以下、充電装置CHの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、図1の充電装置CHの構成について説明する。この充電装置CHは、n個(nは2以上の整数)の電源装置PS(本例では一例として、2つの電源装置PS1,PS2)と、各電源装置PS1,PS2の外部に配設されて、各電源装置PS1,PS2の動作を統括制御するための電源制御装置CNTとを備えている。
図1の各電源装置PSは、一例として、正入力端子2、負入力端子3、整流平滑回路4、スイッチング回路5、トランス6、整流回路7、平滑回路8、制御回路9、逆流防止用整流素子10、バイパス用整流素子11、正出力端子12、負出力端子13、直列接続用端子14、バスバー15および制御入力端子16を備え、後述するように定電流電圧垂下型の過電流保護特性が相違するものの基本構成は同一に構成されて、正入力端子2および負入力端子3間に入力される外部入力電圧(本例では一例として交流電圧Vacであるが、直流電圧でもよい)を一定電圧値の直流電圧Vdcに変換して出力する絶縁型コンバータとして構成されている。なお、電源装置PSは、絶縁型コンバータである限り、フォーワード方式、フライバック方式、ブリッジ方式およびプッシュプル方式など種々の絶縁型コンバータで構成することができる。
整流平滑回路4は、交流電圧Vacを整流および平滑することにより、直流電圧に変換して出力する。なお、交流電圧Vacに代えて直流電圧を外部入力電圧として入力する場合には、整流平滑回路4に代えて平滑回路を使用する構成を採用することもできるし、さらに、入力する直流電圧のリップルが少ない場合には、整流平滑回路4を省く構成を採用することもできる。スイッチング回路5は、不図示のスイッチ素子(トランジスタなど)を有し、このスイッチ素子が制御回路9によって制御されてオン・オフを繰り返すことにより、整流平滑回路4から出力される直流電圧をスイッチングしてトランス6に断続的に印加する。
トランス6は、一例として、互いに電気的に絶縁された1次巻線6aおよび2次巻線6bを有している。また、トランス6は、スイッチング回路5による1次巻線6aに対する直流電圧の断続的な印加に起因して2次巻線6bに交流電圧を誘起させる。
整流回路7は、2次巻線6bに誘起される交流電圧を整流することにより、脈流電圧に変換して出力する。平滑回路8は、整流回路7と相俟って整流平滑回路を構成し、整流回路7によって整流された脈流電圧を平滑することによって直流電圧Vdcに変換して、正出力部8aと負出力部8bとの間から出力する。また、平滑回路8は、不図示の電圧検出部および電流検出部を備えている。電圧検出部は、例えば、分圧抵抗回路で構成されて、直流電圧Vdcを検出すると共に、直流電圧Vdcの電圧値に応じて電圧値が変化する電圧検出信号Svを生成して制御回路9に出力する。また、電流検出部は、例えば1Ω未満の微小抵抗値の検出抵抗で構成されて、正出力部8aおよび負出力部8bから出力される直流電流Idcを検出すると共に、直流電流Idcの電流値に応じて電圧値が変化する電流検出信号Siを生成して制御回路9に出力する。
制御回路9は、制御入力端子16を介して外部から作動指示信号Ssを入力しているときには、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するスイッチング制御を実行する。このスイッチング制御では、制御回路9は、電圧検出信号Svに基づいて現在の直流電圧Vdcの電圧値を算出すると共に、電流検出信号Siに基づいて現在の直流電流Idcの電流値を算出する。また、制御回路9は、算出した現在の直流電圧Vdcの電圧値および現在の直流電流Idcの電流値に基づいて、直流電圧Vdcおよび直流電流Idcが図3に示すような関係(電流電圧出力特性)で変化するようにスイッチング回路5のスイッチ素子を制御する。
具体的には、制御回路9は、出力される直流電流Idcの電流値が基準電流値(最大出力電流値)Iref未満のときには、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するデューティ比制御(または周波数制御)を実行することにより、直流電圧Vdcの電圧値を基準電圧値(最大出力電圧値)Vrefに制御して出力する定電圧制御動作を実行し、直流電流Idcの電流値が基準電流値Irefに達した状態においては、直流電流Idcの電流値を基準電流値Irefに維持(制限)しつつ、直流電圧Vdcの電圧値を低下させる定電流制御動作を実行する。本例では、図2に示すように、基準電圧値Vrefは、電源装置PS1では基準電圧値Vref1であり、電源装置PS2では基準電圧値Vref2(<Vref1)である。また、基準電流値Irefは、電源装置PS1では基準電流値Iref1であり、電源装置PS2では基準電流値Iref2(<Iref1)である。
