JP5995199B2 - 遷移金属錯体内包シリカナノ粒子、遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子、遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子及びこれらの製造方法 - Google Patents

遷移金属錯体内包シリカナノ粒子、遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子、遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子及びこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、中空を有し、該中空内に、遷移金属原子と二座有機配位子とから自己組織的に形成される遷移金属錯体を内包する中空シリカナノ粒子、遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子、遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子、及びこれらの製造方法に関する。
金属ナノクラスターは、数個から数百個の金属原子が集まってできる、数ナノメートルサイズの集合体であり、触媒活性、光学的特性、磁気的特性等の、金属原子そのものとは異なる機能を発揮することから注目されている。
近年、金属ナノクラスターを構成する金属原子の数を制御することによって、様々な機能を発揮することから、新しい知見や発見が期待されている。
特に、その構成原子の数nが数個から数十個と小さいとき、nの値によって金属ナノクラスターの性質が劇的に変化する。したがって、ある特定の性質を有する金属ナノクラスターを得るためには、nがある特定の値となるような金属ナノクラスターを製造する必要がある。
従来、小さいサイズの金属ナノクラスターを製造する物理的方法として、金属気相蒸着法が知られている(非特許文献1等)。得られる金属ナノクラスターの構成原子の数nは、通常10〜10,000である。
また、前記と同様のサイズの金属ナノクラスターを製造する方法として、逆ミセル等のテンプレート中で金属イオン前駆体を還元する溶液合成法も知られている(非特許文献2等)。
しかしながら、これらの方法では、nの値を厳格に制御したり、特に10前後の値とすることは困難であった。
また、製造された金属ナノクラスターは、酸化されやすく、生成したクラスター同士が融合して、より大きいクラスターになりやすいため、化学的、物理的に不安定であるという問題もあった。
これらの問題を解決すべく、デンドリマーの空間を使用し、小さいサイズ(n=12〜60)の金属ナノクラスターを製造する方法が開発されている(非特許文献3等)。
しかし、この方法では、デンドリマーの製造が煩雑であるという問題があった。
本発明に関連して、分子内に孤立三次元空間を有する中空多面体状遷移金属錯体を効率よく製造する方法、及びそれを利用する様々な技術が、本発明者等によって開示されている(特許文献1〜3等)。
特開2004−155660号公報 特開2005−75751号公報 特開2005−255545号公報 WO2010/104113号パンフレット
J.Chem.Phys.,2005,123,124709−1−9 Chem.Soc.Rev.,2006,35,1162−1194 Nature Chem.,2009,1,397−402
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、nの値が厳密に制御され、生成したクラスター同士が融合して大きなクラスターに成長することのない、一個一個が孤立した小さいサイズの遷移金属ナノクラスターを内包する遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子、その製造に有用な、遷移金属錯体内包シリカナノ粒子及び遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子、並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、先に、遷移金属原子(M)n個と二座有機配位子(L)2n個から自己組織的に形成されるM2n型の球状遷移金属錯体の合成を報告している(特許文献1〜4等)。
本発明者等は、このM2n型の球状遷移金属錯体を利用して、nの値が厳密に制御された遷移金属ナノクラスターを製造する方法について、Pd1224球状錯体を例に鋭意研究した。
その結果、二座有機配位子(L)として、後述する一般式(I)で表される化合物を用いて得られるPd1224球状錯体(中空多面体状遷移金属錯体)の外周部に、ゾルゲル法によりケイ素酸化物からなる外層が形成されたPd錯体内包シリカナノ粒子を得た。次いで、中空内に閉じ込められたPd錯体を焼成することにより、Pd1224球状錯体由来の酸化パラジウムからなるナノクラスター(n=12)を内包するシリカナノ粒子を得、さらにこのものを還元することにより、パラジウムのナノクラスター(n=12)を内包するシリカナノ粒子が得られることを見出した。そして、この知見を一般化することにより、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記の、(1)〜(8)の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子、(9)〜(12)の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子、(13)〜(16)の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子、(17)〜(22)の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法、(23)の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の製造方法、(24)の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子の製造方法が提供される。
(1)中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、n個(nは6〜60の整数を表す。)の、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種の遷移金属原子Mと、2n個の二座有機配位子とから自己組織的に形成された遷移金属錯体が内包されていることを特徴する、遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(2)n個(nは6〜60の整数を表す。)の、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種の遷移金属原子Mと、2n個の、下記式(I)
Figure 0005995199
{式中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
Aは、下記式(a)〜(f)
Figure 0005995199
〔Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Dは連結基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、NR(Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)〕のいずれかを表す。
Gは、エチニレン基又はp−フェニレン基を表し、tは0〜6の整数を表す。tが2以上のとき、複数のG同士は同一であっても相異なっていてもよい。}
で表される二座有機配位子とから、自己組織的に形成された遷移金属錯体に、式:Si(OR(Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシラン、又は式:Si(OR(R)(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるアルコキシシランを、前記遷移金属錯体に対して、1000〜30,000当量加えてゾルゲル反応を行い、前記遷移金属錯体の外周部にケイ素酸化物層を形成することで得られたものであることを特徴とする、(1)に記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(3)前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、(1)又は(2)に記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(4)前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである(1)〜(3)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(5)前記遷移金属錯体が、前記二座有機配位子として、下記式(I−1a)
Figure 0005995199
(式中、A、R、R、m1、m2は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を用いて得られたものであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(6)前記遷移金属錯体が、前記二座有機配位子として、下記式(I−1a1)
Figure 0005995199
(式中、Rは前記と同じ意味を表し、m3は1〜6の整数を表す。)で示される化合物を用いて得られたものである、(1)〜(4)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(7)前記シリカナノ粒子の粒子径が、4〜50nmである(1)〜(6)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(8)前記シリカナノ粒子のケイ素酸化物層の厚みが、1〜25nmである(1)〜(7)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
(9)中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、遷移金属酸化物のクラスター〔(MO、Mは、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種を表し、nは6〜60の整数を表し、xは、Mの原子価の1/2を表す。〕が内包されていることを特徴とする、遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
