JP5723304B2 - ロータリーキルンの操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉、転炉等で発生するダストからZnおよびFeを分離回収して還元鉄を得るためのロータリーキルンの操業方法に関し、さらに詳しくは、還元鉄の残留Zn率を低下させるとともに、キルン内壁への付着を抑制して稼働率を向上させることができるロータリーキルンの操業方法に関する。
製鉄所の高炉、転炉等から発生するダスト(以下、「鉄鋼ダスト」という)は、FeやZnなどの有価物を含有している。これらFeやZnを分離回収するために、円筒状のロータリーキルンを使用するウェルツキルン法や回転炉床法等による還元焙焼が行われる。
ウェルツキルン法では、鉄鋼ダストをコークスなどの還元材とともにロータリーキルンに装入する。装入された原料はキルンの回転に伴い内壁に沿って持ち上げられ落下するために、撹拌されながら緩やかに排鉱側に移動する。一方、キルン内のガスの流れは装入原料の流れとは逆向きで、排鉱側から給鉱側に流れる。したがって、排鉱側の熱はガス流れを介して給鉱側に伝播する。
装入された原料(以下、「装入物」ともいう)は一定温度以上に加熱されると、原料に含まれる還元材の燃焼が始まり、発生した熱が装入物に供給される。一方、排鉱端付近では、外気を導入しているため、装入物は冷やされる。したがって、定常状態のキルン長手方向の装入物の温度分布は中間部に最高温度(以下、「キルン内最高温度」という)を持つ凸状の温度分布となる。
キルン内最高温度の調整は燃料となる還元材の配合量で調整するのが一般的である。また、装入物の温度分布、特に、キルン内最高温度を示す部分のキルン長手方向における位置(この位置を、以下、「キルン内最高温度位置」または単に「最高温度位置」という)の調整は、キルン内のガスの流量や原料装入速度を調整することにより行うのが一般的である。具体的には、ガスの流量を多くするか、あるいは原料装入速度を低下させて装入物の流量を少なくすると、排鉱側から給鉱側への熱の伝播が良くなるため、キルン内最高温度位置は給鉱側に移動する。逆に、ガスの流量を少なくするか、あるいは原料装入速度を増大させると、排鉱側から給鉱側への熱の伝播が悪くなるため、最高温度位置は排鉱側に移動する。
原料に含まれる亜鉛酸化物は、装入した還元材の燃焼により発生したCOなどの還元ガスにより還元され、揮発する。揮発したZnは排ガスとともに炉外に排出され集塵機で捕集される。Znが分離された後の装入物中の鉄分も還元ガスによる還元をうけ、還元鉄となる。この還元鉄は鉄鋼原料として再利用される。
鉄鋼の製造法は種々あるが、わが国では、高炉−転炉法がその大部分を占める。Zn濃度の高い原料を高炉で使用すると、高炉内での付着物の生成や棚吊りの原因となる。そのため、ロータリーキルンで製造した還元鉄を高炉で使用する場合、還元鉄中の残留Znを低く抑える必要がある。
Znの分離を促進するためには、キルン内の還元雰囲気を強くすること、そのためには、還元温度を高くすること(すなわち、キルン内最高温度を高くすること)が有効である。しかし、還元材の配合量を多くし、高温で還元すると低融点化合物が溶融しキルン内壁に付着しやすくなる。キルン内壁への付着が進行すると、この付着物を除去するために操業を停止しなければならず、ロータリーキルンの稼働率が低下する。したがって、鉄鋼原料として再利用する還元鉄中の残留Zn率を低位に保ちつつ、低融点化合物の付着を抑制して高稼働率を維持するためには、キルン内最高温度のきめ細かい管理が要求される。
また、キルン内最高温度位置はキルン装入量(すなわち、キルンによる処理量)を高める観点からは極力排鉱側にすることが好ましいが、外乱が生じた場合、還元が不十分になり還元鉄中の残留Zn上昇のリスクが増大する。したがって、還元鉄中の残留Zn率を低位に保ちつつ高処理量を維持するためにも、キルン内最高温度位置のきめ細かい管理が要求される。