これにより、電源装置PS1は、図2において矢印A1で示すような定電流電圧垂下型の過電流保護特性を有する電流電圧出力特性を有し、また電源装置PS2は、同図において矢印A2で示すような定電流電圧垂下型の過電流保護特性を有する電流電圧出力特性を有している。
逆流防止用整流素子10は、一例としてダイオードで構成されて、図1に示すように、平滑回路8の正出力部8aと正出力端子12との間に、正出力端子12に向かう方向を順方向として予め接続されている。バイパス用整流素子11は、平滑回路8の正出力部8aと負出力部8bとの間に、正出力部8aに向かう方向を順方向として予め接続されている。具体的には、逆流防止用整流素子10およびバイパス用整流素子11は、電源装置PSを構成する他の電子部品と同様にして、不図示の回路基板上に共に実装されて、上記の部位に予め接続されている(つまり、電源装置PSに内蔵されている)。
また、逆流防止用整流素子10およびバイパス用整流素子11のうちの少なくとも1つの整流素子は、後述のバスバー15に、電気的に絶縁され、かつ熱伝導性の良好な状態で取り付けられている。この構成により、バスバー15は、この1つの整流素子の放熱器として機能する。本例では一例として、逆流防止用整流素子10がバスバー15に取り付けられている。
直列接続用端子14は、平滑回路8の正出力部8aに接続されている。具体的には、直列接続用端子14は、金属導体からなるバスバー15を介して正出力部8aに接続されている。負出力端子13は、平滑回路8の負出力部8bに接続されている。このようにして、正出力部8aの正出力部8aには、直列接続用端子14が接続されると共に、逆流防止用整流素子10を介して正出力端子12が接続され、平滑回路8の負出力部8bには負出力端子13が接続されているため、直流電圧Vdcは、正出力端子12と負出力端子13との間に出力されると共に、直列接続用端子14と負出力端子13との間にも出力される。このため、直列接続用端子14は、正出力端子12とは異なる他の正出力端子として機能する。
以上のように構成された各電源装置PS1,PS2は、高電位側の電源装置PS2の負出力端子13と低電位側の電源装置PS1の正出力端子(本例では、直列接続用端子14)とが接続線で接続されることによって互いに直列に接続されている。また、最も高電位側に配設された電源装置PS(本例では電源装置PS2)の正出力端子12が蓄電池ユニット50の正極に接続線で接続され、最も低電位側に配設された電源装置PS(本例では電源装置PS1)の負出力端子13が蓄電池ユニット50の負極に接続線で接続される。したがって、各電源装置PS1,PS2の直流電圧Vdcが加算されて、電源装置1aの正出力端子12と電源装置1bの負出力端子13との間から蓄電池ユニット50に出力される。なお、蓄電池ユニット50は、一例として複数の蓄電池を直列接続して構成されている。
また、本例の充電装置CHでは、直列接続されたn個(本例では2個)の電源装置PSのすべてが上記したようにバイパス用整流素子11を備えているため、すべての電源装置PSの正出力端子12と負出力端子13との間(本例では、逆流防止用整流素子10を介して正出力端子12と負出力端子13との間)に正出力端子12に向かう方向を順方向として整流素子としてのバイパス用整流素子11が接続される構成になっているが、電源制御装置CNTによって1番目に作動させられる1つの電源装置PS(本例では電源装置PS1)以外の他の電源装置PS((n−1)個の電源装置PS)にバイパス用整流素子11が配設されていればよく、この1番目(最初)に作動させられる1つの電源装置PSについては、充電装置CHによる蓄電池ユニット50に対する充電動作中は常時動作しているため、バイパス用整流素子11を配設しない構成にすることもできる。すなわち、バイパス用整流素子11は、少なくとも他の電源装置PS((n−1)個の電源装置PS)に配設されていればよい。
電源制御装置CNTは、一例として図1に示すように、電圧検出回路31、基準電源32、コンパレータ33、フォトカプラ34,35、起動用スイッチ36、フォトカプラ35に内蔵されているトランジスタのコレクタ端子を外部電源電圧Vccにプルアップする抵抗37、および起動用スイッチ36の一端を外部電源電圧Vccにプルアップする抵抗38を備えている。
