JP5994678B2 - 酸化亜鉛鉱の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化亜鉛焼鉱又は酸化亜鉛団鉱(本明細書においては、これらを併せて「酸化亜鉛鉱」とも言う)の製造方法に関する。更に詳しくは、ロータリーキルンを用いてハロゲン含有鉱を焼成することによってハロゲン成分を除去する工程を含む酸化亜鉛鉱の製造方法に関する。
例えば、鉄鋼業において高炉や電気炉等から発生するものであり、亜鉛を含有する、鉄鋼ダストから、還元焙焼法により亜鉛を分離回収して粗酸化亜鉛を製造した後、更に、ハロゲン成分を分解して除去するための乾燥加熱炉として、中空円筒形状の回転炉であり、本体の排出口側に配置された加熱用バーナーを備えるロータリーキルンが従来より広く用いられている。
このロータリーキルンを用いた乾燥加熱処理を行う際には、従来、後の亜鉛製造工程において必要とされる高いハロゲン除去率を達成するために、粗酸化亜鉛の焼成温度を概ね1000℃以上とすることが必須であり、そのような高温操業によって、低ハロゲンの酸化亜鉛鉱の製造が行われていた(特許文献1参照)。
特開平9−125169号公報
しかしながら、上記のような高温操業においては、ロータリーキルン炉内における局部的な熱負荷による炉内壁に形成されている耐火物の損傷や、相互付着して固形塊化した焼鉱の衝突等による上記耐火物の損傷、或いは、上記固形塊による、炉内閉塞等が問題となっていた。
本発明は、ハロゲン含有鉱から酸化亜鉛鉱を製造する製造方法において、上記の乾燥加熱処理を従来よりも低温度で行いながら、十分に好ましいハロゲン除去率を保持して、高品位の酸化亜鉛鉱を製造することができる酸化亜鉛鉱の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ロータリーキルンを用いた焼成を行う場合に、以下に詳細を説明する炉内気流接触総量(G)を最適化することによって、従来よりも低温度域における操業によっても、ハロゲン除去率を十分に好ましい範囲にまで向上可能であることを見出した。
更に、本発明者らは、炉内気流接触総量(G)を最適化するための手段として、ハロゲン含有鉱の静置状態における炉内気流接触率(R)を、炉内壁にリフター部を設置することにより、実質的に増加させることが、極めて有効な手段となること、及び、その増加の割合をリフター部の個数やサイズ等の関数として定量的に算出可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。より、具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) ロータリーキルンを用いてハロゲン含有鉱を焼成する乾燥加熱工程を備える酸化亜鉛焼鉱の製造方法であって、前記ロータリーキルンの内壁には、前記ハロゲン含有鉱を掻き上げ可能なリフター部が設置されていて、前記ハロゲン含有鉱の炉内気流接触率(R)と、前記リフター部による前記ハロゲン含有鉱の一部の掻き上げによる気流接触向上率(L)を乗じた値である、ハロゲン含有鉱の炉内気流接触総量(G)を、3.5以上とし、焼成温度を900℃以上1200℃以下として、前記焼成を行う酸化亜鉛鉱の製造方法。
炉内気流接触率(R)(m/t)
気流接触向上率(L)
炉内気流接触総量(G)=(R)×(L)
炉内気流接触率(R)とは、ロータリーキルン内のハロゲン含有鉱が、静置状態において、前記気流に接触可能な部分の総表面積(S1)を、その総重量(T)で除した値(S1/T)とする。
気流接触向上率(L)とは、前記リフター部によるハロゲン含有鉱の掻き上げに起因する炉内気流接触率(R)の実質的な増加の割合を、本明細書中に記載の数式によって、近似的に算出した値とする。
(2) 前記焼成温度を900℃以上1000℃以下とする(1)に記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
本発明によれば、ハロゲン含有鉱から酸化亜鉛鉱を製造する製造方法において、乾燥加熱処理を従来よりも低温度で行いながら、十分に好ましいハロゲン除去率を保持して、高品位の酸化亜鉛鉱を製造することができる
本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法に好ましく用いることのできるロータリーキルンの全体構成及び使用態様を示す断面模式図である。 本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法に好ましく用いることのできるロータリーキルンの図1のX−X線における断面模式図である。 図3中のリフター部とその周辺部分の拡大図である。 一般的なロータリーキルンを用いた乾燥加熱工程におけるキルン内での酸化亜鉛鉱の態様についての説明に供する模式図である。 本発明に特に好ましく用いることができるロータリーキルンを用いた乾燥加熱工程におけるキルン内での酸化亜鉛鉱の態様についての説明に供する模式図である。 本発明の製造方法によって製造される酸化亜鉛焼鉱について、焼成温度とフッ素品位の相関を、従来の製造方法による場合との対比において示したグラフ図である。
以下、本発明の一実施態様について図面を参照しながら説明する。
<全体プロセス>