このように、ロータリーキルンの操業においては、キルン内の温度管理が重要になるが、例えば特許文献1では、炉本体の内部温度の測定手段として、炉本体の軸線方向の同一位置において周方向に間隔をあけて、感温部がそれぞれ耐火物層の内周面に露呈するように配置された複数の温度センサ(熱電対、測温抵抗体)を有し、または、さらにその感温部が径方向外方に後退した位置(つまり、耐火物層の内周面に加え、耐火物層の内部、耐火物層と炉体シェルの境界部分)となるように配置されたロータリーキルン式高温処理装置が開示されている。これにより、一の温度センサの故障を他の温度センサで補って炉体内部の温度を精度よく測定することができ、さらに、耐火物の劣化状態を、操業を停止することなく把握して適正な時期に耐火物層の補修を行うことが可能となる、としている。
特許文献2では、熱電対等の温度測定手段で測定したキルン本体側の温度データを、集電装置等を用いることなく、簡単・確実に且つ精度よく固定側に取り出すことができるロータリーキルンの温度制御装置が開示されている。この装置では、温度測定手段をキルン本体の長手方向複数箇所に配置しており、その温度データに基づいてロータリーキルンの燃焼、またはキルン本体からの排気ガスの排出流量を制御することにより、良好な運転制御が可能となるとしている。
また、特許文献3では、ロータリーキルンの鉄皮温度を長手方向に沿って複数箇所で計測し、その計測値をニュートラネットワーク(キルン内の燃焼状態を認識する手段)の入力層に入力してキルン内の焼成状態を推定する計装システムが開示されている。
前記特許文献1、2に記載の技術では、キルン内温度を測定する場合、キルン内壁の耐火物内に熱電対等の温度計を埋め込み測定する一般的な方法を採用している。しかしながら、温度計の前面に付着物が付くと、正確な炉内温度が測れなくなる。また、温度計を設置している箇所の温度しか測定することができない。また、特許文献3に記載の技術においても、炉内温度の測定は従来の一般的な方法により行っており、炉内で付着が生じると正確な炉内温度は把握できない。
特開2008−241218号公報 特開2004−11990号公報 特開平6−147759号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータリーキルンにより鉄鋼ダストを処理し、ZnおよびFeを分離回収して還元鉄を得るに際し、キルン内長手方向の温度を連続的に測定して、その温度情報、特にキルン内最高温度とその最高温度位置に基づいてきめ細かい温度管理をすることにより、還元鉄における残留Zn率の低下と高稼働率を同時に達成できるロータリーキルンの操業方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、キルン内壁の耐火物内に熱電対等の温度計を埋め込む一般的な方法ではなく、サーモビュア(thermo−viewer)を適用してキルン内長手方向の温度を連続的に測定することを試みた。サーモビュアとは、対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出して、見かけの温度に変換し、対象物の温度分布を画像表示する装置あるいは方法をいう。この方法(装置)によれば、キルン内壁における低融点化合物の溶融に起因する付着物の生成に妨げられずにキルン内温度の測定が可能になると考えられる。
サーモビュアによりキルン内長手方向の温度を測定しようとすると、サーモビュアの設置位置はロータリーキルンの給鉱側か排鉱端側になる。キルン内最高温度位置より給鉱側はZnヒュームが浮遊しているので、サーモビュアでの正確な温度の測定は困難である。したがって、サーモビュアは、排鉱端近傍の、高温のキルン本体に対して若干の距離を隔てた位置に設置する必要がある。
その場合、排鉱時にダストが発生して舞いあがるため、正確な温度測定ができないことがある。そこで、排鉱部分を集塵したところ、ダストの舞いあがりを防止することができ、サーモビュアによる測温が可能になった。また、サーモビュアを排鉱端に固定して設置することにより、キルン内最高温度位置を把握することが可能となった。
さらに、本発明者らは、キルン内最高温度位置を周期的に移動させることとした。この最高温度位置付近は、低融点化合物が溶融するため、最も付着が起こりやすく、最高温度位置が固定されるとその部分で厚く強固な付着物が形成されるので、最高温度位置を周期的に移動させて付着を抑制するためである。サーモビュアを用いることにより正確なキルン内温度の測定が可能となり、しかも、キルン内最高温度位置の把握が可能となったことから、最高温度位置の周期的な移動が可能になり、付着を抑制できるようになった。