電圧検出回路31は、一例として直列接続された2本の抵抗31a,31bからなる分圧回路で構成されて、最も高電位側の電源装置(この例では電源装置1a)の正出力端子12と最も低電位側の電源装置(この例では電源装置1b)の負出力端子13との間に接続されて、蓄電池ユニット50の充電電圧Vb(各電源装置PS1,PS2から出力される直流電圧Vdcの加算電圧(充電装置CHの出力電圧))を分圧することにより、充電電圧Vbの電圧値に応じて電圧値が変化する分圧電圧Vdivを出力する。
基準電源32は、電源装置1bの負出力端子13の電位を基準として、所定電圧の比較電圧Vcomを生成して出力する。コンパレータ33は、比較電圧Vcomと分圧電圧Vdivとを比較して、分圧電圧Vdivが比較電圧Vcom以下のときには、Lレベル(負出力端子13の電位と同電位)の電圧を出力し、分圧電圧Vdivが比較電圧Vcomを超えているときには、Hレベルの電圧(ダイオードの順方向電圧よりも高い電圧)を出力する。本例では一例として、充電電圧Vbが、予め規定された閾値電圧Vth(電源装置PS1の基準電圧値Vref1またはその近傍の電圧値(例えば基準電圧値Vref1の約80%の電圧値)。図3参照)に達したときに、分圧電圧Vdivが比較電圧Vcomを超えて、コンパレータ33がHレベルの電圧を出力するように、抵抗31a,31bによる分圧比と、比較電圧Vcomとが予め規定されている。
フォトカプラ34は、そのフォトダイオードのアノード端子がコンパレータ33の出力に接続されると共に、カソード端子が電源装置1bにおける負出力端子13の電位に接続されている。また、フォトカプラ34は、そのフォトトランジスタのエミッタ端子が外部電源電圧Vccについての基準電位(グランド電位)に接続されると共に、そのコレクタ端子がフォトカプラ35におけるフォトダイオードのカソード端子に接続されている。
フォトカプラ35は、そのフォトダイオードのアノード端子が起動用スイッチ36の他端に接続されると共に、カソード端子が上記したようにフォトカプラ34に接続されている。また、フォトカプラ35は、そのフォトトランジスタのエミッタ端子が高電位側の電源装置PS2の制御入力端子16に接続されると共に、そのコレクタ端子が上記したように抵抗37を介して外部電源電圧Vccにプルアップされている。このフォトカプラ35は、フォトトランジスタがオン状態のときに、フォトトランジスタのエミッタ端子から電源装置PS2に、Hレベル(外部電源電圧Vccの電圧値にほぼ等しい電圧)の信号を作動指示信号Ss(作動指示信号Ss2)として出力する。
起動用スイッチ36は、上記したように一端が外部電源電圧Vccにプルアップされると共に、他端が低電位側の電源装置1bの制御入力端子16に接続されている。この構成により、起動用スイッチ36は、オン状態に操作されたときには、Hレベル(外部電源電圧Vccの電圧値にほぼ等しい電圧)の信号を作動指示信号Ss(作動指示信号Ss1)として出力する。
次に、充電装置CHの動作について説明する。
電源制御装置CNTでは、起動用スイッチ36がオフ状態のときには、電源装置PS1への作動指示信号Ss1の出力が停止された状態になっている。また、フォトカプラ35のフォトダイオードのアノード端子にも、Hレベルの信号が印加されていない状態になっている。このため、フォトカプラ35のフォトトランジスタもオフ状態であるため、電源装置PS2への作動指示信号Ss2の出力も停止された状態になっている。したがって、各電源装置PS1,PS2は共に停止している状態(停止状態)に維持されている。
この状態において、起動用スイッチ36がオン状態に操作されたときには、電源装置PS1への作動指示信号Ss1の出力が開始される。これにより、電源装置PS1では、制御回路9が、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するスイッチング制御を開始する(作動状態に移行する)。電源装置PS1は、充電開始当初の蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが基準電圧値Vref1よりも低いときには、図3に示すように、この充電電圧Vb(この状態では、後述するように電源装置PS2は停止状態にあるため、電源装置PS1から出力される直流電圧Vdc(実際には、この直流電圧Vdcよりも電源装置PS2の各ダイオード10,11の順方向電圧Vf分だけ低い電圧であるが、順方向電圧Vfは基準電圧値Vref2に比べて十分に小さいため、本例では無視するものとする))が電圧閾値Vthに達するまでは、現在の直流電流Idcの電流値を基準電流値Iref1に規定して蓄電池ユニット50に出力する定電流制御を実行する。
