電性付与剤及びイオン液体を実質的に無含有であり、非導電性になっている。ここで、この発明において「導電性付与剤及びイオン液体を実質的に無含有」とは端部コート層4Aに導電性付与剤及びイオン液体が積極的に含有されていないことを意味し、導電性付与剤及びイオン液体が完全に存在しない場合に加えて、端部コート層4Aが導電性を発揮しない含有量で含有されている場合をも含む概念である。端部コート層4Aが導電性を発揮しない含有量としては、例えば、導電性付与剤及びイオン液体それぞれが樹脂100質量部に対して0.1質量部以下である。また、「非導電性」とは電圧を印加しても電流が流れない状態であることをいう。
前記樹脂は端部コート層4Aに主成分として、例えば、端部コート層4Aの全質量に対して50質量部%以上の割合で含有されている。端部コート層4Aに主成分すなわちベースポリマーとしてこの樹脂が含有されていると、弾性ローラ1の交換時期に対応してバイアス電流が漏洩する程度に端部コート層4Aが摩耗しやすく、中央コート層4B及び弾性層3が所期の機能を損なうほど摩耗、損傷することを実質的に防止できる。
前記ポリオールは、特に限定されず、具体的には、エステル系、エーテル系等が挙げられる。
シランカップリング剤は、ポリオールの水酸基と反応する置換基、例えば、エポキシ基、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基を含む有機基とアルコキシ基とを有していればよく、例えば、γ−グリシドキシプロピル基を有するシランカップリング剤、ビニル基を有するシランカップリング剤、γ−メタクリロキシプロピル基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。このようなシランカップリング剤として、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
前記樹脂は、ポリオールの水酸基とシランカップリング剤の置換基とが反応して得られる樹脂である。ポリオールとシランカップリング剤との反応は、例えば、温度120℃〜160℃で実施することができる。
フッ素樹脂粒子は、フッ素樹脂で形成される粒子である。この粒子を形成するフッ素樹脂は特に限定されず、通常用いられるフッ素樹脂、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂)、PVdF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、PVF(ポリフッ化ビニル)等が挙げられる。端部コート層4Aにフッ素樹脂粒子が含有されていると、耐久性が高いことに加えて、フッ素樹脂の小さな摩擦力及び高い滑り性によって現像剤の物理的吸着量を低減できるうえ、現像剤の静電吸着量を増大できるから、そもそも現像装置外で脱離する現像剤を少なくすることができ、さらに、現像剤を均一に帯電させて静電的に強固に吸着保持することができる。端部コート層4Aに含有されるフッ素樹脂粒子の粒径は、端部コート層4A内に均一に分散できる点で、0.1〜2μmであるのが好ましく、0.1〜1.5μmであるのが特に好ましい。前記粒径の測定方法は光散乱法である。フッ素樹脂粒子は、端部コート層4Aが潤滑性と柔軟性とを高い水準で両立できるうえ、現像装置外に現像剤が漏出することを効果的に防止できる点で、樹脂100質量部に対して10〜50質量部含有されているのが好ましく、10〜47質量部含有されているのがより一層好ましく、23〜47質量部含有されているのが特に好ましい。
この発明においては、現像剤を効果的に静電吸着することにより現像剤の漏れを効果的に防止できる点で、現像装置に収容される現像剤の帯電性と逆の帯電性を有するフッ素樹脂であるのが好ましい。例えば、現像装置に収容される現像剤がプラスに帯電するプラス帯電現像剤である場合には、フッ素樹脂はマイナスに帯電するマイナス帯電フッ素樹脂であるのが好ましい。このように、端部コート層4Aが現像剤の帯電性と逆の帯電性を有するフッ素樹脂で形成されていると、現像剤の漏れを効果的に防止できる。
前記フッ素樹脂のうち、マイナス帯電フッ素樹脂としては、例えば、PTFE、PFA、PVdF、PVF等が挙げられ、プラス帯電フッ素樹脂としては、公知の各種樹脂が挙げられる。
端部コート層4Aに実質的に含有されることのない導電性付与剤は、後述のイオン液体以外の導電性を有している物質であり、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、導電性ポリマー等の導電性粉末が挙げられる。
端部コート層4Aに実質的に含有されることのないイオン液体は、オニウム塩の1種であり、少なくとも室温付近の温度で液体状態にある高導電率を有する液体化合物であって「イオン性液体」とも称される。このようなイオン液体として、例えば、ピリジニウム系イオン液体、アミン系イオン液体、イミダゾール系イオン液体等が挙げられる。
