以下、充電装置CHの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、図1の充電装置CHの構成について説明する。この充電装置CHは、1つの電源装置PS、他の電源装置の一例である1つのDCDCコンバータCNV、逆流防止用の整流素子D1およびバイパス用の整流素子D2を備え、充電対象の電池としての蓄電池ユニット50に直流電圧(後述する直流電圧Vdc1、または直流電圧(Vdc1+Vdc2))を出力して所定の充電電圧値(後述する各基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値)に充電する。なお、蓄電池ユニット50は、一例として複数の蓄電池を直列接続して構成されている。
電源装置PSは、一例として、正入力端子2、負入力端子3、整流平滑回路4、スイッチング回路5、トランス6、整流回路7、平滑回路8、制御回路9、正出力端子10および負出力端子11を備え、正入力端子2および負入力端子3間に入力される外部入力電圧(本例では一例として交流電圧Vacであるが、直流電圧でもよい)を直流電圧Vdc1に変換して出力する絶縁型コンバータ(本例では絶縁型ACDCコンバータ)として構成されている。
また、電源装置PSは、図2に示す出力特性図A1で表されるように、出力する直流電圧Vdc1の電圧値(本例では、この電圧値についても「電圧値Vdc1」と表記するものとする)が基準電圧値Vref1で制限され、出力する直流電流Idc1の電流値(本例では、この電流値についても「電流値Idc1」と表記するものとする)が基準電流値Iref1で制限される定電流電圧垂下型の過電流保護特性を有している。なお、電源装置PSは、絶縁型コンバータである限り、フォーワード方式、フライバック方式、ブリッジ方式およびプッシュプル方式など種々の絶縁型コンバータで構成することができる。
整流平滑回路4は、交流電圧Vacを整流および平滑することにより、直流電圧に変換して出力する。なお、交流電圧Vacに代えて直流電圧を外部入力電圧として入力する場合には、整流平滑回路4に代えて平滑回路を使用する構成を採用することもできるし、さらに、入力する直流電圧のリップルが少ない場合には、整流平滑回路4を省く構成を採用することもできる。
スイッチング回路5は、不図示のスイッチ素子(トランジスタなど)を有し、このスイッチ素子が制御回路9によって制御されてオン・オフを繰り返すことにより、整流平滑回路4から出力される直流電圧をスイッチングしてトランス6に断続的に印加する。トランス6は、一例として、互いに電気的に絶縁された1次巻線6aおよび2次巻線6bを有している。また、トランス6は、スイッチング回路5による1次巻線6aに対する直流電圧の断続的な印加に起因して2次巻線6bに交流電圧を誘起させる。
整流回路7は、2次巻線6bに誘起される交流電圧を整流することにより、脈流電圧に変換して出力する。平滑回路8は、整流回路7と相俟って整流平滑回路を構成し、整流回路7から出力される脈流電圧を平滑することによって直流電圧Vdc1に変換して、正出力部8aと負出力部8bとの間から出力する。また、平滑回路8は、不図示の電圧検出部および電流検出部を備えている。電圧検出部は、例えば、分圧抵抗回路で構成されて、直流電圧Vdc1を検出すると共に、直流電圧Vdc1の電圧値に応じて電圧値が変化する電圧検出信号Svを生成して制御回路9に出力する。また、電流検出部は、例えば1Ω未満の微小抵抗値の検出抵抗で構成されて、正出力部8aおよび負出力部8bから出力される直流電流Idc1を検出すると共に、直流電流Idc1の電流値Idc1に応じて電圧値が変化する電流検出信号Siを生成して制御回路9に出力する。
制御回路9は、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するスイッチング制御を実行する。このスイッチング制御では、制御回路9は、電圧検出信号Svに基づいて現在の直流電圧Vdc1の電圧値を算出すると共に、電流検出信号Siに基づいて現在の直流電流Idc1の電流値Idc1を算出する。また、制御回路9は、算出した現在の直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1および現在の直流電流Idc1の電流値Idc1に基づいて、直流電圧Vdc1および直流電流Idc1が図2に示す出力特性図A1を満たすようにスイッチング回路5のスイッチ素子を制御する。