図1に示すように、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法の本実施態様は、鉄鋼ダスト等を還元焙焼して粗酸化亜鉛を得る還元焙焼工程S10、還元焙焼工程S10で得た粗酸化亜鉛からハロゲン等を処理液中に分離除去して粗酸化亜鉛ケーキを得る湿式工程S20、及び、湿式工程S20で得た粗酸化亜鉛ケーキを乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)によって焼成することによって更にハロゲン成分を除去する乾燥加熱工程S30、乾燥加熱工程S30で発生した排ガスダストを洗浄する排ガスダスト洗浄工程S40、湿式工程S20において分離除去された排出液を放流可能な程度にまで浄化処理する排水処理工程S50等を備える全体プロセスである。
本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法は、特に、乾燥加熱工程S30において、本願独自の知見に基づき、炉内気流接触総量(G)を最適化することにより、従来よりも焼成温度を低く抑えた場合であっても、ハロゲン成分の除去率を従来と同程度の必要十分な高い除去率とすることができる点に特長がある。これにより、従来の高温操業に伴う諸問題を回避して、酸化亜鉛鉱の生産性を向上させることができる。
以下、まずは、本発明の製造方法における特長的且つ必須のプロセスである乾燥加熱工程S30について詳細を説明し、その後、その他の各工程について簡潔に説明する。
<乾燥加熱工程>
乾燥加熱工程S30は、湿式工程S20で得た酸化亜鉛ケーキを、DRK等のロータリーキルンに装入し、所定の焼成条件の下で焼成することにより、フッ素等のハロゲン成分濃度を低減させつつ、酸化亜鉛鉱を造粒する工程である。
[乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)]
図2を参照しながら、まずは、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法において好ましく用いることのできるDRKの一例であるロータリーキルン1の全体構成及び使用態様につき説明する。このロータリーキルン1は、従来公知のロータリーキルンと基本構成を概ね同じくするものであるが、特にハロゲン含有鉱を掻き上げ可能なリフター部13が設置されている点を特長とする。これにより、ロータリーキルン1は、本発明の粗酸化亜鉛鉱の製造方法を実施するための装置として極めて好ましく用いることができるものとなっている。
ロータリーキルン1は、中空円筒形状の窯であるキルン本体10、固定フード20、内部を熱するための熱風を送風するバーナー部30、キルン本体10に図中のc方向への回転力を伝える駆動ギヤ40、及び、キルン本体10を支持するキルン支持部(図示せず)を備える回転式の加熱炉である。尚、キルン本体10は、使用時に粗酸化亜鉛を投入する投入口14から、焼成物を排出する排出口15に向けて、焼成物の移動する方向に向けて、水平面に対し通常1〜4%の傾斜をもつように設置される。
キルン本体10は、金属シェル11と金属シェル11の内面に貼設される複数の耐火物12を備える。金属シェル11は、厚さ15〜30mmの炭素鋼からなる円筒形状の中空構造物であり、金属シェル11の内面には耐火物12が貼設されている。尚、金属シェル11の内面は必ずしも平滑ではないため、その場合は、耐火物12はモルタル等からなる煉瓦下張り層を介して金属シェル11の内面に貼設してもよい。耐火物12としては、従来公知の耐火煉瓦を用いることができ、中でも、アルミナ煉瓦を好ましく用いることができる。但し、耐火物12は必ずしもこれに限られず、耐熱性及び断熱性を有するその他の耐火物によって代替することもできる。
リフター部13は、図2及び図3に示すように、キルン本体10の内周壁における長手方向の中間領域に設置される突起部である。リフター部13を形成する材料は、特に限定されず公知の耐火煉瓦等によって形成することができるが、耐熱耐火性と難付着性を高めたものであることが好ましい。そのような材料として、例えば、炭化物系のセラミックスからなる難付着性煉瓦等を用いることができる。炭化物系のセラミックスとしては、例えばSiC(炭化ケイ素),ZrC,WC,WC等からなる煉瓦を操業条件や許容されるコストに応じて適宜選択して用いることができる。これらの中でも、難付着性に優れコスト面でも有利な耐火煉瓦として、純度80%以上の高純度のアルミナ煉瓦を、特に好ましく用いることができる。
リフター部13の設置位置と個数は、ロータリーキルン1のキルン本体10内の所定の高温域内にある限り、特定の具体的な位置及び個数に限定されない。上記設置位置と個数は、ロータリーキルンのサイズ、バーナー部の加熱能力、ハロゲン含有鉱の投入量等に応じ、後に詳細を説明する通り、キルン本体10内の高温域における炉内気流接触総量(G)が3.5以上となるように適宜調整すればよく、特定の具体的な位置や個数に限定されるものではない。
ここで、本明細書においては、ロータリーキルンの「高温域」とは、ロータリーキルンのキルン本体内において900℃以上の温度に達している範囲のことを言うものとする。高温域を900℃以上の範囲としたのは、焼成温度が900℃未満であると、本発明の製造方法をもってしても、フッ素を揮発させることが極めて困難であるためである。