端部コート層4Aは、各種樹脂組成物、例えば各種樹脂組成物に通常用いられる各種添加剤等を含有していてもよい。このような添加剤として、例えばアクリルエマルジョン等が挙げられる。
端部コート層4Aは、摩耗量を考慮して弾性ローラの交換時期に対応する層厚に設定され、通常0.1〜50μmの範囲から選択される。例えば、簡易プリンター、パーソナルプリンター等の画像形成装置において印刷可能枚数、すなわち弾性ローラの交換時期を3000〜6000枚に設定する場合には7〜13μmの層厚に設定され、高性能プリンター等の画像形成装置において印刷可能枚数を100000枚に設定する場合には15〜25μmの層厚に設定される。
端部コート層4Aは、ポリオールとシランカップリング剤とを反応させてなる樹脂を主成分としているから、後述する中央コート層4Bよりも摩耗し易く、端部コート層4Aが摩耗しても、弾性層3及び中央コート層4Bは所期の機能を損なうほど摩耗も損傷もすることが実質的にない。弾性ローラの寿命は、端部コート層4Aにおける、ポリオール及びシランカップリング剤の含有割合、フッ素樹脂粒子の含有割合、端部コート層4Aの膜厚等を適宜変更することにより設定することができ、例えば画像形成装置による印刷可能枚数として特定の枚数に設定することができる。
中央コート層4Bは、端部コート層4Aの間、すなわち、弾性層3の中央部に端部コート層4Aそれぞれに接するように形成されている。
中央コート層4Bは、前記端部コート層4Aの間に配置され、ウレタン樹脂と導電性付与剤と充填剤粒子とを含有し、イオン液体を実質的に無含有であり、導電性になっている。ここで、この発明において「イオン液体を実質的に無含有」とは中央コート層4Bにイオン液体が積極的に含有されていない概念である。中央コート層4Bにおけるイオン液体の含有量としては、例えば、イオン液体それぞれがウレタン樹脂100質量部に対して0.1質量部以下である。また、「導電性」とは100V印可時の電気抵抗が103Ω〜108Ωの範囲であることをいう。
前記ウレタン樹脂は、公知のウレタン樹脂であればよく、通常、ポリオールとポリイソシアネートとから得られる。この発明の目的をよく達成できる点で、ポリオールはポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールであるのが好ましい。このポリイソシアネートは、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、導電性ポリマー等の導電性粉末及びイオン性液体が挙げられる。この導電性付与剤は、中央コート層4Bが所望の導電性を発揮でき、かぶりの発生をより一層効果的に防止できる点で、前記ウレタン樹脂100質量部に対して5〜10質量部含有されているのが好ましい。
充填剤粒子は、特に限定されないが、シリカ系充填材を用いることができる。シリカ系充填材としては、例えば、煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)3で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。なお、シランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が入手可能である。充填剤粒子の平均粒子径は特に限定されないが、例えば1〜80μmであるのが好ましく、1〜40μmであるのが特に好ましい。充填剤粒子の平均粒子径は、例えば、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)等として測定することができる。
充填剤粒子は、弾性ローラ1における物理的な現像剤の搬送量を長期間にわたって実質的同様に維持できる点で、前記ウレタン樹脂100質量部に対して1〜20質量部含有されているのが好ましく、1〜15質量部含有されているのが特に好ましい。
中央コート層4Bは、中央コート層4Aに含有されるフッ素樹脂粒子を実質的に無含有である。ここで、この発明において、「フッ素樹脂粒子を実質的に無含有」とは中央コート層4Bにフッ素樹脂粒子が積極的に含有されていないことを意味し、フッ素樹脂粒子が完全に存在しない場合に加えて、フッ素樹脂粒子が奏する効果を発揮しない含有量で含有されている場合をも含む概念である。フッ素樹脂粒子が奏する効果を発揮しない含有量で含有される場合として、例えば、端部コート層4Aのフッ素樹脂粒子が中央コート層4Bに侵入して中央コート層4B内に留まる場合が挙げられる。なお、フッ素樹脂粒子が奏する効果を発揮しない含有量は、例えば、前記ウレタン樹脂100質量部に対してフッ素樹脂粒子は0.1質量部以下である。
中央コート層4Bは、端部コート層4Aよりも厚く形成されても薄く形成されてもよいが端部コート層4Aと同じ層厚を有しているのが好ましく、通常0.1〜50μmの範囲から選択されるのが好ましい。中央コート層4Bがこのように形成されていると所望の帯電量に帯電した所望量の現像剤をその表面に担持して像担持体に供給できる。
