(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、従来の高解像度の撮像装置を用いた表示ムラの検査及び表示ムラ補正に関し、以下の問題が生じることを見出した。
複数の画素が行列状に配置された表示パネルにおいて、画素ごとの補正値を取得するためには、まず、補正前における輝度ばらつきを画素レベルで取得する必要がある。以下、補正前における輝度ばらつきを画素レベルで取得する従来の手法を説明する。
図12Aは、高解像度フルフレームCCDにより表示パネルが撮像された場合の画像を示す図であり、図12Bは、高解像度インターラインCCDにより表示パネルが撮像された場合の画像を示す図である。
図12Aには、例えば3画素×3画素ごとに1画素を点灯表示(Dot表示)させた表示パネルを、表示パネルの画素とCCD(Charge Coupled Device)受光素子とが1対1で対応するような高解像度で撮像された画像が示されている。この場合には、CCD受光レンズの収差に起因して、上記画像における点灯位置が、表示パネルにおける画素位置(例えば、表示パネルの中央部と端部と)によりずれる。但し、フルフレームCCDの場合には、受光素子の開口率がほぼ100%であるため、Binningエリア(出力値を平均化する複数のCCD受光素子からなるエリアであって、例えば、3素子×3素子。)単位での輝度値は、表示パネルにおける位置により変動しない。よって、点灯画素(Dot表示)を変更して複数回撮像し、Binningエリア単位での輝度値を取得することにより各画素の輝度値を高精度に測定することが可能である。また、上記測定において、Binningエリアの大きさを適切に設定することにより、レンズ収差に起因した、表示パネルにおける位置に依存した、いわゆる輝度面ムラは生じない。しかしながら、受光素子の開口率がほぼ100%である高解像度フルフレームCCDは、受光素子のラインごとの受光データの転送ができず、全受光素子の受光完了後に全受光データを一気に転送するため転送時間がかかる。よって、画素レベルの輝度ばらつきを短いタクト時間で取得することが要求される表示パネルの製造工程においては、高解像度フルフレームCCDにより画素レベルの輝度ばらつきを取得することは不適である。
一方、図12Bには、例えば3画素×3画素ごとに1画素を点灯表示(Dot表示)させた表示パネルを、表示パネルの画素とCCD受光素子とが1対1で対応するような高解像度で撮像された画像が示されている。この場合には、受光素子のラインごとの受光データの転送が可能であり、転送時間を短縮できる。しかし、CCD受光レンズの収差に起因して、上記画像における点灯位置が、表示パネルにおける画素位置(例えば、表示パネルの中央部と端部と)によりずれる。また、インターラインCCDの場合には、受光素子の開口率が100%でなく受光素子間で受光できない領域が存在する。このため、上記レンズ収差に起因する点灯位置ずれがあると、Binningエリア単位での輝度値は、表示パネルにおける画素位置により変動してしまう。これにより、測定された画像データには、レンズ収差による輝度面ムラが生じる。よって、表示パネルの製造工程において、短いタクト時間は達成されるが、レンズ収差の影響により測定精度が低下する。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置の検査方法は、発光素子を含む画素が行列状に配置された表示部と、画素列ごとに配置され前記画素にデータ電圧を伝達するデータ線とを備える表示装置における、前記表示部の輝度ムラを検査する検査方法であって、複数の前記データ線を介して複数の前記画素に同一の前記データ電圧を供給し、複数の前記発光素子を発光させる発光ステップと、前記発光ステップで前記発光素子を発光させた前記表示部を、インターライン型の高解像度用撮像装置を用いて画素単位で撮像し、前記画素単位の輝度情報である第1輝度データを取得する高解像度撮像ステップと、前記発光ステップで前記発光素子を発光させた前記表示部を、前記高解像度用撮像装置で撮像した解像度よりも低解像度で撮像し、複数の画素ごとの輝度情報である第2輝度データを取得する低解像度撮像ステップと、前記表示部の表示領域を複数の分割エリアに区分けする領域分割ステップと、前記複数の分割エリアのそれぞれに含まれる複数の前記画素ごとに前記第1輝度データの前記輝度情報を平均して前記分割エリア内で同一の輝度情報とした平均輝度データを前記分割エリアごとに算出するエリア輝度算出ステップと、前記第1輝度データに前記第2輝度データを乗算し、かつ、前記平均輝度データで除算することにより、前記表示部に起因する輝度ばらつきを反映した画素単位の輝度情報である第3輝度データを算出する画素輝度算出ステップとを含むことを特徴とする。
本態様によれば、転送速度の高いインターライン型の高解像度用撮像装置により撮像された画素単位での輝度データ、および、低解像度で撮像した輝度データを上記エリア輝度算出ステップ及び上記画素輝度算出ステップにより変換することにより、レンズ収差に起因した表示面における輝度面ムラを除外した画素単位での輝度データによる輝度ばらつきを高速で取得できる。よって、表示装置のみに起因する輝度ばらつきを、高精度かつ低タクト時間で検査することが可能となる。
また、例えば、前記画素輝度算出ステップでは、前記平均輝度データで前記第1輝度データを画素単位で除算して高解像度輝度比データを算出し、前記第2輝度データを前記第1輝度データのデータサイズにリサイズし、当該リサイズされた前記第2輝度データを前記高解像度輝度比データに乗算してもよい。
これにより、高解像度輝度比データは、表示部に起因する画素間の高周波数の輝度ばらつきのみを含むこととなる。また、第2輝度データがリサイズされた輝度データには、レンズ収差に起因した輝度面ムラ、及び、画素ごとの輝度ムラは含まれず、表示部側に起因する実際の輝度面ムラのみが含まれることとなる。これより、リサイズされた第2輝度データに高解像度輝度比データを乗算することにより、レンズ収差に起因した表示面における輝度ムラを除外した画素単位での輝度ばらつきを高速に取得できる。
また、例えば、前記画素輝度算出ステップでは、前記平均輝度データを前記第2輝度データのデータサイズにリサイズし、当該リサイズされた前記平均輝度データで前記第2輝度データを除算して低解像度輝度比データを算出し、前記低解像度輝度比データを前記第1輝度データのデータサイズにリサイズし、当該リサイズされた前記低解像度輝度比データを前記第1輝度データに乗算してもよい。