一方、フォトカプラ35のフォトダイオードのアノード端子へのHレベルの信号の印加も開始されるが、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが電圧閾値Vthに達するまでは、上記したように、電圧検出回路31から出力される分圧電圧Vdivは、基準電源32から出力されている比較電圧Vcom未満である。このため、コンパレータ33は、Lレベルの電圧を出力していることから、フォトカプラ34のフォトトランジスタはオフ状態に維持されている。これにより、フォトカプラ35のフォトダイオードに電流が流れないため、フォトトランジスタもオフ状態に維持されている。したがって、高電位側の電源装置PS2への作動指示信号Ss2は停止された状態にあるため、電源装置PS2は停止状態に維持されている。
これにより、電源装置PS1から出力されている直流電流Idcは、電源装置PS2の負出力端子13、バイパス用整流素子11、逆流防止用整流素子10および正出力端子12を経由して(つまり、停止状態の電源装置PS2をバイパス(迂回)して)、蓄電池ユニット50に供給されて、蓄電池ユニット50に対する定電流(基準電流値Iref1)での充電が行われる。
その後、電源装置PS1から出力されている直流電流Idc(基準電流値Iref1の定電流)による蓄電池ユニット50に対する充電が進んで、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが上昇して、電圧閾値Vthに達したときには、電圧検出回路31から出力されている分圧電圧Vdivが電圧閾値Vthを超える。このため、コンパレータ33は、Hレベルの電圧の出力を開始する。これにより、フォトカプラ34のフォトダイオードに電流が流れて、フォトカプラ34のフォトトランジスタがオン状態に移行する。この結果、フォトカプラ35のフォトダイオードにも電流が流れるため、フォトカプラ35のフォトトランジスタもオン状態に移行する。したがって、高電位側の電源装置PS2への作動指示信号Ss2の出力が開始される。
これにより、電源装置PS2では、制御回路9が、スイッチング回路5のスイッチ素子に対するスイッチング制御を開始する(作動状態に移行する)。この状態での蓄電池ユニット50の充電電圧Vbは、直列接続された2つの電源装置PS1,PS2によって充電可能な最大電圧(電源装置PS1,PS2の各基準電圧値Vref1,Vref2の加算電圧値(Vref1+Vref2))に達していない状態にある。このため、電源装置PS1から出力される直流電圧Vdcは基準電圧値Vref1未満であり、また電源装置PS2から出力される直流電圧Vdcは基準電圧値Vref2未満であることから、各電源装置PS1,PS2は、図3に示すように、それぞれの直流電圧Vdcがそれぞれの基準電圧値Vref1,Vref2に達するまでは(つまり、上記したように蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが加算電圧値(Vref1+Vref2)に達するまでは)、現在の直流電流Idcの電流値を基準電流値Iref1,Iref2のうちの小さい方の電流値(本例では基準電流値Iref2)に規定して蓄電池ユニット50に出力する定電流制御を継続する。
このように、この充電装置CHでは、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが閾値電圧Vthよりも低いとき(低電圧のとき)には、まず、1つの電源装置PS(この例では電源装置PS1)のみが作動状態に移行して、蓄電池ユニット50に対する充電動作を開始し、その後、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達したときに、次の電源装置PS(この例では電源装置PS2)が作動状態に移行して、蓄電池ユニット50に対する充電動作を開始するというように、直列に接続された複数(この例では2個)の電源装置PS1,PS2が予め決められた順序で順次作動状態に移行して、蓄電池ユニット50を充電する。
これにより、この充電装置CHは、充電電圧Vbが低電圧の蓄電池ユニット50についても充電することが可能になっている。また、この充電装置CHは、電源効率が低下する充電電圧Vbが低電圧のときには、充電動作を実行する電源装置PSの数を最小限の1個に止め、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達したとき(充電電圧Vbがある程度高くなったとき)に、次の電源装置PS(本例では電源装置PS2)を作動状態に移行させて、複数の電源装置PS1,PS2で蓄電池ユニット50をより高い充電電圧Vbに充電する。このため、この充電装置CHでは、電源効率の低い状態で複数の電源装置PSが動作する(各電源装置PSが直流電圧Vdcを、例えばそれぞれの基準電圧値Vrefの20%未満の状態で出力する)という事態の発生が回避されていることから、充電装置CH全体の電源効率の低下が軽減されている。