上記炉内気流接触総量(G)が3.5以上となり、本発明の製造方法に好ましく用いることができるロータリーキルンの一例として、図2〜4に示すロータリーキルン1を挙げることができる。ロータリーキルン1は、キルン本体の内径が3.3m程度、全長が30m程度であり、ロータリーキルン1の高温域は、排出口15の炉端から約10m程度である。リフター部13は、高温域の一部である、排出口15側の炉端からの距離が2.0mから3.2mとなる範囲の内壁面円周上に略均等間隔で、6箇所に設置されている。
リフター部13の形状は、図3、図4及び図6に示す通り、ロータリーキルン1が各図におけるc方向に回転するときに、適当な量のハロゲン含有鉱粒子を掻き上げ可能な形状であれば特定の形状に限定されない。但し、キルン本体10の回転方向の方向に向く天面が略平面状であることが好ましい。図4に示すリフター部13の天面の高さhと、一つのリフター部13によって同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱粒子数は略比例関係にある。よって、この高さhを適宜調整することによって、一つのリフター部13によって同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱粒子数を調整することができる。
ここで、本明細書における「同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱粒子数」とは、例えば、図6に示す通り、リフター部13の天面の水平面に対する角度がαを超えた場合に、掻き上げられたハロゲン含有鉱50Aが、リフター部13上から落下する場合に、キルン本体10の回転中に上記角度が同時にα以下にあるリフター部13の最大数と、リフター部13の天面の高さhの大きさ等によって規定されるリフター部13上に同時に掻き上げ可能と推定されるハロゲン含有鉱50Aの粒子数のことを言う。よって、この「同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱粒子数」は、回転し続けるキルン本体10の内部において、キルン本体の下部に堆積するハロゲン含有鉱からなる堆積物から遊離して、その他の空間に存在するハロゲン含有鉱粒子の各瞬間毎の平均粒子数と概ね比例関係にあると考えることができる。
本発明の製造方法によれば、ロータリーキルン1のリフター部の形状やサイズを適宜調整することにより、「同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱粒子数」を所望の数値範囲に調整することができる。そして、このリフター部13の調整により、後に詳細を説明する通り、本発明の製造方法の効果を達成するための必須要件であるロータリーキルン1内における炉内気流接触総量(G)の最適化が可能である。即ち、本発明の方法によれば、例えば、900℃程度の焼成温度では、十分に品位の高い酸化亜鉛鉱の製造が困難であった既存のロータリーキルンを用いた場合であっても、独自の数式による計算結果に基づいて、リフター部の設置や調整を行うという簡易な追加加工のみによって、十分にフッ素濃度が低い高品位の酸化亜鉛鉱を製造することができる。
固定フード20は、排出口15から排出される排ガス等の拡散を必要な範囲で防止できるものであればよい。
バーナー部30は、キルン本体10の排出口15側近傍に設けられる重油バーナー等の加熱装置であり、ロータリーキルン1の熱源となり、キルン本体10の内部を900℃〜1200℃程度まで加熱可能なものであればよい。
以上の構成を有するロータリーキルン1においては、バーナー部30によりキルン本体10の内部を900℃以上の高温に加熱し、駆動ギヤ40によりキルン本体10をc方向に回転させながら、投入口14より、粗酸化亜鉛等のハロゲン含有鉱をa方向へと投入する。粗酸化亜鉛等はキルン本体10の傾斜に沿って攪拌、焼成されながらキルン本体10内を排出口15の方向に向かって移動してゆき、排出口15からは、高温の焼成物がb方向に排出される。
[乾燥加熱処理(焼成)条件の最適化]
キルン本体10によって、乾燥加熱処理を行う焼成温度については、を900℃以上1200℃以下とする。尚、本明細書において焼成温度と言うときは、被焼成物の排出口15における温度を測定して得ることができる出口焼鉱温度のことを言うものとする。
本発明の製造方法は、900℃以上1000℃以下の焼成温度でも、フッ素濃度を十分に低減できる点に特徴の一つがある。これにより、上記のような低温操業であるにもかかわらず、乾燥加熱処理工程後の酸化亜鉛焼鉱に残留するフッ素濃度を0.5%以下とすることができる。又、後の実施例における計算値で説明するように、リフター部の若干のサイズ変更によって、同温度で、上記フッ素濃度を0.25%以下まで低減することも可能となる。
又、本発明の他の実施態様として、焼成温度を1100℃以上1200℃以下とした製造方法も好ましい一実施態様であり、もう一つの特徴である。これにより、従来同様の焼成温度による操業であるにもかかわらず、乾燥加熱処理工程後の酸化亜鉛焼鉱に残留するフッ素の濃度を0.045%以下とすることができる。このような極めてハロゲン濃度が低い酸化亜鉛焼鉱は、電解製錬向け酸化亜鉛焼鉱として好ましく用いることができる。