これにより、第1輝度データは、表示部側に起因する実際の輝度ばらつき、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラを含むこととなる。また、低解像度輝度比データは、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラの逆数成分を含むこととなる。これより、第1輝度データにリサイズされた低解像度輝度比データを乗算することにより、レンズ収差に起因した表示面における輝度ムラを除外した画素単位での輝度ばらつきを高速に取得できる。
また、例えば、前記画素輝度算出ステップでは、隣接する前記分割エリアの境界領域の前記平均輝度データをスムージングしてもよい。
これにより、分割エリアの境界において階段状に変化する輝度データを、滑らかに補間することが可能となる。
また、例えば、前記画素輝度算出ステップでは、前記画素を、当該画素から当該画素を含む分割エリアの中心位置までの距離と、当該画素から隣接する前記分割エリアの中心位置までの距離との比に応じて当該画素の輝度データをスムージングしてもよい。
これにより、分割エリアの境界において階段状に変化する輝度データを、高精度に補間することが可能となる。
また、例えば、前記発光ステップでは、前記表示部の全画素を一斉に点灯させ、前記高解像度撮像ステップでは、前記高解像度用撮像装置の解像度を、前記表示部の画素数の解像度に対して同レベル以上に設定して、前記画素ごとの輝度データを取得してもよい。
これにより、全画素を1度の撮像で高精度に測定でき、また、タクト時間の短縮が図られる。
また、例えば、前記発光ステップでは、点灯させる画素を変更して複数回にわたり間引き点灯させることにより前記表示部の全画素を点灯させ、前記高解像度撮像ステップでは、前記高解像度用撮像装置の解像度を、前記表示部の画素数の解像度に対して同レベル以上に設定して、前記間引き点灯のたびに撮像し、当該撮像された複数の画像を合成して前記画素ごとの輝度データを取得してもよい。
これにより、隣接画素の輝度の影響を受けずに各画素の発光状態を撮像できるので測定精度が向上する。また、高階調発光させても表示パネルの電流を小さく抑えることができるので、当該電流が電源ユニットの電流リミットに達してしまうこと、及び、表示パネルの中央部が暗く表示されることを防止できる。
また、例えば、前記発光ステップでは、前記表示部の全画素を一斉に点灯させ、前記低解像度撮像ステップでは、前記表示部の画素数よりも撮像装置の解像度を低く設定して、前記第2輝度データを取得してもよい。
これにより、全画素を1度の撮像で高精度に測定でき、また、タクト時間の短縮が図られる。
また、前記発光ステップでは、点灯させる画素を変更して複数回にわたり間引き点灯させることにより前記表示部の全画素を点灯させ、前記低解像度撮像ステップでは、前記表示部の画素数よりも撮像装置の解像度を低く設定して前記間引き点灯のたびに撮像し、当該撮像された複数の画像を平均化して、前記第2輝度データを取得してもよい。
これにより、高階調発光させても表示パネルの電流を小さく抑えることができるので、当該電流が電源ユニットの電流リミットに当たってしまうこと、及び、表示パネルの中央部が暗く表示されることを防止できる。
また、本発明は、このような特徴的なステップを含む表示装置の検査方法として実現することができるだけでなく、上述した検査方法の特徴的なステップを含む表示装置の製造方法としても、上記と同様の効果を奏す。
本発明の一態様に係る表示装置の製造方法は、上記表示装置の検査方法を含む表示装置の製造方法であって、さらに、前記画素輝度算出ステップにおいて算出された前記第3輝度データに基づいて、前記画素ごとの補正パラメータを生成する補正パラメータ生成ステップと、各画素の前記補正パラメータを、前記表示部に用いられる所定のメモリに書き込む書き込みステップとを含むことを特徴とする。
これにより、表示動作時には、上記ステップにより取得された画素輝度ばらつきに基づいて、補正パラメータを生成してメモリに格納し、当該メモリから補正パラメータが読み出されることにより、高精度の表示ムラ補正が可能となる。
また、本発明は、このような特徴的なステップを含む表示装置の検査方法として実現することができるだけでなく、当該検査方法を実現する表示装置の検査装置としても、上記と同様の効果を奏す。
また、本発明は、このような特徴的なステップを含む表示装置の製造方法として実現することができるだけでなく、当該製造方法に含まれる特徴的なステップを手段として生成された補正パラメータを有する表示装置としても、上記と同様の効果を奏す。
以下、本発明の一態様に係る表示装置、その検査方法、検査装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。また、以下の図面において同一の構成要素には同一の符号を用いている。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る表示装置の検査方法、検査装置、当該検査方法を含む製造方法、ならびに、当該製造方法により製造された表示装置を説明する。特に、本発明の表示装置の製造方法の要部である、補正前の表示パネルの輝度ばらつきを画素レベルで取得する工程について詳細に説明する。なお、本発明の表示装置の製造方法に含まれる補正パラメータ生成工程では、上記補正前の輝度ばらつきの取得工程で取得された表示パネルの輝度ばらつきに基づいて、表示パネルの輝度ムラを補正するための補正パラメータが生成される。生成された補正パラメータは、当該表示装置が出荷された後の表示動作にて使用される。ここで、上記輝度ばらつきの取得工程で取得された表示パネルの輝度ばらつきに基づいて補正パラメータを生成する具体例としては、取得された輝度ばらつきである各画素における輝度偏差の大きさに対応して、画素ごとの輝度ゲインまたは画素ごとの電圧オフセットを補正パラメータとして決定することが挙げられる。上記決定された輝度ゲインまたは電圧オフセットが、補正前の映像信号データに乗算または加算されることで補正された映像信号データが、最終的にデータ電圧に変換され、各画素へ供給されることにより、本発明の表示装置は、表示ムラが解消された画像を表示することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係る表示装置及びその検査方法、検査装置、当該検査方法を含む製造方法ついて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置1の電気的な構成を示すブロック図である。同図における表示装置1は、制御回路12と、表示パネル11とを備える。制御回路12はメモリ121を有する。表示パネル11は、走査線駆動回路111と、データ線駆動回路112と、表示部113とを備える。なお、メモリ121は、表示装置1内であって制御回路12の外部に配置されていてもよい。