なお、起動用スイッチ36がオン状態に操作されたときに、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが閾値電圧Vthよりも高いときには、電源制御装置CNTが上記のように動作して、1番目に作動させる電源装置PS1への作動指示信号Ss1と共に、次に作動させる電源装置PS2への作動指示信号Ss2についても同じタイミングで出力するため、電源装置PS1,PS2が共に直ちに作動状態に移行して、上記のように直流電流Idcの電流値を基準電流値Iref2に規定して蓄電池ユニット50に出力する定電流制御を実行して、蓄電池ユニット50に対する充電を開始する。しかしながら、この場合においても、上記したような電源効率の低い状態で複数の電源装置PSが動作する事態の発生が回避されていることから、充電装置CH全体の電源効率の低下が軽減されている。
その後、各電源装置PS1,PS2の直流電圧Vdcがそれぞれの基準電圧値Vref1,Vref2に達したとき(つまり、図3に示すように、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbの電圧値が(Vref1+Vref2)に達したとき)には、電源装置PS1の制御回路9は、現在の直流電圧Vdcの電圧値を基準電圧値Vref1に維持した状態で直流電流Idcを出力する定電圧制御を実行し、また電源装置PS2の制御回路9も、現在の直流電圧Vdcの電圧値を基準電圧値Vref2に維持した状態で直流電流Idcを出力する定電圧制御を実行する。この場合、電源装置PS1,PS2から蓄電池ユニット50に出力されている直流電流Idcの電流値は、基準電流値Iref2から徐々に減少する。各制御回路9は、現在の直流電流Idcの電流値が下限電流値Imin(<基準電流値Iref2)に達した時点で、それぞれのスイッチング回路5のスイッチ素子をオフ状態に制御することにより、直流電圧Vdcの生成動作を停止する(直流電圧Vdcがゼロボルトになる)。これにより、充電装置CHによる蓄電池ユニット50に対する充電が完了する。
このように、この充電装置CHでは、1番目に作動状態に移行させられる電源装置PS1を除く(n−1)個(本例では、nが2のため、1個)の電源装置PS2(本例では一例として、各電源装置PS1,PS2)にバイパス用整流素子11が正出力端子(正出力端子12および他の正出力端子である直列接続用端子14)と負出力端子13との間に正出力端子に向かう方向を順方向として予め接続されている。
したがって、この充電装置CHによれば、上記したように、直列接続されたn個の電源装置PSを予め決められた順序で(本例では2個の電源装置PS1,PS2をこの順序で)、順次作動状態に移行させることができるため、充電電圧Vbが低電圧の蓄電池ユニット50についても充電することができる。また、この充電装置CHによれば、上記したように、電源効率が低下する充電電圧Vbが低電圧のときには、充電動作を実行する電源装置PSの数を最小限の1個に止め、充電電圧Vbが閾値電圧Vthに達したとき(充電電圧Vbがある程度高くなったとき)に、次の電源装置PS(本例では電源装置PS2)を作動状態に移行させることができるため、複数の電源装置PS1,PS2で蓄電池ユニット50をより高い充電電圧Vbに充電することができると共に、電源効率の低い状態で複数の電源装置PSが動作するという事態の発生を回避できることから、充電装置CH全体の電源効率の低下を軽減することができる。
また、この充電装置CHによれば、電源制御装置CNTが、充電電圧Vdと、作動状態にある電源装置PS1の個数(この例では1個)に対応させて作動状態の電源装置PS1についての最大出力電圧値(基準電圧値)の合計電圧値(基準電圧値Vref1)およびこの合計電圧値の近傍の電圧値のいずれかに予め規定された閾値電圧Vthとを比較して、充電電圧Vdが閾値電圧Vthに達したときに次の電源装置PS2を作動状態に移行させるため、電源装置PS2が作動状態に移行したときの各電源装置PS1,PS2の直流電圧Vdcの電圧値を可能な限り高い状態にすることができることから、電源効率の低い状態で電源装置PS1,PS2が動作するという事態の発生をより確実に回避して、充電装置CH全体の電源効率の低下をより確実に軽減することができる。