本発明はキルン内温度の測定についての新たな着想と上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、次のとおりである。
Fe、Znを含有する鉄鋼ダストを還元材とともにロータリーキルンに装入して還元焙焼することにより、Znを分離し、Feを還元鉄として回収するロータリーキルンの操業方法であって、ロータリーキルンからの排鉱時に発生するダストの集塵を行いつつ、キルン排鉱端の近傍に設置したサーモビュアを用いてキルン内最高温度および最高温度位置を測定し、当該キルン内最高温度および最高温度位置に基づいて、前記キルン内最高温度位置を8時間以下の周期で移動させることにより、キルン内温度制御を行うことを特徴とするロータリーキルンの操業方法。
ここで、「鉄鋼ダスト」とは、製鉄所の高炉、転炉等から発生するダストをいう。なお、鉄鋼ダストは、通常、スラリー状にして調整槽に搬入され、攪拌されて成分が均一に分散された後、フィルタープレスにより脱水する前処理が施されるが、ここでいう「鉄鋼ダスト」とは、この前処理後のダストをいう。また、「キルン内最高温度」とは、定常状態にあるロータリーキルンの長手方向における装入物の最高温度であり、「最高温度位置」とは、キルン内最高温度を示す装入物のキルン長手方向における位置である。
本発明のロータリーキルンの操業方法において、キルン内最高温度位置を、キルンの全長のうち給鉱端から排鉱端へ向けて55〜75%の範囲内の位置とすれば、キルン装入量(すなわち、キルンによる処理量)を高く維持しつつ、還元鉄中の残留Zn上昇のリスクの増大を抑えることができ、望ましい。
ここで、「キルンの全長」とは、キルンの給鉱端から軸芯に沿って排鉱端に至る長さである。
また、本発明のロータリーキルンの操業方法では、キルン内最高温度位置を8時間以下の周期で移動させるので、厚く強固なキルン内壁付着物の形成を回避することができ
本発明のロータリーキルンの操業方法によれば、サーモビュアを用いることにより正確なキルン内温度を測定し、キルン内最高温度位置を把握することができるので、それに基づくきめ細かい温度管理が可能になる。特に、最高温度位置の周期的な移動が可能となったことから、低融点化合物の溶融に起因する強固な付着を抑制することができ、鉄鋼ダストから、残留Zn率の低い還元鉄を高い稼働率で製造することができる。
ロータリーキルンを用いた還元鉄製造プロセスの一例を示す概略図である。
本発明は、Fe、Znを含有する鉄鋼ダストを還元材とともにロータリーキルンに装入して還元焙焼することにより、Znを分離し、Feを還元鉄として回収するロータリーキルンの操業方法を前提としている。
図1は、ロータリーキルンを用いた還元鉄製造プロセスの一例を示す概略図である。図1に示すように、高炉ダスト、製鋼ダスト等の鉄鋼ダスト1は、カーボン系ダスト3やコークス4等の還元材と一緒に混合・造粒機5に投入される。電気炉ダスト2が投入されることもある。これらの原材料は混合・造粒機5により混合され、成分が均一化されるとともに、ペレット状に造粒される。
成分が均一化されたペレット状の原料はロータリーキルン6に装入される。キルン6は排鉱側に向けて若干下方に傾斜しているので、装入された原料は、キルン6の回転に伴い転動しながら緩やかに排鉱側に移動する。排鉱側にはバーナー7が取り付けられており、その燃焼ガスは、装入原料の流れとは逆向きに、排鉱側から給鉱側に流れる。
ロータリーキルン6に装入された原料はバーナー7からの熱により加熱され、一定温度以上になると、原料に含まれるコークス等の還元材の燃焼が始まる。原料に含まれる亜鉛酸化物は、還元材の燃焼により発生したCOなどの還元ガスにより還元されてZnとなり、揮発する。揮発したZnは、排ガスとともにファン8により吸引されてキルン6外に排出され、Znが濃縮されたZnダストとして集塵機9で捕集される。なお、原料に鉛酸化物が含まれる場合は、同様に還元されてPbとなって揮発し、集塵機9で捕集される。