制御回路12は、メモリ121、走査線駆動回路111、及びデータ線駆動回路112の制御を行う機能を有する。メモリ121には、本実施の形態で説明する製造方法による製造工程の完了後には、本発明の表示装置の製造方法により生成された補正パラメータが記憶される。制御回路12は、表示動作時には、メモリ121に書き込まれた補正パラメータを読み出し、外部から入力された映像信号データを、その補正パラメータに基づいて補正して、データ線駆動回路112へと出力する。
また、制御回路12は、製造工程においては、外部の情報処理装置と通信することにより、当該情報処理装置の指示に従って表示パネル11を駆動する機能を有する。
表示部113は、行列状に配置された複数の画素を備え、外部から表示装置1へ入力された映像信号に基づいて画像を表示する。表示部113には、画素行ごとに走査線が配置され、画素列ごとにデータ線が配置されている。また、複数の画素のそれぞれには、データ線駆動回路112から出力されるデータ電圧に対応して発光する発光素子が配置されている。
走査線駆動回路111は、走査線に接続されており、画素へデータ電圧を書き込むタイミングを制御する機能を有する。
データ線駆動回路112は、データ線に接続されており、走査線駆動回路111と同期して、データ電圧を画素へ出力する機能を有する。このデータ電圧に対応して画素内の発光電流が流れることにより、当該発光電流に対応して発光素子が発光する。
次に、本発明の表示装置の製造方法を実現する製造システムを説明する。
図2は、本発明の表示装置の製造方法に使用される製造システムの機能ブロック図である。同図に記載された製造システムは、情報処理装置2と、高解像度用撮像装置3と、低解像度用撮像装置4と、ステージ5と、表示パネル11と、制御回路12とを備える。
情報処理装置2は、演算部21と、記憶部22と、通信部23とを備え、画素ごとの輝度ばらつきを取得し補正パラメータを生成するまでの工程を制御する制御部である。情報処理装置2としては、例えば、パーソナルコンピュータが適用される。
高解像度用撮像装置3は、インターライン型の撮像装置であり、情報処理装置2の通信部23からの制御信号により、表示パネル11を撮像し、撮像された画像データを通信部23へ出力する。インターライン型の撮像装置は、受光素子の開口部が制限されているが、受光素子間に配置された転送ラインごとに受光データを転送すること可能であり、転送時間を短縮できる。高解像度用撮像装置3としては、例えば、インターライン型のCCDカメラが適用される。
低解像度用撮像装置4は、情報処理装置2の通信部23からの制御信号により、表示パネル11を撮像し、撮像された画像データを通信部23へ出力する。低解像度用撮像装置4は、高解像度用撮像装置3が表示パネル11を撮像する場合の解像度よりも低い解像度で撮像することが可能な装置であり、インターライン型でもフルフレーム型でもよい。低解像度用撮像装置4としては、例えば、CCDカメラが適用される。なお、低解像度用撮像装置4は、装置能力として高解像度用撮像装置3と同様の高解像度の撮像が可能であってもよく、低解像度用撮像装置4を高解像度用撮像装置3で代用してもよい。
ステージ5は、撮像対象の表示パネル11を固定し、また、情報処理装置2の通信部23の指示に従い表示パネル11を固定した状態で、幅方向、奥行き方向及び高さ方向に移動可能となっている。これにより、表示パネル11と高解像度用撮像装置3及び低解像度用撮像装置4とのアライメントが可能である。
情報処理装置2は、表示装置1内の制御回路12、高解像度用撮像装置3及び低解像度用撮像装置4へ通信部23を介して制御信号を出力し、制御回路12、高解像度用撮像装置3及低解像度用撮像装置4から測定データを取得して当該測定データを記憶部22に格納し、格納された測定データをもとに演算部21で演算して画素ごとの輝度データ及び分割エリアごとの輝度データを算出する。また、演算部21は、算出された画素ごとの輝度データ及び分割エリアごとの輝度データを演算して、レンズ収差に起因した表示面における輝度面ムラを除外した画素単位での輝度データを算出する。また、演算部21は、算出された画素単位での輝度データから、補正パラメータを生成する。なお、制御回路12は、表示装置1に内蔵されない制御回路を使用してもよい。
制御回路12は、補正前の表示パネル11の輝度データを取得するために、情報処理装置2からの制御信号により、表示パネル11の有する画素へ与える電圧値を制御する。また、制御回路12は、情報処理装置2で生成された補正パラメータをメモリ121へ書き込む機能を有する。
情報処理装置2、高解像度用撮像装置3、低解像度用撮像装置4は、表示装置1の検査装置を構成する。
次に、本発明の有機EL表示装置の製造方法を説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の検査方法を説明する動作フローチャートである。図3には、表示装置1の製造工程である表示ムラ解消のための補正パラメータの生成、あるいは、表示ムラによる良否判定に必要な、表示パネル11の輝度ばらつきを取得する検査工程が表されている。以下、図3に従って、表示装置1の検査方法を説明する。
まず、情報処理装置2は、高解像度用撮像装置3により、表示パネル11の画素輝度ばらつきを測定する(S101)。具体的には、制御回路12は、複数のデータ線を介して複数の画素に同一のデータ電圧を供給し、当該複数の画素に配置された発光素子を発光させる(発光ステップ)。この状態で、発光素子が発光している表示部113を、高解像度用撮像装置3で撮像し、上記複数の画素のそれぞれについて座標データ及び第1輝度データ1Aを取得する。ここで、第1輝度データ1AのデータサイズをAとする。
上記ステップS101は、発光ステップで発光素子を発光させた表示部113を、インターライン型の高解像度用撮像装置3を用いて画素単位で撮像し、当該画素単位の輝度情報である第1輝度データ1Aを取得する高解像度撮像ステップである。