(10)前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、(9)に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
(11)前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである(9)又は(10)に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
(12)(1)〜8のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を、酸化的雰囲気下で焼成して得られたものである、(9)〜(11)のいずれかに記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
(13)中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、遷移金属のナノクラスター(M、Mは、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種を表し、nは6〜60の整数を表す。)が内包されていることを特徴とする、遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。
(14)前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、(12)に記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。
(15)前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである(13)又は(14)に記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。
(16)(9)〜(12)に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の、中空内に存在する遷移金属酸化物を還元することにより得られたものである、(13)〜(15)のいずれかに記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。
(17)n個(nは6〜60の整数を表す。)の遷移金属原子Mと、2n個の、下記式(I)
Figure 0005995199
{式中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
Aは、下記式(a)〜(f)
Figure 0005995199
〔Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Dは連結基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、NR(Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)〕のいずれかを表す。
Gは、エチニレン基又はp−フェニレン基を表し、tは0〜6の整数を表す。tが2以上のとき、複数のG同士は同一であっても相異なっていてもよい。}
で表される二座有機配位子とから自己組織的に形成された遷移金属錯体に、式:Si(OR(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシラン、又は式:Si(OR(R)(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるアルコキシシランを、前記遷移金属錯体に対して、1,000〜30,000当量加えてゾルゲル反応を行う工程を有する、(1)〜(8)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
(18)前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、(17)に記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
(19)前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである(17)又は(18)に記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
(20)前記二座有機配位子として、下記式(I−1a)
Figure 0005995199
(式中、A、R、R、m1、m2は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を用いることを特徴とする、(17)〜(19)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
(21)前記前記二座有機配位子として、下記式(I−1b)
Figure 0005995199
(式中、m3は1〜6の整数を表す。)で示される化合物を用いることを特徴とする、(17)〜(20)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
(22)前記式:Si(OR(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシラン、又は式:Si(OR(R)(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるアルコキシシランの添加量を、前記遷移金属錯体に対して、1,000〜30,000当量の範囲で変化させることにより、前記遷移金属錯体の外周部に形成されるケイ素酸化物層の厚みを所望の値に調整することを特徴とする、(17)〜(21)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
(23)(1)〜(8)のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を、酸化的雰囲気下で焼成する工程を有する、(9)〜(12)に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の製造方法。
(24)(9)〜(12)に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の、中空内に存在する遷移金属酸化物を還元する工程を有する、(13)〜(16)に記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子の製造方法。
本発明によれば、nの値が厳密に制御され、生成したクラスター同士が融合して大きなクラスターに成長することのない、一個一個が孤立した小さいサイズの遷移金属ナノクラスターを内包する遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子、その製造に有用な、遷移金属錯体内包シリカナノ粒子及び遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子、並びにこれらの製造方法が提供される。
本発明によれば、クラスター同士が融合して大きなクラスターに成長することのない、nの値が厳密に制御され、一個一個が孤立した小さいサイズの金属ナノクラスターを、簡便に得ることができる。
図1は、配位子(1)とPd(II)の塩とから中空Pd錯体(2)が形成する反応の模式図〔a)〕、配位子(1)のH−NMRスペクトル図〔b)〕、及び中空Pd錯体(2)のH−NMRスペクトル図〔c)〕である。 図2は、中空Pd錯体(2)のCSI−MSスペクトル図である。 図3は、中空Pd錯体(2)に、2000当量のテトラメトキシシランを添加した後の、1H−NMRスペクトル図である。図中、a)は反応の模式図、b)は反応開始時のH−NMRスペクトル図、c)は48時間経過後のH−NMRスペクトル図、d)は120時間経過後のH−NMRスペクトル図である。 図4は、中空Pd錯体(2)のDOSY NMRスペクトル図である。 図5は、2⊂(SiO2000のDOSY NMRスペクトル図である。 図6は、2⊂(SiO2000及び2⊂(SiO7200の透過型電子顕微鏡(TEM)写真図〔c)及びd)〕、並びに、2⊂(SiO2000及び2⊂(SiO7200の粒子径分布図〔e)及びf)〕である。 図7は、(PdO)⊂(SiO7200のスパッタリングの時間(min)と、スパッタリングされた表面における、PdとSiモル比(Pd/Si×100(%))の関係を示す図である。 図8は、(PdO)⊂(SiO7200の、PdのK−edge X線吸収微細構造測定(XAFS)スペクトル図である。 図9は、(PdO)⊂(SiO7200の、PdのK−edge X線吸収微細構造測定(XAFS,FT)スペクトル図である。 図10は、2⊂(SiO7200、(PdO)⊂(SiO7200、及び、(Pd)⊂(SiO7200の、Solid−state 29Si MAS NMRスペクトル図である。
以下、本発明を、1)遷移金属錯体内包シリカナノ粒子及びその製造方法、2)遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子及びその製造方法、並びに、3)遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子及びその製造方法、に項分けして、詳細に説明する。
1)遷移金属錯体内包シリカナノ粒子及びその製造方法
本発明の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子は、中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、n個の遷移金属原子(M)と、2n個の二座有機配位子(L)とから自己組織的に形成された遷移金属錯体が内包されていることを特徴する。
ここで、nは1〜60の整数であり、好ましくは6、12、24、30又は60、特に好ましくは12である。
また、遷移金属原子(M)は、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種であり、Pd又はPtが好ましく、Pdが特に好ましい。
本発明の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子は、n個の遷移金属原子(M)と、2n個の、前記式(I)で表される二座有機配位子とから、自己組織的に形成された遷移金属錯体に、式:Si(ORで示されるテトラアルコキシシラン、又は式:Si(OR(R)で示されるトリアルコキシシランを、前記遷移金属錯体に対して、1,000〜30,000当量加えてゾルゲル反応を行い、前記遷移金属錯体の外周部にケイ素酸化物層を形成することで得られたものであるのが好ましい。