コート層4は、前記のように弾性層3の軸線方向両端側それぞれに形成された端部コート層4Aとこの端部コート層4Aの間に形成された中央コート層4Bとを有していればよく、端部コート層4Aと中央コート層4Bとが隣接して重なることなく形成されていてもよく、また、中央コート層4Bの外周面上に端部コート層4Aが重ねて形成されていてもよい。例えば、この発明において、コート層は、弾性層3の外周面全体に中央コート層を配置し、中央コート層における軸線方向両端側それぞれに端部コート層を重ねて配置することもできる。
弾性ローラ1は、軸体2の外周面に弾性層3を形成し、さらに、弾性層3の外周面にコート層4を形成して、製造される。弾性ローラ1を製造するには、まず、軸体2が準備される。例えば、軸体2は公知の方法により所望の形状に調製される。この軸体2は、弾性層3が形成される前にプライマーが塗布されてもよい。軸体2に塗布されるプライマーとしては、特に制限はないが、弾性層3とコート層4とを接着又は密着させるプライマー層とを形成する材料と同様の樹脂及び架橋剤が挙げられる。プライマーは、所望により溶剤等に溶解され、定法、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、軸体の外周面に塗布される。
弾性層3は、導電性組成物を軸体2の外周面に加熱硬化して形成される。導電性組成物としては、ゴムと、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。前記ゴムは、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等のゴムが挙げられるが、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム又はウレタンゴムであるのが好ましく、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴムが、耐熱性及び帯電特性等に優れる点で、特に好ましい。これらのゴムは、液状型であってもミラブル型であってもよい。前記導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、導電性ポリマー等の導電性粉末が挙げられる。各種添加剤としては、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
弾性層3は、このような導電性組成物を用いて、例えば、公知の成形方法によって加熱硬化と成形とを同時に又は連続して行い、軸体2の外周面に形成される。導電性組成物の硬化方法は導電性組成物の硬化に必要な熱を加えられる方法であればよく、また弾性層3の成形方法も押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されるものではない。導電性組成物を硬化させる際の加熱温度は、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物の場合は、100〜500℃、特に120〜300℃、時間は数秒以上1時間以下、特に10秒以上〜35分以下であるのが好ましく、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の場合は、100〜300℃、特に110〜200℃、時間は5分〜5時間、特に1〜3時間であるのが好ましい。また、必要に応じ、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物の場合は、100〜200℃で1〜20時間程度の硬化条件で、また、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の場合は、120〜250℃で2〜70時間程度の硬化条件で、二次加硫してもよい。また、導電性組成物は既知の方法で発泡硬化させることにより、気泡を有するスポンジ状弾性層を容易に形成することもできる。
このようにして形成された弾性層3は、所望により、その表面が研磨、研削されて、外径及び表面状態等が調整される。また、このようにして形成された弾性層3は、コート層4が形成される前にプライマー層が形成されてもよい。
コート層4は、このようにして形成された弾性層3、又は、所望により形成されたプライマー層の外周面に、端部コート層4Aを形成可能な第1樹脂組成物、及び、中央コート層4Bを形成可能な第2樹脂組成物を塗工し、次いで、塗工された第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物を加熱硬化させて、形成される。ここで、端部コート層4Aと中央コート層4Bとが隣接して重なることなく形成されている場合には、端部コート層4A及び中央コート層4Bの一方が形成される弾性層3の外周面をマスキングして他方が形成される弾性層3の外周面に他方を形成可能な第2樹脂組成物又は第1樹脂組成物を塗工して硬化させた後に、一方を形成可能な第1樹脂組成物又は第2樹脂組成物を塗工して硬化させることにより、互いに隣接する端部コート層4Aと中央コート層4Bとを弾性層3の外周面に形成することができる。一方を他方の上に重ねて形成する場合には、弾性層3の外周面に他方を形成可能な第2樹脂組成物又は第1樹脂組成物を塗工して硬化させた後に、他方が形成される弾性層3の外周面に一方を形成可能な第1樹脂組成物又は第2樹脂組成物を塗工して硬化させることにより、コート層4を弾性層3の外周面に形成することができる。