ここで、上記発光ステップにおける表示部113の発光態様及び撮像データについて説明する。
図6Aは、全画素点灯表示させた表示部を、高解像度用撮像装置の受光部と画素の発光部とを1対1に対応させて測定した場合の画像を表す図であり、図6Bは、間引き点灯表示させた表示部を、高解像度用撮像装置の受光部と画素の発光部とを1対1に対応させて測定した場合の画像を表す図である。また、図6Cは、全画素点灯表示させた表示部を、高解像度用撮像装置の受光部と画素の発光部とを9対1に対応させて測定した場合の画像を表す図であり、図6Dは、間引き点灯表示させた表示部を、高解像度用撮像装置の受光部と画素の発光部とを9対1に対応させて測定した場合の画像を表す図である。上記ステップS101では、図6A及び図6Cに示されるように、表示部113の全画素を点灯表示させ、一度の撮像で全画素の発光状態を撮像してもよい。この場合には、全画素を1度の撮像で測定可能できるので、タクト時間の短縮が図られる。但し、隣接画素の輝度の影響を受け、測定精度が低下する場合がある。また、全画素点灯で高階調を表示すると、表示パネル11を流れる電流が大きくなるため、当該電流及び電源線の配線抵抗により表示パネル内の電圧降下が大きくなる。この影響により、電流が電源ユニットの電流リミットに達する可能性、また、電源から遠い表示パネル中央部が暗く表示され高階調が正しく測定できない可能性がある。
これに対して、上記ステップS101では、図6B及び図6Dに示されるように、表示部113を間引き点灯により表示させて全画素の発光状態を撮像してもよい。この場合には、隣接画素の輝度の影響を受けにくいので測定精度が向上する。また、高階調発光させても表示パネルの電流を小さく抑えることができるので、当該電流が電源ユニットの電流リミットに達してしまうこと、及び、表示パネルの中央部が暗く表示されることを防止できる。しかし、全画素の発光状態を撮像するのに、発光させる画素を異ならせて複数回の撮像及び画像の結合が必要となる。この点では、図6A及び図6Cに示された撮像態様の方が、タクト時間がより短縮できる。図6A〜図6Dのいずれかの測定態様を用いたステップS101では、インターライン型の撮像装置を用いて撮像しているので、フルフレームの高解像度撮像装置を用いて画素単位の輝度データを測定するよりも高速な測定が可能となる。
また、上記ステップS101は、例えば、図6C及び図6Dのように、高解像度用撮像装置3の受光部と画素の発光部とを9対1に対応させて測定した場合、Binningエリアは3受光素子×3受光素子のエリアと設定でき、第1輝度データ1Aを構成する画素ごとの各輝度値は、当該エリア内で出力値を平均化して出力された値である。また、図6A及び図6Bのように、高解像度用撮像装置3の受光部と画素とを1対1に対応させて測定した場合、Binningエリアは1受光素子×1受光素子のエリアと設定でき、第1輝度データ1Aを構成する画素ごとの各輝度値は、平均化されずにそのまま出力された値である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの輝度ばらつきを取得するプロセスのブロック図である。上述したステップS101では、高解像度用撮像装置3を使用して表示パネル11を撮像するため、画素ごとの輝度データである第1輝度データ1Aを取得することが可能である。但し、高解像度用撮像装置3は、開口率が小さい(100%でない)インターライン型の撮像装置であるので、第1輝度データ1Aには、表示パネル11側に起因する実際の輝度ばらつきに加え、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラが含まれている。ここで、輝度面ムラとは、画素ごとの輝度ムラではなく、表示パネルにおける画素位置を反映した輝度ムラであり、例えば、隣接する複数の画素を単位領域とした場合の当該単位領域間での輝度差に起因する輝度ムラであり、いわゆる低周波数の輝度ばらつきのことである。
次に、情報処理装置2は、第1輝度データ1Aの分割エリアごとの平均輝度データ2Aを計算する(S102)。このとき、情報処理装置2は、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラを反映するような複数の画素群を分割エリアの単位とする。例えば、分割エリアは、同一の分割エリア内では上記輝度面ムラの有意差は発生しないが、分割エリア間では当該輝度面ムラの有意差が発生するように分割される。
上記ステップS102は、複数の分割エリアのそれぞれに含まれる複数の画素の第1輝度データ1Aを平均した平均輝度データ2Aを分割エリアごとに算出するエリア輝度算出ステップである。ここで、平均輝度データ2AのデータサイズはAである。つまり、平均輝度データ2Aにおいて、同一の分割エリア内の画素の輝度値は同じ値となっている。
平均輝度データ2Aでは、分割エリアの境界において輝度が階段状に変化する。これを緩和すべく、上記境界付近の輝度データをスムージングしてもよい(S103)。スムージングの手法としては、例えば、上記境界部を連続的に直線で補正してもよいし、所定の連続関数に基づいて補正してもよいし、また、隣接分割エリア中心間で補正をしてもよい。また、各画素を、当該画素から当該画素を含む分割エリアの中心位置までの距離と、当該画素から隣接する分割エリアの中心位置までの距離との比に応じて当該画素の輝度データをスムージングしてもよい。上記ステップS103は、画素輝度算出ステップの一部である。
図4には、上記ステップS103でスムージングされた平均輝度データ2’Aを表示した画像が表されている。上述したステップS102では、開口率が小さい(100%でない)インターライン型の高解像度用撮像装置3により撮像した輝度データをもとに処理されているので、平均輝度データ2’Aには、表示パネル11側に起因する実際の(低周波数の)輝度面ムラと、撮像装置側のレンズ収差に起因した(低周波数の)輝度面ムラとが含まれ、表示パネル11に起因する画素間の輝度ばらつきは排除されている。ここで、画素間の輝度ばらつきとは、画素ごとの輝度ムラであり、いわゆる高周波数の輝度ばらつきのことである。
次に、情報処理装置2は、第1輝度データ1Aを平均輝度データ2A(もしくは2’A)で除算することにより、高周波輝度比データ4Aを算出する(S104)。具体的には、情報処理装置2は、画素ごとに、第1輝度データ1Aを平均輝度データ2A(もしくは2’A)で除算し、画素数Aを有する高周波輝度比データ4Aを算出する。