Znが分離された後の装入物中の鉄分(鉄酸化物)も還元ガスにより還元され、還元鉄となる。還元鉄はキルン6の排鉱端から排出され、ロータリークーラー10を通過する間に冷却され、回収される。
本発明のロータリーキルンの操業方法においては、さらに、ロータリーキルンからの排鉱時に発生するダストの集塵を行いつつ、キルン排鉱端の近傍に設置したサーモビュアを用いてキルン内最高温度および最高温度位置を測定し、当該キルン内最高温度および最高温度位置に基づいてキルン内温度制御を行う。前記の図1を参照して説明すると、排鉱時に発生するダストの集塵は、例えばロータリークーラー10の下流側に取り付けられた集塵機11で行う。また、キルン内温度の測定は、キルン6の排鉱端の近傍に設置したサーモビュア12を用いて行う。
排鉱時に発生するダストの集塵を行うのは、サーモビュアによりキルン内温度を測定する場合、排鉱時にダストが発生してその一部が舞いあがり、しばしば正確な温度測定が妨げられるからである。
図1に示したように、集塵機11を設置してキルン6の排鉱部分を集塵することにより、前記ダストの舞いあがりが抑えられ、サーモビュアでの視界が確保されるので、サーモビュアによるキルン内温度の測定が可能になる。この場合、集塵機の形式、設置場所等について特に限定はない。サーモビュアによる温度測定に支障を来さないようにダストの舞いあがりが抑えられる形式の集塵機および設置場所を定めればよい。
サーモビュアをキルン排鉱端の近傍に設置するのは、キルン本体からの高熱を避けつつ、サーモビュアによるキルン内温度の測定を極力近距離から行うためである。前記図1に示した例では、キルン排鉱端に取り付けられた、還元鉄をロータリークーラー10へ移送するためのホッパー13の側壁にサーモビュア12を設置している。
本発明の操業方法において、サーモビュアを用いるのは、キルン内壁における付着物の生成に妨げられることなく、正確にキルン内最高温度および最高温度位置を測定するためである。
サーモビュアを使用するに際しては、サーモビュアを排鉱端に設置し、固定して測温する。ロータリーキルン本体はその軸芯の回りに回転するが、軸芯の位置は固定されているので、サーモビュアを固定することにより、サーモビュアの視点をキルン内壁上の適切な位置(これを基準位置とする)に定めることができる。この基準位置を原点としてサーモビュアの画像上に座標を構成すれば、サーモビュア上の座標とキルン長手方向位置との対応付けが可能となり、例えば、キルン内最高温度を正確に測定できるだけでなく、最高温度位置を把握することが可能となる。なお、キルン内壁における付着物の有無によりサーモビュア上の座標とキルン長手方向の位置関係に誤差が生じる(つまり、付着物が堆積すると、サーモビュアの視線が付着物に遮られて、基準位置が見かけ上排鉱側の付着物上にずれることになる)が、付着物の高さに応じた補正をすることによって、正確な位置を把握することが可能である。
キルン内最高温度を測定するのは、還元鉄中に残留するZnの含有率を低位に保ちつつ高稼働率を維持するために、キルン内最高温度を制御することが必要だからである。すなわち、Znの分離を促進するためには、キルン内の還元雰囲気を強くすること、そのためには、キルン内最高温度を高くすることが有効であるが、キルン内最高温度を高くすると、低融点化合物が溶融してキルン内壁に付着しやすくなり、付着が進行すると、操業を停止して付着物を除去なければならず、ロータリーキルンの稼働率が低下する。したがって、キルン内最高温度を測定し、かつ適切に制御することが必要になる。
また、キルン内最高温度位置を測定するのは、還元鉄中の残留Zn率を安定して低位に保ちつつキルンによる処理量を大きく維持するために、最高温度位置を把握し、制御することが必要だからである。すなわち、キルンへの原料装入量を多くすると、排鉱側から給鉱側への熱の伝播が悪くなる(装入原料全体への熱の伝播に時間的遅れが生じる)ため、最高温度位置は排鉱側に移動する。その状態で何らかの外乱が生じた場合、排鉱端まで僅かの距離しかないので、還元が不十分になり還元鉄中の残留Zn率上昇のリスクが増大する。したがって、残留Zn率上昇のリスクの増大を抑えつつ処理量を大きく維持するためには、最高温度位置を把握して、それが排鉱側に偏りすぎないように適切に制御することが必要になる。