(i)遷移金属錯体
本発明に用いる遷移金属錯体は、式:M2nで表される組成からなり、中空を有する多面体形状の遷移金属錯体であるのが好ましい。
このような遷移金属錯体は、例えば、前記特許文献1〜4等に記載された球状遷移金属錯体と同様の構造を有するものである。
本発明に用いる好ましい遷移金属錯体は、n個の遷移金属原子(M)と、2n個の前記式(I)で表される二座有機配位子(以下、「二座有機配位子(L)」ということがある。)から、自己組織的に形成されたものである。
前記式(I)中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
前記R、Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−アセチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
また、R、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシル基;アルキル基(メチル基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基等)等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
、Rの、置換基を有していてもよいアルコキシル基のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシル基が挙げられる。
また、R、Rの、置換基を有していてもよいアルコキシル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
Aは、前記式(a)〜(f)のいずれかを表し、(a)が特に好ましい。
式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
、Rの、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
また、これらの置換基としては、前記R、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基の置換基として例示したのと同様のものが挙げられる。
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシル基のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
また、これらの置換基としては、前記R、Rの、置換基を有していてもよいアルコキシル基の置換基として例示したのと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Rは炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、Rは炭素数1〜6のアルコキシル基が好ましい。
Dは連結基を表す。連結基としては、−O−、−S−、−N(r)−(rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)、式:−C(=O)−O−で表される基、式:−O−C(=O)−で表される基、式:−C(=O)−NH−で表される基、式:−NH−C(=O)−で表される基、式:−(CH−で表される基(sは1〜20の整数を表す。)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
これらの中でも、入手容易性の観点から、Dは、式:−O−(CH−*で表される基(式中、sは前記と同じ意味を表し、*は、Siとの結合位置を表す。)であることが好ましく、式:−O−(CHs1−*で表される基(式中、s1は1〜6の整数を表し、*は前記と同じ意味を表す。)であることがより好ましい。
Zは、酸素原子、硫黄原子、NRを表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、R、Rで例示したのと同様のものが挙げられる。
Gは、エチニレン基又はp−フェニレン基を表し、tは0〜6の整数を表す。tが2以上のとき、複数のG同士は同一であっても相異なっていてもよい。tは0であるのが好ましい。
(G)tで表される基としては、例えば、下記式(b−1)〜(b−8)等が挙げられる。式中、*はAとの連結位置を示す。
Figure 0005995199
本発明においては、二座有機配位子(L)としては、下記式(I−1a)〜(I−1d)で表されるいずれかの化合物が好ましく、下記式(I−1a)で表される化合物がより好ましく、下記式(I−1a1)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0005995199
Figure 0005995199
上記式中、A、R〜R、m1、m2は前記と同じ意味を表し、m3は1〜6の整数を表す。
二座有機配位子(L)は、公知の合成法を適用することにより製造することができる。
例えば、下記式(I−2)で表される二座有機配位子(L)は、次のようにして製造することができる。ただし、本発明に用いる二座有機配位子(L)の製造方法は、この方法に限られるものではない。
Figure 0005995199
(式中、R、R、R、G、t、m1は前記と同じ意味を表す。Xは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表し、m4は1〜4の整数を表し、Qは脱離基又は水素原子を表す。)
先ず、式(i)で表されるフェノール化合物に、適当な溶媒中、炭酸カリウム等の塩基存在下、式(ii)で表されるハロゲン化アルケニルを反応させることにより、式(iii)で表される化合物を得ることができる(ウィリアムソン合成)。
用いる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジメトキシエタン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;等が挙げられる。
反応温度は、通常、0℃から溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは10℃〜70℃である。反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数十時間である。
次に、得られた式(iii)で表される化合物と、該化合物に対し2倍当量の式(iv)で表されるピリジン化合物とを反応させることによって、式(vi)で表される化合物を得る。
例えば、tが0である式(I−2)で表される化合物を得る場合には、式(vi)で表される化合物として、4−ピリジルボロン酸ピナコールエステル等の4−ピリジルボロン酸エステル化合物を用い、不活性雰囲気下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)とリン酸カリウムの存在下に、式(iii)で表される化合物と反応させることにより、目的とする式(vi)で表される化合物を得ることができる。
また、Gが、前記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−7)で表される基等の、フェニル基とAが結合する基である、式(I−2)で表される化合物を得る場合も、上記と同様の方法(例えば、下記の文献記載の、鈴木−宮浦クロスカップリング反応や、Stilleクロスカップリング反応)等により目的物を得ることができる。
・上記カップリング反応を総説した書籍:
”Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions”,Armin de Meijere,Franois Diederich,Wiley−VCH
・上記カップリング反応を総説した論文:
”Palladium−Catalyzed Cross−Coupling Reactions in Total Synthesis”K.C.Nicolaou,Paul G.Bulger,David Sarlah,Angew.Chem.Int.Ed.,2005,44,4442−4489
・上記カップリング反応を使った配位子合成の論文:
”Fluorous Nanodroplets Structurally Confined in an Organopalladium Sphere”S.Sato,J.Iida,K.Suzuki,M.Kawano,T.Ozeki,and M.Fujita,Science.,2006,313,1273−1276.
・”24−Fold Endohedral Functionalization of a Self−assembled M12L24 Coordination Nanoball”M.Tominaga,K.Suzuki,T.Murase,and M.Fujita,J.Am.Chem.Soc.,2005,127,11950−11951.
また、(G)がエチニル基である式(I−2)で表される化合物を得る場合には、式(vi)で表される化合物として、4−エチニルピリジン化合物を用い、適当な溶媒中、ジメチルアミン等の塩基、Pd(PhCN)Cl/P(t−Bu)、Pd(PPh等のパラジウム触媒、及びヨウ化第1銅等の銅塩の存在下に、式(iii)で表される化合物と反応させることにより、目的とする式(vi)で表される化合物を得ることができる。
上記反応の文献としては、例えば、次のものが挙げられる。
K.Sonogashira,Y.Tohda,N.Hagihara,Tetrahedron Lett.,1975,4467;J.F.Nguefack,V.Bolitt,D.Sinou,Tetrahedron Lett.,1996,31,5527
いずれの反応においても、用いる溶媒としては、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジメトキシエタン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;等が挙げられる。
また、いずれの反応においても、反応温度は、通常、0℃から溶媒の沸点までの温度範囲であり、反応時間は、用いる化合物の種類や反応規模等にもよるが、通常、1時間から10日である。
式(iv)で示される化合物(又はその塩)の多くは公知物質であり、公知の方法で製造することができる。また、市販品をそのまま用いることもできる。
次いで、得られる式(vi)で表される化合物を、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3、−テトラメチルジシロキサン錯体等の白金錯体触媒存在下、アルコキシシラン化合物とともに還流することにより、目的とする式(I−2)で表される二座有機配位子(L)を得ることができる(ハイドロシリレーション)。