上記ステップS104は、第1輝度データ1Aを低周波輝度データ6Aで乗算し、かつ、平均輝度データ2A(もしくは2’A)で除算する画素輝度算出ステップの一部である。
図4に示されるように、高周波輝度比データ4Aは、第1輝度データに含まれる、表示パネル11側に起因する実際の輝度ばらつき及び撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラから、平均輝度データ2A(もしくは2’A)に含まれる、表示パネル11側に起因する実際の輝度面ムラ及び撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラが排除されていることとなる。よって、結果的に、高周波輝度比データ4Aは、表示パネル11に起因する画素間の高周波数の輝度ばらつきのみを含むこととなる。
次に、情報処理装置2は、低解像度用撮像装置4により、表示パネル11の画素輝度ばらつきを測定する(S105)。具体的には、制御回路12は、複数のデータ線を介して複数の画素に同一のデータ電圧を供給し、当該複数の画素に配置された発光素子を発光させる(発光ステップ)。この状態で、発光素子が発光している表示部113を、低解像度用撮像装置4で撮像し、表示パネルの測定領域の解像度に対応した第2輝度データ5Cを取得する(低解像度撮像ステップ)。なお、本ステップにおける低解像度用撮像装置4の解像度は、ステップS101における高解像度用撮像装置3の解像度よりも低いので、第2輝度データ5CのデータサイズであるCは、画素数Aよりも小さい。ここで、上記発光ステップにおける表示部113の発光態様及び撮像データについて説明する。
上記ステップS105は、発光ステップで発光素子を発光させた表示部113を、高解像度用撮像装置3で撮像した解像度よりも低解像度で撮像し、複数の画素のそれぞれについて第2輝度データ5Cを取得する低解像度撮像ステップである。
図7Aは、全画素点灯表示させた表示部を低解像度用撮像装置で撮像した場合の画像を表す図であり、図7Bは、間引き点灯表示させた表示部を低解像度用撮像装置で撮像した場合の画像を表す図である。上記ステップS105では、図7Aに示されるように、表示部113の全画素を点灯表示させ、一度の撮像で全画素の発光状態を撮像してもよい。この場合には、全画素を1度の撮像で測定可能できるので、タクト時間の短縮が図られる。しかし、全画素点灯で高階調を表示すると、表示パネル11を流れる電流が大きくなるため、当該電流及び電源線の配線抵抗により表示パネル内の電圧降下が大きくなる。この影響により、電流が電源ユニットの電流リミットに達する可能性、また、電源から遠い表示パネル中央部が暗く表示され高階調が正しく測定できない可能性がある。
これに対して、上記ステップS105では、図7Bに示されるように、表示部113を間引き点灯により表示させて全画素の発光状態を撮像してもよい。この場合には、高階調発光させても表示パネルの電流を小さく抑えることができるので、当該電流が電源ユニットの電流リミットに当たってしまうこと、及び、表示パネルの中央部が暗く表示されることを防止できる。但し、単位受光素子における正確な輝度データを取得するのに、発光させる画素を異ならせて複数回の撮像及び撮像データの平均化が必要となる。この点では、図7Aに示された撮像態様の方が、タクト時間がより短縮できる。図7Aまたは図7Bの測定態様を用いたステップS105では、ステップS101における高解像度用撮像装置3の解像度よりも低い解像度にて表示パネル11を撮像しているので、高解像度にて輝度データを測定するよりも高速な測定が可能となる。
次に、情報処理装置2は、第2輝度データ5Cを、第1輝度データ1Aのデータサイズへとリサイズする(S106)。ここで、リサイズとは、データサイズを変換することであり、例えばステップS106では、第2輝度データ5Cの各データ要素間を関数などで補間して拡大することで、第2輝度データ6Aを生成する。これにより、第2輝度データ5CのデータサイズはAにリサイズされる。以降、第2輝度データ5Cがリサイズされた第2輝度データを低周波輝度データ6Aと記す。上記ステップS106は、画素輝度算出ステップの一部である。
図4には、上記ステップS106でリサイズされた低周波輝度データ6Aを表示した画像が表されている。上述したステップS105では、第2輝度データ5Cは低解像度用撮像装置4により取得されているので、低解像度用撮像装置4の単位受光素子は、一度に複数の画素発光を受光する。この場合、図12A及び図12Bで示したような、レンズ収差に起因する点灯位置ずれの影響は小さい。これにより、第2輝度データ5C及び第2輝度データ5Cがリサイズされた低周波輝度データ6Aには、レンズ収差に起因した輝度面ムラ、及び、画素ごとの輝度ムラは含まれず、表示パネル11側に起因する実際の輝度面ムラのみが含まれることとなる。
最後に、情報処理装置2は、低周波輝度データ6Aに高周波輝度比データ4Aを画素単位で乗算して、レンズ収差に起因した輝度面ムラを除外した画素輝度データ7Aを算出する(S107)。
上記ステップS107は、第1輝度データ1Aを低周波輝度データ6Aで乗算し、かつ、平均輝度データ2A(もしくは2’A)で除算することにより、画素ごとの第3輝度データである画素輝度データ7Aを算出する画素輝度算出ステップの一部である。
上述したように、本実施の形態に係る表示装置の検査方法は、(1)インターライン型(低開口率)の高解像度用撮像装置3により点灯状態の表示パネルを撮像し(第1輝度データ1A)、(2)第1輝度データ1Aを基に分割エリアごとの平均輝度データ2Aを算出し、(3)画素ごとに第1輝度データ1Aを平均輝度データ2Aで除算して高周波輝度比データ4Aを算出する。一方、(4)低解像度用撮像装置4により点灯状態の表示パネルを撮像することで低周波輝度データ6Aを算出する。最後に、(5)低周波輝度データ6Aと高周波輝度比データ4Aとの積をとり、画素輝度データ7Aを算出する。
以上により、転送速度の高いインターライン型の高解像度用撮像装置3により撮像された画素単位での輝度データおよび低解像度で撮像した輝度データから、レンズ収差に起因した表示面における輝度ムラを除外した画素単位での輝度ばらつきを高精度かつ低タクト時間で取得できる。さらに、輝度ムラ補正パラメータの生成工程を高精度かつ低タクト時間で実行することが可能となる。