具体的には、制御回路9は、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するデューティ比制御(または周波数制御)を実行することにより、出力される直流電流Idc1の電流値Idc1が基準電流値(最大出力電流値)Iref1未満のときには、直流電圧Vdc1の電圧値を一定の基準電圧値(最大出力電圧値)Vref1に制御して出力する定電圧制御動作を実行し、直流電流Idc1の電流値Idc1が基準電流値Iref1に達した状態においては、直流電流Idc1の電流値Idc1を一定の基準電流値Iref1に維持(制限)しつつ、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1を変化させる定電流制御動作を実行する。
DCDCコンバータCNVは、一例として、正入力端子22、負入力端子23、入力電圧検出回路24、スイッチング回路25、トランス26、整流回路27、平滑回路28、制御回路29、正出力端子30および負出力端子31を備え、電源装置PSの正出力端子10に接続線を介して接続された正入力端子22および電源装置PSの負出力端子11に接続線を介して接続された負入力端子23間に入力される外部入力電圧(本例では、電源装置PSから出力される直流電圧Vdc1)を作動電圧として作動して、この直流電圧Vdc1を直流電圧Vdc2に変換して出力する絶縁型DCDCコンバータとして構成されている。
また、DCDCコンバータCNVは、図2に示す出力特性図A2で表されるように、出力する直流電圧Vdc2の電圧値(本例では、この電圧値についても「電圧値Vdc2」と表記するものとする)が基準電圧値Vref2で制限され、出力する直流電流Idc2の電流値(本例では、この電流値についても「電流値Idc2」と表記するものとする)が基準電流値Iref2(<Iref1)で制限される定電流電圧垂下型の過電流保護特性を有している。なお、DCDCコンバータCNVは、絶縁型コンバータである限り、フォーワード方式、フライバック方式、ブリッジ方式およびプッシュプル方式など種々の絶縁型コンバータで構成することができる。
この場合、基準電流値Iref2は、上記した基準電流値Iref1よりも低く規定されているが、基準電圧値Vref2については、図2に示すように上記した基準電圧値Vref1よりも低い電圧値に規定してもよいし、図2の状態とは異なり、基準電圧値Vref1以上の電圧値に規定することもできる。
ただし、この充電装置CHでは、電源装置PSが、DCDCコンバータCNVに供給する電力も含めて蓄電池ユニット50に対する充電時における電力のすべてを供給している。このため、充電装置CHが蓄電池ユニット50の充電時において蓄電池ユニット50に供給する電力の最大値(最大電力値)は、電源装置PSが出力し得る電力の最大値(最大電力値)よりも小さくなる。
この場合、充電装置CHについての上記の最大電力値は、電源装置PSが後述するように直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1を基準電圧値Vref1に維持している状態(定電圧動作状態)において、DCDCコンバータCNVが、直流電流Idc2の電流値Idc2を基準電流値Iref2に規定して蓄電池ユニット50を充電している状態(定電流動作状態)から直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2を基準電圧値Vref2に規定して蓄電池ユニット50を充電する状態(定電圧動作状態)に移行した時点での電力値((Vref1+Vref2)×Iref2)になる。したがって、この充電装置CHでは、基準電圧値Vref2および基準電流値Iref2は、この電力値((Vref1+Vref2)×Iref2)が電源装置PSの最大電力値(Vref1×Iref1)未満になるように予め規定されている。
入力電圧検出回路24は、例えば、不図示の分圧抵抗回路、基準電源およびコンパレータを備えて構成されて、分圧抵抗回路が、正入力端子22および負入力端子23間に入力される外部入力電圧(本例では直流電圧Vdc1)を分圧し、コンパレータがこの分圧された電圧と基準電源(例えばツェナーダイオード)から出力される基準電圧とを比較することにより、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1が予め規定された閾値電圧Vth以上のときに作動信号S1を出力する。
この場合、閾値電圧Vthは、電源装置PSの直流電圧Vdc1についての最大出力電圧値(本例では、基準電圧値Vref1)およびこの最大出力電圧値にほぼ等しい電圧値(例えば、基準電圧値Vref1未満で、かつ基準電圧値Vref1の90%以上の任意の電圧値。言い換えれば、最大出力電圧値よりも若干低い電圧値)のいずれかに予め規定されている。本例では一例として、閾値電圧Vthは、図3に示すように、基準電圧値Vref1にほぼ等しい電圧値に規定されている。