用いる溶媒としては、前記と同様のものが挙げられる。
反応温度は、通常、0℃から溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは10℃〜60℃であり、反応時間は、用いる化合物の種類や反応規模等にもよるが、通常、数分から数十時間である。
遷移金属錯体は、二座有機配位子(L)と遷移金属(M)の塩とを混合することにより得ることができる。遷移金属(M)の塩としては、通常、2価の遷移金属の塩を用いる。用いる遷移金属の塩としては、ハロゲン化物、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、テトラフルオロボレート(BF)塩等が挙げられる。また、遷移金属の塩は、エチレンジアミン、アセトニトリル、トリフェニルホスフィン等の中性の配位子を有していてもよい。これらの中でも、効率よく、目的とする多面体状遷移金属錯体が得られることから、Pd(II)又はPt(II)の、BF塩、硝酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩が好ましく、Pd(II)の、BF塩、硝酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩が特に好ましい。
遷移金属の塩と二座有機配位子(L)との使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、二座有機配位子(L)2モルである。
遷移金属塩と二座有機配位子(L)との反応は、適当な溶媒中で行うことができる。
用いる溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;水等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
遷移金属塩と二座有機配位子(L)との反応は、0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。
反応時間は、数分から数日間である。
反応終了後は、ろ過、イオン交換樹脂等によるカラム精製、蒸留、再結晶等の通常の後処理を行い、目的とする球状遷移金属錯体を単離することができる。
以上のように、遷移金属錯体は、遷移金属イオンと、二座有機配位子(L)との配位結合を利用した自己組織化により簡便に形成することができる。配位結合は適度な結合力があり方向性が明確に規定されているため、精密に構造が制御された分子集合体を自発的かつ定量的に構築することが可能である。
また、遷移金属の種類や酸化数に応じて配位数や結合角を制御することができるため、多様な配位結合性の構造体とすることができるが、本発明においては、nが、6、12、24、30又は60である、M2nの組成からなる球状遷移金属錯体が好ましく、M1224の組成からなる遷移金属錯体が特に好ましい。
得られた遷移金属錯体の構造は、H−NMR、13C−NMR、IRスペクトル、マススペクトル、可視光線吸収スペクトル、UV吸収スペクトル、反射スペクトル、X線結晶構造解析、元素分析等の公知の分析手段により確認することができる。
(ii)遷移金属錯体内包シリカナノ粒子
本発明の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子は、前記遷移金属錯体と、式:Si(ORで表されるテトラアルコキシシラン、又は式:Si(OR(R)で表されるトリアルコキシシラン(以下、「アルコキシシラン等」ということがある。)とのゾルゲル反応により得ることができる。
前記式:Si(OR中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、式:Si(OR(R)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
、Rの、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基の炭素数1〜6のアルキル基としては、前記R、Rで例示したのと同様のものが挙げられる。また、R、Rの置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基の置換基としては、ヒドロキシルル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、R、Rで例示したのと同様のものが挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−クロロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
式:Si(ORで表されるテトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラ(メトキシメトキシ)シラン、テトラ(1−エトキシエトキシ)シラン、テトラ(2−ヒドロキシエトキシ)シラン等のテトラアルコキシシラン;等が挙げられる。
また、式:Si(OR(R)で表されるトリアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、式:Si(ORで表されるテトラアルコキシシランが好ましく、Rが炭素数1〜4のアルキル基である、式:Si(ORで表されるテトラアルコキシシランがより好ましい。
アルコキシシランの添加量は、遷移金属錯体に対して、1,000〜30,000当量、好ましくは1,000〜10,000当量である。
この場合、トリアルコキシシラン等の添加量を変化させることにより、前記Pd錯体の外周部に形成されるケイ素酸化物層の厚みを所望の値に調整することができる。
アルコキシシラン等のゾルゲル縮合反応は、溶媒中で行うのが好ましい。
用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;及び、これらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、アルコール類、又はアルコール類とスルホキシド類との混合溶媒が好ましい。
このような溶媒を用いることにより、ゾルゲル反応が適度な速さで進行し、遷移金属錯体の外周に、ケイ素酸化物層が均一に形成される。
また、この場合、ゾルゲル反応がより円滑に進行する観点から、反応系のpHは、4〜6であるのが好ましい。反応系のpHを4〜6に調整するために、硝酸等の酸を添加してもよい。
ゾルゲル反応の温度は、通常0〜80℃、好ましくは10〜50℃である。反応時間は、反応規模にもよるが、1時間から10日である。
反応終了後は、反応混合物から溶媒を除去し、エチルアセテート、エーテル等の貧溶媒を添加することにより、目的とする遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を沈殿させて、単離することができる。
得られる遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の粒子径は、通常4〜30nm、好ましくは6〜10nmである。
また、遷移金属錯体内包シリカナノ粒子のケイ素酸化物層の厚みは、通常1〜25nm、好ましくは2〜10nmである。
前記遷移金属錯体とアルコキシシラン等とのゾルゲル反応は、前記遷移金属錯体の表面部に存在するアルコキシシリル基を反応の起点とする一種のテンプレート反応であると考えられる。すなわち、表面部にアルコキシシリル基を有する遷移金属錯体が存在することにより、該遷移金属錯体の表面部に略均一な厚みのケイ素酸化物の層が形成される。一方、遷移金属錯体の表面部にアルコキシシリル基が存在しない場合には、遷移金属錯体の外周部にケイ素酸化物の層は形成されず、反応液中に、錯体とは無関係に形成されたケイ素酸化物が沈殿するだけである。
後述するように、得られた遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を用いて、遷移金属クラスターが孤立的に閉じ込められた、遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子を形成することができる。
遷移金属錯体内包シリカナノ粒子が形成されたことは、NMRスペクトル、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光、及び/又はX線吸収微細構造測定(XAFS)等により確認することができる。
2)遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子及びその製造方法
本発明の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子は、内部に中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、遷移金属酸化物のナノクラスター〔(MO〕が内包されていることを特徴とする。
ここで、nは6〜60の整数、好ましくは6、12、24、30又は60である。Mは、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種、好ましくはPd、Ptである。また、xは遷移金属Mの原子価/2の数である。例えば、遷移金属がPdであり、原子価が2の場合、xは1となる。
本発明の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子は、本発明の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を、酸化的雰囲気下で焼成して得られたものであるのが好ましい。
前記遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を、酸化的雰囲気下で焼成することにより、有機物は焼成されてシリカナノ粒子の中空内から除かれ、中空内には遷移金属のみが酸化された状態で残る。すなわち、外周を覆っているケイ素酸化物の薄膜は、焼成してもシリカの薄膜の状態でとどまり、破壊されることがないため、結果として、内包されている遷移金属の数(n値)は変化せず、厳密に制御された数の遷移金属酸化物からなるクラスターが、シリカナノ粒子中に残存することとなる。
酸化的雰囲気で焼成する方法としては、遷移金属錯体を焼成することにより、該遷移金属錯体の有機部分はすべて二酸化炭素や窒素酸化物等としてシリカナノ粒子の中空内から除き、遷移金属のみを酸化された状態で残存させることができるものであれば、特に限定されないが、酸素を含有する気体(空気等)中で焼成する方法が好ましい。