本発明の製造方法における乾燥加熱工程の特徴は、気流接触率(R)に比例する値である炉内気流接触総量(G)の向上こそが、フッ素等の除去率向上に大きく寄与しうる点を新たに見いだし、更に、炉内気流接触総量(G)を実質的に高める手段としてリフター部13の設置が有効であり、その効果は、気流接触向上率(L)として、各ロータリーキルンと挿入物の備える固有の物性値に基づいて、定量的に算出可能であることを見出した点にある。
乾燥加熱工程S30においては、その焼成条件について、下記に定義するハロゲン含有鉱の炉内気流接触総量(G)を、3.5以上とする。
本明細書における炉内気流接触総量(G)とは、炉内気流接触率(R)と、気流接触向上率(L)とを乗じた値であり、下記の数式(数1)によって表される値である。
(数1)
炉内気流接触総量(G)=(R)×(L)
炉内気流接触率(R)とは、ロータリーキルン内ハロゲン含有鉱が、静置状態においてキルン内気流に接触可能な部分の総表面積(S1)(m)を、その総重量(T)(t)で除した値(S1/T)であり、下記の数式(数2)よって表される値である。
(数2)
炉内気流接触率(R)
=静置状態においてキルン内気流に接触可能な部分の総表面積(S1)(m
/静置状態においてキルン内気流に接触可能な部分の総重量(T)(t)
上記の総表面積(S1)とは、ロータリーキルン内における900℃以上の温度に達している高温域に存在するハロゲン含有鉱の堆積物の最表面の面積(m)のことを言う。例えば、図5は、リフター部13が設置されていない従来の一般的なロータリーキルンの断面図であるが、この態様におけるS1は、ハロゲン含有鉱50の堆積物の表面のA−A‘線の長さに比例する値であり、より詳しくは、A−A‘線上に一列に併置可能な粒子数に、上記のロータリーキルン内の高温域の長手方向の長さの線分上に一列に併置可能な粒子数を乗じて求めることのできる総粒子数に、各粒子の平均表面積を乗じ、更に、その総表面積の値に1/2を乗じた値である。S1を総表面積の1/2としたのは、そのような態様における粒子は、各瞬間毎に、上半分の部分だけが気流に接触可能であるとの仮定に基づく。本実施例のロータリーキルン1の場合は、上述の通り、高温域の長さは10mとなる。
上記の総重量(T)(t)とは、ロータリーキルン内における所定の焼成温度に達している高温域に存在するハロゲン含有鉱の堆積物の総重量(t)のことを言う。例えば、図5のこの態様におけるTは、ハロゲン含有鉱50の堆積物のうち、上記の高温域の範囲にある部分の総重量(t)である。ロータリーキルン1の場合、ロータリーキルン1に、9t/hrでハロゲン含有鉱を装入し、この時のハロゲン含有鉱のロータリーキルン1内での滞留時間が2hrである場合、ロータリーキルン1内(0〜30m)に同時に滞留する全てのハロゲン含有鉱の総重量は18tとなるが、上記の通り、高温域の長さが10mであることを加味すると、この場合の総重量(T)は、
T=18(t)×10(m)/30(m)=6(t)
となる。
後に実施例において詳細を示すが、上記数式(数2)によれば、例えば、内径3.0mのロータリーキルン内へ、上記のハロゲン含有鉱の総重量Tが6tとなるような上記条件で操業を行った場合における炉内気流接触率(R)の値は、下記計算式の通り、2.98となる。
(S1)=228×2000×4π×0.0025×1/2=17.90(m2
(T)=6(t)
炉内気流接触率R=S1/T=2.98
気流接触向上率(L)とは、リフター部13によるハロゲン含有鉱50の掻き上げに起因する炉内気流接触率(R)の実質的な増加の割合を、以下に詳細を説明する数式(数3)によって算出した値とする。
気流接触向上率(L)について、図6を参照しながら更に詳しく説明する。キルン本体10における炉内気流接触率(R)は、キルン本体10の回転駆動時に、リフター部13によって同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱50Aの全ての粒子の総表面積(S2)と、静置状態におけるハロゲン含有鉱50の総表面積(S1)との和の、(S1)に対する増加割合(S1+S2/S1)と、ほぼ等しい割合で、実質的には増加することが分かっている。このリフター部設置による実質的な炉内気流接触率の増加の割合を気流接触向上率(L)と言う。
ここで、気流接触向上率は、高温域全域にリフター部が設置された理論上の理想状態における炉内気流接触率の実質的な向上の割合を、基準値(L0)として算出し、実際の実施形態において、高温域の一部のみにリフター部が設置されている場合には、「キルン本体の高温域の長手方向の長さに対するリフター部の長手方向の長さの割合」を補正係数として、L0の値を補正することによって個々の実施形態毎の気流接触向上率(L)として得ることができる。