また、この充電装置CHによれば、過電流保護特性で規定されている基準電流値(最大出力電流値)Irefが大きい順に、本例では、電源装置PS1、電源装置PS2の順に作動を開始させる構成のため、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbが低電圧のときには大きな基準電流値Iref1で定電流充電を実行できることから、充電装置CH全体の電源効率の低下を軽減しつつ、蓄電池ユニット50をより短時間で充電することができる。
また、この電源装置PSによれば、平滑回路8の正出力部8aに整流素子を介在させることなく接続(つまり、直接接続)された直列接続用端子14を備えているため、この直列接続用端子14を使用して複数個を直列に接続することにより、逆流防止用整流素子10の存在に起因する電圧降下を逆流防止用整流素子10一つ分の順方向電圧Vfだけに抑えることができる。
また、この電源装置PSによれば、逆流防止用整流素子10およびバイパス用整流素子11のうちの少なくとも1つの整流素子(本例では逆流防止用整流素子10)が、バスバー15に、電気的に絶縁され、かつ熱伝導性の良好な状態で取り付けられているため、この少なくとも1つの整流素子で発生する熱を効率よく放熱することができる。
なお、上記の充電装置CHでは、n個の電源装置PSを直列に接続する一例として、2個の電源装置PSを直列に接続する例について説明したが、互いに直列接続されたn個(2個を超える個数)の電源装置PS1〜PSnと、電源制御装置CNTaとを備えた充電装置CHaについて、図4を参照して説明する。なお、充電装置CHaの各電源装置PSは、それぞれの定電流電圧垂下型の過電流保護特性が相違するものの、基本構成は上記した電源装置PS1,PS2と同一に構成されているため、一部の構成要素についての図示を省略すると共に、同一の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
また、電源制御装置CNTaについては、上記した電源制御装置CNTの基本構成のうちの作動指示信号Ss2〜Ssnを生成するための構成要素(基準電源32、コンパレータ33、フォトカプラ34およびフォトカプラ35)を後述するように複数組((n−1)組)備えている点で電源制御装置CNTと相違しているが、他の構成要素(起動用スイッチ36、抵抗37および抵抗38)については同一である。このため、電源制御装置CNTaについても、上記した電源制御装置CNTと同一の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
充電装置CHaでは、n個の電源装置PS1〜PSnは、図4に示すように、充電装置CHと同様にして、高電位側の電源装置PSの負出力端子13と低電位側の電源装置PSの正出力端子(本例では、直列接続用端子14)とが接続線で接続されることによって互いに直列に接続されている。また、最も高電位側に配設された電源装置PS(本例では電源装置PSn)の正出力端子12が蓄電池ユニット50の正極に接続線で接続され、最も低電位側に配設された電源装置PS(本例では電源装置PS1)の負出力端子13が蓄電池ユニット50の負極に接続線で接続される。したがって、各電源装置PS1〜PSnの直流電圧Vdcが加算されて、電源装置1aの正出力端子12と電源装置1bの負出力端子13との間から蓄電池ユニット50に出力される。
例えば、電源装置PS1,PS2,・・・,PSnのそれぞれの基準電圧値がVref1,Vref2,・・・,Vrefnのときには、最も高電位側に配設された電源装置PSnの逆流防止用整流素子10での順方向電圧Vfを無視できれば、充電装置CHaは、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbを、電源装置PS1,PS2,・・・,PSnの基準電圧値Vref1,Vref2,・・・,Vrefnの合計電圧値(Vref1+Vref2+・・・+Vrefn)に充電可能に構成されている。
電源制御装置CNTaは、図4に示すように、一点鎖線で囲まれた基準電源32、コンパレータ33、フォトカプラ34およびフォトカプラ35の組を複数(n−1)備えると共に、起動用スイッチ36および抵抗37,38を備えている。また、各組のフォトカプラ35のフォトダイオードのアノード端子は、起動用スイッチ36に共通接続され、また、各組のフォトカプラ35のフォトトランジスタのコレクタ端子は抵抗37に共通接続されている。