焼成温度は、通常350〜500℃であり、焼成時間は、反応規模にもよるが、通常30分から数時間である。
3)遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子及びその製造方法
本発明の遷移金属ナノクラスター内包シリカナノ粒子は、内部に中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、遷移金属のナノクラスター(M)が内包されていることを特徴とする。ここで、nは6〜60の整数、好ましくは6、12、24、30又は60である。Mは、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種、好ましくはPd、Ptである。
本発明の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子は、本発明の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の中空内に存在する遷移金属酸化物を還元することにより得られるものであるのが好ましい。すなわち、本発明の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の、中空内に存在する遷移金属酸化物を還元することにより、遷移金属錯体由来のnの値(遷移金属原子の数)がそのままに、中空内に遷移金属クラスターが内包されたシリカナノ粒子を簡便に得ることができる。
本発明の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の中空内に存在する遷移金属酸化物を還元する方法としては、特に制約はないが、水素雰囲気下等の還元的雰囲気下で加熱する方法が簡便であり好ましい。還元温度は、通常350〜500℃であり、還元時間は、反応規模にもよるが、通常1時間から1日である。
本発明によれば、中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、nが最も制御困難な数値である10〜20辺りの、種々の遷移金属酸化物クラスター及び遷移金属クラスターを有するシリカナノ粒子を製造することが可能である。
このように構成原子の数が小さな値に厳密に制御された遷移金属酸化物クラスター又は遷移金属クラスターの、新規な化学的(触媒的)、物理的特性が期待される。
特に、Pd12個のクラスターは、従来、製造が困難とされてきたものであり、触媒としての利用が期待される。
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(機器類)
1.溶液状態のH−NMR及び13C−NMRスペクトルの測定
Bruker DRX−500、Bruker AV−500スペクトロメーターを使用して測定した。
2.溶液状態の29Si−NMRスペクトルの測定
JEOL JNM−ECA−300スペクトロメーターを使用して測定した。
3.ケミカルシフト値は、TMSを内部標準として用いて算出した。
化学シフトはδ値で表示し、次の省略形を用いた。s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、br(ブロード)。
4.固体NMRスペクトルは、Chemagnetics CMX−300スペクトロメーターを用いて測定した。
5.固体NMRのケミカルシフト値は、ポリジメチルシロキサンの−34.16ppmを外部標準として用いて算出した。
6.CSI−MS(Cold Spray Ionization Mass Spectrometry)は、4セクター(BE/BE)タンデムマススペクトロメーター,JEOL JMS−700Cを用いて測定した。
7.KBr法によるIRスペクトルは、DIGILAB FTS−7000を使用して測定した。
8.融点は、Yanaco MP−500V 融点測定装置を使用して測定した。
9.元素分析は、東京大学 元素分析センターにあるYanaco MT−6を使用して測定した。
10.GC−MSは、Agilent 5973を使用して測定した。
11.MALDI−TOFMSスペクトルは、Applied Biosystem Voyager DE−STRを用いて測定した。
12.TEM画像は、JEOL JEM−2100F(千葉大学)、JEOL JEM−2010HC(東京大学)を使用して測定した。
13.XPS(X−ray Photoelectron spectra)は、半球状のエネルギー分析装置が取り付けられたULVAC−PHI 5500MTシステムを用いて測定した。
14.Pd K−edge X−ray absorption fine structure(XAFS)スペクトルは、Japan Synchrotron Radiation Reseach Instituteの Spring−8のBL01B1ビームラインを用いて測定した。Si(311)面を使った二結晶分光器を使い、1.5eVのエネルギー分解能で測定を行った。エネルギー校正はPdフォイルを標準試料として用いて行った。Ar(100%)とAr/Kr(50%/50%)で満たしたイオンチャンバーを、IとI検出器としてそれぞれ用い、錠剤成形した試料をこれらのイオンチャンバー間に置いて測定を行った。データ解析は、Ifeffitソフト(AthenaおよびArtemis)と、FEFFソフトを用いて行った。
15.EXAFSスペクトル領域の解析は、次のようにして行った。
3次スプライン法と正規化を行い、2.0から15Å−1のk3−weighted EXAFS oscillationをR空間にフーリエ変換した。1.4から3.4Åのデータに対し、カーブフィッティング解析を1st,2nd,3rd shellモデル(Pd−O,Pd−Pd1 and Pd−Pd2 shell)を使って行った。
(試薬類)
溶媒及び試薬は、東京化成工業社、和光純薬工業社、及びシグマ−アルドリッチ社製の市販品を使用した。全ての溶媒及び試薬は特に断りのない限り、試薬特級のものを使用した。
(実施例1)
(1)配位子(1)の合成と物性
配位子(1)は次のようにして合成した。
Figure 0005995199
(1−1)1−(3−ブテニルオキシ)−3,5−ジブロモベンゼン(4)の合成
3,5−ジブロモフェノール(3)(3.78g、15.0mmol)、4−ブロモ−1−ブテン(4.05g、30.0mmol)、炭酸カリウム(6.22g,45.0mmol)、及びアセトン100mLの混合物をアルゴン雰囲気下で36時間還流した。
反応混合物をろ過して、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:クロロホルム=1:5(容積比))により精製して、透明オイルとして化合物(4)を3.12g得た(収率68%)。
化合物(4)についての、GC−MS、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、Elemental Analysisの測定結果を以下に示す。
GC−MS:calcd for C1010BrO(M) 303.9、found 304
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃) δ7.24(t,J=1.6Hz,1H),6.99(d,J=1.6Hz,2H),5.86(ddt,J=17.1,10.3,6.7Hz,1H),5.17(dd,J=17.1,1.6Hz,1H),5,12(dd,J=10.3,1.5Hz,1H),3.98(t,J=6.7Hz,2H),2.52(dt,J=6.7,6.7Hz,2H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃) 160.1(C),133.8(CH),126.4(CH),123.1(C),117.5(CH),117.0(CH),67.8(CH),33.3(CH
IR(KBr,cm−1);3080,2932,2876,1641,1584,1558,1437,1419,1383,1297,1254,1232,1033,987,919,830,742
Elemental Analysis;Calcd for C1010BrO:C,39.25;H,3.29、Found:C,39.29;H,3.32
(1−2)1−(3−ブテニルオキシ)−3,5−ビス(4−ピリジル)ベンゼン(5)の合成
化合物(4)(3.56g,11.6mmol)、4−ピリジルボロン酸ピナコールエステル(7.18g,34.9mmol)、リン酸カリウム(12.37g,58.15mmol),テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(1.32g,1.16mmol)及び1,4−ジオキサン90mLの混合物をアルゴン雰囲気下で、70℃で6日間攪拌した。
反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=100:0から100:1(容積比)へグラジエント)により精製して、目的とする化合物(5)を白色固体として2.65g得た(収率75%)。
化合物(5)についての、融点、MALDI−TOF MS、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IRスペクトル、Elemental Analysisの測定結果を以下に示す。
融点:141.6−142.9℃
MALDI−TOF MS(matrix:dithranol);calcd for:C2019O([M+H])302.1,found:302.3
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃) δ8.70(d,J=6.1Hz,4H),7.54(d,J=6.1Hz,4H),7.44(t,J=1.5Hz,1H),7.22(d,J=1.5Hz,2H),5.95(ddt,J=17.1,10.3,6.7Hz,1H),5.18(dd,J=17.1,1.5Hz,1H),4.16(t,J=6.6Hz,2H),2.62(dt,J=6.7,6.7Hz,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δ160.1(C),150.4(CH),147.8(C),140.6(C),134.1(CH),121.8(CH),118.3(CH),117.4(CH),113.8(CH),67.7(CH),33.6(CH
IR(KBr,cm−1)3027,2980,2877,1641,1591,1551,1498,1403,1343,1314,1201,1075,1042,989,906,813,675
Elemental Analysis;Calcd for:C2018O:C,79.44;H,6.00;N,9.26、Found:C,79.34;H,6.26;N,9.11.