ロータリーキルン1の気流接触向上率の基準値(L0)は、キルン本体10の垂直断面内における、ベッド層(ハロゲン含有鉱50の堆積物)の表面粒子総数の接触面積を分母にし、一方リフター部により掻き揚げられた粒子による接触面積を追加した面積和を分子にして、その比率として評価できる。上記垂直断面内におけるベッド層表面の粒子数は、後に実施例で詳述する通り、ベッド層幅(図6におけるハロゲン含有鉱50の堆積物の表面のA−A‘線の長さ)が1.14mであるため、1.14m/5mm=228ケとなる。この場合の気流との接触面積は各粒子とも上部半分と評価できるので、この接触面積は114ケの粒子に相当する面積となる(s1)。又、リフター部13によって掻き揚げられた粒子数は、図6に示す通り、キルン本体10の回転時に、リフター部13によって、同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱50Aのうち、リフター部13の天面の高さhの長さの線分B−B‘上に存在するキルン断面内の粒子数となり、一列に併置可能な粒子数に、層状に堆積した段数を乗じた粒子個数として評価でき、30列×10段=300ケとなる。更に同時に掻き揚げられるリフター部の数はこの場合2ケであるため、計600ケの粒子が接触粒子数となる(s2)。この場合の接触面積は気流中を落下接触になるため、この600ケ粒子相当の表面積となる。以上より、s1に対する(s1+s2)の比を持って、「高温域全体にリフター部が設置された場合の炉内気流接触率の実質的な向上の割合(L0)」とすることができる。具体的には、下記の数式(数3)よって表される値である。尚、上記の「層状に堆積した段数」が、凡そ10段であることについては、本実施形態の場合は実測値として粒子層の厚さから確認されており、理論値とも一致している。この値は、条件の異なるその他の操業においても、掻き上げられる粒子の物性と、リフター部の形状、安息角から個々に理論値として、推定することが可能である。
(数3)
気流接触向上率の基準値(L0)={(s1)+(s2)}/(s1)
尚、一般的な操業形態のロータリーキルンにおいては、必ずしもその高温域全体にリフター部を設置する必要はなく、又、現実的には操業条件や技術的要件に従って、所要の範囲に設置すればよい。本発明の製造方法は、リフター部を高温域内の一部に設置することによっても、その効果を十分に享受することが可能である。具体的な一例として、本実施形態のロータリーキルン1のように、10mにわたる高温域の長手方向の一部範囲(1.2m)のみにリフター部13が設置されている場合には、「キルン本体の高温域の長手方向の長さに対するリフター部13の長手方向の長さの割合」が、1.2(m)/10(m)=0.12となる。この場合は、下記の数式(数4)の通り、上記のs2の値にこの比を補正値として乗じることによって、このロータリーキルン1における気流接触向上率(L)を求めることができる。
(数4)
気流接触向上率(L)={(s1)+(s2×α)}/(s1)
但し、αは、「キルン本体の高温域の長手方向の長さに対するリフター部13の長手方向の長さの割合」とする。本実施形態においては、上記の通り、α=1.2(m)/10(m)=0.12となる。
上記の通り、炉内気流接触率(R)は、個々の操業現場毎に固有の値をとなるものと考えられるが、Rが一定の下であっても、リフター部13の設置によって、炉内気流接触総量(G)を所望の程度に高めることができる。リフター部13の設置範囲は、高温域の範囲の全領域でも良いし、一部領域でも良い。所望のフッ素濃度の程度や、その他の操業上の事情により、適宜、設置範囲や設置数を最適化すればよい。その際に操業毎の固有の条件によって定まる気流接触向上率の基準値(L0)を、算定し、それを、上記の数式(数4)を用いてシュミレーションしながらリフター設計することによって、設計段階において、所望のフッ素除去率の向上効果の発現率を高めることができる。
尚、揮発物の揮発及びキルン外への移動除去のために一定量以上の炉内気流が必要であるが、揮発物の未飽和状態を維持できる炉内気流風量及び揮発物等を同伴できる炉内気流風速(W)があればよい。例えば、ロータリーキルン内の炉内気流風速(W)は、ロータリーキルン内へ送風する単位時間当りの風量とロータリーキルンのキルン内温度及びキルン本体の内壁における垂直断面積から、ロータリーキルン内における気流の平均風速の値として算出することができるが、通常の操業条件で発生する数m/sec程度の風速が得られれば、高温域におけるフッ素が飽和することなく充分に揮発するので、上記の数式(数4)へ組み入れなくてもよい。
炉内気流風速(W)の計算は下記の数式(数5)よって可能である。
(数5)
炉内気流風速(W)
=ロータリーキルン内へ送風する1秒当たりの風量(Nm/sec)
÷キルン本体の内壁における垂直断面積(m
×(273+キルン内温度(℃))/273)
この(数5)は、炉内気流風速(W)の値が、送風量と温度の積をキルン内壁面積で序した値に、実際の風速の絶対温度による変動分を補正して得ることのできる値であることを表すものである。
例えば、内径3.0mのロータリーキルン内へ送風される風量が、11,000(Nm/hr)であり、キルン内温度が1000℃である場合には、炉内気流風速(W)の値は、2.0m/secとなり、この値であればフッ素の除去率に影響することはない。よって、ロータリーキルンの現実的な操業の条件範囲においては、炉内気流接触総量(G)を、単に炉内気流接触率(R)と気流接触向上率(L)の積として求めることができ単純化でき、この(G)を所望のフッ素除去率を達成するための指標値とすることできる。
<還元焙焼工程>