このように、サーモビュアを用いると、キルン内長手方向の温度を連続的に測定し、キルン内最高温度を正確に(すなわち、キルン内壁における付着物の生成に妨げられることなく)測定するとともに、最高温度位置を把握することができる。
本発明の操業方法においては、サーモビュアを用いて測定したキルン内最高温度および最高温度位置に基づいてキルン内温度制御を行う。キルン内温度制御の内容について例示すると、その一つは、キルン内最高温度の制御である。前述したように、還元鉄中の残留Zn率を低位に保ちつつ高稼働率を維持するためには、キルン内最高温度を適正に制御することが必要である。例えば、残留Zn率をさらに低下させようとする場合、還元雰囲気を強くしてZnの分離を促進させることが有効なので、装入原料における還元材の配合量を多くしてキルン内最高温度を高めに制御した操業を行う。ただし、この場合、キルン内温度を高くすると、キルン内壁における付着が進行しやすくなるので、後述するように、キルン内最高温度位置を周期的に移動させるなど、操業に細心の注意を払う必要がある。
キルン内温度制御の二つ目は、最高温度位置の制御である。前述のように、還元鉄中の残留Zn率を安定して低位に保ちつつキルンによる処理量を大きく維持するためには、最高温度位置を的確に調整することが必要になる。例えば、キルンの処理量を増大させようとする場合は、キルンへの原料装入速度を高めるため最高温度位置を排鉱側へ移動することとなるが、残留Zn率上昇のリスクの増大を緩和するため、同時にガス流量を増大させ、最高温度位置の維持を図る操業を行う。なお、最高温度位置の調整は、キルンへの原料装入速度やガス流量を調整することにより行える。また、ガス流量の調整はキルンからの排ガスを吸引するファンの回転数を変更することにより行うことができる。
キルン内最高温度および最高温度位置に基づいて行うキルン内温度制御は、上記の二例に限らず、キルン長手方向における装入物の温度分布の乱れ、局部的な高温部の出現など、正常なキルン内最高温度および最高温度位置から外れる事態に対する温度制御も含まれる。
本発明のロータリーキルンの操業方法においては、キルン内最高温度位置を、キルンの全長のうち給鉱端から排鉱端へ向けて55〜75%の範囲内の位置(以下、単に「排鉱端へ向けて55〜75%の範囲内の位置」という)とするのが望ましい。
キルン内最高温度位置の望ましい上限を、排鉱端へ向けて75%の位置とするのは、最高温度位置がこの望ましい上限を超えて排鉱側に偏り過ぎると、還元鉄中の残留Zn率上昇のリスクが増大して、炉況が乱れたとき残留Zn率が一気に悪くなる可能性が高くなるからである。一方、最高温度位置の望ましい下限を、排鉱端へ向けて55%の位置とするのは、最高温度位置がこの望ましい下限から外れて給鉱側に偏り過ぎると、キルン装入量(すなわち、キルンによる処理量)が少ないので、鉄鋼ダストの処理量を大きくとれず、還元鉄の製造効率が低下するからである。
キルン内最高温度位置の調整は、前述のように、原料装入速度の調整、ガス流量の調整、あるいは両調整方法の併用等により行えばよい。
また、本発明のロータリーキルンの操業方法では、キルン内最高温度位置を8時間以下の周期で移動させる。
キルン内最高温度位置の移動周期を8時間以下とするのは、移動周期がこれより長いと、移動範囲内のいずれかの部位がキルン内最高温度の下で長時間にわたり加熱されることとなり、キルン内壁に厚く強固な付着物が形成され易くなるからである。
移動周期の下限は特に限定しない。キルン内最高温度位置の移動はガスの流量や原料装入速度を調整することにより行うのが一般的であり、それにより移動周期の下限は自ずと定まるからである。
また、キルン内最高温度位置の移動の範囲は特に限定しないが、前述した理由で、排鉱端へ向けて55〜75%の範囲内とするのが望ましい。
キルン内最高温度位置の移動を原料装入速度の変更のみにより行う場合であれば、キルン内最高温度位置の移動周期は8時間になる。キルン内に装入された原料のキルン内での滞留時間は4時間程度なので、原料装入速度の変更がキルン排鉱端まで反映され、最高温度位置が、当初位置(A点)から別の位置(B点)へ移動するのに4時間程度かかり、再度原料装入速度を変更して、最高温度位置がB点から元のA点へ移動するのにも同じく4時間程度かかるからである。