また、1つ目の組の基準電源32で生成される比較電圧Vcom2については、上記した充電装置CHでの電源制御装置CNTと同様にして、充電電圧Vbが、予め規定された閾値電圧Vth1(電源装置PS1の基準電圧値Vref1またはその近傍の電圧値(例えば基準電圧値Vref1の約80%の電圧値)。図3参照)に達したときに、分圧電圧Vdivが比較電圧Vcom2を超えて、コンパレータ33がHレベルの電圧を出力することにより、フォトカプラ35のフォトトランジスタから作動指示信号Ss2が電源装置PS2に対して出力されるように、抵抗31a,31bによる分圧比と、比較電圧Vcom2とが予め規定されている。
また、図示はしないが、2つ目の組の基準電源32で生成される比較電圧Vcom3については、充電電圧Vbが、予め規定された閾値電圧Vth2(電源装置PS1,PS2の各基準電圧値Vref1,Vref2の合計電圧値またはその近傍の電圧値(例えば合計電圧値(Vref1+Vref2)の約80%の電圧値))に達したときに、分圧電圧Vdivが比較電圧Vcom3を超えて、コンパレータ33がHレベルの電圧を出力することにより、フォトカプラ35のフォトトランジスタから作動指示信号Ss3が電源装置PS3に対して出力されるように、比較電圧Vcom3が予め規定されている。
以下同様にして、(n−1)個目の基準電源32で生成される比較電圧Vcomnについては、充電電圧Vbが、予め規定された閾値電圧Vthn(電源装置PS1〜PSn−1の各基準電圧値Vref1,Vref2,・・・,Vrefn−1の合計電圧値またはその近傍の電圧値(例えば合計電圧値(Vref1+Vref2+・・・Vrefn−1)の約80%の電圧値))に達したときに、分圧電圧Vdivが比較電圧Vcomnを超えて、コンパレータ33がHレベルの電圧を出力することにより、フォトカプラ35のフォトトランジスタから作動指示信号Ssnが電源装置PSnに対して出力されるように、比較電圧Vcomnが予め規定されている。
すなわち、電源制御装置CNTaでは、n個の電源装置PSのうちの作動状態にある電源装置PSの個数に対応させて予め規定された閾値電圧Vth(つまり、この作動状態の電源装置PSについての基準電圧値Vref(最大出力電圧値)の合計電圧値およびこの合計電圧値の近傍の電圧値のいずれかに予め規定された閾値電圧Vth)と、蓄電池ユニット50の充電電圧Vbとを比較して、充電電圧Vbがこの閾値電圧Vthに達したときに、順序が次の電源装置PSを作動状態に移行させる。
したがって、この充電装置CHaによっても、直列接続されたn個の電源装置PSを予め決められた順序で(本例では、電源装置PS1,電源装置PS2,・・・,電源装置PSの順序で)、順次作動状態に移行させることができるため、充電電圧Vbが低電圧の蓄電池ユニット50についても充電することができると共に、電源効率の低い状態で複数の電源装置PSが動作するという事態の発生を回避できることから、充電装置CHa全体の電源効率の低下を軽減することができる。
また、この充電装置CHaにおいても、電源制御装置CNTaが、充電電圧Vdと、作動状態にある電源装置PS1の個数に対応させて作動状態の電源装置PSについての最大出力電圧値(基準電圧値Vref)の合計電圧値およびこの合計電圧値の近傍の電圧値のいずれかに予め規定された閾値電圧Vthとを比較して、充電電圧Vdが閾値電圧Vthに達したときに次の電源装置PSを作動状態に移行させるため、この新たな電源装置PSが作動状態に移行したときの各電源装置PSの直流電圧Vdcの電圧値を可能な限り高い状態にすることができることから、電源効率の低い状態で各電源装置PSが動作するという事態の発生をより確実に回避して、充電装置CHa全体の電源効率の低下をより確実に軽減することができる。
また、上記の充電装置CH,CHaでは、直列に接続された各電源装置PSを順次作動状態に移行させるための「予め決められた順序」の一例として、基準電流値(最大出力電流値)Irefの大きい順に順次作動状態に移行させる好ましい構成を採用しているが、各電源装置PSが基準電流値Vrefに関して同一仕様の電源装置であるときには、直列接続されている順序に拘わらず、いずれの電源装置PSから作動状態に移行させてもよいのは勿論である。
また、上記の充電装置CH,CHaでは、各電源装置PSは、直列接続用端子14を備えて構成されているが、直列接続用端子14を有していない構成を採用することもでき、この構成では、n個の電源装置PSは、高電位側の電源装置PSの負出力端子13と低電位側の電源装置PSの正出力端子12とが接続されることによって直列に接続される。