鉄鋼ダスト等から粗酸化亜鉛を回収する還元焙焼工程S10を行う具体的な方法としては、還元焙焼ロータリーキルン(RRK)による還元焙焼法を採用するのが一般的である。以下、還元焙焼工程S10に投入する粗酸化亜鉛の原材料として、鉄鋼ダストを用い、RRKによって還元焙焼を行う場合について説明する。この場合において、鉄鋼ダストは必要に応じて予め大きさ5〜10mm程度のペレットに成形され、石炭、コークス等の炭素質還元剤と石灰石等とともにRRKに連続的に装入される。RRKの炉内は重油の燃焼と装入した炭素質還元剤の燃焼により、被処理物の最高温度が1100〜1200℃程度にコントロールされている。この炉内で鉄鋼ダストは還元焙焼され、揮発した金属亜鉛は炉内で再酸化されて粉状の酸化亜鉛となる。鉄鋼ダスト中に少量含まれる鉛についても、同様に還元焙焼され、揮発した金属鉛は炉内で再酸化されて粉状の酸化鉛となる。尚、例えばハロゲンが多量に存在する場合は一部の金属亜鉛及び鉛は、ハロゲン化合物として揮発する。粉状の酸化亜鉛及び酸化鉛は、RRKからの排出ガスとともに集塵機に導入され、捕捉されて粗酸化亜鉛として回収される。一方、揮発せずに炉内に残った還元焙焼残渣は、還元された鉄分が多く含有されるため、還元鉄ペレットと称する製品としてキルン排出端より回収され、鉄鋼メーカーに鉄原料として払いだされる。
<湿式工程>
粗酸化亜鉛に含有されるフッ素等の不純物を処理液中に分離抽出し、更に固液分離処理によって、粗酸化亜鉛から不純物を水洗浄法により除去して粗酸化亜鉛ケーキを得る湿式処理は、以下の処理工程によって行うことができる。
還元焙焼工程S10により鉄鋼ダストから回収された粗酸化亜鉛は、工業用水等でレパルプされる。回収は、電気集塵機等で行うことができる。又、このレパルプについてはアルカリ溶液を使用する必要はない。スラリーとなった粗酸化亜鉛はpH調整及び凝集処理を行い、その後、1次脱水を行う。pHは6〜7程度の弱酸性溶液に調整してカドミウムを溶離し、凝集剤等を利用して沈降性を高める。この1次脱水後、工業用水で希釈し、更に2次脱水を行う。この2度の洗浄脱水により、粗酸化亜鉛ケーキのハロゲン濃度は、フッ素濃度について0.6質量%未満、塩素濃度については、1.0質量%未満にまで低減することが好ましい。
例えば、この湿式処理をpH6.5程度の低pH処理液によって粗酸化亜鉛から主にカドミウムを除去する第1の湿式処理と、pH8.5程度の高pH処理液によって、粗酸化亜鉛から主にフッ素化合物を除去する第2の湿式処理とに分けて、段階的に行うことにより各元素毎の除去率を高めることもできる。
フッ素等の不純物が処理液中に除去された状態において、固液分離により、不純物が分配された処理液をスラリーから除去する。これにより、粗酸化亜鉛スラリーがより高濃度の粗酸化亜鉛ケーキとなる。尚、固液分離のための脱水処理については、シックナー等の重力沈降式スラリー濃縮装置や真空脱水機等の水分強制脱水装置を用いることができる。
<排ガスダスト洗浄工程>
乾燥加熱工程S30で発生した排ガスダストを洗浄して洗浄後の排ガスダストケーキを得るための排ガスダスト洗浄工程S40を行うための洗浄設備としては、洗浄塔、湿式電気集塵機の組み合わせが一般的である。又、これらの設備で回収された洗浄後の排ガスダストケーキを、乾燥加熱工程S30のDRK等の上流工程に繰り返して循環投入することにより、金属資源の有効利用を図る処理が従来より行われている。
<排水処理工程>
排水処理工程S50は、湿式工程S20において粗酸化亜鉛から分離されたフッ素やカドミウムを含有する廃液から、フッ素及びカドミウムを除去し、更に、廃液中に微量含まれる重金属を中和処理により抽出し、最終的にpHを調整して無害の排水とする工程である。
湿式工程S20において分離された廃液中には粗酸化亜鉛から極微量溶出した亜鉛及び/又は鉛成分も含有している。この重金属成分の回収のために上述の通り中和処理を行う。この中和処理は一般に消石灰を添加することにより行う。この消石灰の添加方法は、固体状の消石灰を直接湿式処理液に添加する方法や、消石灰を液体状に溶解した溶解液を湿式処理液に添加する方法等が使用できる。又、消石灰の添加量は、添加後の中和処理液のpHを測定することで調整することもできる。
尚、この中和処理により回収された亜鉛化合物或いは鉛化合物を含有する中和処理澱物は、湿式処理工程に繰り返して用いられ、還元焙焼工程から得られる酸化亜鉛スラリーとともに湿式処理され、DRKにて焼成及び造粒を行い、酸化亜鉛鉱に固定させる方法が一般的に行われている。
[その他の工程]
その他の工程については、特に制限はなく、上記の乾燥加熱工程とその他の構成を適宜組み合わせて実施することにより、高品位の焼鉱を製造する方法であれば本発明の範囲内である。
以上より、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法によれば、従来と比して焼成温度を低く抑えた場合であっても、ハロゲン成分の除去率を従来と同程度の必要十分な高い除去率に維持することができ、酸化亜鉛鉱の生産性を向上させることができる。