スイッチング回路25は、不図示のスイッチ素子(トランジスタなど)を有し、このスイッチ素子が制御回路29によって制御されてオン・オフを繰り返すことにより、正入力端子22および負入力端子23間に入力される外部入力電圧(本例では直流電圧Vdc1)をスイッチングしてトランス26に断続的に印加する。トランス26は、一例として、互いに電気的に絶縁された1次巻線26aおよび2次巻線26bを有している。また、トランス26は、スイッチング回路25による1次巻線26aに対する直流電圧の断続的な印加に起因して2次巻線26bに交流電圧を誘起させる。
整流回路27は、2次巻線26bに誘起される交流電圧を整流することにより、脈流電圧に変換して出力する。平滑回路28は、整流回路27と相俟って整流平滑回路を構成し、整流回路27から出力された脈流電圧を平滑することによって直流電圧Vdc2に変換して、正出力部28aと負出力部28bとの間から出力する。また、平滑回路28は、不図示の電圧検出部および電流検出部を備えている。電圧検出部は、例えば、分圧抵抗回路で構成されて、直流電圧Vdc2を検出すると共に、直流電圧Vdc2の電圧値に応じて電圧値が変化する電圧検出信号Scvを生成して制御回路29に出力する。また、電流検出部は、例えば1Ω未満の微小抵抗値の検出抵抗で構成されて、正出力部28aおよび負出力部28bから出力される直流電流Idc2を検出すると共に、直流電流Idc2の電流値Idc2に応じて電圧値が変化する電流検出信号Sciを生成して制御回路29に出力する。
制御回路29は、入力電圧検出回路24から作動信号S1が出力されているときには、スイッチング回路25のスイッチ素子に対するスイッチング制御を実行し、作動信号S1が出力されていないときには、このスイッチ素子に対するスイッチング制御の実行を停止する。このスイッチング制御では、制御回路29は、電圧検出信号Scvに基づいて現在の直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2を算出すると共に、電流検出信号Sciに基づいて現在の直流電流Idc2の電流値Idc2を算出する。また、制御回路29は、算出した現在の直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2および現在の直流電流Idc2の電流値Idc2に基づいて、直流電圧Vdc2および直流電流Idc2が図2に示す出力特性図A2を満たすようにスイッチング回路25のスイッチ素子を制御する。
具体的には、制御回路29は、スイッチング回路25のスイッチ素子に対するデューティ比制御(または周波数制御)を実行することにより、出力される直流電流Idc2の電流値Idc2が基準電流値(最大出力電流値)Iref2未満のときには、直流電圧Vdc2の電圧値を基準電圧値(最大出力電圧値)Vref2に制御して出力する定電圧制御動作を実行し、直流電流Idc2の電流値Idc2が基準電流値Iref2に達した状態においては、直流電流Idc2の電流値Idc2を基準電流値Iref2に維持(制限)しつつ、直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2を変化させる定電流制御動作を実行する。
逆流防止用の整流素子D1は、一例としてダイオードで構成されて、図1に示すように、平滑回路28の正出力部28aと後述する蓄電池ユニット50の正極との間に、蓄電池ユニット50の正極に向かう方向を順方向として接続されている。本例では一例として、DCDCコンバータCNVに整流素子D1を外付けする構成のため、整流素子D1は、DCDCコンバータCNVの正出力端子30と蓄電池ユニット50の正極との間に接続線を介して接続されているが、DCDCコンバータCNVに整流素子D1を内蔵させる構成では、整流素子D1は、平滑回路28の正出力部28aとDCDCコンバータCNVの正出力端子30との間に接続される。なお、平滑回路28が正出力部28aからの電流の流入を阻止する機能を備えている場合には、この整流素子D1を省くことができる。
バイパス用の整流素子D2は、一例としてダイオードで構成されて、図1に示すように、DCDCコンバータCNVの負出力端子31と蓄電池ユニット50の正極(この正極と整流素子D1を構成するダイオードのカソード端子との接続点)との間に、蓄電池ユニット50の正極に向かう方向を順方向として接続されている。なお、上記したように、逆流防止用の整流素子D1をDCDCコンバータCNVに内蔵させる構成では、バイパス用の整流素子D2についても、DCDCコンバータCNVの正出力端子30と負出力端子31との間に、正出力端子30に向かう方向を順方向として接続した状態でDCDCコンバータCNVに内蔵させる構成を採用することもできる。