(1−3)1−〔4−(トリエトキシシリル)ブトキシ〕−3,5−ビス(4−ピリジル)ベンゼン(1)の合成
化合物(5)(1.50g,4.96mmol)、トリエトキシシラン(1.08mL,5.96mmol)、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(キシレン溶液、Pt〜2%;0.221mL,0.496mmol)及びテトラヒドロフラン50mLからなる混合物を室温で22時間攪拌した。
反応混合物を減圧濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム:エタノール=30:1(容積比))で精製して、目的とする配位子(1)を白色固体として1.92g得た(収率87%)。
配位子(1)についての、融点、MALDI−TOF MS、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、29Si−NMRスペクトル、Diffusion coefficient、IRスペクトル、Elemental Analysisの測定結果を以下に示す。
融点:123.8−125.1℃
MALDI−TOF MS(matrix:dithranol):calcd for C2635Si([M+H])467.2、found 467.3
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃)δ8.66(d,J=6.0Hz,4H),7.85(d,J=6.0Hz,4H),7.75(t,J=1.0Hz,1H),7.43(d,J=1.0Hz,2H),4.18(t,J=6.4Hz,2H),3.75(d,J=7.0Hz,6H),1.84−1.78(m,2H),1.58−1.51(m,2H),1.14(t,J=7.0Hz,9H),0.66(t,J=8.0Hz,2H)
13C−NMR(125MHz,DMSO−d,27℃)δ160.1(C),150.3(CH),146.6(C),139.6(C),121.7(CH),117.7(CH),113.7(CH),67.6(CH),57.8(CH),31.9(CH),19.1(CH),18.3(CH),9.72(CH
29Si−NMR(59.2MHz,DMSO−d,27℃)−45.23
Diffusion coefficient:D=1.8×10−10−1(DMSO−d,27?C)by H nuclei detection
IR(KBr,cm−1)3031,2974,2933,2881,1594,1551,1439,1413,1404,1350,1202,1167,1103,1078,994,954,866,815,789,673,609
Elemental Analysis;Calcd for:C2634Si:C,66.92;H,7.34;N,6.00、Found:C,66.62;H,7.41;N,5.75.
(2)中空Pd錯体(2)の合成
Figure 0005995199
(2)中空Pd錯体(2)(BF salt,DMSO−d))の合成
配位子1(2.23mg,5.00μmol)とPd(BF(CHCN)(10mM,5.2μmol)とをジメチルスルホキシド(0.52mL)に溶解し、50℃で1時間撹拌することにより、中空Pd錯体(2)を定量的に得た。反応混合物に酢酸エチルとジエチルエーテルを加えることにより析出する白色結晶をろ取した。ろ取した白色結晶をジエチルエーテルで洗浄した後、真空乾燥することで、目的とする錯体を収率86%で得た。
このものの構造は、H−NMRとCSI−MSを測定することにより確認した。
中空Pd錯体(2)についての、融点、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、Diffusion coefficient、CSI−MS、IRスペクトルの測定結果を以下に示す。
融点:250℃以上(decomposed)
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃) δ9.38(br,96H),8.36(br,96H),7.96(br,248H),7.56(br,48H),4.07(br,48H),3.64(br,144H),1.69(br,48H),1.42(br,48H),1.01(br,48H),0.73(br,48H)
13C−NMR(125MHz,DMSO−d,27℃) δ160.1(C),150.9(CH),149.2(C),136.3(C),124.3(CH),117.7(CH),115.5(CH),67.7(CH),57.5(CH),31.5(CH),18.9(CH),18.0(CH),9.47(CH
Diffusion coefficient:D=4.0×10−11−1(DMSO−d,27℃)、及び、1.3×10−10−1(DMSO−d:CDOD:DO=4:36:1,27℃)by H nuclei detection
CSI−MS(BF salt,DMSO:CHCN=1:25):
calcd for[M−6(BF )]6+ 2339.7、found 2339.0;
calcd for[M−7(BF )]7+ 1993.1、found 1992.8;
calcd for[M−8(BF )]8+ 1733.1、found 1733.0;
calcd for[M−9(BF )]9+ 1530.8、found 1530.8;
calcd for[M−10(BF )]10+ 1369.0、found 1369.1;
calcd for[M−11(BF )]11+ 1236.7、found 1236.7;
calcd for[M−12(BF )]12+ 1126.4、found 1126.4;
calcd for[M−13(BF )]13+ 1033.0、found 1033.1
IR(KBr,cm−1)3377,3103,2937,1614,1595,1551,1507,1413,1350,1106,1073,1027,917,880,826,692,644,518
また、配位子(1)のH−NMRスペクトル図を、図1のb)に、中空Pd錯体(2)のH−NMRスペクトル図を、図1のc)にそれぞれ示す。
図1の、b)とc)の比較から、中空Pd錯体(2)のH−NMRスペクトル〔図1のc)〕においては、ピリジル基のa、bプロトンが、Pdの影響で、それぞれ左側(低磁場側)にシフトしていることがわかる(PyHa;△δ=0.72ppm、PyHb;△δ=0.51ppm)。また、H−NMRスペクトルのシグナルがブロード化することによっても、大きな分子が形成されていることが示唆される。
中空Pd錯体(2)がPd1224の構造を有していることは、[2−(BF a+(a=13〜6)に顕著なピークを示すコールドスプレーイオン化質量分析(CSI−MS)によって確認することができる。中空Pd錯体(2)のCSI−MSスペクトル図を図2に示す。
(3)2⊂(SiOの合成
Figure 0005995199
中空Pd錯体(2)(0.024μmol)のジメチルスルホキシド溶液(80μL,0.30mM)をメタノール(0.72mL)、重水(20μL)、及び重硝酸水(0.33重量%,2.0μL)で希釈した。次いで、このものに、テトラメトキシシラン(TMOS)を、中空Pd錯体(2)に対して、2000当量又は7200当量加え、全容を室温で5日間攪拌した。
TMOSの加水分解反応の終了後、反応混合物からメタノールを減圧除去し、得られた残留物に酢酸エチル(2.5mL)とジエチルエーテル(2.5mL)を加えることにより、目的とする、2⊂(SiO7200の白色沈殿物を得た。得られた2⊂(SiO7200を、酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗浄し、2⊂(SiO7200を白色固体として得た。
得られた2⊂(SiO7200について、H−NMRスペクトル、Diffusion coefficientを測定した。測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃) δ9.28(br,96H),8.15(br,96H),7.95(br,24H),7.48(br,48H),4.09(br,48H),1.80(br,48H),1.55(br,48H),0.63(br,48H)
Diffusion coefficient:D=5.6×10−11−1(DMSO−d:CDOD:DO=4:36:1,27℃) by H nuclei detection