したがって、キルン内最高温度位置の移動の周期を8時間より短くしようとすると、原料装入速度の変更のみではコントロールしきれず、ガス流量の変更も同時に行うことが必要になる。
以上述べたように、本発明のロータリーキルンの操業方法によれば、サーモビュアを用いることにより、キルン内最高温度およびキルン長手方向の最高温度位置を測定、把握することができ、それに基づいてキルン内最高温度の調整、最高温度位置の調整など、キルン内温度制御をきめ細かく行うことができる。その結果、鉄鋼ダストから、残留Zn率の低い還元鉄を高い稼働率で製造することができる。特に、最高温度位置の周期的な移動が可能となったことから、低融点化合物の溶融に起因するキルン内壁への強固な付着物の形成を抑制することができる。
本発明の効果を確認するために、前記図1に示した還元鉄製造プロセスにより、本発明の操業方法を適用して鉄鋼ダストを主体とする原料から還元鉄を得るための操業を行い、得られた還元鉄の残留Zn率、ロータリーキルンの稼働率および処理量を調査して、従来の方法により操業した場合と比較した。
ロータリーキルン6は、内径3.5m、長さ80mであり、キルン排鉱端の近傍(ホッパー13の側壁)にサーモビュア12を設置し、キルン排鉱部を集塵する集塵機11をロータリークーラー10の下流側に取り付けた。
表1に、原料の成分組成を示す。なお、キルン内最高温度は使用する原料の性状(特に、燃料となる還元材の配合量)に依存するが、この成分組成から算出されるキルン内最高温度は1230℃となる。
Figure 0005723304
キルン内最高温度位置は、「排鉱端へ向けて55%の位置」→「同じく75%の位置」→「同じく55%の位置」の順に、約8時間周期で移動させた。
本発明の操業方法では、キルン排鉱端の近傍に設置したサーモビュアによりキルン内最高温度および最高温度位置を測定した。最高温度位置の測定では、キルン内壁における付着物の高さを目視で評価し、付着物の高さに応じた補正を行った。一方、従来の操業方法では、キルン内壁耐火物中に埋め込まれた長手方向3か所の温度計によりキルン内最高温度を測定した。また、最高温度位置は目視により推定した。
表2に、得られた還元鉄の残留Zn率、ロータリーキルンの稼働率および処理量について、本発明の操業方法を適用した場合と、従来の操業方法による場合とを対比して示す。
Figure 0005723304
表2から明らかなように、本発明例では、従来例に比べ、ロータリーキルンの稼働率および処理量のいずれをも向上させつつ、得られる還元鉄の残留Zn率を大幅に低下させることができた。
本発明のロータリーキルンの操業方法によれば、稼働率および処理量の向上を図りつつ、残留Zn率の低い還元鉄を製造することができる。したがって、本発明は、製鉄所内における鉄鋼ダスト主体の原料からの還元鉄の製造に有効に利用することができる。
1:鉄鋼ダスト、 2:電気炉ダスト、 3:カーボン系ダスト、
4:コークス、 5:混合・造粒機、 6:ロータリーキルン、
7:バーナー、 8:ファン、 9:集塵機、
10:ロータリークーラー、 11:集塵機、
12:サーモビュア、 13:ホッパー

Claims (2)

  1. Fe、Znを含有する鉄鋼ダストを還元材とともにロータリーキルンに装入して還元焙焼することにより、Znを分離し、Feを還元鉄として回収するロータリーキルンの操業方法であって、
    ロータリーキルンからの排鉱時に発生するダストの集塵を行いつつ、キルン排鉱端の近傍に設置したサーモビュアを用いてキルン内最高温度および最高温度位置を測定し、
    当該キルン内最高温度および最高温度位置に基づいて、前記キルン内最高温度位置を8時間以下の周期で移動させることにより、キルン内温度制御を行うことを特徴とするロータリーキルンの操業方法。
  2. 前記キルン内最高温度位置を、キルンの全長のうち給鉱端から排鉱端へ向けて55〜75%の範囲内の位置とすることを特徴とする請求項1に記載のロータリーキルンの操業方法。
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