又、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法によれば、従来と同程度の焼成温度での操業によって、ハロゲン成分の除去率を従来よりも高めることができ、電解製錬向け酸化亜鉛焼鉱として好ましく用いることができる高品位の酸化亜鉛鉱を高い生産性で得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。又、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<評価例1>
キルン内の気流がフッ素含有率の低下に寄与することを確認するために以下の試験を行った。
内径0.06m、長さ0.6mの円筒形中空状の金属製の試験用管状炉に、7.8gの同一組成の試料(酸化亜鉛鉱)を投入し、環状炉内壁の長さ方向の全面に渡って静置した。そして静置状態における試料を、試験例1については、風速0.026m/secの気流の下で、表1記載の各焼成温度で、それぞれ管状炉内に30分間保持する焼成し、焼成後の各試料のフッ素含有率を測定し、結果を表1に示した。試験例2ついては、風速0.00m/秒、即ち気流無しとしたこと以外は、試験例1と同条件の焼成を行い、焼成後の各試料のフッ素含有率を測定し、結果を表1に示した。
Figure 0005994678
上記結果より、キルン内の気流がフッ素含有率の低下に寄与すること、及び、炉内に気流を導入することにより、より低い温度で好ましいフッ素除去率を達成できることが明らかである。
<評価例2>
下記の通り、実施例及び比較例のロータリーキルンを用意して、本発明の製造方法の効果を検証した。
(実施例のロータリーキルン)
内径3m、長さ30mの円筒中空状のキルンに、天面の高さ(図4におけるh2)が150mmのリフター部を設置した。リフター部は、排出口側の炉端からの距離が2.0mから3.2mとなる範囲1.2mにわたって、内壁面円周上に、図3同様の略均等間隔の配置で6箇所に配置した。
(比較例のロータリーキルン)
リフター部が設置されていない点のみが実施例のロータリーキルンと異なり、その他の点は実施例のロータリーキルンと同一とした。
そして、実施例、比較例それぞれのロータリーキルンに、18.0tの同一組成の試料(酸化亜鉛鉱)を、1時間当り9.0tの装入量で連続投入し、ロータリーキルンを回転させながら、各試料をそれぞれ下記の各焼成温度で焼成した。焼成温度とは、上述の通り焼鉱の物温のことを言うものとする。又、これらのロータリーキルンの高温域の長手方向の長さについては、10mとして以下の計算を行った。
気流に接触可能な部分の総重量(T)については、上記の条件で挿入を行った場合のロータリーキルン全体内の総重量は18(t)となり、よって、この場合のTは、T=18(t)×10(m)/30(m)=6(t)となる。
炉内気流風速(W)については、キルン本体内の温度が1000℃の時には、送風風量11kNm/時で送風した。この条件下においては、キルン本体内の風速は、実施例、比較例いずれも常に風速2.00m/sec以上となり、風速の変動は、フッ素の除去率に実質的に影響しない。このキルンにおいて、900℃以上の高温域の長手方向の長さは10mであった。又、試料は、投入から排出までキルン本体内に2時間保持されることとなるように1分間当りの投入量、キルンの回転速度等を適宜調整した。尚、評価例2に用いた試料の平均粒子径は5mmであった。
焼成温度毎の焼成後の各試料のフッ素含有率を測定し結果を表2及び図7に示した。
実施例における炉内気流接触総量(G)を算出したところ以下の通りとなった。
まず、気流接触向上率(L)を算出した。実施例及び比較例のキルン本体の内径や試料の装入量等から、図6に示す積層された状態における全試料の厚みh1は0.11mとなる。これより、線分A−A’の長さは、1.14mであると算出できる。よって、線分A−A’上に粒径5mmの試料は228個、又、高温域の長手方向の長さの線分上には、2000個並ぶことができる。以上より、
(s1)=228×4π×2.5×1/2=8949(mm
となる。
又、h=150mmより、線分B−B’上に粒径5mmの試料は30個並ぶことができる。又、リフター部上に層状に堆積する粒子の層厚は平均50mmであることから、粒子10ケが層を成すこととなり、分散降下時は粒子全面が気流接触する。又、同時に粒子を掻き上げることができるリフター部は2か所であった。以上より、
(s2)=30×10×4π×2.5×2=47100(mm
よって、
上記数値s1、s2をそれぞれ(数3)に代入して気流接触向上率の基準値L0を求めると、以下の通りとなる
気流接触向上率の基準値(L0)={(s1)+(s2)}/(s1)
=(8949+47100)/8949
=6.26
更に、リフター部の長手方向の長さを加味し、(数4)により、実施例のロータリーキルンの気流接触向上率(L)を求めると、下記の通りとなる。
気流接触向上率(L)={(s1)+(s2×α)}/(s1)
={8949+47100×(1.2/10)}/8949
=1.63
よって、実施例のロータリーキルンの炉内気流接触総量(G)は、以下の通りとなる。
炉内気流接触総量(G)=R×L=2.98×1.63=4.86
一方、比較例における炉内気流接触総量(G)は以下の通りである。
(比較例)
炉内気流接触率(R)=S1/T=17.90/6=2.98
(S2)=0より、
気流接触向上率(L)={(S1)+(S2)}/(S1)=1