以上のように構成された充電装置CHでは、電源装置PSの正出力端子10とDCDCコンバータCNVの正入力端子22、および電源装置PSの負出力端子11とDCDCコンバータCNVの負入力端子23とが、それぞれ接続線で接続されている。また、電源装置PSの正出力端子10とDCDCコンバータCNVの負出力端子31とが接続線で接続されることによって、電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVが互いに直列に接続(電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVの各出力段が互いに直列に接続)されている。
また、整流素子D2を構成するダイオードのアノード端子には、電源装置PSの正出力端子10とDCDCコンバータCNVの負出力端子31とが接続され、整流素子D1を構成するダイオードのアノード端子には、DCDCコンバータCNVの正出力端子30が接続されている。また、各整流素子D1,D2の接続点(各整流素子D1,D2をそれぞれ構成する各ダイオードのカソード端子)は、接続線を介して充電対象の電池(蓄電池ユニット50)の正極に接続され、電源装置PSの負出力端子11と蓄電池ユニット50の負極とが接続線で接続されることにより、DCDCコンバータCNVの正出力端子30と電源装置PSの負出力端子11との間に蓄電池ユニット50が接続されている。
したがって、充電装置CHでは、電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVの各直流電圧Vdc1,Vdc2が加算されて蓄電池ユニット50に出力され、蓄電池ユニット50は、充電装置CHから出力される直流電流Idc(以下、「充電電流Idc」ともいう)により、各基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値に充電される。
次に、充電装置CHの動作について説明する。なお、以下では、発明の理解を容易にするため、各整流素子D1,D2は、理想の整流素子であって、電圧降下がゼロボルトであるものとする。
充電装置CHでは、まず、電源装置PSが直流電圧Vdc1の出力を開始する。具体的には、充電開始当初の蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが基準電圧値Vref1よりも低い(より具体的には、閾値電圧Vthよりも低い)ときには、電源装置PSでは、制御回路9が、当初は、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1を基準電圧値Vref1に規定するようにスイッチング回路5におけるスイッチ素子のデューティ比を増加させる制御を実行するものの、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1は蓄電池ユニット50の充電電圧Vbに規定される。
この場合、DCDCコンバータCNVでは、入力電圧検出回路24は、検出している直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1が閾値電圧Vthよりも低いことから、作動信号S1の出力を停止している。これにより、制御回路29がスイッチング回路25のスイッチ素子に対するオン・オフ制御を実行しないため、DCDCコンバータCNVは、停止状態(直流電圧Vdc2の出力を停止している状態)に維持されている。したがって、充電装置CHでは、電源装置PSのみが作動して、直流電圧Vdc1で直流電流Idc1を出力する。この際に、電源装置PSから出力された直流電流Idc1は、バイパス用の整流素子D2を経由して蓄電池ユニット50に出力される。
この際に、直流電流Idc1は、充電電流Idcとして蓄電池ユニット50に供給される。また、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbの電圧値が所定の充電電圧値(各基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値)に達するまでは、充電電流Idcは、大きな電流値で蓄電池ユニット50に流れ込む。このため、電源装置PSでは、制御回路9が、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するデューティ比を制御して、この電流値Idc1(この場合には、充電電流Idcの電流値でもある)を基準電流値Iref1に維持する動作を実行する(定電流電圧垂下型の過電流保護機能を作動させる)。
これにより、充電装置CH(この場合には電源装置PS)は、図3に示すように、蓄電池ユニット50の充電が進んでその充電電圧Vb(この場合には直流電圧Vdc1)が基準電圧値Vref1に達するまでは、充電電流Idcの電流値を基準電流値Iref1に維持しつつ蓄電池ユニット50に出力する定電流充電を実行する。