近傍の画素間で大きく輝度がばらつくようなパネルにおいて、出荷検査や外部補正による均一化の向上のため、画素単位もしくはそれに近い解像度で、表示パネルの輝度ばらつきを短時間で測定する必要がある。その際、レンズ収差起因の輝度面ムラを除外して短時間で実際の輝度ばらつきを算出できる本発明の上記検査方法は有効である。
図5は、本実施の形態に係る表示装置の検査方法により算出可能なレンズ収差に起因する輝度面ムラの一例を表す図である。同図は、上述した本実施の形態に係る検査方法の各ステップで算出された輝度データを基に算出可能なレンズ収差に起因した輝度面ムラが表されている。つまり、同図は、ステップS102で得られた、表示パネル11に起因する実際の輝度面ムラと撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラとを含む平均輝度データ2‘Aを、ステップS106で得られた、レンズ収差に起因した輝度面ムラと画素ごとの輝度ムラとを含まず、表示パネル11側に起因する実際の輝度面ムラのみを含む低周波輝度データ6Aで除算することにより、レンズ収差のみに起因した低周波輝度比データ8Aが得られることを示している。検査工程及び製造工程におけるタクト時間を短縮化すべく、転送速度の高いインターライン型の高解像度用撮像装置3により表示パネルを撮像して取得された第1輝度データ1Aには、表示パネルに起因しない上記低周波輝度比データ8Aが含まれる。よって、第1輝度データ1Aから低周波輝度比データ8Aを除外する本発明の製造方法は、高精度かつ低タクト時間で表示パネルのみに起因した画素輝度データを取得するという課題を達成するために有効である。
また、本実施の形態に係る表示装置の製造方法は、さらに、上述したステップS101〜ステップS107において算出された上記第3輝度データに基づいて、画素ごとの補正パラメータを生成する補正パラメータ生成ステップと、各画素の当該補正パラメータを、メモリ121に書き込む書き込みステップとを含む。これにより、表示装置1の表示動作時には、ステップS101〜ステップS107により取得された画素輝度ばらつきに基づいて生成された補正パラメータをメモリ121から読み出すことにより、高精度の表示ムラ補正が可能となる。
ここで、表示パネル11が、R(赤色)サブ画素、G(緑色)サブ画素、及びB(青色)サブ画素から構成されるカラー表示パネルである場合における、輝度ばらつきの取得方法について説明する。
図8は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の検査方法の変形例を説明する動作フローチャートである。
まず、情報処理装置2は、測定する色を選択する(S02)。本変形例では、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)のサブ画素で構成された画素からなる表示部113を想定している。
次に、情報処理装置2は、パネルアライメントを実行する(S04)。具体的には、ステージ5により、撮像対象の表示パネル11を固定する。また、情報処理装置2は、表示パネル11を、幅方向、奥行き方向及び高さ方向に移動させ、表示パネル11と高解像度用撮像装置3及び低解像度用撮像装置4とのアライメント状態を最適化する。
次に、情報処理装置2は、測定する階調を選択する(S06)。画素輝度ばらつきは、階調により異なる場合が想定される。この場合には、所定の階調ごとに輝度ばらつきを取得し、階調ごとの補正パラメータを算出することが好ましい。
次に、情報処理装置2は、選択された色のサブ画素に対し、選択された階調に応じた電圧を制御回路12から印加させることにより、当該サブ画素を発光させる(S08)。
次に、情報処理装置2は、図3に示されたステップS10を実行し、レンズ収差による輝度面ムラを除外した、選択されたサブ画素の輝度ばらつきを取得する(S10)。
次に、情報処理装置2は、測定階調を変更し(S12でNo)、上記ステップS08及びステップS10を実行する。
また、必要とする測定階調の全てにおいて上記ステップS08及びステップS10が終了した場合(S12でYes)、測定対象の色を変更し(S14でNo)、ステップS04〜ステップS12を実行する。
また、全色において、上記ステップS04〜ステップS12が終了した場合(S14でYes)、情報処理装置2は、上記ステップS02〜S14で得られた画像を取得し、取得した画像から、レンズ収差による輝度面ムラを除外した、各画素の輝度ばらつきを算出する(S16)。なお、本ステップでは、サブ画素ごとの輝度ばらつきをまとめて画素ごとの輝度ばらつきを算出しなくてもよく、算出された所定の階調ごとのサブ画素ごとの輝度ばらつきをメモリ121へ格納し、次工程の補正パラメータを生成する工程へと適用させてもよい。
本方法によれば、画素ごと輝度ばらつきを取得するにあたり、サブ画素ごと及び階調ごとの輝度ばらつきを取得する。これにより、転送速度の高いインターライン型の高解像度用撮像装置3により撮像された画素単位での輝度データおよび低解像度で撮像した輝度データから、レンズ収差に起因した表示面における輝度ムラを除外したサブ画素単位での輝度ばらつきを階調ごとに取得できる。よって、輝度ムラ補正パラメータの生成工程を高精度かつ低タクト時間で実行することが可能となる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示された画素輝度ばらつきの取得工程に対して、撮像装置による撮像工程は同じであるが、撮像された輝度データの加工工程が異なる。
図9は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の検査方法を説明する動作フローチャートである。図9には、表示ムラ解消のための補正パラメータの生成に必要な、表示パネル11の輝度ばらつきを取得する工程が表されている。以下、図9に従い、図3に記載された検査工程と異なる点を中心に説明する。
まず、情報処理装置2は、高解像度用撮像装置3により、表示パネル11の画素輝度ばらつきを測定する(S111)。具体的には、制御回路12は、複数のデータ線を介して複数の画素に同一のデータ電圧を供給し、当該複数の画素に配置された発光素子を発光させる(発光ステップ)。この状態で、発光素子が発光している表示部113を、高解像度用撮像装置3で撮像し、上記複数の画素のそれぞれについて座標データ及び第1輝度データ1Aを取得する。ここで、第1輝度データ1AのデータサイズをAとする。