具体的には、まず、端部コート層4Aを形成可能な第1樹脂組成物及び中央コート層4Bを形成可能な第2樹脂組成物を準備する。第1樹脂組成物としては、前記樹脂を形成する前駆体であるポリオールとシランカップリング剤、フッ素樹脂粒子、所望により充填剤等の各種添加剤を含有する。したがって、端部コート層4Aは、ポリオールとシランカップリング剤、フッ素樹脂粒子及び所望により各種添加剤を含有する第1樹脂組成物を弾性層3の外周面に塗布硬化して形成されている。この第1樹脂組成物におけるポリオールとシランカップリング剤、及びフッ素樹脂粒子の含有量は端部コート層4Aにおける各成分の前記含有量と基本的に同じであり、各種添加剤の含有量は適宜に調整される。第1樹脂組成物において、ポリエステル系ポリオールとシランカップリング剤、及びフッ素樹脂粒子等は前記した通りである。
第2樹脂組成物としては、前記ウレタン樹脂を形成する前駆体であるウレタン調整成分と導電性付与剤と充填剤粒子と所望により各種添加剤とを含有するウレタン樹脂組成物を挙げることができる。したがって、中央コート層4Bは、ウレタン調整成分と導電性付与剤と充填剤粒子と所望により各種添加剤とを含有する第2樹脂組成物を弾性層3の外周面に塗布硬化して形成することができる。この第2樹脂組成物におけるウレタン調整成分、導電性付与剤及び充填剤粒子の含有量は中央コート層4Bにおける各成分の前記含有量と基本的に同じであり、各種添加剤の含有量は適宜に調整される。第2樹脂組成物において、充填剤粒子及び各種添加剤は前記した通りである。
第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物(以下、これらを纏めて樹脂組成物と称することがある。)の塗工は、例えば、樹脂組成物の塗工液を塗工する塗布法、前記塗工液に弾性層3等を浸漬するディッピング法、前記塗工液を弾性層3等に吹き付けるスプレーコーティング法等の公知の塗工方法によって、行われる。樹脂組成物は、そのまま塗工してもよいし、樹脂組成物に、例えば、メタノール及びエタノール等のアルコール、キシレン及びトルエン等の芳香族系溶媒、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶媒等の揮発性溶媒、又は、水を加えた塗工液を塗工してもよい。
このようにして塗工された第1樹脂組成物は、各種の方法で硬化されることができ、例えば、熱風硬化、誘導過熱硬化、マイクロウエーブ硬化等が挙げられる。加熱硬化の条件として、加熱温度は、例えば、100〜180℃、特に120〜160℃、加熱時間は10〜90分間、特に30〜60分間であるのが好ましい。また、塗工された第2樹脂組成物を加熱硬化させる際の加熱温度は、例えば、120〜160℃、特に130〜160℃、加熱時間は20〜60分間、特に30〜60分間であるのが好ましい。
このようにして、弾性層3の外周面に、端部コート層4A及び中央コート層4Bからなるコート層4を形成して、弾性ローラ1を製造することができる。
弾性ローラ1は、端部コート層4A及び中央コート層4Bを有するコート層4を弾性層3の外周面に備えているから、弾性ローラとして画像形成装置等に装着されて端部コート層が外径跳ね上がりにより剥離したりする時期を調整することができるから、この発明に係る弾性ローラの交換時期を判別することができる。
また、弾性ローラ1は、前記樹脂を主成分とする比較的摩耗しやすい端部コート層4Aと前記樹脂よりも摩耗しにくいウレタン樹脂を主成分とする中央コート層4Bとを備えているから、端部コート層4Aが摩耗し、最終的に消失しても、弾性層3及び中央コート層4Bは所期の機能を損なうほど摩耗も損傷もすることが実質的にない。したがって、この弾性ローラ1は摩耗又は消失した端部コート層4Aが形成されていた弾性層3の外周面に前記のようにして新たな端部コート層4Aを再形成することによって所期の機能を有する弾性ローラ1に再生されることができる。したがって、この弾性ローラ1は、端部コート層4Aが剥離したり、摩耗したりしても、その軸体2、弾性層3及び中央コート層4Aを再利用することができ、コスト削減等が実現できる。このように、この発明によれば、端部コート層4Aが剥離したりしても端部コート層4Aを再生することにより、少なくとも弾性層、加えて軸体及び/又は中央コート層を再利用できる弾性ローラを提供するという課題を解決できる。