その後、蓄電池ユニット50の充電が進んで充電電圧Vb(この場合には直流電圧Vdc1)が閾値電圧Vthに達したときには、DCDCコンバータCNVでは、入力電圧検出回路24が作動信号S1の出力を開始する。これにより、DCDCコンバータCNVでは、制御回路29が、スイッチング回路25のスイッチ素子に対するオン・オフ制御の実行を開始することから、DCDCコンバータCNVは、直流電圧Vdc2の出力を開始する。
したがって、この状態では、蓄電池ユニット50には、電源装置PSから出力されている直流電圧Vdc1にDCDCコンバータCNVから出力される直流電圧Vdc2が加算されて供給される。この場合、この各直流電圧Vdc1,Vdc2の加算電圧値(合計電圧値)は、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbに規定されて、この充電電圧Vbの上昇に伴って上昇する。
このため、DCDCコンバータCNVによる直流電圧Vdc2の出力開始当初においては、直流電圧Vdc2の電圧値が基準電圧値Vref2未満であることから、DCDCコンバータCNVの制御回路29は、直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2を基準電圧値Vref2に規定するようにスイッチング回路25におけるスイッチ素子のデューティ比を増加させる制御を実行する。しかしながら、上記したように、直流電圧Vdc1,Vdc2の加算電圧値が、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbに規定され、かつ直流電圧Vdc1が、閾値電圧Vth(基準電圧値Vref1に近い電圧値)と等しい電圧となっている。このため、直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2は、低い電圧値に抑えられて、その後に、充電電圧Vbの上昇に伴って上昇する。
この状態では、DCDCコンバータCNVが直流電圧Vdc2の出力を開始した後においても、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbの電圧値が所定の充電電圧値(各基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値)に達するまでは、充電電流Idcは大きな電流値で蓄電池ユニット50に流れ込もうとする。しかしながら、充電装置CHでは、直流電圧Vdc2の出力を開始したDCDCコンバータCNVがその定電流電圧垂下型の過電流保護機能を作動させることにより、充電電流Idcの電流値を制限する。つまり、DCDCコンバータCNVの制御回路29が、スイッチング回路25のスイッチ素子に対するデューティ比を制御することにより、直流電流Idc2の電流値Idc2、すなわち充電電流Idcの電流値を基準電流値Iref2(<基準電流値Iref1)に維持する動作を実行する。
これにより、充電装置CH(この場合には電源装置PSおよびDCDCコンバータCNV)は、図3に示すように、蓄電池ユニット50の充電が進んでその充電電圧Vbの電圧値が基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値に達するまでは、充電電流Idcの電流値を基準電流値Iref2に規定して蓄電池ユニット50に出力する定電流充電を実行する。
この状態のときには、電源装置PSから出力されている直流電流Idc1は、その一部が直流電流Idcとして蓄電池ユニット50に出力(供給)され、残りがDCDCコンバータCNVに出力(供給される)される。
ここで、発明の理解を容易にするため、DCDCコンバータCNVの効率が仮に100%であるとしたときには、DCDCコンバータCNVから出力されている直流電流Idc2の電流値Idc2が基準電流値Iref2のときには、電源装置PSからDCDCコンバータCNVに供給される直流電流Idc3の電流値(本例ではこの電流値についても「電流値Idc3」と表記するものとする)は、以下の式で表される。
電流値Idc3=Vdc2×Iref2/Vdc1
また、電源装置PSから出力されている直流電流Idc1の電流値Idc1は、各電流値Idc2(=Iref2),Idc3の合計値となっている。このため、電流値Idc1は、以下の式で表される。
電流値Idc1=Iref2+Vdc2×Iref2/Vdc1
=Iref2(1+Vdc2/Vdc1)