上記ステップS111は、発光ステップで発光素子を発光させた表示部113を、インターライン型の高解像度用撮像装置3を用いて画素単位で撮像し、当該画素単位の輝度情報である第1輝度データ1Aを取得する高解像度撮像ステップである。
本ステップS111では、高解像度用撮像装置3を使用して表示パネル11を撮像するため、画素ごとの輝度データである第1輝度データ1Aを取得することが可能である。但し、高解像度用撮像装置3は、インターライン型の撮像装置であるので、第1輝度データ1Aには、表示パネル11側に起因する実際の輝度ばらつきに加え、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラが含まれている。
次に、情報処理装置2は、第1輝度データ1Aの分割エリアごとの平均輝度データ2Aを計算する(S112)。このとき、情報処理装置2は、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラを反映するような複数の画素群を分割エリアの単位とする。
上記ステップS112は、複数の分割エリアのそれぞれに含まれる複数の画素の第1輝度データ1Aを平均した平均輝度データ2Aを分割エリアごとに算出するエリア輝度算出ステップである。ここで、平均輝度データ2AのデータサイズはAである。つまり、平均輝度データ2Aにおいて、同一の分割エリア内の画素の輝度値は同じ値となっている。
次に、情報処理装置2は、平均輝度データ2Aでは分割エリアの境界において輝度が階段状に変化するので、これを緩和すべく、上記境界付近の輝度データがスムージングされた平均輝度データ2’Aとしてもよい(S113)。スムージングの手法としては、例えば、上記境界部を連続的に直線で補正してもよいし、所定の連続関数に基づいて補正してもよいし、また、隣接分割エリア中心間で補正をしてもよい。上記ステップS113は、画素輝度算出ステップの一部である。
次に、情報処理装置2は、上記ステップS113でスムージングされた平均輝度データ2’A(もしくは2A)を、後述する第2輝度データ4Cのデータサイズへとリサイズする(S114)。これにより、平均輝度データ2’Aのデータサイズは、低解像度用撮像装置4にて撮像される場合の解像度である画素数Cにリサイズされる。以降、平均輝度データ2’Aがリサイズされたデータを平均輝度データ3Cと記す。
上述したステップS114では、開口率が小さいインターライン型の高解像度用撮像装置3により撮像した輝度データをもとに処理されているので、平均輝度データ3Cには、表示パネル11側に起因する実際の(低周波数の)輝度面ムラと、撮像装置側のレンズ収差に起因した(低周波数の)輝度面ムラとが含まれ、表示パネル11に起因する画素間の輝度ばらつきは排除されている。
次に、情報処理装置2は、低解像度用撮像装置4により、表示パネル11の画素輝度ばらつきを測定する(S115)。具体的には、制御回路12は、複数のデータ線を介して複数の画素に同一のデータ電圧を供給し、当該複数の画素に配置された発光素子を発光させる(発光ステップ)。この状態で、発光素子が発光している表示部113を、低解像度用撮像装置4で撮像し、解像度に対応した第2輝度データ4Cを取得する。なお、本ステップにおける低解像度用撮像装置4の解像度は、ステップS111における高解像度用撮像装置3の解像度よりも低いので、第2輝度データ4CのデータサイズであるCは、画素数Aよりも小さい。
上記ステップS115は、発光ステップで発光素子を発光させた表示部113を、高解像度用撮像装置3で撮像した解像度よりも低解像度で撮像し、複数の画素のそれぞれについて第2輝度データ4Cを取得する低解像度撮像ステップである。
次に、情報処理装置2は、第2輝度データ4Cを平均輝度データ3Cで除算することにより、低周波輝度比データ5Cを算出する(S116)。具体的には、情報処理装置2は、受光素子ごとに、第2輝度データ4Cを平均輝度データ3Cで除算し、画素数Cを有する低周波輝度比データ5Cを算出する。
低周波輝度比データ5Cは、第2輝度データ4Cに含まれる、表示パネル11側に起因する実際の輝度面ムラから、平均輝度データ3Cに含まれる、表示パネル11側に起因する実際の輝度面ムラが削除され、更に、第2輝度データ4Cを撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラの逆数が乗算されていることとなる。よって、結果的に、低周波輝度比データ5Cは、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラの要素のみを含むこととなる。
次に、情報処理装置2は、低周波輝度比データ5Cを、第1輝度データ1Aのデータサイズへとリサイズする(S117)。これにより、低周波輝度比データ5Cのデータサイズは画素数Aにリサイズされる。以降、低周波輝度比5Cがリサイズされたデータを低周波輝度比データ6Aと記す。上記ステップS117は、画素輝度算出ステップの一部である。
最後に、情報処理装置2は、高周波輝度データ1Aに低周波輝度比データ6Aを乗算して、レンズ収差に起因した輝度面ムラを除外した画素輝度データ7Aを算出する(S118)。つまり、本ステップでは、ステップS111で取得された、表示パネル11側に起因する実際の輝度ばらつき、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラが含まれた高周波輝度データ1Aから、撮像装置側のレンズ収差に起因した輝度面ムラの逆数成分を含む低周波輝度比データ6Aを乗算していることから、画素輝度データ7Aは、表示パネル11側に起因する実際の輝度ばらつきのみを含むこととなる。
上述したように、本実施の形態に係る表示装置の検査方法は、(1)インターライン型(低開口率)の高解像度用撮像装置3により点灯状態の表示パネルを撮像し(第1輝度データ1A)、(2)第1輝度データ1Aを基に分割エリアごとの平均輝度データ3Cを算出する。一方、(3)低解像度用撮像装置4により点灯状態の表示パネルを撮像することで第2輝度データ4Cを算出し、(4)第2輝度データ4Cを平均輝度データ3Cで除算して低周波輝度比データ6Aを算出する。最後に、(5)第1輝度データ1Aと低周波輝度比データ6Aとの積をとり、画素輝度データ7Aを算出する。