次に、この発明に係る弾性ローラ1を備えた現像装置(以下、この発明に係る現像装置又は現像カートリッジと称することがある。)及び画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図3を参照して、説明する。この画像形成装置10は、図3に示されるように、各色の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト6上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト6上に直列に配置されている。現像ユニットBは、像担持体11B例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、帯電手段12B例えば帯電ローラと、露光手段13Bと、現像装置20Bと、転写搬送ベルト6を介して像担持体11Bに当接する転写手段14B例えば転写ローラと、クリーニング手段15Bとを備えている。
現像装置20Bは、この発明に係る現像装置の一例であり、図3に示されるように、現像剤担持体23Bとしてこの発明に係る弾性ローラと、現像剤22B、例えば、プラス帯電現像剤と、現像剤担持体23Bの両端部に当接して現像剤漏れを防止する現像剤シール部材25(図3に図示しない。)とを備えている。したがって、この画像形成装置10において、弾性ローラ1は、現像剤担持体23B、23C、23M及び23Y、すなわち、現像ローラとして装着されている。現像装置20Bは、具体的には、一成分非磁性の現像剤22Bを収容する筐体21Bと、現像剤22Bを像担持体11Bに供給する現像剤担持体23B例えば現像ローラと、現像剤22Bの厚みを調整する現像剤量調節手段24B例えばブレードと、現像剤担持体23Bの両端部に当接して現像剤漏れを防止する現像剤シール部材25(図3に図示しない。)とを備えてなる現像装置又は現像カートリッジである。現像装置20Bにおいて、現像剤担持体23B、現像剤量調節手段24B及び現像剤シール部材25の接触状態は、図2に示される弾性ローラ1、現像剤規制部材24及び現像剤シール部材25の接触状態と基本的に同様であり、現像剤量調節手段24Bは現像剤担持体23Bの外周面に接触又は圧接している。すなわち、前記現像装置20Bは所謂「接触式現像装置」である。前記現像ユニットC、M及びYは現像ユニットBと基本的に同様に構成されている。
この現像装置20Bが備えている現像剤シール部材25は、図2に示されるように、弾性ローラ1の外周面に接触する円弧状摺接面を有する公知の現像剤シール部材を用いることができ、例えば、特許文献1の「端部シール部材21」等が挙げられる。現像剤シール部材25は、少なくとも円弧状摺接面が例えばフェルト等の弾性部材で形成されており、この円弧状摺接面が弾性ローラ1の端部コート層4Aの外周領域それぞれに当接又は圧接するように、現像装置に装着又は固定されている。具体的には、図2に示されるように、弾性ローラ1は、端部コート層4Aの外周領域それぞれの端部側が現像剤シール部材25の円弧状摺接面に接触し、端部コート層4Aそれぞれの中央側及び中央コート層4Bが現像剤シール部材25に並設された現像剤規制部材24に接触するように、現像装置20Bに装着されている。このように、現像剤シール部材25は端部コート層4Aとほぼ同じ半径を有する円弧状当接面を有しており、図示しない後端部で現像装置20Bの筐体に固定されている。なお、現像剤シール部材25としては、特許文献1の「端部シール部材21」の他に、例えば、特開2007−140139号公報に記載の「トナーシール構成」、特開2009−265574号公報の「サイドシール部材」等を採用することもできる。
画像形成装置10において、現像装置20Bの現像剤担持体23Bは、その表面が像担持体11Bの表面に接触又は圧接するように配置されている。前記現像装置20C、20M及び20Yも、前記現像装置20Bと同様に、その表面が現像剤担持体23C、23M及び23Yが像担持体11C、11M及び11Yの表面に接触又は圧接するように配置されている。すなわち、この画像形成装置10は所謂「接触式画像形成装置」である。
定着手段30は、現像ユニットYの下流側に配置されている。この定着手段30は、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト36と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。画像形成装置10の底部には、記録体16を収容するカセット41が設置されている。転写搬送ベルト6は複数の支持ローラ42に巻回されている。