また、反応開始時、48時間経過後、120時間経過後のH−NMRスペクトルデータを、図3のb)に示す。時間が経過するに伴い、中空Pd錯体(2)の核のシグナルが、徐々にブロード化していることから、中空Pd錯体(2)の外周部に、ケイ素酸化物の層が形成されていることが示唆される。
TMOSを大過剰に使用(2000当量)しても、シリカゲルが沈殿することがなく、溶液は、5日後もクリアなままであった。このことから、ゾルゲル縮合は中空Pd錯体(2)の外周部のみで進行していると考えられる。
TMOSを2000当量用いて得られるPd錯体内包シリカナノ粒子(以下、「2⊂(SiO2000」と記載する。)の形成は、DOSYによるNMRスペクトルから算出される混合溶媒中のD値(5.6×10−11−1)が、中空Pd錯体(2)のD値(1.3×10−10−1)よりかなり小さいことから示唆される。これは、シリカによる被覆によって分子サイズが大きくなることに起因すると考えられる。中空Pd錯体(2)のDOSYによるNMRスペクトル図を図4に、2⊂(SiO2000のDOSYによるNMRスペクトル図を図5にそれぞれ示す。
また、TMOSを7200当量用いる場合でも、シリカゲルは沈殿せずに縮合が進行し、後述する透過型電子顕微鏡(TEM)観察からも明らかなように、より多くのシリカで覆われたPd錯体内包シリカナノ粒子(2⊂(SiO7200)が形成された。
2⊂(SiO7200のDOSYによるH−NMRシグナルは、かなりブロード化し、クリアなシグナルは観察されない。D値はもはや測定不能となった。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によれば、高度に分散されたシリカナノ粒子は、非常に狭い分散度を示している。TEM写真図を、図6のc)、d)に示す。図6中、a)は2⊂(SiO2000のTEM写真図であり、d)は2⊂(SiO7200のTEM写真図である。また、生成したPd錯体内包シリカナノ粒子の粒子径分布を、図6のe)、f)に示す。図6中、e)は2⊂(SiO2000の粒子径分布図であり、f)は2⊂(SiO7200の粒子径分布図である。e)、f)中、横軸は直径(nm)、縦軸は存在量(Frequency)を表す。
TEM観察の結果から、2⊂(SiO2000、2⊂(SiO7200の直径は、それぞれ、7.8±0.3nm、8.8±0.8nmであることがわかった。
また、TEM観察から、中空Pd錯体(2)の中空の直径は、約3nmであり、中空Pd錯体(2)の直径は、3.5nmであることもわかった。
おそらく、中空Pd錯体(2)の外周面に高度に蓄積されたトリエトキシシリル基が、表面上で縮合し、ケイ素酸化物の薄膜が形成されると思われる。いったんケイ素酸化物の層が形成されると、TMOSは、もはや球体中には入れず、縮合は表面でのみ起こり、中空構造が出来上がる。すなわち、3.5nmサイズの中空Pd錯体(2)がシリカナノ粒子の中空内に閉じ込められた形となる。
(4)PdOクラスター内包シリカナノ粒子〔(PdO)⊂(SiO7200〕の合成
上記で得た2⊂(SiO7200を、空気中、400℃で2時間焼成して、(PdO)⊂(SiO7200を茶色の固体として得た。
焼成された粉末を、XPS分析することで、Pd原子の原子価状態を決定した。
XPS分析の結果、このもの〔(PdO)⊂(SiO7200〕のPd 3d3/2とPd 3d5/2のコアレベルのピークは、それぞれ、341.3eV、336.2eVであった。同様に、PdOとPd箔のXPS分析を行い、PdOとPd箔の、Pd 3d3/2とPd 3d5/2のコアレベルのピーク値を測定した。その結果、(PdO)⊂(SiO7200の、Pd 3d3/2とPd 3d5/2のコアレベルのピークは、PdOのPd 3d3/2とPd 3d5/2のコアレベルのピーク値とほぼ一致することから、(PdO)⊂(SiO7200に存在する(PdO)nのPd原子は、酸化状態にあることが示唆される。
PdOクラスターがシリカナノ粒子中に取り込まれていることを示すため、(PdO)⊂(SiO7200の表面に、キセノンビームを3kVでスパッタリングを行い、0.1分ごとに、XPS測定を行った。(PdO)⊂(SiO7200のスパッタリングの時間(min)と、スパッタリングされた表面における、PdとSiモル比(Pd/Si×100(%))の関係を図7に示す。図7中、横軸がスパッタリングの時間(min)、縦軸がPd/Si×100(%)の値を示す。
Pd 3dとSi 2pのピークから算出されるモル比Pd:Si〔Pd/Si×100(%)〕は、スパッタリング時間が増加するにつれ増加し、0.4分後に極限値0.35%に達した。このモル比(Pd/Si×100)は、さらにスパッタリングを継続しても変化はなかった。このことから、(PdO)⊂(SiO7200のシリカ殻は、最初の0.4分で破壊され、Pd種が表面に出てきたことがわかった。このことから、シリカナノ粒子の中空内にPdOが入っていることがわかる。
また、PdのK−edge X線吸収微細構造測定(XAFS)によって、(PdO)⊂(SiO7200の詳細な構造を解明した。PdのK−edge X線吸収微細構造測定(XAFS)スペクトルを図8、9に示す。
図8中、横軸はk/A1、縦軸はkχ(k)/A−3を示す。図9中、横軸はr/Å、縦軸はkχ(k)の|FT|を示す。また、図8、9中、a)はPd箔、b)はPbO、c)は(PdO)⊂(SiO7200、d)は(Pd)⊂(SiO7200のXAFSの測定結果である。図8、9から、(PdO)中のPd原子の原子価状態が2価であることがわかる。このことは、(PdO)⊂(SiO7200のXPS測定結果と一致している。d)については後述する。
(PdO)のn値を決めるために、EXAFSの解析を行った。
配位数〔the coordination number(C.N.)〕と、原子距離(d)は、Pd−OとPd−Pdの、adjacent X−rayの、吸収と拡散(Ab−Sc)を曲線フィッティングにより分析することにより決定した。測定により得られたC.N.とd値は、nが約12であるPdOクラスターから予想される値と合致する値になっていた。中空Pd錯体(2)から得られるPdOクラスターは、XPS実験により証明されたように、シリカナノ粒子の中空内に孤立されている。よって、nが12であるナノサイズの(PdO)12クラスターが得られたことがわかる。
また、2⊂(SiO7200、(PdO)⊂(SiO7200のSolid−state 29Si MAS NMRスペクトル図を図10に示す。図10中、a)は、2⊂(SiO7200、b)は(PdO)⊂(SiO7200、c)は(Pd)⊂(SiO720029Si MAS NMRスペクトル図である。
c)については後述する。
<測定条件>
a)及びb)の場合:室温で、59.7MHz、MAS rate=5kHz
c)の場合:室温で、59.7MHz、MAS rate=6kHZz
また、Q:Q:Q:Qの比は、a)の場合、0:7:30:62、b)の場合、0:6:33:61、c)の場合、0:8:37:55であった。
図10から、2⊂(SiO7200を空気中で焼成して(PdO)⊂(SiO7200を得た後においても、シリカナノ粒子の構造が保たれていることがわかる。
(5)Pdクラスター内包シリカナノ粒子〔Pd⊂(SiO7200〕の合成
次いで、(4)で得た(PdO)⊂(SiO7200を、水素雰囲気下、400℃で4時間還元することにより、Pd⊂(SiO7200を得た。
還元反応の間、反応系内に、水素ガスとアルゴンガスを、水素ガスとアルゴンガスの流量比(H/Ar=10/90mLmin−1)で流した。還元反応終了後、得られた固体は、空気酸化を防止するために、アルゴン雰囲気下で保管した。
得られたPd⊂(SiO7200を、29Si MAS NMR、XPS、及び、XAFSで分析した。
XPSスペクトルにより、Pd 3d3/2とPdの3d5/2のコアレベルのピークが、それぞれ、340.7eV、335.1eVに観測された。
また、PdのK−edge X線吸収微細構造測定(XAFS)によって、(Pd)⊂(SiO7200の詳細な構造を解明した。PdのK−edge X線吸収微細構造測定(XAFS)スペクトルを図8、9に示す。図8、9から、(Pd)中のPd原子の原子価状態がPd箔と同様の0価であることがわかる。このことは、(Pd)⊂(SiO7200のXPS測定結果と一致している。
また、(Pd)⊂(SiO7200の、Solid−state 29Si MAS NMRスペクトル図を図10に示す。図10から、(PdO)⊂(SiO7200を水素還元して(Pd)⊂(SiO7200を得た後においても、シリカナノ粒子の構造が保たれていることがわかる。
Pdクラスターのnの値は、(PdO)のn値(12)に一致するはずである。なぜなら、水素還元は、シリカのカプセル構造を保ちつつ行われ、シリカナノ粒子の孤立空間の中で行われたからである。