以上により、転送速度の高いインターライン型の高解像度用撮像装置3により撮像された画素単位での輝度データおよび低解像度で撮像した輝度データから、レンズ収差に起因した表示面における輝度ムラを除外した画素単位での輝度ばらつきを取得できる。よって、輝度ムラ補正パラメータの生成工程を高精度かつ低タクト時間で実行することが可能となる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の表示装置の製造方法により取得された画素輝度ばらつきを基に生成された補正パラメータを用いて、表示装置が表示パネルを表示動作させる場合について説明する。
図10は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の、表示動作時における輝度ゲインの補正動作を説明する図である。
制御回路12は、外部から入力された映像信号を各画素に対応した電圧信号に補正変換する。メモリ121は、各画素に対応する輝度ゲイン及び代表LUT(Look Up Table)を格納する。
同図における制御回路12は、補正ブロック601と駆動回路用タイミングコントローラ615とを備える。まず、補正ブロック601の機能について述べる。映像信号が外部から入力されると、補正ブロック601及び変換ブロック602により、メモリ121に格納された映像-輝度変換LUTから、当該映像信号に対応した輝度信号が読み出される。そして、当該輝度信号に対してメモリ121から各々対応する輝度ゲインを読み出して演算して、当該輝度信号を全画素で共通の基準輝度に補正する。補正ブロック601は、画素位置検出部611と、映像−輝度変換部612と、乗算部613とを備える。また、変換ブロックは、輝度−電圧変換部614と、駆動回路用タイミングコントローラ615とを備える。
画素位置検出部611は、外部から入力された映像信号と同時に入力された同期信号により、当該映像信号の画素位置情報が検出される。ここで、検出された画素位置がa行b列であると仮定する。
映像−輝度変換部612は、メモリ121に格納された映像-輝度変換LUTから、当該映像信号に対応した輝度信号を読み出す。
乗算部613は、実施の形態1または2で取得された画素輝度ばらつきに基づいて生成された補正パラメータが格納されたメモリ121から、各画素に対応する補正パラメータである輝度ゲインと、当該輝度信号とを乗算することにより、当該輝度信号を補正する。具体的には、a行b列の輝度ゲインkとa行b列の輝度信号値が乗算され、補正後のa行b列の輝度信号が生成される。
なお、乗算部613は、メモリ121に格納された、各画素に対応する輝度ゲインと、外部から入力された映像信号が変換された輝度信号とを除算するなど、乗算以外の演算により、当該輝度信号を補正してもよい。
輝度−電圧変換部614は、メモリ121に格納されている代表変換カーブに基づき導出された代表LUTにより、乗算部613から出力された補正後のa行b列の輝度信号に対応したa行b列の電圧信号を読み出す。
最後に、制御回路12は、この変換されたa行b列の電圧信号を、駆動回路用タイミングコントローラ615を介してデータ線駆動回路112に出力する。当該電圧信号は、アナログ電圧に変換されてデータ線駆動回路へ入力される、もしくは、データ線駆動回路112内でアナログ電圧に変換される。そして、データ線駆動回路112から、各画素へデータ電圧として供給される。
本態様によると、上記補正ブロック601により、外部から入力された映像信号を画素毎に輝度信号に変換し、画像部毎の輝度信号を所定の基準輝度に補正する。その上で、補正された各画素の輝度信号を電圧信号に変換し、この変換された電圧信号をデータ線の駆動回路に出力する。
これにより、画素毎に記憶するデータは、取得された画素輝度ばらつきに基づいて生成された、各画素に対応する輝度ゲインであって各画素に対応する映像信号の輝度を所定の基準輝度にするための輝度ゲインである。そのため、従来のような、映像信号に対応した輝度信号を電圧信号に変換する輝度信号−電圧信号変換テーブルを画素毎に用意する必要はなくなり、画素毎に用意するデータ量は大幅に削減できる。そして、前記複数の画素に共通する電圧−輝度特性を表す代表変換カーブに対応する所定の情報を、前記複数の画素に共通して有している。これもデータ量として僅かである。
そのため、表示パネルの画素毎にばらつく輝度を補正して全画面で共通の輝度の映像信号を得るための補正に必要なデータの量を大幅に減少させることができる。これにより、製造コストを大幅に削減できる。その結果、製造コストおよび駆動時の処理負担を軽減して、画面全体にわたって均一な表示を実現できる。
また、複数の画素に共通する電圧−輝度特性に対応する代表変換カーブを表した所定の情報が、複数の画素に共通して一つであるので、メモリ容量を必要最小限までに削減できる。
ここで、上記補正ブロック601で用いられた輝度ゲインは、本発明の表示装置1の製造方法で取得された画素輝度ばらつきに基づいて生成されメモリに格納された補正パラメータである。また、代表変換カーブは、予め設定された代表I−V特性であってもよい。
以上実施の形態1〜3について述べてきたが、本発明に係る表示装置、その検査方法、検査装置及び製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
例えば、高解像度用撮像装置3と、低解像度用撮像装置4と、表示部113を制御する制御部である情報処理装置2とを備え、情報処理装置2は、画素の有する各発光素子を同一のデータ電圧で発光させた表示部113を、高解像度用撮像装置3を用いて画素単位で撮像して、画素単位の輝度情報である第1輝度データを取得し、各発光素子を発光させた表示部113を、低解像度用撮像装置4で撮像し、複数の画素ごとの輝度情報である第2輝度データを取得し、表示部113の表示領域を複数の分割エリアに区分けし、複数の分割エリアのそれぞれに含まれる複数の画素ごとに第1輝度データの輝度情報を平均して分割エリア内で同一の輝度情報とした平均輝度データを分割エリアごとに算出し、第1輝度データに第2輝度データを乗算し、かつ、平均輝度データで除算することにより、表示部113に起因する輝度ばらつきを反映した画素単位の輝度情報である第3輝度データを算出する表示装置の検査装置も、本発明の範囲に含まれる。
また、例えば、本発明に係る表示装置、その検査方法、検査装置及びその製造方法は、図11に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る表示装置、その検査方法、検査装置及びその製造方法により、輝度ムラが抑制されたディスプレイを備えた低コストの薄型フラットTVが実現される。