画像形成装置10に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。各現像ユニットの筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yが収納されている。これらの現像剤22B、22C、22M及び22Yはいずれも、この例においてはプラス帯電現像剤である。プラス帯電現像剤としては、例えば、正帯電性の非磁性1成分の重合現像剤が挙げられる。プラス帯電現像剤は、具体的に、アクリル酸、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体又はスチレン系単量体を重合又は共重合させて得られる結着樹脂、着色剤、荷電制御剤及びワックス等からなる現像剤粒子と各種の外添剤とを有する略球状の現像剤である。前記着色剤としては、黒、シアン、マゼンタ及び黄色の各着色剤が挙げられる。前記荷電制御剤としては、例えば、アンモニウム塩等のイオン性官能基を有するイオン性単量体と、スチレン系単量体、前記アクリル系単量体等のイオン性単量体と共重合可能な単量体との共重合によって得られる荷電制御樹脂が挙げられる。前記外添剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物の粉末、炭化物の粉末、金属塩の粉末等の無機粉末が挙げられる。なお、現像剤をプラスに帯電させるには、前記結着樹脂の種類、特性等を選択すればよく、前記結着樹脂を含有していると、現像剤はプラスに帯電する。
現像剤22B、22C、22M及び22Yの形状はいずれも通常球形であり、その体積平均粒径は5〜10μmである。前記体積平均粒径は細孔電気抵抗法を用いた測定方法による測定値である。例えば、ベックマンコールター社製コールターマルチサイザーII(アパーチャ径100μm)あるいは同等の装置等を用いて測定をすることができる。
画像形成装置10は、以下のようにして記録体16にカラー画像を形成する。まず、現像ユニットBにおいて、帯電手段12Bで帯電した像担持体11Bの表面に露光手段13Bにより静電潜像が形成され、現像剤担持体23Bにより供給された現像剤22Bで黒色の静電潜像が現像される。そして、記録体16が転写手段14Bと像担持体11Bとの間を通過する際に黒色の静電潜像が記録体16Bの表面に転写される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段30によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
このタンデム型画像形成装置10において、現像剤担持体23としてこの発明に係る弾性ローラ1を用いると、周囲の環境によらずに、現像剤漏れを効果的に防止できると共にかぶりの発生等の画像品質に与える画像欠陥の発生を実質的に抑えることができると共に長期間にわたって所望の印字濃度を維持でき、さらにハーフトーン画像における濃度ムラの発生等も防止でき、その結果、高品質の画質を形成することに大きく貢献する。また、現像装置20B、20C、20M及び20Yはいずれも現像剤担持体23として弾性ローラ1を備えている。したがって、この発明によれば、互いに相反する画像形成装置の特性である画質品質と現像剤の漏れとを高い水準で両立できる弾性ローラ及び現像装置を提供できる。
この画像形成装置30は、ポリオールとシランカップリング剤とを反応させてなる樹脂とフッ素樹脂粒子とを含有する弾性ローラ1を備えているから、上述したように、フッ素樹脂粒子の含有量等に応じて弾性ローラの交換時期を予測することができ、交換した使用済の弾性ローラにおける両端部に端部コート層を形成することにより元の機能を有する弾性ローラに再生することができるから、半永久的に弾性ローラを使用し続けることができる。したがって、この発明によれば、弾性ローラの適正な交換時期を予測して弾性ローラを効率よく使用することができる画像形成装置を提供できる。
この発明に係る弾性ローラ、現像装置及び画像形成装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、弾性ローラ1は、端部コート層4Aと中央コート層4Bとを有するコート層4を備えているが、この発明において、弾性ローラは端部コート層を備えていればよく、中央コート層は備えていなくてもよい。
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の表面にプライマー層を形成した。
次いで、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(D)(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、R−972)1質量部、平均粒径6μm、嵩密度が0.25g/cm3である珪藻土(F)(オプライトW−3005S、北秋珪藻土株式会社製)40質量部、及び、アセチレンブラック(G)(デンカブラックHS−100、電気化学工業株式会社製)5質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、架橋剤として、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(E)(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、及び、白金触媒(H)(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分撹拌して混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を液体射出成形により軸体2の外周面に成形した。液体射出成形において、前記付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を10分間150℃に加熱して硬化させた。この成形体を研磨して外径20mmの弾性層3を形成した。この弾性層3は、JIS A硬度は40で体積抵抗率及び電気抵抗率は共に前記範囲内にあった。