また、本例のように閾値電圧Vthが基準電圧値Vref1と同じか、または基準電圧値Vref1よりも若干低い電圧値に規定されているときには、電源装置PSから出力されている直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1は、閾値電圧Vthに達した後に、短時間で基準電圧値Vref1まで上昇する。また、このようにして直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1が基準電圧値Vref1に達した後は、電源装置PSでは、制御回路9が、スイッチング回路5のスイッチ素子に対してデューティ比を制御しつつ、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1を基準電圧値Vref1に維持する定電圧制御を実行する。
これにより、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1が基準電圧値Vref1に達した後は、上記した電流値Idc1の式のパラメータのうちの電圧値Vdc1が基準電圧値Vref1で一定となっているため、電流値Idc1の式のパラメータのうちの電圧値Vdc2が、電圧値Vdc1よりも十分に低い値から蓄電池ユニット50の充電電圧Vbの上昇に伴って次第に上昇する。したがって、直流電流Idc1の電流値Idc1は、基準電流値Iref2にほぼ等しい電流値から次第に増加する。
この充電装置CHでは、上記したように、充電装置CHが蓄電池ユニット50の充電時において蓄電池ユニット50に供給する電力の最大値((Vref1+Vref2)×Iref2)が、電源装置PSが出力し得る電力の最大値(Vref1×Iref1)未満になるように、基準電圧値Vref2および基準電流値Iref2が規定されている。つまり、図3に示す電力Wa(=(Iref1−Iref2)×Vref1)が、同図に示す電力Wb(=Vref2×Iref2)よりも大きくなるように規定されている。言い替えれば、DCDCコンバータCNVが動作を開始したとき(つまり、充電装置CHによる基準電流値Iref2での定電流充電が開始したとき)の電源装置PSの余剰電力が、電力Wbよりも大きくなるように規定されている。
このため、電源装置PSは、動作を開始したDCDCコンバータCNVに対して十分な電流値Idc3の直流電流Idc3を供給しつつ、DCDCコンバータCNVと共に蓄電池ユニット50に対して基準電流値Iref2の直流電流Idc2を供給し続ける。
これにより、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbは、次第に上昇し、その後に、基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値(Vref1+Vref2)に達する。この状態に達した以降は、DCDCコンバータCNVでは、制御回路29が、スイッチング回路25のスイッチ素子に対してデューティ比を制御しつつ、直流電圧Vdc2の電圧値Vdc2を基準電圧値Vref2に維持する定電圧制御を実行する。したがって、充電装置CHは、基準電流値Iref2での定電流充電から、一定の電圧値(Vref1+Vref2)での定電圧充電に充電動作を移行させる。
このように、この充電装置CHでは、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが閾値電圧Vthよりも低いとき(低電圧のとき)には、まず、電源装置PSだけが作動状態に移行して、蓄電池ユニット50に対する充電を実行し、その後に、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達したときに、DCDCコンバータCNVが作動状態に移行して、電源装置PSと共に蓄電池ユニット50に対する充電を実行するというように、出力が直列に接続された電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVが、この順序で順次作動状態に移行して、蓄電池ユニット50を充電する。
したがって、この充電装置CHは、充電電圧Vbが低電圧の蓄電池ユニット50についても充電することが可能になっている。また、この充電装置CHは、電源効率が低下する充電電圧Vbが低電圧のときには、電源装置PSだけで蓄電池ユニット50を充電し、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達したとき(充電電圧Vbがある程度高くなったとき)に、残りのDCDCコンバータCNVを作動状態に移行させて、電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVで蓄電池ユニット50をより高い充電電圧Vbに充電する。このため、この充電装置CHでは、電源効率の低い状態で電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVが同時に動作する(例えば、電源装置PSが直流電圧Vdc1をその基準電圧値Vref1の20%未満の状態で出力し、かつDCDCコンバータCNVが直流電圧Vdc2をその基準電圧値Vref2の20%未満の状態で出力する)という事態の発生が回避されていることから、充電装置CH全体としての電源効率の低下が軽減されている。