以上のように、中空Pd錯体(2)等の球状遷移金属(M)錯体から、中空を有し、該中空内に、中空遷移金属錯体が内包されたシリカナノ粒子を製造することができる。
また、このものは、(MOやMクラスター(n=6、12、24、30、60)の形成材料として好適である。

Claims (17)

  1. 中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、n個(nは6〜60の整数を表す。)の、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種の遷移金属原子Mと、2n個の二座有機配位子とから自己組織的に形成された遷移金属錯体が内包されていることを特徴する、遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  2. 前記二座有機配位子が、下記式(I)
    Figure 0005995199
    {式中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
    m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
    Aは、下記式(a)〜(f)
    Figure 0005995199
    〔Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Dは連結基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、NR(Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)〕のいずれかを表す。
    Gは、エチニレン基又はp−フェニレン基を表し、tは0〜6の整数を表す。tが2以上のとき、複数のG同士は同一であっても相異なっていてもよい。}で示される化合物である、請求項1に記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  3. 前記二座有機配位子が、下記式(I−1a)
    Figure 0005995199
    (式中、A、R、R、m1、m2は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物である、請求項1又は2に記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  4. 前記二座有機配位子が、下記式(I−1a1)
    Figure 0005995199
    (式中、Rは前記と同じ意味を表し、m3は1〜6の整数を表す。)で示される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  5. 前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、請求項1〜4のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  6. 前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである請求項1〜5のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  7. 前記シリカナノ粒子の粒子径が、4〜50nmである請求項1〜6のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  8. 前記シリカナノ粒子のケイ素酸化物層の厚みが、1〜25nmである請求項1〜7のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子。
  9. n個(nは6〜60の整数を表す。)の、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種の遷移金属原子Mと、2n個の、下記式(I)
    Figure 0005995199
    {式中、R、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基を表す。
    m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、R同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。
    Aは、下記式(a)〜(f)
    Figure 0005995199
    〔Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Dは連結基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、NR(Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)〕のいずれかを表す。
    Gは、エチニレン基又はp−フェニレン基を表し、tは0〜6の整数を表す。tが2以上のとき、複数のG同士は同一であっても相異なっていてもよい。}
    で表される二座有機配位子とから、自己組織的に形成された遷移金属錯体に、式:Si(OR(Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシラン、又は式:Si(OR(R)(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるアルコキシシランを、前記遷移金属錯体に対して、1,000〜30,000当量加えてゾルゲル反応を行い、前記遷移金属錯体の外周部にケイ素酸化物層を形成することを特徴とする、請求項2〜8のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子の製造方法。
  10. 中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、遷移金属酸化物のクラスター〔(MO、Mは、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種を表し、nは6〜60の整数を表し、xは、Mの原子価の1/2を表す。〕が内包されていることを特徴とする、遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
  11. 前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、請求項10に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
  12. 前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである請求項10又は11に記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の遷移金属錯体内包シリカナノ粒子を、酸化的雰囲気下で焼成することを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の製造方法
  14. 中空を有するシリカナノ粒子の該中空内に、遷移金属のクラスター〔(M)n、Mは、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種を表し、nは6〜60の整数を表す。〕が内包されていることを特徴とする、遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。

  15. 前記nが、6、12、24、30又は60であることを特徴する、請求項14に記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。
  16. 前記遷移金属原子Mが、Pd又はPtである請求項14又は15に記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子。
  17. 請求項10〜12のいずれかに記載の遷移金属酸化物クラスター内包シリカナノ粒子の、中空内に存在する遷移金属酸化物を還元することを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の遷移金属クラスター内包シリカナノ粒子の製造方法
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