端部コート層4Aを形成可能な第1樹脂組成物として、下記組成を主として有する、「T820 Clearヘンケルジャパン株式会社製)」を準備した。
・ポリエステル系ポリオールとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとを反応させてなる樹脂35質量部(反応時における混合比は、ポリエステル系ポリオール30質量部とグリシドキシプロピルトリメトキシシラン5質量部)
・フッ素樹脂(PTFE)粒子(粒径1μm)12質量部(前記樹脂100質量部に対して34.3質量部)
・純水40質量部
・導電性付与剤0質量部
・イオン液体0質量部
中央コート層4Bを形成可能な第2樹脂組成物を調製した。
・ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)14質量部
・縮合系ポリエステルポリオール(1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸との混合モル比[COOH/OH]=12/13)28質量部(前記イソシアネートとポリエステルポリオールとのモル比[NCO/OH]=1.1/1)
・導電性付与剤としてカーボンブラック(商品名「トーカブラック#4500」、東海カーボン株式会社製)3質量部(粒径40nm、ウレタン調整成分100質量部に対して7.1質量部)
・ジブチル錫ジラウレート(商品名「ジ−n−ブチルすずジラウレート」、昭和化学株式会社製)0.03質量部
・充填剤粒子としてシリカ(商品名「ACEMATT OK−607」、デグサ社製、平均粒子径1.5μm)4質量部(ウレタン調整成分100質量部に対して9.5質量部)
・イオン液体0質量部
弾性層3の各端縁から中央側に向かって6mmまでの外周面以外の外周面にマスキング処理を施して、準備した第2樹脂組成物を弾性層3の外周面にスプレーコーティング法によって塗布し、160℃で30分間加熱して層厚20μmの中央コート層4Bを形成した。次いで、中央コート層4Bの外周面にマスキング処理を施して、準備した第1樹脂組成物を弾性層3の外周面にスプレーコーティング法によって塗布し、160℃で30分間加熱して層厚10μmの端部コート層4Aを形成した。このようにして実施例1の弾性ローラを製造した。
(実施例2)
前記フッ素樹脂(PTFE)粒子を、8質量部(前記樹脂100質量部に対して22.9質量部)に変更したこと以外は実施例1と基本的に同様にして実施例2の弾性ローラを製造した。
(実施例3)
前記フッ素樹脂(PTFE)粒子を、4質量部(前記樹脂100質量部に対して11.4質量部)に変更したこと以外は実施例1と基本的に同様にして実施例3の弾性ローラを製造した。
(比較例1)
前記フッ素樹脂(PTFE)粒子を用いないこと以外は実施例1と基本的に同様にして比較例1の弾性ローラを製造した。
(比較例2)
前記第1樹脂組成物において、導電性付与剤としてカーボンブラック3質量部(粒径0.7μm、前記樹脂100質量部に対して8.6質量部)を用いたこと以外は実施例1と基本的に同様にして比較例2の弾性ローラを製造した。
(比較例3)
前記第1樹脂組成物において、イオン液体を1質量部(前記樹脂100質量部に対して2.9質量部)添加したこと以外は実施例1と基本的に同様にして比較例3の弾性ローラを製造した。
(交換時期の判定)
下記構造を有する簡易回転装置を作製した。具体的には、像担持体としてSUM22製で外径55mm、表面状態がRz30μmである大径ローラと、この大径ローラに1Nの圧力で軸線方向に一様に被験ローラを圧接させるローラ装着部と、大径ローラを回転させる駆動装置とを備えている。このローラ装着部に実施例及び比較例で製造した各弾性ローラを装着して、温度23℃、相対湿度50RH%の環境下、回転速度1000回転/分で大径ローラを5000回回転させた。大径ローラの回転数が1000回を超えた後に100回回転毎に回転を停止して装着された弾性ローラの端部コート層の状態を観察した。
その結果、実施例1〜3の弾性ローラはいずれも設定印刷枚数に対応する回転数3000〜6000回転で端部コート層が剥離することが確認された。一方、比較例1の弾性ローラは12000回転、比較例2、3の弾性ローラは10000回転で端部コート層が剥離することが確認された。弾性ローラが画像形成装置に装着されている場合において、端部コート層がこのように剥離すると、設定印刷枚数の印刷が完了する時を目安にして弾性ローラの交換時期を知ることができる。