なお、充電装置CHが蓄電池ユニット50に対する充電動作を開始した際に、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが閾値電圧Vthよりも高いときには、電源装置PSが動作を開始して直流電圧Vdc1の出力を開始した直後において、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1が閾値電圧Vthを超えることになる。このため、DCDCコンバータCNVも直ちに動作を開始する。したがって、充電装置CHは、上記したように充電電流Idcの電流値を基準電流値Iref2に規定して蓄電池ユニット50に出力する定電流制御を実行して、蓄電池ユニット50に対する充電を開始する。しかしながら、このときにおいても、電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVがそれぞれの直流電圧Vdc1,Vdc2の電圧値Vdc1,Vdc2が共に低い状態で動作するという事態が発生しないことから、充電装置CH全体としての電源効率の低下が回避されている。
このようにして、充電装置CHによる一定の電圧値(Vref1+Vref2)での定電圧充電が継続して実行されたときには、蓄電池ユニット50に供給される充電電流Idcの電流値は基準電流値Iref2から徐々に減少する。したがって、電源装置PSの制御回路9は、この充電電流Idcの電流値が下限電流値Imin(<基準電流値Iref2)に達した時点で、スイッチング回路5のスイッチ素子をオフ状態に制御することにより、直流電圧Vdc1の生成動作を停止する(直流電圧Vdcがゼロボルトになる)。この結果、DCDCコンバータCNVも動作を停止して、充電装置CHによる蓄電池ユニット50に対する充電が完了する。
このように、この充電装置CHでは、最初に作動状態に移行して直流電圧Vdc1の出力を開始する電源装置PSの出力に、この直流電圧Vdc1を作動電圧として作動状態に移行するDCDCコンバータCNVの出力が直列に接続され、かつこのDCDCコンバータCNVが、直流電圧Vdc1についての最大出力電圧値(基準電圧値Vref1)およびこの最大出力電圧値の近傍の電圧値のいずれかに予め規定された閾値電圧Vthに達したときに作動状態に移行して、一定の基準電流値Iref2で蓄電池ユニット50に充電電流Idcを供給する。
したがって、この充電装置CHによれば、充電電圧Vbが閾値電圧Vth未満の低電圧の蓄電池ユニット50については、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達するまでは電源装置PSだけで効率よく充電し、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達した以降(充電電圧Vbがある程度高い状態のとき)では、電源装置PSおよびDCDCコンバータCNVで蓄電池ユニット50をより高い充電電圧Vb(各基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値)に充電することができる。したがって、この充電装置CHによれば、充電装置CH全体としての電源効率を充分に高く維持しつつ、充電電圧Vbが低電圧の蓄電池ユニット50および充電電圧Vbが高電圧の蓄電池ユニット50を充電することができる。
また、上記の例では、DCDCコンバータCNVの入力電圧検出回路24が、電源装置PSから出力される直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1を検出して閾値電圧Vthと比較する構成を採用しているが、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbの電圧値は、DCDCコンバータCNVの作動前では、この直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1に対して整流素子D2の順方向電圧分だけ低い電圧になるが、直流電圧Vdc1の電圧値Vdc1とほぼ等しい電圧値といえる。このため、DCDCコンバータCNVの入力電圧検出回路24が、この蓄電池ユニット50の充電電圧Vbを検出して閾値電圧Vthと比較する構成を採用することもできる。