炉内気流接触総量(G)=R×L=2.98×1=2.98
(参考例(計算値))
ここで、更に、実施例のロータリーキルンにおいて、リフター部を、排出口側の炉端からの距離が2.0mから5.0となる範囲3.0mにわたって設置した場合の、フッ素含有率の理論値を算出した。
気流接触向上率(L)={(s1)+(s2)×α}/(s1)
={(8949+47100×(3.0/10)}/8949
=2.58
よって、参考例のロータリーキルンの炉内気流接触総量(G)の計算値は以下の通りとなる。
炉内気流接触総量(G)=R×L=2.98×2.58=7.69
となり、この場合の理論上の試料のフッ素含有率については、推定した計算値として求めることができる。この試験例の場合のフッ素含有率の計算値を、表2及び図7の実施例、比較例に追加して示した。
試験例(気流接触向上率(L)=2.58)の場合のフッ素含有率を示す上記計算値は、図7の比較例(気流接触向上率(L)=1)の実測値と、実施例(気流接触向上率(L)=1.63)の実測値の2点から、(L)=2.58となる試験例の場合の計算値を近似的に外挿して求めたものである。求めた計算値を、表2及び図7に示した。このように、本発明の製造方法によれば、例えば、リフター部を、3m程度にすることにより、焼成温度が900℃程度であっても、フッ素濃度が0.2%程度の極めて高品位の酸化亜鉛鉱を製造可能であることが推定される。
Figure 0005994678
上記実施例、及び比較例より、炉内気流接触総量(G)を3.5以上とする本発明の製造方法によれば、従来よりも相対的に低温度の焼成温度で、酸化亜鉛鉱のフッ素濃度を、極めて低い濃度にまで低減することができることが分る。具体的には、一例として高温域10mに対して長さ1.2m程度のリフター部を設置することによって、焼成温度が900℃であっても、0.5%以下のフッ素品位を実現することができる。又、本発明の製造方法によれば、同様に、従来と同程度の焼成温度で、電解製錬向け酸化亜鉛焼鉱として好ましく用いることができる極めてハロゲン濃度が低い高品位の酸化亜鉛鉱を得ることができることが分る。具体的には、上記同様のリフター部の設置により、1100℃の焼成温度で0.045%未満のフッ素品位を実現することができる。又、リフター部の長さを調整することによってLの値を最大L0まで増大させることも可能であり、この範囲でリフター部の設計変更を行うことによって、その他の条件を変動させることなく所望のフッ素品位を実現することもできる。
S10 還元焙焼工程
S20 湿式工程
S30 乾燥加熱工程
S40 排ガスダスト洗浄工程
S50 排水処理工程
1 ロータリーキルン
10 キルン本体
11 金属シェル
12 耐火物
13 リフター部
14 投入口
15 排出口
20 固定フード
30 バーナー部
40 駆動ギヤ
50 ハロゲン含有鉱

Claims (2)

  1. ロータリーキルンを用いてハロゲン含有鉱を焼成する乾燥加熱工程を備える酸化亜鉛焼鉱の製造方法であって、
    前記ロータリーキルンの内壁には、前記ハロゲン含有鉱を掻き上げ可能なリフター部が設置されていて、
    前記ロータリーキルンのハロゲン含有鉱の炉内気流接触率(R)と、前記リフター部による前記ハロゲン含有鉱の一部の掻き上げによる気流接触向上率(L)を乗じた値である、ハロゲン含有鉱の炉内気流接触総量(G)を、3.5以上とし、
    焼成温度を900℃以上1200℃以下として、
    前記焼成を行う酸化亜鉛鉱の製造方法。
    炉内気流接触率(R)(m/t)
    気流接触向上率(L)
    炉内気流接触総量(G)=(R)×(L)
    炉内気流接触率(R)とは、ロータリーキルン内のハロゲン含有鉱が、略平面状の表面を有する堆積物となるように積層されている静置状態において、キルン内気流に接触可能な部分の総表面積(S1)を、その総重量(T)で除した値(S1/T)であり、総表面積(S1)を、ロータリーキルン内における900℃以上の温度に達している高温域に存在するハロゲン含有鉱の堆積物の最表面の面積(m )とし、総重量(T)を、該堆積物の総重量(t)として求める。
    気流接触向上率(L)とは、リフター部によるハロゲン含有鉱の掻き上げに起因する炉内気流接触率(R)の実質的な増加の割合を、下記数式(数4)によって出した値とする。下記(数4)におけるs1は、ロータリーキルン内における900℃以上の温度に達している高温域に存在するハロゲン含有鉱のうち、キルン本体の回転駆動時にリフター部によって同時に掻き上げ可能な部分が全て掻き上げられている状態となった時のハロゲン含有鉱堆積物の最表面の面積であり、s2は、同キルン本体の回転駆動時にリフター部によって同時に掻き上げ可能なハロゲン含有鉱の全粒子の表面積の合計値であり、αは前記高温域の長手方向の長さに対するリフター部の長手方向の長さの割合である。
    (数4) (L)={(s1)+(s2×α)}/(s1)
  2. 前記焼成温度を900℃以上1000℃以下とする請求項1に記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
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